(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の具体的内容について上記した
図1から
図7の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1から
図4において、加熱調理器の本体1は、上下左右と奥に壁を備える加熱室28の中に加熱する被調理物を入れ、マイクロ波やヒータ,水蒸気の熱を使用して被調理物を加熱調理する。
【0011】
ドア2は、加熱室28の内部に被調理物を出し入れするために開閉するもので、ドア2を閉めることで加熱室28を密閉状態にし、被調理物を加熱する時に使用するマイクロ波の漏洩を防止し、熱を封じ込め、効率良く加熱することを可能とする。
【0012】
取っ手9は、ドア2に取り付けられ、ドア2の開閉を容易にするもので、手で握りやすい形状になっている。
【0013】
ガラス窓3は、調理中の食品の状態が確認できるようにドア2に取り付けられ、ヒータ等の発熱による高温に耐える外ガラスと内ガラスの二重ガラスを使用し、外ガラスと内ガラスとの間にマイクロ波の漏洩を防止する構造(例えば、無数に孔をあけた鉄板や鉄線で編んだ網)を用いている。
【0014】
入力手段71は、ドア2の前面下側の操作パネル4に設けられ、マイクロ波で被調理物を加熱するレンジ加熱手段77(
図7)、加熱室28の加熱室上面28eの外側に設けたヒータで被調理物を加熱するグリル加熱手段12、水蒸気により被調理物を加熱する水蒸気発生手段43、加熱室奥壁面28bに上方と下方に熱風ヒータ14a,14bなどを設けた熱風ユニット11によって発生する熱風で加熱室28を加熱するオーブン加熱手段などの加熱手段を選択し、加熱する時間等の調理条件や自動メニューを入力するための操作部6と、操作部6から入力された内容や調理の進行状態を表示する表示部5とで構成される。
【0015】
水タンク42は、水蒸気を作るのに必要な水を溜めておく容器であり、本体1の前面下側に設けられ、本体1の前面から着脱可能な構造とすることで給水および排水が容易にできるようになっている。
【0016】
外枠7は、加熱調理器の本体1の上面と左右側面を覆うキャビネットである。
【0017】
後板10は、前記したキャビネットの後面を形成するものであり、上部に外部排気ダクト18が取り付けられ、前記外部排気ダクト18の取り付けられる内側に、被調理物から排出した蒸気や本体1の内部の部品を冷却した後の冷却風(廃熱)39を排出する排気孔36が設けられている。
【0018】
また、外部排気ダクト18は、排気孔36を通過した冷却風39を本体1の外に排出するもので、排気は外部排気ダクト18の外部排気口8から排出し、排気の排出方向は本体1の上部方向で且つ前面側に排気する。排気の排出方向を上部方向で且つ前面側に向けることで、背面を壁面に寄せた時でも排気によって壁面を汚すことがないようにしている。
【0019】
機械室20は、加熱室底面28aと本体1の底板21との間の空間部に設けられ、底板21上には食品を加熱するためのマグネトロン33,マグネトロン33に接続された導波管47,制御基板23,その他、後述する各種部品、これらの各種部品を冷却する冷却手段50(
図7)等が取り付けられている。
【0020】
加熱室28の加熱室左側面28cと加熱室右側面28d(
図5)には棚上段27a、棚中段27b、棚下段27cからなる棚27を設け、調理によって使用する各種の加熱皿を載せる。
【0021】
加熱室底面28aは、略中央部が凹状に窪んでおり、その中に回転アンテナ26が設置され、マグネトロン33より放射されるマイクロ波は、導波管47,回転アンテナ駆動手段46の出力軸46aが貫通する結合穴47aを通して回転アンテナ26の下面に流入し、回転アンテナ26で拡散されて加熱室28内に放射される。回転アンテナ26は、回転アンテナ駆動手段46の出力軸46aに連結されている。
【0022】
冷却手段50は、底板21に取り付けられた冷却モータにファンが連結されたファン装置15で、この冷却手段50によって送風される冷却風39は、機械室20内の自己発熱するマグネトロン33やインバータ基板22,重量検出手段25等を冷却し、加熱室28の外側と外枠7の間および熱風ケース11aと後板10の間を流れ、外枠7と後板10を冷却しながら排気孔36を通り、外部排気ダクト18の外部排気口8より排出される。
【0023】
加熱室28の後部には熱風ユニット11が取り付けられ、熱風ユニット11は加熱室奥壁面28bの外側の後部側に熱風ケース11aを設け、加熱室奥壁面28bと熱風ケース11aとの間に熱風ファン32とその外周側に位置するように熱風ヒータ14a、および14bを設け、熱風ケース11aの後側に熱風モータ13を取り付け、そのモータ軸を熱風ケース11aに設けた穴を通して熱風ファン32と連結している。
【0024】
そして、熱風ユニット11は加熱室奥壁面28bに設けた空気の通り道となる熱風吸気孔31と熱風吹出し孔30を通して連結し、熱風ケース11a内の熱風ファン32を熱風モータ13により回転することで、加熱室28と熱風ユニット11との空気を循環し、熱風ヒータ14a、および14bで循環する空気を加熱する。
【0025】
また、熱風ユニット11の代わりに、加熱室28の上面と下面にヒータを設けて加熱室28を加熱しても良い。
【0026】
加熱室上面28eの外側には、ヒータよりなるグリル加熱手段12が取り付けられている。グリル加熱手段12は、マイカ板にヒータ線を巻き付けて平面状に形成し、加熱室上面28eの外側に押し付けて固定し、加熱室上面28eを加熱して加熱室28内の被調理物を輻射熱によって焼くものである。
【0027】
また、加熱室底面28aには、複数個の重量検出手段25、例えば前側左右に右側重量センサ25a,左側重量センサ25b,後側中央に奥側重量センサ25cが設けられ、その上にテーブルプレート24が載置されている。
【0028】
テーブルプレート24は、食品を載置するためのもので、ヒータ加熱とマイクロ波加熱の両方に使用できるように耐熱性を有し、かつ、マイクロ波の透過性が良く、衛生面でも問題がない磁器等の材料で成形されている。
【0029】
加熱室28の後部上方には、加熱室28内の温度を検出する温度検出手段a85が設けられている。温度検出手段a85は、グリル加熱手段12及び熱風ユニット11の熱風吹出し孔30から加熱室28内に吹出される熱風の影響を直接受けない位置に設けられている。
【0030】
スチームユニット43a(
図7)は水蒸気発生手段43とポンプ手段87により成る。
【0031】
水蒸気発生手段43は、加熱室左側面28cの外側面に取り付けられ、水蒸気を噴出するスチーム噴出口44は加熱室28内に臨ませている。
【0032】
また、水蒸気発生手段43は、アルミの鋳造で作られ、鋳造時にボイラー加熱手段89(
図7)であるシーズヒータを一体となるように埋め込んでいる。そのヒータの消費電力は600W前後と大きく、水蒸気発生手段43は短時間で水を沸騰できる温度に加熱することができる。
【0033】
水蒸気発生手段43への水の供給は、ポンプ手段87を駆動することによって水タンク42からパイプ45を通してポンプ手段87へ供給され、パイプ40と通って水蒸気発生手段43に供給され、水蒸気発生手段43で加熱されて沸騰し、水蒸気となってスチーム噴出口44から加熱室28へ噴出する。
【0034】
温度検出手段b88は、水蒸気発生手段43の温度を検出するもので、その検出結果を後述する制御手段151(
図7)に伝え、ボイラー加熱手段89やポンプ手段87を制御する。
【0035】
ポンプ手段87は、水タンク42の水を水蒸気発生手段43まで汲み上げるもので、ポンプとポンプを駆動するモータで構成される。水蒸気発生手段43への給水量の調節はモータに供給する電力のON/OFFの比率で決定する。
【0036】
図5から
図6を用いて本発明における加熱室28について説明する。
【0037】
本実施例では、加熱室左側面28cに照射部28tを備えた構成にて説明を行う。ただし、加熱室右側面28dに照射部28tを備えても良い。
【0038】
照射部28tは、照射部上28gと照射部下28hを備える。照射部28tは加熱室左側面28cに開口を設けたものである。そして開口部(照射部28t)の加熱室28の外側にLED照明部500を設け(
図4参照)、この開口部を通してLED照明部500から照射される光を加熱室28に導き、加熱室28を照らすものである。
【0039】
照射部28tからの光が照射される加熱室右側面28dと加熱室左側面28cと加熱室底面28aは、白またはアイボリーで塗装されているため、加熱室28内がLED照明手段500の白色LEDによる光を反射し、拡散して加熱室28をムラなく明るくする。
【0040】
図7は本加熱調理器の制御手段を表わしたブロック図である。
【0041】
次に、
図7を用いて加熱調理器のシステムの動作について説明する。電源76は、加熱調理器の本体1を動作させるためのものである。
【0042】
熱風ユニット11は、熱風吸気孔31熱風吹出し孔30を備える加熱室奥壁面28b外側に設けた熱風ケース11aの後側に熱風モータ13を備え、熱風ケース11aの穴を通してそのモータ軸に熱風ファン32を設け、熱風ファン32の外周側に熱風ヒータ14a、および14bを設け、加熱室28に熱風を循環して供給する。
【0043】
レンジ加熱手段77は、マグネトロン33とマグネトロン33を駆動するための電源を作るインバータ回路を搭載したインバータ基板22である。インバータ回路は入力手段71より入力された加熱パワーに応じた電源を作りマグネトロン33に供給する。
【0044】
グリル加熱手段12は、加熱室28の天面の裏側に設けられたヒータよりなり、加熱室28の加熱室上面28eを加熱して加熱室28内の被調理物130を輻射熱によって焼くものである。
【0045】
冷却手段50は、底板21に取り付けられた冷却モータにファンが連結されたファン装置15で、この冷却手段50によって送風される冷却風39は、機械室20内の自己発熱するマグネトロン33やインバータ基板22,重量検出手段25等を冷却する。
【0046】
回転アンテナ駆動手段46は、回転アンテナ26を駆動するためのモータで、同期モータと回転数を減速するためのギヤが一体になっているものである。
【0047】
重量検出手段25は、テーブルプレート24に載置された被調理物の重量を測定するものである。
【0048】
温度検出手段a85は、加熱室28に取り付けられ、加熱室28内の温度を検出し、制御手段151によってグリル加熱手段12のヒータの電力を調整するものである。
【0049】
スチームユニット43aは水蒸気発生手段43とポンプ手段87により成る。
【0050】
水蒸気発生手段43は、水を加熱するヒータからなるボイラー加熱手段89と、水蒸気発生手段43の温度を検出する温度検出手段b88から構成し、制御手段151は温度検出手段b88の検出結果からボイラー加熱手段89やポンプ手段87を制御する。
【0051】
71は入力手段で、ここでは、操作部6と表示部5を示す。
【0052】
152はドア開閉検知手段で、ドア2の開閉を検出するものである。
【0053】
500はLED照明手段で、ここでは照射部28tから加熱室28内を照らせるようにLEDを配置している。本実施例では二か所の照明部28g、28hを設けているが一か所、二か所以上でも良く、設置場所も加熱室左側面28cに限定するものでは無い。
【0054】
501は調光手段で、LED照明手段500に設けられているLEDのOFFとON、またON時のLEDの明るさを変えて加熱室28内の照度を複数段階に変更するために、前記LEDへ供給する電力を変更するものである。電力の変更方法としては、公知技術としてLEDに流す電流を変更する方法、また供給する電力のON/OFFするデューティ比を変更する方法がある。
【0055】
151は制御手段で、制御基板23に搭載され、入力手段71から入力のあった内容に従い、食品を加熱調理するように動作させるもので、各検知手段から食品の状態や加熱室の状態を検知し、その後各加熱手段や駆動手段を必要に応じて動作させるものである。また、ドア開閉検知手段152の検知情報に基づいて、加熱制御や調光手段501の制御を行うものである。
【0056】
加熱制御においては、入力手段71から加熱開始の入力が有った時に、ドア開閉検知手段152によりドア2の閉成を検知することで加熱手段を開始し、加熱中にドア2の開成を検知した時は加熱の停止を行い使用者の安全を確保するものである。
【0057】
また、調光手段501の制御は、加熱中のLED照明手段500のLEDの明るさ対して、ドア2を開成した時のLED照明手段500のLEDの明るさを暗くすることで、ドア2を開成した時の眩しさを軽減するものである。これは、高周波加熱調理器の場合、ドア2に設けられているガラス窓3にマイクロ波の漏洩を防止する機構が設けられているため、ガラス窓3越しでは加熱室28内が暗く見える。そこで、ガラス窓3越しに見える状態を明るくすると、ドア2を開成(開けて)して直接加熱室28内を見た時は明るすぎて眩しく感じるために、ドア2の開成に応じてLED照明手段500のLEDの明るさを調光手段501を設けて変更するものである。
【0058】
食品の状態を確認する際に、周囲の環境によってはさらに見えずらいことが想定される(周囲の電気をつけずに調理するときなど)。そこで、前述に加えて本体1の周囲の明るさを検出するセンサ(図示無し)を設け、周囲の明るさに応じて前記LEDの明るさ調整することで、周囲の明るさに影響を受ける事無く加熱室28内の食品の状態の確認が可能となり、加熱室への食品の出し入れ時や、ドアを開けて食品の状態を確認する時に眩しさを軽減して快適な調理が実施可能となる。