特許第6530976号(P6530976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6530976
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】コネクタ用のキャップ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/506 20060101AFI20190531BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20190531BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20190531BHJP
   H01R 12/71 20110101ALN20190531BHJP
【FI】
   H01R13/506
   H01R43/00 B
   H01R13/52 302A
   !H01R12/71
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-126551(P2015-126551)
(22)【出願日】2015年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-10836(P2017-10836A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】高根 徹
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04795354(US,A)
【文献】 特開2015−022793(JP,A)
【文献】 特開2001−196128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 12/71−12/75
H01R 13/506
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタのハウジングを保持する装着部と、
前記ハウジングに備わる前記コネクタの接続対象物の挿入口に沿って設けられるカバー部とを有しており、
前記カバー部は、前記ハウジングの前記挿入口と連通し、前記接続対象物を挿通する挿通孔を有し、
前記装着部は、前記カバー部から前記コネクタの側面に伸長する側壁部を有するコネクタ用のキャップにおいて、
前記側壁部は、前記カバー部から片持ち梁状に伸長して前記ハウジングの側面に設けた被係止部に対して係止する係止部を有しており、
前記係止部は、前記側壁部の下端位置よりも短い長さで形成されており、
前記側壁部は、前記装着部を前記コネクタに装着する際に、前記係止部以外の部位が前記コネクタの側面と接触した後に、前記係止部が前記コネクタの側面と接触するようにして、前記コネクタに装着されることを特徴とするコネクタ用のキャップ。
【請求項2】
前記接続対象物の非挿入状態で前記挿通孔を閉塞し、前記接続対象物を挿入する際に押圧されて前記挿通孔を開放するシャッター部を有しており、
前記シャッター部は、前記キャップを形成する絶縁性樹脂にて一体形成された弾性を有する薄膜で形成されている
請求項1記載のコネクタ用のキャップ。
【請求項3】
前記ハウジングの外周面の上端側を包囲するように前記ハウジングをそれぞれ保持する複数の前記装着部と、前記装着部ごとに設ける少なくとも1つの前記挿通孔とを有しており、各装着部は、それぞれ異なる前記コネクタの前記ハウジングを保持する
請求項1又は請求項2記載のコネクタ用のキャップ。
【請求項4】
前記カバー部は、前記側壁部の側方に突出する突出部を有する
請求項1〜請求項3何れか1項記載のコネクタ用のキャップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタを基板に実装する際に使用されるコネクタ用のキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
基板上にコネクタを実装する方法として、リフロー半田付け法が知られている。これは、コネクタに設けられる吸着面を吸着ヘッドで吸着して基板上の所定位置に搬送し、その後、基板及びコネクタを加熱炉内に配置して基板上に設けられるクリーム半田を融かしてコネクタの端子を基板上の配線に半田付けする方法である。しかし、コネクタの中には、吸着ヘッドにより吸着可能な吸着面を上部に有していないものがある。こうしたコネクタを基板に実装する場合には、吸着面を有するコネクタ用のキャップをコネクタに取り付け、吸着ヘッドをその吸着面に吸着させることによりコネクタを所定位置に搬送する方法が取られることがある(例として特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−149581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうしたコネクタ用のキャップはコネクタが有する接続対象物の挿入口を閉塞するため、コネクタ用のキャップを取り付けたままではコネクタに接続対象物を挿入することができない。よって、コネクタを基板に実装した後でコネクタ用のキャップを取り外す必要があるため、作業効率に問題がある場合がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術を背景になされたものである。その目的は、コネクタの実装作業を効率よく行うことができるコネクタ用のキャップを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく本発明は以下のように構成される。
すなわち、本発明はコネクタのハウジングを保持する装着部と、前記ハウジングに備わるコネクタの接続対象物の挿入口に沿って設けられるカバー部とを有しており、該カバー部が、前記ハウジングの挿入口と連通し、接続対象物を挿入する挿通孔を有するコネクタ用のキャップを提供する。
【0007】
ハウジングを保持する装着部を有するため、コネクタを基板に実装する際に本発明のコネクタ用のキャップを持ち上げて移送することで、コネクタを装着部に追従させて同時に移送することができる。したがって、ハウジングがコネクタの移送時に保持される部分を有さない場合であっても、容易にコネクタを移送して基板に実装することができる。また、本発明のカバー部が、前記ハウジングの挿入口と連通し、接続対象物を挿通する挿通孔を有することで、コネクタ用のキャップをハウジングに取り付けた状態で接続対象物を、挿通孔を通じて挿入口に挿入することができる。よって、接続対象物をコネクタに挿入するためにコネクタ用のキャップをハウジングから取り外す必要がないため、基板へのコネクタの実装作業を効率よく行うことができる。また、こうした挿通孔が接続対象物の先端をハウジングの挿入口までガイドするため、接続対象物を挿入口にスムーズに挿入することができる。
【0008】
前記本発明は、接続対象物の非挿入状態で前記挿通孔を閉塞し、前記接続対象物を挿入する際に押圧されて前記挿通孔を開放するシャッター部を有するものとすることができる。
【0009】
接続対象物の非挿入状態において、シャッター部が挿通孔を閉塞することで、挿入口からハウジングの内部に異物を入り込ませ難くすることができる。接続対象物を挿通し、その後抜去することで、シャッター部が挿通孔を再度閉塞する構造とすることで、接続対象物の挿抜を繰り返しても、確実にハウジングの内部に異物を入り込ませ難くすることができる。
【0010】
前記本発明は、複数の前記装着部と、少なくとも1つの前記挿通孔とを有しており、各装着部にコネクタのハウジングを保持するものとすることができる。
【0011】
複数のコネクタを基板に実装する場合、コネクタを1つずつ実装すると、時間と手間が掛かって作業効率に問題がある。また、実装作業の回数が増えると、目的位置に実装されないコネクタが増える場合もある。この場合、基板によってコネクタ同士の間隔にばらつきが生じ、コネクタによっては基板上の回路と正確に導通接続できなくなるといった不具合が生じるおそれもあり、問題となる。そこで、複数の前記装着部と、少なくとも1つの前記挿通孔とを有しており、各装着部にコネクタのハウジングを保持するコネクタ用のキャップとすることで、複数のコネクタにキャップを装着して、それらを同時に移送することができる。こうすることで、実装作業を効率よく行うことができる。また、基板によってコネクタ同士の間隔をばらつかせずに、一定にすることができる。そのため、より正確な位置に複数のコネクタを実装することができる。
【0012】
前記本発明は、カバー部が、コネクタ移送時の吸着面を有するものとすることができる。
【0013】
カバー部が吸着ヘッドの吸着面を有することで、こうした吸着面を有さないコネクタであっても、リフロー半田等による自動実装を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コネクタに取り付けた状態で、接続対象物をコネクタに挿入可能なコネクタ用のキャップを提供することができる。コネクタからコネクタ用のキャップを取り外す作業を省略することができるため、基板へのコネクタの実装作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態のコネクタ用のキャップの平面、正面、右側面を示す斜視図。
図2図1のコネクタ用のキャップの平面、背面、左側面を示す斜視図。
図3図1のコネクタ用のキャップの正面図。
図4図1のコネクタ用のキャップの背面図。
図5図1のコネクタ用のキャップの平面図。
図6図1のコネクタ用のキャップの底面図。
図7図1のコネクタ用のキャップの右側面図。
図8図1のコネクタ用のキャップをコネクタに取り付けた状態を示す図1相当の斜視図。
図9図1のコネクタ用のキャップをコネクタに取り付けた状態を示す図2相当の斜視図。
図10図9のコネクタ用のキャップ及びコネクタの平面図。
図11図9のコネクタ用のキャップ及びコネクタの正面図。
図12図10のコネクタ用のキャップ及びコネクタの矢示SA−SA線断面図。
図13図11のコネクタ用のキャップ及びコネクタの矢示SB−SB線断面図平面図。
図14】第2実施形態のコネクタ用のキャップの平面、正面、右側面を示す斜視図。
図15図14のコネクタ用のキャップの平面図。
図16】第3実施形態のコネクタ用のキャップの平面、正面、右側面を示す斜視図。
図17図16のコネクタ用のキャップの平面、背面、左側面を示す斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下の各実施形態で共通する構成については、同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0017】
本実施形態のコネクタ用のキャップ1,5,6はコネクタ2に取り付けられて使用されるものであり、平型導体4を挿通する挿通部1a2を有する。本明細書中では、各キャップ1,5,6の挿通孔1a2に挿通される「接続対象物」としての平型導体4の板幅方向(幅方向)をX方向、平型導体4の板厚方向(前後方向)をY方向、各キャップ1,5,6に対する平型導体4の挿抜方向(上下方向)をZ方向として説明する。また、各キャップ1,5,6をコネクタ2に取り付けた状態において、挿抜方向Zにおけるコネクタ2の側を「下側」とし、各キャップ1,5,6の側を「上側」として説明し、また、板厚方向Yにおいてコネクタ2のレバー部2eが設けられる側を「前側」とし、反対側を「後側」として説明する。しかし、これらの記載によって各キャップ1,5,6の実装方法や使用方法を限定するものではない。なお、左側面図は右側面図とは左右対称に表されるため、記載を省略する。
【0018】
本実施形態の各キャップ1,5,6が装着されるコネクタとしては、基板3に実装された状態で、基板3に対する垂直方向で平型導体4が挿入されるコネクタ2を例示する。またコネクタ2は、図8図13で示すように、ハウジング2aと、端子2bと、グラウンド端子2cと、平型導体4をハウジング2aの内部に挿入する挿入口2d1と、ハウジング2aに挿入した平型導体4をハウジング2aに対して着脱可能に固定するレバー部2eとを有する。
【0019】
コネクタ2をリフロー半田によって基板3に実装する場合、通常、コネクタ2の上側には吸着ヘッド(図示略)を吸着するための平坦な吸着部を必要とする。しかし、コネクタ2は上記の通り、基板に対する垂直方向で平型導体4を挿入するものであり、コネクタ2の上壁部2dには挿入口2d1が開口するため、上壁部2dは吸着ヘッド(図示略)が吸着できるだけの面積を有さない。また、グラウンド端子2cが挿入口2d1よりも上側に突出する場合には、やはり吸着ヘッドで上壁部2dを吸着することが困難である。なお、コネクタ用のキャップ1,5,6が装着されるコネクタはこうしたコネクタ2には限られない。例えばグラウンド端子2cやレバー部2eを有していないコネクタについても装着可能である。
【0020】
第1実施形態〔図1図13〕:
本実施形態のコネクタ用のキャップ1は、コネクタ2の上壁部2d側に装着されて使用される。
【0021】
〔コネクタ用のキャップの構成〕
コネクタ用のキャップ1は絶縁性樹脂でなり、略直方体形状でなる。また、コネクタ用のキャップ1は、図1図7で示すように、カバー部1aと、装着部1eとを有する。装着部1eは、前壁部1bと、後壁部1cと、側壁部1d,1dとを有する。
【0022】
カバー部1aは、コネクタ用のキャップ1がコネクタ2のハウジング2aに取り付けられた状態で、コネクタ2の上壁部2d及び上壁部2dに設けられる挿入口2d1に沿うように設けられる。カバー部1aは、基板3と平行で、平坦な吸着面1e1を有する。吸着面1a1は幅方向X及び前後方向Yで、コネクタ2の上壁部2dよりも大きく形成され、吸着ノズルによって真空吸着可能な面積を有する。また、カバー部1aは幅方向Xにおける両端側に、後述する側壁部1d,1dよりもさらに幅方向Xに沿って突出する突出部1a3を有する。コネクタ用のキャップ1をコネクタ2に取り付けた後、コネクタ2から取り外す場合には、この突出部1a3に指などを引っ掛けることで容易に取り外し作業を行うことができる。
【0023】
カバー部1aの幅方向Xにおける略中央であって、かつ前後方向Yにおける略中央には、挿通孔1a2が設けられる。挿通孔1a2は、カバー部1aを挿抜方向Zに沿って貫通し、幅方向Xや前後方向Yにおいて平型導体4よりも大きく形成されている。こうすることで、挿通孔1a2が平型導体4をスムーズに挿通することができる。挿通孔1a2は、コネクタ用のキャップ1がコネクタ2に取り付けられた状態でコネクタ2の挿入口2d1と外部とを連通する。また、挿通孔1a2の開口部分には誘い込み部1a4が形成されており、平型導体4を挿通孔1a2に挿入しやすくなっている。
【0024】
前壁部1bは、カバー部1aの前端部から下方向に挿抜方向Zに沿って伸長する。また、本実施形態ではコネクタ2が前側にレバー部2eを有するため、前壁部1bはこのレバー部2eを避けるように凹部1b1を有する。コネクタ2がこうしたレバー部2eを有さない場合には、前壁部1bに凹部1b1を設けなくても良い。
【0025】
後壁部1cは、カバー部1aの後端部から下方向に挿抜方向Zに沿って伸長する。そして、後壁部1cは前壁部1bと対向して配置される。なお、本実施形態の前壁部1b及び後壁部1cはそれぞれカバー部1aの前後方向Yにおける端部と面一に設けられる。しかし、吸着ヘッドによって吸着するために十分な面積を確保できるように、カバー部1aの端部を前壁部1bと後壁部1cの少なくとも何れか一方から前後方向Yに沿って突出させて、吸着面1a1の面積を広くすることができる。
【0026】
側壁部1dは、カバー部1aの幅方向Xにおける両端側から1つずつ下方向に挿抜方向Zに沿って伸長する。また側壁部1dは、前後方向Yにおける略中央にコネクタ2に係止する係止部1d1を有する。係止部1d1はカバー部1aから片持ち梁状に伸長する係止片部1d2と、係止片部1d2の先端側から幅方向Xにおける他端側に向けて突出して設けられる係止突起1d3とを有する。係止突起1d3がコネクタ2の被係止部2a1に対して係止することで、コネクタ用のキャップ1がコネクタ2に対して固定される。
【0027】
〔コネクタ用のキャップの使用方法の説明〕
続いてコネクタ用のキャップ1の使用方法について説明する。まず、コネクタ2にコネクタ用のキャップ1を装着する。具体的には、前壁部1bと、後壁部1cと、側壁部1d,1dとを有する装着部1eの内側にコネクタ2のハウジング2aの上壁部2d側を嵌め込む。その後、係止部1d1をコネクタ2の被係止部2a1に係止することで、コネクタ用のキャップ1のコネクタ2に対する取り付け作業が完了する。
【0028】
コネクタ用のキャップ1をコネクタ2に装着した状態で、コネクタ用のキャップ1はコネクタ2のハウジング2aの外側に配置される。このように、コネクタ用のキャップ1をコネクタ2の挿入口2d1の内側ではなく、ハウジング2aの外側に装着するため、仮に装着作業時にキャップ1とハウジング2aとが互いに擦れ合っても、削れカスが生じるのはハウジング2aの外側となる。よって、こうした削れカスはコネクタ2の挿入口2d1の内部に入り込み難いため、平型導体4と端子2bとの導通不良を生じ難くすることができる。また、ハウジング2aの外側にコネクタ用のキャップ1を装着することで、挿入口2d1の内側が削られて変形するといった事態は生じない。よって、平型導体4がコネクタ2における正規の嵌合位置に挿入されるため、やはり端子2bとの接続不良を生じ難くすることができる。
【0029】
コネクタ2に取り付けた状態のコネクタ用のキャップ1の吸着面1a1に吸着ヘッド(図示略)を吸着させて、基板3の目的位置まで移動させる。コネクタ用のキャップ1は係止部1d1によってコネクタ2に係止しているため、コネクタ用のキャップ1を持ち上げると、コネクタ2も装着部1eに保持された状態で共に移動する。このまま基板3上の目的箇所にコネクタ2を配置し、リフロー半田によって基板3に実装する。
【0030】
図8図9で示すように、平型導体4をコネクタ用のキャップ1の挿通孔1a2に挿入することで、平型導体4はハウジング2aの挿入口2d1までガイドされる。そのため、コネクタ用のキャップ1を装着したまま平型導体4を挿入口2d1にスムーズに挿入することができる。
【0031】
従来のコネクタ用のキャップは平型導体4の挿入口2d1を閉鎖してしまうため、平型導体4をコネクタ2に挿入するためにはコネクタ2からコネクタ用のキャップ1を取り外す必要がある。よって、コネクタ2の実装作業において作業数が増えてしまい、作業効率に問題がある。これに対して、本実施形態のコネクタ用のキャップ1は平型導体4を挿通する挿通孔1a2を有するため、コネクタ用のキャップ1をコネクタ2に取り付けた状態で平型導体4をコネクタ2に挿入することができる(図10図13)。こうすることで、コネクタ用のキャップ1を取り外す作業を省略し、コネクタ2の実装作業の効率を向上させることができる。
【0032】
第2実施形態〔図14図15〕:
前記第1実施形態では、挿通孔1a2が常に開放しているコネクタ用のキャップ1を示した。これに対して、図14図15で示すように、挿通孔1a2に開閉自在のシャッター部5aを備えるコネクタ用のキャップ5とすることもできる。こうしたシャッター部5aを、例えば平型導体4の非挿入状態で挿通孔1a2を閉塞し、平型導体4を挿入する際に先端で押圧することで挿通孔1a2を開放する構造とする。こうすることで、平型導体4の非挿入状態において、コネクタ2の挿入口2d1からハウジング2aの内部に異物が入り込んで端子2bに付着するといった事態を生じ難くすることができる。また、平型導体4を抜去することで、シャッター部5aが再度、挿通孔1a2を閉塞する構造とすることで、平型導体4の挿抜を繰り返しても確実にハウジング2aの内部への異物の侵入を抑えることができる。本実施形態のように、挿入口2d1が上側に向けて開口する場合には、重力によって上側から落下してきた異物が挿入口2d1に入り込みやすいため、こうしたシャッター部5aは異物対策として特に有効である。また、シャッター部5aは、例えばコネクタ用のキャップ5と一体でなり、弾性を有する薄膜で形成することができる(図14,15参照)。この場合には、平型導体4を挿通するスリット部5bを有するシャッター部5aとし、スリット部5bが平型導体4を挿通する際に、平型導体4によってスリット5bが押し広げられる構成とすることで、容易に開閉自在な構造とすることができる。その一方で、シャッター部5aは、コネクタ用のキャップ5とは別部材として設けることもできる。
【0033】
第3実施形態〔図16図17〕:
前記各実施形態では、1つのコネクタ2に装着されるコネクタ用のキャップ1,5を例示した。これに対し、装着部1eと、挿通孔1a2とを2つずつ有しており、各装着部1eにコネクタ2のハウジング2aを保持するコネクタ用のキャップ6とすることができる。コネクタ用のキャップ6は装着部1eを幅方向Xに沿って2つ設けた構造となっている。そのため、2つのコネクタ2に装着することができる。
【0034】
こうしたコネクタ用のキャップ6は、各装着部1e,1eに装着されるコネクタ2,2の挿入口2d1,2d1に合わせて挿通孔1a2を一つずつ形成することで、コネクタ用のキャップ6にコネクタ2,2を装着した状態で、各コネクタ2に2枚の平型導体4を挿入することができる。また、2つのコネクタ2に装着したコネクタ用のキャップ6を吸着ヘッドで吸着し、基板3に実装することで、同時に2つのコネクタ2を基板に固定することができるため、作業効率を向上させることができる。よって、実装作業を減らすことができるため、基板3によるコネクタ2,2の実装位置のばらつきの発生を抑えることができる。さらに、装着部1e,1e同士の間に設けられる連結部6aの長さを基板3上におけるコネクタ2,2の実装位置に合わせてあらかじめ設計しておくことで、コネクタ2,2を互いに一定の間隔を設けた状態で目的位置に実装することができる。なお、コネクタ用のキャップ6は絶縁性樹脂でなるため、コネクタ用のキャップ6を2つのコネクタ2に装着しても互いに絶縁状態を維持することができる。
【0035】
3つ以上のコネクタ2を同時に基板に固定する場合には、それと同じ数の装着部1eを設けることができる。なお、本実施形態のコネクタ用のキャップ6は幅方向Xに沿って2つの装着部1eを設けたが、基板(図示略)に前後方向Yに沿って2つのコネクタ2を固定する場合には、前後方向Yに沿って装着部1eを設けることもできる。ただし、この場合にはコネクタ2のレバー部2eを操作できる配置でコネクタ2,2にコネクタ用のキャップを装着する。また、連結部6aを前後方向Yで長くするなどにより、一方のコネクタ2の端子2bと他方のコネクタ2の端子2bとを離間して配置する。
【0036】
また、本実施形態のコネクタ用のキャップ6としては、装着部1eと同数の挿通孔1a2を有する例を示した。これに対して、挿通孔1a2を1つだけ有することとしても良い。この場合には、複数のハウジング2aの挿入口2d1と連通するように、挿通孔1a2を大きく設けることで、1つの挿通孔1a2が複数の平型導体4を挿通し、挿入口2d1までガイドすることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 コネクタ用のキャップ(第1実施形態)
1a カバー部
1a1 吸着面
1a2 挿通孔
1a3 突出部
1a4 誘い込み部
1b 前壁部
1b1 凹部
1c 後壁部
1d 側壁部
1d1 係止部
1d2 係止片部
1d3 係止突起
1e 装着部
2 コネクタ
2a ハウジング
2a1 被係止部
2b 端子
2c グラウンド端子
2d 上壁部
2d1 挿入口
2e レバー部
3 基板
4 平型導体
5 コネクタ用のキャップ(第2実施形態)
5a シャッター部
5b スリット部
6 コネクタ用のキャップ(第3実施形態)
6a 連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17