(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吐出キャップが、前記外部と前記吸気孔とを連通可能な外気導入孔が形成されたキャップ本体と、前記キャップ本体の内側に配設され、前記外気導入孔を開閉する空気弁と、を有し、
前記キャップ本体には、前記吸気孔と連通しかつ前記空気弁により前記外気導入孔との連通が遮断された排気孔が形成され、
前記排気孔が、前記蓋部材が前記開位置にあるときに外部と連通し、前記蓋部材が前記閉位置にあるときに外部との連通を遮断されることを特徴とする請求項1に記載の二重容器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による二重容器の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0012】
本実施形態にかかる二重容器1は、
図1に示すように、図示しない内容物が収容されると共に内容物の減少に伴って減容変形する可撓性に富む内容器2及び内容器2が内装される外容器3を有する有底円筒状の容器本体4と、容器本体4の口部4Aに装着された有頂円筒状の吐出キャップ5と、を備える。
ここで、容器本体4及び吐出キャップ5は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置する状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、
図1において容器軸Oに沿って容器本体4の底部から吐出キャップ5に向かう方向を上方、その逆方向を下方とする。また、容器軸Oから見た平面視で容器軸Oに直交する方向を径方向、容器軸O回りに周回する方向を周方向とする。さらに、径方向のうち
図1における左側を前方、その逆方向を後方とする。
【0013】
容器本体4は、例えばブロー成形により形成されており、外容器3の内面に内容器2が剥離可能に積層された積層剥離型容器(デラミボトル)とされている。
ブロー成形としては、例えば押出成形などによって二重(内外)に組み合わされた積層パリソンを形成し、この積層パリソンをブロー成形することで容器本体4を形成しても良い(押出ブロー成形)。また、射出成形などによって外容器用のプリフォーム、及び内容器用のプリフォームを形成し、これらを二重(内外)に組み合わせた後、二軸延伸ブロー成形することで容器本体4を形成しても構わない。
なお、外容器用のプリフォームを先に二軸延伸ブロー成形して外容器3を形成した後、内容器用のプリフォームを内部に配置し、その後、内容器用のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することで容器本体4を形成しても構わない。
【0014】
なお、内容器2及び外容器3の材質は樹脂材料とされ、剥離可能な組み合わせであれば互いに同材質でも異材質でもよい。樹脂材料の一例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ナイロン(ポリアミド)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)などが挙げられる。これらの樹脂材料の中から、外容器3と内容器2とは剥離可能(相溶性がない)となる組み合わせで形成される。
【0015】
外容器3は、スクイズ変形可能とされており、この外容器3のスクイズ変形に伴って内容器2が減容変形する。
外容器3の口部3Aは、上側に位置する円筒状の上筒部11と、上筒部11の下端に連設され、内径及び外径が上筒部11よりも拡径された円筒状の下筒部12と、を有する。上筒部11及び下筒部12は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0016】
上筒部11には、上筒部11を径方向に貫通する複数の吸気孔11Aが周方向に間隔をあけて形成されている。なお、吸気孔11Aは、少なくとも1つ形成されていればよい。また、上筒部11のうち吸気孔11Aよりも上方には、装着突出部11Bが全周にわたって径方向外側に向けて突設されている。この装着突出部11Bには、上下方向に延在する複数の第1通気溝部11Cが周方向に間隔をあけて形成されており、外容器3と内容器2との間には、この第1通気溝部11C及び吸気孔11Aを通して外気が導入可能となっている。なお、この第1通気溝部11Cは、少なくとも1つ形成されていればよい。
内容器2の口部2Aの上端部には、径方向外側に突出する平面視で円環状の折返部13が形成されており、この折返部13は、外容器3の口部3Aの上端開口縁を上方側から塞いでいる。
【0017】
吐出キャップ5は、有頂円筒状の中栓体21と、中栓体21を容器本体4に装着させる有頂円筒状の装着筒22と、中栓体21と装着筒22との間に配設された円筒状の吐出弁23と、装着筒22に装着された有頂円筒状の蓋部材24と、を有する。これら中栓体21、装着筒22、吐出弁23及び蓋部材24は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0018】
中栓体21は、容器本体4の口部4Aの上端開口部上に配置された平面視で円形状のベース部31と、ベース部31から下方に向けて延在する円筒状の収容筒部32と、収容筒部32内に収容された球状の弁体部33と、を有する。
ベース部31は、容器本体4の口部4Aの上端開口部上に位置する有頂円筒状の中央部41と、中央部41の下端から径方向外側に向けて延在する平面視で円環状の環状外周部42と、を有する。
【0019】
中央部41のうち容器軸Oに対して後方にずらした位置には、中央部41を上下方向に貫通し、内容物を流通させる流通孔41Aが形成されている。
環状外周部42には、径方向に間隔をあけて円筒状の第1及び第2立上筒部43、44が上方に向けて立設されている。
第1立上筒部43は、環状外周部42の外周縁に形成されており、第1立上筒部43には、第1立上筒部43を径方向に貫通しかつ下方に向けて開口する複数の第2通気溝部43Aが周方向に間隔をあけて形成されている。なお、第2通気溝部43Aは、少なくとも1つ形成されていればよい。
第2立上筒部44は、第1立上筒部43よりも径方向内側に形成されており、中央部41の周壁部を径方向外側から囲んでいる。
さらに、環状外周部42には、容器本体4の口部4A内に嵌合され、下方に向けて延在する円筒状のシール筒部45が設けられている。
【0020】
収容筒部32は、ベース部31の中央部41のうち容器軸Oに対して前方にずらした位置に設けられている。収容筒部32の下端部は、内径及び外径が下方に向かうにしたがって漸次縮径する縮径部32Aとされている。また、収容筒部32の上側部分の内面には、弁体部33の上方への抜けを規制する規制突部32Bが径方向内側に向けて突設されている。なお、規制突部32Bは、全周にわたって形成されている必要はなく、規制突部32Bが設けられていなくてもよい。
【0021】
弁体部33は、収容筒部32の内径と同等の外径を有する球状を呈しており、収容筒部32の内側に上下方向で移動自在に収容されている。そして、弁体部33は、縮径部32Aの内周面に対して上方に向けて離反可能に着座している。弁体部33は、合成樹脂や金属で形成されている。弁体部33を金属で形成する場合には、自重によるスムーズな移動が可能となる。一方、弁体部33を合成樹脂で形成する場合には、二重容器1を構成する部材の全てを合成樹脂で形成することができ、低コスト化が図れると共に、各部材を異種材料ごとに分別する必要がなく、二重容器1の廃棄が容易となる。また、合成樹脂で形成した弁体部33は、金属で形成した場合と比較して質量や内容物に対する比重を軽くすることができるので、例えば二重容器1を傾倒または上下反転させた吐出姿勢にした状態で、容器本体4を外容器3に対して径方向内側に向けてスクイズ変形を解除したときに、弁体部33を規制突部32Bから速やかに離反させて縮径部32Aの内周面上に着座させやすくなる。したがって、弁体部33を利用して、外気が収容筒部32内を通して内容器2内に進入することを抑制することができる。
【0022】
装着筒22は、平面視で円形板状の天板部51と、天板部51の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の外筒部52と、を有する。これら天板部51及び外筒部52は、容器軸Oと同軸に配設されている。
天板部51のうち容器軸Oに対して前方にずらした位置には、天板部51を上下方向に貫通する吐出孔51Aが形成されている。また、天板部51のうち吐出孔51Aの開口周縁部には、円筒状の吐出筒部53が上方に向けて立設されている。吐出筒部53の内径及び外径は、上方に向かうにしたがって漸次拡径している。
また、天板部51のうち吐出孔51Aの開口周縁部には、円筒状の規制筒部54が下方に向けて突設されている。規制筒部54は、容器本体4を口部4Aが下方を向く吐出姿勢にした状態で内容物を吐出させるときに後述する連絡空間S内に残留する残留空気が容器本体4を正立姿勢に戻したときに天板部51の下面を伝って吐出孔51Aに到達することを規制する。
【0023】
さらに、天板部51は、中央部分がこの中央部分から径方向外側に延在する外周部分よりも上方に位置するように段差をつけて形成されている。そして、天板部51のうち上記中央部分と上記外周部分との間の接続部分には、この接続部分を上下方向で貫通する外気導入孔51Bが形成されている。外気導入孔51Bは、平面視で例えば上記接続部分に沿う円弧状をなしている。なお、外気導入孔51Bは、上記接続部分に沿って周方向に間隔をあけて複数形成されてもよく、後述する連絡空間Sよりも径方向外側に位置すれば、他の箇所に形成されてもよい。
また、天板部51のうち外気導入孔51Bよりも径方向内側には、径方向で間隔をあけて第1及び第2垂下筒部55、56が下方に向けて突設されている。
【0024】
外筒部52は、天板部51の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の上側部分57と、上側部分57の下端に連設され、内径及び外径が上側部分57よりも拡径された円筒状の下側部分58と、を有する。これら上側部分57及び下側部分58は、容器軸Oと同軸に配設されている。
上側部分57の上端部には、上側部分57を径方向で貫通する排気孔57Aが形成されている。上側部分57のうち排気孔57Aよりも下側の部分は、内径が同等でありかつ外径が拡径された肩部57Bとなっている。さらに、上側部分57の下端部の外周面には、雄ネジ部57Cが形成されている。雄ネジ部57Cには、周方向で間隔をあけて複数の第3通気溝部57Dが形成されている。なお、第3通気溝部57Dは、少なくとも1つ形成されていればよい。
下側部分58の下端部は、口部4Aの下筒部12の外周面に気密に外嵌されている。これにより、吸気孔11Aが装着筒22の外筒部52の下方から二重容器1の外部と連通することが防止される。
【0025】
吐出弁23は、吐出孔51Aと容器本体4内との連通及び遮断を切り替える弁であり、円筒状の区画筒部61と、ベース部31の中央部41の上面に離反可能に載置された平面視で円形板状の弁本体62と、区画筒部61から径方向外側に向けて設けられた平面視で円環状の空気弁63と、を有する。
区画筒部61は、中栓体21と装着筒22との間の空間を区画筒部61よりも径方向内側に位置して吐出孔51Aに連通する連絡空間Sと、区画筒部61よりも径方向外側に位置して外気導入孔51Bに連通する外側通路と、に区画する。区画筒部61の下端部は、中央部41の周壁部と第2立上筒部44との間に配設されており、区画筒部61の上端部は、天板部51の第1及び第2垂下筒部55、56間に配設されている。
【0026】
弁本体62は、周方向に間隔をあけて複数(3つ)形成された弾性アーム64を介して区画筒部61の内周面に接続されており、ベース部31の中央部41に形成された流通孔41Aを開閉自在に閉塞する。
なお、弾性アーム64の数は3つに限定されるものではない。また、吐出弁23は、外容器3のスクイズ変形時に流通孔41Aを開放させることができればよく、三点弁以外の他の構成を有してもよい。
【0027】
空気弁63は、区画筒部61の上下方向の中間部から径方向外側に向けて延在しており、少なくとも空気弁63の先端部は、径方向外側に向かうにしたがって上方に向かうように湾曲する。空気弁63の先端部は、天板部51に形成された外気導入孔51Bよりも径方向外側において天板部51の下面に下方から当接している。なお、空気弁63は、吐出弁23と一体的に形成されているが、別体として形成されてもよい。
【0028】
蓋部材24は、装着筒22に装着された円筒状のキャップ本体71と、キャップ本体71にヒンジ72を介して接続された有頂円筒状の蓋体73と、を有する。
キャップ本体71は、円筒状の上側筒部74と、上側筒部74に連設され、内径が上側筒部74よりも拡径されかつ外径が同等である円筒状の下側筒部75と、を有する。これら上側筒部74及び下側筒部75は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0029】
上側筒部74の内周面には、上下方向で離間する第1及び第2密接突部74A、74Bが径方向内側に向けて突設されている。第1密接突部74Aは、外筒部52の上側部分57のうち排気孔57Aよりも上方の部分に気密に当接しており、第2密接突部74Bは、外筒部52の上側部分57のうち排気孔57Aよりも下側にある肩部57Bの上端部に気密に当接している。これにより、排気孔57Aがキャップ本体71の上下双方から二重容器1の外部と連通することが防止される。
下側筒部75の内周面には、外筒部52に形成された雄ネジ部57Cと螺合する雌ネジ部75Aが形成されている。
【0030】
蓋体73は、平面視で円形板状の天壁部76と、天壁部76の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の筒壁部77と、を有する。
天壁部76のうち容器軸Oよりも前方にずらした位置には、下方に向けて突出する円筒状のシール筒部78が設けられている。シール筒部78は、吐出筒部53の内側に上方から挿入されている。
筒壁部77の後側部分の下端は、ヒンジ72を介してキャップ本体71の後側部分の上端に連結されている。また、筒壁部77の前側部分の上端部には、操作突片77Aが径方向外側に向けて突設されている。
【0031】
容器本体4と、装着筒22のうちキャップ本体71から外側に露出している部分と、キャップ本体71の下側筒部75の下端部と、は、シュリンクフィルム81によって径方向外側から被覆されている。なお、シュリンクフィルム81を設けなくてもよい。
【0032】
以上のような構成の二重容器1の使用方法について説明する。
まず、内容物を吐出させる場合には、蓋体73の操作突片77Aを操作し、蓋体73をヒンジ72回りに回動させて吐出孔51Aを開放させる。吐出孔51Aを開放させた後、例えば容器本体4を傾倒または上下反転させた吐出姿勢とした状態で、外容器3の上記胴部を径方向内側にスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器2は、外容器3と共に径方向内側に変形して減容し、内容器2の内圧は、上昇する。ここで、容器本体4の傾倒または上下反転に伴って、弁体部33は、収容筒部32内を上方へ移動する。弁体部33の上方への移動は、規制突部32Bによって規制される。
【0033】
内容器2の内圧が上昇すると、吐出弁23の弁本体62は、ベース部31の中央部41の上面から上方に向けて離反し、流通孔41Aを開放させる。これにより、吐出孔51Aと内容器2内とは、流通孔41Aを通じて連通する。そして、内容器2内に収容された内容物は、流通孔41A及び吐出孔51Aを通じて、吐出筒部53の先端から外部に吐出される。
【0034】
その後、容器本体4のスクイズ変形を停止または解除させることにより、内容器2の内圧が低下すると、吐出弁23の弁本体62は、弾性アーム64の復元変形によってベース部31の中央部41の上面に着座する。これにより、流通孔41Aは、再び閉塞され、吐出孔51Aと内容器2内との連通は、遮断される。
また、容器本体4のスクイズ変形の停止または解除により、外容器3が復元変形し始めるので、外容器3と内容器2との間には、負圧が生じる。この負圧によって、空気弁63の先端部は、装着筒22の天板部51の下面から離間し、外気導入孔51Bを開放させる。これにより、外気は、外気導入孔51B、第2通気溝部43A、第1通気溝部11C及び吸気孔11Aを通じて、外容器3と内容器2との間に流入する。その結果、外容器3が復元変形しても、内容器2を外容器3の内面から離間させ、内容器2を減容変形させたままの状態となる。
【0035】
容器本体4のスクイズ変形の停止に合わせて、容器本体4を正立姿勢に戻すと、収容筒部32内の弁体部33は、その自重によって縮径部32Aに向けて下方移動し、縮径部32Aに着座する。そして、弁体部33の下方移動に伴うサックバック効果により、吐出筒部53とベース部31との間にある連絡空間Sに内容物が残留しても、残留する内容物は、収容筒部32内に引き込まれる。
なお、弁体部33は、その自重だけではなく内容器2の復元力によって生じる内容器2内の負圧化によっても、縮径部32Aに向けて下方移動して縮径部32Aに着座してもよい。
【0036】
その後、再び外容器3をスクイズ変形させると、空気弁63が閉状態とされていることから、外容器3と内容器2との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器2が減容変形され、上述と同様に吐出筒部53の先端を通じて内容物が吐出される。
なお、内容器2の内圧上昇を利用して、弁体部33を規制突部32B側へ上方移動させることも可能であるため、内容物を吐出させる際に必ずしも容器本体4を傾倒または上下反転させる必要はない。
【0037】
続いて、内容物を使い切った後に二重容器1を廃棄する場合には、まず、シュリンクフィルム81を剥がす。そして、
図2及び
図3に示すように、蓋部材24を装着筒22に対して螺合解除する方向に閉位置から開位置まで回転させる。蓋部材24を開位置まで回転させると、キャップ本体71の第2密接突部74Bは、外筒部52の肩部57Bから上方に離間する。これにより、吸気孔11Aは、第1通気溝部11C、排気孔57A及び第3通気溝部57Dを通じて、外部に開放される。この状態で外容器3の上記胴部を径方向内側にスクイズ変形させると、外容器3と内容器2との間の空気は、吸気孔11A、第1通気溝部11C、排気孔57A及び第3通気溝部57Dを通じて外部に排出される。その後、このように外容器3を減容変形させた状態で、
図4に示すように、蓋部材24を再び開位置から閉位置まで装着筒22に対して回転させ、吸気孔11Aの外部に対する連通を遮断する。これにより、外容器3は、減容変形した状態で維持される。
【0038】
以上のような構成の二重容器1によれば、外容器3を減容変形させた後に蓋部材24を容器本体4に対して閉位置まで回転させることにより、外容器3を減容変形させた状態で維持できる。これにより、二重容器1を嵩張ることなく廃棄でき、処理コストや廃棄作業の作業効率を向上させることができる。
ここで、外気導入孔51Bとは別に形成された排気孔57Aが蓋部材24の回転移動に伴って外部に対して連通、遮断されるので、例えば空気弁63による外気導入孔51Bのシール性を阻害するなど、内容物を吐出孔51Aから吐出させる通常使用時に影響を及ぼすことを回避できる。
【0039】
次に、本発明による二重容器の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した実施形態と同様であり、上述した実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、以下の図面において上記図面と同一構成要素に同一符号を付し、この説明を省略する。
【0040】
本実施形態にかかる二重容器100は、
図5に示すように、吐出キャップ101の構造が第1実施形態にかかる二重容器1の吐出キャップ5と異なる。
吐出キャップ101は、有頂円筒状の装着筒102と、装着筒102に装着された有頂円筒状の蓋部材103と、装着筒102と蓋部材103との間に配設された円筒状の吐出弁23と、を有する。これら装着筒102、蓋部材103及び吐出弁23は、容器軸O’と同軸に配設されている。
【0041】
装着筒102は、容器本体4の口部4Aの上端開口部上に配置された平面視で円形状のベース部111と、ベース部111から下方に向けて延在する円筒状の収容筒部32と、収容筒部32内に収容された球状の弁体部33と、ベース部31の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の外筒部112と、を有する。これらベース部111及び外筒部112は、容器軸O’と同軸に配設されている。
ベース部111は、第1立上筒部113の形状が第1実施形態にかかる第1立上筒部43と異なり、第1立上筒部113の下端部には、第1立上筒部113を貫通しかつ径方向内側及び下方双方に向けて開口する通気孔113Aが形成されている。
【0042】
蓋部材103は、装着筒102に装着された円筒状のキャップ本体121と、キャップ本体121にヒンジ72を介して接続された有頂円筒状の蓋体73と、を有する。
キャップ本体121は、平面視で円形板状の天板部51と、天板部51の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の外周筒部122と、を有する。
天板部51の外周縁よりも径方向内側には、第1立上筒部113を径方向外側から囲む第3垂下筒部123が下方に向けて突設されている。
【0043】
以上のような構成の二重容器100の使用方法は、上述した第1実施形態にかかる二重容器1と同様である。
第1実施形態と同様に、容器本体4のスクイズ変形を停止または解除させて内容器2の内圧が低下すると、空気弁63の先端部は、キャップ本体121の天板部51の下面から離間し、外気導入孔51Bを開放させる。これにより、外気は、外気導入孔51B、通気孔113A、第1通気溝部11C及び吸気孔11Aを通じて、外容器3と内容器2との間に流入する。外容器3と内容器2との間の内圧が大気圧まで上昇すると、空気弁63が復元変形し、外気導入孔51Bと外部とを遮断する。その結果、外容器3が復元変形しても、内容器2を外容器3の内面から離間させ、内容器2を減容変形させたままの状態となる。
【0044】
続いて、内容物を使い切った後に二重容器100を廃棄する場合には、まず、シュリンクフィルム81を剥がし、上述と同様に、
図6に示すように、蓋部材103を装着筒102に対して螺合解除させる方向に蓋部材103を開位置まで回転させる。蓋部材103を開位置まで回転させると、蓋部材103が吐出弁23に対して上方に移動し、空気弁63の先端部は、キャップ本体121の天板部51の下面から離間する。そのため、吸気孔11Aは、第1通気溝部11C、通気孔113A及び外気導入孔51Bを通じて、外部に開放される。そして、
図7に示すように、蓋体73をキャップ本体121に対してヒンジ72回りに回動させ、外気導入孔51Bを外部に対して開放させる。この状態で外容器3の上記胴部を径方向内側にスクイズ変形させると、外容器3と内容器2との間の空気は、吸気孔11A、第1通気溝部11C、通気孔113A及び外気導入孔51Bを通じて、外部に排出される。なお、外気導入孔51Bを外部に対して開放させてから蓋部材103を装着筒102に対して開位置まで回転させてもよい。
外容器3と内容器2との間の空気の排気後、蓋部材103を装着筒102に対して閉位置まで回転させて外気導入孔51Bの外部に対する連通を遮断することにより、外容器3は、減容変形した状態で維持される。
【0045】
以上のような構成の二重容器100によれば、上述した第1実施形態と同様に、外容器3を減容変形させて廃棄できる。
ここで、空気弁63によって開閉される外気導入孔51Bを介して、吸気孔11Aが蓋部材103の回転移動に伴って外部に対して連通、遮断されており、内容物を吐出させるときに減容変形した外容器3を復元変形させる際と、外容器3と内容器2との間の空気を排気させる際と、で空気の流路を共通させている。これにより、第1実施形態にかかる二重容器1と比較して二重容器100の構成を簡略化できる。
また、本実施形態にかかる二重容器100によれば、部品点数を従来の二重容器から増大させることなく形成することができる。
【0046】
次に、本発明による二重容器の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した実施形態と同様であり、上述した実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、以下の図面において上記図面と同一構成要素に同一符号を付し、この説明を省略する。
【0047】
本実施形態にかかる二重容器200は、
図8に示すように、内容器201及び外容器202を有する有底円筒状の容器本体203と、容器本体203の口部に装着された有頂円筒状の吐出キャップ204と、を備える。
外容器202の口部202Aは、上側に位置する円筒状の上筒部211と、上筒部211の下端に連設されて、内径及び外径が上筒部211よりも拡径された円筒状の下筒部212と、を有する。
上筒部211には、上筒部211を径方向に貫通する吸気孔211Aが形成されている。さらに、上筒部211のうち吸気孔211Aよりも上方に位置する部分には、雄ネジ部211Bが全周にわたって形成されている。上下方向に延在する複数の第1通気溝部211Cが周方向に間隔をあけて形成されており、外容器202と内容器201との間には、この第1通気溝部211C及び吸気孔211Aを通して外気が導入可能となる。なお、第1通気溝部11Cは、少なくとも1つ形成されていればよい。
【0048】
吐出キャップ204は、有頂円筒状の装着筒221と、装着筒221に装着された有頂円筒状の蓋部材222と、装着筒221と蓋部材222との間に配設された吐出弁223と、を有する。
装着筒221は、容器本体203の口部203Aの上端開口部上に配置された平面視で円形のベース部231と、ベース部231の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の外筒部232と、ベース部231から下方に向けて延在する円筒状の収容筒部233と、収容筒部233内に収容された球状の弁体部234と、を有する。これらベース部231及び外筒部232は、容器軸O”と同軸に配設されている。
【0049】
ベース部231は、容器本体203の口部203Aの上端開口部上に位置する有頂円筒状の中央部241と、中央部241の下端から径方向外側に向けて延在する平面視で円環状の環状外周部242と、を有する。
中央部241の中心部分には、内容物を流通させる流通孔241Aが形成されている。
環状外周部242には、径方向に間隔をあけて円筒状の第1及び第2立上筒部243、244が上方に向けて突設されている。
【0050】
第1立上筒部243は、環状外周部242の外周縁に形成されており、第1立上筒部243の下端部には、
図8及び
図9に示すように、下方及び径方向外側に開口する複数の第1通気溝部243Aが周方向に間隔をあけて形成されている。また、第1立上筒部243の上端開口縁には、下方に向けて陥没しかつ径方向に貫く複数の第2通気溝部243Bが周方向に間隔をあけて形成されている。第2通気溝部243Bは、第1通気溝部243Aと周方向で位置合わせされている。なお、第1及び第2通気溝部243A、243Bは、少なくとも1つ形成されていればよい。
第2立上筒部244は、第1立上筒部243よりも径方向内側に形成されており、中央部241の周壁部を径方向外側から囲んでいる。
【0051】
収容筒部233は、ベース部231の中央部241のうち容器軸O”に対して後方にずらした位置に設けられている。収容筒部233の下端部は、内径及び外径が下方に向かうにしたがって漸次縮径する縮径部233Aとされている。なお、上述した第1及び第2実施形態と同様に、収容筒部233には、第1及び第2実施形態に示すように、規制突部が形成されてもよい。
【0052】
外筒部232は、ベース部231の外周縁に接続された円筒状の上側部分245と、上側部分245の下端に連設され、上側部分245よりも内径及び外径が拡径された円筒状の中間部分246と、中間部分246に連設され、中間部分246よりも外径が拡径された円筒状の下側部分247と、を有する。
【0053】
上側部分245の外周面には、
図8から
図10に示すように、上下方向に延在する第1規制リブ245Aが径方向外側に向けて突設されている。
中間部分246の外周面には、
図8に示すように、蓋部材222の後述するキャップ本体251が容器軸O”回りに回転自在に装着される装着突部246Aが径方向外側に向けて突設されている。
下側部分247の内周面には、雄ネジ部211Bと螺合する雌ネジ部247Aが形成されている。また、下側部分247の外周面には、
図11に示すように、蓋部材222が装着筒221に対して、吸気孔211Aを外部に対して開放させる開位置と吸気孔211Aの外部に対する連通が遮断された閉位置との何れかに位置しているかを表示するための第1表示部247Bが設けられている。
【0054】
蓋部材222は、
図8に示すように、装着筒221に装着された円筒状のキャップ本体251と、キャップ本体251にヒンジ252を介して接続された有頂円筒状の蓋体253と、を有する。
キャップ本体251は、平面視で円形板状の天板部261と、天板部261の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の筒壁部262と、を有する。これら天板部261及び筒壁部262は、容器軸O”と同軸に配設されている。
【0055】
天板部261のうち容器軸O”に対して前方に若干ずらした位置には、天板部261を上下方向に貫通する吐出孔261Aが形成されている。また、天板部261のうち吐出孔261Aの開口周縁部には、円筒状の吐出筒部263が上方に向けて立設されている。
天板部261は、中央部分がこの中央部分から径方向外側に延在する外周部分よりも上方に位置するように段差をつけて形成されている。そして、上記中央部分と上記外周部分との間の接続部分には、この接続部分を上下方向に貫通する外気導入孔261Bが形成されている。外気導入孔261Bは、平面視で例えば上記接続部分に沿う円弧状をなしている。
また、天板部261のうち外気導入孔261Bよりも径方向内側には、径方向で間隔をあけて第1及び第2垂下筒部264、265が下方に向けて突設されている。
【0056】
筒壁部262は、円筒状の上側部分266と、上側部分266の下端に連設され、内径が拡径された円筒状の下側部分267と、を有する。これら上側部分266及び下側部分267は、容器軸O”と同軸に配設されている。
上側筒部266の内周面は、第1立上筒部243の外周面に対して容器軸O”回りで回転可能に摺接している。そして、上側部分266の内周面には、
図8から
図11に示すように、径方向外側に向けて陥没し、第1及び第2通気溝部243A、243Bと周方向で位置合わせされた複数の第3通気溝部266Aが周方向に間隔をあけて形成されている。そのため、第1及び第2通気溝部243A、243Bは、第3通気溝部266Aを通して連通している。なお、第3通気溝部266Aは、第1及び第2通気溝部243A、243Bと同様に、少なくとも1つ形成されていればよい。
【0057】
下側部分267の上端部の内周面には、
図8から
図10に示すように、径方向外側に向けて陥没し、第1規制リブ245Aを収容する規制溝部267Aと、規制溝部267Aの周方向両端部それぞれに配設され、径方向内側に向けて突出する第2規制リブ267Bと、が形成されている。第1規制リブ245Aは、規制溝部267Aの一方(
図10における上側)の周端部と一方(
図10における上側)の第2規制リブ267Bとの間に配設されており、蓋部材222が装着筒221に対して
図10に示す矢印A1方向に回転することを規制すると共に、蓋部材222が装着筒221に対して
図10に示す矢印A2方向に回転することに対して乗り越え抵抗を付与する。
【0058】
また、下側部分267の外周面には、
図11に示すように、第1表示部247Bと共に蓋部材222が装着筒221に対して開位置及び閉位置のいずれに位置しているかを表示する第2表示部267Cが設けられている。
さらに、下側部分267の下端部の内周面には、
図8に示すように、径方向外側に向けて陥没し、中間部分246に対してアンダーカット嵌合によりキャップ本体251を外筒部232に装着させる装着溝部267Dが形成されている。
【0059】
蓋体253は、平面視で円形板状の天壁部271と、天壁部271の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の筒壁部272と、を有する。
天壁部271のうち容器軸O”よりも前方にずらした位置には、下方に向けて突出する円筒状のシール筒部273が設けられている。シール筒部273は、吐出筒部263の内側に上方から挿入されている。
筒壁部272の後側部分の下端は、ヒンジ252を介してキャップ本体251の後側部分の上端に連結されている。また、筒壁部272の前側部分の上端部には、操作突片272Aが径方向外側に向けて突設されている。
【0060】
吐出弁223は、吐出孔261Aと容器本体203内との連通、遮断を切り替える弁であり、円筒状の区画筒部281と、ベース部231の中央部241の上面に離反可能に載置された平面視で円形板状の弁本体282と、を有する。
区画筒部281は、装着筒221のベース部231とキャップ本体251との間の空間を区画筒部281よりも径方向内側に位置して吐出孔261Aに連通する連絡空間Sと、区画筒部281よりも径方向内側に位置して外気導入孔261Bに連通する外側通路と、に区画する。区画筒部281の下端部は、中央部241の周壁部と第2立上筒部244との間に配設されており、区画筒部281の上端部は、天板部261の第1及び第2垂下筒部264、265間に配設されている。
【0061】
弁本体282は、ベース部231の中央部241に形成された第1通気溝部243Aを開閉自在に閉塞している。周方向に間隔をあけて複数(3つ)形成された弾性アーム283を介して区画筒部281の内周面に接続されている。
なお、弾性アーム283の数は3つに限定されるものではなく、吐出弁223としては、外容器202のスクイズ変形時に第1通気溝部243Aを開放させることができればよく、他の構成を有してもよい。
【0062】
以上のような構成の二重容器200の使用方法は、上述した第1及び第2実施形態にかかる二重容器1、100と同様である。
まず、内容物を吐出させる場合には、蓋体253をヒンジ252回りに回動させて吐出孔261Aを開放させた後、例えば容器本体203を傾倒または上下反転させた状態で、外容器202の上記胴部を径方向内側にスクイズ変形(弾性変形)させる。
外容器202のスクイズ変形によって内容器201の内圧が上昇すると、流通孔241Aが開放され、内容器201内に収容された内容物は、流通孔241A及び吐出孔261Aを通じて、吐出筒部263の先端から外部に吐出される。この際、吸気孔211Aから第1通気溝部243A、第3通気溝部266A及び第2通気溝部243Bを通して外気導入孔261Bへ向かう流通抵抗によって、外容器202と内容器201との間の空気が外部に排気されることが抑えられる。
【0063】
その後、容器本体203のスクイズ変形を停止または解除させることにより、内容器201の内圧が低下すると、流通孔241Aは、再び閉塞される。また、外容器202が復元変形し始めることによって生じた負圧により、外気は、外気導入孔261B、第2通気溝部243B、第3通気溝部266A、第1通気溝部243A及び吸気孔211Aを通じて、外容器202と内容器201との間に流入する。その結果、外容器202が復元変形しても、内容器201を外容器202の内面から離間させ、内容器201を減容変形させたままの状態となる。
【0064】
続いて、内容物を使い切った後に二重容器200を廃棄する場合には、蓋体253をキャップ本体251に対してヒンジ252回りに回動させ、外気導入孔261Bを外部に対して開放させる。この状態で外容器202の上記胴部を内容物の吐出時よりも大きく径方向内側にスクイズ変形させると、外容器202と内容器201との間の空気は、吸気孔211A、第1通気溝部243A、第3通気溝部266A、第2通気溝部243B及び外気導入孔261Bを通じて、外部に排出される。
【0065】
外容器202を減容変形させた後、蓋体253をキャップ本体251に対してヒンジ252回りに回動させ、外気導入孔261Bを外部に対して閉塞させると共に、
図12及び
図13に示すように、蓋部材222を装着筒221に対して開位置から閉位置まで回転させる。これにより、第1及び第3通気溝部243A、243Bと第3通気溝部266Aとは、互いに周方向の位置がずらされ、第1及び第3通気溝部243A、243B間の連通は、筒壁部262によって遮断される。そのため、吸気孔211Aは、外部との連通が遮断され、外容器202は、減容変形した状態で維持される。なお、蓋部材222を装着筒221に対して閉位置まで回転させると、第1規制リブ245Aは、他方の第2規制リブ267Bを周方向で乗り越え、規制溝部267Aの他方の周端部と他方の第2規制リブ267Bとの間に配設される。これにより、蓋部材222は、装着筒221に対して閉位置で位置決めされる。
【0066】
以上のような構成の二重容器200によれば、上述した第1及び第2実施形態にかかる二重容器1、100と同様に、外容器202を減容変形させた状態で維持できる。
また、本実施形態にかかる二重容器200によれば、部品点数を従来の二重容器から増大させることなく形成することができる。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、二重容器として、内容器が外容器の内面に剥離可能に積層された積層剥離型容器としたが、これに限定されるものではなく、内容器と外容器との間に隙間が確保された二重容器としても構わない。ただし、積層剥離型容器とした場合には、汎用性を高めることができるので好ましい。
蓋部材は、容器本体に対して容器軸回りに回転移動することによって開位置と閉位置との間で移動しているが、例えば第1及び第2実施形態では蓋部材を装着筒に対して回転移動を伴わずに上下方向に移動させることによって開位置と閉位置との間で移動自在に構成するなど、他の態様で開位置と閉位置との間で移動自在とされてもよい。
収容筒部及び弁体部によってサックバック効果を得ているが、収容筒部及び弁体部が設けられていなくてもよい。
蓋体は、キャップ本体にヒンジ接続されているが、キャップ本体に対して装着可能であれば、ヒンジ接続されていなくてもよい。