特許第6531022号(P6531022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6531022常温施工型アスファルト合材の製造方法および常温施工型アスファルト合材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6531022
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】常温施工型アスファルト合材の製造方法および常温施工型アスファルト合材
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/20 20060101AFI20190531BHJP
   C08L 95/00 20060101ALI20190531BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20190531BHJP
   C08K 9/08 20060101ALI20190531BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20190531BHJP
   E01C 7/20 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   C08J3/20 ZCFJ
   C08L95/00
   C08K7/02
   C08K9/08
   C08L101/00
   E01C7/20
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-198350(P2015-198350)
(22)【出願日】2015年10月6日
(65)【公開番号】特開2017-71674(P2017-71674A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002185
【氏名又は名称】大成ロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大友 信之
(72)【発明者】
【氏名】紺野 路登
(72)【発明者】
【氏名】日浦 裕志
【審査官】 松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−137959(JP,A)
【文献】 特開昭57−127003(JP,A)
【文献】 特開平10−147766(JP,A)
【文献】 特開平11−012016(JP,A)
【文献】 特開平03−037148(JP,A)
【文献】 特開2004−019368(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00058290(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
C08J 3/00 − 3/28
C08J 99/00
E01C 1/00 − 17/00
C04B 2/00 − 32/02
C04B 40/00 − 40/06
E01D 1/00 − 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)(1−1)骨材、(1−2)繊維質材料、及び(1−3)消石灰またはセメント、の3成分を混合して第一混合体を形成する混合工程と、
(2)(2−1)ストレートアスファルト、(2−2)熱可塑性樹脂、(2−3)可塑剤および安定剤のいずれか、及び(2−4)プロセスオイル、の4成分を加えて構成されたバインダを、前記第一混合体に混合することで前記バインダが被覆された第二混合体を形成するバインダ被覆工程と、
(3)前記第二混合体に、(3−1)スピンドルオイル、(3−2)ダイマー酸、及び(3−3)天然ロジン、の3成分を含んだ添加材を混合することで前記添加材が被覆された第三混合体を形成する添加材被覆工程と、
(4)前記第三混合体に水和反応材を添加して混合する仕上工程と、を備えた
ことを特徴とする常温施工型アスファルト合材の製造方法。
【請求項2】
前記(2)バインダ被覆工程では、前記バインダを前記第一混合体に噴射した後に混合する
ことを特徴とする請求項1に記載の常温施工型アスファルト合材の製造方法。
【請求項3】
前記(3)添加材被覆工程では、前記添加材を前記第二混合体に噴射した後に混合する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の常温施工型アスファルト合材の製造方法。
【請求項4】
(a)骨材と、(b)バインダ層と、(c)添加材層と、(d)表面被覆層とを備えた常温施工型アスファルト合材であって、
(a)骨材層は、(1−1)骨材、(1−2)繊維質材料、及び(1−3)消石灰またはセメント、の3成分を含有しており、
前記(b)バインダ層は、前記(a)骨材層の周囲に形成されており、
前記(b)バインダは、(2−1)ストレートアスファルト、(2−2)熱可塑性樹脂、(2−3)可塑剤および安定剤のいずれか、及び(2−4)プロセスオイル、の4成分を含有するものであり、
前記(c)添加材層は、(c−1)スピンドルオイル、(c−2)ダイマー酸、及び(c−3)天然ロジン、の3成分を含んだ添加材からなり、前記(b)バインダ層の周囲に形成されており、
前記(d)表面被覆層は、石膏または鉄鋼スラグから選ばれる水和反応材によって構成され、前記(c)添加材層の周囲に形成されている、
ことを特徴とする常温施工型アスファルト合材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温施工型アスファルト合材の製造方法および常温施工型アスファルト合材に関する。
【背景技術】
【0002】
常温施工型アスファルト合材は、道路舗装等に使用されるものであって、常温(100℃以下)で施工される。従来の常温施工型アスファルト合材は、合材に含まれるカットバック剤によりアスファルトをカットバックさせて一体化した後、カットバック剤が揮発することで強度を発現させるもの(たとえば特許文献1参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−254016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カットバック剤は、重油などが用いられているが、揮発性が高いため貯蔵安定性が低く、長期間の貯蔵ができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、これらの問題に鑑みて創案されたものであり、貯蔵安定性が高い常温施工型アスファルト合材の製造方法および常温施工型アスファルト合材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明に係る第一の発明は、骨材、繊維質材料、及び消石灰またはセメント、の3成分を混合して第一混合体を形成する混合工程と、ストレートアスファルト、熱可塑性樹脂、可塑剤および安定剤のいずれか、及びプロセスオイル、の4成分を加えて構成されたバインダを、前記第一混合体に混合することで前記バインダが被覆された第二混合体を形成するバインダ被覆工程と、前記第二混合体に、スピンドルオイル、ダイマー酸、及び天然ロジン、の3成分を含んだ添加材を混合することで前記添加材が被覆された第三混合体を形成する添加材被覆工程と、前記第三混合体に水和反応材を添加して混合する仕上工程と、を備えたことを特徴とする常温施工型アスファルト合材の製造方法である。
【0007】
このような製造方法によれば、スピンドルオイルとダイマー酸を含んだ添加材は、重油などを用いたカットバック剤よりも揮発性が低いために、貯蔵中における物質の変化が少ない。したがって、従来の常温施工型アスファルト合材よりも貯蔵安定性を高めることができる。また、バインダを混合する前に、骨材と繊維質材料とアルカリ性粉末とを混合しているので、繊維質材料とアルカリ性粉末とが均一な分布で混ざり合う。さらに、骨材周りのアルカリ性粉末とバインダに繊維質材料を混合していることによって、バインダの被膜厚さを厚くすることができる。また、常温施工型アスファルト合材の表面に水和反応材を添加することによって、貯蔵中に合材同士が付着し難くなるので、貯蔵安定性がより一層高くなる。なお、水和反応材は、たとえば石膏または鉄鋼スラグなどが挙げられる。
【0008】
本発明に係る常温施工型アスファルト合材の製造方法において、前記バインダ被覆工程では、前記バインダを前記第一混合体に噴射した後に混合することが好ましい。このような方法によれば、バインダを第一混合体の表面に均一に被覆することができる。
【0009】
また、本発明に係る常温施工型アスファルト合材の製造方法において、添加材被覆工程では、前記添加材を前記第二混合体に噴射した後に混合することが好ましい。このような方法によれば、添加材を第二混合体の表面に均一に被覆することができる。
【0010】
前記課題を解決するための本発明に係る第二の発明は、骨材と、バインダ層と、添加材層と、表面被覆層とを備えた常温施工型アスファルト合材であって、骨材層は、骨材、繊維質材料、及び消石灰またはセメント、の3成分を含有しており、前記バインダ層は、前記骨材層の周囲に形成されており、前記バインダは、ストレートアスファルト、熱可塑性樹脂、可塑剤および安定剤のいずれか、及びプロセスオイル、の4成分を含有するものであり、前記添加材層は、スピンドルオイル、ダイマー酸、及び天然ロジン、の3成分を含んだ添加材からなり、前記バインダ層の周囲に形成されており、前記表面被覆層は、石膏または鉄鋼スラグから選ばれる水和反応材によって構成され、前記添加材層の周囲に形成されている、ことを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、スピンドルオイルとダイマー酸を含んだ添加材は、重油などを用いたカットバック剤よりも揮発性が低いために、貯蔵中における物質の変化が少ない。したがって、従来の常温施工型アスファルト合材よりも貯蔵安定性を高めることができる。また、骨材周りのアルカリ性粉末とバインダに繊維質材料が混合されていることによって、バインダの被膜厚さを厚くすることができる。さらに、常温施工型アスファルト合材の表面に水和反応材(石膏または鉄鋼スラグなど)からなる表面被覆層が形成されていることによって、貯蔵中に合材同士が付着しないので、貯蔵安定性がより一層高くなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、常温施工型アスファルト合材の貯蔵安定性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る常温施工型アスファルト合材を示した模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る常温施工型アスファルト合材の製造過程を示した図であって、(a)は第一混合体を示した模式図、(b)は第二混合体を示した模式図、(c)は第三混合体を示した模式図、(d)は完成品を示した模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る常温施工型アスファルト合材の貯蔵状態を示した模式図である。
図4】本発明の実施形態に係る常温施工型アスファルト合材の施工状態を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る常温施工型アスファルト合材およびその製造方法について、添付図面を参照しつつ説明する。まずは、図1を参照しながら、常温施工型アスファルト合材の構成を説明する。
【0015】
図1に示すように、かかる常温施工型アスファルト合材1は、骨材2とバインダ層3と添加材層4と表面被覆層5とを備えている。
【0016】
骨材2は、粗骨材、細骨材、フィラーからなり、連続粒度を有するものが好ましいが、単粒度のものであってもよい。骨材2の粗骨材は、砕石、玉砕、砂利、鉄鋼スラグ等の公知のものである。その他、人口焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、エメリーなども使用することができる。骨材2の細骨材は、天然砂、人工砂、スクリーニングス等の公知のものである。骨材2のフィラーは、石灰岩やその他の岩石を粉砕した石粉、消石灰、セメント、回収ダストまたはフライアッシュ等を用いる。
【0017】
バインダ層3は、繊維質材料とアルカリ性粉末とバインダとを含有している。バインダ層3は、骨材2の周囲に形成されて、骨材2を被覆している。繊維質材料は、たとえばセルロースなどの植物繊維にて構成されている。なお、繊維質材料は、植物繊維に限定されるものではない。繊維質材料は、鉱物繊維など他のものであっても繊維長が長ければ適用することができる。アルカリ性粉末は、たとえば消石灰にて構成されている。アルカリ性粉末は消石灰に限定されるものではなく、セメントであってもよい。
【0018】
バインダ(接着剤)は、たとえば改質アスファルトにて構成されている。改質アスファルトは、たとえばSBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)樹脂などが添加されたアスファルトで、ポリマー改質アスファルトH型が好ましい。具体的には、改質アスファルトは、ストレートアスファルトに熱可塑性エラストマー、ゴムおよび熱可塑性樹脂のいずれかの各種改質材を加え、さらに可塑剤および安定剤のいずれかとプロセスオイルとを加えて構成されている。なお、バインダは、改質アスファルトに限定されるものではなく、天然アスファルトやブローンアスファルトなどの他のものであってもよい。
【0019】
添加材層4は、スピンドルオイルとダイマー酸を含んだ添加材4aからなる。添加材層4は、バインダ層3を囲んでバインダ層3の周囲に形成されている。添加材層4は、潤滑作用と硬化作用を得るために設けられている。添加材4aは、スピンドルオイルとダイマー酸と天然樹脂(ロジン)とを含む。前記各成分の配合比率(質量比率)は、40〜90:3〜20:10〜50である。ダイマー酸は、消石灰と鹸化反応を起こす。このような添加材4aは、従来の重油などのカットバック剤よりも揮発性が低い。なお、スピンドルオイルは、重油より揮発性の低い炭化水素系液状物であれば代用ができる。ダイマー酸は、アジピン酸、イソフタル酸やトール油脂肪酸などのカルボン酸類に代えてもよい。
【0020】
表面被覆層5は、石膏5a(水和反応材)にて構成されている。表面被覆層5は、添加材層4の周囲に形成されて、添加材層4を被覆している。石膏5aは、湿気や降雨または施工時に散布する水によって水和反応で硬化するものであって、施工後の初期強度および長期強度を向上させる役目を果たす。石膏5aは、中性であり、鹸化反応には使用されない。
【0021】
次に、図2を参照しながら、前記構成の常温施工型アスファルト合材の製造方法を説明する。かかる製造方法は、混合工程とバインダ被覆工程と添加材被覆工程と仕上工程とを備えている。
【0022】
図2の(a)に示すように、混合工程では、骨材2と植物繊維(繊維質材料)6と消石灰(アルカリ性粉末)7を混合して第一混合体11を形成する。骨材2と植物繊維6と消石灰7との配合比率(質量比率)は、80〜99:0.3〜0.8:0.5〜5である。混合工程では、骨材2と植物繊維6と消石灰7とが、均一な分布になるまで混合する。均一な分布は、混合時間を変化させて目視において確認する。混合時間は、混合機の能力で異なるが、通常のアスファルト混合物製造所では90〜150秒である。また、混合温度は100〜130℃程度となるように骨材の加熱温度を調整する。
【0023】
図2の(b)に示すように、バインダ被覆工程では、第一混合体11(図2の(a)参照)に、改質アスファルト(バインダ)を噴射した後に、これらを混合することで、第二混合体12を形成する。第一混合体11と改質アスファルトとの配合比率(質量比率)は、85〜96:4〜15である。本工程で、骨材2の周りにバインダ層3が形成される。バインダ層3は、繊維長が長い植物繊維6を含むことで、層厚さが大きくなる。また、本工程では、改質アスファルト(バインダ)を第一混合体11に噴射した後に、これらを混合することで改質アスファルトを第一混合体11の表面に均一に被覆することができる。本工程では、混合時間90〜150秒で、混合温度は100〜130℃程度である。
【0024】
図2の(c)に示すように、添加材被覆工程では、第二混合体12(図2の(b)参照)に、添加材4aを噴射した後に、これらを混合することで第三混合体13を形成する。第二混合体12と添加材4aとの配合比率(質量比率)は、90〜99:1〜10である。本工程で、バインダ層3の周りに添加材層4が形成される。本工程では、添加材4aを第二混合体12に噴射した後に、これらを混合することで添加材4aを第二混合体12の表面に均一に被覆することができる。本工程では、混合時間30〜90秒で、混合温度は100〜130℃程度である。
【0025】
図2の(d)に示すように、仕上工程では、第三混合体13に石膏5aを添加して混合することで、表面被覆層5が被覆された常温施工型アスファルト合材1(完成品)を形成する。第三混合体13に石膏5aとの配合比率(質量比率)は、90〜99:1〜10である。本工程では、混合時間30〜90秒で、混合温度は100〜130℃程度である。
【0026】
図3に本実施形態に係る常温施工型アスファルト合材1の貯蔵状態を示している。図3に示すように、常温施工型アスファルト合材1は、袋などに収容されており、圧縮されずにバインダ層3が押しつぶされていない状態となっている。常温施工型アスファルト合材1の周囲には、隙間が存在している。常温施工型アスファルト合材1は、植物繊維を添加したことで、バインダ層3が厚くなっており、施工前の常温施工型アスファルト合材1は、団粒化されている。つまり、バインダ層3の内方には、添加材4aと接触していない未反応の消石灰が多く存在しているとともに、バインダ層3が転圧されるまで、消石灰が添加材4aには接触し難くなっている。したがって、貯蔵安定性が高くなっている。
【0027】
また、バインダを混合する前に、混合工程において骨材2と植物繊維(繊維質材料)6と消石灰(アルカリ性粉末)7を均一に混合しているので、成分が偏ることなく、骨材2の周囲全体に亘って均一厚さのバインダ層3が形成される。したがって、貯蔵時における常温施工型アスファルト合材1間の隙間は大きくなるので、鹸化反応が起こり難い。したがって、貯蔵安定性が高くなる。
【0028】
また、本実施形態の常温施工型アスファルト合材1は、スピンドルオイルとダイマー酸を含んだ添加材4aを使用しているので、添加材4aの揮発性が低い。したがって、かかる常温施工型アスファルト合材1は、貯蔵中における物質の変化が少なく、貯蔵安定性が高くなっている。
【0029】
さらに、常温施工型アスファルト合材1の表面には、中性である石膏5aからなる表面被覆層5が形成されていることによって、貯蔵中に合材同士が反応しないので、貯蔵安定性がより一層高くなる。また、石膏5aは、施工時に散水することで、水との水和反応が起こる。これによって、速効性の初期強度発現が期待できる。
【0030】
図4に常温施工型アスファルト合材1を施工した後の状態を示している。常温施工型アスファルト合材1は、施工時に転圧されることで、骨材2を被覆しているバインダ層3が潰れて、常温施工型アスファルト合材1同士が一体化される。具体的には、転圧によって、添加材4aのダイマー酸と、バインダ層3内に位置していた未反応の消石灰のアルカリ成分とが接触して、鹸化反応が起こる。これによってバインダが硬化して接着層10が形成される。
【0031】
一方、転圧時には、バインダ層3が潰れて隣り合うバインダ層3と一体になるので、水溜りに施工する場合などでは、水をアスファルト内から容易に排除することができる。なお、図示しないが、接着層10には、若干の隙間が残っており、雨水などの水路が形成されている。雨水がアスファルト内を流れると、接着層10内に残存している未反応の石膏5aと雨水が接触して、水和反応が起こり、強度が大きくなる。
【0032】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。たとえば、前記実施形態では、表面被覆層5を構成する水和反応材を石膏5aで構成しているが、これに限定されるものではない。水和反応材として鉄鋼スラグを採用してもよい。この場合、施工時に散水することで、鉄鋼スラグと水との水和反応による遅行性の強度発現が期待できる。
【符号の説明】
【0033】
1 常温施工型アスファルト合材
2 骨材
3 バインダ層
4 添加材層
4a 添加材
5 表面被覆層
5a 石膏
6 植物繊維
7 消石灰
11 第一混合体
12 第二混合体
13 第三混合体
図1
図2
図3
図4