(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、ワイパ装置の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、車両の一部である車体10にウィンドシールドとしてのフロントガラス11が設けられている。車体10は、右フロントピラー10A及び左フロントピラー10Bと、ダッシュパネル10Cと、を備えている。ダッシュパネル10Cは、車体10の前後方向で右フロントピラー10A及び左フロントピラー10Bの前側を接続している。
【0016】
また、フロントガラス11は、車体10の左右方向で両側に位置する2つの側縁を備え、第1側縁は右フロントピラー10Aに支持され、第2側縁は左フロントピラー10Bに支持されている。さらに、フロントガラス11において車体10の前後方向で前方に位置する縁部は、ダッシュパネルにより支持されている。
【0017】
フロントガラス11を払拭するために2組のワイパ装置12,13が設けられている。2組のワイパ装置12,13は、車体10の幅方向、具体的には、
図1の左右方向に間隔をおいて配置されている。本実施の形態では、車体10の左右方向で運転席側にワイパ装置13が配置され、助手席側にワイパ装置12が配置されているものとする。
【0018】
ワイパ装置12,13は、それぞれ駆動部14及びワイパアーム15を備えている。ワイパ装置12,13の駆動部14は、共にダッシュパネル10Cに取り付けられている。2組のワイパ装置12,13は、基本的な構造が同じであるため、1組のワイパ装置12を説明する。ワイパアーム15の長さ方向における第1端部にホルダ15Cが取り付けられ、ホルダ15Cにワイパブレードが取り付けられている。ワイパブレードは、合成ゴムで一体成形されており、ワイパブレードがフロントガラス11の表面に接触する。
【0019】
駆動部14は、
図2及び
図3のように、ハウジング16と、ハウジング16内に収容されたブラシレスモータ17と、ハウジング16内に収容された減速機構18と、ハウジング16内に収容された制御基板19と、を備えている。ハウジング16は、金属製のギヤケース20と、ギヤケース20に固定された合成樹脂製のモータケース22と、ギヤケース20の開口部を覆う合成樹脂製のボトムカバー23と、を備えている。ギヤケース20は筒部96を有し、モータケース22は、筒部96に固定されている。
【0020】
ブラシレスモータ17は、ワイパアーム15に動力を伝達する動力源であり、ブラシレスモータ17は、モータケース22に対して回転不可能及び軸線A1方向に位置決め固定されたステータ24と、モータケース22内からギヤケース20内に亘って設けられたロータ25と、を有する。ロータ25は、回転軸26と、回転軸26と共に一体回転するロータコア27と、を備えている。ギヤケース20内には2個の軸受28,29が配置されており、回転軸26は2個の軸受28,29により回転可能に支持されている。
【0021】
また、回転軸26のうち、軸受28と軸受29との間に位置する箇所の外周面にウォーム30が形成されている。さらに、ギヤケース20内に環状のウォームホイール32が設けられており、ウォームホイール32は出力軸33と共に一体的に回動可能である。ウォームホイール32と出力軸33とは同心状に配置されており、ウォームホイール32の外周面に形成されたギヤ34が、ウォーム30に噛み合っている。ウォーム30及びギヤ34は、減速機構18を構成している。減速機構18は、ブラシレスモータ17の動力を出力軸33に伝達する場合に、回転軸26の回転速度に対して出力軸33の回転速度を低速にする。軸線B1は、出力軸33の回転中心である。軸線B1は、
図4及び
図5のように、垂直線(図示せず)に対して傾斜している。
【0022】
出力軸33は、ギヤケース20の内部から外部に亘って配置されており、出力軸33のうちギヤケース20の外に配置された箇所にワイパアーム15が取り付けられている。
図6のように、ギヤケース20から突出した支持筒20Aが設けられており、出力軸33は支持筒20Aにより回転可能に支持されている。出力軸33の先端に雄ねじが設けられており、ナット47を締め付けてワイパアーム15が固定されている。
【0023】
制御基板19は、駆動部14の側面視で軸線A1と平行に配置されている。制御基板19は、軸線B1方向で回転軸26とボトムカバー23との間に配置されている。制御基板19に電気部品、例えば、コントローラ、インバータ回路等が設けられている。
【0024】
コントローラは、ブラシレスモータ17を制御するプログラム、データ、演算式を記憶している。コントローラは、入力される信号を処理して回転軸26の実際の回転速度を検出し、かつ、制御する。
【0025】
ギヤケース20は、
図2及び
図3のようにソケット38を備え、ソケット38に端子が設けられており、端子はインバータ回路に接続されている。ソケット38に、コネクタが接続され、車体10に設けられた電源の電流をコイルに供給できる。ギヤケース20は、駆動部14を車体10に取り付ける複数の固定部、具体的には、3個の固定部39,40,41を備えている。固定部39,40,41は、ギヤケース20に連続して設けられている。
【0026】
駆動部14を平面視した
図2及び
図3において、固定部39は、ギヤケース20から軸線A1に対して交差する方向に突出し、固定部40は、ギヤケース20から軸線A1に対して交差する方向に突出し、固定部41は、ギヤケース20から軸線A1に沿った方向に突出している。固定部39と固定部40とは、軸線A1を隔てて逆向きに突出されている。
【0027】
また、軸線A1を隔てた一方に固定部39が配置され、他方に固定部40,41が配置されている。固定部39,41に環状のマウントラバー43が取り付けられ、固定部40にマウントラバー31が取り付けられている。一方、車体10にブラケット45が3個設けられており、本実施例においては、2つの固定部39,41は、ボルト46を締め付けてブラケット45にそれぞれ固定され、固定部40はマウントラバーを介してブラケット45により支持されている。
【0028】
また、
図1のように、ワイパ装置12の駆動部14と、ワイパ装置13の駆動部14とは、車体10の幅方向に間隔をおいて配置されている。ワイパ装置12とワイパ装置13とを比べると、駆動部14を車体10に取り付ける向きが、互いに異なる。ワイパ装置12の駆動部14が車体10に取り付けられた状態で、固定部39,40,41のうち、固定部40は、車体10の前後方向で固定部39,41よりも後方に配置される。これに対して、ワイパ装置13の駆動部14が車体10に取り付けられた状態で、固定部39,40,41のうち、固定部39は、車体10の前後方向で固定部40,41よりも後方に配置される。
【0029】
図2及び
図3においては、便宜上、軸線A1が、ダッシュパネル10Cに対して、車体10の左右方向に配置されている例を示す。そして、ダッシュパネル10Cに、エアコンディショナー用のダクト70が設けられている。ダクト70は、車体10の前後方向で、モータケース22及び出力軸33よりも後方に配置され、かつ、車体10の左右方向で、固定部40と左フロントピラー10Bとの間に配置されている。
【0030】
また、
図7及び
図8のように、支持筒20Aの外周面とギヤケース20の外面とを接続するリブ53が設けられている。リブ53は、軸線B1を中心として放射状に複数個、
図8及び
図9では8個配置されている。リブ53は、支持筒20Aを補強する要素である。リブ53同士は45度間隔で配置されている。
【0031】
次に、ワイパ装置12の作用を説明する。乗員がワイパスイッチをオンにすると、その信号がコントローラへ送られてインバータ回路がオンオフされ、ステータ24のコイルへ電流が流れるとともに、コイルへ流れる電流の向きが切り替えられて、ブラシレスモータ17のロータ25が正回転する作用と、逆回転する作用とを交互に繰り返し、かつ、ロータ25の回転角度が制御される。また、コイルに流れる電流値を制御することにより、ロータ25の回転速度が制御される。ロータ25の回転軸26のトルクは、減速機構18及びウォームホイール32を介して出力軸33に伝達される。その結果、ワイパアーム15は、出力軸33を動作中心として所定の角度範囲内で揺動、つまり、往復動作し、フロントガラス11の表面がワイパブレードにより払拭される。
【0032】
コントローラは、回転軸26の回転速度を検出し、インバータ回路のスイッチング素子をオンオフするタイミングを制御する。したがって、ワイパアーム15の動作速度が制御される。また、コントローラは、ワイパアーム15の動作位置を検出し、検出結果に基づいて回転軸26の回転角度及び回転方向を制御する。したがって、ワイパアーム15の動作角度、ワイパアーム15の動作方向が制御される。ワイパ装置13の作用は、ワイパ装置12の作用と同じである。
【0033】
本実施の形態において、2本のワイパアーム15同士を互いに区別するため、ワイパ装置12のワイパアーム15をワイパアーム15Aと記載し、ワイパ装置13のワイパアーム15をワイパアーム15Bと記載することがある。
【0034】
また、ワイパアーム15Aが、右フロントピラー10Aに近づく向きで動作し、ワイパアーム15Bが、左フロントピラー10Bに近づく向きで動作する場合、ワイパアーム15Bが先行して動作し、その後方をワイパアーム15Aが動作する。さらに、ワイパアーム15Aが右フロントピラー10Aから離れる向きで動作し、かつ、ワイパアーム15Bが左フロントピラー10Bから離れる向きで動作する場合、ワイパアーム15Aが先行して動作し、その後方をワイパアーム15Bが動作する。このように、ワイパアーム15Aとワイパアーム15Bとが同期して動作し、かつ、互いに接触しないように動作する。
【0035】
さらに、ワイパアーム15Aとワイパアーム15Bとを比べると、フロントガラス11を払拭する箇所、軸線B1を中心とする制御角度、動作速度が異なる。ワイパアーム15A,15Bの制御角度は、コントローラの制御により設定される動作範囲を意味する。このため、ワイパ装置12の駆動部14のコントローラに記憶されているプログラムと、ワイパ装置13の駆動部14のコントローラに記憶されているプログラムと、が互いに異なる。
【0036】
ワイパアーム15A,15Bの動作範囲は、右フロントピラー10Aに最も近づいた上反転位置と、右フロントピラー10Aから離れた下反転位置との間に設定される。ワイパアーム15の動作範囲は、コントローラがブラシレスモータ17の回転軸26の回転角度及び回転方向を制御することで達成される。ワイパ装置12,13は、ワイパアーム15の動作範囲をコントローラでそれぞれ制御することに加え、ワイパアーム15の動作範囲の最大値を機械的に制限するストッパ機構を備えている。ストッパ機構は、ワイパアーム15の動作範囲が、コントローラの制御により設定される角度を超えてオーバーランした場合に、そのオーバーラン量を制限するものである。
【0037】
以下、ストッパ機構を説明する。
図7及び
図8のように、8個のリブ53のうち、車体10の前後方向で、最も前方に位置するリブ53は、ボス部71を介して支持筒20Aに連続されている。また、車体10の前後方向で、最も後方に位置するリブ53は、ボス部72を介して支持筒20Aに連続されている。ボス部71,72は、支持筒20Aの円周方向における厚さが、リブ53の厚さよりも大きいか等しく設定されている。ボス部71,72は、支持筒20Aの円周方向で180度の間隔で配置されている。
【0038】
また、軸線B1方向において、ボス部71,72の上端にストッパ73がそれぞれ設けられている。ストッパ73は、支持筒20Aの円周方向で、ストッパ73の両側面に形成した凹部74と、支持筒20Aの径方向で凹部74の外側に形成した凸部75と、軸線B1方向で凹部74の下面を形成する段部76と、を有する。
【0039】
一方、
図6、
図9及び
図10のように、出力軸33に環状の規制部材50が固定されている。規制部材50は金属製であり、規制部材50及びワイパアーム15は、出力軸33と共に一体回転する。規制部材50は、軸線B1に沿った方向でワイパアーム15とギヤケース20との間に配置されており、規制部材50は、円筒部50Aと、円筒部50Aから外側に向けて拡径されたスカート部50Bと、スカート部50Bの外周端に設けた係合部77,78,79,80と、を有する。円筒部50Aは、外側からカシメられて出力軸33の外周面に取り付けられている。出力軸33の外周面において、円筒部50Aが接触する箇所には凹凸が形成されており、円筒部50Aと出力軸33とがセレーション結合されている。4個の係合部77,78,79,80は、出力軸33の周りに間隔をおいて配置されている。また、スカート部50Bの外周に切り欠き50Cが2個設けられている。
【0040】
係合部77,78が近接して配置され、係合部79,80が近接して配置されている。係合部77,78と、係合部79,80とは、出力軸33の周りに180度の間隔をおいて配置されている。係合部77,78,79,80は、出力軸33の径方向で外側に向けて延ばされた第1部位と、その部位から軸線B1方向でギヤケース20に近づく向きに延ばされた第2部位と、を有する。軸線B1方向で、係合部77,78,79,80の第2部位の下端は、ストッパ73の上端よりも下に位置する。
【0041】
そして、ワイパアーム15Aが所定の作動範囲を超えると、規制部材50の係合部77がボス部71のストッパ73(73A)に接触し、かつ、係合部79がボス部72のストッパ73(73B)に接触するワイパアーム15Aの下限位置と、係合部78がストッパ73Bに接触し、かつ、係合部80がストッパ73Bに接触するワイパアーム15Aの上限位置と、の範囲内で、ワイパアーム15Aの動作が機械的に規制される。係合部77,78,79,80がストッパ73(73A,73B)に接触して決定されるワイパアーム15Aの動作範囲は、コントローラにより設定されるワイパアーム15Aの電気的な制御範囲よりも広い。
【0042】
係合部77,78,79,80がストッパ73に接触する場合、係合部77,78,79,80は、出力軸33の径方向で凹部74が配置された範囲内で接触する。つまり、係合部77,78,79,80は、出力軸33の径方向で、凸部75よりも内側でストッパ73に接触する。このため係合部77,78,79,80がストッパに接触した場合に、係合部77,78,79,80を、出力軸33の径方向で外側に向けて広げようとする向きの力が作用しても、係合部77,78,79,80が凸部75に接触する。したがって、係合部77,78,79,80が、出力軸33の径方向で外側に向けて広がることを防止できる。
【0043】
また、
図2〜
図6のように、ピボットキャップ81が出力軸33に取り付け、つまり、装着されており、ピボットキャップ81は、出力軸33と共に一体回転する。ピボットキャップ81は合成樹脂、金属により一体成形されている。ピボットキャップ81は、軸線B1方向で、ギヤケース20とワイパアーム15との間に配置されている。ピボットキャップ81は、水を回収する容器であり、ピボットキャップ81は、出力軸33が嵌め込まれる第1筒部82と、第1筒部82の外側に連続して配置され、かつ、第1筒部82の外径よりも大きな内径を有する第2筒部83と、を有する。第1筒部82は、軸線B1方向でワイパアーム15と規制部材50との間で、出力軸33に嵌合されている。第2筒部83は、軸線B1方向で、第1筒部82とギヤケース20との間に配置されている。
【0044】
また、ピボットキャップ81は、
図6のように、第2筒部83から外側に向けて張り出した環状のフランジ84と、フランジ84の外周端に連続した第3筒部85と、を有する。第3筒部85の内径は、支持筒20Aの上端の外径よりも大きく、第3筒部85は、フランジ84の外周端からギヤケース20に近づく向きで延ばされている。第3筒部85は、支持筒20Aの外側を囲むように略円筒状に形成されている。
【0045】
ピボットキャップ81は、第3筒部85におけるギヤケース20に最も近い端部から外側に向けて張り出した環状の底部86と、環状の底部86の外周に連続して形成された外周壁87と、を有する。フランジ84、第3筒部85、底部86、外周壁87は、出力軸33の径方向で、規制部材50よりも外側に配置されている。また、軸線B1方向で、第2筒部83及びフランジ84の配置領域は、規制部材50の配置領域と重なる。
【0046】
外周壁87は、底部86の外周のうち270度の範囲に亘って円弧状に形成されている。出力軸33の回動方向で、外周壁87の両端の間、つまり、90度の範囲に排水口(排水部)88が設けられている。外周壁87は、底部86の外周端から、ギヤケース20から離れる向きで軸線B1方向に延ばされている。そして、第3筒部85と外周壁87との間に貯水部(貯留部)89が形成されている。出力軸33の回動方向で、貯留部89が配置されている部分と、排水口88が配置されている部分とは異なる。軸線A1方向で、ピボットキャップ81の配置範囲は、固定部41とモータケース22との間、より具体的に説明すると、固定部41とソケット38との間に配置されている。
【0047】
ピボットキャップ81を出力軸33に取り付けた構造を、
図11を参照して説明する。
図11のように、フランジ84の内面に、出力軸33を隔てた180度の位置にリブ92が設けられている。リブ92は、出力軸33の径方向に延ばされており、リブ92の内端が切り欠き50Cに配置されている。つまり、リブ92と規制部材50とが係合して、出力軸33の回動方向における係合力が発生する。規制部材50とピボットキャップ81とが相対回転することを、リブ92と規制部材50との係合力で防止する。
【0048】
次に、ワイパアーム15の位置と、出力軸33の回転方向における排水口88の位置と、ダクト70と位置との関係を説明する。ダクト70は、ワイパアーム15の位置に関わりなく、出力軸33の回動方向で、固定部40とモータケース22との間のうち、狭い方の角度範囲、つまり、90度の範囲内に位置する。
【0049】
一方、ワイパアーム15が下反転位置の下側に設けられた格納位置を越えると、
図7に示す係合部77がストッパ73Aに接触し、かつ、係合部79はストッパ73Bに接触し、ワイパアーム15が下限位置で瞬間的に停止する。ワイパアーム15が下限位置にある場合は、排水口88は出力軸33の回転方向で、固定部40と固定部41との間、つまり、軸線B1を中心とする90度の範囲内に位置する。また、ダクト70は、出力軸33の回転方向で、外周壁87が位置する270度の範囲内に位置する。
【0050】
そして、
図4のように、軸線B1は垂直線に対して傾斜しているため、雨水などが出力軸33の上から流れてくるか、または落下してくると、その水はピボットキャップ81の貯水部89に溜まる。また、貯水部89の貯水量を超えて水が溜まると、オーバーフロー分の水は、排水口88からピボットキャップ81の外側へ排水される。排水口88は、出力軸33の回転方向で、ダクト70が配置されている範囲外に位置し、かつ、車体の高さ方向で排水口88の高さは、ダクト70の高さよりも下であるため、排水口88から排出された水が、ダクト70に浸入することを防止できる。
【0051】
その後、
図2で出力軸33が反時計回りに回動すると、ワイパアーム15が下反転位置または下限位置から上反転位置に向けて動作する。この動作中、ピボットキャップ81は出力軸33と共に
図2で反時計回りに回動し、排水口88は下方へ向けて移動する。このため、ピボットキャップ81の貯水部89に溜まっている水は、出力軸33の回動に伴い排水口88からピボットキャップ81の外側へ排水される。
【0052】
そして、ワイパアーム15が上反転位置に到達すると、出力軸33が
図3で時計回りに回動し、ワイパアーム15は下反転位置に向けて動作する。ワイパアーム15が上反転位置を越えた場合、
図8に示す係合部78はストッパ73Bに接触し、かつ、係合部80はストッパ73Aに接触し、ワイパアーム15が上限位置で瞬間的に停止し、下反転位置へ向けて動作する。ワイパアーム15が上限位置に到達した時点において、
図3のように、排水口88は出力軸33の回転方向で、固定部41の配置範囲を含む範囲、つまり、軸線B1を中心とする90度の範囲内に位置する。また、ダクト70は、出力軸33の回転方向で、外周壁87が位置する270度の範囲内に位置する。
【0053】
このため、ワイパアーム15が下反転位置から上反転位置に動作する間は勿論のこと、仮に、ワイパアーム15が上反転位置を越えて上限位置に到達した場合でも、ピボットキャップ81の貯水部89に溜まった水は、排水口88からピボットキャップ81の外側へ排水され、その水がダクト70に浸入することを防止できる。
【0054】
次に、ギヤケース20とモータケース22との組み付け構造例を、
図12を参照して説明する。モータケース22は、筒部22Aと、筒部22Aの開口端に設けたフランジ22Bと、を有する。ギヤケース20はフランジ20Bを有し、フランジ20Bに雌ねじ孔20Cが設けられている。ステータ24は、コイルを巻く環状のインシュレータ24Aを有し、インシュレータ24Aの外周面に平坦な面取り部24Cが施されている。面取り部24Cは、回転軸26の回転方向に、60度間隔で6箇所に設けられている。
【0055】
ステータ24は、複数本、具体的には、2本のねじ部材94を締め付けてギヤケース20に固定されている。プレート93により、ステータ24が軸線A1方向に位置決めされ、かつ、モータケース22に対して回転不可能に固定されている。2本のねじ部材94は、回転軸26の径方向で、2箇所の面取り部24Cの外側に配置されている。ねじ部材94は、回転軸26の回転方向で、180度間隔で配置されている。そして、モータケース22は、複数本、具体的には2本のねじ部材95を締め付けてフランジ20Bに固定されている。ねじ部材95は雌ねじ孔20Cにねじ込まれている。ねじ部材94とねじ部材95とは、回転軸26の回転方向で異なる位置に配置されている。
【0056】
図12のように、ステータ24を構成するインシュレータ24Aに面取り部24Cが設けられ、面取り部24Cの外側にねじ部材94が設けられている。このため、モータケース22が、回転軸26の径方向に大型化することを抑制できる。したがって、駆動部の車載性が向上する。
【0057】
さらに、ギヤケース20とモータケース22との組み付け構造例を、
図13を参照して説明する。ギヤケース20は、モータケース22に固定される筒部96を有し、筒部96の外周面に、環状のリブ97が設けられている。モータケース22は、筒部22Aの開口端に連続した補助筒部22Dを有する。補助筒部22Dは、軸線A1を中心とする径方向で、筒部96の先端96Aの外側及びリブ97の外側に亘って配置されている。
【0058】
補助筒部22Dは、筒部22Aの内周面22Eの内径よりも大きい内径を有する第1内周面22Fと、第1内周面22Fよりも内径が大きい第2内周面22Gと、内周面22Eと第1内周面22Fとを連続した環状の端面22Hと、第1内周面22Fと第2内周面22Gとを連続した環状の端面22Jと、を有する。
【0059】
筒部96及びリブ97と、筒部22A及び補助筒部22Dとの間に、隙間C1が形成されている。軸線A1に沿った方向の平面断面視で、隙間C1はクランク形状に屈曲している。つまり、モータケース22の外部及びギヤケース20の外部の異物が、モータケース22の内部及びギヤケース20の内部に侵入することを抑制する。さらに、筒部96の先端96Aの外周面96Bに、合成ゴム、例えば、ブチルゴムが塗布されている。隙間C1は、モータケース22の内部及びギヤケース20の内部と、モータケース22の外部及びギヤケース20の外部との間に形成したラビリンスシールの役割を果たすとともに、合成ゴム(ブチルゴム)が塗布されることによるシール性も向上させることができる。ギヤケース20の筒部96に、ブチルゴムをフランジに設けずに済み、筒部96の外径が大きくなることを抑制できる。したがって、駆動部14の車載性が向上する。
【0060】
次に、実施形態請求項説明した要素の意味を説明すると、ワイパ部材は、ワイパアーム15を含み、排水部は、ピボットキャップ81を含み、第1係合部は、リブ92を含み、第2係合部は、切り欠き50Cを含み、防水必要部は、ダクト70を含む。
【0061】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、ワイパ装置は、ワイパアーム15が出力軸33を支点として回動する構成の他、ワイパアーム15が出力軸33に対してリンク機構を介して連結されている構造を含む。また、支持軸の回転方向において、規制部材の係合部の幅は、ワイパアームの上反転位置と下反転位置とにより決定される制御角度に応じて任意に変更可能である。さらに、下限位置と上限位置とにより定まる動作可能角度を変更しても、係合部及びストッパの強度は変化しない。ストッパ73は、支持筒20Aを補強するリブ53を利用して設けられているため、ギヤケース20の形状及び構造が複雑化することを抑制できる。駆動部のモータは、電動モータ、具体的には、ブラシレスモータ及びブラシ付きモータを含む。防水必要部は、開口部、電線、通気口、排気口、電気部品、電子部品を含む。