(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6531066
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20190531BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20190531BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20190531BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20190531BHJP
F21Y 105/18 20160101ALN20190531BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20190531BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20190531BHJP
【FI】
F21S2/00 100
F21S8/04 100
F21V19/00 170
F21V19/00 150
H01L33/00 H
H01L33/00 L
F21Y105:18
F21Y113:10
F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-97572(P2016-97572)
(22)【出願日】2016年5月16日
(65)【公開番号】特開2017-208158(P2017-208158A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2018年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 諒
(72)【発明者】
【氏名】丸山 孝享
(72)【発明者】
【氏名】高木 弘晃
【審査官】
山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−156265(JP,A)
【文献】
特開2014−093344(JP,A)
【文献】
特開2010−027449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00 − 19/00
F21V 19/00 − 19/06
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色光を発光する赤色LEDと、青色光を発光する青色LEDと、電球色光を発光する電球色LEDと、昼光色光を発光する昼光色LEDとを備えた光源基板とを有し、
前記赤色LEDからの前記赤色光と前記青色LEDからの前記青色光のみで、前記電球色LEDと前記昼光色LEDのみを発光させた場合の発光スペクトルでの谷部と傾斜部を補完することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記赤色光を発光するLEDのピーク波長は610nm〜750nm、
前記青色光を発光するLEDのピーク波長は470nm〜500nm、
前記電球色光を発光するLEDのピーク波長は550nm〜650nm、
前記昼光色光を発光するLEDのピーク波長は430nm〜460nmとすることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の照明装置において、
前記光源基板には、赤色LEDと青色LEDと電球色LEDと昼光色LEDが環状に配列され、
前記電球色LEDと前記昼光色LEDの個数は1:2の比率で光源基板に配置され、環状に複数列配列され、
前記赤色LEDと前記青色LEDが同一環状に交互に配列され、
前記赤色LEDと前記青色LEDは、前記電球色LEDと前記昼光色LEDが配列されている複数列のうち中央とは異なる位置に配列されていることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の照明装置において、
前記光源基板を覆う透光カバーは、拡散材を配合した部材から成り、外観は乳白色であることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の照明装置において、
光源部を発光するための電力供給や、発光に係る制御、例えば点灯、消灯、電流値の調整を行うための電源基板を備えることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)を光源とする照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来光源である白熱灯や蛍光灯に代わる光源として白色LEDを用いた照明装置(例えば、シーリングライトやLED電球)が普及しつつある。白色LEDは従来光源に比べ、低消費電力かつ高寿命である。一方で、一般的な白色LEDは、その特性上470nm〜500nmの波長の放射強度と610nm以上の波長の放射強度が不足しているため、物体の色の見え方に影響する光源の性質である演色性が乏しい。
【0003】
このため、LEDを光源とする照明装置では、物体の色の再現度が低く、演色性を高めるための工夫が必要となる。そのための従来技術として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、異なる波長のLEDとして電球色、昼光色の他に異なる波長のLEDを3種類以上搭載し、演色性を高めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-058394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、高演色性を実現するために電球色、昼光色の他に異なる波長のLEDを3種類以上搭載しており、コスト増大の原因となる恐れがある。本発明は、低コストかつ演色性の高い照明装置の提供を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、赤色光を発光する赤色LEDと、青色光を発光する青色LEDと、電球色光を発光する電球色LEDと、昼光色光を発光する昼光色LEDとを備えた光源基板とを有
し、前記赤色LEDからの前記赤色光と前記青色LEDからの前記青色光のみで、前記電球色LEDと前記昼光色LEDのみを発光させた場合の発光スペクトルでの谷部と傾斜部を補完することを特徴とする。
【0007】
更に、上記異なる波長のLEDとは、ピーク波長610nm〜750nmの赤色光を発光するものと、ピーク波長470nm〜500nmの青色光を発光するものと、ピーク波長550nm〜650nmの電球色光を発光するものと、ピーク波長430〜460nmの昼光色光を発光するものとを特徴とする。
【0008】
更に、前記赤色光を発光するLEDと前記青色光を発光するLEDの個数比率は1:1とし、赤色光を発光するLEDと青色光を発光するLEDは交互に配置するものとし、その配置形状は環状とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、上記の異なる波長のLEDを複数有することで、低コストかつ演色性の高い照明装置を提供することができる。
【0010】
一般的なLED照明装置に搭載される、電球色光を発光するLEDと、昼光色光を発光するLEDの他に、ピーク波長610nm〜750nmの赤色光を発光するLEDと、ピーク波長470nm〜500nmの青色光を発光するLEDとを追加することで、発光スペクトルが弱い波長の部分を補完し、演色性を高めることができる。
【0011】
さらに、赤色光を発光するLEDと、青色光を発光するLEDとの個数比率を1:1とし、交互に配置にすることで、色が混ざり、透光カバーを通して照射される光の色が、赤色光や青色光ではなく、電球色光と昼光色光のみを発光させる照明装置の照射光の色と同等になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】電球色LEDと昼光色LEDのみを照射した場合の発光スペクトル図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る照明装置の全体の構造を
図1に示す。
図1は本発明の実施例に係る照明装置の構成展開図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施例に係る照明装置100は、LEDを有した発光部である光源基板1と、LEDから発光される光を他方向に広げるためのレンズ2eを備えたLEDカバー2と、光を拡散するための透光カバー3と、光源基板1から発生する熱を放熱するための放熱板4と、制御装置を備えた電源基板5と、電源基板5を納めるための絶縁板6と、電源基板5と絶縁板6とを取り囲むためのバックボーン7とで構成される。
【0015】
(配置)
光源基板1は、放熱板4の前面部4aに光源基板1の底面部が密着するようにしてねじ止めされている。バックボーン7の中央に位置する穴と絶縁板6の中央に位置する円筒部が一致するようにして、バックボーン7に絶縁板6が取り付けられる。絶縁板6の前面部には電源基板5の略弧形状と絶縁板6の略弧形状を合わせるようにし、さらに電源基板5の底面部側が絶縁板6の前面部6aと向かい合うようにして、絶縁板6を挟むように電源基板5がバックボーン7にねじ止めされている。
【0016】
バックボーン7は、放熱板4の周囲底面部とバックボーン7の縁7cの前面部側とが合わさるように、放熱板4にねじ止めされている。LEDカバー2は光源基板1を覆うように被さり、放熱板4の前面側にねじ止めされている。さらに、光源基板1とLEDカバー2を覆うように、透光カバー3が受具4eに取り付けられている。
【0017】
(光源基板)
図2は、光源基板1の斜視図である。光源基板1は、
図2に示すように、略環形状を成している。光源基板1の外周部には外周外側に向かってコネクタ接続部の突起1aを有する。光源基板1の中央部には円状の穴を有する。光源基板1の前面部1bには環状に一定間隔を有してLEDが配置される。光源基板1の中央部の円状の穴の外周部には、点対称の位置に2箇所、ねじ穴を避けるための半円状の切抜部1cを有する。しかし、切抜部1cの数や位置に関してはこれに限らない。
【0018】
光源基板に配置されるLEDは、電球色LED1dと、昼光色LED1eと、赤色LED1fと、青色LED1gと、である。電球色LED 1dと昼光色LED 1eの個数は1:2の比率で光源基板1に配置され、環状に複数列配列される。電球色LED1dと、昼光色LED1eとでは、蛍光体の変換効率の差や人の目の比視感度の影響で、昼光色LEDの方が発光効率が高い。電球色LED 1dと昼光色LED 1eの個数は1:2の比率で配置することで、照明装置100の発光効率を向上させることができる。さらに、環状にLEDを複数列配列することで、照射する光を効率良く広範囲に広げることができる。また、赤色LED 1fと青色LED 1gは、同一環上に交互に配列され、その個数比率は1:1とする。赤色LED1fと青色LED1gの個数比率を1:1とすることで、発光波長の大きく異なる赤色光と青色光を容易に混色させることができ、透光カバー3に照射される色ムラを低減することができる。
【0019】
図4は、発光スペクトルを示しており、点線は電球色LED1dと昼白色LED1eのみを点灯した場合、実線は赤色LED1fと青色LED1gを追加点灯させた場合を示す。
図4に示すように、電球色LED 1dと昼白色 1eのみ発光させた場合の発光スペクトルでは、谷部9aと傾斜部9bにおける光強度が低いが、赤色LED1fと青色LED1gを搭載することで谷部9aと傾斜部9bを補完することができ、高い演色性を実現する。
【0020】
(LEDカバー)
LEDカバー2は、透明な樹脂から成り、略環形状を成しており、放熱板4とのねじ止め時に干渉しないだけの高さがある側面部2aと、側面部2aの一端に前面部2bを有しており、側面部2aと前面部2bとで囲まれる空間Vを有した構造になっている。前面部2bの中央部には円状の穴を有する。穴の外周部より外側にLEDカバー2を固定するための複数のねじ穴(図示なし)を有する。側面部2aには光源基板1のコネクタ接続部の突起1aの形状に沿った形状の突起形状2cとを有する。放熱板4とLEDカバー2とをねじ止めするためのねじ穴部(図示なし)を複数有した羽形状の突起部2dが、前面部2bがある側面部2aの端部とは他の端部に、等間隔で複数配置されている。また、前面部2bには光源からの光を多方向に広げるためのレンズ2eを複数有する。レンズ2eは、LED光源に対してレンズ機能を持った凸形状部のレンズであり、指向性の高い光源であるLEDから発光する光を多方向に広げることができる。レンズ2eは光源基板1のLED配置と同様に環状に一定間隔を有して、配置されている。しかし、レンズ2eの間隔に関してはこれに限らず、LED配置と同様であれば良い。
【0021】
(透光カバー)
透光カバー3は、拡散材を配合した部材から成り、外観は乳白色であり、その形状はバルーン状になっている。その内部には空間があり、前面部3aに対して逆側の端部には略円状の穴を有しており、その端部には穴の内側へ向かって、受具4eとの接合を行うための突起(図示なし)を複数有している。透光カバー3は、LEDから照射され、LEDカバー2を通った光を拡散させ、広範囲を照射することができる。
【0022】
(放熱板)
図3は、放熱板4の斜視図である。放熱板4は、板金の成型部品で、略環形状を成しており、中央部には円状の穴を有する。また、前面部4aと周囲前面部4bと、前面部4aの外周側の端部と周囲前面部4bの内周側の端部との間に斜面部4cと、周囲前面部4bの外周側の端部には、その周囲に沿って前面部4a側に壁状の突起4dとを有している。前面部4aには、光源基板1やLEDカバー2をねじ止めする複数のねじ穴4eと、周囲前面部4bにはLEDカバー2とバックボーン7をねじ止めするねじ穴4fと、受具4gを取り付けるための穴4hとを有している。放熱板4は、LEDから発生し基板(主に光源基板1)に伝わる熱を放熱することで、基板を冷却し、LEDの発光効率を上げることができる。さらに、白色で塗装されており、光を反射し易くなっており、光取り出し効率を向上させることができる。
【0023】
(電源基板)
電源基板5は、長方形の長辺側一辺が略弧状になった形状をしている。
【0024】
電源基板5は、照明装置の駆動にあたり、主たる制御装置で、光源部を発光するための電力供給や、発光に係る制御、例えば点灯、消灯、電流値の調整を行う。
【0025】
(絶縁板)
絶縁板6は、長方形の両端が各々の弧の大きさは異なる略弧状を有した形状になっており、前面部6aを有し、前面部6a端部外周に沿って壁状の突起を前面部6a側に有し、中央に円形の穴部を有し、前記穴部の一端から前面部6a側方向に円筒部6bを有している。さらに、前面部6aと円筒部6bとの間には斜面部6cを有している。
【0026】
絶縁板6は電源基板5を納めるための部品で、バックボーン7と電源基板5との接触を防ぎ、電気的に絶縁するための部材で、電源基板1からの漏電による感電等を防ぐ。
【0027】
(バックボーン)
バックボーン7は、板金の成型部品で、略環形状を成しており、中央部には円状の穴を有する。また、前面部7aを有し、前面部7aの端部に壁状の突起7bを前面部7a方向に有し、壁状の突起7bの外周に沿って縁7cを有する。
【0028】
バックボーン7は、電源基板5と絶縁板6とを取り囲む。さらに、設置面(主に天井)との接続のための円状の穴を中央部に有し、前記穴部にアダプタ8を取り付けることで天井などの設置面に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0029】
1…光源基板
1a…光源基板外周部の突起部
1b…光源基板前面部
1c…光源基板の切抜部
1d…電球色LED
1e…昼光色LED
1f…赤色LED
1g…青色LED
2…LEDカバー
2a…LEDカバー側面部
2b…LEDカバー前面部
2c…LEDカバー側面部の突起部
2d…羽形状の突起部
2e…レンズ
3…透光カバー
3a…透光カバー前面部
4…放熱板
4a…放熱板前面部
4b…放熱板周囲前面部
4c…放熱板斜面部
4d…放熱板の壁状突起部
4e…放熱板前面部のねじ穴
4f…放熱板周囲前面部のねじ穴
4g…受具
4h…受具取り付け穴
5…電源基板
6…絶縁板
6a…絶縁板前面部
6b…絶縁板円筒部
6c…絶縁板斜面部
7…バックボーン
7a…バックボーン前面部
7b…バックボーンの壁状突起
7c…縁
8…アダプタ
9a…発光スペクトルの谷部
9b…発光スペクトルの傾斜部