(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1セットの運転ルールは1つ又は複数の交通ルール、ルートルール及び乗り心地ルールを含み、且つ前記第2セットの運転ルールは1つ又は複数の衝突回避ルール及び傷害又は死亡防止ルールを含む
ことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、説明の詳細を参照しながら、本発明の様々な実施形態及び方法を説明し、図面は、前記様々な実施形態を示す。以下の説明及び図面は、本出願を説明するためのものであり、本出願を限定するものではない。本出願の様々な実施形態を完全に把握するために、多数の特定の詳細を説明する。なお、いくつかの例では、本発明の実施形態に対する簡単な説明を提供するために、周知又は従来技術の詳細について説明していない。
【0010】
本明細書では「一つの実施形態」又は「実施形態」とは、当該実施形態について組み合わせて説明された特定特徴、構造又は特性が、本出願の少なくとも一つの実施形態に含まれてもよい。語句「一つの実施形態では」は、本明細書全体において同一実施形態を指すとは限らない。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、緊急処理イベントに応答して補助又は緊急決定システムを用いて自律走行制御メカニズムを提供するシステム及び方法を説明する。例えば、ハードウェア又はソフトウェアに故障が発生する等の場合で、自律走行制御システムの適切な機能が失われる可能性がある。従って、いくつかの実施形態では、システムは緊急(又は補助又は予備)決定システムに切り替えて、自律走行制御機能を継続して提供することができる。また、いくつかの実施形態では、緊急決定システムはルール及び/又は決定アルゴリズムに切り替え可能であり、前記ルール及び/又は決定アルゴリズムは緊急処理イベントに応答して衝突回避、或いは傷害又は死亡防止のような他の安全上の問題を優先的に考慮する。一実施形態では、緊急決定システムは1つ又は複数の余分な制御部材を含む緊急処理システムの一部であってもよい。従って、主システムを含んでもよい場合、緊急処理システムは連続的な自律制御を提供することができる。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る自律走行車のネットワーク配置100を示すブロック図である。
図1を参照して、ネットワーク配置100はネットワーク102によって1つ以上のサーバ103〜104に通信可能に接続することができる自律走行車101を含む。1つの自律走行車を示すが、ネットワーク102によって複数の自律走行車は互いに接続され、及び/又はサーバ103〜104に接続されることができる。ネットワーク102は、任意のタイプのネットワーク、例えば有線又は無線のローカルエリアネットワーク(LAN)、例えばインターネット、セルラーネットワーク、衛星ネットワークの広域ネットワーク(WAN)又はその組み合わせであってもよい。サーバ103〜104は任意のタイプのサーバ又はサーバクラスタ、例えばWebサーバ又はクラウドサーバ、アプリケーションサーバ、バックエンドサーバ又はその組み合わせであってもよい。サーバ103〜104は、データ分析サーバ、内容サーバ、交通情報サーバ、地図(マップ)及び興味のあるポイント(MPOI)サーバ又は位置サーバ等であってもよい。以下、
図9を参照しながら、例示的なサーバシステムを説明する。
【0013】
自律走行車101とは、自律モードになるように配置できる車両を指し、前記自律モードで車両が運転者からの制御入力が非常に少ない又はない場合にもナビゲーションして環境を通過する。このような自律走行車は101、センサーシステム115を含んでもよく、前記センサーシステムは車両走行環境に関連する情報を検出するように配置される1つ以上のセンサーを有する。前記車両及びその関連するコントローラは検出した情報を使用してナビゲーションし環境を通過する。自律走行車101は、手動モード、完全自律モード又は部分自律モードで運行することができる。
【0014】
一実施形態において、自律走行車101は、決定システム110と、車両制御システム111と、無線通信システム112と、ユーザインターフェースシステム113と、センサーシステム114とを含んでもよい。自律走行車101は、通常の車両に含まれるある一般的な構成要素(部材)、例えばエンジン、車輪、ハンドル、変速器等をさらに含んでもよく、前記構成要素は、車両制御システム111及び/又は決定システム110により多種の通信信号及び/又は命令(例えば加速度信号又は命令、減速信号又は命令、ステアリング信号又は命令、ブレーキ信号又は命令等)によって制御されることができる。
【0015】
構成要素110〜114は、インターコネクト、バス、ネットワーク又はそれらの組み合わせを介して互いに通信可能に接続することができる。例えば、構成要素110〜114は、コントローラローカルエリアネットワーク(CAN)バスを介して互いに通信可能に接続することができる。CANバスは、マイクロコントローラ及び装置がホストコンピューターのない状況での応用において互いに通信することを可能にするような車両バス標準として設計される。それはメッセージに基づくプロトコルであり、最初に自動車内における複数の電線のために設計されたが、数多くのその他の環境(状況)にも用いられる。
【0016】
現在、
図2を参照して、一実施形態において、センサーシステム114は、1つ以上のカメラ211と、全地球測位システム(GPS)システムユニット212と、慣性計測ユニット(IMU)213と、レーダーユニット214と、LIDAR(光検出及び測距)ユニット215とを含んでもよい。GPSユニット212は、送受信機を含んでもよく、前記送受信機は、自律走行車の位置に関する情報を提供するように操作されることができる。IMU213は、慣性加速度に基づいて自律走行車の位置及び方向変化を感知することができる。レーダーユニット214は、無線信号を利用して自律走行車のローカル環境内の対象を感知するシステムを示すことができる。いくつかの実施形態において、対象を感知する以外、レーダーユニット214は、さらに対象の速度及び/又は走行方向を感知することができる。LIDARユニット215はレーザを使用して自律走行車の所在する環境における対象を感知することができる。その他のシステム構成要素以外、LIDARユニット215は1つ以上のレーザ光源、レーザースキャナ及び1つ以上の検出器をさらに含んでもよい。カメラ211は、自律走行車の周辺環境の画像をキャプチャするための1つ以上の装置を含んでもよい。カメラ211は、スチルカメラ及び/又はビデオカメラであってもよい。カメラは、例えば回転及び/又は傾斜のプラットフォームに取り付けられる、機械的に移動可能なものであってもよい。
【0017】
センサシステム114は、その他のセンサ、例えばソナーセンサ、赤外線センサ、ステアリングセンサ、スロットルセンサ、ブレーキセンサ、及びオーディオセンサ(例えばマイクロフォン)をさらに含んでもよい。オーディオセンサは、自律走行車周辺の環境から音をキャプチャするように配置されてもよい。ステアリングセンサは、ハンドル、車両の車輪又はその組み合わせのステアリング角を感知するように配置されてもよい。スロットルセンサ及びブレーキセンサは、それぞれ車両のスロットル位置及びブレーキ位置を感知する。いくつかの場合、スロットルセンサ及びブレーキセンサは、集積型スロットル/ブレーキセンサに一体化されてもよい。
【0018】
一実施形態において、車両制御システム111は、ステアリングユニット201と、スロットルユニット202(加速ユニットとも呼ばれる)と、ブレーキユニット203とを含んでもよい。ステアリングユニット201は、車両の方向又は走行方向を調整することに用いられる。スロットルユニット202は、モーター又はエンジンの速度を制御して、続いて車両の速度及び加速度を制御することに用いられる。ブレーキユニット203は、摩擦を提供することによって車両の車輪又はタイヤをスローダウンして車両を減速させることに用いられる。注意すべきなのは、
図2に示すような構成要素はハードウェア、ソフトウェア又はその組み合わせで実現されることができる。
【0019】
図1を再び参照して、無線通信システム112は、自律走行車101と、例えば装置、センサ、その他の車両等の外部システムとの間に通信することを可能にする。例えば、無線通信システム112は、1つ以上の装置に直接又は通信ネットワークを介して無線通信し、例えばネットワーク102によってサーバ103〜104に通信することができる。無線通信システム112は、任意のセルラー通信ネットワーク又は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)(例えばWiFi)を使用して他の構成要素やシステムに通信することができる。無線通信システム112は、例えば赤外線リンク、ブルートゥース等を使用して装置(例えば、乗客の移動装置、表示装置、車両101内のスピーカー)に直接通信できる。ユーザインターフェースシステム113は、車両101内で実行される周辺装置の一部であってもよく、例えばキーボード、タッチスクリーンディスプレイ装置、マイクロフォン、及びスピーカー等を含む。
【0020】
自律走行車101の一部又は全ての機能は、特に自律運転モードで操作する場合、決定システム110により制御されたり管理されたりすることができる。決定システム110は、必要なハードウェア(例えば、プロセッサ、メモリ、記憶装置)、及びソフトウェア(例えば、オペレーティングシステム、計画及び経路プログラム)を含み、センサシステム114、車両制御システム111、無線通信システム112、及び/又はユーザインターフェースシステム113から情報を受信し、受信された情報を処理し、出発地から目的地までの経路やルートを計画し、そして計画及び制御情報に基づいて車両101を運転させる。あるいは、決定システム110と車両制御システム111とは一体化されてもよい。
【0021】
自律走行車101がルートに沿って移動する時に、決定システム110は、さらに交通情報システムやサーバ(TIS)から交通情報をリアルタイムに取得することができる。注意すべきなのは、サーバ103〜104は、第三者エンティティにより動作されることができる。あるいは、サーバ103〜104の機能は、決定システム110と一体化されてもよい。リアルタイム交通情報、MPOI情報、位置情報、及びセンサシステム114が検出又は感知したリアルタイムなローカル環境データ(例えば、障害物、対象、付近車両)に基づいて、決定システム110は、安全で効果的に指定した目的地に到達するように、最適なルートを計画し、かつ計画したルートにより例えば車両制御システム111を介して車両101を運転することができる。また、万が一緊急処理イベントが発生する場合、本説明書のさらなる記述のように、車両101が回避動作を実行することができる。
【0022】
図3は本発明の一実施形態に係る自律走行車と共に使用される例示的な決定システム示すブロック図である。システム300は
図1の自律走行車101の一部又はシステム100の一部として実施されてもよい。
図3の実施形態に示すとおり、システム300は、位置決め(localization)モジュール301、地図・ルート情報311、感知モジュール302、決定システム110、計画モジュール304及び制御モジュール305を含んでもよく、前記決定システムは主決定システム310及び緊急決定システム320を含んでもよい。本明細書にさらに説明するように、緊急決定システム320は補助又は予備決定システムとして使用されてもよい。従って、主決定システム310は自体のルール311及び主決定モジュール313を含んでもよい。同様に、緊急決定システム320は自体の緊急ルール(又はE−rule)321及び緊急決定モジュール323を含んでもよい。
【0023】
位置決めモジュール301は、ユーザの旅程又はルートに関連する任意のデータを管理する。ユーザは、例えばユーザインターフェースを介してログインするとともに旅程の出発位置及び目的位置を指定することができる。位置決めモジュー301は、旅程に関連するデータを取得するように、自律走行車101のその他の構成要素(例えば地図及びルート情報311)と通信する。例えば、位置決めモジュー301は、位置サーバと、地図及びPOI(MPOI)サーバから位置及びルート情報を取得することができる。位置サーバは、位置サービスを提供し、かつMPOIサーバは、地図及びルート情報311の一部としてキャッシュされてもよい地図サービスと特定な位置のPOIとを提供する。自律走行車101がルートに沿って移動する時に、位置決めモジュール301は、さらに交通情報システムやサーバからリアルタイム交通情報を取得することができる。
【0024】
センサシステム114により提供されたセンサデータ、及び位置決めモジュール301により得られた位置決めモジュール情報に基づいて、感知モジュール302は周辺環境に対する感知を決定する。感知情報は、普通の運転者が自分で運転している車両周辺から感知したもの(状況)を示すことができる。感知情報は、例えば対象形式で現される車線配置(例えば、ストレート又はカーブ)、トラフィック信号、他の車両の相対位置、歩行者、建築物、横断歩道又はその他の交通関連標識(例えば、停止標識、譲り標識)などを含んでもよい。
【0025】
感知モジュール302は、コンピュータビジョンシステム又はコンピュータビジョンシステムの機能を含んでもよく、自律走行車環境における対象及び/又は特徴を認識するように、1つ以上のカメラによりキャプチャされた画像を処理及び分析することに用いられる。前記対象は交通信号、車道の境界線、他の車両、歩行者及び/又は障害物等を含んでもよい。コンピュータビジョンシステムは、対象認識アルゴリズム、ビデオトラッキング及びその他のコンピュータビジョン技術を使用することができる。いくつかの実施形態において、コンピュータビジョンシステムは、環境をマッピングし、対象を追跡し、かつ対象の速度を推定することなどができる。感知モジュール302は、その他のセンサ(例えばレーダー及び/又はLIDAR)により提供されたその他のセンサデータに基づいて対象を検出することもできる。
【0026】
地図・ルート情報311、位置決めモジュール301及び感知モジュール302は決定システム110により利用されるデータ(主データ)を提供することができる。一実施形態では、決定システム110は主決定システム310及び緊急決定システム320を含んでもよく、それぞれは自体の決定モジュールを含む。本明細書のさらなる記述のように、緊急処理イベントに応答して緊急決定システム320を起動してもよい。しかしながら、通常、決定モジュール313/323は感知モジュールにより識別されるオブジェクトを如何に処理するかを決める。例えば、特定のオブジェクト(例えば、交差ルートにおける別の車両)及びオブジェクトを説明するメタデータ(例えば、速度、方向、カーブ角度)に対して、決定モジュール313/323は前記オブジェクトに会う時に、如何に処理するか(例えば、追い越し、道譲り、停止、超え)を決める。決定モジュール313/323は交通ルールのような1セットのルールに基づいてこのように決定することができ、前記ルールは永続性記憶装置に記憶されてもよい。
【0027】
感知したそれぞれ対象に対する決定に基づいて、計画モジュール304は、自律走行車のために経路又はルート及び運転パラメータ(例えば、距離、速度及び/又はステアリング角)を計画する。例えば、主決定システム310が操作する時に(例えば正常またはデフォルト操作モード)、決定モジュール313は前記対象に対して如何に処理するかを決定し、計画モジュール304は如何に実行するかを決定する。例えば、所定対象に対して、決定モジュール313は、前記対象を追い越すことを決定することができ、計画モジュール304は、前記対象の左側に追い越すか、右側に追い越すかを決定することができる。計画モジュール304は、計画及び制御データを生成し、車両101が次の移動周期(例えば、次のルート/経路セグメント)に如何に移動するかを記述する情報を含む。例えば、計画及び制御データは車両300が毎時間30マイル(mph)の速度で10メートル移動し、次に25mphの速度で右車線まで変わることを指示することができる。
【0028】
計画及び制御データに基づいて、制御モジュール305(或は制御モジュール305A/305B)は計画及び制御データにより定義されたルート又は経路に基づいて、車両制御システム111へ適切な命令又は信号を送信することによって自律走行車を制御及び運転する。前記経路又はルートに沿って違う時点で適切な車両設置又は運転パラメータ(例えば、スロットル、ブレーキ及びステアリング命令)を使用して自律走行車101を第1点から第2点まで運転するように、計画及び制御データは十分な情報を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、主決定システム310は通常の動作状況で動作することができ、且つ主決定モジュール313は特定のルール311を利用することができる。これらのルールは主決定モジュール313の操作フレームワークを提供することができる。例えば、これらのルール311は交通ルール、ルートルール、乗り心地よさ(ride comfort rule)ルール等を含んでもよい。例えば、交通ルールは特別な管轄区域(例えば、右折赤信号)又は通行人又はサイクリストに対応する特殊ルールについて、主決定システム310に特定の交通ルールに係わる指導を提供する。ルートルールはルートに係わる特定の好み(例えば、料金所を回避する等)及びナビゲーションに関連する他のルールの指導に関する。乗り心地よさルールは例えばユーザにより指定されてもよい。例えば、乗り心地よさルールは速度、ガソリンマイル数、地形等の好みを含んでもよい。
【0030】
以上のように、主決定システム310は通常の運転状況で動作することができる。しかしながら、いくつかの場合では、補助(又は予備)又は緊急システムを起動してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、車両101に対する運転制御は緊急処理イベントに応答して主決定システム310から緊急決定システム320に切り替えてもよい。従って、1セットの緊急ルール321で車両101を制御することができる。緊急ルール321は緊急決定モジュール323が如何に操作するかについての指導を提供することができる。例えば、緊急ルール321は衝突回避ルール、又は傷害又は死亡防止ルールを含んでもよい。例えば、緊急決定モジュール323はさらに衝突回避システムの衝突回避決定又は機能を含んで、自律走行車環境での潜在的な障害物を識別・評定し且つ回避し又は他の方式で迂回することができる。例えば、緊急決定モジュール323は自律走行車のナビゲーションを変更して、操舵操作、ステアリング操作、制動操作等を実行することができる。緊急決定モジュール323は周りの交通モード、道路状況等に基づいて実現可能な障害物回避操作を自動的に決定することができる。緊急決定モジュール323は他のセンサシステムにより自律走行車が転向して入ろうとする隣接領域にある車両、建築障害物などを検出した時に操舵操作を実行しないように配置されてもよい。緊急決定モジュール323は使用可能で自律走行車の乗客の安全性(例えば、傷害又は死亡防止)を最大化する操作を自動的に選択する。緊急決定モジュール323は自律走行車の客室に最小量の加速度を発生させるように、予測した回避制御を選択してもよい。
【0031】
操作において、一実施形態では、緊急決定システム320は予備データ330を利用してもよい。例えば、地図・ルート情報311、位置決めモジュール301及び感知モジュール302により提供されるデータは予備データ330として補助又は予備記憶装置に記憶されるできる。いくつかの実施形態では、予備データ330は最も近い又は最も関連性の高いデータ等のデータのサブセットを含んでもよい。従って、主データが使用できない場合でも、予備データ330はさらなる操作を許容する。
【0032】
図4は本発明の一実施形態に係る自律走行車と共に使用される余分な部材を含む例示的な決定システムを示すブロック図である。システム400は
図1の自律走行車101又はシステム100の一部として実施されてもよい。図面に示すとおり、
図4の実施形態は緊急決定システム320を備える配置を含み、前記緊急決定システム320は計画モジュール304B及び制御モジュール305Bを、主決定システム310の計画モジュール304A及び制御モジュール305Aの予備又は余分なモジュールとして含む。システム(例えば、システム100、300又は400)の1つ又は複数の部材に関連するハードウェア又はソフトウェアに故障が発生する可能性がある場合、このような配置はさらなる予備層を提供することができる。例えば、万が一、制御モジュール305Aに関連するソフトウェアの故障が発生する場合、緊急決定システム320は制御モジュール305Bで制御を維持し又は切り替えることができ、例えば、制御システム111に切り替える。また、示されないが、実施形態は他の予備又は余分な部材を含んでもよい。例えば、配置において制御システム111又はセンサシステム115に関連するソフトウェア又はハードウェア(例えば、物理部材)等の余分な又は予備部材を含んでもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、緊急決定システム320は主決定システム310と物理的に分離してもよい。例えば、車両の他の部分が破壊された時に機能を維持するように、緊急決定システム320はより安全(例えば、「ブラックボックス」)な場所に存在してもよい。また、配置では他の技術で緊急決定システム320を保護してもよく、例えば、ソフトウェア部材を保護するための物理的強化や技術が挙げられる。例えば、緊急決定システム320はファイアウォールの後に実施されたり、暗号化技術を用いたり、外部通信システムと分離して存在したり(例えば、不正外部アクセスを防止する)、他のソフトウェア部材(例えば、主決定システム310)と異なるプラットフォーム又はオペレーティングシステムに存在したりしてもよい。従って、配置は物理的損傷、ソフトウェアの故障の場合で緊急決定システム320を保護し、且つ悪意のあるアクセスを防止することができる。
【0034】
なお、
図3及び
図4に示すとおり、決定モジュール313/323及び計画モジュール304は集積モジュールとして集積されてもよい。例えば、主決定モジュール313及び計画モジュール304はナビゲーションシステム又はナビゲーションシステムの機能を含んで、自律走行車の作動ルートを決定する。例えば、ナビゲーションシステムは自律走行車が特定ルートに沿って移動する一連の速度及び前進方向を決定することに用いられ、前記特定ルートは、自律走行車が最終目的地まで至る車道に基づくルートに沿って前進すると同時に、感知した障害物をほぼ回避するようにする。目的地はユーザインタフェースシステム113によるユーザ入力に基づいて設定されてもよい。ナビゲーションシステムは自律走行車の走行中に運転ルートを動的に更新することができる。ナビゲーションシステムはGPSシステム及び1つ又は複数の地図からのデータを合併して、自律走行車用の運転ルートを決定することに用いられる。
【0035】
また、
図3及び
図4に示される一部又は全てのモジュール(又はシステム)はソフトウェア、ハードウェア又はそれらの組み合わせにおいて実施されることができる。例えば、これらのモジュールは永続性記憶装置にインストールされたり、記憶装置にロードされたりして、1つ又は複数のプロセッサにより実行されてもよい。なお、これらのモジュールの一部又は全ては
図2の車両制御システム111の一部又は全てのモジュールに通信可能に接続され又はそれらに一体に集積される。モジュールのうちの一部は集積モジュールとして集積されてもよい。また、このような部材(例えば、モジュール及びシステム)は専用ハードウェア(例えば、集積回路(例えば、専用集積回路又はASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))にプログラミングし又は埋め込まれた実行可能なコードとして実施してもよく、前記実行可能なコードはアプリケーションからの対応するドライバー及び/又はオペレーティングシステムを介してアクセスされることができる。また、このような部材はプロセッサ又はプロセッサコアにおける特定のハードウェアロジックとして実施されてもよく、ソフトウェア部材が1つ又は複数の特定コマンドを介してアクセス可能なコマンドセットの一部としてもよい。
【0036】
図5は本開示の一実施形態に係る主決定システム310と緊急(又は補助)決定システム320との間の相互作用を示す例示的なプロセスの流れである。図面に示すとおり、主決定モジュール313は主データ及びルール311を参照しながら操作することができる。例えば、以上のように、主決定モジュール313は通常の条件で操作することができる。緊急処理イベント510を検出した場合、操作は緊急決定システム320に切り替えることができる。緊急処理イベント510は車両のシステム(例えば、制御システム111、センサシステム115等)に関連する部材のハードウェア又はソフトウェアの故障を含んでもよい。様々なメカニズム(例えば、「ハートビート」部材)、又は各種の部材を監視できる他のバックグランドプロセスにより部材又はシステムの故障を検出してもよい。また、緊急処理イベント510は潜在的な衝撃発生イベント又はハイリスクイベントを含んでもよい。例えば、感知モジュール302は潜在的な衝撃を検出することができる。識別できないハイリスクイベントはハイリスク又はシステムに識別できない他の状況を含んでもよい。例えば、予想外の天気イベントはハイリスクイベントとして検出されてもよい。
【0037】
制御が緊急決定モジュール323に切り替えられる場合、緊急ルール(E−rule)321を用いて安全性を最大化する方式で制御を提供することができる。例えば、緊急決定モジュール323は以上のような衝突回避を提供する緊急アルゴリズムで制御を提供することができる。
【0038】
また、以上のように、緊急決定モジュール323は操作期間に予備データ330を参照してもよい。緊急決定モジュール323が起動されると、運転制御は計画モジュール304B及び制御モジュール305Bを用いて以上のような類似方式で進むことができる。
【0039】
図6は本開示の実施形態に係る補助(又は緊急)決定システムを提供する方法を示す例示的なフローチャートである。プロセス600は処理ロジックを用いてもよく、前記処理ロジックはソフトウェア、ハードウェア又はそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、プロセス600はシステム(例えば、システム100、300又は400)又はコンピュータ装置又は装置により実行されてもよい。
【0040】
プロセス601では、システムは主決定システム(例えば、主決定システム310)で車両(例えば、車両101)に対する自律走行制御を提供することができる。主決定システムは第1セットの運転ルール(例えば、ルール311)を用いて、運転制御を提供できる。例えば、以上のように、第1セットの運転ルールは1つ又は複数の交通ルール、ルートルール及び乗り心地よさルールを含んでもよい。
【0041】
プロセス602では、システムは車両に関連する緊急処理イベント(例えば、緊急処理イベント510)の発生を識別することができる。一実施形態では、緊急処理イベントは車両のシステム(例えば、制御システム111、センサシステム115等)に関連する部材のハードウェア又はソフトウェアの故障を含んでもよい。例えば、システムは転向ユニット201、スロットルユニット202又は制動ユニット203に関連する部材に係るハードウェアの故障を検出することができる。さらなる実施形態では、緊急処理イベントは潜在的な衝撃発生イベント又は識別できないハイリスクイベントを含んでもよい。
【0042】
プロセス603では、緊急処理イベントの発生を識別したことに応答して、システムは主決定システムから緊急決定システム(例えば、緊急決定システム320)に切り替えて、車両の自律走行制御を継続して提供することができる。一実施形態では、緊急決定システムは第1セットの運転ルールに優先して第2セットの運転ルール(例えば、緊急ルール321)を用いて運転制御を提供してもよい。例えば、緊急処理イベントが制御システム(例えば、制御システム111)のハードウェア部材の故障に係わる場合、緊急決定システムは回避動作を用いてもよい。例えば、転向ユニット201に係わる故障(例えば、ソフトウェア又はハードウェア)が存在する場合、緊急決定システムは車両が安全な方式でスローダウン又は停止するように指導することができる。以上のように、一実施形態では、緊急決定システムは余分な部材(例えば、
図4に示す)を含んでもよい。従って、このような場合で、緊急決定システムは例えば補助(又は予備)部材を用いてもよい。補助部材はハードウェア部材(例えば、補助転舵、スロットル又は制動ユニット)又はソフトウェア部材(例えば、計画モジュール304B又は制御モジュール305B)を含んでもよく、いずれかの潜在的な衝撃又はさらなる損傷を回避するように車両を制御することができる。また、緊急決定システムはさらなる安全対策を起動してもい。例えば、潜在的な衝撃を予測する時、システムは1つ又は複数の安全メカニズムを起動させることができ、例えば、1つ又は複数のエアバッグ(又は他の安全装置)を展開させる。
【0043】
図7は本開示の1つ又は複数の実施形態と組み合わせて使用する例示的なコンピューティングシステムを示すブロック図である。
【0044】
例えば、システム1500は、上記プロセス又は方法のいずれか(例えば、自律走行車101の一つ以上の部品110〜114、又は上記したサーバ103〜104のいずれか)を実行する上記任意のデータ処理システムを示してもよい。システム1500は、多数の異なる構成要素を含んでもよい。一実施形態において、システム1500は、バス又は相互接続部材1510によって接続されたプロセッサ1501、メモリ1503及び装置1505〜1508を備える。プロセッサ1501は、単一のプロセッサコア又は複数のプロセッサコアを含む単一のプロセッサ又は複数のプロセッサであってもよい。プロセッサ1501は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)等のような1つ又は複数の汎用プロセッサであってもよい。プロセッサ1501は、さらに、専用集積回路(ASIC)、セルラ又はベースバンドプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ、グラフィックプロセッサ、通信プロセッサ、暗号プロセッサ、コプロセッサ、組み込みプロセッサのような1つ又は複数の専用プロセッサ、あるいは命令処理可能な任意の他のタイプのロジックであってもよい。
【0045】
プロセッサ1501は、命令を実行することにより本明細書に説明される動作及びステップを実行するように構成されてもよい。また、システム1500は、選択可能なグラフィックサブシステム1504と通信するグラフィックインターフェースをさらに備えてもよく、グラフィックサブシステム1504は、表示コントローラ、グラフィックプロセッサ及び/又は表示装置をさらに備えてもよい。
【0046】
プロセッサ1501は、メモリ1503と通信することができ、メモリ1503は、一実施形態において複数のメモリによって所定量のシステムメモリを提供する。メモリ1503は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、動的RAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、静的RAM(SRAM)又は他のタイプのメモリのような1つ又は複数の揮発性記憶装置(又はメモリ)を備えてもよい。
【0047】
システム1500は、IO装置、例えば装置1505〜1508をさらに備えてもよく、ネットワークインターフェース装置1505、選択可能な入力装置1506及び他の選択可能なIO装置1507を備える。ネットワークインターフェース装置1505は、無線送受信機及び/又はネットワークインターフェースカード(NIC)を備えてもよい。前記無線送受信機は、WiFi送受信機、赤外送受信機、ブルートゥース(登録商標)送受信機、WiMax送受信機、無線セルラーホン送受信機、衛星送受信機(例えば、全地球測位システム(GPS)送受信機)又は他の無線周波数(RF)送受信機又はそれらの組合せであってもよい。NICはイーサネット(登録商標)カードであってもよい。
【0048】
入力装置1506は、タッチパッド、タッチスクリーン(それは表示装置1504と一体化されてもよい)、ポインタデバイス(例えばスタイラス)及び/又はキーボード(例えば、物理キーボード又はタッチスクリーンの一部として表示された仮想キーボード)を備えてもよい。例えば、入力装置1506は、タッチスクリーンに接続されるタッチスクリーンコントローラを含んでもよい。タッチスクリーン及びタッチスクリーンコントローラは、例えば複数種のタッチ感度技術(容量、抵抗、赤外及び表面音波の技術を含むが、それらに限定されない)のいずれか、及びタッチスクリーンの1つ又は複数の接触点を決定するための他の近接センサアレイ又は他の素子を用いてそのタッチ点及び移動又は断続を検出することができる。
【0049】
IO装置1507は、各種の電子ディスプレー(例えば、スクリーンを有するモニター、小型LCDタッチスクリーン、或いは情報を表示するように操作可能な任意の電子装置)、オーディオ出力装置(例えば、スピーカー)を備えてよい。例えば、車両101は内部電子ディスプレーを備えてもよい。この点について、内部電子ディスプレーが車両の客室に位置してもよい。音声装置は、スピーカー及び/又はマイクロホンを含んでもよく、それにより音声認識、音声コピー、デジタル記録及び/又は電話機能のような音声サポートの機能を促進する。他のIO装置1507は、汎用シリアルバス(USB)ポート、パラレルポート、シリアルポート、印刷機、ネットワークインターフェース、バスブリッジ(例えば、PCI-PCIブリッジ)、センサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、光センサ、コンパス、近接センサ等のような動きセンサ)又はそれらの組合せをさらに備えてもよい。装置1507は、結像処理サブシステム(例えば、カメラ)をさらに備えてもよく、前記結像処理サブシステムは、カメラ機能(例えば、写真及びビデオ断片の記録)を促進するための電荷カップリング装置(CCD)又は相補型金属酸化物半導体(CMOS)光学センサのような光学センサを備えてもよい。あるセンサは、センサハブ(図示せず)によって相互接続部材1510に接続されてもよく、キーボード又は熱センサのような他の装置は、組み込みコントローラ(図示せず)により制御されてもよく、これはシステム1500の特定配置又は設計により決められる。
【0050】
記憶装置1508は、任意の1種又は複数種の本明細書に記載の方法又は機能を体現する1つ又は複数の命令セット又はソフトウェア(例えば、モジュール、ユニット及び/又はロジック1528)が記憶されるコンピュータアクセス可能な記憶媒体1509(機械可読記憶媒体又はコンピュータ可読媒体とも呼ばれる)を備えてもよい。
【0051】
処理モジュール/ユニット/ロジック(例えば、処理モジュール)1528は、例えば、決定システム110、センサシステム114、及び車両制御システム111(及び関連するモジュールとサブモジュール)のような上記構成要素のいずれかを示してもよい。処理モジュール/ユニット/ロジック1528は、さらにデータ処理システム1500、メモリ1503及びプロセッサ1501により実行される期間にメモリ1503内及び/又はプロセッサ1501内に完全又は少なくとも部分的に存在してもよく、機器アクセス可能な記憶媒体を構成する。さらに、処理モジュール/ユニット/ロジック1528は、ハードウェア装置内のファームウェア又は機能回路として実現されてもよい。また、処理モジュール/ユニット/ロジック1528は、ハードウェア装置及びソフトウェアコンポーネントの任意の組合せで実現されてもよい。
【0052】
なお、システム1500は、データ処理システムの各種の構成要素を有するように示されているが、構成要素に相互接続させる任意の具体的な構造又は方式を限定するものではないことに注意すべきであり、それは、このような詳細が本発明の実施形態に密接な関係がないためである。また、より少ない構成要素又はより多くの構成要素を有するネットワークコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、携帯電話、サーバ及び/又は他のデータ処理システムは、本発明の実施形態と共に使用されてもよい。
【0053】
上記詳細な説明の一部は、コンピュータメモリにおけるデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号表現で示される。これらのアルゴリズムの説明及び表現は、認知と計画分野における当業者によって使用される、それらの作業実質を所属分野の他の当業者に最も効果的に伝達する方法である。ここで、アルゴリズムは、通常、所望の結果につながる首尾一貫(self−consistent)した動作列(sequence of operations)と考えられる。これらの動作とは、物理量に対して物理的動作を行う必要となるステップを指す。
【0054】
ただし、これらの全ての及び類似の用語は、いずれも適切な物理量に関連付けられ、且つただこれらの量に適用される適切なラベルであることに注意すべきである。特に断らない限り、本出願の全体にわたって用語(例えば、添付している特許請求の範囲に説明された用語)による説明とは、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理であり、前記コンピュータシステム又は電子計算装置は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリに物理(例えば、電子)量としてデータを示し、かつ前記データをコンピュータシステムメモリ又はレジスタ又は他のこのような情報メモリ、伝送又は表示装置内において類似に物理量として示される他のデータに変換する。
【0055】
図面で示される技術は、一つ以上の電子装置に記憶され実行されるコード及びデータによって実施されることができる。このような電子装置は、例えば、非一時的なコンピュータ機械可読媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスク、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリメモリ及び相変化メモリ)のようなコンピュータ可読媒体によってコード及びデータを記憶し送信(内部送信及び/又はネットワークで他の電子装置との送信)する。
【0056】
上記図面に示される手順又は方法は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック等)、ソフトウェア(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体に具現化される)、又は両方の組合せを含む処理ロジックにより実行されてもよい。前記明細書において、手順又は方法は、特定の順序に応じて説明されるが、説明された動作の一部は、異なる順序に応じて実行されてもよい。また、いくつかの動作は、順番ではなく並行に実行されてもよい。
【0057】
以上の明細書では、本発明の具体的な例示的な実施形態を参照してその実施形態を説明した。明らかなように、添付している特許請求の範囲に記載の本発明のより広い趣旨及び範囲を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。従って、限定的なものではなく例示的なものとして本明細書及び図面を理解すべきである。