特許第6531161号(P6531161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6531161
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】健康リスク指標決定
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20190531BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   A61B5/00 G
   A61B5/0245 A
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-500438(P2017-500438)
(86)(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公表番号】特表2017-508589(P2017-508589A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2015056025
(87)【国際公開番号】WO2015140338
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】14160936.2
(32)【優先日】2014年3月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518317281
【氏名又は名称】ベイジン・シュンユアン・カイファ・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(74)【代理人】
【識別番号】100195006
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勇蔵
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】ウィスロッフ、ウルリック
(72)【発明者】
【氏名】ガトヴィック、クリスチャン ラグナー
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−265441(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0073486(US,A1)
【文献】 特表平11−501233(JP,A)
【文献】 特開平04−166129(JP,A)
【文献】 国際公開第97/37588(WO,A1)
【文献】 特表2007−523709(JP,A)
【文献】 特開平10−179560(JP,A)
【文献】 Niels Uth et al.,Estimation of VO2max from the ratio between HRmax and HRrest - the Heart Rate Ratio Method,Eur J Appl Physiol,2003年11月18日,Vol. 91,p. 111-115
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心拍数データを処理するシステムであって、
前記システムは、
プロセッサであって、
一定の監視期間にわたりセンサーデバイスによって使用者から得られた、心拍数データを処理し、
前記使用者の生体測定データに応じて、前記監視期間にわたる前記使用者の集計心拍動値を決定し
研究対象母集団のピーク酸素摂取量で較正されたモデルに従って、前記集計心拍動値から、健康リスク指標を決定するプロセッサと、
ユーザデバイスであって、
ユーザインターフェースを有し、前記ユーザインターフェースを用いて、前記健康リスク指標を前記使用者に提供するユーザデバイスと、
を備え、
康予測活動スコアは、V = c3 + c4 (1- e-P)に従って、決定され、
Pは、集計心拍動値であり、
定数cおよびcは前記研究対象母集団から決定され、
前記健康リスク指標であるPAIは、
【数4】
に従って決定され、
式中、V閾値が、1または複数の使用者の特性に従う複数の選択肢から選択される定数であり、
前記生体測定データが、前記使用者の安静時心拍数値および前記使用者の最大心拍数値を含み、
前記プロセッサは、
更に前記心拍数データ、前記心拍数データから導出された均一に分布した一連のデータ点、または前記心拍数データから導出された連続関数を、
前記使用者の安静時心拍数値で減算し、
その結果を最大心拍数値と前記安静時心拍数値との差で除算することにより、正規化し、
前記プロセッサは、
更に
【数1】
に従って、
一連の正規化心拍数値
【数2】
または連続正規化心拍数関数
【数3】
、定数スケーリング係数c、および定数重み係数cから、
一連の強度スコアzまたは強度スコア関数z(t)を決定し、
式中、cおよびcは、1または複数の使用者の特性に従う複数の選択肢から選択され、
前記集計心拍動値Pは、
【数5】
または
【数6】
により取得され、
式中、Nは監視期間にわたる標本抽出点の総数であり、Δtは標本抽出間隔である、
システム。
【請求項2】
前記監視期間が、少なくとも5日間である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記心拍数データは、一連の脈拍測定値である、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、更に前記一連の脈拍測定値を外挿して、
前記プロセッサは、更に前記監視期間にわたる均一に分布した一連のデータ点または連続心拍数関数を生成する
請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、更に周期的に繰り返して動作して、
繰り返し期間が、
前記動作が連続的に繰り返されるように前記監視期間と等しいか、
または
前記動作がスライディングウィンドウ式で行われるように前記監視期間より短い、
請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、更に前記使用者の前記集計心拍動値またはそれから導出された値および生体測定データについて低域通過フィルタを用いて、前記使用者のピーク有酸素能力を推定する、
請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載のシステムを動作させるためのコンピュータ実行可能命令を含む、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体測定データを意味のある健康リスク指示に変換することに関する。
【0002】
より具体的には、本開示の態様は、心拍数データから使用者の健康リスク指標を決定するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
世界保健機関(WHO)によると、身体的不活動は、世界で若年死亡の主な原因の第4位であり(WHO、2009)、最近の一連の出版物は、不活動により世界中で毎年約600万人の人々が亡くなっていることを示しており、これは喫煙によるものと同様の数である(I−M Lee、The Lancet 2012)。また、全成人のうち約80%が現在の身体的活動推奨基準を満たしておらず(例えば、Folkehelseinstiuttet 2009を参照)、生活習慣病の大幅な減少のためには、身体的活動レベルを体系的に上昇させるなど人口全体にわたる費用効果のある介入が必要であることが明確に立証されている(国連総会A/66/83、2011)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運動に関するアドバイス、ならびにどのように、どのくらいの頻度で、およびどのくらいの期間運動すべきかの度々の論争は、人々を閉口させる。プロの運動選手から心臓患者まで全範囲を対象とするこの情報を検索することは、混乱および苛立ちを来すものであることが判明し得る。このこと自体が、動機付けを失わせる原因となり得る。
【0005】
歩数計などのフィットネス監視装置が入手可能である。しかしながら、多くのフィットネス監視装置は、動き感知のみに基づいており、これは活動レベルの不正確な推定をもたらす場合がある。例えば、手首に巻く加速度計は、使用者が階段を昇っている時より食べている時に、より高い活動レベルを示す場合がある。
【0006】
いくつかのフィットネス監視装置は、個人の心拍数監視器に基づいているが、これらは、自身の訓練を追跡することを望むフィットネスに熱心な人向けである傾向がある。データ取得および追跡が主な焦点であるので、これらの装置は身体的活動からの健康効果(例えば、心血管疾患または若年死亡のリスク)を査定する点では、意味のある情報を提供しない。良好な健康を達成することが、運動の一般的な動機付けである。高齢者には特に、それが主要な動機付けであることが多い。
【0007】
心拍数などの生体測定センサデータを、個人の健康に直接的につながる容易に理解できる計量に解釈する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に従って、少なくとも1日間の監視期間にわたり記録された使用者の心拍数データを得ることと、使用者の生体測定データに応じて該心拍数データを処理して、該監視期間にわたる使用者の集計心拍動値を決定することと、該集計心拍動値に応じて健康リスク指標を決定することと、による、使用者の健康リスク指標を決定する方法が提供される。
【0009】
該生体測定データは、使用者の安静時心拍数値および使用者の最大心拍数値を含んでよい。
【0010】
健康リスク指標は、使用者に提供されてよい。
【0011】
監視期間は少なくとも2日間であってよい。監視期間は少なくとも3日間であってよい。監視期間は少なくとも5日間であってよい。監視期間は1週間であってよい。監視期間は2週間であってよい。監視期間は1ヶ月間であってよい。監視期間は、使用者および/または健康に関する専門家によって設定可能であってよい。
【0012】
本方法は、監視期間にわたり使用者の脈拍を感知して、一連の脈拍測定値を生成することと、該一連の脈拍測定値から集計心拍動値を決定することと、を更に含んでよい。
【0013】
本方法は、集計心拍動値を決定する前に、該一連の脈拍測定値にモデルに基づく推定基準を適用することと、該一連の測定値からの品質基準を満たさないいずれの個々の脈拍測定値も、更なる処理から除外することと、を更に含んでよい。該モデルに基づく推定基準は、カルマンフィルタであってよい。該方法はノイズ推定を含んでよく、該品質基準は得られたノイズ推定値に依存してよい。
【0014】
一連の脈拍測定値を(モデルに基づく推定基準が存在する場合、その適用後に)外挿して、監視期間にわたる均一に分布した一連のデータ点または連続心拍数関数を生成してよい。
【0015】
該処理は、心拍数データ、心拍数データから導出された均一に分布した一連のデータ点、または心拍数データから導出された連続関数を、該安静時心拍数値を引き、結果を該最大心拍数値と安静時心拍数値との差で割ることにより、正規化することを更に含んでよい。かかる処理は、強度値を計算するためであってよい。
【0016】
集計心拍動値は、心拍動の純粋な和でない場合がある。すなわち、集計心拍動値は、心拍数値が高ければ高いほどより重みが与えられるように、心拍数値を加重している。強度値もまた、このように加重されて、強度スコアを提供し得る。
【0017】
該強度スコアは、強度値のべき指数として計算することができる。
【0018】
集計心拍動値は、監視期間にわたる心拍数データから導出された強度スコアを合計することにより、決定することができる。
【0019】
活動スコアは、別々の強度スコアを合計すること、または監視期間にわたる心拍数データから導出された連続関数を積分することにより、決定することができる。
【0020】
健康リスク指標は、母集団調査データを用いて集計心拍動値を統計的に当てはめることにより、決定することができる。
【0021】
感知は周期的であってよい。該周期的感知の標本抽出頻度は、経時的に可変であってよい。該標本抽出頻度は、使用者の心拍数が第1の所定の閾値を超えて上昇したという決定に応答して上昇されてよく、かつ/または該標本抽出頻度は、使用者の心拍数が第2の所定の閾値未満に低下したという決定に応答して低下されてもよい。
【0022】
本方法は、監視期間にわたり使用者の運動を示すデータを得ることと、使用者の運動を示すデータと関連付けられる、所定の予想される心拍数値より高い所定の閾値を超えると決定された心拍数値に適用される加重を、それらの心拍数値が対応する期間中、減少させることと、を更に含んでよい。
【0023】
本方法は、周期的に繰り返してよい。本方法が連続的に繰り返されるように、繰り返し期間は監視期間と等しくてもよい。あるいは、本方法がスライディングウィンドウ式で行われるように、繰り返し期間は監視期間より短くてもよい。
【0024】
健康リスク指標は、使用者が、1つ以上の生活習慣病を発症するリスクを実質的に減少させるのに十分、身体的に活動的であると分類されるか否かの指示を含んでよい。
【0025】
本方法は、使用者の集計心拍動値またはそれから導出された値および生体測定データについて一次低域通過フィルタを用いて使用者のピーク有酸素能力を推定することを更に含んでよい。該生体測定データは、安静時心拍数、性別、年齢、および肥満度指数のうちの1つ以上を含んでよい。
【0026】
第2の態様に従って、第1の態様の方法を行うためのコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0027】
第3の態様に従って、使用者の健康リスク指標を決定するためのシステムが提供され、このシステムは、少なくとも1日間の監視期間にわたる使用者の心拍数データを受信するように構成されたデータ入力と、使用者の生体測定データに応じて該心拍数データを処理して該監視期間にわたる使用者の集計心拍動値を決定するように、かつ該集計心拍動値に応じて該健康リスク指標を決定するように構成されたプロセッサと、を含む。
【0028】
該生体測定データは、使用者の安静時心拍数値および使用者の最大心拍数値を含んでよい。
【0029】
該システムは、使用者に健康リスク指標を提供するように構成された使用者インターフェースを含んでよい。
【0030】
本システムは、該監視期間にわたり使用者の脈拍を感知して一連の脈拍測定値を生成するように構成されたセンサと、該一連の脈拍測定値から心拍数データを決定するように構成されたプロセッサと、を更に含んでよい。
【0031】
第4の態様に従って、15分間以下の間隔で少なくとも5日間の監視期間にわたり使用者から取られた一連の心拍数測定値を受信することと、使用者の安静時および最大心拍数を用いて該測定値の各々を処理して一連の正規化心拍数値を生成することと、各正規化心拍数値を加重して一連の加重された心拍数値を生成することと、該監視期間にわたる該加重された心拍数値を集計して集計心拍動値を生成することと、母集団研究データを用いて該集計心拍動値を統計的に当てはめることにより該健康リスク指標を決定することと、による、使用者の健康リスク指標を決定する方法が提供される。
【0032】
第5の態様に従って、健康リスク指標を決定するためのシステムが提供され、このシステムは、15分間以下の間隔で少なくとも5日間の監視期間にわたり使用者から取られた一連の心拍数測定値を受信するように構成されたデータ入力と、使用者の安静時および最大心拍数を用いて該測定値の各々を処理して一連の正規化心拍数値を生成し、各正規化心拍数値を加重して一連の加重された心拍数値を生成し、該監視期間にわたる該加重された心拍数値を集計して集計心拍動値を生成し、母集団研究データを用いて該集計心拍動値を統計的に当てはめることにより該健康リスク指標を決定するように構成されたプロセッサと、を含む。使用者インターフェースは、使用者に健康リスク指標を提供するように構成することができる。センサは、該監視期間にわたり使用者の脈拍を感知して一連の心拍数測定値を生成するように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本開示の態様は、ここで付属の図面を参照して実施例を用いて説明される。
【0034】
図1】一般的な方法を示す。
図2】一例のシステムを例示する。
図3】一例の標本抽出頻度変動スキームを示す。
図4】一例の方法を示す。
図5】一例の使用者インターフェースを示す。
図6A】例のデータを例示する。
図6B】例のデータを例示する。
図6C】例のデータを例示する。
図6D】例のデータを例示する。
図7A】例のデータを例示する。
図7B】例のデータを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の説明は、当業者が本システムを作製および使用できるようにするために示され、特定の用途という文脈において提供される。開示される実施例に対する様々な改変は、当業者に容易に明らかであろう。
【0036】
本明細書で定義される一般原理は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用することができる。したがって、本発明は、示される実施形態に限定されることは意図されず、本明細書に開示される原理および特徴と一致する最も広範な範囲と一致するものとする。
【0037】
最近の(まだ未出版の)研究は、経時的な累積心拍動数が、一般的な心血管健康状態の最も重要な予測因子であることを示している。心拍数データを健康リスク指標に変換するための方法、ならびに心拍数データを収集および処理し、かつそれから導出された健康リスク指標を使用者に知らせるためのシステムの可能性のある実行が以下に示される。
【0038】
心拍数を監視することは、例えば歩数を取るより、健康を改善する目的のために活動レベルを記録するためのより正確な方法を提供する。後者は、上り坂を歩くことを、平面上で同じ歩数を歩くより高く評価するが、前者は、必要とされる身体的努力の顕著な差にも関わらず、これらの活動を同じものとして(またはいくらかの歩様のために上り坂を歩行中はより低くさえ)評価する。更に、集計心拍動に基づいたシステムは、山中での長いハイキングおよび高強度間隔訓練が同じ集計心拍動値を促進する場合、両方の活動を等しく評価し、このため、集計心拍動測定値に基づいたシステムは、年齢または身体的能力に関わらず母集団にわたり健康改善のための使用に好適なものとなっている。
【0039】
図1は、使用者から収集した心拍数データから使用者の健康リスク指標を決定するための一般法100のフローチャートである。ステップ110では、少なくとも5日間、例えば1週間の監視期間にわたり記録された使用者の心拍数データを得る。ステップ120では、その心拍数データを、使用者の安静時心拍数値および使用者の最大心拍数値に応じて処理して、監視期間にわたる使用者の集計心拍動値を決定する。ステップ130では、健康リスク指標を、集計心拍動値に応じて決定する。
【0040】
図2は、使用者に健康リスク指標を提供するための一例のシステムの図である。
【0041】
少なくとも心拍数データを含む生体測定データは、センサ装置210に含まれる1つ以上のセンサにより使用者から収集される。センサ装置210は、装着可能な装置、例えばセンサリストバンドまたは胸帯であってよい。心拍数データは、例えば光電式容積脈波記録法(PPG)センサにより収集してよい。また、他の種類のセンサ、例えば加速度計(動きセンサ)、血圧センサ、グルコースセンサ、血液ガスセンサ、圧力センサ、または使用者の活動、生理学的もしくは環境的パラメータを測定するために使用され得る任意の他のセンサを提供してもよい。かかるセンサから得られたデータは、健康リスク指標の決定において考慮されてよく、かつ/または使用者もしくは健康管理専門家がより詳細な健康指示情報を必要な場合得られるようにする、より広い健康/フィットネス監視セットの一部であってもよい。
【0042】
使用者の安静時および最大心拍数も得る。安静時心拍数は、監視期間にわたりセンサ装置210により測定された最も低い心拍数値を決定することにより得ることができる。あるいは、安静時心拍数は、任意の既知の方法により使用者または健康管理専門家により測定され、かつ使用者インターフェースを介してシステムに手動で入力することができる。最大心拍数は、監視期間にわたりセンサ装置210により測定された最も高い心拍数値を決定することにより得ることができる。あるいは、最大心拍数は、任意の既知の方法により使用者または健康管理専門家により測定され、かつ使用者インターフェースを介してシステムに手動で入力することができる。
【0043】
センサ装置210は、使用者インターフェース211を含んでよく、かつ/または携帯電話(例えばスマートフォン)、タブレット、ラップトップもしくはパーソナルコンピュータなどの使用者インターフェース221を有する使用者装置220にデータを移すための手段を含んでよい。かかるデータ移行手段は、センサ装置210内に含まれる送信機および関連するアンテナと使用者装置220内に含まれる受信機および関連するアンテナとの間のユニバーサルシリアルバス(USB)線などの有線接続またはWi−FiもしくはBluetooth(登録商標)接続などの無線接続を含んでよい。センサ装置210および/または使用者装置220各々は、それぞれ、記憶装置212および222ならびにプロセッサ213および223を用いて、本明細書で説明する方法の一部またはすべてを実行するのに好適なソフトウェアを作動してよい。例えば、使用者装置220は、専用のアプリケーションを作動してもよく、またはウェブに基づくアプリケーションにアクセスすることができる汎用のウェブブラウザを作動してもよい。好適な使用者インターフェースは、少なくともタッチスクリーン、キーボード、および/またはタッチパッドもしくはマウス、あるいは関連する音声認識能を有するマイクを含む。
【0044】
本システムは、健康管理専門家の援助を必要とすることなく、使用者から安静時および最大心拍数を収集するための較正モードを有してよい。例えば、センサ装置210または使用者装置220で作動されるソフトウェアにより、それらの装置のうちの1つの使用者インターフェースが、使用者に、センサ装置210を最初にオンにした時または使用者装置220で関連するアプリケーションを開いた時、較正を行うよう促すことができる。また、使用者はその時点では較正をスキップするという選択肢を示されてもよいが、使用者がスキップ選択肢を選択した場合、使用者は監視期間の終わりに較正を行うように促され得る。
【0045】
使用者が較正モードを選択した場合、使用者インターフェースは使用者に、安静時心拍数を測定するのに快適な位置につき、準備ができたらタイマーを開始するように命令することができる。タイマーが作動している間、使用者は、例えば装置の視覚的使用者インターフェース上に表示され得るタイマーが満了するまで、いずれの身体的活動を行わないように命令される場合がある。例えば、タイマーは1分間であってよい。タイマー期間の終わりに向かって、センサ装置210は、心拍数の読み取りを行い、これを使用者の安静時心拍数として記録してよい。あるいは、センサ装置210は、タイマー期間のいくらかまたはすべてにわたり、例えば5秒間隔で使用者の心拍数を監視し、最も低い測定心拍数を選択して使用者の安静時心拍数として記録してもよい。使用者の安静時心拍数が得られたら、使用者はいくつかのジム設備(例えば、トレッドミル、クロストレーナー、ボート漕ぎマシン、またはフィットネスバイク)に取りかかるか、または走る、自転車をこぐ、もしくは同様のことをする場所を見つけ、準備ができたら別のタイマーを開始するように促される場合がある。タイマーが作動している間、使用者は最大努力で運動する(例えば可能な限り速く走る)ように命令されてもよい。タイマーは、例えば5分間であってよい。センサ装置210は、タイマー期間のいくらかまたはすべてにわたり使用者の心拍数を監視し、最も高い測定心拍数を選択して使用者の最大心拍数として記録してよい。
【0046】
監視期間それ自体の間、センサ装置210は、使用者の心拍数を連続的に監視するか、または間をおいて標本抽出することができる。センサ装置210が電池式である場合、満充電電池が監視期間より長もちするように取り計らって、監視することができる。間をおいた標本抽出は周期的であってよい。典型的な標本抽出頻度は、1分当たり1回であってよい。最小標本抽出頻度は、15分毎に1回であってよい。
【0047】
センサ装置210は、ローカルメモリ212に心拍数データを記憶することができる。あるいはまたは追加として、センサ装置210は、使用者装置220に心拍数データを伝えてそのローカルメモリ222に記憶するか、またはそれをインターネットなどのネットワーク240に直接的にアップロードしてサーバ230に伝送するための該に説明するものなどのデータ移行手段を提供され得る。
【0048】
心拍数データは、センサ装置210の内部プロセッサ213、使用者装置220のプロセッサ223により、サーバ230で、または処理ステップの任意の好適な組み合わせを行うこれらの任意の組み合わせにより、処理することができる。
【0049】
標本抽出頻度は可変であってよい。このことは、データの正確さと(電)力消費との間の好適なバランスを達成する助けとなり得る。例えば、心拍数が第1の所定の閾値、例えば使用者の安静時心拍数に対する使用者の最大心拍数の60%を超えて上昇した(身体的活動が行われていることを示す)と決定された場合、標本抽出頻度を、例えば15秒毎に1回に上昇してよい。使用者の心拍数が第1の閾値未満に落ちた、または所定の期間、例えば5分間、第1の閾値未満であったと決定された場合、標本抽出頻度をその標準値に戻してよい。同様に、使用者の心拍数が第2の所定の閾値、例えば使用者の安静時心拍数に対する使用者の最大心拍数の5%未満に落ちた、または所定の期間、例えば10分間、かかる閾値未満であった(使用者が睡眠中であることを示す)と決定された場合、標本抽出頻度を、例えば10分毎に1回に低下してよい。使用者の心拍数が第2の閾値を再び超えたと決定された場合、標本抽出頻度をその標準値に戻してよい。
【0050】
図3は、標本抽出頻度を変化させるための一例のスキームを示すフローチャートである。301では、標本カウンタkは0に設定される。302では、使用者の現在の心拍数が測定され、yとして記録される。303では、yは使用者の心拍数範囲Δyと比較され、ここで:
【数1】
であり、これは、以前に記録された使用者の安静時心拍数と最大心拍数との差である。現在の心拍数値がΔyの5%未満である場合、304aで、標本抽出間隔Δtは10分間に設定される。現在の心拍数値がΔyの5%〜60%である場合、304bで、Δtは1分間に設定される。現在の心拍数値がΔyの60%を超える場合、304cで、Δtは15秒間に設定される。305で、タイマーはΔtの間待機するように設定され、それが満了したとき、kの値が1増大され、プロセスは302に戻る。
【0051】
一例の処理方法400を図4に示す。
【0052】
ステップ410で、一連の心拍数値yが測定され、記憶される。この一連の瞬間的標本抽出心拍数値は、時間として定義される監視期間にわたり記録される(t=−Tからt=0)。任意に、連続心拍数関数y(t)を、この一連の心拍数値から外挿することができる。
【0053】
ステップ421では、心拍数値(または心拍数関数)は、一連の強度値
【数2】
(または強度値関数
【数3】
)に変換される。これは線形強度スケーリングを用いて行うことができる。この例の方法では、強度変換は使用者の心拍数範囲(安静時心拍数yrestから最大心拍数ymaxまで)についての正規化である。これは、式2:
【数4】
に従って、一連の正規化心拍数値
【数5】
(または連続正規化心拍数関数
【数6】
)を生成する。これは、監視期間にわたり瞬間的努力の指示を与える。代替の強度スケーリングは、例えばピーク酸素取り込みに基づく個々のフィットネスレベルの割合を計算することにより使用することができる。
【0054】
心拍数データを記録するために可変標本抽出頻度が使用される場合、標本抽出頻度がその最大値未満であった期間の標本間で、標本間データ点を任意に外挿して、一定間隔で一連のデータ点を生成することができる。例えば、各所望の外挿されたデータ点に(時間的に)最も近い2つの標本抽出心拍数値の間の線形補間を使用することができる。この外挿は、強度スケーリング前または後に行うことができる。あるいは、標本間データ点の外挿が行われない場合、該に説明する可変標本抽出頻度は、より大きな努力の期間中はより高い標本抽出頻度を使用して、以下に説明する活動スコアの計算で運動中の心拍動のより高い加重をもたらすであろう。
【0055】
ステップ422では、強度値(または強度値関数)は、一連の強度スコアz(または強度スコア関数z(t))に変換される。これは、べき関数を用いて行うことができる。この例の方法では、強度スコア計算は、式3:
【数7】
に従って、指数関数を用いて行われ、式中、cは、定数スケーリング係数(単一であり得る)であり、cは定数重み係数である。代替のべき関数または他のスケーリング関数、例えば二次または三次を使用してもよい。
【0056】
活動スコアPは、ステップ423でコンピュータ計算される。活動スコアは、監視期間Tにわたる集計心拍動値、例えば式4:
【数8】
による、監視期間にわたる強度スコア(または強度関数)のオイラー積分和(または定積分)であり、式中、Nは監視期間にわたる標本抽出点の総数であり、Δtは標本抽出間隔である。
【0057】
ステップ431では、健康予測活動スコアVは、例えば式5:
【数9】
に従って、活動スコアPの陽関数として決定され、式中、c3およびc4は、母集団研究データから決定される定数である。ピーク酸素取り込みは心血管健康の優れた予測因子であるので、モデル較正のために、健康予測活動スコアは、母集団研究被験者のピーク酸素取り込みに統計的に連結することができる。(使用者のピーク酸素取り込みを必ずしも知る必要はないが、健康予測活動スコアは、経時的にある特定のピーク酸素取り込みを達成するために必要とされる活動スコアと比較されて、健康リスク指標を決定することができる。)
【0058】
定数c〜cのいずれかまたはすべては、性別、年齢、体重、身長などのうちの1つ以上などの使用者の生体測定データに従う複数の選択肢から選択することができる。例えば、男性使用者の好適な定数は、c=4.51、c=7.73、c=29.5、c=19.8であり得る。
【0059】
ステップ432で、1つ以上の健康リスク指標は、健康予測活動スコアから導出されたことができる。例えば、健康リスク指標は、健康予測活動スコアの線形スケーリングであってよく、ここで、完全な不活動は0の値を与え、100の値は生活習慣病を発症する最小限のリスクを示す。健康リスク指標は、健康に対する減少された/上昇されたリスクについての閾値に対して表すことができる。例えば、男性について45、または女性について35を超える健康リスク指標は、リスクの減少を示し得るが、この閾値未満の健康リスク指標は、リスクの上昇を示し得る。
【0060】
健康リスク指標は、式6:
【数10】
で定義されるように、個人活動指標PAIとして表すことができ、式中、V閾値は、性別、年齢、体重、身長などのうちの1つ以上などの使用者の生体測定データに従って複数の選択肢から任意に選択され得る定数である。それは、例えば男性使用者について45、または女性使用者について35であってよい。
【0061】
健康リスク指標は、使用者が、以前の監視期間と比較して自身の活動スコアを改善するのに、監視期間にわたり十分、身体的に活動的であったかどうかの二元表示であってよい。あるいは、それは、使用者が、以前の監視期間と比較して生活習慣病を発症する自身の一般的リスクを減少させるのに、監視期間にわたり十分、活動的であったかどうかの二元表示であってよい。より詳細なレベルが所望される場合、使用者が、以前の監視期間と比較して対応する1つ以上の特定の生活習慣病/状態を発症する自身のリスクを減少させるのに、監視期間にわたり十分、活動的であったかどうかを示すために、1つ以上の二元健康リスク指標を提供してよい。例えば、代謝症候群、アテローム性動脈硬化症、高血圧、高血液グルコース、好ましくない血液脂質プロファイル、肥満などについての個々の健康リスク指標を提供してよい。あるいは、生活習慣病を発症する一般的リスク要因の割合、または特定の生活習慣病を発症する1つ以上のリスク要因の割合を提供してもよい。使用者が、自身の平均余命を上昇させるために監視期間にわたり十分、活動的であったかどうかの二元表示を提供してもよく、または平均余命を提供してもよい。これらの指標の提供は、母集団研究データとの比較を含み、いくつかの提供は、年齢、体重、肥満度指数、喫煙およびアルコール摂取習慣、および食事、ならびに/または他の生体測定パラメータの監視などの使用者に関連する追加のデータを考慮することを含む。
【0062】
ステップ440で、健康リスク指標は、第1監視期間の終わりに、使用者または医療専門家に、例えば使用者インターフェースを介して、提供される。例えば、報告、もしくは例えばハイパーリンクを選択することもしくはアプリケーションを開くことにより報告にアクセスすることができる警告は、使用者もしくは医療専門家のアカウントに文字通信もしくはEメールで送信することができるか、または使用者装置のバックグラウンドで作動するアプリケーションは自動的に警告を開くか、もしくは始動することができる。あるいは、使用者または医療専門家は、所望の場合、報告を手動で要求することが必要とされる場合がある。システムのソフトウェアは、リンクされたソーシャルメディアのアカウント上で各報告またはあらゆる報告を共有する機会を使用者に提供し得る。
【0063】
健康リスク指標を示す図形による使用者インターフェースは、例えば図5で示されるとおりであってよい。PAIは上部に示され、生活習慣病を発症するリスクを示す色のバーにより下部に図形として表されている。示される例では、PAIは、最小限のリスク(100)のために十分な活動の閾値を超える125であり、このため、色のバーは上部の分割線を超えて緑色区域まで埋まっている。
【0064】
最新の健康リスク指標が監視期間により分けられる1回の頻度、例えば1週間に1回で入手可能であるように、第2の監視期間は第1の監視期間から連続して続いてよい。あるいは、例えば最新の健康リスク指標がその前の7日間にわたり収集されたデータに基づいて毎日入手可能であるように、監視期間はスライディングウィンドウ式であってよい。
【0065】
活動レベルが上昇するにつれて、活動からの健康利益は減少し、最も高い利益は、完全な不活動からほんのわずかな活動への上昇から示される。したがって、集計心拍動値は、より高い活動スコアの加重を低下させる関数の使用により計算することができる。
【0066】
使用者の動きデータが監視期間のいくらかまたはすべてについて得られた場合、例えばセンサ装置210または追加のセンサ装置が三軸加速度計などの動きセンサを含む場合、これは健康リスク指標の決定において考慮されてよい。例えば、使用者の心拍数が(使用者の安静時および最大心拍数について)高いが、使用者は動いていないように見える場合、これは身体的努力ではなく精神的ストレスのためであり得る。それゆえ、該の方法に従ってその高い心拍数期間の心拍動に与えられ得る高い加重は、活動レベルの誤示を提供し得る。それゆえ、測定された(または外挿された)心拍数が、例えば1分間当たり30拍などの所定の余分、動きセンサにより示唆される活動レベルについて予想され得るより高い期間中は、適用される加重を、例えば15%減少してよい。
【0067】
動きセンサが、使用者が動いていないことを示唆する期間中に、(使用者の安静時および最大心拍数に対して)比較的高い心拍数が測定されることは、特に数時間にわたり維持される場合、心疾患の兆候であり得る(Nauman et al,JAMA 2011)。この状態が、例えば2時間の所定の期間にわたり維持されていると決定された場合、システムは、使用者に、医療的な経過観察のために主治医に連絡するように知らせてもよい。
【0068】
かかる組み合わせの脈拍および動きセンサアプローチが使用される場合、使用者が、運動中、身体の活動部分に動きセンサを装着することを確実にすると、より大きな正確さが得られ得る。例えば、手首に巻く動きセンサは、サイクリング中に収集される心拍数データの加重の不正確な低下をもたらす場合があるが、足首に巻く動きセンサはそうではない。システムは、心拍数データおよび動きセンサデータが同様の活動レベルを示さない場合、例えば、測定された(または外挿された)心拍数が該所定の余分、動きセンサにより示唆される活動レベルについて予想され得るより高い場合、使用者インターフェースを介して使用者に警告してもよい。かかる表示は、例えば使用者に、運動中、身体のより適切な部分に動きセンサを付け替える(例えば、サイクリング中に、バンド型動きセンサを手首から足首に移動させる)ことを促し得るか、または心臓患者に、彼らが望ましくない精神的ストレス下にいること、および可能であれば休息をとるべきであることを示し得る。
【0069】
運動訓練目的のために使用される心拍数監視器は多くの場合、疑似結果を生成することが分かっている。これを避けるために、モデルに基づく推定基準(カルマンフィルタなど)が使用され得る。例えば、検出された信号をフィルタにかけ、かつ/またはノイズ成分を抽出して、個々のデータ点がすべて更なる処理に含まれるべきかどうかを判定することができる。所定の品質基準を満たさないセンサデータは、これにより拒否することができる。推定基準は、更なる処理にかけるために合格したデータが、経時的に心拍数における生理学的かつ身体的に妥当な変化を表すことを確実にするように取り計らわれ得る。
【0070】
心拍数データから決定され得る更なるパラメータは、使用者のピーク有酸素能力、または心肺フィットネスの測定値であるピークVOである。集計心拍動値、例えば健康予測的活動スコアVは、ピークVOを含むデータに統計的に当てはめることができる。しかしながら、本発明は、現在の(典型的に1週間の期間にわたる)活動レベルの瞬間の査定を提供するので、それはピークVOを明示的に決定することはできない。ピークVOは、身体的活動プロファイルの上昇と共にゆっくりと上昇し、身体的活動の不在(または低下)と共にゆっくりと低下して、経時的に発展する。しかしながら、ある特定の活動スコアVの持続は、Vのモデルへのデータ当てはめから決定されるピークVO値に向かって収束するであろう。活動により誘導されたピークVO推定値AIピークVO2は、式7:
【数11】
により、Vについての低域通過フィルタ、例えば一次低域通過フィルタにより推定することができ、式中、αは訓練に対する個人の応答を表す時定数により与えられる定数である。αは、母集団研究から決定され、および/または使用者の安静時心拍数のゆっくりと変動する変化を分析することにより個々に当てはめた、平均値であってよい。活動により誘導されたピークVO推定値は、使用者の年齢、安静時心拍数、および/または腰線測定値/肥満度指数を用いることにより真のピークVO推定値に更に修正され得る(Nes et al 2011 & Nes et al,未出版データ)。
【0071】
図6A〜6Dは、式5に従って計算される健康予測活動スコアVが、どのように、それぞれ、50、70、80、および90%のピーク酸素取り込みで1週間当たり様々な量の運動を行う試験対象のピークVOに関連するかを示す。
【0072】
図7A及びBは、年齢調節PAIが、どのように、女性(図7A)および男性(図7B)の大きな母集団研究における生存を予想するかを示す。
【0073】
出願人は、本明細書により単独で、本明細書で説明する各個々の特徴および2つ以上のかかる特徴の任意の組み合わせを開示し、本開示は、かかる特徴または組み合わせが、当業者の通常の一般的知識に照らして全体として本明細書に基づいて行うことができるようにするものであるが、かかる特徴または特徴の組み合わせが本明細書で開示する任意の問題を解決するかどうかには関わらず、特許請求の範囲を限定するものではない。出願人は、本発明の態様が、任意のかかる個々の特徴または特徴の組み合わせからなってよいことを示す。該説明に照らして、本発明の範囲内で様々な改変がなされ得ることが当業者に明らかであろう。ここで、本実施形態に係る発明の例を項目として記載する。
[項目1]
心拍数データを処理する方法であって、
少なくとも1日間の監視期間にわたり記録された使用者の心拍数データを得ることと、
上記使用者の生体測定データに応じて上記心拍数データを処理して、上記監視期間にわたる上記使用者の集計心拍動値を決定することと、
母集団調査データを用いて上記集計心拍動値を統計的に当てはめることにより、1つ以上の生活習慣病を発症する上記使用者のリスクを示す上記使用者の健康リスク指標を決定することと、
使用者インターフェースを用いて、上記健康リスク指標を上記使用者に提供することと、を含む、方法。
[項目2]
上記生体測定データが、上記使用者の安静時心拍数値および上記使用者の最大心拍数値を含む、項目1に記載の方法。
[項目3]
上記監視期間が、少なくとも5日間である、項目1または2に記載の方法。
[項目4]
上記監視期間にわたり上記使用者の脈拍を感知して一連の脈拍測定値を生成することと、上記一連の脈拍測定値から上記集計心拍動値を決定することと、を更に含む、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
[項目5]
上記集計心拍動値を決定する前に、上記一連の脈拍測定値にモデルに基づく推定基準を適用することと、上記一連の測定値からの品質基準を満たさないいずれの個々の脈拍測定値も、更なる処理から除外することと、を更に含む、項目4に記載の方法。
[項目6]
上記モデルに基づく推定基準がカルマンフィルタである、項目5に記載の方法。
[項目7]
上記方法がノイズ推定を含み、上記品質基準が、得られたノイズ推定値に依存する、項目5または6に記載の方法。
[項目8]
上記モデルに基づく推定基準が存在する場合、その適用後に、上記一連の脈拍測定値を外挿して、上記監視期間にわたる均一に分布した一連のデータ点または連続心拍数関数を生成することを更に含む、項目4から7のいずれか一項に記載の方法。
[項目9]
上記処理が、上記心拍数データ、上記心拍数データから導出された均一に分布した一連のデータ点、または上記心拍数データから導出された連続関数を、上記安静時心拍数値を引き、結果を上記最大心拍数値と上記安静時心拍数値との差で割ることにより、正規化することを含む、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
[項目10]
上記処理が、
【数12】
に従って、一連の正規化心拍数値
【数13】
または連続正規化心拍数関数
【数14】
)、定数スケーリング係数c、および定数重み係数cから、一連の強度スコアzまたは強度スコア関数z(t)を決定することを更に含み、式中、cおよびcが、上記使用者の生体測定データに従う複数の選択肢から選択される、項目9に記載の方法。
[項目11]
上記集計心拍動値が、上記監視期間にわたる上記強度スコアまたは強度関数のオイラー積分和または定積分として決定される、項目10に記載の方法。
[項目12]
上記健康リスク指標の上記決定が、
【数15】
に従って、上記心拍動集計値P、ならびに上記母集団調査データから決定された定数cおよびcから、健康予測的活動スコアVを決定することを含む、項目11に記載の方法。
[項目13]
上記健康リスク指標PAIが、
【数16】
に従って決定され、式中、V閾値が、上記使用者の生体測定データに従う複数の選択肢から選択される定数である、項目12に記載の方法。
[項目14]
上記感知が周期的であり、上記周期的感知の標本抽出頻度が経時的に可変であり、
上記標本抽出頻度が、上記使用者の心拍数が第1の所定の閾値を超えて上昇したという決定に応答して上昇され、かつ/または
上記標本抽出頻度が、上記使用者の心拍数が第2の所定の閾値未満に低下したという決定に応答して低下される、
項目4、または項目4に直接もしくは間接的に従属する項目5から13のいずれか一項に記載の方法。
[項目15]
周期的に繰り返され、繰り返し期間が、
上記方法が連続的に繰り返されるように上記監視期間と等しいか、または
上記方法がスライディングウィンドウ式で行われるように上記監視期間より短い、
項目1から14のいずれか一項に記載の方法。
[項目16]
上記使用者の上記集計心拍動値またはそれから導出された値および生体測定データについて低域通過フィルタを用いて上記使用者のピーク有酸素能力を推定することを更に含む、項目1から15のいずれか一項に記載の方法。
[項目17]
項目1から16のいずれか一項に記載の方法を行うためのコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム製品。
[項目18]
心拍数データを処理するためのシステムであって、上記システムが、
少なくとも1日間の監視期間にわたり使用者の心拍数データを受信するように構成されたデータ入力と、
プロセッサであって、
上記使用者の生体測定データに応じて上記心拍数データを処理して、上記監視期間にわたる上記使用者の集計心拍動値を決定するように、かつ
母集団調査データを用いて上記集計心拍動値を統計的に当てはめることにより、1つ以上の生活習慣病を発症する上記使用者のリスクを示す上記使用者の健康リスク指標を決定するように構成された、プロセッサと、
上記使用者への提供のために使用者インターフェースに上記健康リスク指標を提供するように構成されたデータ出力と、
を含む、システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B