(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6531189
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】揺れる装身具
(51)【国際特許分類】
A44C 17/02 20060101AFI20190531BHJP
A44C 25/00 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
A44C17/02
A44C25/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-6256(P2018-6256)
(22)【出願日】2018年1月18日
【審査請求日】2018年12月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518019570
【氏名又は名称】志村 修
(74)【代理人】
【識別番号】100080654
【弁理士】
【氏名又は名称】土橋 博司
(72)【発明者】
【氏名】志村 修
【審査官】
吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−070707(JP,A)
【文献】
特表2009−523509(JP,A)
【文献】
特開2015−039541(JP,A)
【文献】
特開2000−126015(JP,A)
【文献】
韓国公開実用新案第20−2010−0010428(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 17/02
A44C 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾体に一体的に取り付けられ、側面に開口部を備え、前記開口部と連通する内部空間を有する揺動部材と、
装身具本体に取り付けられ、かつ端部に上向きの軸ピンを取り付けられた前記揺動部材側面の開口部への挿入部を備えた支持アームとを備え、
前記揺動部材の内部空間の上部に、上に凸となるように設けた凹部と前記軸ピンの先端を係合し、前記装飾体を揺動自在に保持するようにしたことを特徴とする揺れる装身具。
【請求項2】
前記揺動部材は、その上部に設けた凹部がほぼ円弧状断面に形成されており、前記軸ピンの先端が揺動自在に係合されていることを特徴とする請求項1に記載の揺れる装身具。
【請求項3】
前記軸ピンは、前記支持アームの下方に延びる垂下部を備え、該垂下部によって簡単に脱落することを防止するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の揺れる装身具。
【請求項4】
前記揺動部材は、その内部空間下部に前記支持アームの端部に取り付けた前記軸ピンの垂下部を揺動させるための微細な間隙を設けたことを特徴とする請求項3に記載の揺れる装身具。
【請求項5】
前記揺動部材は、その側面の開口部が、前記支持アームを介して前後、左右および周方向に揺動させるための形状を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の揺れる装身具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自在に揺動ないし回動することができる装飾性に優れた装身具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸を内蔵して宝石台等を備えた装飾部を回転させる、回転あるいは回動機能を持った指輪等の回転装身具が知られている。
同様に、宝石台等を備えた装飾部を吊り構造によって装身具に揺動可能に取り付け、揺動機能を持たせた指輪等の揺動装身具も提案されている。
【0003】
また回転軸を内蔵して装飾体を揺動自在とした例としては、特開2015−39541号公報(特許文献1参照)があり、装身具本体の適宜位置に設けた装飾体を収納する凹部と、該凹部の底面に立設されたピボット状の支柱と、該支柱に取り付けられるピボット軸受状の凹面を設けた軸孔を備え、その周辺に適宜宝石類を配置して、前記装身具本体の凹部に収納した揺動・回転可能な装飾体と、前記装飾体の揺動・回転を許容する隙間を空けて装身具本体の前記凹部の周囲に取り付けることにより、装飾体を揺動・回転可能に保持する装飾体保持手段とを有する揺動・回転装身具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−39541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2015−39541号公報(特許文献1参照)においては、装身具本体の適宜位置に設けた凹部の底面にピボット状の支柱を立設し、装飾体をこの支柱に揺動・回転可能に吊り下げたに過ぎないため、装飾体の形状等に制約を受け、多彩な装飾性を備えた装身具には適用できないという欠点があった。
【0006】
本発明は上記した従来の回転装身具や揺動装身具の問題点を改良したものであり、多彩なバリエーションを有する装身具に適用することが可能であり、しかも着用者の動きに応じて揺動することにより装飾体上の宝石等がキラキラ輝くばかりか、装飾体は自由に揺動あるいは回動することが可能であってより装飾性に優れており、また部品点数が少なく、その組み付けも簡単な揺れる装身具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわちこの発明の揺れる装身具は、装飾体に一体的に取り付けられ、側面に開口部を備え、前記開口部と連通する内部空間を有する揺動部材と、装身具本体に取り付けられ、かつ端部に上向きの軸ピンを取り付けられた前記揺動部材側面の開口部への挿入部を備えた支持アームとを備え、前記揺動部材の内部空間の上部に、上に凸となるように設けた凹部と前記軸ピンの先端を係合し、前記装飾体を揺動自在に保持するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
この発明の揺れる装身具において、
前記揺動部材は、その上部に設けた凹部がほぼ円弧状断面に形成されており、前記軸ピンの先端が揺動自在に係合されていることをも特徴とするものである。
【0009】
この発明の揺れる装身具において、前記軸ピンは、前記支持アームの下方に延びる垂下部を備え、該垂下部によって簡単に脱落することを防止するようにしたことをも特徴とするものである。
【0010】
この発明の揺れる装身具において、
前記揺動部材は、その内部空間下部に前記支持アームの端部に取り付けた前記軸ピンの垂下部を揺動させるための微細な間隙を設けたことをも特徴とするものである。
【0011】
この発明の揺れる装身具において、
前記揺動部材は、その側面の開口部が、前記支持アームを介して前後、左右および周方向に揺動させるための形状を備えていることをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、揺動部材側面の開口部への挿入部を備えた支持アームの端部に軸ピンを立設し、装飾体を揺動部材を介してこの軸ピンに揺動自在に吊り下げたため、装飾体の形状等に制約を受けることなく、多彩な装飾性を備えた装身具に適用することができる。
また請求項2の発明によれば、
前記揺動部材は、その上部に設けた凹部がほぼ円弧状断面に形成されており、前記軸ピンの先端が揺動自在に係合しているため、無理なく揺動させることができるようになった。
【0013】
請求項3の発明によれば、前記軸ピンは、前記支持アームの下方に延びる垂下部を備え、該垂下部によって簡単に脱落することを防止するようにしたので、軸ピンの取付けが容易でかつ簡単には抜け落ちないようにすることができるようになった。
請求項4の発明によれば、
前記揺動部材は、その内部空間下部に前記支持アームの端部に取り付けた前記軸ピンの垂下部を揺動させるための微細な間隙を設けたため、装飾体が跳ねるような動きをすることがなく、スムーズに揺動させることができるようになった。
【0014】
請求項5の発明によれば、
前記揺動部材は、その側面の開口部が、前記支持アームを介して前後、左右および周方向に揺動させるための形状を備えており、ほとんど制約なく装飾体が揺動ないし回動することが可能な揺れる装身具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の揺れる装身具をブローチに適用した第1の実施例を示す概略側面図である。
【
図7】揺動部材が触れる状態を示す概略平面図である。
【
図11】その組付け段階を示す概略側面断面図である。
【
図12】その組付けた状態の概略斜視断面図である。
【
図13】揺動部材に装飾体を取り付けた状態を示す概略側面断面図である。
【
図14】本発明の第2の実施例を示す概略断面図である。
【
図15】装飾体をテニスボールに適用した状態の概略正面図である。
【
図16】装飾体を野球ボールに適用した状態の概略正面図である。
【
図17】装飾体を星形のイヤリングに適用した状態の概略正面図である。
【
図18】装飾体を三つの星形の組み合わせとした状態の概略正面図である。
【
図19】装飾体をイヤリングの装飾部に適用した状態の概略正面図である。
【
図20】この発明の揺れる装身具の変形例を示し、その使用状態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基いて本発明の揺れる装身具の実施の形態について詳細に説明する。
図1ないし
図13は本発明の揺れる装身具をネックレス等に適用した第1の実施例を示すものである。
図1ないし
図6において、第1実施例の揺れる装身具11は、後述する装飾体に一体的に取り付けられるものであって、側面に開口部13を備えた自由に揺動する揺動部材12と、装身具本体(図示を省略)に取り付けられ、かつ端部に上向きの軸ピン16を取り付けられた前記揺動部材12の側面の開口部13への挿入部15を備えた支持アーム14とを備えている。
その上で、前記揺動部材12の上部に設けた凹部12aに前記軸ピン16の先端を係合し、後述する装飾体を揺動自在に保持するようにしたものである。
【0017】
前記揺れる装身具11においては、前記自由に揺動する揺動部材12は、その上部に設けた凹部12aがほぼ円弧状断面に形成されており、前記軸ピン16の先端が無理なく揺動することができるように係合されている。
また前記揺れる装身具11においては、前記軸ピン16は、前記支持アーム14の下方に延びる垂下部17を備え、該垂下部17によって簡単に脱落することを防止できるようになっている。
【0018】
そして
図7〜
図9に示すように、前記揺れる装身具11においては、前記自由に揺動する揺動部材12は、その内部空間下部12bに、前記支持アーム14の端部に取り付けた前記軸ピン16の垂下部17を揺動させるための微細な間隙12cが設けられている。
【0019】
前記揺れる装身具11をより詳しく述べると、前記自由に揺動する揺動部材12の側面の開口部13が、前記支持アーム14を介して前後、左右および周方向に揺動させるための形状を備えている。
すなわち開口部13の上下の幅hは、揺動部材12が前後や左右に振れることを許容する寸法に形成されており、また左右の幅lは揺動部材12が周方向に回動することを許容する寸法に形成されている。
したがって、ネックレス等に適用した揺れる装身具11は、装着者の身体の動きに応じて自在に前後左右に振れたり、周方向に回動するのである。
【0020】
図10ないし
図12は、前記揺れる装身具11を組み付けようとする段階を示すものである。
図10の揺れる装身具11は揺動部材12と支持アーム14と組み付け前の状態であり、
図11のように、揺動部材12の側面の開口部13に、前記支持アーム14の端部に取り付けた前記軸ピン16をその上端側からはめ込み、次いで前記軸ピン16の垂下部17をはめ込むことにより組み付けは完了する。
図12は組付け完了時の状態を示すものであり、前記軸ピン16は前記揺動部材12の開口部13から簡単に抜け落ちることはない。
【0021】
図13は、前記揺れる装身具11を構成する揺動部材12の上部外面に取付アーム12dを突設し、その先端に装飾体21を取り付けた状態を示している。なお、前記装飾体21は前記揺動部材12を包み込むように配設され、かつ適宜の形態を有するように形成されている。
例えば、前記装飾体21は前面が膨出した円弧状断面を備えており、前記軸ピン16で支承される場合の重心位置pが前記装飾体21が正面を向くように支持されている。したがって、前記装飾体21は重心位置pの前後において均等な重さとなることが望ましく、バランスが不均一な場合には重りw等で調整すればよい。
【0022】
図14は、本発明の揺れる装身具の第2の実施例を示すものである。
前記第1の実施例とこの第2の実施例との相違点は、揺動部材31に装着される支持アーム32の軸ピン34が、前記支持アーム32の端部に取り付けた取付孔33に装着されていることである。このようにすると、前記支持アーム32と軸ピン34の素材を変えることができ、前記軸ピン34の素材をより硬質のものに変更することができ、前記揺動部材12をより耐久性のあるものとすることができる。
【0023】
図15〜
図19は、この発明の揺れる装身具を種々のモチーフに適用した例を示すものである。
図15においては装飾体をラケット42に取り付けたテニスボール41のパーツに適用した例を、
図16は装飾体をバット52に取り付けた野球ボール51のパーツに適用した例を、
図17は装飾体を星形のイヤリングパーツ61に適用した例をそれぞれ示している。
図17において62は星形のイヤリングパーツ61にチェーン等を介して取り付けた付属のパーツである。
図18は装飾体をワイヤ72等で連結した三つの星形パーツ71の組み合わせとした例を示すものである。
また
図19は、装飾体をイヤリングの装飾部81のパーツに適用した例を示している。
いずれの例においても、各パーツを装着者の身体の動きに応じて自在に前後左右に振れたり、周方向に回動するようになっており、その装飾性を飛躍的に高めることができる。
【0024】
図20および
図21はこの発明の揺れる装身具の変形例を示すものであり、支持アーム91の末端を着用者の身体93に当接するハート形等のスペーサ92の上部に連結固定したものである。こうすることによってこの発明の揺れる装身具における装飾体の動きを制限することなく、自在に揺動させることができるようになるのである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は以上の通りの構成を有するものであり、上記各実施例において説明したネックレスやイヤリングとしてのみならず、ペンダントやブレスレット、ブローチその他の広範囲な装身具に応用することができる。
なお、前記装飾体には宝石類を取り付けることもでき、装飾性を備えていれば貴金属素材や宝石類に代えて種々の装飾材料を適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0026】
11 揺れる装身具
12 揺動部材
12a 凹部
12b 内部空間下部
12c 間隙
12d 取付アーム
13 開口部
14 支持アーム
15 挿入部
16 軸ピン
17 垂下部
21 装飾体
31 揺動部材
32 支持アーム
33 取付孔
34 軸ピン
41 テニスボール
42 ラケット
51 野球ボール
52 バット
61 星形のイヤリングパーツ
62 付属のパーツ
71 星形パーツ
72 ワイヤ
81 イヤリングの装飾部
91 支持アーム
92 スペーサ
93 身体
h 上下の幅
l 左右の幅
p 重心位置
w 重り
【要約】 (修正有)
【課題】多彩なバリエーションを有する装身具に適用することが可能であり、しかも着用者の動きに応じて揺動することにより装飾体上の宝石等がキラキラ輝くばかりか、装飾体は自由に揺動あるいは回動することが可能であってより装飾性に優れており、また部品点数が少なく、その組み付けも簡単な揺れる装身具を提供する。
【解決手段】装飾体に一体的に取り付けられ、側面に開口部を備えた自由に揺動する揺動部材12と、装身具11本体に取り付けられ、かつ端部に上向きの軸ピン16を取り付けられた前記揺動部材12側面の開口部への挿入部を備えた支持アームとを備え、前記揺動部材12の上部に設けた凹部に前記軸ピン16の先端を係合し、前記装飾体を揺動自在に保持するようにしたことを特徴とする揺れる装身具11。
【選択図】
図9