(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
気密で断熱されたケースと、該ケースの中央に配設された燃焼炉と、該燃焼炉の下方に設けられた給気ブロアと、前記燃焼炉の上方に設けられ前記燃焼炉からの燃焼ガスが流通する放熱管と、前記燃焼炉の内端側に隣接して設けられ、前記放熱管が接続された2次熱交換器と、前記ケースの上面に形成された乾燥ガス排出口と、前記ケース背面に形成された空気吸引口と、前記ケースの背面に沿って設けられ、前記空気吸引口と連通する空気吸引ダクトとを具備し、
前記燃焼炉からの燃焼ガスは、前記放熱管を通って前記2次熱交換器に流入し、更に排気管を経て排気され、
外部空気は前記空気吸引ダクトを経て前記給気ブロアにより吸引され、
該給気ブロアから内部空気として吐出され、該内部空気は、前記燃焼炉の周囲、前記放熱管の間を通って前記乾燥ガス排出口より吐出され、且つ前記内部空気の一部は前記2次熱交換器に吸引され、該2次熱交換器を流通して前記ケース内部に流出し、前記内部空気は前記燃焼炉を冷却して該燃焼炉から吸熱し、
且つ前記放熱管を介して前記燃焼ガスと熱交換して加熱され、
且つ前記内部空気の一部は前記2次熱交換器内で前記放熱管から流入した燃焼ガスと熱交換し、所定温度に加熱され、前記放熱管の間を通過した空気と前記内部空気の一部とが混合され、乾燥用空気として前記乾燥ガス排出口より吐出される様構成された乾燥用空気供給装置。
前記放熱管は上下2段で構成され、上側の放熱管は前記燃焼炉より更に延出し、前記放熱管の延出部下方に前記2次熱交換器が設けられ、該2次熱交換器の上部が前記放熱管と連通し、前記2次熱交換器の下部が前記排気管に連通する請求項1に記載の乾燥用空気供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0012】
先ず、
図1に於いて、本実施例に係る乾燥用空気供給装置1の基本構成について説明する。
【0013】
図1中、2はバーナ、3は1次熱交換器、4は2次熱交換器、5は給気ブロア、6は乾燥室、7は排気、8は熱交換過程で燃焼ガスから結露したドレン水である。
【0014】
本乾燥用空気供給装置1に於ける、運転状態の一例としては、前記バーナ2での燃焼で得られる燃焼ガスの温度は1800℃であり、前記1次熱交換器3、前記2次熱交換器4には前記給気ブロア5から乾燥室外部から吸引された空気が送給され、前記1次熱交換器3での熱交換で略80℃に加熱された1次加熱空気9が得られ、前記2次熱交換器4での熱交換で200℃〜300℃に加熱された2次加熱空気10が得られる。
【0015】
前記1次加熱空気9、前記2次加熱空気10が混合され、前記乾燥室6に供給されることで、該乾燥室6は最大80℃迄昇温され、乾燥に供される。
【0016】
図2〜
図4に於いて、前記乾燥用空気供給装置1の具体的な実施例について説明する。
【0017】
図2中、12はケースを示し、該ケース12は気密な構造となっており、該ケース12を形成する各面の内面には断熱材が設けられ、前記ケース12は断熱構造になっている。
【0018】
前記ケース12の底面には、前記給気ブロア5が設置される。該給気ブロア5は、要求される乾燥用空気の風量に対応し、1又は複数設置される。図示では、2の給気ブロア5が設置されている。更に、該給気ブロア5は、前記乾燥室6が要求される温度等、乾燥条件に応じて送風量の調整が可能となっている。
【0019】
前記ケース12の中央には水平の軸心を有し、前記給気ブロア5の上方に水平方向に位置する燃焼炉13が設置される。
【0020】
該燃焼炉13の外端側(
図2中、左端)からバーナ14が挿入されて設けられている。前記燃焼炉13の内端(図中、右端)には、燃焼ガスガイドダクト15が設けられている。該燃焼ガスガイドダクト15は、前記燃焼炉13の右端を気密に覆うと共に上方に延出している。
【0021】
前記燃焼炉13の上側には放熱管16が前記燃焼炉13の軸心と平行に所要本数(本実施例では3本)配設されている。前記放熱管16の右端が前記燃焼ガスガイドダクト15の上方延出部に気密に連結されている。
【0022】
該放熱管16の上側には所要本数(本実施例では3本)の放熱管17が前記放熱管16と平行に設けられ、前記放熱管16と前記放熱管17の左端は、管寄せダクト18により気密に連結されている。前記放熱管17の右端部は、前記燃焼ガスガイドダクト15より更に右方に水平に延出している。前記燃焼炉13、前記放熱管16,17は1次熱交換器を構成する。
【0023】
前記放熱管17の水平延出部の下方であり、前記燃焼炉13の反バーナ14側に隣接して2次熱交換器19が所要数(図示では2組)設けられている。前記2次熱交換器19は前記放熱管16,17の下流側に位置し、前記2次熱交換器19は、
図2に於いて、紙面に対して垂直な方向に2組、鉛直姿勢で配置されている。
【0024】
図5に示される様に、該2次熱交換器19はそれぞれ、上端右側部に高温流体入口44、上端左側部に低温流体出口47が設けられている。更に、該2次熱交換器19はそれぞれ、下端右側部に高温流体出口45、下端左側部に低温流体入口46が設けられている。該低温流体入口46には低温空気誘引ダクト21が設けられ、該低温空気誘引ダクト21の上流端(図示では下端)に流量調整用のダンパ26が設けられる。該ダンパ26は下方から上昇し、前記低温空気誘引ダクト21に流入する空気54の流量を調整し、該低温空気誘引ダクト21は流入した前記空気54を前記低温流体入口46に誘導する。
【0025】
前記放熱管17の右端と前記2次熱交換器19の上端右側部に掛渡って、連絡ダクト22が設けられ、前記放熱管17の開口端と前記2次熱交換器19の前記高温流体入口44とを気密に連結している。
【0026】
前記ケース12の右側面の外側には排気管23が鉛直方向に設けられている。該排気管23の下端は気密に閉塞され、該排気管23の下端部側面には排気入口(図示せず)が設けられている。該排気入口と前記高温流体出口45とは排気ダクト24によって気密に連結されている。前記排気管23の上流部分(図示では下端部)は前記ケース12に収納され、前記ケース12の天井板を貫通して外部に延出している。
【0027】
前記排気管23には温度センサ30が設けられ、該温度センサ30は前記排気管23内を流通する排気ガスの温度を検知し、検知した温度は制御装置35(後述)に入力される。
【0028】
前記2次熱交換器19の下方にはドレンタンク25が設けられ、前記2次熱交換器19で結露した水が滴下、貯溜される様になっている。尚、前記ドレンタンク25は、前記2次熱交換器19から排出される燃焼ガスが100℃以下にならない様に本装置が運転される場合は、省略することができる。
【0029】
前記給気ブロア5、前記燃焼炉13、前記放熱管16、前記放熱管17、前記2次熱交換器19、前記排気管23、前記ドレンタンク25等は、所要の支持部材により前記ケース12に固定されている。
【0030】
前記ケース12の上面、前記燃焼炉13と対向する位置に乾燥ガス排出口27が設けられている。該乾燥ガス排出口27には該乾燥ガス排出口27から排出される乾燥用空気28を前記乾燥室6(図示せず)に導く為の乾燥用空気供給ダクト29が連通されている。
【0031】
前記ケース12の背面側に、空気吸引ダクト31が設けられ、前記ケース12の背面下部の前記給気ブロア5と対向する位置に空気吸引口32が形成される。前記空気吸引ダクト31は前記空気吸引口32を介して前記ケース12の内部と連通している。
【0032】
前記空気吸引ダクト31の上端には、空気吸引口33が設けられ、該空気吸引口33の下側には、フィルタ34が設けられている。
【0033】
前記給気ブロア5の駆動、前記バーナ14の燃焼負荷制御は、前記制御装置35によって制御される様になっており、前記給気ブロア5の送風制御、前記バーナ14の燃焼状態の制御により、前記乾燥室6に供給される乾燥用空気28の温度、風量が前記乾燥室6で要求される条件に合致する様に制御される。更に、前記温度センサ30の検知結果に基づき、排気温度が所定の温度となる様に、前記ダンパ26が制御され、前記2次熱交換器19への空気54の流量が調整される。
【0034】
次に、
図5を参照して前記2次熱交換器19について説明する。尚、
図6は前記2次熱交換器19に使用される熱交換器本体37を示しており、該熱交換器本体37としては、例えば特許文献1に開示されたものを使用することができる。
【0035】
以下、該熱交換器本体37について略述する。
【0036】
該熱交換器本体37は気密に構成された箱体となっており、箱ケース41の内部に伝熱体42が収納されている。該伝熱体42は、金属材料の平板を、葛折状に多数回折返し、平板を挾んで高温流体流路と低温流体流路とが交互に形成される構造となっている。前記伝熱体42は、熱交換されるガス流量に対して大きな伝熱面積を有し、80%以上の高効率で熱交換が可能となっている。
【0037】
前記箱ケース41の図示の背面には高温流体入口44及び高温流体出口45が形成される。前記高温流体入口44、前記高温流体出口45は前記高温流体流路に連通する。又、前記箱ケース41の図示の前面には低温流体入口46、低温流体出口47が形成され、前記低温流体入口46、前記低温流体出口47は前記低温流体流路に連通する。
【0038】
高温流体である燃焼ガス57が前記高温流体流路を流通し、低温流体である前記空気54が前記低温流体流路を流通し、流通する過程で前記伝熱体42を介して前記燃焼ガス57と前記空気54間で熱の授受が行われる。
【0039】
次に、
図5を参照して、前記2次熱交換器19について説明する。尚、
図5中、前記伝熱体42については図示を省略している。
【0040】
前記熱交換器本体37は、前記高温流体出口45、前記低温流体入口46が下側に位置する姿勢で前記乾燥用空気供給装置1に組込まれている。
【0041】
前記熱交換器本体37の下端部には、空気吸入排出部51が設けられ、該空気吸入排出部51は、吸入部52及び排出部53とから構成されている。
【0042】
前記吸入部52は前記給気ブロア5から送風される空気54を誘引する前記低温空気誘引ダクト21を有し、該低温空気誘引ダクト21は前記低温流体入口46と連通している。前記排出部53は前記熱交換器本体37の前記高温流体出口45を含み、該高温流体出口45から流出する熱交換後の燃焼ガス57を排出する前記排気ダクト24を有する。該排気ダクト24は前記排気管23に接続されている。
【0043】
前記吸入部52内には前記ダンパ26、前記低温空気誘引ダクト21を介して外部より前記空気54を吸引し、該空気54を前記低温流体入口46より吐出する吸入ファン55が収納されている。前記排出部53内には排出ファン56が収納され、該排出ファン56は前記高温流体出口45より前記燃焼ガス57を吸引し、前記排気ダクト24より前記燃焼ガス57を排出する。
【0044】
前記吸入ファン55と前記排出ファン56とはファンモータ58により一体に回転される様になっている。該ファンモータ58の駆動の制御、前記ダンパ26の開度の制御は、前記制御装置35によって実行される。尚、前記吸入ファン55及び前記排出ファン56は、2つのモータでそれぞれ個別に回転させる様にしてもよい。更に又、前記吸入ファン55、前記排出ファン56のいずれか一方を省略してもよい。
【0045】
而して、前記連絡ダクト22を介して前記高温流体入口44より前記燃焼ガス57が前記熱交換器本体37内に流入し、更に該燃焼ガス57は前記熱交換器本体37を流通する過程で冷却され、前記高温流体出口45より前記排気ダクト24を介して流出する。又、前記空気54は、前記低温空気誘引ダクト21を介して前記低温流体入口46より前記熱交換器本体37内に流入し、更に前記熱交換器本体37を流通する過程で昇温され、前記低温流体出口47より吐出される。
【0046】
以下、前記乾燥用空気供給装置1の作用について説明する。
【0047】
前記バーナ14の燃焼作用で発生した燃焼ガスは、前記燃焼ガスガイドダクト15、前記放熱管16、前記放熱管17、前記連絡ダクト22を経て前記2次熱交換器19に流入し、該2次熱交換器19を流通した燃焼ガスは、前記排気ダクト24、前記排気管23を経て排気される。最終的に排気される燃焼ガスの温度は、80℃〜150℃迄冷却される。
【0048】
乾燥用に供される空気は、前記空気吸引口33より吸引され、前記フィルタ34で流量調整され、前記空気吸引ダクト31、前記空気吸引口32を経て、前記給気ブロア5により吸引され、上方に吐出される。
【0049】
吐出された空気59は、前記燃焼炉13の周囲を上昇し、更に前記放熱管16、17の間を通って上昇し、前記乾燥ガス排出口27から流出し、前記乾燥用空気供給ダクト29により乾燥室(図示せず)に導入される。
【0050】
又、前記給気ブロア5により吐出された空気59の一部(前記空気54)は、前記低温空気誘引ダクト21を経て前記2次熱交換器19に流入し、該2次熱交換器19を流通して前記低温流体出口47より前記ケース12内に吐出される。
【0051】
前記給気ブロア5から吐出された前記空気59は、前記燃焼炉13の周囲を上昇する過程で、該燃焼炉13を冷却すると共に該燃焼炉13自体からの発熱を吸収する。従って、前記燃焼炉13の外面は、熱交換を行う伝熱面として機能する。
【0052】
更に、前記燃焼炉13の周囲を上昇した前記空気59は、前記放熱管16,17の間を上昇し、上昇する過程で該放熱管16,17を介し燃焼ガスと熱交換して加熱される。前記燃焼炉13、前記放熱管16,17は、1次熱交換器として機能する。前記放熱管16,17を通過後の空気(1次加熱空気)の温度は、略80℃程度となっている。
【0053】
前記2次熱交換器19に流入した空気54は前記2次熱交換器19内で燃焼ガス57と熱交換し、200℃〜300℃程度に昇温する。前記2次熱交換器19から流出した空気(2次加熱空気)は、前記1次加熱空気と混合し、所定温度(例えば、100℃〜120℃)の乾燥用空気28として前記乾燥用空気供給装置1から吐出される。
【0054】
更に、供給される乾燥用空気28の流量は、前記乾燥室6での乾燥状態に応じ、前記給気ブロア5の駆動状態の制御によって調整することができ、更に、前記乾燥用空気28の温度も、前記燃焼炉13の燃焼状態の制御、前記ダンパ26、前記ファンモータ58を介して吸引するの前記空気54の流量制御により調整することができる。
【0055】
前記給気ブロア5から吐出された空気59が、前記燃焼炉13、前記放熱管16,17との間で熱交換される作用が、
図1で示される1次熱交換に相当し、前記空気54が前記2次熱交換器19で熱交換される作用が
図1で示される2次熱交換に相当する。
【0056】
本実施例では、前記燃焼炉13が断熱された空間に収納されているので、該燃焼炉13からの発熱は外部に放出されることがなく、更に該燃焼炉13が前記空気59により冷却され、前記燃焼炉13自体が発する熱が前記空気59で吸収されるので、燃焼時の発熱が有効に回収される。
【0057】
又高温状態の燃焼ガスは、前記燃焼炉13を通過した前記空気59と熱交換するが、燃焼ガス57が持つ熱エネルギは最終的には前記2次熱交換器19で回収されるので、前記放熱管16,17では所定温度400℃迄冷却されればよい。又、前記放熱管16,17を流通する燃焼ガスは高温であり、前記空気59との温度差が大きいので伝熱面積が少なくとも、大きな熱の回収が行える。従って、伝熱管16,17としては太径の管が用いられ、更に少ない本数の管で構成できる。
【0058】
前記放熱管17から流出し、前記2次熱交換器19に入流する際の燃焼ガス57の温度は、400℃程度と低温になっているが、前記2次熱交換器19は高効率(80%〜85%)で熱交換が可能であり、前記燃焼ガス57からの熱回収は効果的に行える。又、前記燃焼ガス57の温度が低下していることで、該燃焼ガス57の流量は燃焼時の1/数程度に減少しており、小型の2次熱交換器19を使用でき、前記乾燥用空気供給装置1を小型に構成できる。
【0059】
上記した様に、前記燃焼炉13、前記放熱管16,17(1次熱交換器)、前記2次熱交換器19は、全て、前記ケース12が画成する断熱空間に収納されているので、燃焼による発熱で外部に放出される熱は、略前記排気管23から排出される排気ガスのみとなる。従って、前記乾燥用空気供給装置1では高効率で熱の回収が可能であり、ランニングコストの低減が図れる。
【0060】
更に、前記燃焼炉13と前記放熱管16,17は上下に配置されるので、フットプリントを減少でき、更に前記2次熱交換器19はユニット化できるので、該2次熱交換器19の前記乾燥用空気供給装置1への組込みが容易である。又、前記燃焼炉13は前記空気59と直接熱交換するので、前記燃焼炉13を断熱構造にする必要がなく、又冷却装置も必要ない。この為、前記燃焼炉13の製作コストを低減できる。
【0061】
而して、前記乾燥用空気供給装置1の構造の簡略化、小型化が図れ、製作コストの低減が図れると共に設置スペースの節約が可能である。更に、高効率で熱の回収が行えるので、ランニングコストの低減が図れる。
【0062】
尚、上記実施例では、前記放熱管は2段であったが、1段或は3段以上であってもよい。又、一段に3本の放熱管を配設したが2本又は4本以上であってもよい。更に、前記2次熱交換器19は2組設けたが3組以上設けてもよい。
【解決手段】気密で断熱されたケース12と、該ケースの中央に配設された燃焼炉13と、燃焼炉の下方に設けられた給気ブロア5と、燃焼炉の上方に設けられ燃焼炉からの燃焼ガスが流通する放熱管16,17と、燃焼炉の内端側に隣接して設けられ、放熱管が接続された2次熱交換器19と、ケースの上面に形成された乾燥ガス排出口27と、ケース背面に形成された空気吸引口と、ケースの背面に沿って設けられ、空気吸引口と連通する空気吸引ダクトとを具備し、給気ブロアから吐出された空気59は、燃焼炉の周囲、放熱管の間を通って乾燥ガス排出口より吐出させると共に、空気の一部が2次熱交換器を流通してケース内部に流出し、燃焼炉を冷却して燃焼炉から吸熱し、放熱管の間を通過した空気と混合、所定温度に加熱され、乾燥ガス排出口より吐出される様構成した。