特許第6531249号(P6531249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6531249
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】卵の容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/32 20060101AFI20190610BHJP
【FI】
   B65D85/32 150
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-140924(P2015-140924)
(22)【出願日】2015年7月15日
(65)【公開番号】特開2017-19550(P2017-19550A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】南部 邦男
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−159303(JP,A)
【文献】 実開平06−027661(JP,U)
【文献】 特開2014−094762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/30−85/48
B65D 85/86
B65D 85/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵を収容する収容凹部を備えた容器本体と、
容器本体の一側縁に折り曲げ部を介して設けられ、収容凹部を外部に開放する展開状態と、収容凹部を覆う閉塞状態との間で開閉可能な蓋体とを備え、
蓋体が、内側に配置されるラベルを外側から視認可能な表示部を有した側壁を備えるとともに、
容器本体が、閉塞状態にある蓋体の側壁と協働してラベルを挟み込むための突起を備えることを特徴とする卵の容器。
【請求項2】
容器本体及び蓋体が、一枚の合成樹脂シートを膨出成形したものであり、
突起が、容器本体と一体に成形されたものである請求項1記載の卵の容器。
【請求項3】
突起の高さ寸法が、側壁の高さ寸法よりも小さく設定されたものである請求項1または2記載の卵の容器。
【請求項4】
突起が、閉塞状態にある蓋体の側壁に添接する保持面を備えている請求項1、2または3記載の卵の容器。
【請求項5】
突起が、容器本体の一側縁側に複数形成されたものである請求項1、2、3または4記載の卵の容器。
【請求項6】
蓋体が、内側に配置されるラベルを外側から視認可能な表示部を有した天壁を備えるとともに、
容器本体が、閉塞状態にある蓋体の天壁と協働してラベルを挟み込むための中央突起を備える請求項1、2、3、4または5記載の卵の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵を安定して保管、輸送、販売するための卵の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
卵の容器(いわゆる卵パック)として、卵を収容する収容凹部を備えた容器本体と、容器本体の一側縁に折り曲げ部を介して設けられた蓋体とを備えたものが種々知られている。このような卵の容器には、収容された卵のサイズや、産地、消費期限や、バーコードなどの情報が記載されたラベルが外部から貼り付けられることがある(例えば、下記特許文献1を参照)。しかし、ラベルが強力に貼り付けられている容器は、容器使用後のラベルの剥離作業に非常に手間がかかり、再資源化を困難なものとしている。
【0003】
そのため、容器の内部にラベルを封入するようにしたものも種々考えられている。例えば、下記特許文献2に記載の容器は、卵の殻でラベルを直接支持するものが開示されている。しかしながら、卵の大きさによっては、輸送中に卵が容器の内部で動くことによって、これらの卵に支えられているラベルが歪んでしまったり、所望の位置からずれてしまったりすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−51627号公報
【特許文献2】実用新案登録第3035098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、ラベルを封入するタイプの卵の容器において、視認されやすい場所に安定してラベルを配置することのできる容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、請求項1に記載の卵の容器は、卵を収容する収容凹部を備えた容器本体と、容器本体の一側縁に折り曲げ部を介して設けられ、収容凹部を外部に開放する展開状態と、収容凹部を覆う閉塞状態との間で開閉可能な蓋体とを備え、蓋体が、内側に配置されるラベルを外側から視認可能な表示部を有した側壁を備えるとともに、容器本体が、閉塞状態にある蓋体の側壁と協働してラベルを挟み込むための突起を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の卵の容器は、請求項1に記載の卵の容器において、容器本体及び蓋体が、一枚の合成樹脂シートを膨出成形したものであり、突起が、容器本体と一体に成形されたものである。
【0008】
請求項3に記載の卵の容器は、請求項1または2に記載の卵の容器において、突起の高さ寸法が、側壁の高さ寸法よりも小さく設定されたものである。
【0009】
請求項4に記載の卵の容器は、請求項1、2または3に記載の卵の容器において、突起が、閉塞状態にある蓋体の側壁に添接する保持面を備えている。
【0010】
請求項5に記載の卵の容器は、請求項1、2、3または4に記載の卵の容器において、突起が、容器本体の一側縁側に複数形成されたものである。
【0011】
請求項6に記載の卵の容器は、請求項1、2、3、4または5に記載の卵の容器において、蓋体が、内側に配置されるラベルを外側から視認可能な表示部を有した天壁を備えるとともに、容器本体が、閉塞状態にある蓋体の天壁と協働してラベルを挟み込むための中央突起を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、視認されやすい場所に安定してラベルを配置することのできる卵の容器を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態にかかる卵及びラベルが収容された状態の卵の容器を示す斜視図。
図2】同実施形態にかかる卵の容器(展開状態)を示す平面図。
図3】同実施形態にかかる卵の容器(閉塞状態)を示す平面図。
図4図3のA−A線断面図。
図5図3のB−B線断面図。
図6】本発明の変形例にかかる図5に対応する断面図。
図7】本発明の他の変形例にかかる図5に対応する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について、図1図5を用いて説明する。
【0015】
本実施形態にかかる卵の容器1は、図1図5に示すように、内部に卵E及び二つ折りにされたラベルLを収容可能なものであり、例えば、鶏卵Eを10個収容することができるパックである。この卵の容器1は、卵Eを収容する収容凹部21を備えた容器本体2と、容器本体2の一側縁2aに折り曲げ部3を介して設けられ、収容凹部21を外部に開放する展開状態(O)と、収容凹部21を覆う閉塞状態(C)との間で開閉可能な蓋体4とを備えている。
【0016】
容器本体2は、図1図2図4及び図5に示すように、平面視矩形状をなす透明なプラスチック製のものである。容器本体2は、複数の収容凹部21と、隣接する収容凹部21の間に形成された接続部22と、隣接する接続部22の間に形成された中央部23と、収容凹部21の周りに形成されたフランジ24、25、26と、フランジ24、25、26と接続部22との間に形成された重ね合わせ部27とを備えている。収容凹部21は、卵Eの下部(鋭端側)を収納し得る大きさ及び形状を備えている。中央部23は、閉塞状態(C)にある蓋体4の天壁41と協働してラベルLを挟み込むための中央突起29を備えている。重ね合わせ部27は、閉塞状態(C)にある蓋体4の重ね合わせ部49と当接して重ね合わせられるもので、平面視三角形状に設けられている。また、容器本体2は、一側縁2a側に閉塞状態(C)にある蓋体4の側壁42と協働してラベルLを挟み込むための複数の突起28を備えている。
【0017】
各突起28は、一枚の合成樹脂シートを膨出成形して容器本体2と蓋体4とを一体成形する際に一緒に形成されるものである。言い換えれば、容器本体2及び蓋体4が、一枚の合成樹脂シートを膨出成形したものであり、突起28は、容器本体2と一体に成形されたものである。突起28は、図2図4及び図5に示すように、重ね合わせ部27に対応する箇所に形成されており、ほぼ三角錐形状をなしている。各突起28は、折り曲げ部3近傍から上方へ向かって延出したもので、折り曲げ部3を基点とした突起28の高さ寸法t1が、後述する蓋体4の側壁42の高さ寸法t2よりも小さく設定されたものである。具体的には、蓋体4の側壁42の高さ寸法t2がおおよそ20mm〜40mmに設定されているのに対して、突起28の高さ寸法t1がおおよそ5mm〜20mm(高さ寸法t2の半分程度)に設定されている。
【0018】
突起28は、閉塞状態(C)にある蓋体4の側壁42に添接する保持面281を備えている。保持面281は、容器本体2の外側を向いた三角形状をなすものであり、上方に向かって漸次内側に傾斜している。保持面281の傾斜角度は、蓋体4の側壁42の傾斜角度とほぼ同一に設定されている。言い換えれば、突起28の保持面281(外向き面)と蓋体4の側壁42の内向き面421とが平行になるように、突起28が形成されている。突起28の保持面281と閉塞状態(C)にある蓋体4の側壁42の内向き面421との間には、ラベルLを収容することができる隙間s1が形成されている。容器本体2の一側縁2a側には、幅方向にわたって4つの同一大きさ及び形状をなす突起28が、間欠的に形成されている。
【0019】
蓋体4は、図1図5に示すように、容器本体2と一体に成形される平面視矩形状をなす透明なプラスチック製のものである。蓋体4は、天壁41と、この天壁41の側縁に連続して設けられる4つの側壁42、43、44、45と、側壁43、44、45の外側に形成されるフランジ46、47、48と、フランジ46、47、48より内側に形成され閉塞状態(C)において容器本体2の重ね合わせ部27と接する重ね合わせ部49とを備えている。なお、図1及び図3では重ね合わせ部49についての図示を省略している。
【0020】
天壁41は、図1図5に示すように、平面状をなすもので、内側に配置されるラベルLを外側から視認可能な表示部411を有している。表示部411は、容器1内部に収容されたラベルLの表示が判読できるように形成されたものである。
【0021】
側壁42は、容器1の一側縁側に形成される平面状をなすものであり、傾斜した内向き面421を備えている。側壁42は、内側に配置されるラベルLを外側から視認可能な表示部422を有している。表示部422は、容器1内部に収容されたラベルLの表示が判読できるように形成されたものである。側壁43は、容器1の他側縁側に形成されるものであり、傾斜した内向き面431を備えている。側壁44、45は、側壁42と側壁43との間に形成されるものであり、傾斜した内向き面441、451をそれぞれ備えている。
【0022】
この蓋体4は、図2及び図4の二点鎖線で示すような収容凹部21を外部に開放する展開状態(O)と、図1図3図4の実線及び図5で示すような収容凹部21を覆う閉塞状態(C)との間で、折り曲げ部3を中心に回転動作可能に形成されている。そして、蓋体4を展開状態(O)にして収容凹部21に卵Eを配置するとともに、蓋体4にラベルLを配置した後、蓋体4を閉塞状態(C)にすることで、卵E及びラベルLが容器1内に入れられた状態となる。
【0023】
ラベルLは、例えば、その下部を把持した際に上端側が、ラベルL自身の重さで垂れ下がることのない程度の剛性や厚み寸法を有したものである。ラベルLは、接着要素を有しておらず、また、図1及び図3図5に示すように、二つ折りにされている。具体的には、ラベルLは、容器本体2や蓋体4に接着などされない紙製のものであり、第一の紙片部L1と、第二の紙片部L2とが、折り曲げ部L3を介して連続している。第一の紙片部L1は、外向き面L5に情報表示部L4を備えている。情報表示部L4は、例えば、卵Eの情報である価格を示すバーコードなど、光学的に読み取り可能な識別子が印刷されたものである。第二の紙片部L2は、外向き面L7に情報表示部L6を備えている。情報表示部L6は、例えば、消費者の消費行動に訴えるための卵Eの情報である名称や生産者情報などが印刷されたものである。なお、情報表示部L4、L6に表示される情報はどのようなものであってもよく、図1及び図3では情報の内容については記載を省略している。
【0024】
次に、上記卵の容器1に卵E及びラベルLをパックする工程について説明する。
【0025】
まず、図4の二点鎖線で示すように、蓋体4を天壁41が下にくるような展開状態(O)にして、収容凹部21に卵Eを載せ置く。この動作と同時または後に、予め折り曲げ部L3に折りぐせをつけて側面視くの字状に成形したラベルLを蓋体4に載せ置く。その際、蓋体4の側壁42にラベルLの第一の紙片部L1が添い、蓋体4の天壁41にラベルLの第二の紙片部L2が添うように設定される。より具体的には、側壁42の内向き面421と第一の紙片部L1の外向き面L5とが、また、天壁41の内向き面412と第二の紙片部L2の外向き面L7とが互いに、向き合うように配置される。
【0026】
この状態から、蓋体4を折り曲げ部3を中心として180度回転動作させて、図4の実線で示すように、容器本体2の上方に蓋体4をかぶせる。この途上において、ラベルLの下端部が突起28及び折り曲げ部3に案内されたり支持されながら、ラベルLが卵Eの上方に覆い被さることとなる。
【0027】
容器本体2の重ね合わせ部27と蓋体4の重ね合わせ部49とが接した時点で、ラベルLは容器本体2と蓋体4との間に挟み込まれて、横方向への位置ずれや、上下方向への位置ずれが抑制される。より具体的には、ラベルLの第一の紙片部L1は、突起28の保持面281と蓋体4の側壁42の内向き面421との間に挟み込まれ、第一の紙片部L1の外向き面L5が側壁42の内向き面421にぴったりとくっつく。また、ラベルLの第二の紙片部L2は、中央突起29の上端に形成された保持面291と蓋体4の天壁41の内向き面412との間に挟み込まれ、第二の紙片部L2の外向き面L7が天壁41の内向き面412にぴったりとくっつく。
【0028】
このようなものであるため、ラベルLの情報表示部L4、L6に表示された内容を容器1の外部からくっきりと視認することができる。
【0029】
そして、本実施形態の卵の容器1は、容器本体2に蓋体4を覆い被せた後、容器本体2の他側縁2b側に形成されたフランジ24と蓋体4のフランジ46とを、テープTを用いて止めている。なお、フランジ24、46同士の結合は、テープTを用いたものに限られず種々変更可能であり、例えば、テープ以外の接着方法や、熱溶着、凹凸の嵌め合わせなどを利用したものであってもよいのはもちろんである。
【0030】
以上説明したように、本実施形態にかかる卵の容器1は、卵Eを収容する収容凹部21を備えた容器本体2と、容器本体2の一側縁2aに折り曲げ部3を介して設けられ、収容凹部21を外部に開放する展開状態(O)と、収容凹部21を覆う閉塞状態(C)との間で開閉可能な蓋体4とを備え、蓋体4が、内側に配置されるラベルLを外側から視認可能な表示部422を有した側壁42を備えるとともに、容器本体2が、閉塞状態(C)にある蓋体4の側壁42と協働してラベルLを挟み込むための突起28を備えてなる。そのため、ラベルLが側壁42と突起28との間で挟み込まれて安定することとなり、従来のようにラベルを容器に貼り付ける必要なしに、ラベルLの表示を綺麗な状態で外部に見せることができる。
【0031】
また、本実施形態の容器本体2及び蓋体4が、一枚の合成樹脂シートを膨出成形したものであり、突起28が、容器本体2と一体に成形されたものであるため、容易に成形することができる。言い換えれば、突起28は、一枚の合成樹脂シートを膨出成形して容器本体2と蓋体4とを一体成形する際に一緒に形成されるものであるため、工数を少なくできる。
【0032】
特に、突起28の高さ寸法t1が、側壁42の高さ寸法t2よりも小さく設定されたものであるので、薄い合成樹脂シート素材を用いた場合であっても膨出成形を施しやすいという効果があるとともに、突起28の強度が極端に小さくなってしまうのを抑制することができる。すなわち、卵の容器1を作る際に発生する原材料のコストや、容器1自体の重量やパック同士を積み重ねた際の体積などに起因する容器1の輸送の際のコストをいかに抑えようとするかを考えた時に、合成樹脂シートの厚み寸法はできるだけ小さくする(具体的には0.18mm〜0.23mm程度)のが好ましい。しかしながら、薄い合成樹脂シートを厚み方向に大きく延伸させて高い突起28を作るのには、高度な技術を必要とし、生産性の低下を招くおそれがある。しかして、本実施形態のようなものであれば、突起28の成形を容易にすることができると同時に、ラベルL(特に第一の紙片部L1)の下部をしっかりと保持することができるという効果が得られる。言い換えれば、本実施形態の突起28のように高さ寸法t1を20mm未満に抑えたものであれば、容器本体2の突起28を膨出成形で作りやすいだけでなく、ラベルLの固定のためにラベルLを突起28の側面(保持面281)で蓋体4の側面(内向き面421)に当接させることで、量産性、運搬性ともに優れたものとすることができる。
【0033】
さらに、本実施形態の突起28は、閉塞状態(C)にある蓋体4の側壁42に添接する保持面281を備えているので、ラベルLを前後両側からしっかりと保持することができる。より具体的には、ラベルLの第一の紙片部L1が、突起28の保持面281と側壁42の内向き面421との間に形成された隙間s1内に収まり、突起28の保持面281と側壁42の内向き面421との2つの面で挟み込まれるため、輸送中などに容器1が揺らされてもラベルLが移動しにくい、という効果が得られる。
【0034】
また、突起28が、容器本体2の一側縁2a側に複数形成されているので、幅方向に大きさのあるラベルLをしっかりと保持できる。
【0035】
さらに、本実施形態では、蓋体4が、内側に配置されるラベルLを外側から視認可能な表示部411を有した天壁41を備えるとともに、容器本体2が、閉塞状態(C)にある蓋体4の天壁41と協働してラベルLを挟み込むための中央突起29を備えるので、ラベルLの上面側もしっかりと保持できる。より具体的には、ラベルLの第二の紙片部L2が、中央突起29の保持面291と天壁41の内向き面412との間に形成された隙間s2内に収まり、中央突起29の保持面291と天壁41の内向き面412との2つの面で挟み込まれるため、従来のようにラベルを容器に貼り付ける必要なしに、ラベルLの表示を綺麗な状態で外部に見せることができるとともに、輸送中に容器1が揺らされてもラベルLが移動しにくいという効果が得られる。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
【0037】
例えば、本発明の蓋体の形状や、卵の容器に配置されるラベルの形状について、種々変更が可能である。
【0038】
具体的な一例としては、図6に示すものがあげられる。以下、上述した実施形態と同一またはこれに対応する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。本発明の変形例にかかる卵の容器1は、卵Eを収容する収容凹部21を備えた容器本体2と、容器本体2の一側縁2aに折り曲げ部3を介して設けられ、収容凹部21を外部に開放する展開状態(図示せず)と、収容凹部21を覆う閉塞状態(C)との間で開閉可能な蓋体4とを備え、蓋体4が、内側に配置されるラベルLを外側から視認可能な表示部422を有した側壁42を備えるとともに、容器本体2が、閉塞状態(C)にある蓋体4の側壁42と協働してラベルLを挟み込むための突起28を備えるものであり、蓋体4の形状が上述した実施形態と異なる。
【0039】
本変形例にかかる蓋体4は、容器本体2の一側縁2a側のみに、内側に配置されるラベルLを外側から視認可能な表示部411、422を有しているものである。蓋体4の一側縁側には、天壁41と、この天壁41の側縁に連続して設けられる側壁42、44、45(側壁44、45は図示せず)と、側壁42、44、45の外側に形成されるフランジ46、47、48(フランジ47、48は図示せず)と、フランジ46、47、48より内側に形成され閉塞状態(C)において容器本体2の重ね合わせ部(図示せず)と接する重ね合わせ部(図示せず)とを備えている。天壁41は、平面状をなすもので、内側に配置されるラベルLを外側から視認可能な表示部411を有している。表示部411は、容器1内部に収容されたラベルLの表示が判読できるように形成されたものである。側壁42は、容器1の一側縁側に形成される平面状をなすものであり、傾斜した内向き面421を備えている。側壁42は、内側に配置されるラベルLを外側から視認可能な表示部422を有している。表示部422は、容器1内部に収容されたラベルLの表示が判読できるように形成されたものである。側壁44、45(図示せず)は、側壁42の両側縁に連続して形成されるものであり、傾斜した内向き面441、451(図示せず)をそれぞれ備えている。なお、蓋体4の他側縁側には、容器本体2の収容凹部21に対応する収容凹部40が形成されている。
【0040】
このようなものであれば、上述した実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。すなわち、ラベルLの第一の紙片部L1を突起28の保持面281と側壁42の内向き面421との間で挟み込むとともに、ラベルLの第二の紙片部L2を卵Eの上端(鈍端側)で保持することによって、ラベルLの情報表示部L4、L6に表示された内容を容器1の外部から視認することができる。そのため、ラベルLの第二の紙片部L2に表示させたい情報が比較的少ない場合や、ラベルLのうち卵Eの上部に配置される部分をできるだけ少なくして外部から卵Eの状態を視認可能としたい場合などに好適に用いることができる。
【0041】
特に、本変形例のように蓋体4の他側縁側の部分に収容凹部40を備えたものであると、天壁41の中央部分に内方に突出する突出部40aが形成されることとなる。これらの突出部40aにより、隣接する卵E同士の横方向への干渉を抑制することができる。また、突出部40aの存在により、合成樹脂シート素材の厚み寸法を大きくすることなく所望の強度を維持することが可能となり、原材料のコストや輸送の際のコストを抑えることができる。
【0042】
また、さらに他の具体的な一例としては、図7に示すものがあげられる。以下、上述した実施形態と同一またはこれに対応する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。本発明の変形例にかかる卵の容器1は、卵Eを収容する収容凹部21を備えた容器本体2と、容器本体2の一側縁2aに折り曲げ部3を介して設けられ、収容凹部21を外部に開放する展開状態(図示せず)と、収容凹部21を覆う閉塞状態(C)との間で開閉可能な蓋体4とを備え、蓋体4が、内側に配置されるラベルLを外側から視認可能な表示部422を有した側壁42を備えるとともに、容器本体2が、閉塞状態(C)にある蓋体4の側壁42と協働してラベルLを挟み込むための突起28を備えるものであり、蓋体4の形状が上述した実施形態と異なるとともに、挟み込まれるラベルLが異なる。
【0043】
本変形例にかかる蓋体4は、容器本体2の一側縁2a側のみに、内側に配置されるラベルLを外側から視認可能な表示部422を有しているものであり、図6に示した変形例と同一の構成を有するものである。そのため、詳細な説明を省略する。
【0044】
本変形例にかかる容器1に挟み込まれるラベルLは、接着要素を有しない矩形状の紙製のもので、二つ折りにされていない。具体的には、ラベルLは、上述した実施形態における第二の紙片部L2及び折り曲げ部L3を備えていないものである。
【0045】
このようなものであれば、上述した実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。すなわち、ラベルLの第一の紙片部L1を突起28の保持面281と側壁42の内向き面421との間で挟み込むことによって、ラベルLの情報表示部L4に表示された内容を容器1の外部から視認することができる。そのため、ラベルLに表示させたい情報が比較的少ない場合や、卵Eの上部に配置されるラベルLを排除して外部から卵Eの状態を視認可能としたい場合などに好適に用いることができる。また、図6に示した変形例と同様に、本変形例のように蓋体4の他側縁側の部分に収容凹部40を備えたものであると、天壁41の中央部分に内方に突出する突出部40aが形成されることとなる。これらの突出部40aにより、隣接する卵E同士の横方向への干渉を抑制することができる。また、突出部40aの存在により、合成樹脂シート素材の厚み寸法を大きくすることなく所望の強度を維持することが可能となり、原材料のコストや輸送の際のコストを抑えることができる。
【0046】
また、本発明の他の構成要素についても種々変更可能である。
【0047】
卵は、鶏卵の他、うずらの卵その他種々のものを適用してよい。
【0048】
卵の容器の大きさ及び形状はどのようなものであってもよく、図示したものに限られないのはもちろんである。容器は、少なくとも蓋体の表示部または側壁の表示部が透過性を備え、内部の文字などの情報がはっきりと見える状態である必要があるが、それ以外の部分は、どのようなものであってもよい。
【0049】
容器の蓋体や側壁は、その全体が平板状であるものには限られず、補強用のリブなどを備えたものであってもよい。具体的な一例としては、側壁が、幅方向にわたって間欠的に設けられた補強部分を備えており、補強部分においても内側に配置されるラベルを外側から視認可能なものとしている。補強部分が形成されている箇所は、補強部分が形成されていない箇所に比べて、ラベルを側壁の内向き面にぴったりとくっつけることが難しい。そのため、ラベルの情報表示部のうちバーコードなどの識別子が配置される場所、言い換えれば、容器の外部からの読み取り精度を高めたい場所には補強部分を設けないようにすることも考えられる。
【0050】
突起は、容器本体及び蓋体と一体成形されたものには限られず、別体を取り付けたものであってもよい。しかしながら、本実施形態のように突起が容器本体や蓋体と一体に設けられたものであれば、成形を容易にできる。
【0051】
また、突起は、容器本体の一側縁側に設けられたものが一番好ましいが、その他の場所(例えば、上述した実施形態における側壁43、44、45に対応する箇所)に設けられてもよい。さらに、突起の数も、4つに限られない。
【0052】
突起は、閉塞状態にある蓋体の側壁と協働してラベルを挟み込むものであればどのようなものであってもよく、その大きさ、形状など種々変更可能である。また、突起が、蓋体の閉塞状態において側壁との間に隙間が形成されるように設定されているもの以外にも、突起が蓋体の閉塞状態において側壁との間で、突起の一部または全部が当接するように設定されているものであってもよい。その場合には、突起や側壁が若干変形することによりラベルを挟み込むことができる。さらに、突起とラベルとが面的に接するものの他、線状に接するものであってもよい。なお、突起と蓋体の側壁との間でラベルが挟み込まれることにより、必ずしもラベルが側壁にぴったりとくっつかなくてもよい。
【0053】
突起の高さ寸法は、側壁の高さ寸法より小さく設定されたものに限られず、側壁の高さ寸法とほぼ同じ程度のものであってもよい。上述した実施形態で述べた通り、突起の高さ寸法が比較的小さいものであれば、成形しやすいという効果が得られるが、突起の高さ寸法が比較的大きいものであれば、屈曲したラベルの折り曲げ部を突起の先端で保持することができる。そのため、ラベルとしてそれほど強い剛性を有していない紙を用いた場合であっても、第一の紙片部を側壁にぴったりと添わせることができる。
【0054】
また、中央突起は、必ずしもラベルを下側から支える必要はなく、高さ寸法も必要に応じて低くしてもよいのはもちろんである。
【0055】
ラベルは、その素材、大きさ、形状などどのようなものであってもよく、複数枚のラベルが封入されてもよい。
【0056】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ラベルを内部に封入するタイプの卵の容器に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…卵の容器
2…容器本体
2a…一側縁
21…収容凹部
28…突起
t1…(突起28の)高さ寸法
281…保持面
29…中央突起
3…折り曲げ部
4…蓋体
(O)…展開状態
(C)…閉塞状態
41…天壁
411…(天壁41の)表示部
42…側壁
t2…(側壁42の)高さ寸法
422…(側壁42の)表示部
E…卵
L…ラベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7