(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6531337
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】粉塵制御機能付電動研削機
(51)【国際特許分類】
B24B 23/02 20060101AFI20190610BHJP
B24B 55/10 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
B24B23/02
B24B55/10
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-217744(P2018-217744)
(22)【出願日】2018年11月2日
【審査請求日】2019年1月10日
(31)【優先権主張番号】特願2018-200416(P2018-200416)
(32)【優先日】2018年10月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593087411
【氏名又は名称】株式会社ナカヤ
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 直哉
【審査官】
須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第102008046948(DE,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0165808(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0329447(US,A1)
【文献】
独国実用新案第202006021278(DE,U1)
【文献】
特開2017−052061(JP,A)
【文献】
特開2005−288566(JP,A)
【文献】
特開2008−049469(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0261417(US,A1)
【文献】
英国特許出願公開第2329440(GB,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2015−0025559(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B55/05−55/10
B24B23/00−23/02
B23Q11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターにより回転駆動されるスピンドル(1)を有する電動工具、スピンドル(1)に取り付けられる研削ディスク(4)、研削ディスク(4)の研削面以外の全域を覆いつつ、一部に研削ディスク(4)の外周の一部を露出させるためのウィンドウ(6)が、ヒンジ機構(7)により開閉自在な状態で連結されたカバー(8)、から成る粉塵制御機能付電動研削機において、ヒンジ機構(7)の回動軸位置をカバー(8)上に設け、ウインドウ(6)に回動軸と同軸上に設けられた円筒部(33)を含むゲート(34)を突設し、円筒部(33)の一部には、ウインドウ(6)が完全に閉じた状態の時に、カバー(8)上面と円筒部(33)との間に、カバー(8)上面に対し平行な通路孔(35)を形成する切欠面(36)が設けられており、且つウインドウ(6)側に常時突出するように弾性体で付勢され、先端部が通路孔(35)を通過してウインドウ(6)上面と摺接するスライダー(39)を、カバー(8)上面に設置したことを特徴とする、上記粉塵制御機能付電動研削機。
【請求項2】
上記ウインドウ(6)を常時開く方向に付勢するねじりバネ(47)を、ヒンジ機構(7)の回動軸上に周設したことを特徴とする、請求項1に記載の粉塵制御機能付電動研削機。
【請求項3】
上記ウインドウ(6)上面の一部に、スライダー(39)との摺接範囲内で、カバー(8)内部に通じる通気孔(50)を穿設したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の粉塵制御機能付電動研削機。
【請求項4】
上記スライダー(39)の先端の一部を、カバー(8)上面と円筒部(33)外周との隙間を通過可能な薄肉板(52)で形成したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の粉塵制御機能付電動研削機。
【請求項5】
上記カバー(8)側の合わせ面(37)の一部に、上面付近から底面に抜ける長溝(53)を設け、ウインドウ(6)側の合わせ面に、長溝(53)と同位置に、長溝(53)に収まる幅と長さ、および長溝(53)の深さの2倍程度の厚さ、を有する軟質パッキン(54)を着設したことを特徴とする、請求項1に記載の粉塵制御機能付電動研削機。
【請求項6】
上記スライダー(39)上面の一部に、ウインドウ(6)側からカバー(8)に向かって高くなるスロープ(55)を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の粉塵制御機能付電動研削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートや石材の研削作業を行う際に発生する粉塵の飛散防止・捕集のために用いられる粉塵制御機能付電動研削機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グラインダ等の電動工具に研削ディスクを装着してコンクリートや石材の研削作業を行う際、粉塵の発生は避けられないものであるが、この粉塵の捕集を行うべく、これまでに様々な方法が考案されている。
それらの多くは、研削ディスクを覆う椀型のカバーであって、カバーの一部に設けられた粉塵排出用ダクトに集塵機を接続し、その吸引力をもってカバー内部の粉塵を収集する類のものである。
【0003】
しかし上記構成による粉塵制御機能付電動研削機では、研削ディスクの全周がカバーで覆われているため、壁際まで研削することが出来ない。
【0004】
そこで特許文献1で示される実施例では、カバーの一部を別部品(サブカバー11)とし、着脱自在な構成とすることにより、研削ディスクの外周の一部を露出させることができ、その状態において壁際研削を可能としている。
【0005】
一方本実施例では、サブカバーの取外し・再装着の際には、その都度ネジを着脱する必要があり、作業効率の面で課題を残すものである。
【0006】
そこで特許文献2で示される実施例では、上記同様カバーの一部を別部品(hatch38)とし、差込方式で着脱可能な構成とすることで、ネジを着脱する等の手間なく、壁際研削を行う事が出来る。
【0007】
しかし本実施例では、hatchが意図せず脱落しない様、カバーとのはめ合いは可能な限りがたつきを無くす必要があるため、差込口に僅かでも粉塵が付着すると、摩擦により着脱操作が困難になる可能性が高く、完全な解決策とはなり得ない。
【0008】
そこで特許文献3で示される実施例では、上記同様カバーの一部を別部品(hatch34)とし、カバーの外周に沿って回動自在な構成とすることで、hatchの開閉操作性の改善を図っているが、カバーとhatchが重なる箇所には粉塵が溜まり易く、結果として両部品間に生じる摩擦が高まり、やはりhatchの開閉操作が困難になる可能性がある。
【0009】
そこで特許文献4で示される実施例では、上記同様カバーの一部を別部品(shroud door204)とし、ヒンジ機構を用いて回動自在に連結することにより、粉塵等による開閉操作性への悪影響を抑えている。
【0010】
しかし本実施例では、shroud doorを開閉位置において仮固定する機構は持たせているものの、負荷が加われば容易に動いてしまうため、研削時にshroud doorが被削材の縁や表面の突起等に引っ掛かった際に、意図せず開いてしまうことになる。
【0011】
shroud doorが開いた状態では、カバー内部における集塵機の吸引力が落ち込み、結果として粉塵を十分に捕集出来ないことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第4710035号公報
【特許文献2】米国特許第8133094号明細書
【特許文献3】米国特許第8523637号明細書
【特許文献4】米国特許第9289879号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した通り、現在考案されている粉塵制御機能付電動研削機は、壁際研削を行う際の作業効率に問題がある。
本発明の目的は、壁際を研削する際に、研削ディスクの外周の一部をカバーから露出させるウインドウの開閉操作が容易であり、且つ使用回数を重ねてもその操作性や粉塵捕集性能に問題の生じにくい粉塵制御機能付電動研削機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による粉塵制御機能付電動研削機は、研削ディスク4の外周の一部を露出させるためのウィンドウ6を、ヒンジ機構7により開閉自在な状態でカバー8と連結し、ヒンジ機構7の回動軸位置をカバー8上に設け、ウインドウ6に回動軸と同軸上に設けられた円筒部33を含むゲート34を突設し、円筒部33の一部には、ウインドウ6が完全に閉じた状態の時に、カバー8上面と円筒部33との間に、カバー8上面に対し平行な通路孔35を形成する切欠面36が設けられており、且つウインドウ6側に常時突出するようにピストンスプリング45で付勢され、先端部が通路孔35を通過してウインドウ6上面と摺接するスライダー39をカバー8上面に設置した上で、ウインドウ6を常時開く方向に付勢するねじりバネ47を、ヒンジ機構7の回動軸上に周設したことを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明による粉塵制御機能付電動研削機は、ウインドウ6上面を保持しているスライダー39を、カバー8側に引くだけでウインドウ6が自動的に開き、ウインドウ6を手動で閉じればスライダー39が自動的に元の位置に戻り、再びウインドウ6上面を保持するので、使用者は作業効率を落とすことなく、通常研削と壁際研削を容易に切り替えることが可能である。
またウインドウ6の開閉が、ヒンジ機構7を介して行われる回動方式であるので、使用回数を重ねて粉塵が付着した場合でも、円滑な動作を維持しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による粉塵制御機能付電動研削機の、全体構成を示す斜視図。
【
図2】本発明による粉塵制御機能付電動研削機の、全体構造を示す斜視展開図。
【
図3】本発明による粉塵制御機能付電動研削機の、ベースプレート13の保持構造を示す側面一部断面図。
【
図4】本発明粉による塵制御機能付電動研削機の、ウインドウ6が閉じた際の状況を示す側面一部断面図。
【
図5】本発明による粉塵制御機能付電動研削機の、ウインドウ6が開いた際の状況を示す側面一部断面図。
【
図6】本発明による粉塵制御機能付電動研削機の、ウインドウ6を閉じる過程の状況を示す側面一部断面図。
【
図7】本発明による粉塵制御機能付電動研削機の、ウインドウ6が開いた状態の底面図。
【
図8】本発明による粉塵制御機能付電動研削機で、壁際研削を行う際のイメージ図。
【
図9】本発明による粉塵制御機能付電動研削機の、ウインドウ6の別実施例を示すイメージ図。
【
図10】本発明による粉塵制御機能付電動研削機の、ウインドウ6が開く瞬間の状況を示す側面一部断面図。
【
図11】本発明による粉塵制御機能付電動研削機の、スライダー39の別実施例を示すイメージ図。
【
図12】本発明粉塵制御機能付電動研削機に、軟質パッキン54を追加した別実施例を示すイメージ図。
【
図13】本発明粉塵制御機能付電動研削機のスライダー39に、スロープ55を追加した別実施例を示すイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による粉塵制御機能付電動研削機の、基本的な実施形態の構造を説明する。
【0018】
図1および
図2に示す粉塵制御機能付電動研削機は、図示しないモーターにより回転駆動されるスピンドル1を有するグラインダ2、スピンドル1に設置されるフランジ3、フランジ3上に設置される研削ディスク4、研削ディスク4の研削面側からスピンドル1のおねじ部に対し締結されるロックナット5、研削ディスク4の研削面以外の全域を覆いつつ、一部に研削ディスク4の外周の一部を露出させるためのウィンドウ6が、ヒンジ機構7により開閉可能な状態で連結されたカバー8、で構成されている。
【0019】
カバー8には内部から外部に通じる粉塵排出用ダクト9が突設されており、ここに集塵機10を接続することにより、研削作業時、カバー8内部に発生した粉塵を、集塵機10の吸引力で捕集する仕組みである。
【0020】
また表面が荒い被削材上でも円滑な作業が出来る様、カバー8、ウインドウ6の底面には各々、第一チャンネルブラシ11、第二チャンネルブラシ12が装着されている。
【0021】
グラインダ2とカバー8は、ベースプレート13およびアダプタ14を介して接続されている。
【0022】
ベースプレート13には4か所のピラー15が突設されており、ピラー15を、カバー8に設けられた4か所の保持穴16に通し、ピラー15外周と保持穴16内周との間にホールドスプリング17を入れた状態で、ピラー15の上端面に対し保持ワッシャ18をネジで固定することで、ベースプレート13がカバー8内部の上面に、ホールドスプリング17の作用により常時押圧保持されている。
【0023】
この時研削面方向へ負荷を加えれば、
図3に示す保持ワッシャ18とピラー15の上端面の間にあるスペース19の範囲で、ベースプレート13を動かすことが出来る。
【0024】
アダプタ14は、共にC字形の形状を有する第一フック20、第二フック21の一端を回動自在な状態で枢結した構造体であり、第一フック20に設けられた連結用メネジ穴22に対し、ベースプレート13に貫設されたガイド穴23を通して連結用ボルト24を締結することにより、ベースプレート13に固定されている。
【0025】
この状態においてグラインダ2のスピンドル1を軸支しているギヤケース25の外周部を、第一フック20、第二フック21で挟持し、第一フック20の解放側端部に設けられたボルト穴26から、第二フック21の解放側端部に設けられた保持用メネジ穴27に対し、保持用ボルト28を締結することにより、グラインダ2とカバー8が接続されることになる。
【0026】
ヒンジ機構7は、カバー8上面に設置された軸受部29、ウインドウ6上面に突設された、軸受部29を挟持する軸受アーム30、軸受部29と軸受アーム30を貫通するシャフト31、シャフト31の両端に抜け止めとして装着された止め輪32、で構成されている。
【0027】
なおヒンジ機構7は、カバー8正面から見て、左右均等に2か所に設置されている。
【0028】
ウインドウ6には、シャフト31の回動軸と同軸上に設けられた円筒部33を含むゲート34が、二か所のヒンジ機構7の中央に突設されており、円筒部33の一部には、
図4に示す通り、ウインドウ6が完全に閉じた状態の時に、カバー8上面と円筒部33との間に、カバー8上面に対して平行な通路孔35を形成する切欠面36が設けられている。
【0029】
カバー8上面には、カバー8とウインドウ6の合わせ面37に対し直交方向に凹設された二か所のガイド溝38が設けられており、その上にはスライダー39が設置されている。
スライダー39には、上方からプレート40が、カバー8上面に設けられた台座41にネジで固定されている。このとき台座41の上面はスライダー39の上面よりも僅かに高くなっているため、スライダー39は可動状態にある。
【0030】
スライダー39の底面にはレール42が2か所突設されており、ガイド溝38と嵌合している。これによりスライダー39は、レール42の両端面がガイド溝38内の両端面に各々当接する範囲内において、合わせ面37に対し直交方向に、直線運動可能な状態で保持されている。
【0031】
スライダー39上面には、操作用のツマミ43が突設されており、プレート40はスライダー39の直線運動範囲内においてツマミ43と接触しない様、Cの字形の形状となっている。
【0032】
カバー8上面には、二か所のガイド溝38の間に、ポケット44が、合わせ面37に対し直交方向に凹設されている。
ポケット44内にはピストンスプリング45が収納されており、一方の端面がスライダー39底面に突設されたステー46に対し、カバー8側からウインドウ6側に向かって付勢する構成となっている。
【0033】
従いウインドウ6を完全に閉じた状態では、スライダー39が、ピストンスプリング45の作用によりウインドウ6側へ移動し、やがてスライダー39先端部が通路孔35を通過し、ウインドウ6上面を摺動しながら、可動範囲一杯まで移動する。
【0034】
この時ウインドウ6は、スライダー39の作用によりカバー8側へ拘持され、開けない状態になる。
【0035】
一方、ヒンジ機構7のシャフト31上には、ウインドウ6を常時開く方向に付勢する、ねじりバネ47が周設されている。
【0036】
従い、スライダー39を、ツマミ43を掴んでカバー8側に引くと、
図5に示す通り、スライダー39先端部が通路孔35を抜けた瞬間、ウインドウ6がねじりバネ47の作用により自動的に開くことになる。
【0037】
なおウインドウ6は、約180度回動した際に、カバー8上面に突設された第一ストッパ48が、ウインドウ6上面に突設された第二ストッパ49に当接し、係止する。
【0038】
この状態においてツマミ43を離すと、スライダー39は再び、ピストンスプリング45の作用によりウインドウ6側へ移動しようとするが、このとき円筒部33の切欠面36も約180度回転しているため、通路孔35は無く、スライダー39先端部は円筒部33の外周面と接触して係止することになる。
【0039】
ここで再びウインドウ6を手動で閉じていくと、ウインドウ6が完全に閉じるまでは、
図6に示す通り、円筒部33がスライダー39先端部と摺動しながら、引き続きスライダー39の移動を抑止する。すなわちこの間、スライダー39先端部は合わせ面37を超えてウインドウ6側に突出することが無いので、ウインドウ6を閉じようとする際の障害とはなり得ない。
【0040】
やがてウインドウ6が完全に閉じると再び通路孔35が形成され、その瞬間、スライダー39はピストンスプリング45の作用によりウインドウ6側へ移動し、再び
図4の状態に戻り、ウインドウ6を拘持することになる。
【0041】
上述した構成による粉塵制御機能付電動研削機において、つまり使用者は作業効率を落とすことなく、ウインドウ6を完全に閉じて行う通常研削と、ウインドウ6を開けて行う壁際研削とを、容易に切り替えることが可能になる。
【0042】
ウインドウ6を開けた状態においては、
図7に示す様に、合わせ面37が、研削ディスク4の外周円に接する位置に設定されているため、
図8に示す様に、カバー8の開口面を壁に当接させ、壁に沿って摺動させれば、壁際まで研削が可能である。
【0043】
なおヒンジ機構7の回転軸はカバー8側にあるため、
図5に示す様に、ウインドウ6は合わせ面37よりもカバー8側に移動し、壁に接触することはないので、カバー8の開口面はウインドウ6の影響を受けず、確実に壁に密着させることが出来る。すなわち、壁際研削時においてもカバー8内部の吸引圧力が大幅に落ちることはなく、粉塵は通常研削時同様、ほぼ全て集塵機10に捕集される。
【0044】
次に本発明による別の実施形態を説明する。
【0045】
上述した構成による粉塵制御機能付電動研削機においては、集塵機10の吸引力が極めて強力であった場合、スライダー39を引いても、ウインドウ6をカバー8側に吸着させようとする力が、ねじりバネ47の付勢力に勝り、ウインドウ6が開かない可能性がある。
【0046】
そこで
図9に示す実施形態では、ウインドウ6上面の一部に、内部に通じる通気孔50を穿設し、スライダー39を引いた際にはこの通気孔50が露出して、ウインドウ6をカバー8側に吸着させようとする力を弱め、ウインドウ6を開きやすくしている。
【0047】
本実施形態においてウインドウ6を閉じた際には、スライダー39が再び通気孔50を塞ぐ位置に復帰するため、研削時の集塵性能に悪影響を与えることはない。
【0048】
また上述した構成による粉塵制御機能付電動研削機においては、ウインドウ6を開くためにスライダー39を引いた際、
図10に示す様に、スライダー39先端部が合わせ面37を超え、カバー8側に移動した瞬間、ウインドウ6がねじりバネ47の作用によって開き始め、切欠面36のエッジ51が、スライダー39上面を圧迫し、結果としてスライダー39の円滑な動作に影響を及ぼす可能性がある。
【0049】
そこで
図11に示す実施形態では、スライダー39先端の一部を、カバー8上面と円筒部33外周との隙間を通過可能な薄肉板52で形成している。
薄肉板52上面とスライダー39上面は、スライダー39先端が合わせ面37と一致した時の、円筒部33と同心の円筒面でつながれている。
【0050】
本実施形態においてスライダー39を引いた時、スライダー39先端部が合わせ面37を超え、カバー8側に移動した時には、円筒部33が回動可能な状態となるので、上述した様にエッジ51がスライダー39を圧迫することはほとんどなく、スライダー39の操作を容易なものにする。
【0051】
なお本実施例においては、上述の通り、スライダー39上面と薄肉板52上面の間は円筒面でつないでいるが、上記同様の機能を果たすのであれば、ここを単純な段差形状で形成しても構わない。
【0052】
また上述した構成による粉塵制御機能付電動研削機において、実際にはスライダー39の可動性を確保するため、スライダー39底面とウインドウ6上面との間には僅かな隙間を設ける必要があり、その結果、ウインドウ6を閉めた状態であっても、カバー8とウインドウ6の合わせ面37に僅かな隙間が生じることになる。
【0053】
そこで
図12に示す実施形態では、カバー8側の合わせ面37の一部に、カバー8の上面付近から底面に抜ける長溝53を設け、ウインドウ6側の合わせ面37には、長溝53と同位置に、長溝53に収まる幅と長さ、および長溝53の深さの2倍程度の厚さ、を有する軟質パッキン54を着設してある。
【0054】
本実施形態においては、ウインドウ6を閉じた際に僅かに生じるカバー8との隙間が、軟質パッキン54によって埋められるので、カバー8内部の密封度が高まり、集塵機10による粉塵捕集性能をより向上させることが出来る。
【0055】
また軟質パッキン54の厚みは、ウインドウ6を開けた際に、合わせ面37よりもカバー8側に収まる程度に設定されているため、前述した壁際研削の際に、壁と擦れ合って軟質パッキン54が剥がれることはない。
【0056】
更に
図13に示す実施形態では、スライダー39上面の一部に、ウインドウ6側からカバー8に向かって高くなるスロープ55を設けている。
【0057】
本実施形態においては、ウインドウ6を手動で閉じた時、スライダー39がピストンスプリング45の付勢力によりウインドウ6側に向かって移動していく際に、スロープ55がゲート34の切欠面36のエッジと係合して停止することになる。
この時ウインドウ6は、スロープ55とゲート34が係合状態にあるため、手を離しても開く事は無い。すなわち、カバー8との合わせ面37に生じる隙間を最小限に抑えることができるため、カバー8内部の密封度が高まり、集塵機10による粉塵捕集性能をより向上させることが出来る。
【符号の説明】
【0058】
1 スピンドル
2 グラインダ
3 フランジ
4 研削ディスク
5 ロックナット
6 ウインドウ
7 ヒンジ機構
8 カバー
9 粉塵排出用ダクト
10 集塵機
11 第一チャンネルブラシ
12 第二チャンネルブラシ
13 ベースプレート
14 アダプタ
15 ピラー
16 保持穴
17 ホールドスプリング
18 保持ワッシャ
19 スペース
20 第一フック
21 第二フック
22 連結用メネジ穴
23 ガイド穴
24 連結用ボルト
25 ギヤケース
26 ボルト穴
27 保持用メネジ穴
28 保持用ボルト
29 軸受部
30 軸受アーム
31 シャフト
32 止め輪
33 円筒部
34 ゲート
35 通路孔
36 切欠面
37 合わせ面
38 ガイド溝
39 スライダー
40 プレート
41 台座
42 レール
43 ツマミ
44 ポケット
45 ピストンスプリング
46 ステー
47 ねじりバネ
48 第一ストッパ
49 第二ストッパ
50 通気孔
51 エッジ
52 薄肉板
53 長溝
54 軟質パッキン
55 スロープ
【要約】 (修正有)
【課題】壁際を研削する際に、研削ディスクの外周の一部をカバーから露出させるウインドウの開閉操作が容易であり、且つ使用回数を重ねてもその操作性や粉塵捕集性能に問題の生じにくい粉塵制御機能付電動研削機を提供する。
【解決手段】研削ディスク4の外周の一部を露出させるためのウィンドウ6を、ヒンジ機構により開閉自在な状態でカバー8と連結し、ウインドウ6に、回動軸と同軸上に設けられた円筒部33を含むゲートを突設し、円筒部33の一部には、ウインドウ6が完全に閉じた状態の時に、カバー8上面と円筒部33との間に、カバー8上面に対し平行な通路孔を形成する切欠面36が設けられており、且つウインドウ6側に常時突出するようにピストンスプリング45で付勢され、ウインドウ6上面と摺接するスライダー39をカバー8上面に設置した上で、ウインドウ6を常時開く方向に付勢するねじりバネ47を、ヒンジ機構の回動軸上に周設する。
【選択図】
図5