(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
昇降路内を走行するエレベータのかごの位置を検出する手段として、昇降路内に多数の位置センサを配置し、かごには前記位置センサを操作するカムを設置した構成のもの(特許文献1参照)がある。この技術は、かごが位置センサの箇所を通過する度に、カムが位置センサをオン・オフすることによって、かごの位置を検出するものである。
しかしこの装置だと、位置センサの数が多くなり、位置センサの配線ケーブルも増加してしまう。
【0003】
そこで、かごに光電センサを設け、昇降路には前記光電センサの光軸を遮断する遮蔽板(プレート)を配置したものがある(例えば特願2014−238884号参照)。
この装置を図により説明する。
図7はかご位置検出装置の全体構成を示す概略図、
図8はプレートの詳細図、
図9は動作説明図である。
【0004】
図において、1はかご2が昇降する昇降路、3はかご2の上部に設置された光電センサであり、一組の投光器と受光器を備えている。11〜14は光電センサ3と対向するように昇降路1の上端部側及び下端部側に配置されたプレートである。そして、プレート11の上端はかご2の位置を検出する位置検出点1となっており、同様にプレート12の上端は位置検出点2となっている。一方、昇降路1の下端部側は、プレート13の下端が位置検出点3、プレート14の下端が位置検出点4となっている。
【0005】
図8に示すように、プレートには空隙部Gが空けられ、その上下はプレート本体である遮蔽部Sとなっている。遮蔽部Sは光電センサ3の光軸を遮断し、空隙部Gは光電センサ3の光軸が通過可能であり、両者は上下方向に交互に並んでおり、遮蔽部Sと空隙部Gの長さLは同一になっている。そして、空隙部Gが1個のプレート11,13は昇降路1の中央側に配置され、空隙部Gが2個のプレート12,14は昇降路1の端部側に配置されている。
【0006】
光電センサ3が遮蔽部Sの上端又は下端(エッジ)を検出するとパルス信号を発生し、このパルス数をカウントして、所定数(閾値)になると、かご位置を検出するようになっている。この実施の形態では、カウントされたエッジ数が4のときを閾値1、同じくエッジ数が6のときを閾値2とする。更にパルス信号が発生しないOFF状態が一定時間(例えば、かご2が長さLの10倍移動した時間)継続すると、かご2はプレートから離れた位置にあると認識して、カウントしたパルス数をリセットする。
【0007】
次にこの先行技術の動作について説明する。
かご2が
図7の位置から上昇すると、光電センサ3はプレート11の下端のエッジを検出する(
図9のa点)。更にかご2が上昇すると、プレート11のエッジを次々に検出し、b点では4つのエッジを検出して閾値1に達する。この時点で、かご2はプレート11の上端、つまり位置検出点1にあると認識する。
更にかご2が上昇を続け、b点から一定時間経過してc点に達すると、かご2はプレート11から離れた位置にあると判断して、パルス数のカウントをリセットする。
【0008】
次にかご2が上昇を続けると、光電センサ3がプレート12の下端のエッジを検出する(
図9のd点)。更にかご2が上昇すると、プレート12のエッジを次々に検出し、e点では4つのエッジを検出して閾値1に達し、かご2はプレート11の上端、つまり位置検出点1にあると認識する。更にかご2が上昇を続けてプレート12のエッジを検出し続け、f点では6つのエッジを検出して閾値2に達する。この時点で、かご2はプレート12の上端、つまり位置検出点2にあると認識する。
更にかご2が上昇を続け、f点から一定時間経過してg点に達すると、かご2はプレート12から離れた位置にあると判断して、パルス数のカウントをリセットする。
【0009】
このように、この先行技術によれば、光電センサ3がプレート11の上端を検出(
図9のb点)すると、かご2が位置検出点1にあると認識する。また、光電センサ13がプレート12で4つのエッジを検出(e点)すると、かご2が位置検出点1にあると認識するが、かご2が上昇して光電センサ3が6つのエッジを検出(f点)すると、かご2が位置検出点2にあると認識する。
また、下降時も同様の動作となる。
【0010】
ところで、昇降路1の上下端部でかご2を強制的に減速させる安全装置の場合、かご2の位置が昇降路1の端部に近いほどかご2の速度が遅くなるように制御する必要がある。
例えば、
図7では、位置検出点1,3におけるかご2の速度をV1以下、位置検出点2,4におけるかご2の速度をV2以下に設定する場合、V1>V2であり、かご2が昇降路1の上下端部の安全装置、例えばオイルバッファに衝突する場合でも、衝突速度が許容速度以下になるようにV1、V2を設定する。
【0011】
この先行技術の場合では、プレート11の位置検出点1(
図9のb点)におけるかご2の速度がV1以上であればかご2の速度をV1以下に減速させ、かご2の速度がV1以下であればそのままの走行を許容するように制御される。
【0012】
また、プレート12の位置検出点1(
図9のe点)におけるかご2の速度がV1以上であればかご2の速度をV1以下に減速させる。しかしながら、かご2はプレート11を通過した時点でその速度はV1以下に制御されているため、e点で速度がV1以上になることはないので、かご2はそのままe点を通過する。更に位置検出点2(
図9のf点)におけるかご2の速度がV2以上であればかご2の速度をV2以下に減速させ、V2以下であればそのままの走行を許容する。従って、かご2がプレート12の通過中に位置検出点1を認識しても、かご2の動作に影響することはない。
【0013】
このように、この先行技術によれば、プレートに1又は2の空隙部Gを上下方向に配置するというシンプルな構成で、昇降路1の上下端部でかご2を強制的に減速させる安全装置に使用するかご位置検出装置として十分な機能を実現することができる。また、プレートの幅を狭くできるとともに、昇降路内に多数の光電センサを配置する必要もなくなる。
【0014】
尚、この先行技術においては、位置検出点は2箇所に限ることはない。例えば、位置検出点が3箇所なら、空隙部Gを1〜3個備えた3種類のプレートを、位置検出点がN箇所なら、空隙部Gを1〜N個備えたN種類のプレートを使用する。これらの空隙部Gは、上下方向に1列に並べ、空隙部Gと遮蔽部Sの高さはLとする。
更に空隙部Gは0個とすることもできる。従って、位置検出点がN箇所なら、空隙部Gを0〜N−1個備えたN種類のプレートを使用することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を図により説明する。
図1は昇降路内のプレートの配置を示す図、
図2はかご天井部の要部を示す図、
図3はかごの位置を判定するための表、
図4は動作を示すフローチャートである。また、
図7〜
図9と同一符号は同一のものを示している。
【0024】
図において、A1〜A6は昇降路1に配置されたA相プレートであり、
図8と同様に、遮蔽部Sと空隙部Gが交互に配置されており、遮蔽部Sと空隙部Gの長さLは同一になっている。
【0025】
図1に示すように、昇降路1の上部には、上から順に、空隙部Gが3個のプレートA1、空隙部Gが2個のプレートA2、空隙部Gが1個のプレートA3が配置されている。
一方、昇降路1の下部には、上から順に、空隙部Gが2個のプレートA4、空隙部Gが3個のプレートA5、空隙部Gが4個のプレートA6が配置されている。このように、昇降路1の上下端部に近いほど空隙部Gの数の多いプレートが配置されるとともに、上部よりも下部のプレートの方が、空隙部が1個多くなっている。
【0026】
B相プレートB1〜B6も、A相プレートA1〜A6と同様に構成され、配置されているが、昇降路1の上部では、A相プレートよりも、L/2だけ下げて配置され、昇降路1の下部では、A相プレートよりも、3L/2だけ上げて配置されている。
【0027】
Z相プレートZ1〜Z6は空隙のないプレートで、対応するA相,B相プレートA1,B1〜A6,B6より長くなっており、その上端は対応するA相,B相プレートより上方まで伸び、その下端は対応するA相,B相プレートより下方まで伸びている。
4はかご2の上部に設置された光電センサであり、A相,B相,Z相に対応する3組の投光器と受光器を備えている。
【0028】
また、Z相プレートZ1〜Z6の上下端部を基準にして、昇降路1を多数の区間に区切っている。
図1,
図3に示すように、プレートZ1の上端から昇降路1の上端までを区間1、プレートZ1の上端からプレートZ2の上端までを区間2、以下同様にして、プレートZ6の上端から昇降路1の下端までを区間7としている。また、プレートZ1の下端から昇降路1の上端までを区間11、プレートZ1の下端からプレートZ2の下端までを区間12、以下同様にして、プレートZ6の下端から昇降路1の下端までを区間17としている。
これらの区間はかご2の進行方向も示している。即ち、各プレートを通過したかご2が区間1〜6に達したと判断されたときにはかご2は上昇中であり、また各プレートを通過したかご2が区間12〜17に達したと判断されたときにはかご2は下降中である。
【0029】
ここで、Z相プレートの上下間の距離をD[m]とすると、距離Dは数式(1)を満足する。
【0031】
また、空隙部Gの長さL[m]は、数式(2)となる。
【0033】
次に、
図4のフローチャートについて説明する。
まず、光電センサ4が、A相,B相,Z相の何れかのプレートのエッジを検出してパルス信号を発すると、信号処理部(図示省略)でA相,B相,Z相の何れかのパルス信号を受信する(ステップS1)。
【0034】
次にステップS2で、A相及びB相からの信号A,Bによりパルスエッジ数Pを増減する。尚、Pの初期値は0である。このステップにおいて、条件1-1及び条件1-2を満足するかどうかを検討する。
【0035】
図4の条件1-1の式において、上の行は、A相プレートの何れかにおいて、遮蔽部Sが検出された(信号Aの立ち上がり)とき、B相プレートでは遮蔽部Sが検出されている状態を示している。
また下の行は、A相プレートの何れかにおいて、遮蔽部Sの検出が終了した(信号Aの立ち下がり)とき、B相プレートでは遮蔽部Sが検出されていない状態を示している。この2つの状態の何れかが満足されれば、パルスエッジ数PをP+1に増加させる。
【0036】
図4の条件1-2の式において、上の行は、A相プレートの何れかにおいて、遮蔽部Sが検出された(信号Aの立ち上がり)とき、B相プレートでは遮蔽部Sが検出されていない状態を示している。
また下の行は、A相プレートの何れかにおいて、遮蔽部Sの検出が終了した(信号Aの立ち下がり)とき、B相プレートでは遮蔽部Sが検出されている状態を示している。この2つの状態の何れかが満足されれば、パルスエッジ数PをP―1に減少させる。
【0037】
また、条件1-1,1-2の何れも満足しないときには、パルスエッジ数Pはそのままで(ELSE)、次のステップS3に進む。
【0038】
ステップS3では、A相、B相及びZ相からの信号A,B,Zにより、プレート配置区間の判断を行う。このステップにおいて、条件2-1及び条件2-2を満足するかどうかを検討する。
【0039】
図4の条件2-1の式において、光電センサ4が信号Zを検出している状態(X==1)で、信号Aが検出され、信号Bが検出されないとき、つまり信号Aが先に検出されたとき、「最初に受信した信号をAと識別」し、「Type=A」と判定し、Xを0に戻す。
【0040】
図4の条件2-2の式において、光電センサ4が信号Zを検出している状態(X==1)で、信号Bが検出され、信号Aが検出されないとき、つまり信号Bが先に検出されたとき、「最初に受信した信号をBと識別」し、「Type=B」と判定し、Xを0に戻す。
【0041】
また、条件2-1,2-2の何れも満足しないときには、そのままで(ELSE)、次のステップS4に進む。
【0042】
ステップS4では、Z相からの信号Zの判断を行う。このステップにおいて、条件3-1〜条件3-3を満足するかどうかを検討する。
【0043】
図4の条件3-1の式において、光電センサ4が信号Zを検出した(信号Zの立ち上がり)とき、「X=1」とする。
【0044】
また、条件3-2の式において、光電センサ4が信号Zの検出を終了した(信号Zの立ち下がり)とき、かごの位置を決定する。このかごの位置とは、
図3の区間1〜6及び区間12〜17の何れにかご2が存在するかである。その後、パルスエッジ数Pをリセット(P=0)するとともに、「X=0」とする。
【0045】
条件3-3の式では、かご2がZ相プレートを検出せず、かつ信号Zが立ち下がりでないことを示している。この条件3-3を満足するときには、パルスエッジ数Pをリセット(P=0)するとともに、「X=0」とする。
【0046】
また、条件3-1〜条件3-3の何れも満足しないときには、そのままで(ELSE)、次のステップS5に進む。
ステップS5では、かご2がどの区間にあるかを出力する。
【0047】
次に、具体的な例によって、
図4のフローチャートを説明する。
図5は、
図1のプレートA3,B3,Z3部分の詳細図であり、ここをかご2が上昇する場合について説明する。
【0048】
かご2がプレートZ3の下方にある場合、信号A,B,ZともFalseであるため、ステップS2はELSE、ステップS3もELSE、ステップS4は、条件3-3を満足するので、P=0,X=0となる。この時点ではTypeは不明である。
【0049】
かご2が上昇してa1に達すると、信号Zが立ち上がりTrueとなるが、信号A,BはFalseのままなので、ステップS2,S3はともにELSEとなる。ステップS4では、条件3-1を満足するので、X=1となる。
従って。X=1、P=0、Typeは不明となる。
【0050】
かご2が上昇してa2に達すると、信号Bが立ち上がりTrueとなるが、信号AはFalseのままなので、ステップS2はELSEとなる。ステップS3は条件2-2を満足するので、Type=B,X=0となる。また信号ZはTrueを維持しているのでステップS4はELSEとなる。
従って、X=0,P=0,Type=Bとなる。
【0051】
かご2が上昇してa3に達すると、信号Aが立ち上がりTrueとなり、信号BはTrueのままなので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=1となる。X=0のままのためステップS3はELSE、ステップS4もELSEとなる。
従って、X=0,P=1,Type=Bとなる。
【0052】
かご2が上昇してa4に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはTrueを維持するので、ステップS2はELSE、ステップS3,S4もELSEである。
従って、X=0,P=1,Type=Bのままである。
【0053】
かご2が上昇してa5に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=2となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=2,Type=Bとなる。
【0054】
かご2が上昇してa6に達すると、信号Bが立ち上がってTrueとなり、信号AはFalseを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=2,Type=Bのままである。
【0055】
かご2が上昇してa7に達すると、信号Aが立ち上がってTrueとなり、信号BはTrueを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=3となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=3,Type=Bとなる。
【0056】
かご2が上昇してa8に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはTrueを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=3,Type=Bのままである。
【0057】
かご2が上昇してa9に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=4となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=4,Type=Bとなる。
【0058】
かご2が上昇してa10に達すると、信号Zが立ち下がりFalseとなるが、信号A,BはFalseのままなので、ステップS2,S3はともにELSEとなる。ステップS4では、条件3-2を満足するので、かご2の位置を決定する。このとき、
P=4,Type=Bなので、
図3より、かご2は区間3にあり上昇していることがわかる。
【0059】
その後、パルスエッジ数をリセットして、P=0,X=0として、かご位置区間を「区間3」として出力する。
上記のように、かご2の位置及び運転方向を検出することができる。
【0060】
次に、
図5において、かご2がプレートZ3の上方から下方へ通過する場合について説明する。
【0061】
かご2がプレートZ3の上方にある場合、信号A,B,ZともFalseであるため、ステップS2,S3はELSE、ステップS4は、条件3-3を満足するので、P=0,X=0となる。この時点ではTypeは不明である。
【0062】
かご2が下降してa10に達すると、信号Zが立ち上がりTrueとなるが、信号A,BはFalseのままなので、ステップS2,S3はともにELSEとなる。ステップS4では、条件3-1を満足するので、X=1となる。
従って。X=1、P=0、Typeは不明となる。
【0063】
かご2が下降してa9に達すると、信号Aが立ち上がりTrueとなるが、信号BはFalseのままなので、ステップS2は条件1-2を満足し、P=ー1となる。ステップS3は条件2-1を満足するので、Type=A,X=0となる。また信号ZはTrueを維持しているのでステップS4はELSEとなる。
従って、X=0,P=−1,Type=Aとなる。
【0064】
かご2が下降してa8に達すると、信号Bが立ち上がりTrueとなり、信号AはTrueのままなので、ステップS2はELSE、ステップS3,S4もELSEである。
従って、X=0,P=―1,Type=Aのままである。
【0065】
かご2が下降してa7に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはTrueを維持するので、ステップS2は条件1-2を満足し、P=―2となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=−2,Type=Aとなる。
【0066】
かご2が下降してa6に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはFalseを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=―2,Type=Aのままである。
【0067】
かご2が下降してa5に達すると、信号Aが立ち上がってTrueとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-2を満足し、P=―3となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=−3,Type=Aとなる。
【0068】
かご2が下降してa4に達すると、信号Bが立ち上がってTrueとなり、信号AはTrueを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=―3,Type=Aのままである。
【0069】
かご2が下降してa3に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはTrueを維持するので、ステップS2は条件1-2を満足し、P=―4となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=−4,Type=Aとなる。
【0070】
かご2が下降してa2に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはFalseを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=―4,Type=Aのままである。
【0071】
かご2が下降してa1に達すると、信号Zが立ち下がりFalseとなるが、信号A,BはFalseのままなので、ステップS2,S3はともにELSEとなる。ステップS4では、条件3-2を満足するので、かご2の位置を決定する。このとき、
P=―4,Type=Aなので、
図3より、かご2は区間14にあり下降していることがわかる。
【0072】
その後、パルスエッジ数をリセットして、P=0,X=0として、かご位置区間を「区間14」として出力する。
上記のように、かご2の位置及び運転方向を検出することができる。
同様にして、他の上部のプレートA1,2、B1,2、Z1,2の箇所についてもかご2の位置及び運転方向を検出することができる。
【0073】
次に、昇降路1の下部に配置されたプレートについて、具体例を説明する。
図6は、
図1のプレートA4,B4,Z4部分の詳細図であり、ここをかご2が上昇する場合について説明する。
【0074】
かご2がプレートZ4の下方にある場合、信号A,B,ZともFalseであるため、ステップS2はELSE、ステップS3もELSE、ステップS4は、条件3-3を満足するので、P=0,X=0となる。この時点ではTypeは不明である。
【0075】
かご2が上昇してb1に達すると、信号Zが立ち上がりTrueとなるが、信号A,BはFalseのままなので、ステップS2,S3はともにELSEとなる。ステップS4では、条件3-1を満足するので、X=1となる。
従って。X=1、P=0、Typeは不明となる。
【0076】
かご2が上昇してb2に達すると、信号Aが立ち上がりTrueとなるが、信号BはFalseのままなので、ステップS2は条件1-2を満足し、P=―1となる。ステップS3は条件2-1を満足するので、Type=A,X=0となる。また信号ZはTrueを維持しているのでステップS4はELSEとなる。
従って、X=0,P=−1,Type=Aとなる。
【0077】
かご2が上昇してb3に達すると、信号Aが立ち下がりFalseとなり、信号BはFalseのままなので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=0となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=0,Type=Aとなる。
【0078】
かご2が上昇してb4に達すると、信号Bが立ち上がってTrueとなり、信号AはFalseを維持するので、ステップS2はELSE、ステップS3,S4もELSEである。
従って、X=0,P=0,Type=Aのままである。
【0079】
かご2が上昇してb5に達すると、信号Aが立ち上がってTrueとなり、信号BはTrueを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=1となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=1,Type=Aとなる。
【0080】
かご2が上昇してb6に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはTrueを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=1,Type=Aのままである。
【0081】
かご2が上昇してb7に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=2となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=2,Type=Aとなる。
【0082】
かご2が上昇してb8に達すると、信号Bが立ち上がってTrueとなり、信号AはFalseを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=2,Type=Aのままである。
【0083】
かご2が上昇してb9に達すると、信号Aが立ち上がってTrueとなり、信号BはTrueを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=3となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=3,Type=Aとなる。
【0084】
かご2が上昇してb10に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはTrueを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=3,Type=Aのままである。
【0085】
かご2が上昇してb11に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=4となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=4,Type=Aとなる。
【0086】
かご2が上昇してb12に達すると、信号Bが立ち上がってTrueとなり、信号AはFalseを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=4,Type=Aのままである。
【0087】
かご2が上昇してb13に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはFalseを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=4,Type=Aのままである。
【0088】
かご2が上昇してb14に達すると、信号Zが立ち下がりFalseとなるが、信号A,BはFalseのままなので、ステップS2,S3はともにELSEとなる。ステップS4では、条件3-2を満足するので、かご2の位置を決定する。このとき、
P=4,Type=Aなので、
図3より、かご2は区間4にあり上昇していることがわかる。
【0089】
その後、パルスエッジ数をリセットして、P=0,X=0として、かご位置区間を「区間4」として出力する。
上記のように、かご2の位置及び運転方向を検出することができる。
【0090】
次に、
図6において、かご2がプレートZ4の上方から下方へ通過する場合について説明する。
【0091】
かご2がプレートZ4の上方にある場合、信号A,B,ZともFalseであるため、ステップS2,S3はELSE、ステップS4は、条件3-3を満足するので、P=0,X=0となる。この時点ではTypeは不明である。
【0092】
かご2が下降してb14に達すると、信号Zが立ち上がりTrueとなるが、信号A,BはFalseのままなので、ステップS2,S3はともにELSEとなる。ステップS4では、条件3-1を満足するので、X=1となる。
従って。X=1、P=0、Typeは不明となる。
【0093】
かご2が下降してb13に達すると、信号Bが立ち上がりTrueとなるが、信号AはFalseのままなので、ステップS2はELSE、ステップS3は条件2-2を満足するので、Type=B,X=0となる。また信号ZはTrueを維持しているのでステップS4はELSEとなる。
従って、X=0,P=0,Type=Bとなる。
【0094】
かご2が下降してb12に達すると、信号Bが立ち下がりFalseとなり、信号AはFalseのままなので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=0,Type=Bのままである。
【0095】
かご2が下降してb11に達すると、信号Aが立ち上がってTrueとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-2を満足し、P=―1となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=−1,Type=Bとなる。
【0096】
かご2が下降してb10に達すると、信号Bが立ち上がってTrueとなり、信号AはTrueを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=―1,Type=Bのままである。
【0097】
かご2が下降してb9に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはTrueを維持するので、ステップS2は条件1-2を満足し、P=―2となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=−2,Type=Bとなる。
【0098】
かご2が下降してb8に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはFalseを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=―2,Type=Bのままである。
【0099】
かご2が下降してb7に達すると、信号Aが立ち上がってTrueとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-2を満足し、P=―3となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=−3,Type=Bとなる。
【0100】
かご2が下降してb6に達すると、信号Bが立ち上がってTrueとなり、信号AはTrueを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=―3,Type=Bのままである。
【0101】
かご2が下降してb5に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはTrueを維持するので、ステップS2は条件1-2を満足し、P=―4となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=−4,Type=Bとなる。
【0102】
かご2が下降してb4に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはFalseを維持するので、ステップS2,S3,S4は何れもELSEである。
従って、X=0,P=―4,Type=Bのままである。
【0103】
かご2が下降してb3に達すると、信号Aが立ち上がってTrueとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-2を満足し、P=―5となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=−5,Type=Bとなる。
【0104】
かご2が下降してb2に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=―4となる。ステップS3,S4はELSEである。
従って、X=0,P=―4,Type=Bとなる。
【0105】
かご2が下降してb1に達すると、信号Zが立ち下がりFalseとなるが、信号A,BはFalseのままなので、ステップS2,S3はともにELSEとなる。ステップS4では、条件3-2を満足するので、かご2の位置を決定する。このとき、
P=―4,Type=Bなので、
図3より、かご2は区間15にあり下降していることがわかる。
【0106】
その後、パルスエッジ数をリセットして、P=0,X=0として、かご位置区間を「区間15」として出力する。
上記のように、かご2の位置及び運転方向を検出することができる。
【0107】
このように、本実施の形態によれば、かご2が存在する区間及び運転方向を検出することができる。
【0108】
次にかご2がプレート位置(Z相プレートの範囲内)で停止した場合は、Z相プレートのZ信号は立ち下がりを検出しないので、
図4の条件3-2が満足されないため、かご位置は決定されず、前回の区間と同じとなる。また
図4のフローチャートは途中で実行停止した状態となる。従って、
図1を見ても分かるように、かご2の上昇時は(区間1〜6)はZ相プレートの上端が区間の境界であり、かご2の下降時(区間12〜17)はZ相プレートの下端が区間の境界となっている。
【0109】
そして、かご2がプレート位置で停止した後、同じ方向に運転する場合は、
図4のフローチャートが続行されるので、既に説明した動作と同じになる。
【0110】
また、かご2がプレート位置で停止した後、逆方向に運転する場合は、プレート位置に停止するまでに実行されたA相,B相プレートの立ち上がりは立ち下がりとして実行され、また、A相,B相プレートの立ち下がりは立ち上がりとして実行されるため、パルスエッジ数Pは0となる。従って、
図3により、かご2の位置は前回区間と同じと判断され、次のZ相プレートを通過することにより、本来の区間に訂正される。
【0111】
本実施の形態は、ETS(電子過速度検出装置)に使用されるものである。このETSシステムでは、安全確保のために、かご2が昇降路の上下端に近づくほど、その速度が低くなるように設定してある。例えば区間2の設定速度(速度閾値)は区間3の設定速度より小さくなっている。また区間12〜14,6〜4ではかご2は昇降路の中央に向かうため速度の制限はしていない。そのため、かご2が次のZ相プレートを通過するまでの間、かご2の位置は前回区間と同じと判断して制御すると、かご2の速度が過速度になる可能性がある。
【0112】
例えば、かご2が区間13を下降中にプレートZ3の位置に停止した後、上昇運転すると、次のプレートZ2を通過するまでの間、本来ならかご2は区間3にあると判断すべきところを、区間13に位置すると判断されることになる。
かご2が区間13に位置する場合は、かご2の速度は制限されない、つまり安全機の動作速度(例えば定格速度の1.14倍)まで上昇可能だが、かご2が区間3に位置する場合は、かご2の速度は設定された速度(速度閾値)に制限される。
【0113】
そのため、かご2が区間3にある場合に区間13に位置していると判断されると、かご2の速度は制限されないため、かご2は区間3の設定速度を越えてしまう可能性がある。
そこで、Z相プレートの上下間の距離Dを数式(1)を満たすように制限しておくことにより、かご2が過速度になる前に次のプレートを通過できるようにしている。
【0114】
また、ETSシステムがリセットされ、かご2の位置が不明となった場合には、次のプレートを通過したときにカゴ2の位置を検出することができるが、この場合もZ相プレートの上下間の距離Dを数式(1)を満たすように配置しておくことにより、かご2の過速度走行を防止するようにしている。
【0115】
更にまた、かご2がプレート位置に停止しているときにETSシステムがリセットされた場合、ETSシステムの再開時には、当該プレート位置のA相,B相プレートの中間位置からパルスエッジ数をカウントすることになる。そのため当該プレート通過時のパルスエッジ数は本来の数より小さくなる場合がある。
従って、かご2が次のプレートを通過するまでの間、かご2は設定速度が高い区間を走行していると判断される。そのため、かご2の実際の速度は、上記の判断された区間の設定速度を超えることはないため、誤検出することはない。
【0116】
上記のように本実施の形態によれば、かごの運転方向の検出が可能になり、かごがプレートを通過した後や、かごがプレート上で停止した場合でもかごがどのプレート間に位置するかを特定することができ、又は誤検出することなくかごを運転することができる。
【0117】
尚、本実施の形態では、昇降路1の上下それぞれに位置検出点が3箇所あるため、A相,B相プレートは空隙部Gを1〜3、又は2〜4個備えた3種類としているが、位置検出点は3箇所に限ることはない。例えば、位置検出点がN箇所なら、空隙部Gを1〜N又は2〜N+1個備えたN種類のプレートを使用する。これらの空隙部Gは、上下方向に1列に並べ、空隙部Gと遮蔽部Sの高さはLとする。
更に空隙部Gは0個とすることもできる。従って、位置検出点がN箇所なら、空隙部Gを0〜N−1又は1〜N個備えたN種類のプレートを使用することもできる。
【0118】
また、本実施の形態では、昇降路1の上部のA相,B相プレートより、昇降路1の下方のA相,B相プレートのほうが空隙部Gの数が多いが、逆に昇降路1の上部のA相,B相プレートの空隙部Gを、昇降路1の下方のA相,B相プレートの空隙部Gよりも多くすることもできる。
更に、本実施の形態では、昇降路1の上下両端部に各プレートを配置しているが、かご2の落下のみ又は過上昇のみを検出できればよいなら、昇降路1の下端部側又は上端部側のみに配置することもできる。
【0119】
また、本実施の形態では、昇降路1の上部では、B相プレートはA相プレートよりも、L/2だけ下げて配置され、昇降路1の下部では、A相プレートよりも、3L/2だけ上げて配置されているが、これに限ることはない。
例えば、昇降路1の上部では、B相プレートはA相プレートの上端の遮蔽部の長さを超えない範囲分だけ下げて配置すればよい。逆に言えば、A相プレートはB相プレートの下端の遮蔽部の長さを超えない範囲分だけ上げて配置すればよい。
また、昇降路1の下部では、B相プレートはA相プレートの下端の遮蔽部を越えかつ次の空隙部の長さを越えない範囲分だけ上げて配置すればよい。逆に言えば、A相プレートはB相プレートの上端の遮蔽部を越えかつ次の空隙部の長さを越えない範囲分だけ下げて配置すればよい。
【0120】
また、空隙部Gと遮蔽部Sの高さLは、エッジが確実に検出できれば同一でなくてもよい。
更にまた、光電センサ4は投光器と受光器が分離した透過型センサのほか、プレートとして反射板を使用し、光電センサとして投光器と受光器が一体になった反射型センサを使用して、投光器からの光軸を反射板(プレート)に反射させて受光器で受光させてもよい。
【0121】
また、本実施の形態は、かご2の速度はエンコーダなどの速度検出器を別途設けて検出してもよいし、各プレートを使ってかごの速度も検出することもできる。
即ち、各プレートの長さは既知であるため、かご2がプレートを通過した時間を測定し、プレートの長さを通過時間で割ればよい。ここで、かご2はプレートを等速で通過したとみなしている。従って、
かご速度=プレートの長さ/プレートの通過時間
となる。
【0122】
以上のように、各実施の形態は、3種のプレートを併設して、そのうち2種のプレートの遮蔽部のエッジを検出しているため、かごの運転方向の検出が可能になり、かごがプレートを通過した後や、かごがプレート上で停止した場合でも、かごがどのプレート間に位置するかを特定することができ、又は誤検出することなくかごを運転することができる。