(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着用者の腹部側に位置する前身頃外装体(10)と、着用者の背部側に位置する後身頃外装体(20)と、着用者の股下に位置する吸収性本体(30)とを備える使い捨ておむつであって、
前記吸収性本体(30)は、前記前身頃外装体(10)と前記後身頃外装体(20)の両方又はいずれか一方の外装体に対し、前記使い捨ておむつの幅方向に延びる山折部(41)及び谷折部(42)を有する連結部(40)を介して連結されており、
前記吸収性本体(30)は、
前記使い捨ておむつの長手方向の端部において、前記連結部(40)の肌対向面に対して接合されていない非接合部位(30a)と、
前記非接合部位(30a)よりも前記長手方向の股下部側において、前記連結部(40)の肌対向面に接合された接合部位(30b)と、を有する
使い捨ておむつ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、使い捨ておむつの後身頃に複数のタックを形成することで、着用者の身体の伸びに合せておむつを追従させることができるため、おむつのフィット感や着用感を向上させることができる。しかしながら、このタックは後身頃を構成するシート部材を折り畳んで形成されたものであるため、シート部材が重なった部位において通気性が低下し、着用者の肌とおむつの間に湿気が溜まって、蒸れによる不快感を着用者に与えるおそれがあった。また、タックの数が複数である場合、通気性の低下はより顕著な問題となる。
【0005】
そこで、本発明は、前身頃外装体、後身頃外装体、及び吸収性本体に分離された使い捨ておむつにおいて、タックが形成された部位の通気性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、使い捨ておむつに関する。本発明の使い捨ておむつは、着用者の腹部側に位置する前身頃外装体10と、着用者の背部側に位置する後身頃外装体20と、着用者の股下に位置する吸収性本体30とを備える。本発明は、パンツ型の使い捨ておむつとテープ型の使い捨ておむつのいずれにも適用することができる。パンツ型の使い捨ておむつは、前身頃外装体10と後身頃外装体20とが使い捨ておむつの幅方向の左右両側に設けられたサイドシール部において接合されることで略環状に繋がり、着用者の腹周りに位置するウエスト開口部と、着用者の両脚部周りに位置するレッグ開口部が形成されるタイプのおむつである。テープ型の使い捨ておむつは、前身頃外装体10と後身頃外装体20の外装体の一方における幅方向の両側端部に左右一対以上の止着テープが取り付けられており、この止着テープを外装体の他方に止め付けることにより、着用者の股下に装着されるタイプのおむつである。
【0007】
吸収性本体30は、前身頃外装体10と後身頃外装体20の両方又はいずれか一方の外装体に対し、使い捨ておむつの幅方向に延びる山折部41及び谷折部42を有する連結部40を介して連結されている。ここにいう「山折部」とは着用状態において上向きに凸となる折り返し部分であり、「谷折部」とは着用状態において下向きに凸となる折り返し部分である。また、この連結部40は、前身頃外装体10及び後身頃外装体20から分離された別個独立の部材であってもよいし、外装体と一体となった部材であってもよい。なお、本願明細書において、単に「外装体」というときは、前身頃外装体10と後身頃外装体20の両方又はいずれか一方を指している。
【0008】
上記の構成のように、吸収性本体30と外装体10,20の間に連結部40を設け、この連結部40にタックを形成することで、タックが形成された部位の通気性を高めることができる。
【0009】
また、本発明において、吸収性本体30は、長手方向の端部において連結部40の肌対向面に対して接合されていない非接合部位30aと、この非接合部位30aよりも長手方向の股下部側において連結部40の肌対向面に接合された接合部位30bを有する。より具体的に説明すると、吸収性本体30は、長手方向の端部において幅方向の全域に亘って連結部40に接合されずに、この連結部40の肌対向面から離間している。この部分が「非接合部位30a」となる。他方で、吸収性本体30は、この非接合部位30aよりも使い捨ておむつの股下部側の領域において、連結部の肌対向面に対して少なくとも部分的に(言い換えれば、全面的又は部分的に)接合されている。この吸収性本体30と連結部40とが接合された部分が「接合部位30b」となる。なお、本発明において、吸収性本体30は、連結部40とは別体である。
【0010】
前述のとおり、本発明は連結部40にはタックが形成されているため、このタックが形成されていない通常の使い捨ておむつと比較すると、このタックが形成された部分における通気性がやや劣ると考えられる。そこで、上記構成のように、吸収性本体30の長手方向の端部を連結部40から離間させることで、吸収性本体30の端部と連結部40との間に隙間が生じやすくなるため、タック付近における通気性を向上させることができる。このようにすれば、連結部40にタックを形成して必要に応じて展開可能な構成を採用した場合であっても、タック付近に溜まった湿気を効率的に排出することができ、この部位に蒸れが発生するのを抑制することができる。
【0011】
本発明の使い捨ておむつにおいて、吸収性本体30は、長手方向に沿って伸長状態で固定された弾性伸縮部材を有することが好ましい。このように、吸収性本体30の長手方向端部に位置する非接合部位30aに弾性伸縮部材を伸長状態で固定することで、この弾性伸縮部材が非接合部位30aを捲り上げて、吸収性本体30の非接合部位30aと連結部40とを離間させるように作用する。このため、吸収性本体30の非接合部位30aと連結部40との間に隙間が生じやすくなり、通気性が良好な状態を維持できる。
【0012】
本発明の使い捨ておむつにおいて、弾性伸縮部材は、非接合部位30aから接合部位30bに亘って延在していることが好ましい。このように、長手方向に沿って伸長状態とされている弾性伸縮部材が、非接合部位30a及び接合部位30bに固定されていることで、接合部位30b側から非接合部位30aを捲り上げるように弾性伸縮部材の収縮力が作用する。このため、非接合部位30aのみに弾性伸縮部材が固定されている場合と比較し、非接合部位30aと接合部位30bに亘って弾性伸縮部材を固定した方が、より効果的に吸収性本体30の非接合部位30aを連結部40から離間させることできる。
【0013】
本発明の使い捨ておむつにおいて、弾性伸縮部材は、非接合部位30a及び接合部位30bを超えて吸収性本体30の長手方向全域に亘って延在していてもよい。この場合、弾性伸縮部材は、接合部位30bにおいて、少なくとも部分的に伸縮性を発現しないようにされていることしてもよい。例えば、接合部位30bに位置する弾性伸縮部材を部分的に切断したり、あるいは弾性伸縮部材を部分的に非伸長状態で接合部位30bに固定することで、弾性伸縮部材が伸縮性を発現しないようにすることができる。ここで、吸収性本体30の長手方向全域に亘って延在する弾性伸縮部材としては、後述するように立体ギャザー伸縮部材36やレッグ伸縮部材37を利用することができる。ただし、立体ギャザー伸縮部材36やレッグ伸縮部材37が吸収性本体30の長手方向全域において伸縮性を有していると、吸収性本体30が股下部において大きく屈曲しフィット感が損なわれることが懸念される。そこで、前述のように、吸収性本体30の接合部位30bにおいて弾性伸縮部材の伸縮力を部分的に無効化しておくことで、吸収性本体30のフィット性を維持しつつ、吸収性本体30の非接合部位30aの捲り上げ作用をも維持できる。
【0014】
本発明の使い捨ておむつにおいて、連結部40は、山折部41と谷折部42の間に位置する中間領域43を有する。この中間領域43は、連結部40が山折部41及び谷折部42において折り畳まれた状態において、この中間領域43の肌対向面側に対面する部位と肌非対向面側に対面する部位の両方又はいずれか一方の部位に対して、剥離可能又は剥離不能に接合された接合領域43aを有する。なお、中間領域43は、接合領域43aにおいて、肌対向面側に対面する部位だけでなく、肌非対向面側に対面する部位と接合されていてもよい。また、接合領域43aは中間領域43の全域に亘っていてもよいが、その場合、接合領域43aは、中間領域43をその対面部位に対して剥離可能に接合する(すなわち仮接合)するものである。また、接合領域43aは中間領域43をその対面部位に対して剥離不能に接合するものであってもよいが、その場合、接合領域43aは、中間領域43に部分的に設けられたものとなる。なお、接合領域43aが中間領域43の一部に設けられている場合、その他の領域を非接合領域43bと称する。なお、パンツ型の使い捨ておむつにおいては、いわゆるサイドシール部4が、ここにいう接合領域43aとして機能するものであると解釈することもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前身頃外装体、後身頃外装体、及び吸収性本体に分離された使い捨ておむつにおいて、タックが形成された部位の通気性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0018】
本願明細書において、「長手方向」とは、使い捨ておむつの前後方向であり、使い捨ておむつの前身頃と後身頃とを結ぶ方向を意味する。また、「幅方向」とは、長手方向に平面的に直交する方向を意味する。本願の図において、「長手方向」はY軸で示され、「幅方向」はX軸で示されている。
本願明細書において、「肌対向面」とは、使い捨ておむつの着用状態において、着用者の肌に向かい合う面を意味する。また、「肌非対向面」とは、使い捨ておむつの着用状態において、着用者の肌に向かい合わない面、すなわち肌対向面の反対側の面を意味する。
本願明細書において、「A〜B」とは、「A以上B以下」であることを意味する。
【0019】
[外装体及び吸収性本体]
図1は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつの外観斜視図である。また、
図2は、
図1に示した使い捨ておむつの展開図であり、おむつを肌対向面側から平面視した状態を示している。また、
図3は、
図1に示した使い捨ておむつの縦断面図であり、
図1に示したIII−IIIの切断線における断面構造を示している。本願明細書では、本発明がパンツ型の使い捨ておむつに適用された場合を例に挙げて、本発明についての説明を行う。ただし、本発明は、パンツ型の使い捨ておむつに限られず、テープ型の使い捨ておむつにも適用可能である。
【0020】
図1から
図3に示されるように、本発明に係る使い捨ておむつ100は、長手方向(Y軸方向)に、着用者の腹部に接する前身頃1、着用者の背部に接する後身頃2、及びこれら前身頃1及び後身頃2の間に位置する股下部3に区分される。本実施形態において、前身頃1には前身頃外装体10が位置し、後身頃2には後身頃外装体20が位置する。また、股下部3には吸収性本体30が位置しており、この吸収性本体30は、股下部3を中心として、前身頃1及び後身頃2にかけて長手方向に延在している。このため、吸収性本体30は、前身頃1側の端部が前身頃外装体10と厚み方向に重なり、他方で後身頃2側の端部が後身頃外装体20と厚み方向に重なる。本発明において、前身頃外装体10、後身頃外装体20、及び吸収性本体30は、基本的に別体として構成されている。本実施形態において、各外装体10,20は、平面視において幅方向に長い略矩形状に形成されている。また、吸収性本体30は、平面視において長手方向に長い略矩形状に形成されている。ただし、各外装体10,20及び吸収性本体30の形状は図示したものに限られず、本発明の機能を発揮できる範囲において適宜変形させることができる。
【0021】
また、前身頃外装体10と後身頃外装体20の幅方向(X軸方向)の左右両端部には、サイドシール部4が設けられている。このサイドシール部4において、前身頃外装体10と後身頃外装体20の左右両端の対面する部位が互いに接合される。接合方法は、例えば、ヒートシールや、超音波シール、あるいはホットメルト接着剤等を利用した接着など、公知の方法を採用することができる。
図1に示されるように、前身頃外装体10と後身頃外装体20がサイドシール部4において接合されることで、これらの外装体10,20が環状に繋がる。そして、前身頃外装体10と後身頃外装体20の上縁によって、ウエスト開口部5が画定される。また、前身頃外装体10の下端部から後身頃外装体20の下端部にかけて吸収性本体30が架け渡されるようにして配設されている。このため、吸収性本体30の左右両側縁及び各外装体10,20の下縁によって、左右のレッグ開口部6が画定される。着用者は、ウエスト開口部5から両脚部を挿入し、左右のレッグ開口部6から片足ずつ出すことで、パンツ型の使い捨ておむつ100を装着できる。
【0022】
図3に示されるように、各外装体10,20は、肌対向面側に位置するインナーシート11,21と、肌非対向面側に位置するアウターシート12,22と、インナーシートとアウターシートの間に位置する一又は複数のウエスト伸縮部材13,23を備える。ウエスト伸縮部材13,23が複数である場合には、長手方向に所定の間隔を空けて配置される。各ウエスト伸縮部材13,23は、おむつの幅方向に伸張した状態で、インナーシート11,21とアウターシート12,22の間に挟み込んで固定されている。例えば、伸長状態のウエスト伸縮部材13,23にホットメルト接着剤などを直接塗布し、この接着剤が塗布されたものをインナーシート11,21とアウターシート12,22に配置すればよい。これにより、ウエスト伸縮部材13,23が収縮したときに、インナーシート11,21とアウターシート12,22とが撓んで複数の細かいシワ(ウエストギャザー)を形成する。ウエスト伸縮部材13,23を配置する本数は特に限定されないが、例えば3〜20本又は4〜15本が好ましい。
【0023】
インナーシート11,21及びアウターシート12,22を形成するシート部材は、公知の物を利用することができ特に限定されないが、肌触りの良い不織布で形成することが好ましい。不織布としては、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布、SMMS不織布などを挙げることができる。また、ウエスト伸縮部材13,23としては、公知の弾性伸縮部材を利用することができるが、例えば糸状弾性ゴムを好適に用いることができる。このようなゴム材としては、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等の素材を用いることができる。
【0024】
また、
図3に示されるように、アウターシート12,22をインナーシート11,21よりも長手方向の上方に向かって延出させ、この延出部分をウエスト開口部5の端縁において肌対向面側に折り返し、インナーシート11,21の肌対向面に接合してもよい。このようにすることで、ウエスト開口部5の肌触りを柔らかくすることができる。
【0025】
図3に示されるように、吸収性本体30は、基本的に、体液を吸収して保持する吸収体31と、この吸収体31の肌対向面を被覆する液透過性のトップシート32と、この吸収体31の肌非対向面を被覆する液不透過性のバックシート33を備えている。トップシート32とバックシート33とは、吸収体31の周縁部で接合されている。着用者の股下から排泄された体液は、トップシート32を透過して吸収体31へと導かれ、バックシート33によって外部への漏出が阻止される。
【0026】
吸収体31は、尿などの体液を吸収し、吸収した体液を保持するための部材である。吸収体31は、通常、吸収性材料をティシューペーパなどのコアラップシートで被包することにより構成されている。吸収体31を構成する吸収性材料には、公知の材料を採用することができる。吸収性材料としては、例えば、フラップパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートを用いることとしてもよい。また、吸収性材料には、フラップパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は、通常、単層又は複数層のマット状に形成されたものが用いられる。吸収体31の形状は、適宜、使い捨ておむつの形状や、大きさ、用途に合せて設計することができる。例えば、吸収体31の形状は、
図2に示されるように、砂時計型としてもよいし、一般的に使用されている、矩形型、楕円形型、又はひょうたん型とすることとしてもよい。
【0027】
トップシート32は、着用者の股下の肌に直接接し、尿などの体液を吸収体31へ透過させるための部材である。このため、トップシート32は、柔軟性が高い液透過性材料で構成される。なお、本願明細書において、「液透過性」とは、例えば、標準の大気圧下において、常温の水を5mlその上に載せた場合に、1分未満の時間で水を透過する性質を意味する。また、トップシート32を構成する液透過性材料の例は、織布、不織布、又は多孔性フィルムである。また、例えばポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
【0028】
バックシート33は、トップシート32を透過して吸収体31に吸収された体液が、外部に漏出することを防止する。このため、バックシート33は、液不透過性材料によって構成される。本願明細書において、「液不透過性」とは、例えば、標準の大気圧下において、常温の水を5mlその上に載せた場合に、1分以上経過してもその水を透過しない性質を意味する。バックシート33を構成する液不透過材料の例は、ポリエチレン樹脂などからなるプラスチックフィルムである。特に、バックシート33としては、0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
【0029】
また、吸収性本体30は、上記構成に加えて、バックシート33の肌非対向面側に、カバーシート34を有していている。カバーシート34は、バックシート33を覆いその手触りを良くするために、バックシート33の肌非対向面に貼り合わされる。カバーシート34を構成する材料としては,織布や不織布を用いればよい。特に,カバーシート34を構成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、若しくはポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布又は湿式不織布を用いることが好ましい。
【0030】
また、吸収性本体30は、上記構成に加えて、立体ギャザーを構成するための部材を有していている。立体ギャザーは,吸収体31の左右両側縁に沿っては配置された撥水性を持つ一対のサイドシート35と、このサイドシート35の幅方向内側の端縁に配置された一又は複数の立体ギャザー伸縮部材36によって構成される。サイドシート35は、トップシート32の肌対向面に対して長手方向に沿って固定された固定部と、この固定部よりも幅方向内側に位置しトップシート32に固定されない自由端部を有している。そして、このサイドシート35の自由端部には、長手方向に沿って立体ギャザー伸縮部材36が伸長状態で固定されている。このため、立体ギャザー伸縮部材36が収縮すると、その収縮力を受けてサイドシート35の自由端部が立ち上がり、立体ギャザーを形成する。このようにして形成された立体ギャザーは,吸収体31の両側縁部に沿って起立し、着用者が排泄した体液の横漏れを防止するための防漏壁として機能する。
【0031】
また、吸収性本体30は、上記構成に加えて、吸収性本体30の幅方向の左右両側縁に沿ってレッグ伸縮部材37を有している。レッグ伸縮部材37は、例えばサイドシート35の肌非対向面に長手方向に沿った伸長状態で固定されている。レッグ伸縮部材37が収縮すると、サイドシート35が撓んで複数の細かいシワ(レッグギャザー)を形成する。
【0032】
[連結部]
本発明に係る使い捨ておむつ100は、さらに、吸収性本体30を前身頃外装体10と後身頃外装体20の両方又はいずれか一方の外装体に連結するための連結部40を備える。本願明細書で説明する実施形態では、連結部40として、吸収性本体30と前身頃外装体10とを連結する前側連結部材40A、及び吸収性本体30と後身頃外装体20とを連結する後側連結部材40Bが設けられている。なお、本発明において、連結部40は、前身頃1側と後身頃2側との少なくとも一方に設けられていればよい。特に、連結部40は、少なくとも吸収性本体30と後身頃外装体20とを連結するものが設けられていることが好ましい。
【0033】
また、
図3の断面図に示されるように、本実施形態において、前側連結部材40Aは、前身頃外装体10及び吸収性本体30とは別体の部材であり、同様に、後側連結部材40Bは、後身頃外装体20及び吸収性本体30とは別体の部材である。ただし、図示は省略するが、前側連結部材40A(連結部40)は、前身頃外装体10と一体の部材として形成されていてもよい。同様に、後側連結部材40B(連結部40)は、後身頃外装体20と一体の部材として形成されていてもよい。
【0034】
図2及び
図3に示されるように、前側と後側の各連結部材40A,40Bは、各外装体10,20及び吸収性本体30の肌非対向面側に配置され、幅方向において各外装体10,20とほぼ同じ幅に形成されている。本実施形態では、各連結部材40A,40Bは、平面視において幅方向に長い略矩形状に形成されている。各連結部材40A,40Bは各外装体10,20の長手方向の一部と重畳し、当該重畳部分を除く部分で、各連結部材40A,40Bの幅方向両端部がサイドシールされている。すなわち、各連結部材40A,40Bの幅方向の左右両端部は各外装体10,20と当該重畳部分を除く部分にサイドシール部4が設けられている。また、各外装体10,20の幅方向両端部は各連結部材40A,40Bと重畳部分を除く部分がサイドシール部4となっている。前側連結部材40Aと後側連結部材40Bが、この左右のサイドシール部4において互いに接合されることでパンツ型をなす。
【0035】
図3に示されるように、各連結部材40A,40Bは、略断面N字型に折り畳まれており、各連結部材40A,40Bの上端において肌対向面側の領域が各外装体10,20に接合され、各連結部材40A,40Bの下端において肌対向面側の領域が吸収性本体30に接合されている。具体的に説明すると、連結部材40A,40Bは、着用状態において上向きに凸となる山折部41と、着用状態において下向きに凸となる谷折部42とを有する。本実施形態では、山折部41と谷折部42を比較すると、相対的に、山折部41が肌非対向面側に位置し、谷折部42が肌対向面側に位置している。これらの山折部41と谷折部42は、各連結部材40A,40Bの幅方向に沿って直線状に延びている。従って、これらの山折部41及び谷折部42に沿って折り畳むことで、各連結部材40A,40Bは略断面N字型となり、3層に積層する部分を含むものとなる。本願明細書では、山折部41及び谷折部42に沿って折り畳み可能となった各連結部材40A,40Bの構造を、「タック」と称している。本実施形態では、各連結部材40A,40Bは略断面N字型としたが、これに限定されず、略断面逆N字型や、タックを複数有する構造としてもよい。
【0036】
また、
図3に示されるように、各連結部材40A,40Bは、山折部41及び谷折部42を境界線として、中間領域43と、内側領域44と、外側領域45とに区分することができる。中間領域43は、山折部41と谷折部42との間に位置する領域である。また、内側領域44は、谷折部42から各外装体10,20側に向かって上方に延び、当該外装体の肌非対向面側に接合された接合部位44aを有する領域である。なお、
図3の例では、内側領域44の全域が接合部位44aとなっているが、内側領域44は少なくとも一部が各外装体10,20に接合されていればよい。また、外側領域45は、山折部41から吸収性本体30側に向かって下方に延び、当該吸収性本体30の肌非対向面側に接合される接合部位45aを持つ領域である。なお、
図3の例では、外側領域45の下端側(股下部側)の領域の一部が接合部位45aとなっているが、外側領域45はその全域が吸収性本体30に接合されていてもよい。ここで説明した各接合部位44a,45aは、ホットメルト接着剤などの公知の接着剤を利用して実現できる。なお、外側領域45の接合部位45aは、後述する吸収性本体30の接合部位30bと範囲が重複している。
【0037】
図3に示した例において、各連結部材40A,40Bの内側領域44は、各外装体10,20の長手方向の下端部の肌非対向面に接合されている。また、各連結部材40A,40Bの外側領域45は、吸収性本体30の長手方向の上端部の肌非対向面に接合されている。このようにして、各連結部材40A,40Bは、各外装体10,20と吸収性本体30と連結するように作用する。なお、ここでは、各連結部材40A,40Bの内側領域44が各外装体10,20の下端側に接合されている例を示している。ただし、この内側領域44は、各外装体10,20の上端側に接合することもできる。内側領域44を各外装体10,20の肌非対向面のどの位置に接合するかは、ある程度自由に設計可能である。
【0038】
また、
図2に戻って説明すると、各連結部材40A,40Bは、山折部41及び谷折部42において折り畳まれた状態となっている。この状態で、中間領域43は、幅方向の全域のうちの少なくとも一部分において、その肌対向面側に対面する部位に対して剥離可能に接合された接合領域43aを有している。また、
図2に示した例では、中間領域43には接合領域43aが部分的に形成されており、その部分を除く部分が非接合領域43bとなっている。例えば、
図3の例を参照して説明すると、中間領域43の肌対向面側には内側領域44が位置しており、
図2に示した接合領域43aにおいては、少なくとも中間領域43と内側領域44とが接合されている。なお、接合領域43aにおいて、中間領域43は、内側領域44に代えて、あるいは内側領域44と共にその肌非対向面側に位置する外側領域45あるいは吸収性本体30と接合されていてもよい。このように、接合領域43aにおいて、各連結部材40A,40Bは、折り畳まれた状態に固定されて、不用意に展開しないように制限されている。この接合領域43aを剥離することで、各連結部材40A,40Bを展開させることが可能となる。なお、
図3は、この非接合領域43bにおける縦断面図を示している。
【0039】
図2においては、概念的に接合領域43aに網掛けを施して示している。ここに示された例では、接合領域43aは、各連結部材40A,40Bと各外装体10,20が厚み方向に重なった領域のうち、吸収性本体30が位置する領域の幅方向左右両側に設けられており、吸収性本体30とは重ならないように配置されている。つまり、平面視において、各外装体10,20、各連結部材40A,40B、及び吸収性本体30が重なる部位の長手方向範囲は、非接合領域43bとなっている。このように、接合領域43aは、吸収性本体30と重ならない範囲で、幅方向に一定の幅を持つ領域として画定されていてもよい。ただし、パンツ型おむつにおいては、前述したサイドシール部4自体が接合領域43aとして機能する。このため、パンツ型おむつでは、サイドシール部4とは別にホットメルト接着剤などを利用して、連結部材40A,40Bと各外装体10,20とを接合する必要性は必ずしもないといえる。つまり、
図2において網掛けで示した接合領域43aは省略可能である。
【0040】
上記の構成によれば、吸収性本体30と外装体10,20の間に連結部40を別体で設けタックを形成することで、タックの展開性が良化される。つまり、吸収性本体30が引っ張られたときに、連結部40が追従してタックが展開するため、タックを展開させやすくなるといえる。そして、タックが展開されれば、タックが着用者の着ている衣服等によって押されたときにポンプの様に機能して、おむつの内部に溜まった湿気を排出する効果も期待できる。また、各連結部材40A,40Bによって、各外装体10,20と吸収性本体30を連結しておくことで、タックをなす各連結部材40A,40Bを展開させたときに、各外装体10,20と吸収性本体30とを長手方向に離間させ、使い捨ておむつの長手方向に伸長させることができる。
図4及び
図5は、接合領域43aを剥離することで各連結部材40A,40Bが展開して、これらの連結部材によって画定されていた空間が広がり、各外装体10,20と吸収性本体30とが離間した様子を概念的に示している。このように、必要に応じて各連結部材40A,40Bのタックが展開可能な構成となっていることで、着用者の動きに応じて各外装体10,20や吸収性本体30が追従するようになり、着用者の肌とおむつの間に隙間が生じることを効果的に防止できる。また、着用者の肌に対するおむつのフィット性が高まるため、着用感が向上する。前述した接合領域43aが長手方向に剥離可能なものである場合、この接合領域43aを剥離させることで、
図4及び
図5に示したように各連結部材40A,40Bを展開させることができる。
【0041】
また、
図2に示されるように、各連結部材40A,40Bを山折部41及び谷折部42沿って完全に折り畳んだ状態において、各外装体10,20が、吸収性本体30の長手方向の端部の肌対向面を覆うことが好ましい。つまり、幅方向に沿って延びる各連結部材40A,40Bの山折部41(
図3参照)と、長手方向に沿って延びる接合領域43aの縁と、中間領域43と、外側領域45とにより、下向きの開口部を持つ空間が画定される。そして、この空間内に吸収性本体30の長手方向の端部を収容することができる。また、図示は省略するが、ここで画定された空間内に、吸収性本体30を構成する吸収体31の長手方向端部が収容されていてもよい。これにより、吸収性本体30の長手方向に沿って流れてきた体液や軟便を空間内に収容することが可能となり、外部への漏れ出すことを防止できる。
【0042】
なお、中間領域43は、接合領域43aにおいて、内側領域44又は外側領域45に対して、剥離不能に接合してもよい。この場合には、非接合領域43bにおいては、中間領域43が肌対向面側及び肌非対向面側に位置する部位に対して接合されていないため、各連結部材40A,40Bは必要に応じて自由に展開することが可能である。この場合、例えば着用者が運動を始めると、非接合領域43bにおいて各連結部材40A,40Bのタックが展開する。着用者の運動により、各連結部材40A,40Bの非展開状態と展開状態が繰り返されると、各連結部材によって画定される空間が広がったり狭まったりするために、各連結部材のタック部分がポンプの様に機能して、この空間内に溜まった空気を排出していく。このようにしてタックの展開を利用することで、各連結部材40A,40Bの空間内に溜まった湿気を容易に排出し、タックが形成された部位の通気性を高めることができる。また、連結部材40A,40Bの幅方向の左右両端部にも外装体10,20との重畳部分を除いてサイドシールをしたが、当該重畳部分を外装体10,20と共に剥離可能又は剥離不能にサイドシールしてもよい。当該重畳部分を外装体10,20と共にサイドシールした場合、接合領域43aを省略することができる。また、連結部材40A,40Bの幅方向の左右両端部の長手方向全域を外装体10,20とは別に剥離不能にサイドシールするようにしてもよい。
【0043】
このように、中間領域43とその対面部位を接合する接合領域43aは、剥離可能な仮接合と剥離不能な接合のいずれであってもよい。ここで説明した接合領域43aにおける剥離可能な仮接合と剥離不能な接合は、いずれもホットメルト接着剤などの公知の接着剤を利用して実現することができ、その接着剤の塗布量や接着力を調整して剥離可能なものと剥離不能なものを選択すればよい。剥離可能な接合状態とは、例えば、予め剥離することが想定されており、中間領域43やその対面部位を構成するシート部材に裂損や破損を生じさせずに両者を剥離することのできる接合状態を意味する。これに対して、剥離不能な接合状態とは、例えば、予め剥離することが想定されておらず、剥離しようとすると中間領域43やその対面部位を構成するシート部材に裂損や破損が生じる接合状態を意味する。なお、接合領域43aは中間領域43の幅方向全域に亘っていてもよいが、その場合、接合領域43aは、中間領域43をその対面部位に対して剥離可能に接合(すなわち仮接合)するものである。また、接合領域43aは中間領域43をその対面部位に対して剥離不能に接合するものであってもよいが、その場合、接合領域43aは、中間領域43の幅方向に部分的に設けられたものとなる。
【0044】
[連結部のシート積層構造]
続いて、
図6を参照して、連結部40(連結部材40A,40B)を構成するシート部材等の構造について説明する。
図6は、
図3に示した後側連結部材40Bの周囲を拡大して示したものである。以下では、後側連結部材40Bの構造を例に上げて説明するが、ここで説明する後側連結部材40Bの構造は前側連結部材40Aにも適用することができる。
【0045】
図6に示されるように、後側連結部材40Bは、厚み方向に少なくとも2枚のシート部材が積層された構造を有している。つまり、
図6に示した例において、後側連結部材40Bは、防漏シート51と、その肌非対向面側に貼り合わされた外面シート52を有している。防漏シート51は、後身頃外装体20と吸収性本体30に直接接合されており、この防漏シート51の肌非対向面に外面シート52が接合されている。
【0046】
防漏シート51は、液不透過性のシート部材であり、後側連結部材40Bから体液が漏れ出すことを防止する目的で配置されている。防漏シート51は、前述したバックシート33と同様に、ポリエチレン樹脂などからなるプラスチックフィルムを採用することが好ましい。特に、防漏シート51としては、後側連結部材40Bの通気性を確保するために、0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。防漏シート51が通気性及び液不透過性を有するシート部材で形成されていることで、後側連結部材40Bに達した体液の漏れを防止しつつ、この部位に蒸れが発生するのを抑制することができる。
【0047】
外面シート52は、主として不織布から構成されたシート部材であり、防漏シート51の肌非対向面における手触りを良化する目的で配置されている。ここで用いられる不織布は特に限定されないが、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布、SMMS不織布などを挙げることができる。基本的に、外面シート52としては、液透過性及び通気性を有し手触りの良いシート部材が採用される。
【0048】
また、
図3から
図6に示されるように、本実施形態において、前側と後側の各連結部材40A,40Bは、山折部41に沿って配置された一又は複数の連結部伸縮部材46を有していることが好ましい。連結部伸縮部材46は、糸状弾性ゴムなどの弾性伸縮部材であり、使い捨ておむつの幅方向に沿った伸長状態で山折部41に配置されている。前述したとおり、各連結部材40A,40Bは、防漏シート51と外面シート52とを積層して構成されているため、この連結部伸縮部材46は防漏シート51と外面シート52の間に固定すればよい。この山折部41に沿って連結部伸縮部材46を配置しておくことで、この連結部伸縮部材46の収縮作用により、各連結部材40A,40Bの中間領域43と各外装体10,20との間に隙間が生じにくくなる。このため、おむつの外観が良くとともに、フィット性が向上する。
【0049】
また、
図1及び
図2に示されるように、各連結部材40A,40Bには、幅方向に沿って延びる複数のタミー伸縮部材47が、長手方向に所定の間隔を空けて配置されている。タミー伸縮部材47は、幅方向に沿って伸張した状態で各連結部材40A,40Bに固定されている。ただし、タミー伸縮部材47は、各連結部材40A,40Bの幅方向の中央には配置されていないか、若しくは伸縮性を発現しないように例えば部分的に切断されている。つまり、タミー伸縮部材47は、基本的に吸収性本体30の幅方向両側に位置することとなる。なお、吸収性本体30の幅方向両端にタミー伸縮部材47が一部重なっていてもよい。各タミー伸縮部材47は、前述した連結部伸縮部材46と同様に、防漏シート51と外面シート52の間に固定すればよい。タミー伸縮部材47が収縮すると、連結部材40A,40Bが撓んで複数の細かいシワ(タミーギャザー)を形成する。
【0050】
[連結部と吸収性本体の接合構造]
続いて、
図6から
図8を参照して、連結部40(前側連結部材40A,後側連結部材40B)と吸収性本体30の接合構造について、さらに詳しく説明する。
図6の断面図は、後側連結部材40Bと吸収性本体30の接合構造を示している。また、
図7(a)は、吸収性本体30の平面図であり、
図7(b)は、VII−VIIの切断線における吸収性本体30の縦断面図である。また、
図8は、VIII−VIIIの切断線における吸収性本体30の横断面図を示している。
【0051】
図6及び
図7(b)に示されるように、吸収性本体30は、長手方向のウエスト開口部5側の端部に、各連結部材40A,40Bの肌対向面に対して接合されていない非接合部位30aを有している。つまり、吸収性本体30は、長手方向端部に設けられた非接合部位30aにおいて、各連結部材40A,40Bに接合されずに離間している。この吸収性本体30の非接合部位30aは、吸収性本体30の端部の幅方向全域に亘っておらずに幅方向の一部にのみ形成されていてもよいが、吸収性本体30の端部の幅方向全域に亘っていることが好ましい。この場合、吸収性本体30の長手方向端部は、幅方向全域に亘って各外装体40A,40Bに対して一切接合されていないこととなる。なお、
図6では、非接合部位30aの領域における肌非対向面側から肌対向面側にかけて、外面シート52、防漏シート51、カバーシート34、バックシート33、吸収体31及びトップシート32が順に存在する構成となっている(吸収体31の先端部が非接合部位30aの領域にまで届いている)が、股下部3側から連結部40側に向かう吸収体31の先端部が非接合部位30aの領域にまで届いていなくてもよい。即ち、非接合部位30aの領域における肌非対向面側から肌対向面側にかけて、外面シート52、防漏シート51、カバーシート34、バックシート33及びトップシート32が順に存在する構成であってもよい。
【0052】
他方で、吸収性本体30は、非接合部位30aよりも長手方向の股下部3側において、各連結部材40A,40Bの肌対向面に対して全面的又は部分的に接合された接合部位30bを有している。この接合部位30bは、吸収性本体30の端部の幅方向全域に亘っておらずに幅方向の一部にのみ形成されていてもよいが、吸収性本体30の幅方向全域に亘っていることが好ましい。また、
図6に示されるように、吸収性本体30は、各連結部材40A,40Bと厚み方向に重なる領域のうち、前述した非接合部位30aを除いた領域において、各連結部材40A,40Bに対して全面的に接合されていることが好ましいといえる。このように、吸収性本体30は、長手方向のウエスト開口部5側の端部において連結部40から部分的に離間しており、その他の部分において連結部40に対して接合されている。ここで説明した吸収性本体30の接合部位30bは、例えばホットメルト接着剤などの公知の接着剤を利用して実現できる。なお、吸収性本体30の接合部位30bは、前述した各連結部材40A,40Bの外側領域45の接合部位45aと範囲が重複している。また、
図6では、接合部位30bの領域における肌非対向面側から肌対向面側にかけて、外面シート52、防漏シート51、接合部位30b、カバーシート34、バックシート33、吸収体31及びトップシート32が順に存在する(積層される)構成となっている(吸収体31の先端部が接合部位30bの領域にまで届いている)が、股下部3側から連結部40側に向かう吸収体31の先端部が接合部位30bの領域にまで届いていなくてもよい。即ち、接合部位30bの領域における肌非対向面側から肌対向面側にかけて、外面シート52、防漏シート51、接合部位30b、カバーシート34、バックシート33及びトップシート32が順に存在する構成であってもよい。また、股下部3側から連結部40側に向かう吸収体31の先端部が接合部位30bの領域内にあるように、前記吸収体31の先端部が接合部位30bの領域にまで届いていてもよい。
【0053】
図7(b)において、吸収性本体30が後側連結部材40Bと厚み方向に重なる範囲の長さを符号L
1で示している。また、吸収性本体30の後側連結部材40Bに対する非接合部位30aの長さを符号L
2で示し、吸収性本体30の後側連結部材40Bに対する接合部位30bの長さを符号L
3で示している。例えば、重畳範囲の長さL
1に対する非接合部位30aの長さL
2(L
2/L
1)は、1%以上であることが好ましく、例えば1〜50%がより好ましく、5〜45%がさらに好ましく、又は10〜40%が特に好ましい。具体的な数値を示すと、非接合部位30aの長さL
2は、1mm以上であることが好ましく、例えば3〜100mmがより好ましく、5〜30mmがさらに好ましく、10〜25mmがより更に好ましく、又は10〜20mmであることが特に好ましい。なお、接合部位30bの長さL
3は、重畳範囲の長さL
1から非接合部位30aの長さL
2を差し引いた値とすればよい。また、ここでは、後側連結部材40Bに対する吸収性本体30の非接合部位30a及び接合部位30bの長さについて説明したが、ここでの説明は前側連結部材40Aに対する吸収性本体30の非接合部位30a及び接合部位30bの長さについても適用できる。ただし、吸収性本体30は、後側連結部材40Bに対する非接合部位30a及び接合部位30bの長さと、前側連結部材40Aに対する非接合部位30a及び接合部位30bの長さが、異なっていてもよいし同じであってもよい。
【0054】
前述のとおり、本実施形態に係る使い捨ておむつ100は、各連結部材40A,40Bはタックが形成されているため、このようなタックが形成されていない通常の使い捨ておむつと比較すると、タックが形成された部分における通気性がやや劣ると考えられる。そこで、上記構成のように、吸収性本体30の長手方向の端部を各連結部材40A,40Bから離間させることで、吸収性本体30の端部と連結部40との間に隙間が生じやすくなるため、タック付近における通気性を向上させることができる。このようにすれば、連結部40にタックを形成して必要に応じて展開可能な構成を採用した場合であっても、タック付近に溜まった湿気を効率的に排出することができ、この部位に蒸れが発生するのを抑制することができる。つまり、吸収性本体30の非接合部位30aには、通気性向上の効果がある。
【0055】
また、
図7(a)及び
図8に示されるように、吸収性本体30は、立体ギャザー伸縮部材36によって形成された左右一対の立体ギャザーと、レッグ伸縮部材37によって形成された左右一対のレッグギャザーを有している。
図8に示されるように、本実施形態において、立体ギャザーとレッグギャザーは、それぞれ一枚のシート部材(サイドシート35)を立体ギャザー伸縮部材36とレッグ伸縮部材37によって収縮させることで形成されるものである。具体的に説明すると、
図8に示されるように、サイドシート35の一部は、バックシート33の裏面(肌非対向面)に固定されている。また、バックシート33の裏面に一部固定されたサイドシート35を、吸収体31の長手方向に沿って、トップシート32とバックシート33の接合位置よりも幅方向外側において、吸収性本体3の内方に向かって折り返し、外側折返部35aを形成する。また、外側折返部35aにおいて折り返されたサイドシート35の一部を、トップシート32とバックシート33を挟み込むように、トップシート32の表面(肌対向面)上に固定する。さらに、サイドシート35は、トップシート32との固定部35bより幅方向内側にも延在している。ここにいう「固定部」とは、サイドシート35がトップシート32に対して固定されている部位と、サイドシート35がトップシート32に固定されずに自由になっている部位との境界線である。また、サイドシート35の固定部35bよりも幅方向内側に延在している部分が、吸収体31の幅方向内方又は幅方向外方に向かって折り返され、内側折返部35cを形成する。そして、サイドシート35の内側折返部35cには、使い捨ておむつの長手方向に沿って立体ギャザー伸縮部材36が固定されている。同様に、サイドシート35の外側折返部35aには、使い捨ておむつの長手方向に沿ってレッグ伸縮部材37が固定される。また、レッグ伸縮部材37は、サイドシート35とバックシート33の間に固定されていてもよい。これにより、立体ギャザー伸縮部材36が収縮したときに立体ギャザーが形成され、レッグ伸縮部材37が収縮したときにレッグギャザーが形成されることとなる。
【0056】
図7(a)に示されるように、立体ギャザー伸縮部材36及びレッグ伸縮部材37は、吸収性本体30の股下部3だけでなく、前身頃側及び後身頃側にも延在し、吸収性本体30の長手方向の端縁に達している。つまり、立体ギャザー伸縮部材36及びレッグ伸縮部材37は、吸収性本体30の長手方向の略全域に亘ってサイドシート35に固定されていることとなる。
【0057】
図7(a)に示されるように、立体ギャザー伸縮部材36及びレッグ伸縮部材37は、吸収性本体30の股下部3から接合部位30bを超えて
非接合部位30aに達する長さを有している。このように、非接合部位30aにも立体ギャザー伸縮部材36とレッグ伸縮部材37の両方又は方を位置していることにより、これらの伸縮部材36,37が収縮したときに、この非接合部位30aが各連結部材36,37によって引っ張られて立ち上がる。吸収性本体30の非接合部位30aが立ち上がっている様子は、
図7(b)に例示されている。このように、立体ギャザー伸縮部材36やレッグ伸縮部材37の収縮力を利用して吸収性本体30の非接合部位30aを立ち上がらせることで、この吸収性本体30の端部と各連結部材40A,40Bの間の隙間を維持できる。これにより、吸収性本体30の端部付近における通気性を向上させることができる。
【0058】
また、
図7(a)に示されるように、立体ギャザー伸縮部材36が吸収性本体30の長手方向全域に亘って伸長状態で固定されている場合において、接合部位30bには、この立体ギャザー伸縮部材36の伸縮力を無効化させた無効化部36aが存在していてもよい。同様に、レッグ伸縮部材37についても、接合部位30bに、その伸縮力を無効化させた無効化部37aが存在していてもよい。つまり、各伸縮部材36,37は、
図7(a)に示した無効化部36a,37aにおいて伸縮性を発現しないように処理されている。例えば、各伸縮部材36,37を無効化部36a,37aにおいて細かく切断することで、伸縮力を無効化してもよい。また、例えば、各伸縮部材36,37を無効化部36a,37aにおいて非伸長状態でサイドシート35に対して固定することで、伸縮力を無効化してもよい。各伸縮部材36,37の無効化部36a,37aは、吸収性本体30の接合部位30bに設ければよいが、この接合部位30bと非接合部位30aの境界付近に設けることが特に好ましい。具体的には、接合部位30bと非接合部位30aとの境界から10mmの範囲内に、各伸縮部材36,37の無効化部36a,37aの少なくとも一部が存在していることが好ましい。このように、吸収性本体30の接合部位30bにおいて部分的に各伸縮部材36,37の伸縮力を無効化することで、吸収性本体30が各伸縮部材36,37の収縮力を受けて大きく撓んだりヨレたりする現象を回避できる。これにより、吸収性本体30と着用者の肌のフィット性を維持することができる。
【0059】
なお、ここでは、立体ギャザー伸縮部材36及びレッグ伸縮部材37の両方が吸収性本体30の非接合部位30aに存在している例を示した。ただし、吸収性本体30の非接合部位30aには、立体ギャザー伸縮部材36とレッグ伸縮部材37もいずれか一方が位置していればよい。
【0060】
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。