特許第6531982号(P6531982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6531982
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20190610BHJP
   A61M 39/16 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
   A61M1/16 185
   A61M39/16
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-150909(P2015-150909)
(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公開番号】特開2017-29301(P2017-29301A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】坂下 敬章
(72)【発明者】
【氏名】橋本 与志孝
【審査官】 石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表平8−500511(JP,A)
【文献】 特開2002−28232(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0149200(US,A1)
【文献】 特表2013−503702(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/054440(US,A1)
【文献】 特開2003−310749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給チューブの一端に連結されたコネクタと、洗浄時に上記コネクタが接続されるとともに内部に洗浄液が供給される洗浄ポートとを備え、洗浄時に上記洗浄ポートに上記コネクタを接続した状態において洗浄ポート内に洗浄液を供給することにより、洗浄ポート内を経由して上記コネクタ及び供給チューブに洗浄液を流通させて、該コネクタと供給チューブを洗浄するようにした洗浄システムにおいて、
上記コネクタは、上記供給チューブの一端が接続されるともに洗浄時に上記洗浄ポート内と連通する内筒と、上記内筒を取り囲むとともに洗浄時に上記洗浄ポートと連通可能な内周面にめねじが形成された外筒と、上記内筒の外周面と上記外筒のめねじとの間に形成される隙間とを備えており、また、上記外筒に上記隙間と外筒の外部とを連通させる洗浄用の貫通孔を設けて、
洗浄時においては、上記洗浄ポートに供給された洗浄液を上記隙間及び貫通孔に流通させて、内筒の外周面と上記外筒のめねじとの間を洗浄することを特徴とする洗浄システム。
【請求項2】
上記外筒は、洗浄ポート内に面する側に環状凹部を備えており、この環状凹部に上記めねじが形成されるとともに、環状凹部におけるめねじが形成されない箇所に上記貫通孔が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項3】
上記洗浄ポートには、内方側の開口部が上記洗浄用の貫通孔と重合する排液ポートが形成されており、上記隙間と貫通孔を流通してきた洗浄液の一部を上記排液ポートから洗浄ポートの外部に排出することを特徴とする請求項2に記載の洗浄システム。
【請求項4】
上記供給チューブは、その他端が透析装置の透析液回路に接続されており、透析液原液容器のチューブの先端のネジ部が上記コネクタのめねじに螺合されることで、供給チューブを介して上記透析液回路に透析液原液を供給するようになっており、上記透析掖回路を洗浄する際には該透析液回路に供給された洗浄液が洗浄通路を介して上記洗浄ポートに供給されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄システムに関し、例えば、透析装置に透析液原液を供給する際の接続箇所を洗浄するのに好適な洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透析装置においては、透析液回路に供給チューブを備えており、この供給チューブを介して透析液回路に2種類の透析液原液を供給し、それらを混合して透析液を作成するようにしている。そして、従来では、供給チューブを介して透析液回路に透析液原液を供給するために、透析液原液を貯溜したソフトバッグとタンクを用いる方式が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1の透析装置においては、供給チューブの端部にオスルアーコネクタを設ける一方、ソフトバッグ側のチューブにメスルアーコネクタを設けることにより、それら両コネクタを所要時に接続するようになっている。
また、従来、一方と他方の流体通路の端部を接続するためのオスルアーコネクタとメスルアーコネクタの構成は例えば特許文献2により公知である。
ところで、透析装置の供給チューブは繰り返し使用されるので、洗浄する必要がある。そして、従来、タンク内に貯溜した透析液原液を供給チューブで吸い上げる方式の透析装置であって、透析装置の本体部に設けた洗浄チャンバによって供給チューブを洗浄するようにした構成が提案されている(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平8−500511号公報
【特許文献2】実用新案登録第3125016号公報
【特許文献3】特許第3947037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献3のように洗浄チャンバを備えた透析装置において、透析装置の供給チューブの端部と透析液原液の容器とを着脱自在に接続するために、オスルアーコネクタとメスルアーコネクタを用いることが考えられる。しかしながら、この場合にはオスルアーコネクタの構成が原因となってオスルアーコネクタの洗浄が不十分になるという問題が生じる。より詳細には、オスルアーコネクタは内筒と外筒とを備えており、内筒の外周面とそれに対向する外筒の内周面のめねじとの間に洗浄液が流通しづらいために、内筒と外筒との間の洗浄が不十分になるという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、供給チューブの一端に連結されたコネクタと、洗浄時に上記コネクタが接続されるとともに内部に洗浄液が供給される洗浄ポートとを備え、洗浄時に上記洗浄ポートに上記コネクタを接続した状態において洗浄ポート内に洗浄液を供給することにより、洗浄ポート内を経由して上記コネクタ及び供給チューブに洗浄液を流通させて、該コネクタと供給チューブを洗浄するようにした洗浄システムにおいて、
上記コネクタは、上記供給チューブの一端が接続されるともに洗浄時に上記洗浄ポート内と連通する内筒と、上記内筒を取り囲むとともに洗浄時に上記洗浄ポートと連通可能な内周面にめねじが形成された外筒と、上記内筒の外周面と上記外筒のめねじとの間に形成される隙間とを備えており、また、上記外筒に上記隙間と外筒の外部とを連通させる洗浄用の貫通孔を設けて、
洗浄時においては、上記洗浄ポートに供給された洗浄液を上記隙間及び貫通孔に流通させて、内筒の外周面と上記外筒のめねじとの間を洗浄することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、上記外筒には洗浄用の貫通孔が設けられているので、洗浄時に内筒と外筒との間に洗浄液が流通させて内筒と外筒の間を洗浄液によって確実に洗浄することができる。そのため、洗浄ポートを備えた透析装置において、供給チューブの先端にオスルアーコネクタを使用した場合においても、該オスルアーコネクタにおける外筒の内面のめねじを十分に洗浄することができる。したがって、着脱が容易であって、かつ洗浄しやすい洗浄システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す正面図。
図2図1の要部の回路構成を示す図。
図3図1の要部の正面図であり、図3(a)は蓋11Bを開放した状態を示し、図3(b)は蓋11Bを閉じた状態を示している。
図4図1の要部の縦断面図。
図5図4の要部の斜視断面図。
図6図1の要部の斜視図。
図7図5の要部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図2において、患者に透析治療を施す透析装置1は、内部に透析液回路2等の構成部材を収容するとともに血液回路3が設けられた本体部4と、透析治療時に本体部4のホルダ4Aに保持される透析器5とを備えている。
また、透析装置1は、一端7Aが透析液回路2の給液通路2Aに接続されるとともに他端7Bにオスルアーコネクタ6が取り付けられた第1供給チューブ7と、一端8Aが上記給液通路2Aに接続されるとともに他端8Bにコネクタ6’が接続された第2供給チューブ8と、本体部2の正面に並列に設けられて洗浄時に上記オスルアーコネクタ6が接続される第1洗浄ポート11及び上記コネクタ6’が接続される第2洗浄ポート12を備えている。
【0009】
透析液回路2、血液回路3及び透析器5の構成は、例えば特開2012−191992号公報等により公知であり、ここでの詳細な説明は省略する。
第1供給チューブ7は、透析液原液であるA液を透析液回路2に供給する供給通路となり、この第1供給チューブ7の途中にポンプP1が設けられている。他方、第2供給チューブ8は、透析液原液であるB液を透析液回路2に供給する供給通路となっており、第2供給チューブ8の途中にポンプP2が設けられている。
透析装置1によって患者に透析治療を施す際には、事前に透析器5がホルダ4Aに取り付けられるとともに、透析器5に透析液回路2の透析液供給通路2Bの端部と透析液回収通路2Cの端部が接続される。また、血液回路3の動脈側通路3Aの一端と静脈側通路3Bの一端が透析器5に接続されている。
また、図1に示すように、第1供給チューブ7のオスルアーコネクタ6と透析原液(A原液)を収容したソフトバッグ13のチューブ13Aの先端のネジ部が接続されるとともに、第2供給チューブ8のコネクタ6’が透析原液(B原液)を収容したタンク14に接続され、コネクタ6’のノズル6A’がB原液内に挿入されている。そして、透析液回路2の図示しないポンプ等が作動されて給液通路2A内に水が流通している状態において、両ポンプP1、P2が作動されることにより、ソフトバッグ13内のA原液が第1供給チューブ7を介して給液通路2A内に供給されるとともに、タンク14内のB原液が第2供給チューブ8を介して給液通路2A内に供給される。給液通路2A内に供給されたA原液とB原液は、その後、透析液回路2内で混合されて透析液が作成されるようになっている。
そして、透析液回路2内で作成された透析液は、透析液供給通路2Bから透析器5に供給された後に、透析液回収通路2Cを介して回収されるようになっており、それに伴って透析器5に接続された血液回路3内の血液が透析液によって浄化されるようになっている。このようにして透析装置1によって患者に透析治療が施されるようになっている。
【0010】
上述したようにして透析装置1によって患者に透析治療が施すが、透析装置1は繰り返し使用されるので、各透析治療開始前に透析液回路2を洗浄する必要があり、透析液回路2の洗浄の際には上記第1供給チューブ7と第2供給チューブ8及びそれらに設けたオスルアーコネクタ6とコネクタ6’も洗浄する必要がある。
そこで、本実施例の透析装置1は、両供給チューブ7、8とオスルアーコネクタ6、コネクタ6’を洗浄するために、本体部4の正面に第1洗浄ポート11と第2洗浄ポート12を設けている。そして、図2に示すように、透析液回路2の洗浄時においては、第1供給チューブ7のオスルアーコネクタ6を第1洗浄ポート11に接続し、第2供給チューブ8のコネクタ6’を第2洗浄ポート12に接続するようになっている。
本実施例においては、両供給チューブ7、8とオスルアーコネクタ6、コネクタ6’を洗浄するために、第1洗浄通路17と第2洗浄通路18を設けている。第1洗浄通路17の一端17Aは、上記透析液回路2の給液通路2Aに接続させている。第1洗浄通路17の他端は2つに分岐させてあり、該分岐させた一方の端部17Bを第1洗浄ポート11に接続させてあり、分岐させた他方の端部17Cを第2洗浄ポート12に接続させている。第1洗浄通路17の途中には常閉の電磁開閉弁V4を設けてあり、この電磁開閉弁V4は洗浄時に開放されるようになっている。
第2洗浄通路18の一端18Aは、透析液回路2の図示しない排液通路に接続されている。第2洗浄通路18の他端は2つに分岐させてあり、分岐させた一方の端部18Bを第1洗浄ポート11の開口部付近に接続してあり、分岐させた他方の端部18Cを第2洗浄ポート12の開口部付近に接続させている。また、第2洗浄通路18の途中には常閉の電磁開閉弁V1を設けてあり、分岐箇所と一端18Bとの間及び分岐箇所と他端18Cとの間にそれぞれ常閉の電磁開閉弁V2、V3を設けている。
【0011】
そして、透析液回路2を洗浄する際には、図2に点線で示すように、透析液供給通路2Bの端部と透析液回収通路2Cは透析器5から取り外されるとともに、それらがコネクタ21を介して相互に接続されている。また、第1供給チューブ7のオスルアーコネクタ6が第1洗浄ポート11に接続されるとともに、第2供給チューブ8のコネクタ6’が第2洗浄ポート12に接続されている。
透析液回路2の洗浄時には透析液通路2内に洗浄液が流通するとともに電磁開閉弁V4が開放されるので、透析液通路2の給液回路2Aに連通する第1洗浄通路17を介して両洗浄ポート11、12に洗浄液が供給されるようになっている。両洗浄ポート11,12に供給された洗浄液は、オスルアーコネクタ6と第1供給チューブ7を流通して給液通路2Aに還流するとともに、コネクタ6’と第2供給チューブ8を流通して給液通路2Aに還流する。また、ポンプP1、P2を停止して両供給チューブ7、8を止めつつ、第2洗浄通路18の電磁開閉弁V1〜V3が適宜のタイミングで開放されることにより、オスルアーコネクタ6、コネクタ6’内を流通した洗浄液を第2洗浄通路18経由で排出させることができる。これにより、両供給チューブ7、8及びオスルアーコネクタ6、6’を洗浄できるようになっている。
【0012】
しかして、本実施例は、第1供給チューブ7のコネクタとしてオスルアーコネクタ6を採用するとともに、第1洗浄ポート11にオスルアーコネクタ6の受入部26を設けたことで、洗浄時の着脱作業を容易にするとともにオスルアーコネクタ6自体を十分に洗浄できるようにしたものである。
図3ないし図7に示すように、本体部4の正面の高さ方向の中央部には、開口部11Aを正面に位置させて段付筒状の第1洗浄ポート11が形成されており、第1洗浄ポート11の最も奥となる端部は、カップリング22を介して上記第1洗浄通路17の端部17Bが接続されている。第1洗浄ポート11の開口部11Aは、開閉可能な蓋11Bによって開閉されるようになっており、洗浄時以外では開口部11Aは蓋11Bによって閉鎖されている。
開口部11Aの隣接内方位置には、円周方向の2箇所に方形孔が連設された係合孔11Cが形成されており、係合孔11Cの隣接内方位置は大径部11Dとなっている。また、大径部11Dの隣接内方位置に中径部11Eが形成されており、その隣接内方位置には奥側が徐々に小径となるテーパ部11Fが形成されている。このテーパ部11Fの隣接内方位置に小径部11Gが形成されている。
大径部11Dの内方側の端面には、弾性を有する環状のカラー23Aが固着されており、中径部11Eの内周面には弾性を有する円筒状のパッキン23Bが固定されている。図4に示すように、オスルアーコネクタ6が洗浄ポート11に嵌合された際には、上記カラー23Aとパッキン23Bによる弾発力によってオスルアーコネクタ6は第1洗浄ポート11(大径部11D、中径部11E)との間の液密を保持して強固に保持されるようになっている。
大径部11Dの外周部に磁力を検出する近接スイッチ24を設けてあり、図4に示すように、オスルアーコネクタ6が第1洗浄ポート11に確実に嵌合された際に、オスルアーコネクタ6側のマグネット25の磁力を検出するようになっている。近接スイッチ24がマグネット25の磁力を検出することで、オスルアーコネクタ6が第1洗浄ポート11に嵌合され、両者が正しく接続されたことを確認できるようになっている。
本実施例では、第1洗浄ポート11における係合孔11C、大径部11D、中径部11E及びカラー23Aとパッキン23Bによりオスルアーコネクタの受入部受入部26が構成されている。また、テーパ部11F及び小径部11Gの内部空間が洗浄チャンバ27となっている。さらに、洗浄チャンバ27を構成するテーパ部11Fの外周面に排液ポート11Hが突設されており、この排液ポート11Hに上記第2洗浄液通路18の端部18Bが接続されている。
【0013】
次に、第1供給チューブ7の他端7Bに取り付けたオスルアーコネクタ6について説明する。オスルアーコネクタ6は、最も軸心側に位置する内筒31と、内筒31の軸方向の一端側(先端側)の外周部に内筒31と一体に形成された外筒32と、内筒31及び外筒32の一部の外周面を覆って設けられた段付筒状のロック部材33を備えている。
ロック部材33は、軸方向の略中央部に形成された大径フランジ部33Aと、この大径フランジ部33Aよりも先端側(図面上の右方側)に位置する小径部33Bと、この小径部33Bの軸方向中央に形成された小径フランジ部33Cと、上記大径フランジ部33Aから連続して内部が中空となった把持部33Dとを備えている。
内筒31は細長い円筒状に形成されている。
一方、外筒32は、内筒31を取り囲んで該内筒31と一体に形成されており、外筒32の軸方向長さは、内筒31の軸方向長さの半分以下となっている。外筒の先端側(右方側)の内周面は、他端側よりも内径を大きくして環状凹部32Aとなっている。この環状凹部32Aの内周面の略全域にめねじ32Bが形成されている。
他方、ロック部材33における小径部33Bの先端側の内周面は環状凹部33Eとなっており、そこに上記外筒32の外周面の略半分が嵌合されると同時に内筒31の左方側の領域をロック部材33の小径部33Bに貫通させて把持部33Dの内部空間に位置させている。把持部33D内の内筒31の外周部にストッパ35が係止されているので、内筒31、外筒32はロック部材33に対して軸方向に移動できないようになっている。また、外筒32における外周部には環状シール部材36が装着されており、このシール部材36によって外筒32の外周面とロック部材33の環状凹部33Eの内周面との液密が保持されている。
【0014】
外筒32は、軸方向の中央部よりも先端側(右方側)の外周面をロック部材33よりも外方に露出させた状態となっており、また、外筒32の内方側の内筒31の先端部も外筒32と同じくロック部材33よりも外方に突出した状態となっている。他方、把持部33D内に位置した内筒31の端部に上記第1供給チューブ7の端部7Bが接続されている。
外筒32の環状凹部32A及びめねじ32Bとそれらに対向する内筒31の外周面との間に円筒状の隙間32Cが形成されている。上記ソフトバッグ13のチューブ13Aの先端に形成されたネジ部を外筒32のめねじ32Bに螺合させることで、オスルアーコネクタ6とソフトバッグ13のチューブ13Aとを接続できるようになっている。
【0015】
さらに、本実施例の外筒32には、上記隙間32Cと連通するようにめねじ32Bが途切れた隣接位置に複数の半径方向の貫通孔32Dが穿設されている。この洗浄用の貫通孔32Dは、円周方向の等間隔位置に4箇所形成されている。前述したように、外筒32のめねじ32B、環状凹部32Aに対向する内筒31の外周面との間には隙間32Cが維持されているが、本実施例においては、該隙間32Cと連通させて洗浄用の貫通孔32Dが外筒32に形成されている。これら複数の洗浄用の貫通孔32Dが形成されているので、本実施例においては、上記隙間32C内に洗浄液が流通することが可能となっており、それにより、チューブ13Aの先端のネジ部が繰り返し着脱されるめねじ32Bとそれに対向する内筒31の外面を洗浄できるようになっている。
【0016】
一方、ロック部材33の小径フランジ33Cの円周方向の2箇所は立体形状として張り出させた張り出し部33Fとなっており、それにより小径フランジ部33Cの輪郭は図3に示した係合孔11Cに合わせた形状となっている。また、小径フランジ部33Cにおける一方の張り出し部33Fの内部に上記マグネット25を収容している。さらに、ロック部材33の先端の内周縁、つまり小径部33Bの内周縁は、開口側(端部)側が徐々に大径となるテーパ面33Gとなっている。このテーパ面33Gは、上記複数の洗浄用の貫通孔32Bを半径方向外方から覆った状態となっている。このテーパ面33Gが存在することで、貫通孔32Dを流通して流出してきた洗浄液を排出ポート11Hに案内しやすくなっている。
【0017】
以上のように構成されたオスルアーコネクタ6を洗浄作業開始前に次のようにして第1洗浄ポートに接続する。すなわち、図3(a)に示すように、第1洗浄ポート11の蓋11Bを開けてから第1供給チューブ7のオスルアーコネクタ6を鉛直方向に対して反時計方向に45°傾けた状態で挿入して小径フランジ部33C、張り出し部33Fを係合孔11Cに挿通させ、その後、オスコネクタ6全体を時計方向に45°回転させる。これにより、図4ないし図7に示すように、小径フランジ部33Cがカラー23Aに当接して、張り出し部33Fが大径部11Dの左方側の端面に当接する。また、小径部33Bの外周面が円筒状のパッキン23Bに密着して、その部分の液密が保持される。このようにして、第1洗浄ポート11にオスルアーコネクタ6を接続する。そして、両者が確実に接続されたことは、近接スイッチ24がマグネット25の磁力を検出することで確認することができる。
こうして第1洗浄ポート11にオスルアーコネクタ6を接続された状態では、オスルアーコネクタ6側の外筒32、内筒31及びロック部材33の小径部33Bの先端が洗浄チャンバ27内に位置しており、めねじ32Bの箇所の隙間32Cも洗浄チャンバ27と連通している。また、4箇所の洗浄用の貫通孔32D及びテーパ面33Gは、排出ポート11Hの内方側の開口と重合する位置に位置している。
なお、本実施例における第2供給チューブ8のコネクタ6’の構成は、上記オスルアーコネクタ6と同様に構成されており、第2洗浄ポート12の構成も上記第1洗浄ポート11と同様に構成されている。つまり、第2洗浄ポート12には、コネクタ6’を嵌合可能な筒状の空間部が形成されており、その空間部内が洗浄チャンバとなっている。そして、その洗浄チャンバの末端に上記第1洗浄通路17の端部17Cが接続されている(図2参照)。また、第2洗浄ポート12の開口部付近には、上記第1洗浄ポート11の排出ポート11Hと同様の排出ポートが形成されており、該排出ポートに第2洗浄通路18の端部18Cが接続されている(図2参照)。そして、洗浄作業開始前に第2洗浄ポート12に第2供給チューブ8のコネクタ6’も接続されるようになっている。
【0018】
以上のようにして第1供給チューブ7側のオスルアーコネクタ6が第1洗浄ポート11に接続されるとともに、第2供給チューブ8側のコネクタ6’が接続された状態において、透析液回路2の洗浄が開始されると第1洗浄通路17の電磁開閉弁V4が開放される。これにより、第1洗浄通路17を介して両洗浄ポート11,12に洗浄液が供給されるので、両供給チューブ7、8の洗浄が行われる。
より詳細には、両供給チューブ7,8及びオスルアーコネクタ6、及びコネクタ6’の洗浄は次のような順序で行われる。洗浄開始時においては、第2洗浄通路18の各電磁開閉弁V1〜V3は閉鎖されているので、図4に示すように、第1洗浄ポート11の洗浄チャンバ27内に供給された洗浄液は、内筒31の内部を流通し、その後、第1供給チューブ7内を流通してから透析液回路2に戻される。このようにして、先ず内筒31、第1供給チューブ7の内部が洗浄液によって洗浄される。第2洗浄ポート12に接続されたコネクタ6’及び第2供給チューブ8も同様にして洗浄液により洗浄される。
そして、洗浄開始から所要時間が経過すると、ポンプP1、P2を停止し第2洗浄通路18の電磁開閉弁V1〜V3が所定時間開放される。そのため、図2に示すように、第1洗浄ポート11の洗浄チャンバ27内に供給された洗浄液は、内筒31とめねじ32Bとの隙間32Cとそれに連通する洗浄用の貫通孔32Dを流通し、さらにテーパ部33Gによって案内されてから排出ポート11Hを経て、第2洗浄通路18を介して排出される。このように、隙間32C内を洗浄液が流通することで、めねじ32B及びそれに対向する内筒31の外周面を洗浄液によって確実に洗浄することができる。これは、第2洗浄ポート12側のコネクタ6’についても同様である。以上のようにして透析回路2及び上記両供給チューブ7,8の洗浄作業が終了したら、各電磁開閉弁V1〜V4が閉鎖される。
なお、洗浄作業が終了して第1洗浄ポート11からオスルアーコネクタ6を取り外す際には、上述した取り付け時とは逆の作動となる。また、第2洗浄ポート12からコネクタ6’を取り外す場合も同様である。
【0019】
以上のように、本実施例においては、第1供給チューブ7のコネクタとしてオスルアーコネクタ6を採用しており、他方、第1洗浄ポート11は、オスルアーコネクタが着脱される受入部26となっている。そのため、洗浄作業に伴うオスルアーコネクタ6と受入部26の着脱作業が容易である。
また、本実施例においては、オスルアーコネクタ6の外筒32に洗浄用の貫通孔32Dが複数設けられているので、外筒32のめねじ32B及びそれに対向する内筒31の外周部を洗浄液によって確実に洗浄することができる。したがって、本実施例によれば、着脱が容易であって、かつ洗浄しやすい洗浄システムを提供することができる。
【0020】
なお、上記実施例においては、図2に示すように、第1洗浄通路17の端部17Bを第1洗浄ポート11に接続しているが、第1洗浄ポート11に第1洗浄通路17の端部17Bを接続しなくても良い。この場合には、洗浄時において、第2洗浄通路18の電磁開閉弁V1、V2を開放させることで、透析液回路2から第1供給チューブ7内とオスルアーコネクタ6内を洗浄液が流通した後、第2洗浄液通路18を介して外部へ排出される。これにより、そのため、第1供給チューブ7とオスルアーコネクタ6を確実に洗浄することができる。
また、上記実施例は本発明を透析装置1の洗浄システムに適用しているが、透析装置以外の装置における一方と他方の流体通路の接続箇所にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1‥透析装置 2‥透析液回路
3‥血液回路 6‥オスルアーコネクタ
7‥第1供給チューブ 11‥第1洗浄ポート
13‥ソフトバッグ 17‥第1洗浄通路
27‥洗浄チャンバ 31‥内筒
32‥外筒 32A‥環状凹部
32B‥めねじ 32C‥隙間
32D‥貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7