(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カテーテルシステムは前記近位基部を包囲するように配置されるシースを更に備え、前記シースはシース遠位端を有し、前記シース遠位端の一部分は前記解放用凹部に設置され、前記シース遠位端の他の周辺部分は前記近位点を通過させるスペースを有することを特徴とする請求項1に記載の動静脈瘻管の形成に用いられるカテーテルシステム。
前記カテーテルシステムは前記近位基部の前記遠位斜め端部表面の周縁部中に形成される停止部を更に備え、前記停止部は前記近位点に直接位置を合わせる外囲の位置箇所に設置されることを特徴とする請求項1に記載の動静脈瘻管の形成に用いられるカテーテルシステム。
前記遠位先端部を前記近位基部に連結させるための軸を更に備え、前記軸は伸縮可能であり、前記近位基部に対する前記遠位先端部の伸展及び退縮を行うことを特徴とする請求項1に記載の動静脈瘻管の形成に用いられるカテーテルシステム。
前記遠位斜め端部表面及び前記近位斜め端部表面の内の少なくとも1つに設置される通電加熱素子を含む加熱構成部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の動静脈瘻管の形成に用いられるカテーテルシステム。
前記遠位先端部を前記近位基部に連結させるための軸を更に備え、前記軸は伸縮可能であり、前記近位基部に対する前記遠位先端部の伸展及び退縮を行うことを特徴とする請求項6に記載の動静脈瘻管の形成に用いられるシステム。
前記通電加熱素子に近接する温度センサーを更に備え、前記温度センサーは前記通電加熱素子に対して閉ループ温度制御を提供することを特徴とする請求項6に記載の動静脈瘻管の形成に用いられるシステム。
前記ヒートスプレッダ中に設置される溝部を更に備え、前記埋め込み式ヒーターの突起輪郭は前記ヒートスプレッダの溝部に接触させると共に熱を伝導させて組織を溶接させることを特徴とする請求項6に記載の動静脈瘻管の形成に用いられるシステム。
前記ヒートスプレッダの背部に位置される弾性部材を更に備え、前記溶接した組織に定圧をより簡単に掛けることが可能になることを特徴とする請求項9に記載の動静脈瘻管の形成に用いられるシステム。
前記ヒートスプレッダに近接する圧力センサーを更に備え、前記圧力センサーは溶接した組織に対して閉ループ圧力制御を提供することを特徴とする請求項10に記載の動静脈瘻管の形成に用いられるシステム制。
【背景技術】
【0002】
生物の体内では張り巡らされた導管を通して様々な流体が輸送され、各種の基本的な機能を実行させている。血管、動脈、静脈、及び毛細血管は血液を身体全体に運び、栄養物質及び老廃物を別の器官及び組織に輸送して処理させている。胆管は胆汁を肝臓から十二指腸に運ぶ。尿管は尿を腎臓から膀胱に輸送させる。腸は栄養物質及び老廃物を口腔から肛門に輸送させる。
【0003】
医療の実践においては、通常導管が相互に接続されるか、接続される導管を交換することにより以前の導管が患っていた疾病や機能障害の治療を行う。導管の間の接続は吻合(anastomosis)と呼ばれる。
【0004】
血管中では、吻合が静脈と動脈との間、動脈と動脈との間、或いは静脈と静脈との間に形成される。これらの接続の目的は動脈と静脈との間に高流動接続または瘻管を作成する、交換した導管中の障害物の包囲、もしくはバイパス /シャント(bypass)の形成である。シャントに用いられる導管としては静脈、動脈、または人工移植片(prosthetic graft)がある。
【0005】
手術の過程では2本の血管または導管が直接接触させることにより吻合が形成される。血管用縫合糸またはクリップにより結合される。吻合には端端吻合(end−to−end)、端側吻合(end−to−side)、または側側吻合(side−to−side)がある。
血管では、吻合の形状は楕円形であり、最も多いのは縫合糸を手で連続的に縫合させるものである。吻合を形成するための他の方法として、炭酸ガスレーザー(carbon dioxide laser)方法及び各種の接続用人工器官(prostheses)、クリップ、及びステント(stent)を使用する方法を含む。
【0006】
動静脈瘻(arterio−venous fistula、AVF)の作成では、動脈を静脈に連結させ、且つそれらの間で漏れのない血液流動経路を構築する。この種の連結は血液透析に用いられ、運動耐性(exercise tolerance)を向上させ、動脈または静脈の開放を保持させ、或いは化学療法(chemotherapy)のために信頼できる通路を提供する。
【0007】
他の方法としては、人工移植片を動脈から静脈に連結させ、動脈と静脈との間に高流動接続を形成させるという同じ目的を達成させるものがある。これは「動静脈グラフト」(arterio−venous graft)と呼ばれ、2つの吻合が必要である。1つは動脈と移植片との間の吻合であり、もう1つは移植片と静脈との間の吻合である。
【0008】
バイパス/シャント(bypass)と動静脈移植は相似する。障害物を回避するため、2つの吻合及び1つの導管が必要である。血管から導管に1つの近位端吻合が作成される。導管が延伸されると共に障害物を迂回させ、且つ障害物を通過させた後、導管と血管との間に1つの第二遠位端吻合が作成される。
【0009】
上述したように、従来の医療の実践においては、動脈が静脈に連結されて血液透析に用いられる瘻管が形成される。血液透析過程では身体中から血液を迅速に抜き取り、血液を透析器を経由させてから身体に送り戻す。血液循環経路は、1)大静脈中にカテーテル(catheter)が設置され、2)動脈及び静脈の人工移植片に連結され、或いは3)動脈が静脈の瘻管に直接連結されることにより達成される。
【0010】
腎不全の患者にとっては血液透析が必要である。自家血管の瘻管を使用することで高血流量を作り出す方式である。瘻管により身体から高流量の血液を抜き取り、透析器中で老廃物を除去した後に身体に戻す。動脈付近の大型進入針(access needle)により血液を抜き出し、2本目の大型回流針により瘻管に戻す。通常は前腕または上腕に瘻管が作成され、大腿部に作成される場合は少なく、身体の他の部位に作成されるのは極まれである。
静脈を成熟或いは生長させるため、瘻管は毎分500mlないしはそれ以上の流量に達することが重要である。一旦>4mmに達すると静脈が成熟したとみなされ、大きな針を進入させることが可能になる。こうして瘻中に挿入される針の間の透析血液及び非透析血液の再循環を防止させる。
【0011】
患者に麻酔が施された後、動脈及び静脈の周囲の組織中から動脈及び静脈が小さく切開され、細い縫合糸またはクリップにより血管が縫合されることにより瘻管が作成される。この方式で作成される接続が吻合(anastomosis)である。高速に信頼性の高い吻合が作成されることが非常に重要であり、同時に剥離や疼痛も減少する。重要な点は、作成された吻合が正確な大きさであり、滑らかで、動脈及び静脈がねじ曲がっていないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上述の開放手順を省くことにより手術時間を減らし、且つ瘻の作成を安定して繰り返し行えるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は経皮的動静脈(AV)瘻の形成に用いられる装置を備え、前記装置は遠位斜め端部表面を有する近位基部及び近位基部に連結されると共に近位基部に対して移動を行う遠位先端部を含む。遠位先端部は近位斜め端部表面を有する。通電加熱素子が埋め込まれる第一加熱構成部材を備え、遠位斜め端部表面及び近位斜め端部表面の内の少なくとも1つに配置される。受動非通電ヒートスプレッダを備える第二加熱構成部材は他の遠位斜め端部表面に配置される。遠位斜め端部表面及び近位斜め端部表面は組織の部分の対応する側に接触させて瘻管を形成させるのに適する。遠位斜め端部表面は装置の縦軸に対して15−90度の角度で傾斜し、且つより好ましくは、縦軸に対して15−50度の角度で傾斜する。特に理想的な構造においては、遠位斜め端部表面は縦軸に対して約23度の角度で傾斜する。近位斜め端部表面の角度は遠位斜め端部表面に角度に適合し、2つの表面が組織の対応する側で作業時に互いに適合する。
【0014】
遠位先端部を近位基部に連結させるための軸が提供され、前記軸の延伸及び退縮により近位基部に対して遠位先端部が延伸及び退縮を行う。遠位先端部中の弾性部材により溶接中の圧力が制御される。
【0015】
近位斜め端部表面はその上に設置される埋め込み式加熱素子を有する。この通電される加熱素子は最も好ましくは導熱材料内の蛇形構造を備える。温度センサーは導電材料内の通電加熱素子付近に設置され、ヒーターに対して閉ループ温度制御を提供する。
【0016】
遠位先端部の近位斜め端部表面にあるヒートスプレッダは導熱材料を備え、前記導熱材料はそれが設置される斜め端部表面の大部分に隈なく延伸され、ヒートスプレッダが導電加熱素子熱に接触することにより加熱素子から斜め端部表面に熱が放散される。これは構造によりその厚さが装置が配置される血管の厚さとほぼ等しくされ、前記厚さは0.010インチから0.060インチの範囲である。これは最良な形で熱を組織中に放射状に伝導するためである。他の実施形態では、ヒートスプレッダの厚さが挿入するのに最適化される。この応用においては、より小さなサイズが必要である。
【0017】
ある実施形態では、ヒートスプレッダはリブが形成される突起部分を備え、組織を通過させる集中熱伝導経路を形成させ、組織を高速に切開または切除させるために用いられる。これは血液が流れる瘻管中に開口部が形成される。開口部が形成された後、突起部分が斜め端部表面に対するヒートスプレッダに接触させて前記ヒートスプレッダが溶接温度まで加熱される。その後、拡張器の間の組織が融合されるのに必要な温度及び圧力で保持される。
【0018】
遠位先端部は遠位斜め外表面を含み、前記外側表面はガイドワイヤを受け取るために用いられる貫通内腔の孔口を備える。遠位斜面及びヒートスプレッダの斜面は組織の溶接に最適な圧力を維持させるための弾性媒体に接続される。
【0019】
位置センサーは遠位先端部の近位基部に対する運動を監視するために提供される。その相対位置は瘻管が形成される前の組織の厚さを示す。これらの情報は手順が正常に勧められているか確定するために有用である。血管壁の厚さは超音波により視認でき、推測可能である。この血管壁の厚さは位置センサー上に反映される。組織の切開において、位置センサーは組織がいつ穿刺されたかを指し示す。
【0020】
本発明の他の実施形態では、動静脈(AV)瘻の形成方法が提供され、これは以下のステップを含む。適切な手術部位が選択され、各主な血管及び各副血管が互いに近接させる。穿刺装置が挿入されて主な血管に進入させ、血管壁が穿刺され、且つ開口部が形成され、穿刺装置が隣接する副血管中まで延伸され、ガイドワイヤが副血管の血液流動経路中に定位されて穿刺装置を取り除くのに十分になるまで推進される。次いで、穿刺装置が撤回される。ガイドワイヤの近位端は装置の遠位端腔中に装着され、ガイドワイヤが通過させる2本の血管の経路の拡張に用いられる。その後、拡張器の近位端がシースの内腔に装入されると共に2本の血管を通過させて推進される。続いて、拡張器が取り外されると共に装置が交換される。次に、装置の遠位先端部が推進されて近位斜面及び遠位斜面が第一血管及び第二血管に配置される。そして、シースが除去され、近位斜面及び遠位斜面が第一血管壁及び第二血管壁に直接対向させる。
【0021】
この際、近位基部の遠位斜面のヒーターが開口部を包囲させる第一血管の内壁に当接される。遠位先端部が退縮し、遠位先端部の近位斜面のヒートスプレッダが開口部を包囲させる第二血管の内壁に当接され、これにより遠位先端部及び近位基部の2つの対向し合う斜面の間の第一血管及び第二血管の壁が捕獲される。
【0022】
遠位先端部及び近位基部が共に引っ張られ、同時にエネルギーが近位基部の遠位斜面の加熱素子に加えられる。加えられる熱及び運動によりヒーターの突起するリブが遠位先端部のヒートスプレッダに接触させるまで組織の切開またはアブレーションが行われる。突起するリブは組織が埋め込み式ヒーターとヒートスプレッダとの間に駐留するのを許容する。近位端のヒーターは突起するリブが遠位端のヒートスプレッダに接触させることにより熱が遠位端のヒートスプレッダに直接伝導される。遠位端のヒートスプレッダは近位端のヒーターに接触させる際に、末端内に弾性基部を備えることにより遠位端のヒートスプレッダが揺動されて浮動する。十分なエネルギーが溶接される組織に施される。次いで、前記装置が取り外され、透析を支援するのに十分な血流が溶接された瘻管に残される。
【0023】
本発明の他の実施形態では、隣接する主な血管と副血管との間に経路を形成する方法が提供される。シースが瘻管の位置の2本の血管に定位されるステップを含み、前記装置がシースに引き入れられ、その遠位端の機構が血管壁に適切に配置され、シースが取り除かれ、装置の切開機構が起動されて主な血管から副血管までの連通孔が開かれ、且つ装置の溶接機構が起動されて2本の血管が溶接される。
【0024】
本発明のさらなる他の実施形態では、動静脈(AV)瘻管の形成に用いられるカテーテルシステムが提供される。前記動静脈(AV)瘻管は遠位斜め端部表面を有する近位基部及び近位基部に連結されると共に近位基部に対して移動を行う遠位先端部を備え、前記遠位先端部は近位斜め端部表面を有する。前記遠位斜め端部表面及び前記近位斜め端部表面は組織の部分の対応する側に接触させて前記瘻管を形成させるのに適する。周縁部により近位斜め端部表面が限定される。近位点は周縁部に設置される。その長所は、近位点が周縁部の残りの部分に対して短縮角度(shortened angle)及び全半径(fully radius)のエッジを備える点である。
【0025】
本発明の他の有利な特徴は、近位基部の遠位端に設置される解放用凹部が提供される点である。カテーテルシステムは操作軸に沿って設置され、且つ解放用凹部は軸線の対応する側上で近位点に対して周囲及び近位点の間隔を開かせる。シースが近位基部を包囲させるように配置されると、シースはシース遠位端を有し、シース遠位端の一部分が解放用凹部に設置され、シース遠位端の他の周辺部分箇所にスペースが形成される。近位点が前記スペース中を通過させるように形成されてもよく、これにより近位点が近隣の組織に係着させる可能性が最小化される。
【0026】
本発明の他の有利な特徴は、近位基部の遠位斜め端部表面の周縁部中に形成される停止部が提供され、停止部が近位点に直接位置を合わせる周辺位置箇所に設置され、停止部が近位点を接合させて組織の係着を防止させる点である。
【0027】
1つの軸が遠位先端部を近位基部に連結させるために提供される。前記軸は伸縮可能であり、前記遠位先端部が近位基部に対して伸展及び退縮を行う。また、通電する加熱素子を備える加熱構成部材が遠位斜め端部表面及び近位斜め端部表面の内の少なくとも1つに設置される。
【0028】
本発明の別の実施形態では、動静脈(AV)瘻管の形成に用いられるカテーテルシステムが提供される。遠位斜め端部表面を有する近位基部及び近位基部に連結されると共に近位基部に対して移動を行う遠位先端部を備える。遠位先端部は近位斜め端表面を有する。遠位斜め端部表面及び近位斜め端部表面は組織の部分の対応する側に接触させて瘻管を形成させるのに適する。その長所は、近位基部の遠位端に解放用凹部が設けられる点である。
【0029】
カテーテルシステムは近位斜め端部表面を限定させる周縁部及び周縁部の近位点を更に備える。カテーテルシステムは操作軸に沿って設置され、且つ解放用凹部は操作軸の対応する側で近位点に対して周囲及び近位点の間隔を開かせる。シースは近位基部の周囲に設置され、シースは遠位端部を有し、シースの遠位端部の一部分は解放用凹部に設置され、シースの遠位端部の他の周辺部分はスペースを形成させ、近位点を通過させる。
【0030】
停止部は近位基部の遠位斜め端部表面の周辺のエッジ中に形成され、停止部は近位点に直接位置を合わせる周辺位置箇所に設置される。軸は遠位先端部を近位基部に連結させるために提供され、前記軸は伸縮可能であり、遠位先端部が近位基部に対して伸展及び退縮を行う。通電可能な加熱素子を備える加熱構成部材は遠位斜め端部表面及び近位斜め端部表面の内の少なくとも1つに設置される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書及び特許範囲において使用されるいくつかの用語は特定のシステム部材を示す。本分野の技術者ならば、医療設備の設計及び製造を行う会社がその部材を指す別の名称を使用していることを認識している。本文では名称が違うが機能が同じ部材を区別しない。
【0033】
以下の討論及び特許範囲において、「備える(including)」及び「含む(comprising)」という用語はオープンに使用され、「備えるが...に限られず」という意味に解釈する。また、「結合(couple)」という用語は間接的または直接的に連結されることを指す。よって、第一設備が第二設備に結合されるとは、前記連結が直接的な連結である、或いは他の設備や部材を介して連結されるという間接的な連結を指す。なお、「近位(proximal)」、「近位端」、及び「遠位」、「遠位端」という用語は骨アンカーアプリケーターに対する接近程度を示す。よって、第一装置が遠位であり第二装置が近位である場合、第二装置が第一装置によりも骨アンカーアプリケーターに近接していることを示す。
【0034】
数量が単数の項目は複数の同じ項目が存在する可能性を含む。より具体的には、本文及び添付する特許範囲で使用し、前後に文中で特に明確な説明の無い限り、単数形式は「1つ」とし、「前述」及び「前記」は複数を含む。さらに、特許範囲が起草されることによりあらゆる選択的な要素が排除される。すなわち、この表現は特許範囲で述べる要素に関して「のみ(solely)」、「唯一(only)」等の排他性を表す専門用語として作用し、或いは「消極的な限定(negative limitation)」として用いられる先行詞(antecedent basis)とする。
最後に、別途定義ない限り、本文で使用する全ての技術用語及び科学用語は本発明の属する分野で普通の技術者が通常理解できるものと同じ意味を有することを理解する必要がある。
【0035】
数値範囲が提供される状況において、理解すべきは、前記範囲の上限及び下限の間の各値及び前記範囲内の他述するあらゆる値或いは中間値も共に本発明に含まれる点である。また、本発明に描かれるあらゆる選択可能な特徴は、独立的に記載及び主張するものであり、或いは本文に記載されるあらゆる1つまたは複数の特徴と組み合わせられる。
【0036】
本文で述べる全ての既存の主題(例えば、出版物、特許、特許出願、及びハードウェア)は、その主題が本発明の主題と衝突しない限り(衝突する場合、本文を主とする)、引用されて全体が本文に編入される。引用が提供される項目は本出願の提出期限前に披露するためにすぎない。本文中のあらゆる内容は、本発明が先行発明のためにそのような物質/工具の権利を先に主張できないと認めたと解釈すべきではない。
【0037】
各実施形態について詳述する前に理解すべきことは、本発明はここで述べる特定の変化に限定されず、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいて各種の改変や改修が可能であり、且つ同等のものと交換することも可能である。
本分野の技術者が本記載を閲読した後に明確に理解できることは、本文に記載及び描写した各単独の実施形態は分立した部材及び特徴を有し、本発明の範囲或いは精神内を逸脱しない状況において、他のいくつかの実施形態中のあらゆる特徴と容易に分離または組み合わせ可能である。また、本発明の目的、本発明の精神または範囲を逸脱しない特定の状況、材料、物質組成、過程、過程行為、またはステップに適う様々な改修が可能である。このような全ての改修は均しく本文に付属する特許範囲内に含まれる。
【0038】
ここで公開する技術は、動物、例えば人の血管の外科手術に広く応用可能である。これはカテーテル、尿管、動脈、静脈、移植片、または物質を輸送するあらゆる他の管状構造の手術を含む。制限はないが、手術としては動静脈瘻作成(artery to venous fistula creation)、血管修復(vascular repair)、冠動脈バイパス移植手術(coronary artery bypass graft surgery)、大腿膝窩動脈バイパス(femoral popliteal bypass)、経頸静脈性肝内門脈体循環短絡術(transjugular intrahepatic portosystemic shunt)、脾腎短絡術(splenorenal shunt)、または上腸間膜静脈−下大静脈短絡(mesocaval shunt)を含む。
【0039】
より具体的には、
図1の(a)及び(b)に示すように、本発明の実施形態に係るガイドワイヤールーメン内吻合装置1は、近位加熱構成部材2と、近位シャフト3と、遠位加熱構成部材4と、ハンドピース6とを含むカテーテル(catheter)1aを備える。
遠位加熱構成部材4は遠位先端部5及びヒートスプレッダ24を具備する。ハンドピース6は先端作動ボタン7及び解除ボタン13を備える。近位加熱構成部材2は近位基部10で構成され、前記近位基部10は遠位端で角度θで切開を行う。
【0040】
近位基部10の斜面10aには加熱素子8が埋め込まれる。近位基部10は通常耐熱性の高い断熱材料で構成される。埋め込み式ヒーター12は組織の圧縮及び加熱を行って血管組織の接合(coaptation)を形成させるために用いられる。この過程は組織溶接(tissue welding)または組織融合(tissue fusion)と呼ばれる。ある実施形態では、埋め込み式ヒーター12はその中に抵抗加熱素子が埋め込まれた導熱材料で構成される。
【0041】
図4a及び
図4bは埋め込み式ヒーター12または加熱面12の構造を示す。加熱素子8は蛇形構造を呈して長さが増し、これにより表面積が増加してエネルギー密度がより高くなる。加熱素子8は適合腔の内部に接続され、電源接続リード11は前記適合腔から延伸され、且つ内腔11a中に挿入され、そこの電源接続リード11がハンドピース6に戻るように延伸される導体に連結される。
リブ9は埋め込み式ヒーター12の一部分であり、且つ導電材料で製造される。組織の溶接の前に、リブ9が加熱されて組織の切開が開始される。リブ9がヒートスプレッダ24の溝部15に入れられることにより組織が切開される(
図5参照)。
【0042】
近位基部10には
図1bに示す少なくとも1つの熱電対または温度センサー14が配置され、加熱素子8付近の温度の監視を行い、且つ閉ループ(closed loop)温度制御を行う装置とし、組織の溶接及び切開を最適化させる。近位基部10は配置期間に主な血管20(
図9参照)中に駐留するように設計される。
【0043】
図13に示すように、遠位先端部5は角度θの斜面で終了する。ガイドワイヤールーメン18は遠位先端部5の中心を通過させるように延伸される(
図3参照)。遠位加熱構成部材4は配置過程において第二血管22(
図9参照)中に位置されるように設計される。遠位先端部5はセンターシャフト16に沿って必要な距離dを移動させる、(
図2a及び
図2b参照)。
移動は通常遠位先端部5が近位加熱構成部材2に向けて移動させ、これにより2つの部材2及び4の間の血管壁の組織が捕獲され、前記組織が溶接される。遠位加熱構成部材4の近位端面5aは近位加熱構成部材2の角度θに精確に適合する角度を有する。この設計により部材2及び4が平行表面の間の血管組織を捕獲させる。
【0044】
近位基部10の構造は
図4a及び4bに示す。近位基部10は加熱面12により覆われる加熱素子8を収受させる(
図4a及び
図4b参照)。加熱面12は導熱材料で構成され、加熱素子8から熱が吸い取られる。電源接続点11は加熱素子8へのエネルギーの供給を確保させる。
加熱面12により熱が隣接する血管中に伝導されて組織の溶接及び/或いは切開が行われることにより吻合または瘻管25が形成される(
図12参照)。加熱面12の大きさ及び形状は形成すべき吻合の大きさ及び形状が反映される。加熱面12の厚さはほぼ進行中の溶接される血管の厚さとなる。然しながら、この厚さを増加または減少させることにより周囲の組織に伝導される熱の制御が可能となる。加熱面の典型的な厚さは0.010インチから0.060インチの範囲である(
図3a、
図3b及び
図4a乃至
図4c参照)。
【0045】
図2a及び
図2bに示す実施形態では遠位先端部フィードバックが提供される。遠位加熱構成部材4のd2からd1への移動は、ハンドピース6内部(または外部)に位置される位置センサー36により信号に変換される。この移動は表示され、及び/或いは制御アルゴリズムとして使用される。信号は出力信号ケーブル34により遠位加熱構成部材4の絶対位置を通過させ、位置センサー36からあるタイプの表示装置に伝送される(図示せず)。この位置情報は非常に有用であり、手術の全過程中の末端の位置の確認及び瘻管25(
図12参照)の形成前、形成中、及び形成後にカテーテル1aの末端と基部との間の組織の厚さの確認に用いられる。
組織の厚さ及び手順T=dsinθを利用して計測された距離は相関する。手術前の組織の厚さは手術後の瘻の長さと相関する。瘻管25の形成中に遠位加熱構成部材4の相対位置も有用であり、且つ組織の乾燥(dessication)、切開、及び溶接の速度と相関する。前記信号は熱の応用の制御に用いられる入力信号としてもよい。例えば、
図2aでは、手術前に、近位加熱構成部材2及び遠位加熱構成部材4の距離d1の間隔が空けられる。
吻合を形成中の組織のタイプ、厚さ、及び瘻管の機能性及び耐用性に関連する他の要素に基づいて、手術後の末端の位置により組織が適切に乾燥されると共に2つの血管壁が切断されたかどうかを確認できる。末端の位置は位置センサー36を使用して証明する。
【0046】
図7a乃至
図10を参照し、装置1の使用方法を以下に説明する。はじめに、本発明の血管内の通路及び導通方法は、業者が適切な手術部位を選択し、主な血管20及び副血管22の互いの位置をできるだけ近接させる。目下の好ましい方法では、主な血管20は静脈を含み、副血管22は動脈を含むが、但し本発明はこの配置に限られない。
まず、穿刺装置が主な血管20中に挿入されると共に起動されて血管壁を穿刺させると共に隣接する副血管22中まで延伸される。一旦主な血管20から副血管22まで穿透されると、ガイドワイヤ17が副血管22の血液流動通路に定位されるまで推進され、且つ穿刺装置が取り除かれるようになり、同時にガイドワイヤ17が副血管22中での位置を保持させる。
【0047】
一旦、ガイドワイヤ17が
図7aに示すように十分に定位されると、業者は穿刺装置を体内から完全に抜き取り、これによりガイドワイヤ17が必要な位置に維持されると共に主な血管20から副血管22に通過させ、
図7a及び
図13に示すフローチャートのブロック40に記載するようになる。例示的な穿刺システム及び方法は本出願と共に提出した出願中のアメリカ特許(出願第13/668,190号)で公開しており、且つ引用を本文に明確に編入するが、但し、本発明の範囲内ではあらゆる適合する穿刺システム及び方法を使用可能である。
【0048】
ガイドワイヤ17は現在軌道を提供し、前記軌道上で残りの手順が実行される。第一血管の開口部28及び第二血管の開口部29はシース19(
図7b参照)及び装置1を進入させるためにそれぞれ拡張されねばならない。
図7bはガイドワイヤ17を被覆させるように前進する拡張器27を図示し、開口部28の箇所で血管20が拡張され、開口部29の箇所で血管22が拡張され、これらの開口部によりシース19を推進させ、最後が装置1となると予期される。
【0049】
血管20及び22中に開口部28及び29が形成されるステップは入念に設計されたものである。湾曲した開口部28及び29を貫通させるため、拡張器27及びシース19は共に柔軟な材料で製造されなければならない。また、拡張器27及びシース19の錐形を長くするため、これらの湾曲がより複雑になる。血管の開口部28及び29は断裂がないように作成されなければならない。
【0050】
開口部28及び29の断裂からはすぐ流血する。瘻管部位に進入した血液は組織の溶接のスムーズさに影響を与える。血液が追加された血管の溶接位置を避けるようにしなければならない。この際、形成された断裂からは数分で流血して追加された血管のスペースに進入し、これは組織の溶接手順に進むまで続く。
【0051】
断裂のために開口部28及び29が装置1により十分に密封されなくなる。開口部28及び29に断裂が生まれないようにするため、錐形を長く滑らかで潤滑なものにし、且つ重要なのは中断しないようにすることである。
【0052】
錐形の尖端を有する装置は組織の溶接中にその尖端の一部分を加熱させてもよい。血流が阻害されて悪化することで血液が血管内で凝結してしまう。尖端が短いほど手術過程での凝結が装置に与える影響が少なくなる。このような機能で長さ及び推計の角度を変化させることにより異なるサイズの血管に適応可能にし、表示される装置1が鈍い尖端を有する。
図10によると、鈍い輪郭では血流の侵入が少ない。
【0053】
図7c及び
図13のフローチャートのブロック42を示し、本発明の瘻管の作成方法に係るシース19について更に説明する。好ましくは、シース19は非常に薄い壁を有する設計となり、連続的に徐々に細くなり、その遠位端の断面のサイズはほぼ0になり、非常に滑らかになる。テルモ(Terumo)の6Fグライドシーススレンダー“Glide Sheath Slender(登録商標)”がシース19の例である。このシースは適切な拡張器と共に拡張された血管壁を膨張させ、同時に拡張された組織に最小の応力を掛ける。これは断裂を最大限減少させ、且つ組織の回復を最大限高めるために重要である。
【0054】
続いて、
図13のブロック42に記載するように、拡張器27が取り除かれ、シース19内の装置1によりスペースが作成される。この際、ガイドワイヤ17も除去されても、除去されなくてもよい。これは安全に関する問題であり、業者に委ねられる。
次いで、装置1がシース19の近位端に装着されると共にガイドワイヤ17の上方では装置1が患者の体内に挿入される。装置1が患者の体内に更に推進され、センターシャフト16が
図8及び
図13のブロック44に記載するように吻合部位の中心になるまで推進される。
【0055】
この際、超音波及び/或いはX線透視によりセンターシャフト16の血管20及び22に対する位置を確定させる。超音波は血管壁の埋め込み式ヒーター12に対する面及びヒートスプレッダ24に対する面を示す解像度及び深度を有しない。シースを有しない装置の操作は無自覚のうちに血管を動かしてしまい、装置1の周囲に折り重なるように巻き付けてしまう場合があり、特にセンターシャフト16及びヒートスプレッダ24の近位エッジ周囲で発生しやすい。こういった動態も超音波では追跡しにくく、また、見逃されやすい。このような乱雑な組織上で切開及び溶接を行っても有効な瘻管を形成することは難しい。
【0056】
シース19及び拡張器27が血管20及び22を途切れさせないようにするため、装置1がシース19内に位置される場合、このような配列がより容易に実行可能になる。装置1及びシースが適切な場所に定位され、移動する血管が装置1に巻き付かないようになり、シースにより装置1が血管から隔離される。装置1と血管20及び22との相対位置の調整では血管20及び22が移動されず、よって応力も加えられない。血管の運動は少なく、開口部28及び29の箇所では特に少なく、これは血管の開口部に加えられる応力が小さいことを意味する。これにより、断裂が最大限減少し、弾性回復率が最大限高まり、且つ溶接及び切開による接合(coaptation)の改善が進む。
図13のブロック46に示す本発明の瘻を形成する方法では、続いてシース19を退縮させる。シース19は非常にスムーズに間断なく漸縮する外表面を有し、センターシャフト16が瘻管に位置を合わせるのに干渉しない状況下で取り除かれる。血管の開口部28及び29が過度の応力を受けず、且つ弾性回復によりセンターシャフト16の周囲が密封される。埋め込み式ヒーター12に加えられる軽微な張力により、血管壁に接近させると共に血管が並置(apposition)される。
遠位先端部5のヒートスプレッダ24の鈍い形状により遠位先端部が意図せず血管壁を通過させて退縮されるのを防止させる。次いで、遠位加熱構成部材4のヒートスプレッダ24が退縮されて第一血管20と第二血管22との間の間隔が接近し、第一血管20及び第二血管22の壁が埋め込み式ヒーター12及び遠位ヒートスプレッダ24の対向する鈍い表面の間にそれぞれ捕獲される。
【0057】
図13のステップ48に示すように、本実施形態に係る瘻管の形成方法は、続いて、遠位先端部5と近位基部10との間に被制御張力が加えられ、且つこの接合箇所では、血管が堅固に挟着される状況において、エネルギーが近位の加熱素子8に加えられる。埋め込み式ヒーター12が加熱されると、リブ9が血管壁を貫通させると共に埋め込み式ヒーター12がヒートスプレッダ24に接触させる。システムが完全に退縮すると、システムの設計によりこの2つの加熱素子が互いに直接接触させて血管組織が完全に切開及び捕獲されるように確保される。
【0058】
図13のステップ48に示すように、本実施形態に係る瘻管の形成方法は、次に、血管壁の切開後に、リブ9が現在ヒートスプレッダ24に接触しているため、熱がヒートスプレッダ中に伝導され、血管が溶接される。リブ9がヒートスプレッダ24の溝部15内で浮く。弾性部材26(
図1b参照)及びセンターシャフト16のばねの張力によりヒートスプレッダ24に弾力が加えられ、適切な圧力が維持されて組織の溶接に用いられる。センターシャフト16により伝導される力は確定であるため、2つのばねが必要となる。
センターシャフト16は角度θで施される高い法線(normal)摩擦力を有し、これはセンターシャフト及び近位シャフト3の間の可変的摩擦係数の影響を受ける。前記摩擦係数は瘻管内の流体、装置1内の許容差(tolerances)、及び境界内の血液凝結の進展に基づいて改変される。この摩擦係数は8倍まで変化する。弾性部材26が組織の境界に直接作用し、摩擦の干渉はない。これにより、溶接時に組織に適切な圧力が掛かるようにより確かに保証される。
【0059】
組織の溶接過程についてより具体的には、直流(DC)抵抗のエネルギーにより血管が融合または溶接され、第一血管及び第二血管中の対向し合う壁及び2本の血管の間に介在するあらゆる組織を通過させる細長い孔25が形成される(
図12参照)。このように形成される細長い孔15は通常スリットに類似する。然しながら、加圧されるに連れて流動が発生し始めて細長い孔25を通過させ、第一血管と第二血管との間に連通孔が形成され、前記孔は圧力に追随して広がり、開かれた際には楕円形状を呈して必要な瘻管が形成される。その効果は
図12に示す。孔25のエッジ21が熱されると共に溶接される。溶接バンド21の外側は接合領域23とする。図示するように、切開領域は加熱素子または切開部材の形状に対応させる。これは様々な形状を有し、例えば円形、楕円形、スリット、或いは図に示す組み合わせである。
静脈(第一血管)中のカテーテル1aの平面は埋め込み式ヒーター12よりも大きいため、切口の近隣の領域が接近して溶接される。埋め込み式ヒーター12からの熱も好ましくは埋め込み式ヒーター12または基部10の上、下、或いは内部の導電材料からこの領域に放熱される。
【0060】
現在、瘻管25が完全に形成され、
図13のステップ50に示すように、全ての装置1及びガイドワイヤ17が(選択的に)撤回される。
図11に示すように、現在瘻管25を通過させて血管20と22との間に流体の流動が発生する。
【0061】
別の変更された実施形態では、埋め込み式ヒーター12及び加熱素子8が合体して1つの同じ部材となる。溶接及び切開表面をより小さくして加熱素子8のサイズに近付け、このような改変により実用性を増す。加熱素子8のサイズにより電源接続点11を超える抵抗が確定される。この抵抗及びエネルギーを加熱素子8に伝導させる導線の抵抗に相関する抵抗が鍵となる。電源接続点11の抵抗が低下すると共に導線の抵抗に近付くと、導線が大部分の電力を消費し始め、近位シャフト3が加熱され、且つ同じ溶接を実現するにはより多くのエネルギーを輸送させる必要がある。加熱素子8は蛇形形状が長くなることにより抵抗が増加してその効果が最小化される。加熱素子8は抵抗がより大きな材料が選択されて製造されるのが好ましい。
【0062】
別の変更された実施形態では、溝部15が省略され、且つリブ9がヒートスプレッダ24の表面に接触させる。この接触点の性質及び表面の形状は機械切開(mechanically cutting)により熱切開(thermal cutting)が増強される。機械切開はヒートスプレッダ24と相互作用するリブが鋭利なエッジを有することで完成し、組織の切断が行われる。
ヒートスプレッダ24はリブ9の構造的特徴と協調する表面またはエッジを更に有することにより組織の機械的切開を実行させる。これらの切開の設計によりリブ9とヒートスプレッダ24との間の最終接触面積が最大化され、次のステップにおいてヒートスプレッダが十分な熱伝導を有するようになり、組織の溶接が行われる。
【0063】
弾性部材26及び溝部15が存在しない状況でも溶接が実行可能である。組織がリブ9の高さにより制御されるギャップ中に制限される。組織は前記ギャップ内での柔軟性によってその溶接される圧力が決定される。いくつかの設計及び応用ではこれで十分である。
【0064】
遠位先端部5は可変の漸縮する錐形外表面を有し、外表面は徐々に細くなって導線の直径に近似し、血管壁を貫通させる無外傷方法を提供するが、但し遠位先端部5は均しく同じ円錐形の外表面を有する。これは遠位先端部5が第二血管22中に配置される前にシース19が不注意で取り除かれる場合に備えて特に必要な特徴であり、且つ安全性に係る特徴である。この実施形態は、医師の技能及び経験、解剖学、或いは患者の健康等の要素の影響を受けて選択的に使用される。
【0065】
装置1は、シース19が安全な配置を提供するためガイドワイヤ17がシース19内に配置される必要がない。よって、装置1はガイドワイヤがガイドワイヤールーメン18上で推進するための装置等を備える必要はない。ガイドワイヤールーメン18はなお存在し、且つ瘻管を形成するための材料の輸送に用いられる、例えば薬剤、生物流体、或いは粘着剤を輸送するためのカテーテルとする。
【0066】
他の温度下では、エネルギーの配置により組織の溶接が改変される。エネルギーは組織のインピーダンスまたは温度フィードバックに基づいて調節される。エネルギーをかける時間の違いや循環パルスにより溶接が最大化され、同時に近隣の組織に伝導される熱が最小化される。
遠位先端部5は断熱性質を有し、近隣の組織及び/或いは流体に伝導される熱が最小化される構造となる。上述したように、近位及び遠位加熱素子の全ての表面は非粘着層(例えば、PTFE)を有し、組織の粘着を制限させる構造となる。
【0067】
近位加熱構成部材2及び遠位加熱構成部材4は非粘着表面を有し、特性が変化した組織が装置に粘着するのを防止させるのに寄与する。組織が装置に粘着すると、装置を取り外す際に血管の間の溶接が損壊したり、弱まる可能性がある。様々な異なる塗装または表面の修飾を各部材に応用して非粘着表面を形成させてもよい。
【0068】
図3の実施形態では、長所は、センターシャフト16が非粘着表面を更に有し、凝結した血液及び組織が表面に粘着するのを防止させ、且つセンターシャフト16の外径と近位加熱構成部材2の内径との間の環形ギャップが阻害されるのを回避させる。血液または組織が前記環形ギャップに粘着させるか阻害させると、有効的な圧縮力が遠位加熱構成部材4に伝導されると共に組織の溶接または組織の切開が行われることが阻害される。
【0069】
遠位加熱構成部材4の圧縮力は組織の溶接品質に影響を及ぼす。加えられる圧力が大きすぎると、遠位加熱構成部材4が高速に組織を切り裂いてしまう。熱及び圧力が平衡に保たれて組織中のタンパク質に対する乾燥及び特性の改変を行い、粘着を促進させる必要がある。これを最良な形で実現するために、弾性部材26がヒートスプレッダ24の背面に配置される。
弾性部材26がヒートスプレッダ24と遠位先端部5との間の位置に配置されて予圧(pre−compressed)される。これにより、弾性部材26が最良な接近直線力を発揮させ、溶接過程中に組織に対して適切な圧力が加えられる。弾性部材26は好ましくはシリコーン(silicone)で製造される。普通の圧縮ばねとして、生体適合性材料で製成される皿ばね(belleville spring)やコイルばね(coil spring)を使用してもよい。
【0070】
ある実施形態では、ガイドワイヤールーメン18のサイズが0.014インチのガイドワイヤを受容可能に設計されており、但しガイドワイヤールーメン18のサイズも各種異なる直径のガイドワイヤを受容可能に設計されてもよい。場合によってはより大きいまたはより小さいガイドワイヤがより好適である。より大きい直径のガイドワイヤは装置に対してより多くのサポートを提供し、且つ逸脱(prolapsing)に抵抗する。小さいガイドワイヤでは、不注意で組織を穿刺することが少なくなり、且つ迂回させるために曲げて動かし易くなる。これらの機能は本分野に習熟する技術者にとっては既知のものである。
【0071】
ある実施形態では、近位基部10は23度で角度θで切開を行い、遠位斜面10aが形成される。然しながら、角度θは手術部位の特定の解剖学及び必要な吻合の長さに基づいて調整可能である。
本発明者は、角度θは約15−90度の範囲内であり、且つ特に15−50度の範囲内が好ましいという結果が出たことを発見し、同時に従来の前記範囲内の約23度が特に好ましい角度である。これらの好ましい角度/角度の範囲により吻合が好ましい楕円形の配置を有し、切開表面が最大化され、同時に使用される加熱エネルギーが有効的に利用されて有効的な切開及び溶接領域が作成される。
【0072】
各種の直流抵抗エネルギーが分布されることにより求められる切開が実現する。例えば、150℃−600℃の希望温度設定に保持させて管壁を切開を実現し、高速に段階的に或いは右肩上がりで抵抗エネルギーが増加する。
【0073】
材料に関し、好ましい実施形態では、センターシャフト16の外径及び近位加熱構成部材2の内径は<16Raの表面仕上げ(surface finish)を有し、両者の間には0.0005−.0002インチの環形ギャップを有し、且つ高温のパリレン(登録商標)(Parylene)が表面塗装として使用される。
他の不粘塗装として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)、ダイクロナイト(WS
2、Dicronite(登録商標))、シリコーン樹脂(silicone)、または本分野の技術者にとって既知の他の類似する塗装が組織の粘着防止のために使用される。
【0074】
近位基部10及び軸4に適用される既知の材料としてベスペル(Vespel(登録商標))、セラゾール(Celazole(登録商標))、テフロン(Teflon(登録商標))、ベスペル、ウルテム(Ultem(登録商標))、及びセラミックを含む。
【0075】
埋め込み式ヒーター12、リブ9、及びヒートスプレッダ24の製造に適用される導熱材料の例としてアルミニウム、ステンレス、窒化アルミニウム、または本分野の技術者にとって既知の他の金属或いはセラミック材料を含む。
【0076】
図14乃至
図21は
図11乃至
図13に図示して記載する管腔内吻合装置1に用いられるカテーテル1aを図示する。上述したように、カテーテル1aの1つの機能は遠位先端部5と近位基部10との間に位置される組織空間51内の組織の圧縮であり、特に遠位先端部5の近位端面5aと近位基部10の遠位斜め端面10aとの間の組織の圧縮である。
【0077】
センターシャフト16により遠位先端部5が近位基部10に連結され、且つ通常は遠位端が遠位先端部5に固定されるように連結される。近位端は近位基部10に滑動可能に連結され、センターシャフト16が近位基部10(
図4a参照)中の中心内腔52内で滑動を行い、遠位先端部5が近位基部10に対して軸方向に移動を行う。他の実施形態では、センターシャフト16の近位端は近位基部10に固定され、遠位端は遠位先端部5に滑動可能に連結される。
【0078】
本出願に記載のシステムに示すタイプの角度のついたカテーテル1aは、使用時に多くの圧力を吸収させる。前記圧力は切開、溶接、或いは他の方式の機械操縦または組織の挟持等のステップの一部分に応用される。カテーテル1aの基本構造は圧力を受けても不安定にならず、このため、場合によってはカテーテル1aの遠位先端部5が矢印54(
図15参照)の方向に沿って近位基部10と適合しなくなる(mismatch)。
遠位先端部5が近位基部10に対して圧力を加える場合、遠位先端部5が角度をつけた近位端面5aで近位基部10の角度をつけた遠位斜め端面10aに対して容易に滑動を行う。センターシャフト16の剛性のみが滑動傾向に反する。但し、圧力によってセンターシャフト16が近位基部10中でその基部が湾曲されるか捻じ曲げられることにより遠位先端部5が矢印54で示すようにその傾斜面に沿って下に滑動を行う。前記滑動が継続することにより、遠位斜め端面10aの周縁部55に沿った近位点56は対応する基部と適合せず、且つ組織または他のカテーテル器具に係着するあご56となり(
図15参照)、このため組織に損害が及び、及び/或いは組織に引っかかって機器の除去がより困難になる。
【0079】
図15に示すように、センターシャフト16の張力は角度θの正弦の逆数により側面負荷(side load)が増幅される。角度θが約20度である場合、センターシャフト中の張力は三倍に増加する。この現象によりあご56の変形が激化する。
【0080】
本設計中のセンターシャフト16は構造中の安定部材により傾斜する近位端面5a及び遠位斜め端面10aが位置を合わせるように保持される。センターシャフト16と中心内腔52との間の公差またはギャップ58(
図16参照)の縮小は、遠位先端部5が錐形であるために生じるサイドシフト(side−shifting)を回避させる方式である。然しながら、図中ではゆるい公差58を図示する。これは公差を厳格にすると製造及び操作上の様々な困難をもたらすためである。
カテーテル1aのいくつかの使用において、上述の角度をつけた近位端面5a及び遠位斜め端面10aが加熱される。カテーテル構造に使用される材料は熱せられると柔らかくなりやすく、圧力が加えられることにより生じる高い側面負荷(side load)を受けると変形する可能性がある。このため、このような加熱はあご56の形成に関する問題を増幅させる傾向がある。
【0081】
多くの場合、カテーテル1aは制御された状態で使用される。センターシャフト16の張力の量は総じて相似し、組織空間51内に挟持される組織のタイプは総じて同じであり、組織の厚さも総じて同じであり、且つ環境温度も始終同じでもよい。カテーテル1aはこのような予測された環境で使用されるために準備され、遠位先端部5が傾斜する近位端面5a及び遠位斜め端面10aに沿って滑動を行う距離が予測可能となる。
予め反対方向に設置される場合、このような予測可能性によりカテーテル1aが組織に係着しない状況で運用可能となる。この概念は
図17に示し、カテーテル1aは構造により近位点56が矢印54とは反対方向に偏移することが補償され、この偏移の補償の距離は上述の滑動過程で予期される移動距離に等しい。よって、カテーテル1aが完全に装着(fully loaded)されると、あご56が実際上遠位斜め端面10aのエッジ60の位置までしか滑動せず、このため組織の係着傾向が減少または消除される。
【0082】
センターシャフト16の張力は側面負荷(side load)に対する同じ軸の抵抗能力を容易に克服でき、特に角度θが35度より小さい場合は顕著である。センターシャフト及びその軸受穴52の公差58が非常に緊密になるとこのような状況が発生する。他の機械的特性を発揮させてシステムの他の部分を正常に動作させる必要がある。
【0083】
前記カテーテル1aは他の部材と多くの相互作用を有し、且つ多くの方式によりあご56が1つの機能点(point of functionality)として軽減される。最も簡単な方法はあご56の長さを短縮させると共にその上を全半径(full radius)62とする方法である。不幸にもこの方法ではカテーテルの組織に対する操作被覆面積を減少させ、その機能も低下させてしまう。
【0084】
図19はカテーテル1aの改良の実施形態を図示し、カテーテル1aの本来の操作軸64が有効的に上に向けて新しい軸66まで移動される。前記軸方向の移動はあご(barb)56の方向上である。解放用凹部68はカテーテルがその操作孔を下に向けて移動させ、移動を促進させる。これにより、あご56がカテーテルの操作孔の上部と緊密に接触させず、よってあご56またはカテーテルと相関する他のシステム部材(例えばシース)と組織とが相互に作用または係着することが防止される。
【0085】
他のカテーテルの設計では、角度をつけた基部に停止部70が設けられ、高い張力によりカテーテルの末端が不適合になると、あご56が停止部に衝突して停止する。この停止部70は
図18に示すものと類似の方式で遠位先端角度72を短縮させる。
【0086】
図21はシース19内に位置されるカテーテル1aを図示する。シースは通常拡張器及びガイドワイヤに連結されて血管に進入させる。シースの遠位先端部は非常に薄く、且つカテーテル1aの外側に緊密に適合する。これはあご56が非常に容易にシース19の遠位端74に係合する状況である。解放用凹部68がカテーテル1a中に結合されることにより、シース遠位端74が解放用凹部68内で軽微に移動し、スペース76が形成される。
図21に示すように、スペース76はあご56をシース遠位端74に進入させることで前述の係着の危険性をなくしている。この実施形態において、あご56は全半径である(
図18及び
図20参照)。
【0087】
よって、本発明の例示性の実施形態及び方法を図示し、描写したが、理解すべきは、ここで使用する全ての用語は描写のために用いているにすぎず、制限するものでななく、本分野で通常技術を有する者ならば本発明の精神及び範囲を逸脱せずに様々な変化、改修、及び交換が可能である点である。