【実施例1】
【0009】
図1は、待機姿勢における地震待避構造1、
図2は展開方向への作動途中、
図4は作動後の展開姿勢の地震待避構造1の正面図を示す。
地震待避構造1は、建造物の上層階で、その建造物に既設の構造躯体として、左右に対向して配置された柱や梁、耐力壁などが配置されている個所で、廊下や踊り場、階段その他の横幅方向が比較的狭い空間に設置される。
本実施例では構造躯体として柱を適用したもので、第1柱部材2と向き合う第2柱部材3が配置された建造物について説明する。
【0010】
上記地震待避構造1は、山形状の保護フレーム5と、展開した保護フレーム5の左右の傾斜辺51、52を左右でそれぞれ支持する第1ステー11および第2ステー12と、該第1ステー11と第2ステー12の自由端を係脱する係合解除装置20とを有している。
そして、前記第1柱部材2の中途位置には保護フレーム5の一端5a側を枢着する枢着部6が設けられ、第2柱部材3には、前記枢着部6と対向する位置に保護フレーム5の他端5b側を掛止めて支持する受部7が形成されている。
【0011】
[保護フレーム]
保護フレーム5は、略中央が最も突出するコーナー部50となり、左右の辺51,52が直線または曲線で下降傾斜する山形状またはアーチ状に形成された鋼材のフレームからなっている。
この保護フレーム5は、前述のようにその一端5aが第1柱部材2の枢着部6に枢着されており、保護フレーム5が枢着側の第1柱部材2と建造物の天井面30に沿った折畳姿勢(
図1参照)から、
図2に示すように、円弧状に落下し、他端5bが第2柱部材3の受部7に支持されて保護フレーム5の中央のコーナー部50が上を向く山形状とした展開姿勢(
図4参照)に枢動変位することができ、展開姿勢で山形状で囲まれた避難空間Sを形成する。
【0012】
枢着部6は、例えば、第1柱部材2の中途位置に固定したチャンネル状のブラケットに一対の孔を設け、保護フレーム5の一端5aにボス部を設け、上記ブラケットの孔とボス部の孔を整合して枢軸6aを貫挿し軸支するなどの公知の構造を採ることができる。
また、第2柱部材3には、前記枢着部6に対峙する位置に保護フレーム5の先端5bを掛止めて支持する受部7が固定されている。
本実施例では、保護フレーム5のコーナー部50に沿ってその内側に配置され両端部がそれぞれ保護フレーム5の中途位置に固着されたコーナー補強部材8が固定されて、保護フレーム5を補強している。
【0013】
[受部]
前記受部7は、保護フレーム5が
図4に示す展開姿勢になる際に、その他端(自由端)5bが、下方に居る人に接触したりぶつかって衝撃を与えないように、落下時の衝撃を和らげるため、ショックアブソーバ7aを取り付けることで、受部本体7bに接する手前から落下速度を減速させて支持されるようになっている(
図3参照)。
【0014】
[ステー]
前記第1柱部材2の延長上の第1枢着部13に、第1ステー11の基端11aが枢着される。
第1枢着部13は、第1柱部材2に設けられることが好ましいが、第1柱部材2の上部にある壁面その他の構造躯体であってもよい。
同様に前記第2柱部材3の延長上に第2枢着部14が設けられて、第2ステー12の基端12aが枢着される。
【0015】
この場合も、第2枢着部14は、第2柱部材3に設けられることが好ましいが、第2柱部材3の上部にある壁面などの構造躯体であってもよい。
また、第2ステー12には、その長手方向の中途位置に、前記折畳姿勢の保護フレーム5の他端5bを掛止める掛止部15が一体に形成されている。
該掛止部15は、図示例では略L状の突片からなっており、前記保護フレーム5の他端5bを下から掛止めるようになっている。
【0016】
前記第1ステー11および第2ステー12は、前記第1枢着部13、第2枢着部14を中心にして天井面30に沿って略水平に伸びる待機姿勢(
図1参照)と、各ステー11、12の先端11b、12bが展開姿勢の保護フレーム5のコーナー部50で分けられる左右の傾斜辺51、52の上面に衝合する作動姿勢(
図4参照)とに枢動変位しうる。
前記第2ステー12は待機姿勢において、掛止部15に、折畳姿勢の保護フレーム5の他端5bが掛け止められているので、保護フレーム5を折畳姿勢で保持するようになっている(
図1参照)。
【0017】
そこで、後述の係合解除装置20の作動で第1ステー11、第2ステー12が待機姿勢の拘束から解放されて枢動しはじめると、第2ステー12の掛止部15に掛け止められている保護フレーム5の他端5bが外れて下方に枢動し、それに遅れて上方の第1ステー11および第2ステー12が落下して、展開姿勢となった保護フレーム5の上部に嵌まり込む(
図2、
図4参照)。
【0018】
前記第1ステー11および第2ステー12の先端(自由端)11b、12bは、保護フレーム5の山形状の左右の傾斜辺51,52の上面と衝合する。
これにより第1ステー11と第2ステー12とは、作動姿勢において、保護フレーム5の上面に衝合し斜交い状になる。
そこで、地震に際して構造躯体の変形等によって保護フレーム5が迫り上がろうとすると、上から保護フレーム5を押さえて迫り上がりを防止し、位置を固定して展開姿勢を維持することができ、山形状の待避用空間を確保することができる。
【0019】
[係合解除装置]
前記待機姿勢における第1ステー11と第2ステー12とは、天井面30に沿って略水平に配置されるが、それぞれの先端11b、12bは、係合解除装置20によって係合されて待機姿勢に保持される。
【0020】
係合解除装置20は、前記第1ステー11と第2ステー12が待機姿勢になるとその先端11b、12bとそれぞれ係合してロックし水平に維持する。
そして、センター等の検知手段が所定の震度を超える振動を検知すると、機械的または電気的に前記ロックを解除して、前記先端11b、12bの係合を解除する。
上記係合解除装置20による係合が解除されると、前記第1ステー11と第2ステー12は、それぞれ自重によって先端11b、12b側が落下して作動姿勢に枢動変位する。
【0021】
上記係合解除装置20は機械的または電気的に係合解除を行う装置であり、例えば、機械的に行う場合は、実用新案登録第3148810号で開示されているように振り子式重錘を用いて震動時に自動的に係合解除を行う構成などが知られている。
電気的に行う場合は、第1ステー11、第2ステー12を電磁式フックで掛止め、震動を感知するとD7Gシリーズ感震装置(商品名 オムロン株式会社製)などの地震センサーで通電時に、リレー出力への電気供給が行われる接点を利用して、自動で前記電磁式フックを外して係合を解除する方法などが考えられる。
【0022】
なお、電気式の場合には、地震の発生によって、電力会社からの電力供給は自動的に遮断される。
電力会社の発電所、配電用変電所と本発明の防災アーチフレームの地震待避構造の設置場所とが離れている場合、この設置場所で地震の揺れを感知する前に、電力会社からの電力供給が遮断される場合も想定される。
この場合、前記D7G−Fシリーズ等の感震装置では、地震センサへの電気供給も遮断されるが、電気供給が遮断すると同時に地震センサが作動する構造となっているため問題はない。
【0023】
係合解除装置20の作動により、第1ステー11および第2ステー12の各先端11b、12bとの係合が解除されると、第1ステー11および第2ステー12はそれぞれ基端11a、12aの枢着点を支点にして自重により下向きに枢動する。
この際に第1ステー11および第2ステー12に、落下方向に付勢される第1付勢手段16、第2付勢手段17が設けられる。
【0024】
本実施例の場合、第1付勢手段16、第2付勢手段17はコイルスプリングからなっており、第1ステー11、第2ステー12の枢着部をカバーするボックスに一端が連結され、他端が各ステー11、12の中途位置に枢着されている。
図示例では、第2付勢手段17の他端は第2ステー12の掛止部15に連結され、第1付勢手段16の他端は第1ステー11の突片18に連結されている。
上記第1付勢手段16、第2付勢手段17はコイルスプリングに限定されず、バネ材その他の作動方向に付勢される公知の付勢部材を用いてもよい。
【0025】
[戻り防止具]
戻り防止具25は、前記第1ステー11と第2ステー12のいずれか一方、本実施例では、第1ステー11の掛止部15が形成される個所に形成された枢軸26に一端が枢着されており、他端が第2ステー12の中途位置に設けられた突片18に設けられた枢軸27に嵌合する長孔28を有する長尺部材からなっている。
【0026】
即ち、戻り防止具25は、第1ステー11と第2ステー12が作動姿勢となって筋交い状に形成される際に、これらと連動して自重で落下し、前記長孔28に沿って第2ステー12の枢軸27が長孔28の端部側までスライドして略水平姿勢で下降して、第1ステー11と第2ステー12の作動姿勢を拘束することで、展開姿勢の保護フレーム5が外力を受けても、保護フレーム5を折畳方向に戻らないように拘束することができる。
【0027】
前記戻り防止具25は、その枢軸26、27が第1、第2ステー11、12の中途位置にある為、保護フレーム5が展開し、第1ステー11、第2ステー12が落下方向に枢動する際に、第1ステー11、第2ステー12の落下速度のバランスが崩れた場合、ストレート形状では保護フレーム5の落下の妨げになる可能性があるので、戻り防止具25の略中央の一部を下方に曲げて重心を下げる事で確実に作動する。
また、戻り防止具25は、保護フレーム5に損傷が無い場合には、手動操作によって元の待機姿勢に復帰させることができる。
【実施例2】
【0028】
前記地震待避構造1は、単一の保護フレーム5を用いるものであってもよく、保護フレーム5を幅広に形成したり、図示しない幅広の保護覆いを保護フレーム5の上面に固定することで、その幅内で空間を確保できるが、保護フレーム5を前後に複数設ける構造としてもよい。
即ち、
図6に示すように、前記実施例1の地震待避構造1を前後一対(直列に並べれば2つ以上でもよい)に配置し、その一対の保護フレーム5間の上部には、
図5で例示するような鉄板、鉄丸棒、鉄パイプ、鉄網等の保護カバー30を取り付けることで、離間した一対の保護フレーム5間の上方を覆って、広い範囲での避難空間Sを確保することができる。
【0029】
この際に、保護カバー30は、その前後両端の地震待避構造1が確実に作動すればよいので、保護カバー30には、前後の保護フレーム5のいずれか一方の動きに従動するよう連結部材40を連結して保護フレーム5、5間を連結することが好ましい。
また、地震待避構造1の係合解除装置20は、それぞれが独立して作動するものでもよいが、いずれか一方の作動に連動して作動するようにしてもよい。
【0030】
この発明は上記実施例に限定されるものではない。
即ち、この発明の各構成部品は、設置後の外観を向上させる為、装飾をおこなっても良い。
例えば、汚し塗装を行えば、古民家、旅館、文化財等にも設置可能である。
また、構成部品の断面係数、板厚等を適宜変更することで、強度の向上を図れば、最上階に限らず中間階でも使用することができる。
【0031】
この発明の地震待避構造は、木造の建造物に限らず、鉄筋コンクリート製の建造物にも適用でき、例えば廊下の上部からの落下防止にも使用できる。
また、構成部品は、鉄材部品を木等で覆って装飾してもよいし、部品は管材を用いてもよく、鉄の他にステンレス材などを適宜用いても良い。
また、保護カバーは、鉄板、鉄丸棒、鉄パイプ、鉄網等に限らず、ポリカネート板でも良い。
更に、保護フレームの受部の緩衝手段としてショックアブソーバを用いる場合には、油圧式、空気圧式、スプリング式などの公知の構造を用いることができる。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。