(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の畳表裁断機1の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の畳表裁断機1の正面図であり、
図2は本発明の畳表裁断機1の側面図であり、
図3は本発明の畳表裁断機1の平面図である。
【0020】
図2に示した2点鎖線はロール状の畳表Tである。畳表Tはロール状でフレーム2に設けられた畳表保持手段3に芯棒4でセットされ、
図2に2点鎖線で示した搬送経路で畳表Tは搬送される。
【0021】
5は、畳表Tの上前側を裁断する上前裁断刃物であり、6は、下前裁断刃物である。上前裁断刃物5はモーター5a、下前裁断刃物6はモーター6aでそれぞれ回転駆動される。また、下前裁断刃物6は、左右に固定位置を調整可能に構成されており、裁断する畳表Tの幅寸法の調整が可能となっている。固定位置の調整は、ノブボルトなどの手で操作できる締結手段で位置決めするようになっている。
【0022】
7は畳表送りローラーで、8は畳表検尺ローラーである。畳表検尺ローラー8はシリンダー8aで昇降し、畳表Tをセットするときは上昇させ、畳表Tを裁断するときには、シリンダー8aで下降し、畳表検尺ローラー8の自重で畳表送りローラーとの間に畳表Tを狭持する。畳表検尺ローラー8には図示していないが、エンコーダーあるいはスリット円板をセンサーで検知し、センサーを通過したスリット数を検出するなどにて畳表Tの搬送長さを測長している。20は畳表Tを載置するテーブルであり、21は設定長さの畳表Tを搬送したときに畳表Tの幅方向の移動を行って切断する切断装置である。22は21の切断装置で畳表Tを切断する際に降下して畳表Tを押さえる畳表押えである。
【0023】
9は畳表Tの搬送補正機構であり、畳表Tが上前裁断刃物5に対して畳表Tの目の谷がまっすぐ一直線に搬送されていない場合に、畳表Tの搬送を畳表の幅方向に補正するための機構である。
【0024】
搬送補正機構9は、回転駆動源9a(例えばモーター)で駆動される補正ローラー9bと、補正ローラー9bの上部に昇降可能に設けられた昇降ピンチローラー9cと、補正ローラー9bを揺動支点9dで揺動させる揺動アクチュエータ9eから構成されている。昇降ピンチローラー9cは畳表裁断機1の左右両端に設けられた昇降シリンダ9fで昇降される構成としている。
【0025】
10は畳表Tの目の谷の検知手段であり、
図4に示すように畳表Tに対して非接触式の距離センサーを3つ設けている。3つのセンサーは側面から見た状態で、測定のスポットは平面から見た状態を模式的に図示したものである。
【0026】
図5(a)に示すように、畳表Tの目の谷を検知するために、第1のセンサー11のスポット11aは、畳表Tの目の谷のすぐ右横の畳表Tのイ草の織り目が急角度になっている部分に照射させている。第2のセンサー12のスポット12aは畳表Tの目の谷に照射させている。第3のセンサー13のスポット13aは、畳表Tの目の谷のすぐ左横の畳表Tのイ草が急角度(
図5(b)参照)になっている部分に照射させている。スポット12aに対してスポット11aとスポット13aを畳表Tの幅方向における間隔は1mmとしている。
【0027】
図5の状態にスポット11a、12a、13aを照射するために、第1のセンサー11と第3のセンサー13は角度θをつけて設置した場合においては、第2センサー12のように垂直に照射させていないので、第1のセンサー11と第3のセンサー13の測長距離にcosθを乗じてスポット11a、スポット13aの高さを計算すれば良い。第1のセンサー11と第3のセンサー13の角度はそれぞれ別の角度としても良いが、畳表Tの谷から同寸法の箇所にそれぞれスポットを配置させるようにするために、角度は同角度としておくことが望ましい。そして、上記スポット11a、12a、13aが照射された位置の畳表Tの高さデータを取得している。
【0028】
スポット11a、12a、13aは、畳表Tの幅方向に並べて照射したいのであるが、スポットが近いと干渉をしてしまい、畳表Tのスポットの照射位置の高さが検知できなくなるため、スポットが干渉しない距離だけは搬送方向に対して間隔を設けている。
【0029】
この距離は例えば2〜4mm程度の間隔としており、上記の畳表検尺ローラー8で畳表Tの搬送距離は測長できているので、第1のセンサーで検出したスポット11aの高さY1のイ草が、第2のセンサー12の位置に搬送されたときにスポット12aの高さY2を測定し、高さY1のイ草が第3のセンサー13の位置に搬送されたときにスポット13aの高さY3を測定してデータとする。そのようなデータの取得をしておくことで、畳表Tのイ草に折りぐせがついていたりする場合があっても、幅方向に同じイ草での測定データに基づいた検出をすることができる。
【0030】
また、畳表Tは天然のイ草を織ったり、人工のイ草を織っているので、この織り目は多少のばらつきが出ている。また、人工のイ草の径はほぼ均等にそろっているが、天然のイ草だと断面は円でも楕円になっていたりしておりばらつきが生じている。
【0031】
そのため、上記高さデータY1、Y2、Y3の測定から畳表Tの目の谷を検知するのであるが、イ草自体のばらつきや、織りのばらつきが畳表Tの目の谷の検知に影響が出ないようにする必要がある。
【0032】
そのために、センサーのスポットの大きさを畳表Tの搬送方向方向に対してはイ草2本程度の大きさ(例えば0.8〜1.5mm)とし、畳表Tの幅方向に対しては0.3〜1mm程度としている。搬送方向に対してイ草2本程度の大きさとしておくと、イ草の円形の凹凸などを細かく測定することがなく、スポットの当たっている箇所で畳表Tの一番高い位置の測定をすることができる。もちろん搬送方向に5mm程度の長さのスポットとしても良い。
【0033】
次に、高さデータY1、Y2、Y3のデータの取得間隔Xと取得個数Zを決め、高さデータY1、Y2、Y3の平均データをYA1、YA2、YA3を求める。畳表Tの搬送速度をSとすると、Z個の個数を取得する間に畳表Tが移動する距離が演算でき、その距離が5〜10mmになるようにする。5〜10mmの間に取得した高さデータY1、Y2、Y3をそれぞれ平均してYA1、YA2、YA3を求めることで、イ草のばらつきや畳表Tの織り目のばらつきの影響をでないようにするのである。
【0034】
このとき、畳表Tの織り目のばらつきで、畳表Tの谷の部分にまで、谷の左側あるいは右側のイ草が飛び出してきた状態の織り目になっていることがあるが、取得個数Zを数十としておき、畳表Tの目の谷にまでイ草が飛び出しているような状態の部分のデータY1、Y2、Y3は、Y1かY3の数値とY2の数値が明らかにテーブル20面からの高さが高い数値となるため、平均データにする際にはそれらのデータY1、Y2、Y3は除いて平均し、平均データYA1、YA2、YA3を求めるようするとより精度を上げることができる。
【0035】
以上のようにして取得した平均データYA1、YA2、YA3を用いた畳表Tの目の谷の検知について説明する。
【0036】
図6(a)に示した状態は、スポット12aが畳表Tの目の谷に合致している状態を示している。このときには平均データYA2は最小値となるので、平均データYA1と平均データYA3にばらつきがあっても畳表Tの目の谷を検知している状態として畳表Tの搬送を行う。
【0037】
図6(b)は、畳表Tが右にずれ始めた状態を示した図である。畳表Tの目の谷がスポット12aよりも右側にずれていくために、その時の平均データYA1は
図6(a)の時よりも小さくなり、YA2とYA3は大きくなる。
図6(a)のデータと区別できるように平均データをそれぞれYB1、YB2、YB3とすると、
YB1<YA1、YB2>YA2、YB3>YA3となり、
かつYB3>YB1
の関係となる。このデータから、畳表Tが右にずれていることが検出できるのである。
【0038】
図6(c)は、
図6(b)の状態からさらに右に畳表Tがずれて、畳表Tの目の谷が第1のセンサー11のスポット11aに達した状態を示した図である。
図6(a)、
図6(b)のデータと区別できるように平均データをそれぞれYC1、YC2、YC3とすると、
YC1<YA1、YC2>YA2、YC3>YA3
かつYC3>YC2>YC1
の関係となる。このデータから、畳表Tが右にずれていることが検出できるのである。実際には畳表Tの目の谷が第1のセンサー11のスポット11aに達する前にスポット12aよりもスポット11aが低くなり、平均データYC3>YC2>YC1となるので、畳表Tが
図6(b)の位置よりも右にさらにずれていっていることが検出できる。
【0039】
図6(d)は、畳表Tが左にずれ始めた状態を示した図である。畳表Tの目の谷がスポット12aよりも左側にずれていくために、その時の平均データYA3は
図6(a)の時よりも小さくなり、YA2とYA1は大きくなる。
図6(a)のデータと区別できるように平均データをそれぞれYD1、YD2、YD3とすると、
YD1>YA1、YD2>YA2、YD3<YA1となり、
かつYD3<YD1
の関係となる。このデータから、畳表Tが右にずれていることが検出できるのである。
【0040】
図6(e)は、
図6(d)の状態からさらに左に畳表Tがずれて、畳表Tの目の谷が第3のセンサー13のスポット13aに達した状態を示した図である。
図6(a)、
図6(d)のデータと区別できるように平均データをそれぞれYE1、YE2、YE3とすると、
YE1>YA1、YE2>YA2、YE3<YA3
かつYE3<YE2<YE1
の関係となる。このデータから、畳表Tが左にずれていることが検出できるのである。実際には畳表Tの目の谷が第3のセンサー13のスポット13aに達する前にスポット12aよりもスポット13aが低くなり、平均データYE3<YE2<YE1となるので、畳表Tが
図6(d)の位置よりも左にさらにずれていっていることが検出できる。
【0041】
次に本発明の畳表裁断機1の動作について説明する。
畳表Tを畳表裁断機1にセットするのに、畳表Tをロールを芯棒4で畳表保持手段3にセットし、昇降ピンチローラー9cと畳表検尺ローターを上昇させて、上前裁断刃物5と下前裁断刃物6を回転させながら、畳表Tの先端を畳表送りローラー7と畳表検尺ローラー8でピンチできるところまで送り込む。このとき、搬送補正機構9の位置を合わせて、スポット12aが畳表Tの目の谷に合致するように畳表Tをセットする。事前に裁断する長さのセットや上前裁断刃物5に対する下前裁断刃物6の位置調整などを実施しておくと良い。
【0042】
畳表Tのセットが完了できれば、昇降ピンチローラー9cと畳表検尺ローターを下降させて畳表Tをそれぞれピンチさせる。
【0043】
運転スイッチ(図示)で畳表裁断機1が畳表Tの裁断を開始する。
【0044】
このとき、裁断を開始するまでは、作業者が畳表Tの目の谷にスポット12aを合わせ、スポット11aとスポット13aも確認しながら畳表Tをセットしているので、運転スイッチを押した時のY1、Y2、Y3の値を基準値として制御に使用することも可能である。
【0045】
畳表Tの搬送がまっすぐに行えていれば
図6(a)の状態のまま畳表Tが搬送されて裁断される。
図6(b)のように畳表Tが右にずれ始めると、揺動アクチュエータ9eを作動させる。具体的には揺動アクチュエータ9eのロッドを延伸させて、補正ローラー9bの右端をテーブル20から離れるように揺動支点9dを中心に旋回させて、畳表Tが左に寄るようにする。それでも
図6(c)のようにずれる場合には揺動アクチュエータ9eのロッドをさらに延伸させるのである。
【0046】
逆に、
図6(d)のように畳表Tが左にずれ始めた場合は、揺動アクチュエータ9eのロッドを縮小させて、補正ローラー9bの右端をテーブル20へ近づけるように揺動支点9dを中心に旋回させて、畳表Tが右に寄るようにする。それでも
図6(e)のようにずれる場合には揺動アクチュエータ9eのロッドをさらに縮小させるのである。
【0047】
上記のように畳表Tの目の谷がスポット12aから外れて蛇行を開始した場合には補正ローラー9bを揺動支点9dを中心に旋回させて蛇行を防止させて、畳表Tの目の谷を検知した状態で設定長さだけ搬送して裁断する。畳表Tの目の谷がスポット12aから外れて蛇行を開始した場合には、畳表Tの蛇行を防止するようにして、畳表Tの目の谷に沿って、あるいは畳表Tの目の谷に平行に裁断する。畳表Tには搬送中にテンションは多少かかるものの畳表Tの目の谷が直線にならずに曲がった状態のままで搬送されることが多いため、その曲がりに合うように畳表Tの搬送を補正搬送機構9で行うことで、畳表Tの目の谷に沿って、あるいは畳表Tの目の谷に平行に裁断することが可能となるのである。畳表Tの目の谷を検知しながら裁断することによって、畳表Tを畳床に裁断時のテンションよりも強くテンションをかけて表張りをすると、畳表の経糸にもテンションがかかり、畳表Tの目の谷が直線性良く仕上がることになり、畳表Tの目の谷に沿った状態あるいは畳表Tの目の谷に平行に裁断した畳表Tの裁断部分の直線性も良い状態となるのである。
【0048】
揺動アクチュエータは、平均データYA1、YA2、YA3が演算される毎に上記の
図6(a)〜
図6(e)のどの状態とになっているかを制御装置(図示せず)で演算し、揺動アクチュエータ9eの動作を制御するのである。そのため揺動アクチュエータ9eは応答性の良いアクチュエータを採用している。
【0049】
設定長さ搬送が完了すると、畳表Tの搬送を停止し、畳表押え22を下降させ、切断装置21で畳表Tを幅方向に切断するのである。
【0050】
上記では平均データYA1、YA2、YA3のデータの比較での畳表Tの目の谷の検知で説明したが、YA1−YA2の計算値とYA3−YA2の計算値、すなわちスポット11aとスポット12aの高さの差とスポット13aとスポット12aの高さの差を比較して、高さに差がなければ畳表Tの目の谷に沿って搬送できていると判断し、「YA1−YA2の計算値<YA3−YA2の計算値」であれば畳表が右に蛇行していると判断し、「YA1−YA2の計算値>YA3−YA2」の計算値であれば畳表が左に蛇行していると判断して補正ローラー9bの揺動を制御するようにしてもよいのである。
【0051】
またさらに、昇降ピンチローラー9cも補正ローラー9bと一体的に揺動支点9dで旋回するようにしても良い。昇降シリンダ9fを補正ローラー9bを軸支する部分のフレーム材側に固定し、昇降ローラー9cが昇降可能とし、かつ補正ローラー9bと共に畳表Tを狭持した状態で旋回するようにしておけば良いのである。
【0052】
またさらに、畳表Tの目の谷を検知するために、センサーは3つでの実施形態を説明したが、上記3つの左右両端と真ん中のセンサーのスポットの間にそれぞれ1つづつセンサーのスポットを増加し、センサーを5つとして精度良く検出することや、左右のセンサーのさらに外側にセンサーのスポットをそれぞれ増加させてセンサーを5つとする実施形態とすることなども可能である。
【0053】
上記においては、センサーは3つでの実施形態を説明したが、センサー1つで畳表の幅方向の凹凸を検知する変位センサーを使用しても良く、センサー1つで畳表Tの幅方向の凹凸を検知する技術は本発明の技術範囲と均等なものである。