特許第6532107号(P6532107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6532107
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】車両制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20190610BHJP
   G06F 8/654 20180101ALI20190610BHJP
【FI】
   B60R16/02 660U
   G06F8/654
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-34612(P2016-34612)
(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公開番号】特開2017-149323(P2017-149323A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】西台 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】石原 直幸
(72)【発明者】
【氏名】富田 洋輔
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−165067(JP,A)
【文献】 特開2013−002958(JP,A)
【文献】 特開2011−074721(JP,A)
【文献】 特開2008−059450(JP,A)
【文献】 特開2015−183412(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0176301(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
G06F 8/654
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、当該車両を制御する車両制御装置と、
ユーザにより所持され、前記車両制御装置と通信を行う電子キーと、
ユーザにより所持され、前記電子キーと通信を行うとともに、外部のサーバーと通信を行う携帯機と、を備え、
前記車両制御装置は、
制御対象を制御するためのソフトウェアが格納された記憶部を有し、
前記サーバーから前記携帯機を経由して、前記ソフトウェアの更新に関する通知を受信すると、前記電子キーと通信を行って、当該電子キーの所在位置を判定し、
前記携帯機は、前記電子キーの所在位置が前記車両の車内であると判定された場合に、更新用ソフトウェアのダウンロードを要求する信号を、前記サーバーへ送信し、
前記車両制御装置は、前記サーバーから送信された前記更新用ソフトウェアを、前記携帯機を経由してダウンロードし、前記記憶部のソフトウェアを更新する、ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
前記車両制御装置は、前記電子キーの所在位置が前記車両の車内であると判定した場合に、ソフトウェアを更新する意思の有無をユーザに確認するための意思確認用信号を、前記電子キーへ送信し、
前記電子キーは、前記意思確認用信号を受信すると、当該電子キーにおいてユーザによる所定の操作が行われるのを待ち、
前記携帯機は、前記電子キーにおいて前記所定の操作が行われると、前記ダウンロードを要求する信号を前記サーバーへ送信する、ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項3】
車両に搭載され、当該車両を制御する車両制御装置と、
ユーザにより所持され、前記車両制御装置と通信を行う電子キーと、
ユーザにより所持され、前記電子キーと通信を行うとともに、外部のサーバーと通信を行う携帯機と、を備え、
前記車両制御装置は、
制御対象を制御するためのソフトウェアが格納された記憶部を有し、
前記サーバーから前記携帯機を経由して、前記ソフトウェアの更新に関する通知を受信すると、前記電子キーと通信を行い、
前記電子キーは、前記車両制御装置との通信に基づいて、当該電子キーの所在位置を判定し、
前記携帯機は、前記電子キーの所在位置が前記車両の車内であると判定された場合に、更新用ソフトウェアのダウンロードを要求する信号を、前記サーバーへ送信し、
前記車両制御装置は、前記サーバーから送信された前記更新用ソフトウェアを、前記携帯機を経由してダウンロードし、前記記憶部のソフトウェアを更新する、ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の車両制御システムにおいて、
前記電子キーは、当該電子キーの所在位置が前記車両の車内であると判定した場合に、当該電子キーにおいてユーザによる所定の操作が行われるのを待ち、
前記携帯機は、前記電子キーにおいて前記所定の操作が行われると、前記ダウンロードを要求する信号を前記サーバーへ送信する、ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項5】
車両に搭載され、当該車両を制御する車両制御装置と、
ユーザにより所持され、前記車両制御装置と通信を行う電子キーと、を備え、
前記車両制御装置は、
制御対象を制御するためのソフトウェアが格納された記憶部と、
外部のサーバーと通信を行う通信部と、を有し、
前記サーバーから、前記ソフトウェアの更新に関する通知を、前記通信部で受信すると、前記電子キーと通信を行って、当該電子キーの所在位置を判定し、
前記電子キーの所在位置が前記車両の車内であると判定した場合に、更新用ソフトウェアのダウンロードを要求する信号を、前記通信部から前記サーバーへ送信し、
前記サーバーから送信された前記更新用ソフトウェアを、前記通信部を介してダウンロードし、前記記憶部のソフトウェアを更新する、ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項6】
請求項5に記載の車両制御システムにおいて、
前記車両制御装置は、前記電子キーの所在位置が前記車両の車内であると判定した場合に、ソフトウェアを更新する意思の有無をユーザに確認するための意思確認用信号を、前記電子キーへ送信し、
前記電子キーは、前記意思確認用信号を受信すると、当該電子キーにおいてユーザによる所定の操作が行われるのを待ち、
前記車両制御装置は、前記電子キーにおいて前記所定の操作が行われると、前記ダウンロードを要求する信号を前記サーバーへ送信する、ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項7】
車両に搭載され、当該車両を制御する車両制御装置と、
ユーザにより所持され、前記車両制御装置と通信を行う電子キーと、を備え、
前記車両制御装置は、
制御対象を制御するためのソフトウェアが格納された記憶部と、
外部のサーバーと通信を行う通信部と、を有し、
前記サーバーから、前記ソフトウェアの更新に関する通知を、前記通信部で受信すると、前記電子キーと通信を行い、
前記電子キーは、前記車両制御装置との通信に基づいて、当該電子キーの所在位置を判定し、
前記車両制御装置は、
前記電子キーの所在位置が前記車両の車内であると判定された場合に、更新用ソフトウェアのダウンロードを要求する信号を、前記通信部から前記サーバーへ送信し、
前記サーバーから送信された前記更新用ソフトウェアを、前記通信部を介してダウンロードし、前記記憶部のソフトウェアを更新する、ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項8】
請求項2、請求項4または請求項6に記載の車両制御システムにおいて、
前記電子キーは、前記所定の操作が行われるまでの間、当該操作をユーザに促すための表示を行う、ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両制御システムにおいて、
前記携帯機は、前記電子キーと近距離無線で通信を行うスマートフォンである、ことを特徴とする車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備わる車両制御装置と、この車両制御装置と通信を行う電子キーとを備えた車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車両各部の動作を制御するためのECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)が搭載されている。このECUは、制御対象に応じて複数設けられており、各ECUには、それぞれの制御目的に応じたソフトウェア(コンピュータプログラム)が組み込まれている。各ECUは、これらのソフトウェアに従って、所轄の制御対象を制御する。しかし、ソフトウェアは随時アップデートされるため、その場合には、ECUのソフトウェアを最新のものに更新する必要がある。
【0003】
従来、ECUのソフトウェアの更新は、車両に備わる所定の接続部に、専用機器を物理的に接続することにより行っていた。たとえば、特許文献1には、更新用ソフトウェアが記憶された情報記憶装置を、車両のインストルメントパネル部などに設けられた接続部に接続し、有線を介して更新用ソフトウェアをECUへ送るシステムが記載されている。しかし、従来の方法では、ソフトウェアの更新にあたって、専用機器が備わっている販売店まで車で出向く必要があり、ユーザにとって不便であった。
【0004】
そこで、センターのサーバーからネットワークを通して、更新用ソフトウェアをECUにダウンロードする方法が考えられる。これによれば、専用機器の接続が不要となって、ユーザにおいてソフトウェアの更新に対応することが可能となり、利便性が向上する。たとえば、特許文献2には、車両と情報提供センタとを通信回線で接続し、情報提供センタから通信回線を介して更新用ソフトウェアをダウンロードすることにより、車両側のソフトウェアを更新するシステムが記載されている。
【0005】
しかしながら、センターからネットワークを通して更新用ソフトウェアをダウンロードする場合は、悪意のある第三者によって、ユーザの意図しないダウンロードが行われるおそれがあり、セキュリティ上のリスクが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−188027号公報
【特許文献2】特開2007−65856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ユーザの利便性を損うことなく、安全に車両用ソフトウェアを更新することが可能な車両制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による車両制御システムは、車両に搭載され当該車両を制御する車両制御装置と、ユーザにより所持され車両制御装置と通信を行う電子キーと、ユーザにより所持され電子キーと通信を行うとともに、外部のサーバーと通信を行う携帯機とを備えている。車両制御装置は、制御対象を制御するためのソフトウェアが格納された記憶部を有しており、サーバーから携帯機を経由して、ソフトウェアの更新に関する通知を受信すると、電子キーと通信を行って、当該電子キーの所在位置を判定する。携帯機は、電子キーの所在位置が車両の車内であると判定された場合に、更新用ソフトウェアのダウンロードを要求する信号を、サーバーへ送信する。車両制御装置は、サーバーから送信された更新用ソフトウェアを携帯機を経由してダウンロードし、記憶部のソフトウェアを更新する。
【0009】
このようなシステムによると、サーバーからソフトウェア更新の通知がされた場合に、電子キーの所在位置を判定し、電子キーの所在位置が車両の車内であると判定された場合に、更新用ソフトウェアのダウンロードをサーバーへ要求し、サーバーから送信された更新用ソフトウェアにより、車両制御装置のソフトウェアが更新される。したがって、電子キーが車内にある場合、つまりユーザが車両に乗車している場合に限り、更新用ソフトウェアが車両側へダウンロードされるので、車外にいる悪意の第三者によって、ユーザの意図しないソフトウェア更新が行われるのを未然に防止することができ、安全性が向上する。
【0010】
また、車両制御装置と携帯機との間に電子キーが介在するので、電子キーがゲートウェイの役割を果たすこととなる。このため、たとえば携帯機がインターネットに接続されていても、車両制御装置と携帯機との間で直接通信を行う場合に比べて、車両側のセキュリティ性を高めることができる。
【0011】
本発明において、車両制御装置は、電子キーの所在位置が車両の車内であると判定した場合に、ソフトウェアを更新する意思の有無をユーザに確認するための意思確認用信号を、電子キーへ送信してもよい。この場合、電子キーは、意思確認用信号を受信すると、当該電子キーにおいてユーザによる所定の操作が行われるのを待つ。携帯機は、電子キーにおいて所定の操作が行われると、ダウンロードを要求する信号をサーバーへ送信する。
【0012】
本発明において、電子キーの所在位置の判定を電子キー自らが行い、所在位置が車両の車内であると判定された場合に、当該電子キーにおいてユーザによる所定の操作が行われるのを待ってもよい。
【0013】
本発明において、携帯機を省略して、車両制御装置と電子キーとで車両制御システムを構成してもよい。この場合、車両制御装置は、制御対象を制御するためのソフトウェアが格納された記憶部と、外部のサーバーと通信を行う通信部とを有する。車両制御装置は、サーバーから、ソフトウェアの更新に関する通知を通信部で受信すると、電子キーと通信を行って、当該電子キーの所在位置を判定する。そして、電子キーの所在位置が車両の車内であると判定した場合に、車両制御装置は、更新用ソフトウェアのダウンロードを要求する信号を、通信部からサーバーへ送信し、サーバーから送信された更新用ソフトウェアを、通信部を介してダウンロードし、記憶部のソフトウェアを更新する。
【0014】
上記のような、車両制御装置と電子キーとで構成される車両制御システムにおいて、車両制御装置は、電子キーの所在位置が車両の車内であると判定した場合に、ソフトウェアを更新する意思の有無をユーザに確認するための意思確認用信号を電子キーへ送信してもよい。電子キーは、意思確認用信号を受信すると、当該電子キーにおいてユーザによる所定の操作が行われるのを待ち、車両制御装置は、電子キーにおいて所定の操作が行われると、ダウンロードを要求する信号をサーバーへ送信する。
【0015】
また、上記のような、車両制御装置と電子キーとで構成される車両制御システムにおいて、電子キーの所在位置の判定を電子キー自らが行ってもよい。
【0016】
本発明において、電子キーは、前記の所定の操作が行われるまでの間、当該操作をユーザに促すための表示を行ってもよい。
【0017】
本発明において、携帯機は、電子キーと近距離無線で通信を行うスマートフォンであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザの利便性を損うことなく、安全に車両用ソフトウェアを更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の車両制御システムの概略図である。
図2】第1実施形態の車両制御システムのブロック図である。
図3】第1実施形態によるソフトウェア更新手順を示すフローチャートである。
図4A】第1実施形態における更新通知画面を示す図である。
図4B】第1実施形態における案内画面を示す図である。
図4C】第1実施形態における処理中画面を示す図である。
図4D】第1実施形態における完了通知画面を示す図である。
図4E】第1実施形態における更新中止画面を示す図である。
図5】第2実施形態によるソフトウェア更新手順を示すフローチャートである。
図6】第3実施形態によるソフトウェア更新手順を示すフローチャートである。
図7】第4実施形態によるソフトウェア更新手順を示すフローチャートである。
図8】第5実施形態の車両制御システムの概略図である。
図9】第5実施形態の車両制御システムのブロック図である。
図10】第5実施形態によるソフトウェア更新手順を示すフローチャートである。
図11A】第5実施形態における更新通知画面を示す図である。
図11B】第5実施形態における案内画面を示す図である。
図11C】第5実施形態における処理中画面を示す図である。
図11D】第5実施形態における完了通知画面を示す図である。
図11E】第5実施形態における更新中止画面を示す図である。
図12】第6実施形態によるソフトウェア更新手順を示すフローチャートである。
図13】第7実施形態によるソフトウェア更新手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。ここでは、車両制御装置におけるECUのソフトウェアを更新する場合を例に挙げている。
【0021】
<第1実施形態>
第1実施形態による車両制御システムの構成につき、図1および図2を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示すように、第1実施形態の車両制御システム100は、車両Vに搭載された車両制御装置1と、この車両制御装置1と無線通信を行う電子キー2と、この電子キー2と無線通信を行うスマートフォン3とから構成される。電子キー2とスマートフォン3は、ユーザAが所持している。ユーザAは、この電子キー2とスマートフォン3とを用いて、後述するソフトウェア更新を行う。スマートフォン3は、インターネットなどのネットワークを通して、センターに設けられているサーバー4と通信を行う。サーバー4には、車両制御装置1の更新用ソフトウェアが格納されている。
【0023】
ここで、スマートフォン3は、本発明における「携帯機」の一例である。
【0024】
図1の車両制御システム100においては、電子キー2の所在位置に応じて、サーバー4からの更新用ソフトウェアのダウンロードが許可または禁止される。その詳細については後述するが、概要を述べると以下の通りである。図1(a)のように、ユーザAが車両Vに乗車している場合、つまり電子キー2が車内にある場合は、サーバー4からスマートフォン3および電子キー2を経由して、更新用ソフトウェアを車両制御装置1にダウンロードすることができる。一方、図1(b)のように、ユーザAが車両Vから降車している場合、つまり電子キー2が車外にある場合は、サーバー4からの更新用ソフトウェアのダウンロードが禁止される。
【0025】
このように、スマートフォン3を経由して更新用ソフトウェアをダウンロードする、第1実施形態の車両制御システム100は、更新ソフトウェアのデータ量が少ない場合に適している。後述する第2ないし第4実施形態についても同様である。
【0026】
図2は、車両制御装置1、電子キー2、およびスマートフォン3の具体的構成を示している。以下、それぞれについて詳細に説明する。
【0027】
車両制御装置1は、制御部10、記憶部11、LF(Low Frequency)送信部12、UHF(Ultra High Frequency)受信部13、およびリクエストスイッチ14を備えている。制御部10と記憶部11は、エントリ制御用のECUを構成している。車両制御装置1には、これらの他にも、カーナビゲーション装置、オーディオ装置、空調装置のような車載装置を駆動する車載装置駆動部など、各種のブロックが含まれており、また、それらを制御する別のECUも含まれているが、本発明に直接関係しないため、図示を省略してある。なお、図2の車両制御システム100は、電子キー2の操作によりドアの施錠または解錠を行うキーレスエントリシステムでもあり、また、ユーザがドアのノブに接近または接触した時に、車両制御装置1と電子キー2との間で通信を行って、ドアの施錠または解錠を行うパッシブエントリシステムでもある。
【0028】
制御部10はCPUを備えており、キーレスエントリやパッシブエントリの動作を制御する。記憶部11は、ROMやRAMなどのメモリから構成される。この記憶部11には、制御部10に所定の制御を行わせるためのソフトウェア(コンピュータプログラム)11aが格納されている。LF送信部12は、電子キー2の所在位置を確認するためのLF信号を、所定の周期で間欠的に送信する。UHF受信部13は、電子キー2から送信される後述の応答信号を受信する。リクエストスイッチ14は、電子キー2とともにパッシブエントリシステムを構成するもので、ドアのノブ付近に設けられており、ユーザの接近または接触を検出する。
【0029】
電子キー2は、制御部20、記憶部21、LF受信部22、UHF送信部23、近距離無線部24、操作部25、および表示部26を備えている。電子キー2には、これら以外のブロックも含まれているが、本発明に直接関係しないため、図示を省略してある。
【0030】
制御部20は、CPUを備えており、電子キー2の動作を制御する。記憶部21は、ROMやRAMなどのメモリから構成される。LF受信部22は、車両制御装置1のLF送信部12から送信された前述のLF信号を受信する。UHF送信部23は、後述する応答信号をUHF通信により車両制御装置1へ送信する。近距離無線部24は、ワイヤレスLANやBluetooth(登録商標)などの近距離無線用の通信回路から構成される。操作部25は、電子キー2の本体に設けられた複数の操作ボタンから構成される。表示部26は、電子キー2の本体に設けられた複数のLEDから構成される。
【0031】
スマートフォン3は、制御部30、記憶部31、操作部32、表示部33、近距離無線部34、通話部35、および通信部36を備えている。スマートフォン3には、これら以外にも各種のブロックが含まれているが、本発明に直接関係しないため、図示を省略してある。
【0032】
制御部30は、CPUを備えており、スマートフォン3の動作を制御する。記憶部31は、ROMやRAMなどのメモリから構成される。操作部32は、スマートフォン3の本体に設けられた操作ボタンや、表示部33に表示される操作ボタンから構成される。表示部33は、スマートフォン3の本体に設けられた液晶パネルとその駆動回路などから構成される。近距離無線部34は、電子キー2の近距離無線部24と同様の通信回路から構成される。通話部35は、スピーカ、マイクロフォン、および音声回路などから構成される。通信部36は、インターネット回線と接続されてサーバ4(図1)と通信を行う通信回路から構成される。
【0033】
次に、上記構成からなる車両制御システム100において、サーバ4から更新用ソフトウェアをダウンロードして、ECUのソフトウェアを更新する手順につき、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0034】
サーバ4は、ソフトウェアの更新作業が完了すると、インターネット回線を通して、ソフトウェアが更新されたことの通知を配信する(ステップS401)。ユーザのスマートフォン3は、この通知を受信すると(ステップS301)、表示部33に、図4Aに示すような更新通知画面33aを表示する(ステップS302)。この画面には、更新された新しいソフトウェアが提供されていることを知らせるメッセージ50aと、実行ボタン51と、中止ボタン52とが表示されている。実行ボタン51が押下されると、新しいソフトウェアのダウンロードが可能となり、中止ボタン52が押下されると、ダウンロードは中止される。
【0035】
更新通知画面33aにおいて、ユーザが実行ボタン51を押下した場合は(ステップS303;YES)、表示部33の画面は、図4Bに示すような案内画面33bに切り替わる(ステップS304)。また、ユーザが中止ボタン52を押下した場合は(ステップS303;NO)、表示部33の画面は、図4Eに示すような更新中止画面33eに切り替わる(ステップS322)。
【0036】
図4Bの案内画面33bには、電子キー2を持って乗車することや、電子キー2で所定の操作を行うことを知らせるメッセージ50bと、中止ボタン52とが表示されている。中止ボタン52が押下された場合は、図4Eの更新中止画面33eに切り替わる。
【0037】
スマートフォン3は、案内画面33bを表示した後、ソフトウェアの更新を通知する信号を、近距離無線部34から電子キー2へ送信する(ステップS305)。電子キー2は、この通知信号を近距離無線部24で受信すると(ステップS201)、当該通知信号をUHF送信部23から車両制御装置1へ送信する(ステップS202)。この通知信号は、車両制御装置1のUHF受信部13で受信される(ステップS101)。
【0038】
車両制御装置1は、電子キー2からソフトウェア更新の通知信号を受信すると、電子キー2の所在位置を確認するためのLF信号を、LF送信部12から所定の周期で間欠的に送信する(ステップS102)。このLF信号は、電子キー2のLF受信部22で、所定の周期で間欠的に受信される(ステップS203)。
【0039】
電子キー2は、LF受信部22でLF信号が受信されると、制御部20においてLF信号の強度を測定し(ステップS204)、その測定値を含む応答信号をUHF送信部23から送信する(ステップS205)。この応答信号は、車両制御装置1のUHF受信部13で受信される(ステップS103)。
【0040】
車両制御装置1は、UHF受信部13で応答信号が受信されると、制御部10において、応答信号に含まれている信号強度の値に基づき、車両から電子キー2までの距離を演算し、その演算結果から電子キー2の所在位置を判定する(ステップS104)。電子キー2が車両から離れると信号強度は小さくなり、電子キー2が車両に近づくと信号強度は大きくなるので、当該信号強度の値を所定の閾値と比較することで、電子キー2が車内にあるか車外にあるかを判別することができる(ステップS105)。
【0041】
車両制御装置1は、ステップS105で電子キー2が車内にあると判定した場合、すなわちユーザが乗車したと判定した場合に、ソフトウェアを更新する意思の有無をユーザに確認するための意思確認用信号を、LF送信部12から電子キー2へ送信する(ステップS106)。送信された意思確認用信号は、電子キー2のLF受信部22で受信される(ステップS206)。
【0042】
LF受信部22が意思確認用信号を受信すると、電子キー2は、表示部26のLEDを点滅させて(ステップS207)、図4Bの案内画面33bで案内した所定の操作、すなわちロックボタンの押下をユーザに促す。このロックボタンは、電子キー2の操作部25に設けられている。そして、ユーザがロックボタンを押下すると(ステップS208;YES)、電子キー2の近距離無線部24から、更新用ソフトウェアのダウンロードを要求する信号が、スマートフォン3の近距離無線部34へ送信される(ステップS209)。
【0043】
スマートフォン3は、電子キー2からのダウンロード要求信号を近距離無線部34で受信した後(ステップS306)、当該要求信号を通信部36からインターネット回線を通して、サーバー4へ送信する(ステップS307)。そして、その後、表示部33に、図4Cに示すような処理中画面33cを表示する(ステップS308)。この画面には、処理中であることを通知するメッセージ50cが表示されている。
【0044】
スマートフォン3から送信されたダウンロード要求信号がサーバー4で受信されると(ステップS402)、サーバー4は、インターネット回線を通して、更新用ソフトウェアのデータ(以下「更新データ」と表記)を、スマートフォン3へ送信する(ステップS403)。スマートフォン3は、通信部36でこの更新データを受信した後(ステップS309)、当該更新データを近距離無線部34から電子キー2へ送信する(ステップS310)。電子キー2は、この更新データを近距離無線部24で受信した後(ステップS210)、当該更新データをUHF送信部23から車両制御装置1へ送信する(ステップS211)。
【0045】
車両制御装置1では、電子キー2からの更新データが、UHF受信部13で受信され、ECUの記憶部11にダウンロードされる(ステップS107)。ダウンロードが終了すると、記憶部11のソフトウェア11aが、ダウンロードした新しいソフトウェアに更新される(ステップS108)。
【0046】
スマートフォン3は、ステップS310で更新データを送信した後、表示部33に、図4Dに示すような完了通知画面33dを表示する(ステップS311)。この画面には、ソフトウェアの更新が完了したことを知らせるメッセージ50dが表示されている。
【0047】
上述した第1実施形態によれば、車両制御装置1は、サーバー4からソフトウェア更新の通知がされると、電子キー2と通信を行って、電子キー2の所在位置を判定する。そして、電子キー2の所在位置が車両Vの車内であると判定した場合に、車両制御装置1は、携帯機3を経由してサーバー4へ、更新用ソフトウェアのダウンロードを要求し、サーバー4から送信された更新用ソフトウェアにより、記憶部11のソフトウェア11aを更新する。したがって、電子キー2が車内にある場合、つまりユーザが車両Vに乗車している場合に限り、更新用ソフトウェアが車両側へダウンロードされるので、車外にいる悪意の第三者によって、ユーザの意図しないソフトウェア更新が行われるのを未然に防止することができ、安全性が向上する。
【0048】
また、第1実施形態では、車両制御装置1は、電子キー2の所在位置が車内であると判定した後、ソフトウェア更新をするか否かのユーザの意思を確認するための意思確認用信号を、電子キー2へ送信する。そして、電子キー2において、LEDの点滅によりユーザに所定の操作(ロックボタンの押下)を促し、当該操作がされた場合に、サーバー4へのダウンロード要求が行われる。このため、ユーザの更新意思を確認した上で、更新用ソフトウェアがダウンロードされるので、安全性がより一層向上する。
【0049】
さらに、車両制御装置1とスマートフォン3との間に電子キー2が介在するので、電子キー2がゲートウェイの役割を果たすこととなる。このため、たとえば、スマートフォン3がインターネットに接続されていても、車両制御装置1とスマートフォン3との間で直接通信を行う場合に比べて、車両側のセキュリティ性を高めることができる。
【0050】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態による車両制御システムの構成は、図1および図2に示した構成と同じである。
【0051】
図5は、第2実施形態の車両制御システムにおけるソフトウェア更新手順を示している。図5において、図3と同じ処理を行うステップには、同じ符号を付してある。第1実施形態では、図3のステップS106、S206〜S208において、車両制御装置1から電子キー2へ意思確認用信号を送り、電子キー2にてユーザの意思確認を行ったが、第2実施形態では、これらのステップが省略されている。
【0052】
このため、図5においては、車両制御装置1は、ステップS105で電子キー2が車内にあると判定した場合、ダウンロード要求信号を電子キー2へ送信する(ステップS116)。また、電子キー2は、この要求信号を受信すると(ステップS216)、ユーザの操作を待つことなく、スマートフォン3へダウンロード要求信号を送信する(ステップS209)。図5のその他のステップについては、図3と同じであるので、重複説明は省略する。
【0053】
上述した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、電子キー2が車内にある場合に限り、更新用ソフトウェアがダウンロードされるので、安全性が向上する。また、電子キー2におけるユーザの操作が不要となり、利便性も向上する。さらに、第1実施形態と同様に、電子キー2がゲートウェイの役割を果たすので、車両側のセキュリティ性を高めることができる。
【0054】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態による車両制御システムの構成は、図1および図2に示した構成と同じである。
【0055】
図6は、第3実施形態の車両制御システムにおけるソフトウェア更新手順を示している。図6において、図3と同じ処理を行うステップには、同じ符号を付してある。第1実施形態では、図3のステップS103〜S105、S205において、電子キー2で測定した信号強度を含む応答信号を車両制御装置1へ送り、車両制御装置1で電子キー2の所在位置を判定したが、第3実施形態では、これらのステップが省略され、電子キー2の所在位置を電子キー2自らが判定する。また、第1実施形態では、図3のステップS106、S206において、意思確認用信号の送受信を行ったが、第3実施形態では、これらのステップも省略されている。
【0056】
このため、図6においては、電子キー2は、ステップS204で信号強度を測定した後、自らの所在位置を判定し(ステップS204a)、所在位置が車内か車外かを判別する(ステップS204b)。そして、所在位置が車内であれば、ステップS207〜S208のユーザ意思確認の手順に進む。図6のその他のステップについては、図3と同じであるので、重複説明は省略する。
【0057】
上述した第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、電子キー2が車内にある場合に限り、更新用ソフトウェアがダウンロードされるので、安全性が向上する。また、車両制御装置1と電子キー2との間で、応答信号や意思確認用信号の送受信が不要となるため、通信手順を簡略化できる利点がある。さらに、第1実施形態と同様に、電子キー2がゲートウェイの役割を果たすので、車両側のセキュリティ性を高めることができる。
【0058】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態による車両制御システムの構成は、図1および図2に示した構成と同じである。
【0059】
図7は、第4実施形態の車両制御システムにおけるソフトウェア更新手順を示している。図7において、図6と同じ処理を行うステップには、同じ符号を付してある。第3実施形態では、図6のステップS207〜S208において、ユーザの意思確認を行ったが、第4実施形態では、これらのステップが省略されている。
【0060】
このため、図7においては、電子キー2は、ステップS204bで電子キー2が車内にあると判定した場合、ユーザの操作を待つことなく、スマートフォン3へダウンロード要求信号を送信する(ステップS209)。図7のその他のステップについては、図6と同じであるので、重複説明は省略する。
【0061】
上述した第4実施形態によれば、第1実施形態と同様に、電子キー2が車内にある場合に限り、更新用ソフトウェアがダウンロードされるので、安全性が向上する。また、車両制御装置1と電子キー2との間で、応答信号や意思確認用信号の送受信が不要となるため、通信手順を簡略化できるとともに、電子キー2におけるユーザの操作が不要となり、利便性も向上する。また、第1実施形態と同様に、電子キー2がゲートウェイの役割を果たすので、車両側のセキュリティ性を高めることができる。
【0062】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図8および図9は、第5実施形態による車両制御システムの構成を示している。各図において、図1および図2と同一部分には、同一符号を付してある。
【0063】
図8に示すように、第5実施形態の車両制御システム200は、車両Vに搭載された車両制御装置1と、この車両制御装置1と無線通信を行う電子キー2とから構成される。第5実施形態では、第1〜第4実施形態のスマートフォン3は用いない。電子キー2は、ユーザAが所持している。ユーザAは、この電子キー2を用いて、ソフトウェア更新を行う。車両制御装置1は、インターネットなどのネットワークを通して、センターに設けられているサーバー4と通信を行う。サーバー4には、車両制御装置1の更新用ソフトウェアが格納されている。
【0064】
図8の車両制御システム200においても、電子キー2の所在位置に応じて、サーバー4からの更新用ソフトウェアのダウンロードが許可または禁止される。その詳細については後述するが、概要を述べると以下の通りである。図8(a)のように、ユーザAが車両Vに乗車している場合、つまり電子キー2が車内にある場合は、サーバー4から車両制御装置1へ更新用ソフトウェアをダウンロードすることができる。一方、図8(b)のように、ユーザAが車両Vから降車している場合、つまり電子キー2が車外にある場合は、サーバー4から車両制御装置1への更新用ソフトウェアのダウンロードが禁止される。
【0065】
このように、スマートフォンを経由せずに、サーバー4から車両制御装置1へ更新用ソフトウェアを直接ダウンロードする、第5実施形態の車両制御システム200は、更新ソフトウェアのデータ量が多い場合に適している。後述する第6および第7実施形態についても同様である。
【0066】
図9は、車両制御装置1および電子キー2の具体的構成を示している。図9において、図2と相違する点は、車両制御装置1に通信部15が追加されていることである。通信部15は、インターネット回線などを通して、サーバー4との間で通信を行う。その他の構成については、図2の車両制御装置1および電子キー2と同じであるので、重複説明を省略する。
【0067】
次に、第5実施形態におけるソフトウェア更新の手順を、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0068】
サーバ4は、ソフトウェアの更新作業が完了すると、インターネット回線を通して、ソフトウェアが更新されたことの通知を配信する(ステップS421)。車両制御装置1は、通信部15でこの通知を受信すると(ステップS121)、車両に備わるカーナビゲーション装置(図示省略)の画面に、図11Aに示すような更新通知画面18aを表示する(ステップS122)。この画面には、更新された新しいソフトウェアが提供されていることを知らせるメッセージ60aと、実行ボタン61と、中止ボタン62とが表示されている。実行ボタン61が押下されると、新しいソフトウェアのダウンロードが可能となり、中止ボタン62が押下されると、ダウンロードは中止される。
【0069】
更新通知画面18aにおいて、ユーザが実行ボタン61を押下した場合は(ステップS123;YES)、画面は、図11Bに示すような案内画面18bに切り替わる(ステップS124)。また、ユーザが中止ボタン62を押下した場合は(ステップS123;NO)、画面は、図11Eに示すような更新中止画面18eに切り替わる(ステップS136)。
【0070】
図11Bの案内画面18bには、電子キー2で所定の操作を行うことを知らせるメッセージ60bと、中止ボタン62とが表示されている。中止ボタン62が押下された場合は、図11Eの更新中止画面18eに切り替わる。
【0071】
車両制御装置1は、案内画面18bを表示した後、電子キー2の所在位置を確認するためのLF信号を、LF送信部12から所定の周期で間欠的に送信する(ステップS125)。以降のステップS126〜S129、およびステップS221〜S226については、図3のステップS103〜S106、およびステップS203〜S208と同じであるので、簡単に説明するにとどめる。
【0072】
電子キー2は、車両制御装置1からLF信号を受信すると(ステップS221)、当該信号の強度を測定し(ステップS222)、その測定値を含む応答信号を車両制御装置1へ送信する(ステップS223)。車両制御装置1は、応答信号を受信すると(ステップS126)、電子キー2の所在位置を判定し(ステップS127)、電子キー2が車内と車外のいずれにあるかを判別する(ステップS128)。そして、電子キー2が車内にある場合は、意思確認用信号を電子キー2へ送信する(ステップS129)。電子キー2は、この信号を受信すると(ステップS224)、LEDを点滅させて(ステップS225)、ユーザによるロックボタンの押下を待つ(ステップS226)。
【0073】
ユーザがロックボタンを押下すると(ステップS226;YES)、電子キー2は、更新が承認されたことを通知する通知信号を、UHF送信部23から車両制御装置1へ送信する(ステップS227)。車両制御装置1は、この通知信号をUHF受信部13で受信すると(ステップS130)、更新用ソフトウェアのダウンロードを要求する信号を、通信部15を介してサーバー4へ送信する(ステップS131)。その後、車両のカーナビゲーション装置の画面には、図11Cに示すような処理中画面18cが表示される(ステップS132)。この画面には、処理中であることを通知するメッセージ60cが表示されている。
【0074】
サーバー4は、車両制御装置1からダウンロード要求信号を受信すると(ステップS422)、インターネット回線を通して、更新用ソフトウェアのデータ(更新データ)を、車両制御装置1送信する(ステップS423)。この更新データは、車両制御装置1の通信部15で受信され、ECUの記憶部11にダウンロードされる(ステップS133)。ダウンロードが終了すると、記憶部11のソフトウェア11aが、ダウンロードした新しいソフトウェアに更新される(ステップS134)。そして、車両のカーナビゲーション装置の画面には、図11Dに示すような完了通知画面18dが表示される(ステップS135)。この画面には、ソフトウェアの更新が完了したことを知らせるメッセージ60dが表示されている。
【0075】
上述した第5実施形態によれば、第1実施形態と同様に、電子キー2が車内にある場合に限り、更新用ソフトウェアがダウンロードされるので、安全性が向上する。また、第1実施形態と同様に、ユーザの更新意思を確認した上で、更新用ソフトウェアがダウンロードされるので、安全性がより一層向上する。さらに、スマートフォンなどの携帯機を用いないので、システム構成が簡単になる。
【0076】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態による車両制御システムの構成は、図8および図9に示した構成と同じである。
【0077】
図12は、第6実施形態の車両制御システムにおけるソフトウェア更新手順を示している。図12において、図10と同じ処理を行うステップには、同じ符号を付してある。第5実施形態では、図10のステップS128で電子キー2が車内にあると判定された場合、ステップS129、S224〜S227において、車両制御装置1から電子キー2へ意思確認用信号を送り、電子キー2にてユーザの意思確認を行ったが、第6実施形態では、これらのステップが省略されている。
【0078】
このため、図12においては、車両制御装置1は、ステップS128で電子キー2が車内にあると判定した場合、ダウンロード要求信号をサーバー4へ送信する(ステップS131)。以降のステップS132〜S135、およびステップS422〜S423については、図10のステップS132〜S135、およびステップS422〜S423と同じであるので、重複説明を省略する。
【0079】
上述した第6実施形態によれば、第5実施形態と同様に、電子キー2が車内にある場合に限り、更新用ソフトウェアがダウンロードされるので、安全性が向上する。また、電子キー2におけるユーザの操作が不要となり、利便性も向上する。さらに、スマートフォンなどの携帯機を用いないので、システム構成が簡単になる。
【0080】
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態について説明する。第7実施形態による車両制御システムの構成は、図8および図9に示した構成と同じである。
【0081】
図13は、第7実施形態の車両制御システムにおけるソフトウェア更新手順を示している。図13において、図10と同じ処理を行うステップには、同じ符号を付してある。第5実施形態では、図10のステップS223、S126〜128Sにおいて、電子キー2で測定した信号強度を含む応答信号を車両制御装置1へ送り、車両制御装置1で電子キー2の所在位置を判定したが、第7実施形態では、これらのステップが省略され、電子キー2の所在位置を電子キー2自らが判定する。また、第5実施形態では、図10のステップS129、S224において、意思確認用信号の送受信を行ったが、第7実施形態では、これらのステップも省略されている。
【0082】
このため、図13においては、電子キー2は、ステップS222で信号強度を測定した後、自らの所在位置を判定し(ステップS230)、所在位置が車内か車外かを判別する(ステップS231)。そして、所在位置が車内であれば(ステップS231;YES)、電子キー2は、所在位置が車内であることを示す通知信号を、車両制御装置1へ送信する(ステップS232)。車両制御装置1は、この通知信号を受信すると(ステップS125a)、ダウンロード要求信号をサーバー4へ送信する(ステップS131)。以降のステップS132〜S135、およびステップS422〜S423については、図10のステップS132〜S135、およびステップS422〜S423と同じであるので、重複説明を省略する。
【0083】
上述した第7実施形態によれば、第5実施形態と同様に、電子キー2が車内にある場合に限り、更新用ソフトウェアがダウンロードされるので、安全性が向上する。また、車両制御装置1と電子キー2との間で、応答信号や意思確認用信号の送受信が不要となるため、通信手順を簡略化できるとともに、電子キー2におけるユーザの操作が不要となり、利便性も向上する。さらに、スマートフォンなどの携帯機を用いないので、システム構成が簡単になる。
【0084】
<その他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態以外にも、以下のような種々の実施形態を採用することができる。
【0085】
図3図5図6、および図7において、車両制御装置1は、サーバー4からのソフトウェア更新通知を、スマートフォン3と電子キー2を経由して受信したが、電子キー2を介さずにスマートフォン3から直接、ソフトウェア更新通知を受信してもよい。
【0086】
図3図6、および図10においては、ユーザの更新意思を確認するために、電子キー2でLEDを点滅させてユーザの操作を促す例を挙げたが(ステップS207、S225)、本発明はこれに限定されない。たとえば、LEDを点滅させることに代えて、LEDの発光色を異ならせることで、ユーザの操作を促してもよい。また、LEDの点滅や発光を省略してもよい。
【0087】
図13においては、電子キー2の所在位置が車内と判定された場合に、そのことを通知する信号を車両制御装置1へ送信し(ステップS232)、車両制御装置1からサーバー4へダウンロード要求信号を送信したが(ステップS131)、本発明はこれに限定されない。たとえば、電子キー2に、サーバー4と通信を行う通信回路を設け、電子キー2の所在位置が車内と判定された場合に、電子キー2からサーバー4へダウンロード要求信号を送信してもよい。また、図13のステップS232を、図10のステップS225〜S227に置き換えて、ユーザの更新意思を確認するようにしてもよい。
【0088】
上記の実施形態においては、車両用のソフトウェアとして、ECUのソフトウェア(コンピュータプログラム)を例に挙げたが、本発明は、ECU以外の装置に組み込まれているソフトウェアを更新する場合にも適用することができる。また、サーバー4からダウンロードするソフトウェアは、コンピュータプログラムに限らず、たとえば、カーナビゲーション装置の地図データなどであってもよい。
【0089】
上記の実施形態においては、携帯機としてスマートフォン3を例に挙げたが、スマートフォンに代えて、他の携帯電話機や携帯型タブレットなどを携帯機として用いてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 車両制御装置
2 電子キー
3 スマートフォン(携帯機)
4 サーバー
11 記憶部
11a ソフトウェア
15 通信部
100、200 車両制御システム
A ユーザ
V 車両
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12
図13