特許第6532145号(P6532145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6532145ファイル共有システム及びファイル共有プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6532145
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】ファイル共有システム及びファイル共有プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20190610BHJP
【FI】
   G06F13/00 520A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-7398(P2019-7398)
(22)【出願日】2019年1月19日
【審査請求日】2019年1月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510197173
【氏名又は名称】株式会社ナレッジフロー
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】林 良生
【審査官】 北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−084197(JP,A)
【文献】 特開2015−185032(JP,A)
【文献】 特開2003−228500(JP,A)
【文献】 特開2001−076070(JP,A)
【文献】 特開2001−167170(JP,A)
【文献】 特開2016−177463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業者の保持するファイルを顧客に共有させるために、事業者がファイルをサーバにアップロードし、顧客がサーバからダウンロード又はサーバ上のファイルを閲覧するファイル共有システムであって、
顧客のID、名称のいずれかもしくは両方を含む顧客に関する情報を保持する顧客情報保持部と、
前記ファイルのパス名もしくは本文から、顧客のID、名称のいずれかもしくは両方を抽出する顧客識別子抽出部と、
前記サーバに設けられ又は事業者端末上で動作して前記ファイルが共有要件を充足するか否かを1つもしくは複数の観点でチェックするファイルチェック部と、
前記ファイルチェックの結果を表示するファイルチェック結果表示部と、
前記事業者からのアップロードを実行するファイル受信部と、
前記ファイルを顧客にダウンロード又は閲覧させるファイル開示部と、
前記ファイルを顧客がダウンロード又は閲覧しようとする際に顧客が本人であることを確認する顧客認証部と、
を備え、
前記ファイルチェック結果表示部は、前記顧客識別子抽出部が抽出したID、名称をもつ顧客の一人と前記事業者の指定する顧客とが、住所、電話番号、保険証記号・番号から計算される扶養者を特定する記号のいずれかもしくは複数が同一であるか否かをファイルチェックの結果の1つとして表示することを特徴とするファイル共有システム。
【請求項2】
前記ファイルチェック結果表示部は、前記ファイルの作成時刻もしくは更新時刻が、現在時刻から所定の時間内にあるかどうかをファイルチェックの結果の1つとして表示することを特徴とする、請求項に記載のファイル共有システム。
【請求項3】
アップロードの実行後に、事業者端末からアップロードされたファイルを削除するファイル削除部を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のファイル共有システム。
【請求項4】
事業者の保持するファイルを顧客に共有させるために、事業者がファイルをサーバにアップロードし、顧客がサーバからダウンロード又はサーバ上のファイルを閲覧するファイル共有プログラムであって、
顧客のID、名称のいずれかもしくは両方を含む顧客に関する情報を保持する顧客情報保持処理と、
前記ファイルのパス名もしくは本文から、顧客のID、名称のいずれかもしくは両方を抽出する顧客識別子抽出処理と、
前記サーバに設けられ又は事業者端末上で動作して前記ファイルが共有要件を充足するか否かを1つもしくは複数の観点でチェックするファイルチェック処理と、
前記ファイルチェックの結果を表示するファイルチェック結果表示処理と、
前記事業者からのアップロードを実行するファイル受信処理と、
前記ファイルを顧客にダウンロード又は閲覧させるファイル開示処理と、
前記ファイルを顧客がダウンロード又は閲覧しようとする際に顧客が本人であることを確認する顧客認証処理と、
を備え、
前記ファイルチェック結果表示処理は、前記顧客識別子抽出処理が抽出したID、名称をもつ顧客の一人と前記事業者の指定する顧客とが、住所、電話番号、保険証記号・番号から計算される扶養者を特定する記号のいずれかもしくは複数が同一であるか否かをファイルチェックの結果の1つとして表示することを特徴とするファイル共有プログラム。
【請求項5】
前記ファイルチェック結果表示処理は、前記ファイルの作成時刻もしくは更新時刻が、現在時刻から所定の時間内にあるかどうかをファイルチェックの結果の1つとして表示す
ることを特徴とする、請求項に記載のファイル共有プログラム。
【請求項6】
アップロードの実行後に、事業者端末からアップロードされたファイルを削除するファイル削除処理を備えることを特徴とする、請求項4又は5に記載のファイル共有プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業者の保持するファイルを顧客に共有させるために事業者がファイルをサーバにアップロードし顧客がサーバからダウンロード又はサーバ上のファイルを閲覧するファイル共有システム、及び事業者の保持するファイルを顧客に共有させるために事業者がファイルをサーバにアップロードし顧客がサーバからダウンロード又はサーバ上のファイルを閲覧するファイル共有プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
送信者が、受信者に向けてファイルを送信する際に、誤った受信者に送信してしまう、誤ったファイルを送信してしまうという事故が発生している。
【0003】
この点、特許文献1には、電子メールの送信者と受信者の人的関係を表示して確認を求めるシステムが開示されている。また、特許文献2には、電子メール本文と添付ファイルから宛名を抽出し、受信者との一致を確認するシステムが開示されている。
【0004】
特許文献1及び2に開示されたものは、いずれも電子メールの送信であるため、ファイルのサイズに制限があり、また、送信者のなりすましが可能であるためセキュリティの面で不安が残るという問題がある。
【0005】
特許文献3に開示されたサーバを介してのファイル転送であれば、かかる問題は解決する。しかし、特許文献3には誤送信防止のための処理が開示されていない。
【0006】
特許文献4には、サービス提供書面の内容から識別情報を抽出し、受信者との一致を確認して、サーバを介してのファイル転送を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015−005210号公報
【特許文献2】特開2018−055353号公報
【特許文献3】特開2006−113721号公報
【特許文献4】特開2015−130108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
確認の手法は、特許文献2,4に記載されたようにメールの添付ファイルやサービス提供書面から受信者の情報を抽出する方法もあるが、他にも有効な手法がある。
【0009】
本発明は、事業者の保持するファイルを顧客に共有させるために事業者がファイルをサーバにアップロードし顧客がサーバからダウンロード又はサーバ上のファイルを閲覧するファイル共有システムであって誤共有を防止できるもの、及び該ファイル共有システムを実現するファイル共有プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のファイル共有システムは、
事業者の保持するファイルを顧客に共有させるために、事業者がファイルをサーバにアップロードし、顧客がサーバからダウンロード又はサーバ上のファイルを閲覧するファイル共有システムであって、
顧客のID、名称のいずれかもしくは両方を含む顧客に関する情報を保持する顧客情報保持部と、
前記ファイルのファイル名、パス名もしくは本文から、顧客のID、名称のいずれかもしくは両方を抽出する顧客識別子抽出部と、
前記サーバに設けられ又は事業者端末上で動作して前記ファイルが共有要件を充足するか否かを1つもしくは複数の観点でチェックするファイルチェック部と、
前記ファイルチェックの結果を表示するファイルチェック結果表示部と、
前記事業者からのアップロードを実行するファイル受信部と、
前記ファイルを顧客にダウンロード又は閲覧させるファイル開示部と
前記ファイルを顧客がダウンロード又は閲覧しようとする際に顧客が本人であることを確認する顧客認証部と、
を備え、
前記ファイルチェック結果表示部は、前記顧客識別子抽出部が抽出したID、名称をもつ顧客の一人と前記事業者の指定する顧客とが同一であるか否かをファイルチェックの結果の1つとして表示する、
ことを特徴とする。
【0011】
この特徴によれば、ファイルのファイル名やパス名、本文に基づくチェックを行うことで、ファイルの誤共有を防止することができる。
【0012】
本発明のファイル共有システムは、
事業者の保持するファイルを顧客に共有させるために、事業者がファイルをサーバにアップロードし、顧客がサーバからダウンロード又はサーバ上のファイルを閲覧するファイル共有システムであって、
顧客のID、名称のいずれかもしくは両方を含む顧客に関する情報を保持する顧客情報保持部と、
前記ファイルのパス名もしくは本文から、顧客のID、名称のいずれかもしくは両方を抽出する顧客識別子抽出部と、
前記サーバに設けられ又は事業者端末上で動作して前記ファイルが共有要件を充足するか否かを1つもしくは複数の観点でチェックするファイルチェック部と、
前記ファイルチェックの結果を表示するファイルチェック結果表示部と、
前記事業者からのアップロードを実行するファイル受信部と、
前記ファイルを顧客にダウンロード又は閲覧させるファイル開示部と
前記ファイルを顧客がダウンロード又は閲覧しようとする際に顧客が本人であることを確認する顧客認証部と、
を備え、
前記ファイルチェック結果表示部は、前記顧客識別子抽出部が抽出したID、名称をもつ顧客の一人と前記事業者の指定する顧客とが、住所、電話番号、保険証記号・番号から計算される扶養者を特定する記号のいずれかもしくは複数が同一であるか否かをファイルチェックの結果の1つとして表示することを特徴とする。
【0013】
この特徴によれば、ファイルのファイル名、パス名、本文によって定まる顧客の一人が、事業者の指定する顧客(ファイルをダウンロードさせる顧客)と同一の家族と判定できる場合にも共有要件を充足するとすることができる。住所、電話番号、保険証記号・番号から計算される扶養者を特定する記号によって、同一家族の者と判定する。例えば、事業者が医療提供者である場合に、未成年の顧客(患者)に関するファイルをその保護者にダウンロードさせることができる。
【0014】
本発明のファイル共有システムは、
前記ファイルチェック結果表示部は、前記ファイルの作成時刻もしくは更新時刻が、現在時刻から所定の時間内にあるかどうかをファイルチェックの結果の1つとして表示することを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、アップロードの際にファイルの作成時刻や更新時刻を調べることで、意図していないファイルを共有することを防止することができる。
【0016】
本発明のファイル共有システムは、
アップロードの実行後に、事業者端末からアップロードされたファイルを削除するファイル削除部を備えることを特徴とする。
【0017】
この特徴によれば、一度共有したファイルは削除されるので、同じファイルを誤って他の顧客と共有してしまうことを防止することができる。
【0018】
本発明のファイル共有プログラムは、
事業者の保持するファイルを顧客に共有させるために、事業者がファイルをサーバにアップロードし、顧客がサーバからダウンロード又はサーバ上のファイルを閲覧するファイル共有プログラムであって、
顧客のID、名称のいずれかもしくは両方を含む顧客に関する情報を保持する顧客情報保持処理と、
前記ファイルのファイル名、パス名もしくは本文から、顧客のID、名称のいずれかもしくは両方を抽出する顧客識別子抽出処理と、
前記サーバに設けられ又は事業者端末上で動作して前記ファイルが共有要件を充足するか否かを1つもしくは複数の観点でチェックするファイルチェック処理と、
前記ファイルチェックの結果を表示するファイルチェック結果表示処理と、
前記事業者からのアップロードを実行するファイル受信処理と、
前記ファイルを顧客にダウンロード又は閲覧させるファイル開示処理と
前記ファイルを顧客がダウンロード又は閲覧しようとする際に顧客が本人であることを確認する顧客認証処理と、
を備え、
前記ファイルチェック結果表示処理は、前記顧客識別子抽出処理が抽出したID、名称をもつ顧客の一人と前記事業者の指定する顧客とが同一であるか否かをファイルチェックの結果の1つとして表示することを特徴とする。
【0019】
本発明のファイル共有プログラムは、
事業者の保持するファイルを顧客に共有させるために、事業者がファイルをサーバにアップロードし、顧客がサーバからダウンロード又はサーバ上のファイルを閲覧するファイル共有プログラムであって、
顧客のID、名称のいずれかもしくは両方を含む顧客に関する情報を保持する顧客情報保持処理と、
前記ファイルのパス名もしくは本文から、顧客のID、名称のいずれかもしくは両方を抽出する顧客識別子抽出処理と、
前記サーバに設けられ又は事業者端末上で動作して前記ファイルが共有要件を充足するか否かを1つもしくは複数の観点でチェックするファイルチェック処理と、
前記ファイルチェックの結果を表示するファイルチェック結果表示処理と、
前記事業者からのアップロードを実行するファイル受信処理と、
前記ファイルを顧客にダウンロード又は閲覧させるファイル開示処理と
前記ファイルを顧客がダウンロード又は閲覧しようとする際に顧客が本人であることを確認する顧客認証処理と、
を備え、
前記ファイルチェック結果表示処理は、前記顧客識別子抽出処理が抽出したID、名称をもつ顧客の一人と前記事業者の指定する顧客とが、住所、電話番号、保険証記号・番号から計算される扶養者を特定する記号のいずれかもしくは複数が同一であるか否かをファイルチェックの結果の1つとして表示することを特徴とする。
【0020】
本発明のファイル共有プログラムは、
前記ファイルチェック結果表示処理は、前記ファイルの作成時刻もしくは更新時刻が、現在時刻から所定の時間内にあるかどうかをファイルチェックの結果の1つとして表示することを特徴とする。
【0021】
本発明のファイル共有プログラムは、
アップロードの実行後に、事業者端末からアップロードされたファイルを削除するファイル削除処理を備えることを特徴とする。
【0022】
これらの特徴によれば、本発明のファイル共有プログラムを利用して本発明のファイル共有システムを実装することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、事業者の保持するファイルを顧客に共有させるために事業者がファイルをサーバにアップロードし顧客がサーバからダウンロード又はサーバ上のファイルを閲覧するファイル共有システムであって誤共有を防止できるもの、及び該ファイル共有システムを実現するファイル共有プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、ファイル共有システムの構成を示す図である。
図2図2は、顧客情報を示す図である。
図3図3は、ファイルチェック部の処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0026】
図1は、ファイル共有システムの構成を示す図である。ファイル共有システムは、ファイル共有サーバ1を事業者端末2とネットワーク(非図示)で接続して実現される。
【0027】
ファイル共有サーバ1は、顧客情報保持部11、顧客識別子抽出部12、ファイルチェック部13、ファイル受信部14及びファイル開示部16を備え、顧客情報保持部11に制御される顧客情報11aを保持している。また、ファイル受信部14の受信した共有対象ファイル15を保持している。
【0028】
顧客情報保持部11は、顧客情報11aを制御し、ファイルチェック部13及びファイル開示部16に提供する。他の機能によって顧客情報11aが利用されてしまうことのないよう、顧客情報11aを暗号化して保持し、顧客情報保持部11が解号することとしてもよい。なお、他の機能によって顧客情報11aが利用されることを容認し、暗号化しない場合には、顧客情報11a(データ)のみによって顧客情報保持部11を構成することもできる。
【0029】
図2は、顧客情報を示す図である。顧客情報11aは、顧客のID111a及び名称111b、顧客の住所112a、電話番号112b及び保険証記号・番号112c、並びに、ログインパスワード113を、各々の顧客について含んでいる。ここで、ID111a及び名称111bについてはいずれか一方のみであってもよい。住所112a、電話番号112b及び保険証記号・番号112cについてはいずれか1つ又は2つであっても、あるいは含まなくてもよい。
【0030】
ファイルチェック部13は、共有対象ファイル15のうちの1ファイルについて、それが特定の顧客への共有要件を充足するか否かを、ファイルと顧客との組み合わせについてチェックする。具体的なチェックの方法については、後述する。
【0031】
ファイル受信部14は、事業者端末2からファイルを受信し、共有対象ファイル15として保存する。すなわち、事業者端末2による共有対象ファイル15のアップロードを行う。
【0032】
共有対象ファイル15は、ファイル受信部14が事業者端末2から受信したファイルの集合体である。すなわち、図において共有対象ファイル15として示したものは、複数のファイルとなりえる。
【0033】
ファイル開示部16は、共有対象ファイル15のうちの1ファイルについて、顧客に開示する。
【0034】
顧客情報保持部11、顧客識別子抽出部12、ファイルチェック部13、ファイル受信部14及びファイル開示部16は、コンピュータプログラムとして実装することができる。
【0035】
事業者端末2は、顧客情報保持部21、顧客識別子抽出部22、ファイルチェック部23、ファイルチェック結果表示部24、ファイル送信部25及びファイル削除部27を備え、顧客情報保持部21に制御される顧客情報21aを保持している。また、ファイル送信部25によって送信される共有対象ファイル26を保持している。なお、ファイル削除を行わない場合は、ファイル削除部27を備えないという構成をとってもよい。
【0036】
顧客情報保持部21、顧客識別子抽出部22、ファイルチェック部23及び顧客情報21aは、ファイル共有サーバ1における顧客情報保持部11、顧客識別子抽出部12、ファイルチェック部13及び顧客情報11aと同様である。
【0037】
ファイル送信部25は、共有対象ファイル26のうちの1ファイルについて、ファイル共有サーバ1に送信する。
【0038】
共有対象ファイル26は、事業者の保持するファイルの集合体である。すなわち、図において共有対象ファイル26として示したものは、複数のファイルとなりえる。
【0039】
ファイル削除部27は、ファイル送信部25の送信したファイルを、共有対象ファイル26から削除する。
【0040】
ここで、ファイル共有サーバ1は、複数の事業者の事業者端末2が接続されていると考えられる。すなわち、顧客情報21aは、顧客情報11aと同様の情報であるが、当該事業者の顧客に限定される。
【0041】
顧客情報保持部21、顧客識別子抽出部22、ファイルチェック部23及びファイル送信部25については、必ずしも事業者端末2に備える必要はなく、ファイル共有サーバ1における顧客情報保持部11、顧客識別子抽出部12、ファイルチェック部13、ファイル受信部14及びファイル削除手段(非図示)がネットワークを介して(例えばJavaScript(登録商標)を用いて)処理してもよい。また、顧客情報21aは、ファイル共有サーバ1における顧客情報11aを用いてもよい。
【0042】
すなわち、ファイルを保持している端末は、いかなる端末であっても事業者端末2となり得る。各々のファイルが共有対象ファイル26であるか否かは、事業者の判断する事項であり、本発明の技術的範囲を制約するものではない。したがって、ファイル共有サーバ1のみで構成され、事業者端末2を含まない(任意の端末を事業者端末2として処理できる)ファイル共有システムも、本発明のファイル共有システムとなり得る。
【0043】
以下、ファイル共有システムによる処理について説明する。なお、上述のとおり、事業者端末2に備えられた顧客情報保持部21、顧客識別子抽出部22、ファイルチェック部23は、ファイル共有サーバ1に備えられた顧客情報保持部11、顧客識別子抽出部12、ファイルチェック部13と、同等の処理である。本質的な相違はないので、事業者端末2に備えられたものとして説明する。ファイル共有サーバ1に備える場合も同様である。
【0044】
事業者は、業務で利用しているアプリケーション(例えば、患者カルテアプリケーション)から、印刷機能等によってPDFファイルや画像ファイル等を作成する。顧客ごとに特定のフォルダを作成し、顧客に関するファイルはそのフォルダの中に作成することとする。
【0045】
事業者は、作成したファイル(共有対象ファイル26のうちの1つ)と、1の顧客を指定して、ファイルの共有(ファイル共有サーバ1へのアップロード)を要請する。
【0046】
ファイルチェック部23は、その要請に対応してもよいか(指定されたファイルをアップロードさせ、共有させてもよいか)を検証する。検証は、指定されたファイルと顧客の組合せについて行われる。
【0047】
図3は、ファイルチェック部の処理を示す図である。最初に、事業者の指定した共有対象ファイル26を取得する(ステップ2211)。次に、顧客識別子抽出部22が、共有対象ファイル26のファイル名やパス名から顧客のID、名称又はその両方を抽出する(ステップ2212a)。顧客に関するファイルが顧客ごとに定められたフォルダに存在しかつそのフォルダのフォルダ名にIDや名称が付けられているというルールが定められている場合、IDや名称はパス名に含まれるフォルダ名から抽出することができる。もしくは、ファイル名にIDや名称が含まれているというルールが定められている場合、IDや名称はファイル名から抽出することができる。識別子を抽出するための動作は、ファイルの種別ごとに異なっていてもよい。例えば、ファイルの種別ごとにファイルが置かれるフォルダが異なるというルールが定められている場合、顧客識別子抽出部は、ファイルの種別によって適切なフォルダを選び、そのフォルダのパス名からIDや名称を抽出するという動作をとることができる。
【0048】
ファイルのファイル名やパス名に替えて、ファイル中のテキストからID、名称又はその両方を抽出する(ステップ2212b)こととしてもよい。ステップ2212a及び2212bは、いずれか一方で十分である。ただし、両方を行うこととしてもよい。両方を行うことで、ファイル名とファイルテキストの内容が矛盾していた場合にファイルチェックを充足しないとできるので、例えば、事業者がファイル名を付け間違えるというミスを防止することができる。また、ファイルの種別によってはステップ2212bを行わないとしてもよい。例えば、ファイルがPDFファイルの場合には2212bを行うが、ファイルが画像ファイルの場合は2212bを行わないとしてもよい。
【0049】
抽出されたID/名称を、ID/名称(A)とする。
【0050】
ファイルチェック部23は、事業者の指定した顧客のID/名称を抽出する(ステップ2213)。事業者は顧客情報21aに含まれる顧客の1を指定すると考えられ、容易に顧客情報21aからID/名称を抽出することができる。抽出されたID/名称を、ID/名称(B)とする。
【0051】
ファイルチェック部23は、ID/名称(A)とID/名称(B)とが一致するか否かを検証する(ステップ2214)。ID及び名称の両方の一致を共有要件を充足する条件としてもよく、一方のみの一致を条件としてもよい。
【0052】
ファイルチェック部23は、ID/名称(A)とID/名称(B)とが一致する場合には、共有要件を充足するものとする。
【0053】
ID/名称(A)とID/名称(B)とが一致しない場合、ファイルチェック部23は、追加チェック222を実行する。ただし、追加チェック222を実行せずに共有要件を充足しないものとしてもよい。また、ID/名称(A)とID/名称(B)との一致を検証せずに追加チェックのみで判断してもよい。以下、追加チェック222について説明する。
【0054】
ファイルチェック部23は、ID/名称(A)の顧客の住所、電話番号及び保険証記号・番号を抽出する(ステップ2221)。抽出は、いずれの顧客であるかが判っているので、顧客情報21aの住所112a、電話番号112b及び保険証記号・番号112cを使用することができる。抽出された住所/電話番号/保険証記号・番号を、住所/電話番号/保険証記号・番号(C)とする。
【0055】
ファイルチェック部23は、ID/名称(B)の顧客の住所、電話番号及び保険証記号・番号を同様に抽出する(ステップ2222)。抽出された住所/電話番号/保険証記号・番号を、住所/電話番号/保険証記号・番号(D)とする。
【0056】
ファイルチェック部23は、住所/電話番号/保険証記号・番号から計算される扶養者を特定する記号(C)(通常は保険証記号・番号そのものが扶養者を特定する記号になるが、今後の法改正によって個人識別番号が追加される可能性があり、「保険証記号・番号から計算される扶養者を特定する記号」とした)と住所/電話番号/保険証記号・番号から計算される扶養者を特定する記号(D)とが一致するか否かを検証する(ステップ2223)。住所、電話番号及び扶養者を特定する記号の全ての一致を共有要件を充足する条件としてもよく、一部のみの一致を条件としてもよい。
【0057】
住所、電話番号及び扶養者を特定する記号のいずれが一致することを共有要件を充足する条件とするかは、設計事項として定めてよい。住所、電話番号及び扶養者を特定する記号のいずれが一致し、他が一致しない場合も考えられるためである。
【0058】
例えば、同じ住所に居住する同一家族の顧客について、電話番号として各々の顧客の所有する携帯電話の番号とされていることが考えられる。また、同一家族の顧客が別々の会社に勤務して扶養者を特定する記号が相違することが考えられる。これらの場合、住所が一致する場合には電話番号、扶養者を特定する記号が一致しなくとも同一家族と判断して共有要件を充足するとしてもよい。
【0059】
また、住所、電話番号が一致せずとも、扶養者を特定する記号が同一の場合も考えられる。例えば、未成年の学生が保護者と異なる住所に下宿している場合である。この場合、扶養者を特定する記号が一致する場合には住所、電話番号が一致しなくとも同一家族と判断して共有要件を充足するとしてもよい。
【0060】
ファイルチェック部23は、上記のチェックに加え、ファイル作成時刻や更新時刻に基づくチェックを行ってもよい。顧客と共有するためにファイルを作成した場合、ファイルの作成時刻や更新時刻(更新がされない場合の作成時刻、更新がされた場合には最終の更新時刻)は 、現在時刻から所定の時間以内のはずである。作成時刻、更新時刻のチェックを行うことで、誤ったファイルをアップロードすることを防止することができる。すなわち、ファイルチェック部23は、ファイルの作成時刻や更新時刻が現在時刻から所定の時間以内でない場合には、共有要件を充足しないものとする。
【0061】
ここで、「所定の時間」は、設計事項として定めてよく、また複数の事業者に対応する場合には事業者毎に定めてよい。ファイルの作成や更新から共有までの妥当な時間であり、それ以上の時間の場合には誤って共有しようとしている可能性が高いと判断するものである。例えば、「10分間」とすることができる 。
【0062】
ファイルチェック部23は、ファイルチェックの結果をファイルチェック結果表示部24に表示する。共有要件は一部が充足され、一部が充足しないということもあり得る。共有要件が充足されない場合、ファイルチェック結果表示部24に充足されない理由やファイルから抽出された顧客の情報を表示することが望ましい。
【0063】
事業者はファイルチェックの結果を確認し、ファイルをアップロードするかどうかを判断する。
【0064】
ファイル送信部25は、ファイルチェックの結果に基づき事業者がアップロードすると判断した場合にのみ、共有対象ファイル26を、ファイル共有サーバ1に送信(アップロード)する。
【0065】
ファイル削除部27は、アップロードしたファイルを削除する。これにより、事業者がファイルを共有するときに、ファイルの選択を誤り、すでにアップロード済みのファイルをもう一度アップロードしてしまうというミスを防止することができる。
【0066】
ファイル受信部14は、ファイル送信部25の送信した共有対象ファイル26を受信し、共有対象ファイル15として保存する。その際、事業者の指定した顧客を、ファイルと関連付けて記録する。
【0067】
顧客は、顧客端末3からファイル共有サーバ1(ファイル開示部16)にアクセスして、共有対象ファイル15を、閲覧又はダウンロードすることができる。その際、ファイル開示部16は、ログインパスワード113の入力を求めて対象の顧客であることを確認する顧客認証部を備える。
【0068】
以上詳細に説明したように、本実施例のファイル共有システムは、ファイルチェック部13(23)によって、ファイルと顧客の組合せについて共有要件を充足するか否かを判断し、共有要件を充足するかどうかを事業者に表示し、事業者が共有すると判断する場合にのみ共有対象ファイル26がファイル共有サーバ1にアップロードされる。事業者が共有すると判断しない場合は、顧客が閲覧できないだけでなくファイルのアップロードがなされないので、例えば医療事業者と患者間のファイルの共有といったセキュリティ要件が高い場面でも使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
誤共有を防止できるファイル共有システム、及び該ファイル共有システムを実現するファイル共有プログラムである。機密が管理され、運用が容易なので、多くの事業者、特に医療事業者による利用が考えられる。
【符号の説明】
【0070】
1 ファイル共有サーバ
11 顧客情報保持部
11a 顧客情報
12 顧客識別子抽出部
13 ファイルチェック部
14 ファイル受信部
15 共有対象ファイル
16 ファイル開示部
2 事業者端末
21 顧客情報保持部
21a 顧客情報
22 顧客識別子抽出部
23 ファイルチェック部
24 ファイルチェック結果表示部
25 ファイル送信部
26 共有対象ファイル
27 ファイル削除部
3 顧客端末
【要約】
【課題】事業者の保持するファイルを顧客に共有させるために事業者がファイルをサーバにアップロードし顧客がサーバからダウンロード又はサーバ上のファイルを閲覧するファイル共有システムであって誤共有を防止できるもの、及び該ファイル共有システムを実現するファイル共有プログラムを提供すること。
【解決手段】
顧客情報保持部11と、ファイルが共有要件を充足するか否かをチェックするファイルチェック部13と、事業者からのアップロードを実行するファイル受信部14と、ファイルを顧客にダウンロード又は閲覧させるファイル開示部16とを備え、ファイル受信部14はファイルチェック部13において共有要件を充足すると判断された場合にアップロードを実行するファイル共有システムを提供する。また、該情報共有システムを実現する情報共有プログラムを提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3