特許第6532160号(P6532160)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6532160
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】電気端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/15 20060101AFI20190610BHJP
   H01R 13/03 20060101ALI20190610BHJP
   H01R 4/62 20060101ALI20190610BHJP
   G01K 7/02 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
   H01R13/15 A
   H01R13/03 A
   H01R4/62 A
   G01K7/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-154091(P2015-154091)
(22)【出願日】2015年8月4日
(65)【公開番号】特開2017-33828(P2017-33828A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】寺島 桂太
(72)【発明者】
【氏名】原澤 正明
【審査官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/161551(WO,A1)
【文献】 特開2007−149476(JP,A)
【文献】 特開昭53−037085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/15
G01K 7/02
H01R 4/62
H01R 13/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電対と該熱電対に生じる熱起電力を測定する測定器との間を繋ぐ電気端子であって、
熱電対に使用された第1種類の金属と同一種類の、棒状あるいは板状に直線的に延びた金属からなる第1コンタクトと、
前記第1コンタクトが延びた前後方向に関し自由端が固定端から最遠方に位置する片持ち梁形状に形成され、前記第1コンタクトに沿うとともに該自由端が該第1コンタクトに近づく向きに延び、該第1コンタクトとの間に、相手電気端子の、該第1コンタクトと同一種類の金属からなる第2コンタクトを挟んで該第2コンタクトを該第1コンタクトに押し当てるばね部を有し、前記第1種類とは異なる第2種類の金属からなる、該第1コンタクトに固定された連結部材とを備えたことを特徴とする電気端子。
【請求項2】
前記連結部材が、前記第1コンタクトが載置される載置面と、前記第1コンタクトと同一種類の金属からなる電線を該第1コンタクトに押し当てた状態に圧着する圧着部とを有し、
該連結部材が、該載置面に載置された状態の該第1コンタクトに、該圧着部における圧着とは無関係に固定されたものであることを特徴とする請求項1に記載の電気端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気端子に関し、特に熱電対用として好適な電気端子に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電対は、例えばアルメルとクロメルなど2種類の金属線の一端どうしを接続し、他端間に生じる熱起電力を測定する構造を有する。この熱電対を構成する2種類の金属線の各他端と測定器との間に異種の金属が介在すると、測定誤差の原因となる。このため、例えばアルメル線には、他の金属、例えば銅などを介在させずに、アルメルの補償導線を接続して、測定器にまで導くことが好ましい。また、これと同様に、例えばクロメル線には、他の金属を介在させずにクロメルの補償導線を接続して、測定器にまで導くことが好ましい。
【0003】
アルメル、クロメル、あるいはコンスタンタンといった、熱電対に使われる金属には、延性や展性、ばね性に乏しく、それ自体では、電気端子の材料としては不向きなものがある。
【0004】
ここで、特許文献1,2には、熱電対を構成する金属線に同種の金属の補償導線を接続するコネクタが開示されている。
【0005】
このうち、特許文献1には、コイルばねによりばね付勢された電極ピンを有するピン側コネクタと、電極端面を有する端面側コネクタとからなる熱電対コネクタが開示されている。しかしながら、この特許文献1のコネクタの場合、ピン側コネクタと端面側コネクタとの接続を維持するために、別途、ロック機構を必要とし、構造が複雑である。
【0006】
また、特許文献2には、プラグ端子と、バイメタル構造の板ばね部材を有するソケット端子とからなる熱電対用コネクタが開示されている。しかしながら、この特許文献2のコネクタの場合、プラグ端子とソケット端子との間の接触圧が温度により変動するおそれがある。このため、この接触圧の変動が測定誤差につながるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−26399号公報
【特許文献2】実開平5−6720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、電気端子の材料として不向きな金属材料どうしを直接に接続する簡易な構造の電気端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の電気端子は、
熱電対と該熱電対に生じる熱起電力を測定する測定器との間を繋ぐ電気端子であって、
熱電対に使用された第1種類の金属と同一種類の、棒状あるいは板状に直線的に延びた金属からなる第1コンタクトと、
第1コンタクトが延びた前後方向に関し自由端が固定端から最遠方に位置する片持ち梁形状に形成され、第1コンタクトに沿うとともに自由端が第1コンタクトに近づく向きに延び、第1コンタクトとの間に、相手電気端子の、第1コンタクトと同一種類の金属からなる第2コンタクトを挟んで第2コンタクトを第1コンタクトに押し当てるばね部を有し、上記第1種類とは異なる第2種類の金属からなる、第1コンタクトに固定された連結部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の電気端子は、そのコンタクト(第1コンタクト)自体は、延性や展性、あるいはばね性などに問題がある第1種類の金属であっても構わない。本発明の電気端子は、その第1種類のコンタクトに、上記の連結部材を、例えば半田付け、溶接、かしめ等により固定する。この連結部材には、適度なばね性等を有する第2種類の金属が採用される。これにより、コンタクト(第1コンタクト)と、連結部材が備えるばね部との間に、相手電気端子のコンタクト(第2コンタクト)を挟むことができる。すなわち、電気端子の材料として不向きな第1コンタクトと第2コンタクトを、簡易な構造で直接に接続することができる。
【0011】
ここで、本発明の電気端子において、上記連結部材が、第1コンタクトが載置される載置面と、第1コンタクトと同一種類の金属からなる電線を第1コンタクトに押し当てた状態に圧着する圧着部とを有し、上記連結部材が、上記載置面に載置された状態の第1コンタクトに、その圧着部における圧着とは無関係に第1コンタクトに固定されたものであることが好ましい。
【0012】
この圧着部を備えていると、延性や展性に乏しい材料からなる電線であっても、圧着により確実に接続することができる。
【0013】
本発明の電気端子は、アルメルあるいはクロメル等、熱電対を構成する金属線どうしの接続に好適である。
【発明の効果】
【0015】
以上の本発明によれば、電気端子の材料として不向きな金属材料どうしを簡易な構造で直接接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態としての電気端子の平面図である。
図2】本発明の第1実施形態としての電気端子の右側面図である。
図3図1に示す矢印A−Aに沿う断面図である。
図4】第1実施形態の電気端子の斜視図である。
図5】補償導線の圧着後における、図1図4に示すコンタクトと同一のコンタクトを示す斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態の電気端子の斜視図である。
図7図6に示す第2実施形態の電気端子と組み合う相手電気端子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1および図2は、本発明の第1実施形態としての電気端子の、それぞれ平面図および右側面図である。
【0019】
また、図3は、図1に示す矢印A−Aに沿う断面図である。
【0020】
さらに、図4は、第1実施形態の電気端子の斜視図である。
【0021】
これら図1図4には、一例として、不図示の熱電対と測定器とを電気的に接続する電気端子10が示されている。
【0022】
これら図1図4には、電気端子10のほか、その電気端子10に圧着接続される補償導線50も示されている。ここでは、この補償導線50は、電気端子10に圧着される姿勢に置かれているが、図1図4には、圧着前の状態の電気端子10が示されている。
【0023】
ここでは、不図示の熱電対は、一例として、アルメルとクロメルからなる2種類の金属線が使われている熱電対である。この熱電対を構成するアルメル線とクロメル線のそれぞれは、ここに示す構造の電気端子10を介して、アルメルの補償導線とクロメルの補償導線のそれぞれに接続されて、測定器(不図示)にまで繋がっている。
【0024】
電気端子10は、コンタクト20と、連結部材30とを有する。
【0025】
熱電対のアルメル線の接続に用いられる電気端子10のコンタクト20は、アルメル金属からなるコンタクトである。また、クロメル線の接続に用いられる電気端子10のコンタクト20は、クロメル金属からなるコンタクトである。熱電対と測定器との間に別種の金属を介在させると、そこに電位差が生じ、測定誤差を招く要因となるからである。ただし、アルメルあるいはクロメルのいずれも、脆く、ばね性に乏しく、このままでは電気端子として不適な金属である。そこで、本実施形態では、以下の構造の電気端子としている。
【0026】
この電気端子10のコンタクト20は、板状に前後に延びた形状を有する。ただし、このコンタクト20は、必ずしも板状でなくてもよく、棒状に延びた形状のものであってもよい。ここで、コンタクト20の材料であるアルメルあるいはクロメルは、本発明にいう第1種類の金属の一例に相当する。
【0027】
また、コンタクト20は、本発明にいう第1コンタクトの一例に相当する。コンタクト20は、一方の側面のみから突出する突起21を有する。図示の電気端子10を正面から見て、突起21が左側に位置すると、この電気端子10のコンタクト20がアルメルまたはクロメルの一方であることが分かる。また、突起21が右側に位置すると、その電気端子10のコンタクト20はアルメルまたはクロメルの他方であることが分かる。この突起21は、ハウジング(不図示)に電気端子10を挿入する際に、誤挿入を防止するキーとして機能する。
【0028】
連結部材30は、電気端子としての実績のある、電気端子に適した銅合金を材料としている。この連結部材30は、コンタクト20にスポット溶接で固定されている。この連結部材30は、断面が略矩形の形状を有し、その前端に相手電気端子のコンタクト(不図示)が挿入される挿入開口31を有する。なお、連結部材30はコンタクト20にかしめにより固定されてもよい。
【0029】
また、この連結部材30は、図3図4に示すように、ばね部32を有する。このばね部32は、片持ち梁形状に形成され、その後端が固定端、前端が自由端である。このばね部32は、コンタクト20に沿って前後に延びるとともに、自由端がコンタクト20に近づく向きに延びている。
【0030】
ここで、この電気端子10と組み合う相手電気端子として、この電気端子10と同型(雌雄同形)の電気端子を採用することができる。ただし、この電気端子10のコンタクト20がアルメル製のときは、この電気端子10と組み合う相手電気端子も、アルメル製のコンタクトを有する電気端子である。これと同様に、この電気端子10のコンタクト20がクロメル製のときは、相手電気端子のコンタクトもクロメル製である。
【0031】
なお、熱電対を構成しているアルメル線とクロメル線は、いずれも、ここに示す補償導線50と同一構造、同一寸法のものである。そこで、以下では、熱電対を構成しているアルメル線およびクロメル線と、熱電対と測定器とを繋ぐ補償導線50とを区別せずに、いずれも、補償導線50と称することがある。
【0032】
この電気端子10と相手電気端子との嵌合にあたり、相手電気端子は、この電気端子10とは上下逆向きとなって、相手電気端子のコンタクト20が、この電気端子10の、連結部材30の前端の挿入開口31から挿入される。
【0033】
すると、相手電気端子のコンタクトは、この電気端子10のコンタクト20とばね部32とに挟まれてコンタクト20に押し当てられ、このコンタクト20と相手電気端子のコンタクトが、所期の接触圧で互いに接触する。また、相手電気端子として、この電気端子10と同形状の電気端子を採用したときは、この電気端子10のコンタクト20も、相手電気端子のばね部により相手電気端子のコンタクトに押し当てられることになる。このようにして、コンタクト20の材料であるアルメルどうし、あるいはクロメルどうしが、他の金属材料を介さずに、互いに接続される。ばね部32を含む連結部材30は、ばね部として適したばね性を持つ銅合金等の金属材料からなり、コンタクトどうしを所期の接触圧で接触させることができる。ここで、この連結部材30の材料である銅合金等は、本発明にいう第2種類の金属の一例である。
【0034】
また、この電気端子10の連結部材30は、補償導線50を圧着固定する圧着部33を有する。ここに示す補償導線50は、芯線51とその芯線51を覆う被覆52とからなる。芯線51は、アルメルあるいはクロメルを材料としている。アルメルの芯線51を有する補償導線50は、アルメルのコンタクト20を有する電気端子10に圧着固定される。これと同様に、クロメルの芯線51を有する補償導線50は、クロメルのコンタクト20を有する電気端子10に圧着固定される。
【0035】
この電気端子10の連結部材30の圧着部33は、剥き出しになった芯線51を圧着する芯線圧着部331を有する。この芯線圧着部331は、断面略U字状に上方に開いた形状を有する。この補償導線50を電気端子10に圧着するにあたっては、この補償導線50の先端部の被覆52を取り去って、芯線51を剥き出しにする。そして、その剥き出しの芯線51が芯線圧着部331に配置される。コンタクト20の後端部は、その芯線圧着部331にまで延びている。このため、この芯線51は、芯線圧着部331に配置されると、コンタクト20の上に載って、そのコンタクト20に直接に接触した状態となる。
【0036】
また、この電気端子10の連結部材30の圧着部33は、芯線圧着部331よりも後方に、被覆圧着部332を有する。この被覆圧着部332は、補償導線50の、芯線51が剥き出しにされた先端部からやや後方に下がった、芯線51が被覆52に覆われた部分の圧着を担っている。この被覆圧着部332も、芯線圧着部331と同様、断面略U字状を有し、上方に開いた形状を有する。そして、補償導線50の、剥き出しにされた先端部の芯線51が芯線圧着部331に置かれると、それと同時に、その後方の、芯線51が被覆52に覆われた部分が被覆圧着部332に置かれる。ここで、コンタクト20の後端部は、芯線圧着部331にまで延びていて被覆圧着部332にまでは延びていない。このため、図3に示すように、芯線圧着部331では、被覆圧着部332における被覆52の下面と比べ、芯線51が、コンタクト20の厚み分だけ高い位置に置かれることになる。このコンタクト20の厚みは、圧着後においても、芯線51が補償導線50の断面の中央に位置するように調整されている。
【0037】
補償導線50は、先端部の芯線51が剥き出しにされ、コンタクト20に図3に示す状態に配置されて、圧着部33に圧着される。
【0038】
連結部材30は、コンタクト20の係止部22に係止してコンタクト20の前方への抜けを防止するラッチ34を有する。また、コンタクト20は、底面側から打ち出されて上方へ突出する接点23を有する。
【0039】
図5は、補償導線の圧着後における、図1図4に示すコンタクトと同一のコンタクトを示す斜視図である。
【0040】
この図5を、圧着前の斜視図である図4と比べると、圧着部33の、圧着前において略U字状に形成されて上に開いた形状を有していた芯線圧着部331および被覆圧着部332の、上に開いていた部分が、それぞれ折り曲げられている。これにより、芯線圧着部331では、補償導線50の芯線51が電気端子10のコンタクト20に直接に押し当てられて電気的に接続される。また、被覆圧着部332では、補償導線50が電気端子10に強固に固定される。この圧着された状態の補償導線50に不用意に力が加わっても、被覆圧着部332における補償導線50の圧着固定により、その力は、芯線圧着部331の芯線51には伝わらない。このため、芯線圧着部331では、芯線51とコンタクト20との接続が安定的に維持される。
【0041】
芯線51の材料は、アルメルやクロメル等であって脆く、圧着のための折り曲げ等に耐えられる材料ではない。本実施形態の場合、そのアルメルやクロメル等からなるコンタクト20に、銅合金など、圧着に適した材料からなる連結部材30を固定し、その連結部材30に圧着部33を設けている。このため、本実施形態の電気端子10によれば、アルメルやクロメル等の脆い材料の芯線であっても確実な圧着固定が可能である。
【0042】
このように、この電気端子10を採用し、相手電気端子にもこの電気端子と同型の電気端子を採用すると、熱電対のアルメル線やクロメル線を、他の金属を介在させることなく、同じ材料からなる電線のまま、電気端子を介して測定器にまで延長することができる。
【0043】
図6は、本発明の第2実施形態の電気端子の斜視図である。ここで、この図6には、補償導線50を圧着した後の形状が示されている。
【0044】
図1図5に示す第1実施形態の電気端子10の場合、コンタクト20は、連結部材30の前端の挿入開口31よりもさらに前方にまで突き出ている。これに対し、図6に示す第2実施形態の電気端子10’の場合、そのコンタクト20’は、連結部材30の前端と同じ位置までしか延びていない。この第2実施形態の電気端子10’は、このコンタクト20’のみ、第1実施形態の電気端子10と異なっている。そこで、この図6では、第1実施形態の電気端子10と同じ構成要素には、図1図5において付した符号と同一の符号を付して示し、電気端子10’の構造についての、これ以上の説明は割愛する。
【0045】
この図6に示す第2実施形態の電気端子10’の場合、相手電気端子に挿し込む形状のコンタクトは設けられていない。この電気端子10’は、相手電気端子の雄型のコンタクト(例えば図1図5に示す電気端子10のコンタクト20)の挿入を受ける。そして、相手電気端子のコンタクトをこの電気端子10’のばね部32(図3を合わせて参照)で、この電気端子10’のコンタクト20’に押し当てて、コンタクトどうしを互いに接続する。
【0046】
図7は、図6に示す第2実施形態の電気端子と組み合う相手電気端子の斜視図である。
【0047】
この図7に示す相手電気端子10’’は、図1図5に示す第1実施形態の電気端子10と比べたとき、第1実施形態の電気端子10の連結部材30からばね部32を取り去った形状を有する。この相手電気端子10’’のばね部32以外の構成要素は第1実施形態の電気端子10と同一であり、同一の要素に同一の符号を付して示し、この相手電気端子10’’の構造についての、これ以上の説明は割愛する。
【0048】
図6に示す第2実施形態の電気端子10’には、相手電気端子に挿し込むタイプのコンタクトは存在しない。したがって、相手電気端子10’’には、図1図5に示す第1実施形態の電気端子10のばね部32(図3参照)に対応する構造は設けられていない。ただし、この相手電気端子10’’にも、図7に示すように、補償導線50を圧着する構造は必要である。


【0049】
図1図5に示す第1実施形態の電気端子10の場合、相手電気端子にも同型の電気端子を採用することができる。したがって、電気端子の部品管理が容易となる。ただし、熱電対用の電気端子のとしては従来より雌雄別形状の電気端子が使われている。そこで、その慣習を踏襲するときは、例えば、図6に示す電気端子10’と図7に示す相手電気端子10’’との組合わせを採用することができる。
【0050】
なお、ここでは、コンタクト20,20’としてアルメルあるいはクロメルを使用することを例に挙げて説明した。ただし、熱電対を構成する金属材料はアルメルとクロメルに限られるものではない。熱電対には、他の金属材料が使用されることもある。すなわち、熱電対の材料として、アルメルあるいはクロメルのほか、例えば、コンスタンタン、ナイクロシル、ナイシル、鉄、白金、白金ロジウム合金、イリジウム、イリジウムロジウム合金、タングステンレニウム合金、ニクロム、金鉄合金、ニッケル、ニッケルモリブデン合金、パラジウム白金金合金、金パラジウム合金、金コバルト合金などが使用されることもある。したがって、本発明の電気端子のコンタクトとしても、これに合わせて他の金属材料が使用されることもある。
【符号の説明】
【0053】
10,10’ 電気端子
10’’ 相手電気端子
20,20’ コンタクト
30 連結部材
31 挿入開口
32 ばね部
33 圧着部
50 補償導線
51 芯線
52 被覆
331 芯線圧着部
332 被覆圧着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7