(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1または2以上の光伝送体と、1または2以上の光電変換素子、および前記光電変換素子よりも前記光伝送体から離れた位置に配置され、前記光電変換素子から出射された光を監視するための1または2以上の検出素子を含む光電変換装置との間に配置され、前記光電変換素子と前記光伝送体の端面とを光学的に結合するための光レセプタクルであって、
前記光電変換素子から出射された光を入射させるか、前記光伝送体の端面から出射され、前記光レセプタクルの内部を通る光を前記光電変換素子に向けて出射させる、1または2以上の第1光学面と、
前記第1光学面で入射した光を前記光伝送体の端面に向けて出射させるか、前記光伝送体の端面から出射された光を入射させる、1または2以上の第2光学面と、
前記第1光学面および前記第2光学面の間の光路上に配置され、前記第1光学面で入射した光を前記光伝送体の端面側に向かう信号光と前記信号光の進行方向と略反対方向に進行するように前記検出素子側に向かうモニター光とに分離させるか、前記第2光学面で入射した光の少なくとも一部を受信光として前記光電変換素子側に進行させる光分離部と、
前記光分離部で分離された前記モニター光を前記検出素子に向けて出射させる、1または2以上の第3光学面と、
を有し、
前記光分離部は、前記第1光学面で入射した光の光軸に対して第1の方向に傾斜した傾斜面である第1分割反射面と、前記第1の方向と異なる第2の方向に傾斜した傾斜面である第2分割反射面と、前記光軸に対する平行面である分割透過面とをそれぞれ1つずつ含み、かつ前記第1分割反射面、前記第2分割反射面および前記分割透過面が前記第1の方向に配列されている分離ユニットを複数含み、
複数の前記分離ユニットは、前記光分離部において前記第1の方向に配列されており、
前記第1分割反射面は、前記第1光学面で入射した光の一部を前記信号光として前記第2光学面側に向けて内部反射させるか、前記第2光学面で入射した光の一部を前記受信光として前記第1光学面側に向けて内部反射させ、
前記第2分割反射面は、前記第1光学面で入射した光の一部を前記モニター光として前記分割透過面に向けて内部反射させ、
前記分割透過面は、前記第2分割反射面で反射した前記モニター光を透過させ、
前記第1光学面および前記第2光学面の間の全光路は、前記光レセプタクルの内部に位置している、
光レセプタクル。
基板と、前記基板上に配置された1または2以上の光電変換素子と、前記基板上に配置され、前記光電変換素子から出射された光を監視するための1または2以上の検出素子とを有する光電変換装置と、
請求項1または請求項2に記載の光レセプタクルと、
を有し、
前記検出素子は、前記基板上において前記光電変換素子よりも前記光伝送体から離れる位置に配置されている、
光モジュール。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバーや光導波路などの光伝送体を用いた光通信には、面発光レーザー(例えば、VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などの発光素子を備えた光モジュールが使用されている。光モジュールは、発光素子から出射された通信情報を含む光を、光伝送体の端面に入射させる光レセプタクルを有する。
【0003】
また、光モジュールには、温度変化に対する発光素子の出力特性の安定化や光出力の調整を目的として、発光素子から出射された光の強度や光量を監視(モニター)するための検出素子を有するものがある。
【0004】
たとえば、特許文献1には、発光素子および検出素子が配置された光電変換装置と、発光素子と光伝送体の端面とを光学的に接続させる光レセプタクルとを有する光モジュールが記載されている。
【0005】
図1は、特許文献1に記載の光モジュール10の構成を模式的に示す断面図である。
図1に示されるように、特許文献1に記載の光モジュール10は、光電変換装置20と、樹脂製の光レセプタクル30とを有する。光レセプタクル30は、発光素子21から出射された光を入射させる第1光学面31と、内部を通る光を光伝送体22の端面23に集光するように出射する第2光学面32と、第1光学面31で入射した光を光伝送体22側に反射する反射面33と、反射面33で反射した光を検出素子24側に向かうモニター光Lmおよび光伝送体22側に向かう信号光Lsに分離する光分離部34と、モニター光Lmを検出素子24に向けて出射させる第3光学面35とを有する。また、光分離部34は、光レセプタクル30に形成された凹部36の内面の一部として形成されている。
【0006】
特許文献1に記載の光モジュール10では、発光素子21から出射され、第1光学面31で入射した光は、光分離部34に向けて反射面33で反射する。反射面33で反射した光は、光分離部34によって信号光Lsおよびモニター光Lmに分離される。光分離部34で分離されたモニター光Lmは、検出素子24の受光面に向けて第3光学面35から出射される。一方、光分離部34で分離された信号光Lsは、光分離部34を透過して光レセプタクル30の外部に出射される。そして、凹部36の内面の他の一部である入射面37から再び光レセプタクル30に入射する。入射面37で入射した信号光Lsは、光伝送体22の端面23に向けて第2光学面32から出射される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[実施の形態1]
(光モジュールの構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る光モジュール100の断面図である。なお、
図2では、光レセプタクル120内の光路を示すために光レセプタクル120の断面へのハッチングを省略している。また、
図2の一点鎖線は、光の光軸を示しており、破線は、光の外径を示している。
【0016】
図2に示されるように、光モジュール100は、光電変換素子(発光素子112および/または受光素子113)を含む基板実装型の光電変換装置110と、光レセプタクル120とを有する。光モジュール100は、光レセプタクル120に光伝送体140がフェルールを介して接続された状態で使用される。
【0017】
光伝送体140の種類は、特に限定されず、光ファイバー、光導波路などが含まれる。本実施の形態では、光伝送体140は、光ファイバーである。光ファイバーは、シングルモード方式であってもよいし、マルチモード方式であってもよい。光伝送体140の数は、特に限定されない。本実施の形態では、4本の光ファイバーが一定間隔で1列に配列されている。なお、光伝送体140は、2列以上に配列されていてもよい。
【0018】
光電変換装置110は、基板111と、発光素子112および/または受光素子113と、検出素子114とを有する。送信用の光モジュール100では、光電変換素子として発光素子112が使用される。また、受信用の光モジュール100では、光電変換素子として受光素子113が使用される。さらに、送受信用の光モジュール100では、光電変換素子として発光素子112および受光素子113が使用される。本実施の形態では、送受信用の光モジュール100について説明する。
【0019】
基板111は、例えば、ガラスコンポジット基板やガラスエポキシ基板、フレキブシル基板などである。基板111上には、発光素子112、受光素子113および検出素子114が配置されている。
【0020】
発光素子112は、基板111上に配置されており、発光素子112が配置された基板111の表面に対して垂直方向にレーザー光を出射する。発光素子112の数は、特に限定されない。本実施の形態では、発光素子112の数は、2個である。また、発光素子112の位置も特に限定されない。本実施の形態では、2個の発光素子112は、一定間隔で光伝送体140の配列方向に沿って配列されている。発光素子112は、例えば垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)である。なお、光伝送体140が2列以上に配列されている場合は、発光素子112も同じ列数で配列されてもよい。
【0021】
受光素子113は、基板111上に配置されており、光伝送体140から出射された光L2のうち少なくとも一部である受信光Lrを受光する(
図7B参照)。受光素子113の数は、特に限定されない。本実施の形態では、受光素子113の数は、2個である。また、受光素子113の位置も特に限定されない。本実施の形態では、2個の受光素子113は、一定間隔で光伝送体140の配列方向に沿って1列に配列されている。具体的には、2個の発光素子112と同一直線上に位置するように配列されている。受光素子113は、例えば、フォトダイオード(PD)である。なお、光伝送体140が2列以上に配列されている場合は、受光素子113も同じ列数で配列されてもよい。
【0022】
検出素子114は、基板111上に配置されており、発光素子112から出射された光L1の出力(例えば、強度や光量)を監視するためのモニター光Lmを受光する。検出素子114は、例えばフォトダイオード(PD)である。検出素子114は、発光素子112および受光素子113よりも光伝送体140から離れた位置に配置されている。本実施の形態では、光モジュール100を平面視したときに、検出素子114は、発光素子112および受光素子113を挟んで光伝送体140と反対側に配置されている。検出素子114の数は、特に限定されない。本実施の形態では、検出素子114の数は、2個である。2個の検出素子114は、2個の発光素子112に対応して一定間隔で1列に配列されている。なお、光伝送体140が2列以上に配列されている場合は、検出素子114も同じ列数で配列されてもよい。また、検出素子114からの反射光が光レセプタクル120内に戻ることを防止する観点から、検出素子114へ入射する光の光軸は、検出素子114の検出面117に対して傾斜していてもよい。
【0023】
光レセプタクル120は、基板111上に配置されている。光レセプタクル120は、光電変換装置110と光伝送体140との間に配置された状態で、複数の発光素子112の発光面115と複数の光伝送体140の端面141とをそれぞれ光学的に結合させるとともに、複数の検出素子114の検出面117と複数の光伝送体140の端面141とをそれぞれ光学的に結合させる。以下、光レセプタクル120の構成について詳細に説明する。
【0024】
(光レセプタクルの構成)
図3〜6は、実施の形態1に係る光レセプタクル120の構成を示す図である。
図3Aは、光レセプタクル120を上から見た斜視図であり、
図3Bは、下から見た斜視図である。
図4Aは、光レセプタクル120の平面図であり、
図4Bは、底面図であり、
図4Cは、正面図であり、
図4Dは、側面図である。
図5Aは、光分離部123の斜視図であり、
図5Bは、光分離部123を構成する面の位置関係を示す図である。
図6Aは、
図4Dの破線で示される部分の部分拡大断面図である。
図6Bは、信号光Lsとモニター光Lmとの光量比を説明するための図である。
【0025】
図2、
図3A、Bおよび
図4A〜Dに示されるように、光レセプタクル120は、略直方体形状の部材である。光レセプタクル120は、透光性を有し、発光素子112の発光面115から出射された光L1を光伝送体140の端面141に向けて出射させる一方、光伝送体140から出射された受信光Lrを受光素子113の受光面116に向けて出射させる。光レセプタクル120は、複数の第1光学面121、複数の第2光学面122、光分離部123、透過面124、反射面125および複数の第3光学面126を有する。光レセプタクル120は、光通信に用いられる波長の光に対して透光性を有する材料を用いて形成される。そのような材料の例には、ポリエーテルイミド(PEI)や環状オレフィン樹脂などの透明な樹脂が含まれる。
【0026】
第1光学面121は、発光素子112から出射された光L1を屈折させながら光レセプタクル120の内部に入射させる光学面である。また、第1光学面121は、光レセプタクル120の内部を進行してきた光伝送体140からの受信光Lrを屈折させながら受光素子113に向けて出射させる光学面でもある。本実施の形態では、第1光学面121の形状は、発光素子112(受光素子113)に向かって凸状の凸レンズ面である。第1光学面121は、発光素子112から出射された光L1をコリメート光に変換させる。また、第1光学面121は、光レセプタクル120の内部を進行してきたコリメート光(受信光Lr)を収束させる。また、本実施の形態では、複数(4個)の第1光学面121は、光レセプタクル120の底面に、発光素子112の発光面115および受光素子113の受光面116とそれぞれ対向するように光伝送体140の配列方向に沿って1列に配列されている。また、第1光学面121の平面視形状は、円形である。第1光学面121の中心軸は、発光素子112の発光面115および受光素子113の受光面116に対して垂直であることが好ましい。また、第1光学面121の中心軸は、発光素子112から出射された光L1(受光素子113に入射する受信光Lr)の光軸と一致することが好ましい。
【0027】
第1光学面121で入射した光は、光分離部123に向かって進行する。また、第1光学面121から出射した受信光Lrは、受光素子113に向かって進行する。なお、発光素子112および受光素子113が2列以上に配列されている場合は、第1光学面121も同じ列数で配列される。
【0028】
本実施の形態では、
図4Bに示されるように、4個の第1光学面121のうち、図示上側の2個の第1光学面121を発信側の第1光学面121とし、下側の2個の第1光学面121を受信側の第1光学面121として使用している。すなわち、図示上側2個の発信側の第1光学面121には、発光素子112からの光L1が入射し、図示下側2個の受信側の第1光学面121から光レセプタクル120の内部を進行してきた受信光Lrが出射する。このように、本実施の形態に係る光レセプタクル120では、4個の第1光学面121を等分し、かつ基板111に対する垂直面を中心として一方の領域は発信側として機能し、他方の領域は受信側として機能する。
【0029】
光分離部123は、第1光学面121および第2光学面122の間の光路上に配置され、第1光学面121で入射した光を光伝送体140の端面141側に向かう信号光Lsと信号光Lsの進行方向と略反対方向に進行するように検出素子114側に向かうモニター光Lmとに分離させる。また、光分離部123は、第2光学面122で入射した光の少なくとも一部を受信光Lrとして受光素子113側に進行させる。
【0030】
図5に示されるように、光分離部123は、複数の分離ユニット131を有する。分離ユニット131の数は、特に限定されない。分離ユニット131は、第1分割反射面132、第2分割反射面133および分割透過面134をそれぞれ1つずつ含む。すなわち、光分離部123は、複数の第1分割反射面132と、複数の第2分割反射面133と、複数の分割透過面134とを有する。以下の説明では、第1分割反射面132の傾斜方向を第1の方向D1と称する。第1分割反射面132、第2分割反射面133および分割透過面134は、それぞれ第1の方向D1に分割されている。また、第1分割反射面132、第2分割反射面133および分割透過面134は第1の方向D1に配列されている。
【0031】
第1分割反射面132は、第1光学面121で入射した光L1の光軸に対する傾斜面である。第1分割反射面132は、第2光学面122で入射した光L2の光軸に対する傾斜面でもある。本実施の形態では、第1分割反射面132は、光レセプタクル120の天面から底面に向かうにつれて第2光学面122(光伝送体140)から離れるように傾斜している。第1分割反射面132は、第1光学面121で入射した光の一部を信号光Lsとして第2光学面122側に向けて内部反射させる。また、第1分割反射面132は、第2光学面122で入射した光の一部を受信光Lrとして第1光学面121側に向けて内部反射させる。第1分割反射面132の傾斜角は、第1光学面121で入射した光L1の光軸および第2光学面122で入射した光L2の光軸に対して45°である。第1分割反射面132は、第1の方向D1に分割されており、所定の間隔で配置されている。第1分割反射面132は、第1の方向D1において同一平面上に配置されている。
【0032】
第2分割反射面133は、第1光学面121で入射した光L1の光軸に対する傾斜面である。第2分割反射面133は、第1分割反射面132の傾斜方向である第1の方向D1と異なる第2の方向D2に傾斜している。具体的には、第2分割反射面133は、光レセプタクル120の天面から底面に向かうにつれて第2光学面122(光伝送体140)に近づくように傾斜している。第2分割反射面133は、第2光学面122で入射した光の一部をモニター光Lmとして分割透過面134側に向けて反射させる。第2分割反射面133の傾斜角は、第1光学面121で入射した光L1の光軸に対して45°である。第2分割反射面133は、第1の方向D1に分割されており、所定の間隔で配置されている。
【0033】
分割透過面134は、第1光学面121で入射した光L1の光軸に対する平行面である。分割透過面134は、第1光学面121で入射し、第2分割反射面133で反射したモニター光Lmを出射(透過)させる。分割透過面134も、第1の方向D1に分割されており、所定の間隔で配置されている。
【0034】
図5Bに示されるように、1つの分離ユニット131内において、第1分割反射面132、第2分割反射面133および分割透過面134は、この順番で第1の方向(天面から底面に向かう方向)D1に配列されている。第2分割反射面133および分割透過面134の間には、稜線135が形成される。本実施の形態では、第1の方向D1において隣接する複数の稜線135は、互いに平行に配置されている。第2分割反射面133および分割透過面134のなす角度のうち小さい角度は、45°である。また、第1分割反射面132および第2分割反射面133のなす角度は、90°である。また、分割透過面134および(隣の分離ユニット131の)分割透過面134のなす角度のうち小さい角度は135°である。光分離部123において、複数の分離ユニット131は、第1の方向D1に配列されている。
【0035】
図6Aに示されるように、第1分割反射面132には、第1光学面121で入射した光L1の一部の光が、臨界角より大きな入射角で内部入射する。第1分割反射面132は、第1光学面121で入射した光L1の一部の光を第2光学面122側に向けて内部反射させて、信号光Lsを生成する。また、特に図示しないが、第1分割反射面132には、第2光学面122で入射した光の一部の光も、臨界角より大きな入射角で内部入射する。第1分割反射面132は、第2光学面122で入射した光の一部の光L2を第1光学面121側に向けて内部反射させて、受信光Lrを生成する。
【0036】
また、第2分割反射面133は、第1光学面121で入射した光L1一部の光が、臨界角より大きな入射角で内部入射する。第2分割反射面133は、第1光学面121で入射した光L1の一部の光を第3光学面126側に向けて内部反射させて、モニター光Lmを生成する。
【0037】
また、分割透過面134は、第1光学面121で入射し、第2分割反射面133で反射したモニター光Lmを透過させる。
【0038】
信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、所望の光量の信号光Lsを得つつ、発光素子112から出射された光L1の強度や光量を監視することができるモニター光Lmを得ることができれば、特に限定されない。
図6Bに示されるように、信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、第1光学面121から見たときの、第1分割反射面132の面積S1と第2分割反射面133の面積S2との面積比とほぼ同じである。信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、信号光Ls:モニター光Lm=5:5〜8:2であることが好ましく、信号光Ls:モニター光Lm=7:3であることがさらに好ましい。本実施の形態では、信号光Ls:モニター光Lm=5:5である。信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、第1光学面121から見たときの、第1分割反射面132の面積S1と第2分割反射面133の面積S2との面積比とを変えることで調整されうる。また、受光素子113の受光面116に向かう受信光Lrの光量は、所望の光量を得ることができれば特に限定されない。
図6Bに示されるように、受光素子113の受光面116に向かう受信光Lrの光量は、第2光学面122から見たときの、第1分割反射面132の面積S3の割合に依存する。本実施の形態では、第1分割反射面132で反射される受信光Lrと、分割透過面134から出射する光との光量比は、5:5である。
【0039】
第2光学面122は、第1光学面121で入射し、第1分割反射面132で反射した信号光Lsを光伝送体140の端面141に向けて出射させる光学面である。また、第2光学面122は、光伝送体140の端面141から出射された光L2を屈折させながら光レセプタクル120の内部に入射させる光学面でもある。本実施の形態では、第2光学面122の形状は、光伝送体140の端面141に向かって凸状の凸レンズ面である。第2光学面122は、光レセプタクル120の内部を進行した光を光伝送体140の端面141に向けて収束させるとともに、光伝送体140の端面141から出射された光をコリメート光に変換させる。また、本実施の形態では、複数(4個)の第2光学面122は、光レセプタクル120の正面に、光伝送体140の端面141とそれぞれ対向するように光伝送体140の配列方向に沿って1列に配列されている。また、第2光学面122の平面視形状は、円形である。第2光学面122の中心軸は、光伝送体140の端面141に対して垂直であることが好ましい。また、第2光学面122の中心軸は、光伝送体140から出射された光の光軸と一致することが好ましい。なお、光伝送体140が2列以上に配列されている場合は、第2光学面122も同じ列数で配列される。
【0040】
なお、本実施の形態では、
図4Cに示されるように、4個の第2光学面122のうち、図示左側の2個の第2光学面122を発信側の第2光学面122とし、右側の2個の第2光学面122を受信側の第2光学面122として使用している。すなわち、図示左側2個の発信側の第2光学面122から光レセプタクル120の内部を通った受信光Lrが出射し、図示右側2個の受信側の第2光学面122には、光伝送体140から出射された光L2が入射する。
【0041】
透過面124は、光レセプタクル120の天面側に配置されており、光分離部123の分割透過面134から光レセプタクル120外に出射されたモニター光Lmを光レセプタクル120内に再度入射させる。本実施の形態では、透過面124は、分割透過面134から出射されたモニター光Lmの光軸に対する垂直面(発光素子112から出射された光L1の光軸に平行な平行面)である。これにより、第2光学面122側に向かうモニター光Lmを屈折させることなく光レセプタクル120内に再度入射させることができる。なお、透過面124は、分割透過面134から出射されたモニター光Lmの光軸に対する傾斜面であってもよい。この場合、透過面124は、光レセプタクル120の底面から天面に向かうにつれて、反射面125に近づくように傾斜している。傾斜面である透過面124の傾斜角度は特に限定されないが、射出成形における離型のための抜きテーパ相当の傾斜角度であることが好ましい。
【0042】
反射面125は、光レセプタクル120の天面側に配置されており、透過面124で入射したモニター光Lmを第3光学面126側に反射させる。本実施の形態では、反射面125は、光レセプタクル120の天面から底面に向かうにつれて第2光学面122(光伝送体140)から離れるように傾斜している。反射面125の傾斜角は、第1光学面121で入射した光L1の光軸および第2光学面122で入射した光L2の光軸に対して45°である。
【0043】
第3光学面126は、光レセプタクル120の底面側に配置されており、光分離部123で分離され、透過面124を透過し、反射面125で反射されたモニター光Lmを収束させて検出素子114に向けて出射させる。本実施の形態では、第3光学面126は、検出素子114に向かって凸状の凸レンズ面である。第3光学面126の中心軸は、検出素子114の検出面117(基板111)に対して傾斜していることが好ましい。
【0044】
光レセプタクル120の製造方法は、特に限定されない。光レセプタクル120は、例えば射出成形により製造される。射出成形では、光分離部123および透過面124に相補的な面を有する金型駒を使用する。この場合、金型内のキャビティー(光レセプタクル120となる部分)の第2分割反射面133に相当する面および分割透過面134に相当する面により形成される領域には、材料となる樹脂などが入り込みにくいことが想定される。これにより、成形品である光レセプタクル120における分離ユニット131の稜線135(第2分割反射面133と分割透過面134によって形成される領域)が適切に成形されないおそれがある。しかしながら、本実施の形態に係る光レセプタクル120では、分離ユニット131の頂部に到達する光は、高い精度が必要とされないモニター光Lmとなる光であるため、分離ユニット131の頂部が適切に成形されていなくても大きな問題とはならない。一方で、複数の第1分割反射面132は、同一平面上に位置するように配置されており、確実に適切に成形されうる。したがって、通信精度に大きな影響を及ぼす信号光Lsとなる光を生成する複数の第1分割反射面132は、高い精度で成形されうる。
【0045】
図7は、光モジュールにおける光路を示した図である。
図7Aは、送信側の光路図であり、
図7Bは、受信側の光路図である。なお、
図7A、Bでは、光軸のみを一点鎖線で示している。
【0046】
図7Aに示されるように、発光素子112から出射した光L1は、第1光学面121で光レセプタクル120内に入射する。光レセプタクル120に入射した光の一部は、第1分割反射面132で第2光学面122に向かって内部反射されて信号光Lsとなる。第1分割反射面132で反射された信号光Lsは、第2光学面122から出射され、光伝送体140の端面141に到達する。このように、発光素子112から出射された光L1は、第1光学面121および第2光学面122のみを透過して、光伝送体140に到達する。また、第1光学面121および第2光学面122の間の全光路は、光レセプタクル120の内部に位置している。一方、光レセプタクル120に入射した光の他の一部は、第2分割反射面133で反射面125に向かって反射されてモニター光Lmとなる。モニター光Lmは、分割透過面134で光レセプタクル120の外部に出射された後、透過面124で光レセプタクル120の内部に再度入射し、反射面125で反射される。反射面125で反射されたモニター光Lmは、第3光学面126から出射され、検出素子114に到達する。
【0047】
また、
図7Bに示されるように、光伝送体140から出射した光L2は、第2光学面122で光レセプタクル120内に入射する。光レセプタクル120に入射した光の一部は、第1分割反射面132で第1光学面121に向かって内部反射されて受信光Lrとなる。第1分割反射面132で反射された受信光Lrは、第1光学面121から出射され、受光素子113の受光面116に到達する。このように、光伝送体140から出射された光は、第2光学面122および第1光学面121のみを透過して、受光素子113に到達する。また、第2光学面122および第1光学面121の間の全光路は、光レセプタクル120の内部に位置している。なお、第2光学面122で光レセプタクル120に入射した光の他の一部は、分割透過面134で光レセプタクル120の外部に出射された後、透過面124で光レセプタクル120の内部に再度入射し、反射面125で反射される。
【0048】
(シミュレーション)
本実施の形態に係る光レセプタクル120における光の利用効率についてシミュレーションした。光レセプタクル120の材料は、ポリエーテルイミド(PEI)とし、分離ユニット131のピッチは、0.0275mmとした。具体的には、発光素子112から1Wの光が出射された場合に、光伝送体140および検出素子114に到達する光の利用効率を求めた。なお、本シミュレーションでは、発光素子112側から見たときの、第1分割反射面132の面積と、第2分割反射面133の面積とは、同じである。また、比較として特許文献1に記載されている光レセプタクル10(
図1参照)における光の利用効率も求めた。
【0049】
本実施の形態に係る光レセプタクル120では、発光素子112から1Wの光が出射された場合、光伝送体140(端面141)に到達した信号光Lsは、0.425976W(−3.70624dB)であった。一方、検出素子114(検出面117)に到達したモニター光Lmは、0.439266W(−3.57273dB)であった。なお、WとdBとの換算には、以下の式(1)を用いた。
dB=10×log(W) (1)
【0050】
特許文献1に記載の光レセプタクル10では、発光素子112から光伝送体140までの光路において、本実施の形態に係る光レセプタクル120と比較して、さらに2つの界面(光分離部34および入射面37)を透過する。ここで、光の光量は、1つの界面を透過する度に約5.8%(−0.26dB)喪失する。よって、特許文献1に記載の光レセプタクル10は、本実施の形態に係る光レセプタクル120より、−0.52dB(−0.26dB×2)の光を喪失してしまう。すなわち、本実施の形態に係る光レセプタクル120の光の利用効率は、特許文献1に記載の光レセプタクル10より10.16%(0.52dB)高いことがわかる。
【0051】
(効果)
以上のように、実施の形態1に係る光レセプタクル120では、発光素子112(受光素子113)から出射された光L1は、第1光学面121および第2光学面122のみを透過して光伝送体140に到達するため、界面で反射する反射光や迷光を減らすことができる。したがって、本実施の形態に係る光レセプタクル120では、従来の光レセプタクル(特許文献1に記載の光レセプタクル10)と比較して、光の利用効率を向上させることができる。また、実施の形態1に係る光モジュール100は、第1光学面121および第2光学面122間の光路長を容易に短くすることが可能であるため、容易に小型化できる。
【0052】
さらに、通信精度に大きな影響を及ぼす信号光Lsとなる光を生成する複数の第1分割反射面132を容易に高精度で成形することが可能であるため本実施の形態に係る光レセプタクル120は、低コストで製造されうる。
【0053】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る光モジュールは、光レセプタクルの構成のみが実施の形態1に係る光モジュール100と異なる。そこで、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
実施の形態2に係る光モジュールは、光電変換装置110および光レセプタクル220を有する。光モジュールは、光レセプタクル220に光伝送体140がフェルールを介して接続された状態で使用される。本実施の形態では、4本の光ファイバーが一定間隔で1列に配列されている。
【0055】
図8は、実施の形態2に係る光レセプタクル220の斜視図である。
図8に示されるように、実施の形態2に係る光レセプタクル220は、複数の第1光学面121、複数の第2光学面122、光分離部123、透過面124、反射面125、複数の第3光学面126および枠体250を有する。
【0056】
枠体250は、光分離部123および反射面125の周囲に配置されている。枠体250は、光レセプタクル220の背面側に位置する背面壁251と、側面側に位置する側面壁252とを有する。枠体250の天面は、光分離部123および反射面125の間の天面と同一平面となるように配置されている。これにより、光分離部123および反射面125を適切に保護することができる。
【0057】
図9は、実施の形態2の変形例に係る光レセプタクル220’の斜視図である。
図9に示されるように、光レセプタクル220’は、透過面124と反射面125との間に天面を有していなくてもよい。
【0058】
(効果)
以上のように、実施の形態2に係る光レセプタクル220、220’は、実施の形態1に係る光レセプタクル120の効果に加え、異物などから光分離部123、透過面124および反射面125を適切に保護することができる。また、迷光の発生も抑制できる。
【0059】
[実施の形態3]
実施の形態3に係る光モジュールは、光レセプタクルの構成のみが実施の形態2に係る光モジュールと異なる。そこで、実施の形態2と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
実施の形態3に係る光モジュールは、光電変換装置110および光レセプタクル320を有する。
【0061】
図10および
図11は、実施の形態3に係る光レセプタクル320の構成を示す図である。
図10Aは、実施の形態3に係る光レセプタクル320を上から見た斜視図であり、
図10Bは、下側から見た斜視図である。
図11Aは、実施の形態3に係る光レセプタクル320の平面図であり、
図11Bは、断面図であり、
図11Cは、正面図であり、
図11Dは、背面図であり、
図11Eは、底面図である。なお、
図11Bの光レセプタクル320の断面へのハッチングを省略している。
【0062】
図10A、Bおよび
図11A〜Eに示されるように、実施の形態3に係る光レセプタクル320は、複数の第1光学面121、複数の第2光学面122、光分離部123、透過面124、反射面125、複数の第3光学面126、枠体250、フェルール取り付け部360および基板取り付け部370を有する。なお、本実施の形態では、第1光学面121、第2光学面122および第3光学面126の数は、それぞれ12個である。
【0063】
本実施の形態では、
図11Eに示されるように、12個の第1光学面121のうち、図示上側の6個の第1光学面121を発信側の第1光学面121とし、下側の6個の第1光学面121を受信側の第1光学面121として使用している。このように、本実施の形態に係る光レセプタクル320では、12個の第1光学面121を等分し、かつ基板111に対する垂直面を中心として一方の領域は発信側として機能し、他方の領域は受信側として機能する。
【0064】
フェルール取り付け部360は、光伝送体140を固定するフェルールを着脱するための部位である。フェルール取り付け部360は、光レセプタクル320の正面に配置されている。フェルール取り付け部360の構成は、フェルールを着脱することができれば特に限定されない。本実施の形態では、フェルール取り付け部360は、第2光学面122のすべてを長辺方向に挟むように配置された一対の突起361を有する。突起361の形状および数は、光レセプタクル320に対してフェルールを固定することができれば、特に限定されない。すなわち、突起361の形状は、フェルールの凹部と相補的な形状であればよい。
【0065】
基板取り付け部370は、光レセプタクル320を基板111に対して所定の位置に固定する。具体的には、基板取り付け部370は、光レセプタクル320を基板111に対して所定の位置に固定することにより、発光素子112の発光面115および受光素子113の受光面116に対して第1光学面121を位置決めするとともに、検出素子114の検出面117に対して第3光学面126を位置決めする。基板取り付け部370の構成は、前述の機能を発揮することができれば特に限定されない。本実施の形態では、基板取り付け部370は、光レセプタクル320の底面に配置された凸部である。基板取り付け部370は、光レセプタクル320の底面において、第1光学面121、第3光学面126および光レセプタクル320の背面側の領域を除いた領域に配置されている。基板取り付け部370は、光レセプタクル320の正面側に位置する正面部371と、光レセプタクル320の側面側に位置する側面部372とを有する。側面部372には、接着剤収容溝373および嵌合凹部374が配置されている。接着剤収容溝373は、光レセプタクル320の側面側(側面部372の外側)に配置された切り欠き溝である。嵌合凹部374は、第1光学面121および第3光学面126側に配置されている。嵌合凹部374は、不図示の基板111の嵌合凸部と相補的に形成されている。
【0066】
(効果)
以上のように、実施の形態3に係る光レセプタクル320は、実施の形態2に係る光レセプタクル220と同様の効果を有する。また、実施の形態3に係る光レセプタクル320は、基板111の嵌合凸部と相補的に形成された嵌合凹部374を有するため、基板111に対して容易に位置決めすることができる。
【0067】
なお、
図12Aに示されるように、第3光学面126は、信号光Lsを出射する発光素子112の数に対応して配置されていてもよい。また、
図12Bに示されるように、発信側の領域と受信側の領域とを離して配置してもよい。
【0068】
また、
図13に示されるように、光分離部123の分離ユニット131は、マトリックス状となるように第1の方向D1および第2の方向D2に直交する第3の方向D3において交互に配置されていてもよい。
【0069】
また、反射面125、第1分割反射面132および第2分割反射面133上に、光反射率が高い金属(例えば、Al,Ag,Auなど)の薄膜などの反射膜を形成してもよい。部品点数の削減を優先させたい場合には、全反射面のみを利用した構成を採用することが好ましい。また、本実施の形態の光分離部123は、第1分割反射面132および第2分割反射面133を有しているが、さらに他の分割反射面を有していてもよい。
【0070】
また、実施の形態1〜3では、送受信用の光レセプタクル120について説明したが、送信用の光レセプタクルであってもよいし、受信用の光レセプタクルであっでもよい。送信用の光レセプタクルの場合、複数の発光素子112および複数の検出素子114が配置される。また、複数の第1光学面121は、複数の発光素子112から出射された光L1をそれぞれ入射させる。また、複数の第2光学面122は、第1分割反射面132で反射した信号光Lsを複数の光伝送体140の端面141に向けてそれぞれ出射させる。さらに、複数の第3光学面126は、反射面125で反射したモニター光Lmを検出素子114の検出面117に向けてそれぞれ出射する。また、受信用の光レセプタクルの場合、複数の受光素子113が配置される。複数の第2光学面122は、複数の光伝送体140から出射された光L2をそれぞれ入射させる。また、複数の第1光学面121は、第1分割反射面132で反射した受信光Lrを受光素子113の受光面116に向けてそれぞれ出射する。なお、実施の形態1、2では、発光素子112、受光素子113検出素子114、第1光学面121、第2光学面122、第3光学面126、光伝送体140の数は、それぞれ4個ずつである。また、実施の形態3では、発光素子112、受光素子113検出素子114、第1光学面121、第2光学面122、第3光学面126、光伝送体140の数は、それぞれ12個ずつである。