(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る上衣について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る上衣の斜視図である。また、
図2は、本発明の実施形態に係る上衣の展開図である。なお、以下の説明においては、
図1に示すように、上衣1を着用した着用者からからみた前後方向、左右方向、及び上下方向を、そのまま上衣1の方向として用いるものとする。なお、本発明の実施形態に係る上衣1は、例えば、島嶼部において上陸戦闘するにあたり、着用者を防護するための防弾機能を有するとともに、水中において上衣の重量を軽減して着用者の水中での泳ぎを容易なものとする。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る上衣1は、前身頃10及び後身頃20が、種々のストラップ等を介して接続されることにより概略構成されている。
【0016】
前身頃10には、その上部に肩ストラップ11、12が取り付けられているとともに、左右の側部に脇ストラップ13、14が取り付けられている。前身頃10は、着用者の首、及び両腕を通す箇所がえぐれた形状をなしており、これにより、首及び両腕が容易に動かせるようになっている。
【0017】
後身頃20には、その上部に肩ストラップ21、22が取り付けられているとともに、左右の側部に脇ストラップ23、24が取り付けられている。後身頃20も、同様に、着用者の首、及び両腕を通す箇所がえぐれた形状をなしており、これにより、首及び両腕が容易に動かせるようになっている。
【0018】
前身頃10に取り付けられた肩ストラップ11と、後身頃20に取り付けられた肩ストラップ21とは、アジャスタ付連結具31によって連結されている。また、前身頃10に取り付けられた肩ストラップ12と、後身頃20に取り付けられた肩ストラップ22とは、アジャスタ付連結具32によって連結されている。
【0019】
また、
図2に示すように、脇ストラップ13に取り付けられたオス型連結具33bと、脇ストラップ23に取り付けられたメス型連結具33aとが連結されることで、脇ストラップ13と脇ストラップ23とがアジャスタ付連結具33(メス型連結具33a及びオス型連結具33b)によって連結される。同様に、脇ストラップ14に取り付けられたオス型連結具34bと、脇ストラップ24に取り付けられたメス型連結具34aとが接続されることで、脇ストラップ14と脇ストラップ24とがアジャスタ付連結具34(メス型連結具34a及びオス型連結具34b)によって連結される。
【0020】
このように、前身頃10と後身頃20とが、アジャスタ付連結具31、32、33、34を介して接続されることにより、上衣1を、首や両腕を通し得る、着用可能な状態とすることができるとともに、各ストラップ11、12、13、14、21、22、23、24の長さを調整することで着用者の体格に合わせた上衣1を提供することができる。このように、前身頃10と後身頃20とが接続された上衣1は、袖のないベスト状の上衣を構成する。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係る上衣の断面図であり、(a)は
図2中の矢視IIIa−IIIaからみた断面図、(b)は
図2中の矢視IIIb−IIIbからみた断面図である。
図4は、本発明の実施形態に係る上衣に設けられた移動式浮体を示す図であり、(a)は後方からみた図、(b)は前方からみた図である。
【0022】
前身頃10は、
図3(a)に示すように、前方から、外面布51、プレート収容布52、浮体収容布54、及び内面布55が、これらの順に積層されており、前身頃10の左右側面には、側面布53が設けられている。外面布51とプレート収容布52との間には防弾プレート16が収容されている。また、プレート収容布52と浮体収容布54との間には移動式浮体40が収容されている。また、プレート収容布54と内面布55との間には固定式浮体17が収容されている。これにより、前身頃10の内部には、前方から防弾プレート16、移動式浮体40、固定式浮体17の順に設けられている。
【0023】
防弾プレート16は、例えば、セラミック製であり、前身頃10の形状に沿うように、正面視して8角形の形状に形成されている。防弾プレート16は、銃から発射された弾丸の侵入を阻止する。なお、防弾プレート16の材質としては、セラミック製のものに限定されず、例えば、アラミド繊維や強化ポリエチレン繊維等を接着樹脂等で結合することで形成してもよい。このように、防弾プレート16が収容された上衣1は、いわゆる防弾衣として機能する。
【0024】
図4に示すように、移動式浮体40は、気室袋41と、気室袋41の内部に連通した通気管42と、気室袋41に縫い付けられた基布43と、基布43に縫い付けられた引上用ストラップ44及び引下用ストラップ45とから構成されている。
【0025】
気室袋41は、通気管42を介して空気が吹き込まれて、気室41a(
図3(a))に空気を収容する。これにより、気室袋41は膨張する。
【0026】
通気管42は、気室袋41の内部にまで連通し、先端には息を吹き込むための吹込口42aが形成されている。着用者は、吹込口42aから息を吹き込むことにより、気室袋41に空気を注入することができる。また、通気管42の途中には、逆止弁42bが設けられている。この逆止弁42bにより、気室袋41に注入された空気の外部への流出を防止することができる。なお、通気管42に設けられたキャップ(不図示)を押圧し、逆止弁42bを押し上げることにより、気室袋41の内部に注入された空気を外部へ排出することができる。
【0027】
基布43は、気室袋41に縫い付けられた布体から構成されている。基布43には、移動式浮体40を上下方向に移動させることが可能な引上用ストラップ44及び引下用ストラップ45が取り付けられている。基布43は、気室袋41の膨張によっても大きく変形することがなく、引上用ストラップ44及び引下用ストラップ45に作用する引張力に十分に耐え得るだけの、十分な強度(厚み)を有する布体から構成されている。引上用ストラップ44は、一端が基布43に縫い付けられた紐体である。また、引下用ストラップ45は、両端が基布43に縫い付けられた紐体である。引下用ストラップ45は、上衣1の着用者が起立状態にある場合には、略Uの字状に垂れ下がった状態となる。なお、移動式浮体40の使用方法については後述する。
【0028】
固定式浮体17は、例えば、発泡ポリエチレンから形成されており、水中において浮力を作用させる。固定式浮体17は、上述したように、前身頃10の浮体収容布54と内面布55との間に収納されており、前身頃10に対して移動させることはできない。
【0029】
後身頃20は、
図3(b)に示すように、前方から、外面布56、プレート収容布57、浮体収容布59、及び内面布60が、これらの順に積層されており、前身頃10の左右側面には、側面布58が設けられている。外面布56とプレート収容布57との間には防弾プレート26が収容されている。また、プレート収容布59と内面布55との間には固定式浮体27が収容されている。一方、後身頃20には、前身頃10に挿入される移動式浮体40は設けられていない。このように、後身頃20の内部には、後方(外側)から防弾プレート26、固定式浮体27の順に設けられている。なお、防弾プレート26及び固定式浮体27は、前身頃20に設けられているものと同様であるため、その詳細については説明を省略する。
【0030】
なお、前身頃10の側面布53、及び後身頃20の側面布58は、メッシュ加工が施されており、その表面には複数の孔(不図示)が形成されている。これにより、着用者が水中から出た際、前身頃10及び後身頃20内の水を速やかに排出することができる。例えば、海や河川等から島嶼部に上陸した際、速やかに上衣1内の水を排出することができるため、上陸後の行動に支障を生じさせにくくすることができる。
【0031】
図3(a)、(b)に示すように、前身頃10及び後身頃20において、固定式浮体17、27を、防弾プレート16、26よりも人体側に配置している。これにより、銃から発射された弾丸が防弾プレート16、26に当たった際の衝撃を固定式浮体17、27で低減することができる。これにより、より確実に着用者の身体を防護することができる。
【0032】
なお、前身頃10に設けられた固定式浮体17は、防弾プレート16と合わせた比重が、水の比重と同等となるように、材質や寸法等が決定されている。すなわち、防弾プレート16と固定式浮体17とを合体させると、水中で浮きも沈みもしない中性浮力を作用させる。別の表現で記載すると、固定式浮体17は、防弾プレート16との組み合わせに作用する重力と、この組み合わせに作用する浮力と、を釣り合わせる比重を有している。同様に、後身頃20に設けられた固定式浮体27も、防弾プレート26と合わせた比重が、水の比重と同等となるように、材質や寸法が決定されている。すなわち、防弾プレート26と固定式浮体27とを合体させると、水中で浮きも沈みもしない中性浮力を作用させる。これにより、上衣1の着用者が水中に潜入した際、防弾プレート16、26の重さを感じさせずに、水中での動作を容易なものとすることができる。
【0033】
このように、本実施形態に係る上衣1を着用することにより、水中において防弾プレート16、26の重量を感じさせずに、水中での動作を容易にすることができるとともに、水中から陸に上がると速やかに内部の水を排出することができるので、陸上での速やかな行動を可能にする。なお、固定式浮体17、27に、着用者の体を浮かび上がらせる程度の浮力を作用させた場合、水中での動作に慣れた者にとっては、却って水中での動作がしづらくなる。そこで、本実施形態に係る上衣1においては、固定式浮体17、27に、防弾プレート16、26の重量を感じさせない程度の浮力を作用させるようにしている。
【0034】
図5は、本発明の実施形態に係る上衣の図であり、
図2中の矢視V−Vからみた図である。また、
図6は、本発明の実施形態に係る上衣に設けられた移動式浮体の使用状況を示した図であり、(a)は移動式浮体が前身頃の下部に位置した状況を示した図、(b)は移動式浮体が前身頃の上部に位置した状況を示した図である。
【0035】
図5に示すように、前身頃10の下面には、メッシュ加工が施された下面布61が設けられている。これにより、水中から上陸した際に前身頃10内部にある水が速やかにメッシュ孔(不図示)から外部へ排出される。また、前身頃10の下面には、防弾プレート16及び移動式浮体40を挿入するための開口61aが形成されている。この開口61aは、外面布51の端辺と下面布61の端辺とで形成されている。防弾プレート16は、外面布51とプレート収容布52との間に形成された収容部51a(
図3)に下面から挿入され、図示しない面ファスナで閉じられている。
【0036】
また、外面布51には、面ファスナのオス面62が縫い付けられているとともに、下面布61には、面ファスナのメス面63が縫い付けられている。このオス面62とメス面63とが貼り合わされることにより、内部に挿入された移動式浮体40の抜け落ちが防止される。なお、前身頃10の内部に挿入された移動式浮体40の引上用ストラップ44は、前身頃10に形成されたストラップ挿通孔10a(
図6)に挿通され、前身頃10の前方に垂れ下がった状態にある(
図1)。一方、移動式浮体40のU字状の引下用ストラップ45は、貼り合わされた面ファスナのオス面62及びメス面63の両サイドから飛び出して、垂れ下がった状態にある(
図1)。これにより、着用者は、前身頃10から飛び出した、引上用ストラップ44を手に取って引き上げ、あるいは、引下用ストラップ45を手に取って引き下げることで、移動式浮体40を前身頃10内で上下方向に移動させることができる。
【0037】
図6(a)に示すように、移動式浮体40が前身頃10の下部に位置する場合、移動式浮体40は、着用者の重心近傍である腹部に位置する。そのため、着用者が、水泳移動のためにうつ伏せの状態にある場合、着用者の重心に浮力が作用することになる。そのため、着用者は浮力の補助を受けて、容易に島嶼部等に向けて水泳移動を行うことができる。なお、引上用ストラップ44は、移動式浮体40が前身頃10の下部に位置する場合であっても、その一部がストラップ挿通孔10aから飛び出るだけの十分な長さが確保されている。
【0038】
図6(a)に示す移動式浮体40の位置から、引上用ストラップ44を手に持って引き上げることにより、
図6(b)に示すように、移動式浮体40を前身頃10の上部に移動させることができる。この時、移動式浮体40は、着用者の胸の位置あたりに位置する。この時、着用者は、立ち泳ぎ等の立位の姿勢を容易にとることができ、これにより、水中からの射撃を容易に行うことができる。なお、着用者は、引下用ストラップ45を手に持って引き下げることにより、
図6(a)に示すように、移動式浮体40を前身頃10の下部にまで移動させることができる。なお、引下用ストラップ45は、移動式浮体40が前身頃10の上部に位置する場合であっても、その一部が前身頃10の下方へ飛び出るだけの十分な長さが確保されている。
【0039】
このように、着用者が、引上用ストラップ44及び引下用ストラップ45を把持して、移動式浮体40を前身頃10内で上下移動させることで、水中姿勢に適した浮力を得ることが可能となる。これにより、着用者の水中での種々の動作を容易に行うことが可能となる。
【0040】
なお、上衣1の着用者は、移動式浮体40による浮力を必要とする場合に、通気管42の吹込口42aから空気を吹き込み、気室袋41を膨張させればよい。上述したように、気室袋41に吹き込まれた空気は、逆止弁42bにより外部への排気が防止される。
【0041】
また、着用者は、上衣1による浮力が必要なくなった場合には、通気管42に設けられたキャップ(不図示)を押圧し、逆止弁42bを押し上げることにより、内部に注入された空気を排気可能な状態とすることができる。これにより、着用者が気室袋41を押圧することで内部の空気を排気することができるとともに、着用者が横臥状態となることで、自然に排気され、気室袋41は縮小する。そのため、着用者の動作に影響を与えることを抑制することができる。
【0042】
なお、
図3(a)に示すように、移動式浮体40は、基布43が防弾プレート16側となるように配されている。上述したように、基布43は、気室袋41の膨張によっても大きく変形することがなく、引上用ストラップ44及び引下用ストラップ45に作用する引張力に十分に耐え得るだけの、十分な強度(厚み)を有している。そのため、気室袋41が膨張したとしても、基布43は大きく変形することなく、これにより、特に、防弾プレート16の凹凸に基布43が引っ掛かるのを抑制することができる。すなわち、基布43は、移動式浮体40が移動する際の引掛り抑制体として機能する。これにより、移動式浮体40を前身頃10内でスムーズに上下動させることが可能となる。
【0043】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る上衣1においては、固定式浮体17、27を設け、防弾プレート16、17と合体させた際に中性浮力が作用するようにしている。これにより、上衣1の着用者が水中に潜入した際、防弾プレート16、26の重さを感じさせずに、水中での動作を容易なものとすることができる。そのため、島嶼部に向けて容易に水泳によって移動することが可能となる。
【0044】
また、前身頃10及び後身頃20の側面及び下面を形成する布体(側面布53、側面布58、下面布61)を、複数の孔を有するメッシュ素材の布体から構成している。これにより、海や河川等から上陸した際に前身頃10及び後身頃20内部にある水を速やかに外部へ排出することができる。これにより、上陸後の行動を容易なものとすることができる。
【0045】
また、前身頃10及び後身頃20において、固定式浮体17、27を、防弾プレート16、26よりも人体側に配置している。これにより、銃から発射された弾丸が防弾プレート16、26に当たった際の衝撃を固定式浮体17、27で低減することができる。これにより、より確実に着用者の身体を防護することができる。
【0046】
また、前身頃10内に移動式浮体40を設け、着用者が、引上用ストラップ44及び引下用ストラップ45を把持して、移動式浮体40を前身頃10内で上下移動させることで、水中姿勢に適した浮力を得ることが可能となる。これにより、着用者の水中での種々の動作を容易に行うことが可能となる。そのため、例えば、島嶼部に向けての水泳移動が容易になるとともに、水中での射撃を容易に行うことができる。
【0047】
また、移動式浮体40の気室袋41内に連通する通気管42を設け、この通気管42に逆止弁42bを設けることにより、内部の空気の漏出を防止することができる。また、通気管42に設けられたキャップで逆止弁42bを押圧することで、内部の空気を自然に排出することができる。これにより、必要な時のみに、移動式浮体40の浮力を得ることができ、必要のないときには縮小させて、着用者の動きを容易なものとすることができる。
【0048】
また、移動式浮体40の基布43を十分な強度(厚み)を有する布体から構成し、基布43が防弾プレート16側となるように移動式浮体40を前身頃10に挿入することにより、防弾プレート16の凹凸に基布43が引っ掛かるのを防止することができる。これにより、移動式浮体40を前身頃10内でスムーズに上下動させることが可能となる。
【0049】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記の実施形態では、前身頃及び後身頃に設けられた固定式浮体は、防弾プレートと合わせた比重が、水の比重と同等となるように、材質や寸法等が決定されていると説明した。ここで、水とは、上衣1が使用される場所を想定して決定することができ、例えば、海水であったり、河川や湖沼等の水であったりしてもよい。
【0050】
また、固定式浮体の比重を、例えば、防弾プレートを収容した上衣の比重が水の比重と同等となるように、その材質や寸法等を決定していもよい。また、ユーザの求めに応じて、固定式浮体により大きな浮力を作用させるようにしてもよいし、より小さな浮力を作用させるようにしてもよい。いずれの場合であっても、固定式浮体の浮力により、水中での動作を容易なものとすることができる。
【0051】
また、上記の実施形態では、移動式浮体を、前身頃のみに設けていたが、後身頃にも設けるようにしてもよい。この場合、例えば、海上で漂流した際に、後方から浮力を受けることにより、海面上に容易に浮遊することができる。また、引上用ストラップ及び引下用ストラップを引っ張ることで、移動式浮体の位置を調整して、適切な位置に浮力を作用させることができる。
【0052】
また、移動式浮体に設けられた基布は、十分な強度(厚み)を有する布体から構成されていると説明したが、他の材質のものから構成していもよい。例えば、合成樹脂製とするなど、プレート収容布との摩擦係数を小さくした種々の摺動材から構成してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、前身頃及び後身頃に、防弾プレートと、固定式浮体を設けた。しかしながら、前身頃及び後身頃のうち、一方のみに、防弾プレートと、固定式浮体を設けるようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、防弾プレート、固定式浮体、及び移動式浮体が設けられた上衣について説明したが、これらの構成要素の組み合わせを適宜変更することも可能である。例えば、防弾プレートを有さず、固定式浮体及び移動式浮体を有する上衣を用いてもよい。この場合であっても、移動式浮体を上下移動させることで、水中姿勢に適した浮力を得ることが可能となる。このとき、固定式浮体に、着用者を水面に浮かばせる程度の浮力を作用させるようにして、上衣にいわゆる救命胴衣のような機能を付加することも可能である。
【0055】
あるいは、移動式浮体のみを前身頃に設けられた上衣であってもよい。この場合であっても、さらなる浮力が必要な時に、移動式浮体を膨らませることができる。また、膨張した移動式浮体を上下移動させることで、水中姿勢に適した浮力を得ることが可能となる。
【0056】
また、上記実施形態では、前身頃において、固定式浮体と防弾プレートとの間に移動式浮体を設けたが、移動式浮体の位置については他の位置であってもよい。例えば、前身頃の前面に設ける構成であってもよいし、前身頃の後面(着用者と接触する面)に設ける構成であってもよい。この場合、前身頃の前面あるいは後面に、引上用ストラップ及び引下用ストラップを通すためのループ紐を縫い付けておけばよい。
【0057】
また、上記実施形態では、人が上半身に着用する上衣について説明したが、これは、人が着用する衣服のうち、上半身側の機能に着目して説明したからである。そのため、下半身側の衣服については、特に説明をしなかったが、例えば、上衣と下衣とが一体となった衣服のうち、上衣が上記の特徴を有する衣服も、本発明の範囲に含まれるものとする。