(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バッテリによる第1の補助電源装置と、前記第1の補助電源装置と商用電源と対応する負荷との接続を制御する第1の入出力制御部とによる第1のバックアップ電源システムと、
前記第1の入出力制御部を制御する上位コントローラとを備え、
前記第1の入出力制御部は、
前記第1の補助電源装置からの電力又は前記商用電源の電力を選択的に対応する負荷に出力する出力側の制御リレーと、
前記補助電源装置への前記商用電源の電力の入力を遮断する入力側の制御リレーと、
少なくとも前記入力側及び出力側の制御リレーを制御する下位コントローラとを備える電源システムにおけるバックアップ電源システムの増設方法において、
バッテリによる第2の補助電源装置と、前記第1の入出力制御部に対応する第2の入出力制御部とを備えた第2のバックアップ電源システムに、対応する負荷を接続すると共に、
前記第2のバックアップ電源システムを、前記第1のバックアップ電源システムと並列に前記商用電源に接続し、
前記上位コントローラによる、前記第1及び第2のバックアップ電源システムの下位コントローラを介した前記第1及び第2の入出力制御部の制御により、
前記商用電源の停電時、
前記第1及び第2のバックアップ電源システムの少なくとも1方で、
前記入力側の制御リレーで前記商用電源の電源網と補助電源装置との接続を遮断した状態で、対応する前記補助電源装置のバッテリに充電した電力により負荷を駆動する
バックアップ電源システムの増設方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで既設の太陽光発電システム等においては、設置後、バックアップ電源システムの容量の増大を希望することも予測される。この場合、バックアップ電源システムに係るバッテリセルの増設により対応することが考えられる。しかしながらこの種のバックアップ電源システムでは、各バッテリセルに設けられた充放電制御回路を上位の充放電制御回路により制御していることにより、単純にバッテリセルを増設することが困難であり、これにより簡単に容量を増大させることが困難な問題がある。
【0007】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、バッテリによるバックアップ電源システムを備えた電源システムにおいて、簡易にバックアップ電源システムの容量を増大できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、バックアップ電源システムを複数系統設けて各系統に負荷を振り分ける、との着想により本発明を完成するに至った。
【0009】
(1) バッテリによる第1及び第2の補助電源装置と、
前記第1の補助電源装置と、商用電源と、対応する負荷との接続を制御する第1の入出力制御部と、
前記第2の補助電源装置と、商用電源と、対応する負荷との接続を制御する第2の入出力制御部と、
前記第1及び第2の入出力制御部を制御する上位コントローラとを備え、
前記第1及び第2の入出力制御部は、
対応する補助電源装置からの電力又は前記商用電源の電力を選択的に対応する負荷に出力する出力側の制御リレーと、
前記補助電源装置への前記商用電源の電力の入力を遮断する入力側の制御リレーと、
少なくとも前記入力側及び出力側の制御リレーを制御する下位コントローラとをそれぞれ備え、
前記上位コントローラによる前記下位コントローラを介した前記第1及び第2の入出力制御部の制御により、
前記商用電源の停電時、
前記第1及び第2の入出力制御部の少なくとも1方で、
前記入力側の制御リレーで前記商用電源の電源網と補助電源装置との接続を遮断した状態で、前記補助電源装置のバッテリに充電した電力により前記負荷を駆動する電源システム。
【0010】
(1)によれば、補助電源装置と入出力制御部とによるバックアップ電源システムを複数系統設けて各系統に負荷を振り分けることにより、商用電源に対して、第1の入出力制御部と並列に第2の入出力制御部を接続すると共に、この第2の入出力制御部に負荷を接続し直すだけで、第1及び第2の補助電源装置に係る複数系統のバックアップ電源システムを設けることができ、これにより簡易にバックアップ電源システムの容量を増大させることができる。また上位のコントローラにより全体を統括して制御できることにより、このようにバックアップ電源システムを複数系統設けて各系統に負荷を振り分けた場合でも、何らバックアップ電源システムの系統を意識させることなく種々の設定を受け付けることができ、これにより使い勝手を向上することができる。またこのような構成の前提として、第1及び第2の入出力制御部において、出力側の制御リレーと、入力側の制御リレーとにより、商用電源の停電時、商用電源網より切り離して補助電源装置の電力により負荷を駆動することができ、これらにより簡易な接続により複数系統のバックアップ電源システムを設けることができる。
【0011】
(2) (1)において、
前記商用電源が停電していないとき、
前記第1及び第2の入出力制御部の少なくとも1方で、
夜間の商用電源により、前記入力側の制御リレーを介して前記商用電源を前記対応する補助電源装置に供給して前記商用電源により前記対応する補助電源装置のバッテリを充電し、
少なくとも昼間、前記対応する補助電源装置のバッテリに充電した電力により前記負荷を駆動する電源システム。
【0012】
(2)によれば、商用電源の夜間電力によりバッテリを充電すると共に、この充電した電力により負荷を駆動することにより、電力を有効に利用することができる。また上位のコントローラにより全体を統括して制御できることにより、このように複数系統のバックアップ電源システムを使用して商用電源の夜間電力を利用する場合に、スケジュールの設定操作等を簡略化することができる。
【0013】
(3) (2)において、
前記上位コントローラは、
前記第1及び第2の入出力制御部の対応する負荷を一覧表示し、
ユーザによる選択操作により表示を切り替え、
対応する負荷に対する第1及び第2の補助電源装置のバッテリによる駆動のスケジュールの設定を受け付け、
当該スケジュールに従って、対応する負荷に電力を出力する電源システム。
【0014】
(3)によれば、より具体的構成により、複数系統のバックアップ電源システムを使用して商用電源の夜間電力を利用する場合に、ユーザによる設定操作を簡略化することができる。
【0015】
(4) (1)、(2)、(3)の何れかにおいて、
前記上位コントローラは、
前記第1及び第2の入出力制御部の対応する負荷を一覧表示し、
ユーザによる選択操作により表示を切り替え、
前記商用電源の停電時における対応する負荷に対する第1及び第2の補助電源装置のバッテリによる駆動の可否を受け付け、
当該可否に従って、前記商用電源の停電時、対応する負荷に電力を出力する電源システム。
【0016】
(4)によれば、停電時、所望する負荷を選択的に駆動することができ、使い勝手を向上することができる。
【0017】
(5) (1)、(2)、(3)、(4)の何れかにおいて、
前記上位コントローラは、
前記第1及び第2の入出力制御部の対応する補助電源装置を選択可能に一覧表示し、
ユーザによる選択操作により対応する補助電源装置に対する充放電の設定を受け、
該受け付けた設定に従って前記第1及び第2の補助電源装置のバッテリを充放電制御する電源システム。
【0018】
(5)によれば、複数系統のバックアップ電源システムに係る充放電制御の設定を簡略化することができる。
【0019】
(6) バッテリによる第1の補助電源装置と、前記第1の補助電源装置と商用電源と対応する負荷との接続を制御する第1の入出力制御部とによる第1のバックアップ電源システムと、
前記第1の入出力制御部を制御する上位コントローラとを備え、
前記第1の入出力制御部は、
前記第1の補助電源装置からの電力又は前記商用電源の電力を選択的に対応する負荷に出力する出力側の制御リレーと、
前記補助電源装置への前記商用電源の電力の入力を遮断する入力側の制御リレーと、
少なくとも前記入力側及び出力側の制御リレーを制御する下位コントローラとを備える電源システムにおけるバックアップ電源システムの増設方法において、
バッテリによる第2の補助電源装置と、前記第1の入出力制御部に対応する第2の入出力制御部とを備えた第2のバックアップ電源システムに、対応する負荷を接続すると共に、
前記第2のバックアップ電源システムを、前記第1のバックアップ電源システムと並列に前記商用電源に接続し、
前記上位コントローラによる、前記第1及び第2のバックアップ電源システムの下位コントローラを介した前記第1及び第2の入出力制御部の制御により、
前記商用電源の停電時、
前記第1及び第2のバックアップ電源システムの少なくとも1方で、
前記入力側の制御リレーで前記商用電源の電源網と補助電源装置との接続を遮断した状態で、対応する前記補助電源装置のバッテリに充電した電力により負荷を駆動するバックアップ電源システムの増設方法。
【0020】
(6)によれば、商用電源に対して、第1のバックアップ電源システムと並列に第2のバックアップ電源システムを接続すると共に、この第2のバックアップ電源システムに対応する負荷を接続するだけで、第2のバックアップ電源システムを追加することができ、これにより簡易にバックアップ電源システムの容量を増大させることができる。またこのような構成の前提として、入出力制御部において、出力側の制御リレーにより、商用電源の停電時、商用電源網より切り離してバッテリの電力により負荷を駆動することができ、これらにより簡易な接続により複数系統のバックアップ電源システムを設けることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、バッテリによるバックアップ電源システムを備えた電源システムに関して、簡単にバックアップ電源の容量を増大することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。この太陽光発電システム1は、一般住宅等に設置され、売電及び買電用の電力メータ2を介して商用電源網3に接続される。この太陽光発電システム1は、バッテリによる補助電源装置14を使用したバックアップ電源システムHが設けられ、このバックアップ電源システムHによりバックアップ電源が構成される。
【0024】
ここでこのバックアップ電源システムHは、補助電源装置14、制御用分電盤10及び当該制御用分電盤10に設けられた制御リレー11C、11D、安全ブレーカ18C、18D、漏電ブレーカ19、コントローラ17、制御リレー12、切替スイッチ13、コンセント20及びプラグ21等により構成される。
【0025】
制御用分電盤10は、局所発電設備である太陽光パネル15と、商用電源網3と、この制御用分電盤10に割り振られた対応する負荷9C、9Dとの接続を制御する入出力制御部である。また補助電源装置14は、それぞれ充放電制御回路を備えた充放電可能なバッテリセルを直並列接続して、所望の容量、電圧により電力を充放電できるように構成されたバックアップ用の電源装置であり、各バッテリセルに設けられた充放電制御回路の動作を、入力電圧等に応じて上位の充放電制御回路により制御することにより、バッテリセルの過放電、過充電、異常発熱等を有効に回避して充放電の処理を実行する。
【0026】
この太陽光発電システム1に係る住宅は、一般家庭用の分電盤である家庭用分電盤4が設けられる。この家庭用分電盤4は、売電を実施しない場合に設けられる分電盤と同様に、契約ブレーカ5、漏電ブレーカ6、安全ブレーカ7A〜7Eが設けられる。契約ブレーカ5は、契約電流以上の電流の流出入により商用電源網との接続を遮断するブレーカであり、電力メータ2を介して商用電源網3に接続される。
【0027】
漏電ブレーカ6は、契約ブレーカ5、連系用ブレーカ8に接続され、漏電等による過大な電流により契約ブレーカ5、連系用ブレーカ8との接続を遮断する。安全ブレーカ7A〜7Eは、それぞれ漏電ブレーカ6に接続され、設定電流を超える過大電流により漏電ブレーカ6との接続をそれぞれ遮断する。太陽光発電システム1は、安全ブレーカ7A、7B、7C、7Dがそれぞれこの家庭に設けられた各種家電製品等の負荷9A、9B、9C、9Dに接続される。
【0028】
これによりこの太陽光発電システム1は、電力メータ2、契約ブレーカ5、漏電ブレーカ6、安全ブレーカ7A、7B、7C、7Dを順次介して商用電源網3からの電力を負荷9A、9B、9C、9Dに供給する。なお負荷9A〜9Dのうち負荷9C、9Dは、商用電源が停電した場合に著しく不便を感じる室内照明等であり、後述する制御用分電盤10に設けられた制御リレー11C、11Dを介して安全ブレーカ7C、7Dに接続され、これにより制御リレー11C、11Dの制御により別途、商用電源網との接続を制御できるように構成される。
【0029】
これに対して安全ブレーカ7Eは、制御リレー12、切替スイッチ13を介して補助電源装置14に接続され、これによりこの太陽光発電システム1は、商用電源を補助電源装置14に供給できるように構成される。ここで補助電源装置14は、制御用分電盤10に設けられたコントローラ17の制御により動作を切り替え、内蔵のバッテリへの充電により電力を蓄積し、またこのバッテリの放電により蓄積した電力を出力する。これによりこの太陽光発電システム1は、商用電源の電力で補助電源装置14を充電でき、また充電した電力を送出できるように構成される。
【0030】
この太陽光発電システム1において、太陽光パネル15は、例えば屋根等に設置され、太陽光による電力を出力する。パワーコンディショナー16は、後述するコントローラ42の制御により動作を切り替え、太陽光パネル15の電力による補助電源装置14の充電時、太陽光パネル15から出力される電力を切替スイッチ13を介して補助電源装置14に出力する。また売電時、パワーコンディショナー16は、系統連系により太陽光パネルから出力される電力を連系用ブレーカ8を介して契約ブレーカ5に出力する。しかして連系用ブレーカ8は、パワーコンディショナー16からの過大な電流の流出により接続を遮断するブレーカである。なおパワーコンディショナー16は、当該パワーコンディショナー16の筐体に設けられたスイッチの操作、コントロール端末42の制御により、自立発電モードにより系統連係の動作を停止して商用電源と同等の電圧、周波数による電力を切替スイッチ13に出力する。
【0031】
切替スイッチ13は、コントローラ17の制御により接点を切り替え、補助電源装置14の商用電源による充電時、制御リレー12から出力される電力を補助電源装置14に出力し、また補助電源装置14の太陽光パネル15の電力による充電時、パワーコンディショナー16から出力される電力を補助電源装置14に出力する。
【0032】
制御リレー12は、通常は、安全ブレーカ7Eと切替スイッチ13とを接続するのに対し、商用電源の停電時、コントローラ17の制御によりこの接続を遮断する。
【0033】
制御用分電盤10は、この住宅に太陽光発電システム1を設置する際に設置されるに分電盤であり、制御リレー11C、11D、安全ブレーカ18C、18D、漏電ブレーカ19、コントローラ17が設けられる。ここで漏電ブレーカ19には、補助電源装置14から電力が供給され、この電力に係る電流が過大になると、接続を遮断する。安全ブレーカ18C、18Dは、漏電ブレーカ19をそれぞれ制御リレー11C、11Dに接続し、事前に設定されている電力を超える過大な電流により接続を遮断する。制御リレー11C、11Dは、それぞれコントローラ17の制御により動作を切り替え、安全ブレーカ7C、7Dから出力される商用電源による電力、補助電源装置14から出力されるバッテリによる電力を選択的に負荷9C、9Dに出力する。
【0034】
なおこの実施形態において、補助電源装置14の入力側には切替スイッチ13からの電力を出力するコンセント20が設けられており、また制御用分電盤10にはプラグ21を介して補助電源装置14からの電力を入力するように構成されている。これにより太陽光発電システム1は、プラグ21をコンセント20に差し替えてパワーコンディショナー16からの電力を負荷9C、9Dに出力できるように構成される。
【0035】
なお補助電源装置14は、各バッテリセルの充放電回路に、ダイオード等により逆流を防止する構成が設けられており、例えば商用電源により充電する際に、商用電源が一時的に電圧降下した場合、さらには補助電源装置14で異常が発生した場合等に、この異常が拡大しないように、さらにはこの異常により故障が発生して拡大しないように、構成されている。
【0036】
〔接続形態〕
コントローラ17は、このバックアップ電源システムHの動作を制御するコンピュータである。この太陽光発電システム1に係る上位のコンピュータである上位のコントロール端末42による制御により、ユーザの設定に応じて全体の動作を切替える。なおコントロール端末42は、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等のコンピュータにより構成される。
【0037】
図2は、コントローラ17の制御により商用電源のみにより負荷9A〜9Dを駆動する場合の接続を示す図である。なおこの
図2及び以下において、電力の供給を極太線により示す。コントローラ17は、商用電源網3から電力が供給されている場合であって、かつ事前の設定により商用電源のみにより家庭内の電力をまかなうように設定されている場合、制御リレー11C、11Dの接点を家庭用分電盤4側に保持する。これによりこの太陽光発電システム1は、商用電源網3による電力を契約ブレーカ5、漏電ブレーカ6、安全ブレーカ7A〜7D、制御リレー11C、11Dを介して負荷9A〜9Dに供給する。
【0038】
またこのように商用電源のみにより負荷を駆動するようにして、商用電源により補助電源装置14のバッテリを充電しない場合には、制御リレー12及び又は切替スイッチ13の制御により補助電源装置14への商用電源の供給を停止制御するのに対し、商用電源により補助電源装置14のバッテリを充電する場合、
図2との対比により
図3に示すように、安全ブレーカ7Eを介して供給される商用電源を制御リレー12、切替スイッチ13を介して補助電源装置14に供給し、この電源により補助電源装置14のバッテリを充電する。
【0039】
また
図2との対比により
図4に示すように、太陽光パネル15の電力により負荷9A〜9Dを駆動する場合、パワーコンディショナー16を系統連係により動作するように設定して、太陽光パネル15の電力を、パワーコンディショナー16、連系用ブレーカ8を介して出力し、この電力を漏電ブレーカ6、安全ブレーカ7A〜7D、制御リレー11C、11Dを介して負荷9A〜9Dに供給する。またさらにこのようにして太陽光パネル15の電力により負荷9A〜9Dを駆動してさらに売電する場合、契約ブレーカ5、電力メータ2を介して余剰の電力を商用電源網3に出力する。
【0040】
また
図5に示すように、事前の設定により、補助電源装置14に充電した電力により一部の負荷9C、9Dを駆動する場合、制御リレー11C、11Dを補助電源装置14側に切替えると共に、補助電源装置14の動作を切替えて蓄積した電力を送出させる。なおこのとき他の負荷9A、9Bについては、商用電源、太陽光パネル15の電力により駆動する。このとき制御リレー12の制御により安全ブレーカ7Eと切替スイッチ13との接続を遮断する。
【0041】
図6は、この一連の接続の切り替えを示す図である。この
図6において、符号L1は、太陽光パネル15による発電量を示し、符号L2はこの家庭における消費電力を示す。この太陽光発電システム1は、電力料金の安い夜間電力により補助電源装置14を充電するようにして、電力料金の高い昼間、朝、晩においては、この補助電源装置14に充電した電力と太陽光パネル15の電力とにより負荷を駆動し、これにより電力消費の均一化を図る。
【0042】
このようにして商用電源の電力を部分的に使用して停電が発生すると、この太陽光発電システム1では、太陽光パネル15の電力のみにより負荷9C、9Dを駆動する。
図7及び
図8は、この停電時における接続を示す図である。この太陽光発電システム1は、家庭用分電盤4における電圧検出、電流検出等により商用電源の停電を検出できるように構成されており、コントローラ17は、停電の検出により制御リレー12の動作を制御し、安全ブレーカ7Eと切替スイッチ13との接続を遮断する。また事前に太陽光パネル15の電力により負荷を駆動するように設定されている場合、又は太陽光パネル15の電力が十分な場合、
図7に示すように、パワーコンディショナー16を自立運転により動作させ、太陽光パネル15の電力を切替スイッチ13を介して補助電源装置14に出力してバッテリを充電すると共に、この電力を漏電ブレーカ19、安全ブレーカ18C、18D、制御リレー11C、11Dを介して負荷9C、9Dに出力する。
【0043】
これに対してこのようにして太陽光パネル15の電力により負荷9C、9Dを駆動して、太陽光パネル15の電力が不足する場合、補助電源装置14におけるバッテリの充電を停止制御し、これにより太陽光パネル15の電力を負荷9C、9Dの駆動にのみ使用する。
【0044】
これに対して負荷9C、9Dの駆動にも太陽光パネル15の電力が不足する場合、
図8に示すように、切替スイッチ13の接続を切替えてパワーコンディショナー16と補助電源装置14の接続を遮断する。この状態で補助電源装置14の動作を切り替え、バッテリに充電した電力を漏電ブレーカ19、安全ブレーカ18C、18D、制御リレー11C、11Dを介して負荷9C、9Dに出力する。これにより太陽光パネル15の余剰の電力により補助電源装置14のバッテリを充電して、この充電した電力を夜間照明等に利用する。このようにして太陽光パネル15の電力により停電時負荷を駆動するようにして、この実施形態では、商用電源により補助電源装置14のバッテリを充電する系統を制御リレー12の制御により切断する。
【0045】
なおこれらにより補助電源装置14は、充電時(
図3)を除いて商用電源に接続されないことになるものの、この充電時、商用電源が電圧降下した場合、補助電源装置14が故障することも予測される。そこでこの実施形態において、コントローラ17は、商用電源の電圧、補助電源装置14における各バッテリセルの端子電圧、充電電圧、温度の異常を常時監視する。また異常の検出により、制御リレー12により商用電源への接続を遮断し、これにより各部の異常の発生、拡大を防止する。また負荷9C、9Dを駆動している場合には、異常の検出により、制御リレー11C、11Dにより負荷9C、9Dとの接続を遮断し、これにより負荷9C、9Dを保護すると共に、異常の拡大を防止する。
【0046】
コントローラ17は、タッチパネルを備えたコントロール端末42との間の無線通信により、当該コントロール端末42に各種の情報を表示し、これにより太陽光発電システム1の現在状態、売電量等をユーザに通知する。さらにコントローラ17は、このコントロール端末42におけるタッチパネルの操作により設定画面を表示させ、この設定画面により各種の設定を受け付ける。
【0047】
より具体的には、商用電源のみで負荷9A〜9Dを駆動する時間帯(
図2)、商用電源により補助電源装置14のバッテリを充電する時間帯(
図3)、太陽光パネル15の電力を売電する時間帯(
図4)、負荷9A〜9Dのうちの負荷9C、9Dについて補助電源装置14の電力により駆動する時間帯(
図5)の設定を受け付ける。また補助電源装置の電力により負荷を駆動する場合にあっては、負荷9C、9Dのそれぞれについて時間帯、駆動の有無を受け付ける。またこのようにバッテリを充電して利用する場合には、満充電量を基準にした充電量の設定を受け付ける。
【0048】
またさらにコントローラ17は、同様にして、停電時において太陽光パネル15、補助電源装置14により駆動する負荷(9C又は9D)の選択設定等を受け付ける。コントローラ17は、このようにして設定された条件に従って、各部の動作を制御して
図2〜
図8について上述したに全体の接続を切替える。
【0049】
以上の構成によれば、商用電源により直接に、さらには補助電源装置のバッテリを充電して負荷を駆動する構成において、商用電源の停電時、出力側の制御リレー11C、11D、切替スイッチ13側の制御リレー12により商用電源網と補助電源装置との接続を遮断することにより、従来に比して商用電源網との接続を簡略化することができる。
【0050】
またさらに商用電源が停電していないとき、夜間の商用電源により補助電源装置のバッテリを充電し、昼間、このバッテリに充電した電力により負荷を駆動するようにして、切替スイッチ13側の制御リレー12で商用電源網と切替スイッチ13との接続を遮断することにより、夜間電力により補助電源装置を充電して利用することができる。またこれらにより停電時、及び停電していない場合の双方において、補助電源装置14はバッテリの放電時、商用電力網から遮断されることになり、系統連係に係る構成を設けることなく補助電源装置14を構成することができ、その分、構成を簡略化することができる。より具体的に、補助電源装置14にあっては、商用電源との接続に係る構成である系統連係の構成を設けなくても良く、これにより構成を簡略化することができる。
【0051】
なおこれらにより停電時等において、商用電源網に接続された各機器に関する事故を防止して、速やかな商用電源の復帰を図ることができ、当該太陽光発電システム1に係る地域の電力供給の安定化に寄与することができる。
【0052】
〔バックアップ電源システムの増設〕
ところでこのように補助電源装置14によるバックアップ電源システムHを備えた太陽光発電システム1において、バックアップ電源システムの容量を増大する場合も予測される。この実施形態では、このようにバックアップ電源システムの容量を増大する場合、
図9に示すように、バックアップ電源システムHに対してバックアップ電源システムHAを増設する。またバックアップ電源システムH、HAに対する負荷9A〜9Dの割り当てを変更し、この変更に対応するように負荷9C、9Dをバックアップ電源システムHAに接続する。
【0053】
ここでこの増設に係るバックアップ電源システムHAは、既設のバックアップ電源システムHと同様に、バッテリによる補助電源装置14Aと、制御用分電盤10Aを備える。ここで補助電源装置14Aは、補助電源装置14と同様に、それぞれ充放電制御回路を備えた充放電可能なバッテリセルを直並列接続して、所望の容量、電圧により電力を充放電できるように構成されたバックアップ用の電源装置であり、各バッテリセルに設けられた充放電制御回路の動作を、入力電圧等に応じて上位の充放電制御回路により制御することによりバッテリセルの過充電、過放電、異常発熱等を有効に回避して充放電の処理を実行する。制御用分電盤10Aは、太陽光パネル15、商用電源網3と、この制御用分電盤10Aに割り振られた対応する負荷9A、9Bとの接続を制御する入出力制御部であり、制御用分電盤10と同様に、制御リレー11C、11D、安全ブレーカ18C、18D、漏電ブレーカ19、コントローラ17、制御リレー12、切替スイッチ13、コンセント20及びプラグ21等が設けられる。
【0054】
バックアップ電源システムHAは、既設のバックアップ電源システムHと並列に、太陽光パネル(パワーコンディショナー16)及び商用電源(家庭用分電盤4)に接続される。また負荷9A、9Bの接続の変更に対応して家庭用分電盤4との接続が変更され、それまで負荷9B、9Aが接続されていた安全ブレーカ7B、7Aに、制御用分電盤10Aの制御リレー11C、11Dを介して、これらの負荷9A、9Bが接続される。
【0055】
これによりこの実施形態では、バックアップ電源システムを複数系統設けて各系統に負荷が振り分けられる。これによりこの実施形態では、何らバッテリセルを配慮することなく、単に負荷の割り当てを変更して、既存のバックアップ電源システムHと並列にバックアップ電源HAを設けるだけで、簡単にバックアップ電源の容量を増大させることができる。またバックアップ電源の容量の減少にあっても、これとは逆にバックアップ電源システムの系統数を減少させて簡易に実行することができる。またバックアップ電源システムの交換にあっても、簡易に実行することができる。これらによりこの実施形態では、バックアップ電源の容量を簡易に変更することができる。
【0056】
〔コントロール端末による制御〕
このようにしてバックアップ電源システムHAを増設してなる太陽光発電システム1においては、上位のコントローラであるコントロール端末42により制御用分電盤10、10Aを纏めて制御し、これによりユーザに対してバックアップ電源システムを増設したことによる負担の増大を感じさせないようにユーザインターフェースを構成し、ユーザの使い勝手を向上する。
【0057】
すなわちコントロール端末42は、作業員、ユーザの操作によりメインメニュー画面を表示し、このメインメニュー画面にてバックアップ電源の設定に係るメニューが選択されると、バックアップ電源の系統数の入力画面を表示し、この入力画面にてバックアップ電源の系統数の入力を受け付ける。また同様にして各系統における負荷の系統数(制御リレー11A〜11Dの数である)の入力を受け付ける。なおこの場合に、制御用分電盤10、10Aに設けられたコントローラ17、17Aとの無線、有線によるデータ通信により、コントローラ17、17Aに係るバックアップ電源H、HAを認識してバックアップ電源及び負荷の系統数等をコントロール端末42で自動的に検出してもよい。
【0058】
このようにして系統数を入力して、負荷を駆動するスケジュール、停電時の設定のメニュー画面が選択されると、入力された系統数により、それまでのバックアップ電源システムHの各系統と、追加されたバックアップ電源システムに係る系統とを一覧表示し、各系統が何れの負荷に接続されているかの負荷の名称の設定、電源供給のスケジュールの設定等を受け付ける。
【0059】
すなわち
図10は、バックアップ電源システムHのみが設けられている状態の、この名称の設定及びスケジュールの設定画面を示す図である。この画面の例は、負荷を接続する制御リレー11C、11Dが5個設けられて、バックアップ電源システムHから5系統の負荷に電源を供給可能な例であり、この負荷の系統が接続先1〜接続先5により表示される。この表示画面の左端には、蓄電池1の表記が設けられ、これにより各接続先が第1のパックアップ電源システムHに係る接続先であることが明示されている。また各接続先には、作業員の操作により入力された名称が付され、この例では接続先1がリビングの照明であり、接続先2が冷蔵庫であることが示されている。またさらに各接続先に、バックアップ電源システムHから電源を供給する時間が示されている。また各系統の先頭には、停電時に電力を供給する系統であることを示すオン、又は停電時に電力を供給しない系統であることを示すオフが表示される。また続いて、電源容量の不足により順次電源の供給を停止する場合に、この電源を優先して供給する順位(優先順位)が数字により表示されている。
【0060】
この画面において、各系統に設けたれた「修正」のメニューが選択されると、コントロール端末42は、対応する系統の修正画面を表示し、補助電源装置の電力を供給する時間の設定及び変更、各系統の名称の設定及び変更、停電時における電源供給の有無の設定、電源の優先供給の順位設定を受け付ける。
【0061】
これに対して
図11は、バックアップ電源システムHAが追加された場合の、対応する設定画面を示す図である。この
図11の例では、バックアップ電源システムHAの追加によりバックアップ電源システムHAに設けられた2個の制御リレー11C、11Dにより2つの接続先が追加され、この追加された接続先が接続先6、7により示されている。またこの接続先が第2のバックアップ電源システムHAに係るものであることが、左端の蓄電池2の表示により示されている。この
図11は、この追加された接続先である接続先6、7に、系統の名称が何ら設定されていない状態であり、バックアップ電源システムHAからの電源供給が初期設定時間に設定されている。
【0062】
コントロール端末42は、この設定画面により、バックアップ電源システムH、HAの電力で負荷を駆動するスケジュ−ルの設定を受け付け、このスケジュールに従ってコントローラ17、17Aを介して制御用分電盤10、10Aを制御し、負荷9A〜9Dを駆動する。また停電時、優先的に電力を供給する。
【0063】
またコントロール端末42は、メインメニュー画面にてユーザが設定確認のメニューを選択すると、
図10及び
図11と同様の一覧表示を実行し、各負荷への電源供給のスケジュール等を確認できるようにする。またこの表示において、ユーザが修正のボタンを選択すると、各負荷の名称の変更、電源供給のスケジュールの変更等を受け付ける。
【0064】
これによりユーザにおいては、スケジュールの設定に関して、何らバックアップ電源システムの増設を考慮することなく使用することができ、ユーザの使い勝手を向上することができる。なおこのようにバックアップ電源システムを増設するようにして系統数を増大させるようにして、系統毎にスケジュールの設定を受け付けて駆動することにより、多くの系統を細かなスケジュールにより駆動することができる。具体的に、例えば第1〜第3のバックアップ電源システムを設けるようにして、第1〜第3のバックアップ電源システムでそれぞれ5系統、9系統、5系統の負荷を駆動する場合にあっては、全部で19系統の負荷の駆動を制御することができる。
【0065】
これに対してコントロール端末42は、バックアップ電源システムに係る設定画面において、補助電源装置14、14Aに係る設定メニューが選択されると、対応する設定画面を表示して容量等の設定を受け付ける。具体的に、
図12は、補助電源装置14、14Aの容量の設定を受け付けるメニュー画面であり、
図13は、補助電源装置14、14Aにおける最大放電時における残容量の設定を受け付けるメニュー画面である。
【0066】
コントロール端末42は、容量の設定画面において(
図12)、全体の容量(バックアップ電源システムH、HAの容量の加算容量)を棒グラフ状に表示し、さらに各バックアップ電源システムH、HAの容量を表示する。またこの表示における選択操作により容量の変更を受け付ける。またコントロール端末42は、同様にして、バッテリの使用割合の設定画面(
図13)を表示する。ここでこの設定画面にあっても、同様に、全体で放電を許容する割合を棒グラフ状に表示し、さらに各バックアップ電源システムH、HAについて、放電を許容する割合を表示する。またこの表示における選択操作により割合の変更を受け付ける。これによってもこの実施形態では、バックアップ電源の系統数を何ら考慮することなく、残容量を確認することができ、使い勝手を向上することができる。
【0067】
またコントロール端末42は、このようにして初期設定した後に、ユーザーが対応するメニュー画面を選択すると、これらの設定画面(
図11〜
図13)を表示し、設定の修正、変更を受け付ける。
【0068】
しかしてコントロール端末42は、このようにして実行された設定に基づいて、バックアップ電源システムH、HA毎に充放電制御の処理を実行する。より具体的に、
図11について上述したスケジュールに従ってバックアップ電源を供給するようにして、この
図12及び
図13で設定された残容量以上に容量が減少しないように、補助電源装置14、14Aからの電力の供給を停止制御し、これに代えて商用電源を供給する。また同様にしてバックアップ電源システムH、HA毎に売電の処理を実行し、この
図12及び
図13で設定された残容量以上に容量が減少しないように、売電の処理を中止する。このようにバックアップ電源システムH、HA毎に充放電制御の設定を受け付けて充放電制御することにより、より細やかに当該太陽光発電システムを制御して電力を有効利用することができる。なおこのようにバックアップ電源システム毎の残容量の設定により放電を中止する代わりに、全体の残容量の設定により放電を中止するようにしてもよく、何れかの方法を選択できるようにしてもよい。また補助電源装置14、14Aによる電力の供給停止を負荷単位で実行するようにしてもよい。
【0069】
また商用電源の使用が契約電力を超えそうになると、電源の優先供給の順位に従って(
図11)、順次段階的に負荷への商用電源の供給を停止し、またこれとは逆にこのように負荷への商用電源の供給を停止した状態で、契約電力に対して消費する商用電源に余裕が生まれると、電源の優先供給の順位に従って順次段階的に負荷への商用電源の供給を開始する。またこのようにして商用電源の供給を停止している負荷に対しては、バックアップ電源システムH、HAにより電源を供給する。
【0070】
具体的に、例えば商用電源の契約電力が30Aである場合に、この契約電力を超えそうになると、商用電源による駆動からバックアップ電源による駆動に順次切り替えて、またこれとは逆に契約電力に対して余裕が充分である場合に、バックアップ電源による駆動から商用電源による駆動に順次切り替えるようにして、効率良く商用電源を利用することができる。なおこのようにすることによりバックアップ電源システムにおけるバッテリの急激な容量低下を低減することができる。
【0071】
なおバックアップ電源システムの容量を減少させる場合にあっては、増設の場合と逆にバックアップ電源システムの1系統を撤去し、コントロール端末による設定を変更することにより対応することができる。またバックアップ電源システムの全部又は一部の交換にあっても、同様に対応することができ、これらによりバックアップ電源システムの容量を簡易に変更することができる。
【0072】
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更し、さらには従来構成と組み合わせることができる。
【0073】
すなわち上述の実施形態では、バックアップ電源を2系統設ける場合について述べたが、本発明はこれに限らず、3系統以上の複数系統設ける場合にも広く適用することができる。
【0074】
また上述の実施形態では、太陽光パネルと商用電源との電力を利用する太陽光発電システムに本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ガス、風力等による発電機構をさらに備えた太陽光発電システムにも広く適用することができる。また補助電源装置を備えていない、商用電源のみによる電源システムにも広く適用することができる。