(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流動床火炉は、燃焼室内で燃焼を行いながら流動する燃料および流動材によって散気管や当該散気管を支持するハウジングの支持部が熱せられると、支持部周辺における散気管の温度が上昇し、熱応力が高まってしまう。この結果、特に、特許文献1に記載された装置のように、散気管をハウジングによって片持ち支持する構造では、支持部周辺において散気管への応力負荷が大きくなり、流動床火炉内で散気管の姿勢を安定に維持することができずに、燃焼室内に空気を狙い通りに供給することができなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、燃焼室内に空気を吹き込む散気管の姿勢をより安定に維持することができる流動床火炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の流動床火炉は、空気を供給することにより燃料と流動材とを燃焼室内で流動混合させながら燃焼を行う流動床火炉であって、外部から供給された空気を前記燃焼室内に吹き込み可能な複数の空気供給孔を有する散気管と、底部と、前記底部に形成された支持孔と、前記底部から延出された前記散気管よりも大径の外筒部とを有し、前記外筒部が前記燃焼室内に向けて開口するように前記燃焼室の側壁に固定される有底筒状の支持部材と、前記支持部材の前記外筒部を冷却可能な冷却手段とを備え、前記散気管は、前記支持部材の前記支持孔に挿入支持され、前記散気管と前記外筒部との間には、間隙が形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明の流動床火炉では、燃焼室の側壁に固定された支持部材の底部に形成された支持孔に散気管が挿入支持され、散気管と外筒部との間には、間隙が形成される。また、支持部材の外筒部は、冷却手段により冷却される。これにより、散気管と外筒部との間に形成された間隙内に流動材が流入して、間隙がある程度詰まれば、燃焼により温度が上昇した流動材が間隙内に新たに流入しにくくなる。また、間隙内に流入した流動材は、外筒部を介して冷却手段によって冷却される。このように、比較的冷却されやすい流動材を散気管の支持部周辺に滞留させて、冷却手段によって流動材を効率良く冷却することで、支持部周辺における散気管の温度上昇、すなわち散気管の熱応力の高まりを良好に抑制し、支持部周辺で散気管が応力負荷に屈しないようにすることができる。従って、本発明の流動床火炉によれば、流動床火炉燃焼室内に空気を吹き込む散気管の姿勢をより安定に維持することが可能となる。なお、上記「間隙」は、内部に流動材が流入可能であり、かつ、一旦内部に流入した流動材が流出しにくくなる程度の厚みに形成される。
【0008】
また、前記燃焼室の前記側璧は、複数の冷却管と、隣り合う前記冷却管同士を連結する複数の連結部材とを有し、前記複数の冷却管および前記複数の連結部材は、前記支持部材の前記外筒部の周りを囲むように湾曲し、前記冷却手段は、前記支持部材の前記外筒部の周りを囲む前記冷却管であることが好ましい。このように、支持部材の外筒部を冷却する冷却手段として燃焼室の側壁を構成する複数の冷却管を用いることで、冷却手段を別途設ける必要がなくなるため、流動床火炉の簡易化を図ることができる。
【0009】
また、前記冷却管は、前記支持部材の前記外筒部の軸方向に沿って複数配置されることが好ましい。これにより、外筒部を介して散気管との間隙に流入した流動材をより良好に冷却し、支持部周辺における散気管の温度上昇、すなわち熱応力の高まりをより良好に抑制することができる。
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の流動床火炉は、空気を供給することにより燃料と流動材とを燃焼室内で流動混合させながら燃焼を行う流動床火炉であって、前記燃焼室の底板の下方に設けられ、外部から空気が供給される空気供給部と、前記空気供給部と連通し、前記空気供給部から供給された空気を前記燃焼室内に吹き込み可能な複数の空気供給孔を有する散気管とを備え、前記散気管は、前記複数の空気供給孔が形成された管部と、前記管部から突出して前記燃焼室の前記底板に固定されると共に、前記管部と前記空気供給部とを連通させる連通路が形成された支持部とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の流動床火炉では、複数の空気供給孔が形成された管部から突出する支持部において散気管が燃焼室の底板に固定される。これにより、散気管を燃焼室の側壁において支持する場合に比べて、散気管の支持部に生じる応力(自重を支えることにより生じる応力)を低減させることができる。また、散気管の支持部を燃焼室内で燃焼が行われる位置から離間させることができるため、支持部周辺における散気管の温度上昇、すなわち熱応力の高まりを良好に抑制することが可能となる。この結果、支持部周辺で散気管が応力負荷に屈しないようにすることができる。従って、本発明の流動床火炉によれば、流動床火炉の燃焼室内に空気を吹き込む散気管の姿勢をより安定に維持することが可能となる。
【0012】
また、前記散気管は、前記支持部を複数有することが好ましい。これにより、散気管の支持部周辺に生じる応力(自重を支えることにより生じる応力)をより低減させることができる。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の流動床火炉は、空気を供給することにより燃料と流動材とを燃焼室内で流動混合させながら燃焼を行う流動床火炉であって、前記燃焼室の底板は、外部から供給された空気を前記燃焼室内に吹き込み可能な複数の空気供給孔を有する複数の散気管と、隣り合う前記散気管同士を連結する複数の連結部材とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の流動床火炉では、外部から供給された空気を燃焼室内に吹き込み可能な複数の空気供給孔を有する複数の散気管が燃焼室の底板の一部を構成する。これにより、自重を支えることにより散気管に生じる応力を極めて良好に低減することができる。また、散気管を燃焼室内で燃焼が行われる位置から離間して配置することができるため、散気管の温度上昇、すなわち熱応力の高まりを良好に抑制することが可能となる。従って、本発明の第3の態様による流動床火炉によれば、流動床火炉の燃焼室内に空気を吹き込む散気管の姿勢をより安定に維持することができる。
【0015】
また、前記複数の空気供給孔は、前記散気管の軸方向に延びる側面に形成されており、前記連結部材は、前記散気管の高さ方向の中心よりも下方に設けられることが好ましい。これにより、複数の空気供給孔を散気管の側面に容易に形成することができ、複数の空気供給孔から散気管内に流動材が流入するのを良好に抑制することが可能となる。
【0016】
また、前記散気管は、前記複数の空気供給孔が形成された管部と、前記管部の下縁において該管部の軸方向に沿って延びると共に側方に突出する突出部とを有し、前記連結部材は、前記散気管の前記突出部であることが好ましい。このように、散気管と連結部材とを一体的に形成することにより、燃焼室の底板をより簡易に形成すると共に、底板の強度をより良好に確保することができる。
【発明の効果】
【0017】
流動床火炉は、流動床火炉の燃焼室内に空気を吹き込む散気管の姿勢をより安定に維持することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる流動床火炉の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる流動床火炉20を備えた流動層ボイラ10を示す概略図であり、
図2は、流動床火炉20を示す概略図である。流動層ボイラ10は、流動材(例えば、砂)と燃料(例えば、石炭)を流動混合させながら燃焼室21内で燃焼させる流動床火炉20に加えて、流動床火炉20から排出される燃焼ガスと流動材とを分離するサイクロン11と、サイクロン11に接続された排気通路12と、排気通路12の下流に配置された内部熱交換器13と、空気予熱器14と、集塵機15と、煙突16と、空気予熱器14からの空気を流動床火炉20へと導入する空気供給管17と、空気供給管17へと空気を供給する空気ファン18と、を備える。
【0021】
流動床火炉20は、
図1および
図2に示すように、燃焼室21と、燃料および流動材を流動混合させると共に燃焼用空気としても用いられる一次空気を燃焼室21内に供給する複数の散気管30とを含む。
【0022】
燃焼室21には、燃料供給部21aを介して燃料が供給される。なお、燃焼室21には、図示しないが、燃焼を開始させるための起動バーナや燃焼室21内へと二次空気、三次空気および四次空気を供給する複数の空気供給部、流動材を供給する流動材供給部等が設けられている。また、
図2に示すように、燃焼室21の底板211上には、耐火材22が全面に設けられている。
【0023】
複数の散気管30は、燃焼室21の底板211の近傍に、
図2における奥行方向に互いに間隔をおいて並ぶように設けられている。各散気管30は、燃焼室21の底板211に沿って延びるように、燃焼室21を構成する側壁212において片持ち支持される。また、各散気管30は、燃焼室21の側壁212を貫通して燃焼室21の外側に配置された吸気マニホールド24に接続されている。当該吸気マニホールド24には、
図1に示すように、空気供給管17が接続されており、空気予熱器14で加熱された高温の空気が空気供給管17を介して供給される。
【0024】
各散気管30は、
図2に示すように、側面に燃焼室21内へと一次空気を吹き込み可能な複数の空気供給孔30oが軸方向に沿って互いに間隔を空けて形成されている。本実施形態の複数の空気供給孔30oは、散気管30の高さ方向の略中央部において水平方向に開口するように形成される。これにより、複数の空気供給孔30oから散気管30内に燃焼室21内の流動材が流入するのが抑制される。なお、複数の空気供給孔30oは、水平方向に対して斜め下に向けて開口するものであってもよい。
【0025】
このように構成された流動床火炉20に対して、空気予熱器14により加熱された高温の空気が空気供給管17および吸気マニホールド24を介して複数の散気管30に導入され、各散気管30に形成された複数の空気供給孔30oから燃焼室21内に一次空気が供給されると、流動材と燃料とが流動混合されながら燃焼室21内において燃焼が行われる。燃焼により発生した燃焼ガスは、流動材と共にサイクロン12に導かれ、サイクロン12により燃焼ガスと流動材とに分離される。サイクロン12で分離された燃焼ガスは、排気通路12に導かれて内部熱交換器13及び空気予熱器14を通過し、流動床火炉20に導入する空気と熱交換を行なった後、集塵機15を通して飛灰等を除去した後、煙突16により大気に放出される。一方、サイクロン21で分離された高温の流動材は、
図1に示すように、流動床火炉20の燃焼室21内へと還流される。
【0026】
次に、流動床火炉20の燃焼室21内に設けられた複数の散気管30の支持構造について説明する。
図3は、流動床火炉20の要部を示す部分断面図である。
図3は、散気管30の支持部を鉛直方向上側(
図2における上側)からみた状態を示す。図示するように、本実施形態において、散気管30は、シール管40および支持部材50を介して燃焼室21の側壁212に固定される。
【0027】
流動床火炉20の燃焼室21は、側壁212を有する。側壁212は、燃焼室21の高さ方向に延びると共に内部を冷却媒体が流通する複数の冷却管212aと、隣り合う冷却管212a同士を連結する連結部材(フィン)212bとを有する。本実施形態の側壁212は、メンブレン式の水冷璧である。また、燃焼室21は、側壁212の外周面に保温材23を有する。側壁212には、各散気管30を挿通可能な複数の挿通孔212oが形成されている。各挿通孔212oは、
図3に示すように、複数の冷却管212aおよび複数の連結部材212bを湾曲させながら燃焼室21とは反対側に突出させた突出部212tを形成することによって形成される。本実施形態では、2つの冷却管212a、および、当該2つの冷却管212aに連結される連結部材212bを湾曲させて突出部212tを形成する。
【0028】
シール管40は、底部41と、底部41から延出される外筒部42とを有し、側壁212の突出部212tの周囲を外筒部42が覆うように配置される。シール管40は、外筒部42の底部41とは反対側の端部が複数の冷却管212aの一つに溶接されることにより、燃焼室21の側壁212に固定される。これにより、シール管40の外筒部42と冷却管212aとの間がシールされる。また、シール管40の底部41には、側壁212の挿通孔212oに対応する位置に挿通孔41oが形成されている。挿通孔41oは、本実施形態において、側壁212の挿通孔212oと同じ内径である。なお、挿通孔41oは、側壁212の挿通孔212oの内径よりも小さな内径であってもよい。
【0029】
支持部材50は、底部51と、底部51から延出されると共に当該底部51とは反対側で開口する散気管30よりも大径の外筒部52とを有する。支持部材50は、底部51が、燃焼室21の外側となる向きで配置され、外筒部52の底部51と反対側の面が燃焼室21内に向けて開口している。支持部材50は、側壁212の挿通孔212oおよびシール管40の挿通孔41oに挿入され、一部が挿通孔212oおよびシール管40の挿通孔41oよりも燃焼室21の内側に配置される。
【0030】
支持部材50の底部51には、散気管30を挿入支持可能な支持孔51oが形成されている。外筒部52は、支持部材50の取付状態において、その外周面が側壁212の挿通孔212oの内周面(すなわち、突出部212tにおいて互い対向する冷却管212aの外周面)、および、シール管40の挿通孔41oの内周面に当接する。また、外筒部52は、側壁212の突出部212tが突出する長さよりも軸方向長さが大きい。
【0031】
支持部材50は、外筒部52の外周面がシール管40の挿通孔41oの内周面に溶接されることにより、シール管40を介して側壁212に固定される。また、外筒部52の外周面とシール管40の挿通孔41oの内周面とが溶接されることで、シール管40と支持部材50との間がシールされる。また、上述したように、支持部材50の取付状態において、外筒部52の外周面は、側壁212の挿通孔212oの内周面(突出部212tにおいて互い対向する冷却管212aの外周面)に当接する。すなわち、燃焼室21の側壁212(複数の冷却管212aおよび複数の連結部材212b)の突出部212tは、支持部材50の外筒部52の周りを囲むように湾曲して形成されている。また、本実施形態では、2つの冷却管212aが外筒部52の軸方向に沿って配置されるように突出部212tが形成される。これにより、外筒部52を突出部212tにおける2つの冷却管212aによって冷却することが可能となる。
【0032】
散気管30は、支持部材50の底部51に形成された支持孔51oに挿入支持される。また、散気管30の外周面と支持孔51oの内周面とは、溶接により固定される。これにより、散気管30は、支持部材50のシール管40および支持部材50を介して燃焼室21の側壁212に固定され、側壁212において片持ち支持される。また、散気管30の外周面と支持孔51oの内周面とが溶接されることにより、散気管30と支持孔51oとの間がシールされる。なお、燃焼室22の側壁212の周囲に設けられた保温材23は、側壁212の挿通孔212o、シール管40の挿通孔41o、および支持部材50の支持孔51oに対応した位置に形成され、散気管30を挿通可能な挿通孔23oを有しており、散気管30の外周面と保温材23の挿通孔23oの内周面との間には、シール部材60が設けられている。
【0033】
上述したように、支持部材50の外筒部52は、散気管30よりも大径に形成されている。このため、
図3に示すように、散気管30の外周面と外筒部52の内周面との間には、間隙70が形成されることになる。このように、散気管30と外筒部52との間に間隙70が形成されることで、流動床火炉20での燃焼が開始されて燃焼室21内の流動材が流動し始めると、当該間隙70の内側に流動材が流入する。ここで、間隙70は、内部に流動材が流入可能であり、かつ、一旦内部に流入した流動材が流出しにくくなる程度の厚みに形成される。
【0034】
これにより、散気管30と外筒部52との間に形成された間隙70内に流動材が流入し、間隙70がある程度詰まれば(間隙70内に若干の空隙を有しながら流動材が詰まれば)、燃焼により温度が上昇した流動材が間隙70内に新たに流入しにくくなる。また、間隙70内に流入した流動材は、外筒部52を介して2つの冷却管212aによって冷却される。このように、比較的冷却されやすい流動材を散気管30の支持部材50の周辺に滞留させて、2つの冷却管212aによって流動材を効率良く冷却することで、支持部材50周辺における散気管30の温度上昇、すなわち散気管30の熱応力の高まりを良好に抑制し、支持部材50周辺で散気管30が応力負荷に屈しないようにすることができる。従って、燃焼室21内における散気管30の姿勢をより安定に維持することが可能となる。
【0035】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る流動床火炉20によれば、流動床火炉20の燃焼室21内に空気を吹き込む散気管30の姿勢をより安定に維持することができる。これにより、散気管30の複数の空気供給孔30oから燃焼室21内へと安定かつ狙い通りに空気を供給することが可能となる。また、燃焼室20内での燃焼による散気管30の熱応力負荷を低減させることができるため、流動床火炉20において更なる高温燃焼を図ることが可能となる。
【0036】
また、複数の散気管30を燃焼室21の底板211に沿って配置すると共に、燃焼室21の外側に配置された吸気マニホールド24を介して空気供給管17からの空気を供給する構成とすることで、流動床火炉20において燃焼室10内へと空気を供給するための風室を設ける必要がなくなる。これにより、流動床火炉20の小型化を図ることができる。また、燃焼室21の底板211に複数の空気供給用のノズルを固定する場合に比べて、流動床火炉20の燃焼室21内に一次空気を供給するための空気供給構造をより簡易にすることが可能となる。
【0037】
また、燃焼室21の側璧212は、複数の冷却管212aと、隣り合う冷却管212a同士を連結する複数の連結部材212bとを有し、複数の冷却管212aおよび複数の連結部材212bは、支持部材50の外筒部52の周りを囲むように湾曲し、支持部材50の外筒部52の周りを囲む冷却管212aが外筒部52を冷却する冷却手段として機能する。このように、外筒部52を冷却する冷却手段として燃焼室21の側壁212を構成する冷却管212aを用いることで、冷却手段を別途設ける必要がなくなるため、流動床火炉20の簡易化を図ることができる。
【0038】
また、冷却管212aは、支持部材50の外筒部52の軸方向に沿って複数(本実施形態では、2つ)配置される。これにより、外筒部52を介して散気管30との間隙70に流入した流動材をより良好に冷却し、支持部材50周辺における散気管30の温度上昇、すなわち熱応力の高まりをより良好に抑制することができる。なお、冷却管212aは、外筒部52の周りに少なくとも一つ配置されればよい。
【0039】
本実施形態では、冷却管212aを支持部材50の外筒部52の外周面に当接させるものとしたが、冷却管212aにより外筒部52を介して間隙70内の流動材を冷却することさえできれば、冷却管212aと外筒部52の外周面とは、必ずしも当接しなくともよい。また、シール管40と支持部材50との間に、側壁212の突出部212tの周囲をモールドするように耐火材を設けてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、燃焼室21の側壁212が複数の冷却管212aと複数の連結部材212bと有し、冷却管212aを支持部材50の外筒部52を冷却する冷却手段として用いるものとしたが、冷却手段は、これに限られない。例えば、燃焼室21の側壁212とは別個に、外筒部52を冷却可能な冷却管を当該外筒部52の周囲に配置してもよい。この場合、燃焼室21の側壁212は、必ずしもメンブレン式の水冷璧でなくてもよい。
【0041】
本実施形態では、散気管30の一端を燃焼室21の側壁212において片持ち支持する流動床火炉20に本発明を適用するものとしたが、散気管30の両端を燃焼室21の側壁212において両持ち支持する流動床火炉に本発明を適用してもよい。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態に係る流動床火炉20Bの構造について説明する。
図4は、流動床火炉20Bを示す概略図である。
【0043】
第2実施形態に係る流動床火炉20Bは、上記流動層ボイラ10において流動床火炉20に代えて用いられるものであり、流動床火炉20の吸気マニホールド24に代えて空気供給管17に接続された風室25、複数の散気管30に代えて風室25からの一次空気を燃焼室21内へと吹き込む複数の散気管30Bを有する。
【0044】
風室25は、燃焼室21の下方に設けられており、風室25の天板は、燃焼室21の底板211として兼用される。なお、燃焼室21の底板211と風室25の天板とは、別部材とされてもよい。本実施形態において、流動層ボイラ10に含まれる空気供給管17は、風室25の下部に接続されており、風室25には、空気予熱器14により加熱された高温の空気が空気供給管17を通して供給される。
【0045】
複数の散気管30Bは、燃焼室21の底板211の上方に、
図4における奥行方向に互いに間隔をおいて並ぶように配置される。底板211の上面には、耐火材22が設けられており、各散気管30Bは、耐火材22上に設けられる。なお、各散気管30Bは、耐火材22から離間した位置に設けられてもよい。散気管30Bは、燃焼室21の底板211に沿って延びる管部31Bと、管部31Bから下方に突出した支持部32Bとを有する。
【0046】
散気管30Bの管部31Bは、
図4に示すように、側面に燃焼室21内へと一次空気を吹き込み可能な複数の空気供給孔30oが軸方向に沿って互いに間隔を空けて形成されている。本実施形態では、複数の空気供給孔30oは、散気管30Bの高さ方向の略中央部において水平方向に開口するように形成される。なお、複数の空気供給孔30oは、水平方向に対して斜め下に向けて開口するものであってもよい。
【0047】
散気管30Bの支持部32Bは、燃焼室21の底板211および耐火材22を貫通して風室25の内部まで延在し、底板211に溶接により固定される。また、支持部32Bの内部には、管部31Bと風室25とを連通させる連通路32oが形成されている。
【0048】
このように、散気管30Bを管部31Bから下方に突出する支持部32Bを燃焼室21の底板211に固定して、散気管30Bを燃焼室21の底板211によって支持することにより、散気管30Bを燃焼室21の側壁212において片持ち支持する場合に比べて、散気管30Bの支持部32B周辺に生じる応力(自重を支えることにより生じる応力)を低減することができる。また、散気管30Bの支持部32Bを燃焼室21内で燃焼が行われる位置から離間させることができるため、支持部32B周辺における散気管30Bの温度上昇、すなわち熱応力の高まりを良好に抑制することが可能となる。従って、燃焼室21内における散気管30Bの姿勢をより安定に維持することができる。
【0049】
以上説明したように、第2実施形態に係る流動床火炉20Bによれば、流動床火炉20Bの燃焼室21内に空気を吹き込む散気管30Bの姿勢をより安定に維持することができる。これにより、散気管30Bの複数の空気供給孔30oから燃焼室21内へと安定かつ狙い通りに空気を供給することができる。また、燃焼室20内での燃焼による散気管30Bの熱応力負荷を低減させることができるため、流動床火炉20Bにおいて更なる高温燃焼を図ることが可能となる。
【0050】
また、複数の空気供給孔30oを有する複数の散気管30Bを燃焼室21の底板211に沿って配置することにより、燃焼室21の底板211に複数の空気供給用のノズルを固定する場合に比べて、流動床火炉20Bの燃焼室21内に一次空気を供給するための空気供給構造をより簡易にすることが可能となる。また、散気管30Bから複数の冷却管212aの近傍に一次空気を供給することができるため、腐食性の燃焼ガスと複数の冷却管212aとの接触を抑制し、複数の冷却管212aの腐食を抑制することができる。
【0051】
図5は、流動床火炉20Bの要部の他の例を示す概略図である。散気管30Bは、
図5に示すように、複数(
図5に示す例では、2つ)の支持部32Bを有するものであってもよい。各支持部32Bは、燃焼室21の底板211を貫通して風室25内まで延びると共に、底板211に溶接により固定される。また、各支持部32Bは、風室25と管部31Bとを連通させる連通路32oを有する。これにより、散気管30Bの各支持部32Bに生じる応力(自重を支えることにより生じる応力)をより低減させることができる。従って、散気管30Bの燃焼室21内における姿勢をより安定に維持することが可能となる。なお、散気管30Bは、支持部32Bを3つ以上有してもよい。
【0052】
なお、第2実施形態では、燃焼室21の下方に配置された空気供給部としての風室25を有する流動床火炉20Bを対象として本発明を適用したが、本発明は、風室25を有さない流動床火炉に適用されてもよい。すなわち、流動床火炉20Bから空気供給部としての風室25を省略すると共に、流動層ボイラ10の空気供給管17に接続された吸気マニホールドを燃焼室21の底板211の下方に設け、当該吸気マニホールドから各散気管30Bの支持部32Bの連通路32oへと一次空気を供給してもよい。
【0053】
次に、本発明の第3実施形態に係る流動床火炉20Cの構造について説明する。
図6は、流動床火炉20Cを示す概略図である。流動床火炉20Cは、上記流動層ボイラ10において流動床火炉20に代えて用いられるものであり、流動床火炉20の複数の散気管30に代えて複数の散気管30C、燃焼室21の底板211に代えて底板211Cを有する。
【0054】
図7は、
図6のA−A線に沿った断面図である。図示するように、流動床火炉20Cの燃焼室21の底板211Cは、外部から供給された空気を燃焼室21内へ供給する複数の散気管30Cと、隣り合う散気管30C同士を連結する複数の連結部材(フィン)35とを有する。各散気管30Cおよび各連結部材35は、燃焼室21の側壁212の間を延びて当該側壁212と連結されている。また、
図7に示すように、各連結部材35の上部には、隣り合う散気管30Cの間を埋めるように耐火材22が設けられている。
【0055】
複数の散気管30Cは、
図6における奥行方向に互いに間隔をおいて並ぶように設けられている。各散気管30Cは、燃焼室21の側壁212において開口しており、燃焼室21の外側に配置された吸気マニホールド24に接続されている。また、各散気管30Cは、
図6および
図7に示すように、側面に燃焼室21内へと一次空気を吹き込み可能な複数の空気供給孔30oが軸方向に沿って互いに間隔を空けて形成されている。本実施形態では、複数の空気供給孔30oは、散気管30Cの高さ方向の略中央部において水平方向に開口するように形成される。なお、複数の空気供給孔30oは、水平方向に対して斜め下に向けて開口するものであってもよい。
【0056】
複数の連結部材35は、
図7に示すように、散気管30Cの高さ方向の中心から下方にオフセットされた位置において、当該散気管30Cの外周面に固定される。これにより、散気管30Cの側面に、複数の空気供給孔30oを当該散気管30Cの高さ方向の略中央部で水平方向に開口するように形成することができる。また、複数の空気供給孔30oを閉塞しないように(複数の空気供給孔30oよりも下方に位置するように)、耐火材22を連結部材35の上部に設け、燃焼室21の底板211Cを良好に保護することができる。なお、連結部材35を散気管30Cの高さ方向の中心近傍に設け、複数の空気供給孔30oを水平方向に対して斜め上に向けて開口するように形成してもよい。
【0057】
このように、複数の散気管30Cによって燃焼室21の底板211Cの一部を構成することにより、自重を支えることにより散気管30Cに生じる応力を極めて良好に低減することができる。また、散気管30Cを燃焼室21内で燃焼が行われる位置から離間して配置することができるため、散気管30Cの温度上昇、すなわち熱応力の高まりを良好に抑制することが可能となる。従って、燃焼室21内における散気管30Cの姿勢をより安定に維持することができる。
【0058】
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係る流動床火炉20Cによれば、流動床火炉20Cの燃焼室21内に空気を吹き込む散気管30Cの姿勢をより安定に維持することができる。これにより、散気管30Cの複数の空気供給孔30oから燃焼室21内へと安定かつ狙い通りに空気を供給することが可能となる。また、燃焼室21内での燃焼による散気管30Cの熱応力負荷を低減させることができるため、流動床火炉20Cにおいて更なる高温燃焼を図ることが可能となる。また、複数の散気管を燃焼室21の側壁212を貫通させて当該側壁212において支持する場合に比べて、燃焼室21の底板211C近傍における側壁212の強度をより良好に確保することが可能となる。
【0059】
また、複数の散気管30Cにより燃焼室21の底板211Cを構成すると共に、燃焼室21の外側に配置された吸気マニホールド24を介して空気供給管17からの一次空気を供給する構成とすることで、流動床火炉20Cにおいて燃焼室21内へと空気を供給するための風室を設ける必要がなくなる。これにより、流動床火炉20の小型化を図ることができる。また、燃焼室21の底板211Cに複数の空気供給用のノズルを固定する場合に比べて、流動床火炉20Cの燃焼室21内に一次空気を供給するための空気供給構造をより簡易な構成とすることが可能となる。
【0060】
図8は、流動床火炉20Cの要部の他の例を示す断面図である。
図8に示すように、複数の散気管30Dにより燃焼室21の底板211Dを構成してもよい。図示するように、各散気管30Dは、側面に複数の空気供給孔30oが軸方向に沿って互いに間隔を空けて形成された管部31Dと、管部31Dの下縁において当該管部31Dの軸方向に沿って延びると共に、側方に突出する突出部32Dとを有する。隣り合う散気管30D同士は、互いの突出部32Dの端部で溶接等により連結される。
【0061】
このように、散気管30Dと、当該散気管30D同士を連結する連結部材としての突出部32Dとを一体的に形成することにより、燃焼室21の底板211Dをより簡易に形成すると共に、底板211Dの強度をより良好に確保することができる。また、突出部32Dが管部31Dの下縁に沿って形成されることにより、散気管30Dの側面に、複数の空気供給孔30oを当該散気管30Cの高さ方向の略中央部で水平方向に開口するように容易に形成することができる。また、複数の空気供給孔30oを閉塞しないように(複数の空気供給孔30oよりも下方に位置するように)、耐火材22を突出部32Dの上部に設け、燃焼室21の底板211Dを良好に保護することができる。