(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0032]本発明は、電子コンポーネントから熱を除去するのに有用な熱界面材料に関する。
[0033]
図1Aは、電子チップ34、ヒートスプレッダー36、及びヒートシンク32を図示しており、第1の熱界面材料(TIM)10Aがヒートシンク32とヒートスプレッダー36を接続しており、第2の熱界面材料10Bがヒートスプレッダー36と電子チップ34を接続している。熱界面材料10A、10Bの一方又は両方は、下記に記載するような圧縮性熱界面材料であってよい。
図1Bは、TIM10の第1の表面が電子チップ34の表面と接触し、TIM10の第2の表面がヒートシンク32の表面と接触するように電子チップ34とヒートシンク32の間に配置されているTIM1.5として示される熱界面層としての代表的な熱界面材料10を示す。
図1Cは、TIM10の第1の表面がヒートスプレッダー36の表面と接触し、TIM10の第2の表面がヒートシンク32の表面と接触するようにヒートスプレッダー36とヒートシンク32の間に配置されているTIM2として示される熱界面材料としての代表的な熱界面材料10を示す。
図1Dは、TIM10の第1の表面が電子チップ34の表面と接触し、TIM10の第2の表面がヒートスプレッダー36の表面と接触するように電子チップ34とヒートスプレッダー36の間に配置されているTIM1として示される熱界面材料としての代表的な熱界面材料10を示す。
【0017】
[0034]TIM10は
図1において単一の連続層として示しているが、他の態様においては、TIM10に1つより多い層を含ませることができ(
図2Aを参照)、この場合には、それぞれの層は同じか又は異なる材料で構成することができる。
【0018】
[0035]幾つかの代表的な態様においては、TIM10はサーマルシートを更に含む。幾つかの代表的な態様においては、TIM10は誘電層を更に含む。幾つかの代表的な態様においては、TIM10はサーマルホイルを更に含む。
【0019】
[0036]幾つかの代表的な態様においては、熱界面材料10は、スマートホン、タブレットコンピューター、ラップトップコンピューター、デスクトップコンピューター、ゲーム機コンソール、サーバー、電気通信基地局、無線ルーター又は他のコンポーネント、発光ダイオード(LED)、電力モジュール、自動車エレクトロニクスデバイス、又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)において用いられる。
【0020】
A.圧縮性熱界面材料:
[0037]1つの代表的な態様においては、TIM10は圧縮性熱界面材料である。幾つかの代表的な態様においては、圧縮性TIM10は、1種類以上のポリマー、1種類以上の相変化材料、1種類以上の熱伝導性フィラー、及び場合によっては添加剤を含む。幾つかの代表的な態様においては、TIM10は1種類以上の熱伝導性フィラーを含む1種類以上のエラストマーを含む。
【0021】
a.熱伝導性フィラー:
[0038]幾つかの代表的な態様においては、TIM10は1種類以上の熱伝導性フィラーを含む。代表的な熱伝導性フィラーとしては、金属、合金、非金属、金属酸化物、及びセラミクス、並びにこれらの組合せが挙げられる。代表的な金属としては、アルミニウム、銅、銀、亜鉛、ニッケル、スズ、インジウム、及び鉛が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な非金属としては、炭素、グラファイト、カーボンナノチューブ、炭素繊維、グラフェン、及び窒化ケイ素が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な金属酸化物及びセラミクスとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、及び酸化スズが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
[0039]TIM10には、TIM10の全重量を基準として、10重量%、20重量%、25重量%、50重量%程度の少ない量、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%程度の多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の量の1種類以上の熱伝導性フィラーを含ませることができる。
【0023】
b.ポリマーマトリクス:
[0040]幾つかの代表的な態様においては、TIM10は、エラストマーのようなポリマーを更に含む。代表的なポリマーとしては、シリコーンエラストマー、シリコーンラバー、エチレンコポリマー、例えばエチレン−プロピレンラバー(EPR)、エチレン−プロピレンジエンモノマーラバー(EPDM)、ポリエチレン−ブチレン、及びポリエチレン−ブチレン−スチレン、ポリアルキルジエン、例えばポリブタジエン、及び水素化ポリマー、例えば水素化ポリアルキルジエンモノオール(水素化ポリブタジエンモノオール、水素化ポリプロパジエンモノオール、及び水素化ポリペンタジエンモノオールなど)、並びに水素化ポリアルキルジエンジオール(水素化ポリブタジエンジオール、水素化ポリプロパジエンジオール、及び水素化ポリペンタジエンジオールなど)が挙げられる。
【0024】
[0041]幾つかの代表的な態様においては、TIM10は1種類以上のシリコーンゲルを含む。幾つかの態様においては、TIM10に、中間層12の全重量を基準として、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%程度の少ない量、5重量%、10重量%、15重量%程度の多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の量の1種類以上のシリコーンゲルを含ませることができる。
【0025】
c.相変化材料:
[0042]幾つかの代表的な態様においては、TIM10は1種類以上の相変化材料を含む。相変化材料は、その中でTIM10を用いる電子デバイスの一部の運転温度以下の融点又は融点範囲を有する材料である。代表的な相変化材料はワックスである。他の代表的な相変化材料としては、ウッドメタル、フィールドメタルような低融点合金、或いは約20℃〜90℃の間の融点を有する金属又は合金が挙げられる。
【0026】
[0043]幾つかの態様においては、相変化材料は、20℃、30℃、40℃、45℃、50℃程度の低い温度、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃のような高い温度、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の相変化温度を有する。幾つかのより特定の態様においては、相変化材料は、30℃、40℃、45℃のような低い温度、50℃、60℃、70℃のような高い温度、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の相変化温度を有する。
【0027】
[0044]ワックスの硬度は、ASTM−D1321(その開示事項はその全部を参照として本明細書中に包含する)にしたがって25℃において測定される針入度値のような針入度値によって特徴付けることができる。
【0028】
[0045]幾つかの代表的な態様においては、TIM10は、40、50、60程度の低い値、70、80、90、100、又はそれ以上の高い値、或いは上記の値の任意の2つによって規定される任意の範囲内のASTM−D1321針入度値を有する1種類以上のワックスを含む。幾つかの代表的な態様においては、TIM10は、少なくとも50のASTM−D1321針入度値を有する1種類以上のワックスを含む。幾つかの代表的な態様においては、TIM10は、少なくとも60のASTM−D1321針入度値を有する1種類以上のワックスを含む。幾つかの代表的な態様においては、TIM10は、少なくとも70のASTM−D1321針入度値を有する1種類以上のワックスを含む。
【0029】
[0046]70より高いASTM−D1321針入度値を有する代表的なワックスとしては、それぞれHoneywell International Inc.から入手できるAC-1702(ポリエチレンワックス)、AC-430(エチレン−酢酸ビニルコポリマーのワックス)、及びAC-6702(酸化ポリエチレンワックス)が挙げられる。
【0030】
[0047]幾つかの代表的な態様においては、中間層12は少なくとも2種類のワックスを含み、第1のワックスは第2のワックスよりも硬質である。幾つかの代表的な態様においては、ワックスの全重量を基準とするより軟質のワックスの重量比は、10%、25%、50%程度の低い値、75%、95%、99%程度の高い値、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内である。
【0031】
[0048]幾つかの代表的な態様においては、第1のワックスは70未満のASTM−D1321針入度値を有し、第2のワックスは少なくとも70、又はそれより高いASTM−D1321針入度値を有する。幾つかの代表的な態様においては、第1のワックス及び第2のワックスの少なくとも1つは、ポリテトラフルオロエチレンとブレンドしたポリエチレンを含む。代表的なポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレンワックス混合物は、Nanjing Tianshi New Material Technologiesから入手できるPEW-0602Fワックスである。
【0032】
[0049]70未満のASTM−D1321針入度値を有する代表的なワックスとしては、The International Group, Inc.から入手できるTACワックス、及びHangzhou Ruhr Tech.から入手できるRT44HCが挙げられる。
【0033】
d.添加剤:
[0050]幾つかの代表的な態様においては、TIM10は1種類以上の添加剤を含む。代表的な添加剤としては、酸化防止剤、架橋剤、及びカップリング剤、例えばチタネートカップリング剤が挙げられる。幾つかの代表的な態様においては、TIM10に、中間層の全重量を基準として、0.1重量%、0.5重量%、1重量%程度の少ない量、1.5重量%、2重量%、5重量%、10重量%程度の多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の量の1種類以上の添加剤を含ませることができる。
【0034】
B.多層熱界面材料:
[0051]幾つかの態様においては、TIMは多層熱界面材料(TIM)10’である。まず
図2Aを参照すると、代表的な多層10’が示されている。多層TIM10’は、中間層12、第1の表面層14、及び第2の表面層16を含む。
【0035】
[0052]幾つかの成分を、中間層12、第1の表面層14、及び/又は第2の表面層16の一部であるものとして下記に例示するが、幾つかの態様においては、それぞれの成分は、中間層12、第1の表面層14、及び第2の表面層16の任意の中に見ることができる。
【0036】
1.中間層:
[0053]
図2Aにおいて示されるように、中間層12は、第1の表面層14と第2の表面層16の間に配置されている。幾つかの態様においては、中間層12は、第1の表面層14及び第2の表面層16と直接接触している。中間層12は
図2Aにおいては単一の連続層として示されているが、他の態様においては、中間層12’に1つより多い層を含ませることができ、その場合にはそれぞれの層は同一か又は異なる材料で構成することができる(
図2Bを参照)。
【0037】
[0054]幾つかの代表的な態様においては、中間層12は、上記に記載したTIM10のものと同様の組成を有する。幾つかの代表的な態様においては、中間層12は、TIM10に関して上記に記載したような1種類以上のポリマー、1種類以上の相変化材料、1種類以上の熱伝導性フィラー、及び場合によっては添加剤を含む。幾つかの代表的な態様においては、中間層12は、1種類以上の熱伝導性フィラーを含む1種類以上のエラストマーを含む。幾つかの代表的な態様においては、中間層12は圧縮性材料を含む。幾つかの態様においては、40psiの圧力にかけた際にに、中間層12は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%程度の低い値、及び少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%程度の高い値、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の圧縮率を有する。幾つかの代表的な態様においては、中間層は、圧力を解放した後にその元の厚さに戻る。他の代表的な態様においては、中間層は、圧力を解放した後にその元の厚さに戻らない。
【0038】
[0055]次に
図2Bを参照すると、幾つかの代表的な態様においては、中間層12’は、ギャップパッド18、相変化材料20、及び電磁波遮蔽シート22を含む。電磁波遮蔽のために用いられる代表的な材料としては、金属シート、金属スクリーン、金属フォーム、及び銅又はニッケルのようなナノ若しくはサブミクロンサイズの金属粒子を含む被覆が挙げられる。幾つかの代表的な態様においては、中間層12はサーマルシートを更に含む。幾つかの代表的な態様においては、中間層12は誘電層を更に含む。幾つかの代表的な態様においては、中間層12はサーマルホイルを更に含む。
【0039】
a.熱伝導性フィラー:
[0056]幾つかの代表的な態様においては、中間層12は1種類以上の熱伝導性フィラーを含む。幾つかの代表的な態様においては、中間層12中における熱伝導性フィラーの重量%は、第1の表面層14又は第2の表面層16のいずれかの中の熱伝導性フィラーの重量%以下である。幾つかの代表的な態様においては、中間層12は、第1及び第2の表面層の両方の熱伝導率以下の熱伝導率を有する。中間層12には、中間層12の全重量を基準として、10重量%、20重量%、25重量%、50重量%程度の少ない量、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%程度の多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の量の1種類以上の熱伝導性フィラーを含ませることができる。
【0040】
b.ポリマーマトリクス:
[0057]幾つかの代表的な態様においては、中間層12は、エラストマーのようなポリマーを更に含む。幾つかの代表的な態様においては、中間層は1種類以上のシリコーンゲルを含む。幾つかの態様においては、中間層12に、中間層12の全重量を基準として、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%程度の少ない量、5重量%、10重量%、15重量%程度の多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の量の1種類以上のシリコーンゲルを含ませることができる。
【0041】
c.相変化材料:
[0058]幾つかの代表的な態様においては、中間層12は1種類以上の相変化材料を含む。幾つかの代表的な態様においては、中間層12は、40、50、60程度の低い値、70、80、90、100、又はそれ以上の高い値、或いは上記の値の任意の2つによって規定される任意の範囲内のASTM−D1321針入度値を有する1種類以上の1種類以上のワックスを含む。幾つかの代表的な態様においては、中間層12は、少なくとも50のASTM−D1321針入度値を有する1種類以上のワックスを含む。幾つかの代表的な態様においては、中間層12は、少なくとも60のASTM−D1321針入度値を有する1種類以上のワックスを含む。幾つかの代表的な態様においては、中間層12は、少なくとも70のASTM−D1321針入度値を有する1種類以上のワックスを含む。
【0042】
d.添加剤:
[0059]幾つかの代表的な態様においては、中間層12は1種類以上の添加剤を含む。幾つかの代表的な態様においては、中間層12に、中間層の全重量を基準として、0.1重量%、0.5重量%、1重量%程度の少ない量、1.5重量%、2重量%、5重量%、10重量%程度の多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の量の1種類以上の添加剤を含ませることができる。
【0043】
2.表面層:
[0060]幾つかの代表的な態様においては、第1の表面層14は第2の表面層16と同じ材料を含む。他の代表的な態様においては、第1の表面層14は第2の表面層16と異なる材料を含む。第1の表面層14及び/又は第2の表面層16として有用な可能性がある代表的な材料は、次の特許及び出願(その開示事項はそれらの全部を参照として本明細書中に包含する)において開示されている:US−6,451,422;US−6,605,238;US−6,673,434;US−7,867,609;US−6,797,382;US−6,908,669;US−7,244,491;US−2007/0051773;US−2011/0308782;及びUS−2011/0038124。
【0044】
[0061]第1の表面層14及び/又は第2の表面層16をそれから形成することができる代表的な材料としては、Honeywell International Inc.から入手できるPCM、LTM、及び/又はPTMシリーズの材料が挙げられる。1つの代表的なPCM材料は、ポリマー、相変化材料、及び熱伝導性フィラーを含む実質的に非圧縮性の材料であるPCM45Fである。他の代表的なPCM材料は、ポリマー、相変化材料、及び熱伝導性フィラーを含むスクリーン印刷可能型のPCM45FであるPCM45F-SPである。1つの代表的なPTM材料は、ポリマー、相変化材料、及び熱伝導性フィラーを含む実質的に非圧縮性の材料であるPMT3180である。他の代表的な材料は、ポリマー、硬質ワックス及び軟質ワックス、並びに熱伝導性フィラーを含む圧縮性熱界面材料であるTS27である。他の代表的な材料は、Dow Corning, Midland, Michiganから入手できる熱伝導性フィラーを含むサーマルグリースであるTC5026である。
【0045】
[0062]幾つかの代表的な態様においては、第1及び第2の表面層14、16のそれぞれは、硬質又は実質的に非圧縮性である。幾つかの代表的な態様においては、第1及び第2の表面層14、16のそれぞれは、40psiの圧力にかけた際に中間層12のものよりも低い圧縮率を有する。幾つかの態様においては、40psiの圧力にかけた際に、第1及び第2の表面層14、16のそれぞれは、0%、1%、2%程度の低い値、3%、5%程度の高い値、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の圧縮率を有する。幾つかの態様においては、40psiの圧力にかけた際に、第1及び第2の表面層14、16のそれぞれは、5%以下の圧縮率を有する。他の代表的な態様においては、第1及び第2の表面層14、16のそれぞれは圧縮性である。幾つかの態様においては、40psiの圧力にかけた際に、第1及び第2の表面層14、16のそれぞれは、5%、10%、20%、25%程度の低い値、50%、75%、80%程度の高い値、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の圧縮率を有する。
【0046】
[0063]幾つかの代表的な態様においては、第1及び第2の表面層14、16のそれぞれは、30、40、50程度の低い値、60、70、80、又はそれ以上の高い値、或いは上記の値の任意の2つのの間で規定される任意の範囲内のASTM−D2240(その開示事項はその全部を参照として本明細書中に包含する)によるショアA硬度を有する。幾つかの代表的な態様においては、第1及び第2の表面層14、16のそれぞれは、独立して中間層12の厚さ未満である。幾つかの代表的な態様においては、第1及び第2の表面層14、16のそれぞれは、0.05mm、0.1mm、0.25mm、0.5mm程度の小さい値、1mm、2mm、5mm程度の大きい値、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の厚さを有する。幾つかの代表的な態様においては、第1及び第2の表面層14、16のそれぞれは、5mm未満の厚さ、1mm未満の厚さ、0.5mm未満の厚さ、0.25mm未満の厚さ、又は0.1mm未満の厚さを有する。
【0047】
[0064]幾つかの代表的な態様においては、第1及び第2の表面層14、16のそれぞれは、1種類以上の熱伝導性フィラー、ポリマーマトリクス、少なくとも1種類のワックス、及び場合によっては添加剤を含む。
【0048】
a.熱伝導性フィラー:
[0065]幾つかの態様においては、それぞれの表面層14、16は1種類以上の熱伝導性フィラーを含む。それぞれの表面層14、16には、独立して、それぞれの表面層14、16の全重量を基準として、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%程度の少ない量、90重量%、95重量%、99重量%程度の多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の量の1種類以上の熱伝導性フィラーを含ませることができる。より特定の態様においては、第1の表面層14及び第2の表面層16のそれぞれの中における熱伝導性フィラーの重量%は、独立して、それぞれの表面層14、16の全重量を基準として85重量%〜99重量%である。
【0049】
b.ポリマーマトリクス:
[0066]幾つかの代表的な態様においては、それぞれの表面層14、16はポリマーを更に含む。幾つかの態様においては、ポリマーはポリエチレン−ブチレンモノオールである。それぞれの表面層14、16には、独立して、それぞれの表面層14、16の全重量を基準として、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、5重量%程度の少ない量、8重量%、10重量%、20重量%程度の多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の量の1種類以上のポリマーを含ませることができる。
【0050】
c.相変化材料:
[0067]幾つかの態様においては、それぞれの表面層14、16は、独立して、ワックスのような1種類以上の相変化材料を含む。幾つかの代表的な態様においては、それぞれの表面層14、16には、第1の表面層14又は第2の表面層16の全重量を基準として、0.1重量%、0.5重量%、1重量%程度の少ない量、2重量%、3重量%、5重量%、10重量%程度の多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の量の1種類以上の相変化材料を含ませることができる。幾つかの態様においては、それぞれの表面層14、16は、第1の表面層14又は第2の表面層16の全重量を基準として、0.1重量%、0.5重量%、1重量%程度の少ない量、2重量%、3重量%、5重量%程度の多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の量の全軟質化剤含量の70以上の針入度値を有する軟質ワックス及びシリコーンゲルを含む。
【0051】
d.添加剤:
[0068]幾つかの代表的な態様においては、第1の表面層14及び第2の表面層16は、独立して1種類以上の添加剤を含む。幾つかの代表的な態様においては、中間層12に、第1の表面層14又は第2の表面層16の全重量を基準として、0.1重量%、0.5重量%、1重量%程度の少ない量、1.5重量%、2重量%、5重量%、10重量%程度の多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の量の1種類以上の添加剤を含ませることができる。
【0052】
B.圧縮性熱界面材料を形成する方法:
[0069]幾つかの態様においては、TIM10は、1種類以上のポリマー、1種類以上の相変化材料、1種類以上の熱伝導性フィラー、1種類以上の溶媒、及び場合によっては1種類以上の添加剤を含む分配可能な配合物から形成する。分配可能な材料は、通常はペーストベースの材料である。代表的な態様においては、分配可能な材料は、好適な圧力又は力を材料に印加すると、材料の一部が比較的狭い穴(分配ヘッド)を通して容器から押出されるような粘度を有する。幾つかの代表的な態様においては、TIM材料をシリンジに充填し、充填されたTIMを、シリンジのヘッド又は針からヒートスプレッダー、チップ、及び/又はヒートシンクの表面上に押出すことができる。幾つかの態様においては、TIMは所望の圧力下においてカスタマイズされたパターンで表面上に分配する。代表的な分配可能性のパラメーターとしては、プレス力、分配ヘッドの寸法、分配速度、及び平均パターン厚さを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0053】
[0070]代表的な溶媒は、米国特許出願公開2007/0517733(その開示事項はその全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されている。好適な溶媒としては、臨界温度のような所望の温度において揮発するか、或いは上述の設計目標又はニーズのいずれかの達成を促進させることができ、それらを相変化材料と相互作用させて上述の目標を達成することができるという点で相変化材料と適合性である純粋な溶媒或いは複数の有機又は無機溶媒の混合物が挙げられる。幾つかの態様においては、溶媒、溶媒混合物、又はこれらの組合せは、相変化材料を溶媒和して、印刷技術によってそれを適用することができるようにする。幾つかの代表的な態様においては、溶媒又は2種類以上の溶媒の混合物は、炭化水素類の溶媒から選択される。炭化水素溶媒は炭素及び水素を含む。炭化水素溶媒の大部分は非極性であるが、極性とみなされる小数の炭化水素溶媒が存在する。
【0054】
[0071]炭化水素溶媒は、一般に3つのクラス:脂肪族、環式、及び芳香族に分類される。脂肪族炭化水素溶媒には、直鎖の化合物、及び分岐しており、場合によっては架橋している化合物の両方が含まれるが、脂肪族炭化水素溶媒は通常は環式とはみなされない。環式炭化水素溶媒は、脂肪族炭化水素溶媒と類似の特性を有する環構造で配向されている少なくとも3つの炭素原子を含む溶媒である。芳香族炭化水素溶媒は、単一の環、又は共通の結合によって結合している複数の環、及び/又は一緒に縮合している複数の環を有する、一般に3つ以上の不飽和結合を含む溶媒である。幾つかの代表的な態様においては、溶媒又は2種類以上の溶媒の混合物は、ケトン、アルコール、エステル、エーテル、及びアミンのような炭化水素溶媒類の化合物の一部とはみなされない溶媒から選択される。更に他の意図される態様においては、溶媒又は溶媒混合物に、ここで言及する任意の複数の溶媒の組合せを含ませることができる。
【0055】
[0072]代表的な炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、p−キシレン、m−キシレン、メシチレン、溶剤ナフサH、溶剤ナフサA、Isopar H並びに他のパラフィン油及びイソパラフィン流体、アルカン、例えばペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、ノナン、オクタン、ドデカン、2−メチルブタン、ヘキサデカン、トリデカン、ペンタデカン、シクロペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、石油エーテル、ハロゲン化炭化水素、例えば塩素化炭化水素、ニトレート化炭化水素、ベンゼン、1,2−ジメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、ミネラルスピリット、灯油、イソブチルベンゼン、メチルナフタレン、エチルトルエン、リグロインが挙げられる。代表的なケトン溶媒としては、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
【0056】
[0073]1つの代表的な態様においては、溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、パラフィン油、イソパラフィン流体、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びこれらの混合物又は組合せから選択される1種類以上の溶媒が挙げられる。代表的なイソパラフィン流体としては、Exxon Mobile Chemicalから入手できるIsopar H、Isopar L、及びIsopar Mが挙げられる。幾つかの代表的な態様においては、配合物に、配合物の全重量を基準として、0.1重量%、0.5重量%、1重量%程度の少ない量、5重量%、10重量%、20重量%、25重量%程度の多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の量の1種類以上の溶媒を含ませることができる。
【0057】
[0074]幾つかの代表的な態様においては、配合物は、DIN−53018(その開示事項はその全部を参照として本明細書中に包含する)にしたがって粘度計を用いて室温において試験して、500センチポアズ、1,000センチポアズ、5,000センチポアズ、10,000センチポアズ程度の低い値、150,000センチポアズ、1,000,000センチポアズ、100,000,000センチポアズ程度の高い値、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の粘度を有する。
【0058】
[0075]幾つかの代表的な態様においては、TIM10を形成する方法が提供される。幾つかの代表的な態様においては、TIM10の形成は、TIM10を加熱処理及び乾燥するなどのプロセスを含む。
【0059】
[0076]幾つかの代表的な態様においては、TIM10の加熱処理には、25℃、50℃、75℃、80℃程度の低い温度、100℃、125℃、150℃、170℃程度の高い温度、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の温度で加熱処理することが含まれる。幾つかの代表的な態様においては、TIM10は、0.5分間、1分間、30分間、1時間、2時間程度の短い値、8時間、12時間、24時間、36時間、48時間程度の長い値、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の時間加熱処理する。
【0060】
C.熱界面材料の特性:
[0077]1つの代表的な態様においては、TIM10は圧縮性熱界面材料である。圧縮率は、所定の圧力を材料に印加し、材料の厚さの変化を求めることによって測定される。圧縮率は、通常は元の厚さのパーセントとして報告される。
【0061】
[0078]幾つかの代表的な態様においては、TIM10は、良好な熱特性を維持しながら圧縮可能である。幾つかの代表的な態様においては、圧縮性TIM10を用いることによって、電子コンポーネント及び熱放散コンポーネント、例えば電子部品30又はヒートシンク32(
図1A〜1Dを参照)との向上した接触が可能である。幾つかの代表的な態様においては、圧縮性TIM10を用いることによって、電子コンポーネント及び熱放散コンポーネント、例えば電子コンポーネント30又はヒートシンク32(
図1A〜1Dを参照)の表面の間のより良好な接触を与えることにより熱接触抵抗の減少が与えられる。幾つかの代表的な態様においては、圧縮性TIM10を用いることによって、電子コンポーネント及び熱放散コンポーネント、例えば電子コンポーネント30又はヒートシンク32(
図1A〜1D)の許容度又は平坦度のより大きな変動が可能である。幾つかの代表的な態様においては、圧縮性TIM10を用いることによって、昇温温度によるコンポーネントの歪み又は湾曲の後であっても優れた熱伝達性能が可能である。
【0062】
[0079]代表的な態様においては、圧縮率は、2つの1.3cm×1.3cmの銅板の間に1.3cm×1.3cmの試料を配置することによって求める。試料の元の厚さは、銅−試料−銅複合体の元の厚さから銅板の厚さを減じることによって求める。銅−試料−銅複合体を所定の圧力に2分間かける。2分後、銅−試料−銅複合体の厚さを再び測定する。試料の圧縮された厚さは、銅−試料−銅複合体の圧縮された厚さから銅板の厚さを減じることによって求める。試料の圧縮率は、(元の試料厚さ−圧縮された試料の厚さ)/元の試料厚さ×100%として算出される。
【0063】
[0080]幾つかの態様においては、40psiの圧力にかけた際に、TIM10は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%程度の低い値、及び少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%程度の高い値、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の圧縮率を有する。幾つかの代表的な態様においては、TIMは、圧力を解放した後にその元の厚さに戻る。他の代表的な態様においては、TIMは、圧力を解放した後にその元の厚さに戻らない。
【0064】
[0081]TIM10がその元の厚さに戻る程度は、スプリングバック比を用いて求めることができる。代表的な態様においては、スプリングバック比は、2psiのような所定の圧力を、10分間のような第1の所定の時間試料に印加することによって求める。第1の所定の時間の後、圧力を解放し、試料を、20分間のような第2の所定の時間静置する。スプリングバック比は、
(第2の時間の後の試料厚さ−第1の時間の後の試料厚さ)/(元の試料厚さ−第1の時間の後の試料厚さ)×100%
によって求められる。
【0065】
[0082]幾つかの態様においては、低いスプリングバック比が望ましい。幾つかの態様においては、TIM10は、50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、10%未満、5%未満、又は0、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内のスプリングバック比を有する。
【0066】
[0083]幾つかの代表的な態様においては、TIM10は、0.05℃・cm
2/W、0.1℃・cm
2/W、0.5℃・cm
2/W、0.75℃・cm
2/W程度の低い値、1℃・cm
2/W、1.5℃・cm
2/W、2℃・cm
2/W、2.5℃・cm
2/W程度の高い値、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の熱インピーダンスを有する。
【0067】
[0084]幾つかの代表的な態様においては、TIM10は、130℃の温度及び85%の相対湿度において96時間コンディショニングした後に、かかるコンディショニングの前のTIM10の熱インピーダンスよりも20%以下大きく、10%以下大きく、5%以下大きく、或いはそれ以下の熱インピーダンスを有する。
【0068】
[0085]幾つかの代表的な態様においては、TIM10は、150℃の温度において200時間コンディショニングした後に、かかるコンディショニングの前のTIM10の熱インピーダンスよりも20%以下大きく、10%以下大きく、5%以下大きく、或いはそれ以下の熱インピーダンスを有する。
【実施例】
【0069】
A.圧縮性熱界面材料:
【0070】
【表1】
【0071】
[0086]Kraton L-1203は、Kurary Co., Ltd.から入手できる水素化ポリブタジエンポリマーである。TACワックスは、The International Group, Inc.から入手できる。AC-1702は、Honeywell International Inc.から入手できるポリエチレンワックスである。PEW-0602Fワックスは、Nanjing Tianshi New Material Technologiesから入手できるポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレンワックス混合物である。LICA 38は、Kenrich Petrochemicalから入手できるカップリング剤添加剤である。TTSは、Kenrich Petrochemicalから入手できるカップリング剤添加剤である。Irganox 1076は、BASFから入手できる酸化防止剤添加剤である。Cymel 1156は、CYTECから入手できる架橋剤添加剤である。熱伝導性フィラーは、約0.1ミクロン〜50ミクロンの間の直径を有するアルミニウム粒子であった。
【0072】
1.比較例1:
[0087]相変化材料(AC 1702)、ポリマー(Kraton L-1203)、添加剤(Irganox 1076、Cymel 1156、及びTTS)、並びに熱伝導性フィラー(アルミニウム粉末)を、表1に記載する量で反応器に加えた。混合物を、均一な分散液が形成されるまで100℃において撹拌した。
【0073】
[0088]比較例1は、100℃において、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの2つの層の間に被覆した。比較例1の圧縮率を
図3に示す。
2.比較例2:
[0089]ポリマー(Kraton L-1203)、添加剤(Irganox 1076及びLICA 38)、並びに熱伝導性フィラー(アルミニウム粉末)を、表1に記載する量で反応器に加えた。混合物を、均一な分散液が形成されるまで150℃において撹拌した。
【0074】
[0090]比較例2は、80℃において、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの2つの層の間に被覆した。比較例2の圧縮率を
図4Aに示す。比較例2の熱インピーダンスを
図4Bに示す。
【0075】
[0091]比較例2の熱伝導率は3.64W/m−Kであると求められた。
[0092]試料をESPECによって供給された環境チャンバー内で130℃の温度及び85%の相対湿度において96時間コンディショニングする高加速ストレス試験(HAST試験)を用いて比較例2を試験した。試料のコンディショニングの前後において、試料の熱インピーダンスを求めた。熱インピーダンスにおける20%未満の増加はHAST試験に合格したことを示し、一方、20%以上の増加は不合格のHAST結果を示した。
【0076】
[0093]比較例2はまた、試料をESPECによって供給された環境チャンバー内で150℃の温度で200時間コンディショニングする加熱処理試験を用いて試験した。試料のコンディショニングの前後において、試料の熱インピーダンスを求めた。熱インピーダンスにおける20%未満の増加は合格の加熱処理試験結果を示し、一方、20%以上の増加は不合格の加熱処理試験結果を示した。
【0077】
[0094]比較例2はHAST試験に合格したが、加熱処理試験に不合格であった。
3.実施例1:
[0095]相変化材料(TACワックス、PEW-0602F)、ポリマー(Kraton L-1203)、添加剤(Irganox 1076及びLICA 38)、並びに熱伝導性フィラー(アルミニウム粉末)を、表1に記載する量で反応器に加えた。混合物を、均一な分散液が形成されるまで150℃において撹拌した。
【0078】
[0096]実施例1は、80℃において、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの2つの層の間に被覆した。実施例1の圧縮率を
図5Aに示す。実施例1の熱インピーダンスを
図5Bに示す。
【0079】
[0097]実施例1の熱伝導率は4.41W/m−Kであると求められた。実施例1はHAST試験に合格した。
4.実施例2:
[0098]相変化材料(TACワックス、AC 1702、PEW-0602F)、ポリマー(Kraton L-1203)、添加剤(Irganox 1076、Cymel 1156、LICA 38、及びTTS)、並びに熱伝導性フィラー(アルミニウム粉末)を、表1に記載する量で反応器に加えた。混合物を、均一な分散液が形成されるまで100℃において撹拌した。
【0080】
[0099]実施例2は、100℃において、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの2つの層の間に被覆した。実施例2の圧縮率を
図6Aに示す。実施例2の熱インピーダンスを
図6Bに示す。
【0081】
[00100]実施例2の熱伝導率は2.94W/m−Kであると求められた。実施例2はHAST試験及び加熱処理試験に不合格であった。
6.実施例3:
[00101]相変化材料(TACワックス、AC 1702、PEW-0602F)、ポリマー(Kraton L-1203)、添加剤(Irganox 1076、Cymel 1156、LICA 38、及びTTS)、並びに熱伝導性フィラー(アルミニウム粉末)を、表1に記載する量で反応器に加えた。混合物を、均一な分散液が形成されるまで150℃において撹拌した。
【0082】
[00102]実施例3は、100℃において、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの2つの層の間に被覆した。実施例3の圧縮率を
図7Aに示す。実施例3の熱インピーダンスを
図7Bに示す。
【0083】
[00103]実施例3の熱伝導率は2.72W/m−Kであると求められた。実施例2はHAST試験に合格であり、加熱処理試験に不合格であった。
7.スプリングバック試験:
[00104]実施例2の試料、Bergquist Company, Chanhassen, Minnesota,米国から入手できるGP3000S30パテパッドの試料、及びLaird Technologies, Laird PLC, London, England,英国から入手できるTFLEX360ギャップパッドの試料を、それぞれ2psiにおいて圧縮した。10分後、圧縮率を元の厚さのパーセントとして求め、圧を開放した。20分後、スプリングバックを元の高さのパーセントとして求めた。スプリングバック比は、スプリングバック(%)を圧縮率(%)で割ることによって求めた。実施例2に関する試験の結果を
図8Aに示し、Lairdパッドに関する結果は
図8Bに示し、下表2にまとめた。
【0084】
【表2】
【0085】
B.シリコーンゲル:
[00105]Honeywell International Inc.から入手できるPTM3180の200gの塊状物を、100℃の油温を有するRoss混合物中に約30分間配置した。塊状のPTM3180が完全に溶融した後、Momentiveから供給された3gのTSE3051STシリコーンゲルをミキサーに加えた。PTM3180及びシリコーンゲルを、20rpmにおいて30分間混合した。
【0086】
[00106]シリコーンゲル材料を含むPTM3180の圧縮率及び熱インピーダンスを、PTM3180のものと比較した。結果を表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
[00107]ゲルを含む複合体の圧縮率は、PTM3180材料に関するほぼ0%と比べて、40psiにおいて約33%であった。ASTM−D5470にしたがってシリコーンゲル複合体の熱伝導率及び熱インピーダンスを試験し、熱伝導率は3.16W/m−Kであることが分かり、熱インピーダンスは0.089℃・cm
2/Wであることが分かった。表4に示すように、シリコーンゲル複合体材料はまたHAST試験にも合格した。
【0089】
【表4】
【0090】
C.多層熱界面材料:
1.比較例:
[00108]Laird Technologies, Laird PLC, London, England,英国から入手できる厚さ1mmのTFLEX640ギャップパッド、及びこれもLaird Technologiesから入手できる厚さ1.5mmのTFLEX380ギャップパッドの熱インピーダンスを、ASTM−D5470(その開示事項はその全部を参照として本明細書中に包含する)にしたがってLongwin 9091IRからの熱インピーダンステスターを用いて70℃において求めた。
【0091】
[00109]それぞれのパッドの熱インピーダンスを表5に与える。
2.PCM45F表面層:
[00110]TIMの中間層のマトリクスとしてギャップパッドTFLEX640を選択し、25×25mmの寸法に切断した。Honeywell International Inc., Morristown, NJから入手できるPCM45Fの25×25mmの片を、TFLEX640パッドの上面及び底面のそれぞれに適用した。ASTM−D5470にしたがって、熱インピーダンステスターを用いて、多層TIMの熱インピーダンスを求めた。
【0092】
[00111]TIMの中間層のマトリクスとしてギャップパッドTFLEX380を選択し、25×25mmの寸法に切断した。Honeywell International Inc., Morristown, NJから入手できるPCM45Fの25×25mmの片を、TFLEX380パッドの上面及び底面のそれぞれに適用した。ASTM−D5470にしたがって、熱インピーダンステスターを用いて、多層TIMの熱インピーダンスを求めた。
【0093】
[00112]それぞれの複合体TIMの熱インピーダンスを表5に与える。
3.PCM45F-SP表面層:
[00113]TIMの中間層のマトリクスとしてギャップパッドTFLEX640を選択し、25×25mmの寸法に切断した。Honeywell International Inc., Morristown, NJから入手できるPCM45F-SPを、TFLEX640パッドの上面及び底面のそれぞれの上に印刷し、次に溶媒を乾燥させるために80℃において30分間加熱処理した。ASTM−D5470にしたがって、熱インピーダンステスターを用いて、多層TIMの熱インピーダンスを求めた。
【0094】
[00114]複合体TIMの熱インピーダンスを表5に与える。
4.サーマルグリース表面層:
[00115]TIMの中間層のマトリクスとしてギャップパッドTFLEX640を選択し、25×25mmの寸法に切断した。Dow Corning, Midland, MIから入手できるサーマルグリースTC5026を、TFLEX640パッドの上面及び底面のそれぞれの上に印刷した。ASTM−D5470にしたがって、熱インピーダンステスターを用いて、多層TIMの熱インピーダンスを求めた。
【0095】
[00116]複合体TIMの熱インピーダンスを表5に与える。
5.ゲル表面層を有するPTM3180:
[00117]TIMの中間層のマトリクスとしてギャップパッドTFLEX640を選択し、25×25mmの寸法に切断した。Honeywell International Inc., Morristown, NJから入手できるゲルを有するPTM3180の25×25mmの片を、TFLEX640パッドの上面及び底面のそれぞれに適用した。ASTM−D5470にしたがって、熱インピーダンステスターを用いて、多層TIMの熱インピーダンスを求めた。
【0096】
[00118]複合体TIMの熱インピーダンスを表5に与える。
6.PCM45F及びPTM3180表面層:
[00119]TIMの中間層のマトリクスとしてギャップパッドTFLEX640を選択し、25×25mmの寸法に切断した。Honeywell International Inc., Morristown, NJから入手できるPCM45Fの25×25mmの片を、TFLEX640パッドの1つの面に適用した。Honeywell International Inc., Morristown, NJから入手できるPTM3180の25×25mmの片を、TFLEX640パッドの反対側の面に適用した。ASTM−D5470にしたがって、熱インピーダンステスターを用いて、多層TIMの熱インピーダンスを求めた。
【0097】
[00120]複合体TIMの熱インピーダンスを表5に与える。
7.TS27表面層:
[00121]TIMの中間層のマトリクスとしてギャップパッドTFLEX640を選択し、25×25mmの寸法に切断した。ポリマー、硬質ワックス及び軟質ワックス、並びに熱伝導性フィラーを含む圧縮性熱界面材料であるTS27の25×25mmの片を、TFLEX640パッドの上面及び底面のそれぞれに適用した。ASTM−D5470にしたがって、熱インピーダンステスターを用いて、多層TIMの熱インピーダンスを求めた。
【0098】
[00122]複合体TIMの熱インピーダンスを表5に与える。
【0099】
【表5】
【0100】
[00123]本発明を代表的な設計を有するものとして記載したが、本発明は本発明の精神及び範囲内で更に修正することができる。したがって、本出願は、その一般原理を用いる発明の任意のバリエーション、使用、又は適応をカバーすると意図される。更に、本出願は、本発明が属する技術における公知又は慣習的な手順に包含され、特許請求の範囲の限界内に包含される本発明からのかかる逸脱をカバーすると意図される。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[1]
少なくとも1種類のポリマー;
少なくとも1種類の熱伝導性フィラー;及び
ASTM−D1321によって測定して少なくとも50の針入度値を有するワックスを含む少なくとも1種類の相変化材料;
を含む圧縮性熱界面材料。
[2]
圧縮性熱界面材料が、40psiの印加接触圧力下で少なくとも5%の圧縮率を有する、[1]に記載の圧縮性熱界面材料。
[3]
圧縮性熱界面材料が50%以下のスプリングバック比を有する、[1]に記載の圧縮性熱界面材料。
[4]
少なくとも1種類の相変化材料が、ASTM−D1321によって測定して50未満の針入度値を有する第2のワックスを含む、[1]に記載の圧縮性熱界面材料。
[5]
少なくとも1種類の相変化材料が、ポリエチレンワックス、エチレン−酢酸ビニルコポリマーワックス、及び酸化ポリエチレンワックスからなる群から選択されるワックスを含む、[1]に記載の圧縮性熱界面材料。
[6]
少なくとも1種類の熱伝導性フィラーが、金属、合金、非金属、金属酸化物、セラミックス、及びこれらの組合せからなる群から選択されるフィラーを含む、[1]に記載の圧縮性熱界面材料。
[7]
少なくとも1種類のカップリング剤、少なくとも1種類の酸化防止剤、及び少なくとも1種類の架橋剤を更に含む、[1]に記載の圧縮性熱界面材料。
[8]
少なくとも1種類のポリマー、少なくとも1種類の熱伝導性フィラー、及びASTM−D132によって測定して少なくとも50の針入度値を有するワックスを含む中間層;
少なくとも1種類の相変化材料及び少なくとも1種類の熱伝導性フィラーを含み、中間層の第1の表面に接触している第1の表面層;並びに
少なくとも1種類の相変化材料及び少なくとも1種類の熱伝導性フィラーを含み、中間層の第2の表面に接触している第2の表面層;
を更に含む、[1]に記載の圧縮性熱界面材料。
[9]
少なくとも1種類の溶媒;
少なくとも1種類のポリマー;
少なくとも1種類の熱伝導性フィラー;及び
ASTM−D1321によって測定して少なくとも50の針入度値を有するワックスを含む少なくとも1種類の相変化材料;
を含む、圧縮性熱界面材料を形成するための配合物。
[10]
ヒートシンク;
電子チップ;
少なくとも1種類のポリマー、少なくとも1種類の熱伝導性フィラー、及びASTM−D1321によって測定して少なくとも50の針入度値を有する少なくとも1種類のワックスを含む、ヒートシンクと電子チップの間に配置されている圧縮性熱界面材料;
を含む電子コンポーネント。