(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
移動体通信網の加入者情報である第1加入者情報を有し、前記第1加入者情報とは識別対象の装置が異なる前記加入者情報である第2加入者情報を有する通信端末装置と通信可能な管理装置であって、
前記通信端末装置が受信可能な他の装置との無線通信識別情報の一覧を、前記通信端末装置の通信の接続状態を示す接続状態情報として前記通信端末装置から取得する取得部と、
前記取得部が取得する前記接続状態情報に基づいて、移動体通信網を介した無線通信方式である第1無線通信方式、前記移動体通信網を介さずに前記他の装置を介して通信する無線通信方式である第2無線通信方式のうちいずれかを自装置の通信方式として選択する選択部と、
前記接続状態情報を取得する際には他の装置を介さずに前記通信端末装置から前記接続状態情報を取得し、前記選択部が選択した通信方式に基づいて無線通信する通信部と、
を備える管理装置。
移動体通信網の加入者情報である第2加入者情報を有し、前記第2加入者情報とは識別対象の装置が異なる前記加入者情報である第1加入者情報を有する管理装置と通信可能な通信端末装置であって、
前記通信端末装置が受信可能な他の装置との無線通信識別情報の一覧を、前記通信端末装置の通信の接続状態を示す接続状態情報として前記管理装置に取得させる際には他の装置を介さずに前記接続状態情報を前記管理装置に送信し、前記管理装置が前記接続状態情報に基づいて選択した通信方式に基づいて無線通信する通信部
を備え、
前記通信部は、
移動体通信網を介した無線通信方式である第1無線通信方式で通信し、前記移動体通信網を介さない無線通信方式である第2無線通信方式で通信し、前記第1無線通信方式の通信と、前記第2無線通信方式の通信との少なくとも何れかを用いて前記管理装置と通信する、
通信端末装置。
移動体通信網の加入者情報である第1加入者情報を有し、前記第1加入者情報とは識別対象の装置が異なる前記加入者情報である第2加入者情報を有する通信端末装置と通信可能なコンピュータに、
前記通信端末装置が受信可能な他の装置との無線通信識別情報の一覧を、前記通信端末装置の通信の接続状態を示す接続状態情報として前記通信端末装置から取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記接続状態情報に基づいて、移動体通信網を介した無線通信方式である第1無線通信方式、前記移動体通信網を介さずに前記他の装置を介して通信する無線通信方式である第2無線通信方式のうちいずれかを自装置の通信方式として選択する選択ステップと、
前記接続状態情報を取得する際には他の装置を介さずに前記通信端末装置から前記接続状態情報を取得し、前記選択ステップにおいて選択された通信方式に基づいて無線通信する通信ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、図を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0016】
<NAS装置の概要>
図1は、第1実施形態に係るNAS装置10及び通信端末装置20の概要を示す図である。
NAS(Network Access Server)装置10は、通信端末装置20から受信するデータ(例えば、音楽、写真及び動画等)を管理する。NAS装置10は、ハードディスクドライブやROM(Read−Only−memory)などの記憶部150を備えている。この記憶部150には、通信端末装置20から送信される写真や動画、音楽などのデータが保存される。この記憶部150に記憶されるデータは、通信端末装置20が読み出すことも可能である。この場合、NAS装置10は、通信端末装置20のファイルサーバとして機能する。
【0017】
NAS装置10は、通信端末装置20との間のデータの送受信を、無線通信によって行う。このNAS装置10が行う無線通信には、さまざまな方式がある。例えば、NAS装置10が行う無線通信には、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)やWi−Fi(登録商標)による近距離無線通信、LTE(Long Term Evolution)などの移動体通信網を介した無線通信、及び赤外線による無線通信などの方式がある。
ここでは、NAS装置10が、通信端末装置20との間においてBLE、Wi−Fi、及びLTEによって通信が可能である場合について説明する。
【0018】
この一例では、NAS装置10は、Wi−Fiによる近距離無線通信を行うルータRTがユーザの宅内に設置されているか否かによって、通信端末装置20との間の通信方式を選択する。NAS装置10は、ユーザの宅内にルータRTが設置されている場合には、Wi−Fiによってデータの授受を行う。NAS装置10は、ユーザの宅内にルータRTが設置されていない場合には、LTEによってデータの授受を行う。
【0019】
<通信端末装置の概要>
通信端末装置20は、可搬型の装置であり、ユーザの操作に応じて無線通信を行う。通信端末装置20とは、例えば、携帯電話、スマートフォン及びタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯型のパーソナルコンピュータなどである。
通信端末装置20は、NAS装置10との間においてBLE、Wi−Fi、及びLTEによって通信が可能である。
【0020】
<加入者識別子IDについて>
NAS装置10及び通信端末装置20は、いずれも、移動体通信網を利用するサービスに加入する加入者を識別するための識別チップを備える。この識別チップとは、例えば、SIM(Subscriber Identity Module)である。このSIMには、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)が、加入者を識別する加入者識別子IDとして記憶されている。
LTEなどの移動体通信網を介した通信サービスは、通信事業者によって提供される。通信事業者は、IMSI(加入者識別子ID)と、電話番号とを対応付けて加入者の装置による通信を管理する。NAS装置10及び通信端末装置20は、SIMを装着することにより、移動体通信網を介した相互の通信が可能になる。
【0021】
なお、以下の説明において、NAS装置10に装着されているSIMの加入者識別子IDをNAS識別子ID1とも記載する。また、通信端末装置20に装着されているSIMの加入者識別子IDを端末識別子ID2とも記載する。
【0022】
また、以下の説明において、NAS装置10がルータRTを経由して通信端末装置20とデータの授受を行う場合を「ルータ経由無線LAN方式」又は単に「ルータ経由方式」とも記載する。
また、以下の説明において、NAS装置10がルータRTを経由せずに、LTEなどの移動体通信網を介してして通信端末装置20とデータの授受を行う場合を「LTE経由方式」とも記載する。
【0023】
ここで、NAS装置10や通信端末装置20を使用するすべてのユーザがWi−Fi等の通信設定に詳しいとは限らない。通信設定に詳しくないユーザの場合、ユーザは、宅内にルータRTが設置されているか否かを把握していない場合がある。また、このようなユーザの場合、ユーザは、宅内にルータRTが設置されていることを把握していても、ルータRTとNAS装置10との間の通信設定や、ルータRTと通信端末装置20との間の通信設定を滞りなく行えるとは限らない。
本実施形態のNAS装置10は、NAS装置10と通信端末装置20との間の通信設定を自動的に行うことにより、上述したような通信設定に詳しくないユーザに対する支援を行う。以下、これらNAS装置10及び通信端末装置20の具体的な機能構成について説明する。
【0024】
<機能構成>
以下、
図2を参照して通信端末装置20及びNAS装置10の機能構成について説明する。
図2は、第1実施形態に係るNAS装置10及び通信端末装置20の機能構成の一例を示す図である。
上述したように、ルータRTは、ルータ経由方式による無線通信を提供する。
【0025】
<通信端末装置の機能構成>
通信端末装置20は、Wi−Fi無線通信部210と、BLE無線通信部220と、LTE無線通信部230と、操作部240と、表示部250と、CPU(Central Processing Unit)260と、記憶部270とを備える。これら各部は、内部バスによって相互に接続される。
Wi−Fi無線通信部210は、他の通信機器との間においてWi−Fi方式によって無線通信を行う。
BLE無線通信部220は、他の通信機器との間においてBLE方式によって無線通信を行う。
LTE無線通信部230は、他の通信機器との間においてLTE方式によって無線通信を行う。
【0026】
操作部240は、入力デバイスを備え、ユーザの操作を受け付ける。この入力デバイスには、キーボード等の文字情報を入力するデバイス、マウス、タッチパネル等のポインティングデバイス、ボタン、ダイヤル、ジョイスティック、タッチセンサ、タッチパッド等が含まれる。表示部250は、CPU260によって制御され、画像、GUI(Graphical User Interface)等を表示する。この一例では、操作部240とは、タッチパネルである。
【0027】
記憶部270は、例えば、ハードディスクドライブやROM等を備え、通信端末装置20を制御するためのプログラムなどが記憶されている。
ルータ経由方式の場合、記憶部270には、通信端末装置20がルータRTにアクセスするための鍵情報KYRが記憶される。鍵情報KYRとは、例えば、WEP(Wired Equivalent Privacy)等の暗号化キーである。
ここで、NAS装置10と、通信端末装置20とがルータ経由無線LAN方式の通信によってデータの授受を行う場合、通信端末装置20は、ルータRTが提供する無線通信にアクセスするための鍵情報KYRを用いる。この一例では、通信端末装置20は、ルータRTが提供する無線通信に予め接続される。このため、通信端末装置20は、記憶部270に鍵情報KYRが記憶される。
【0028】
CPU260は、記憶部270に格納されるプログラムを実行し、通信端末装置20の各部を制御する。例えば、CPU260は、Wi−Fi無線通信部210、BLE無線通信部220、及びLTE無線通信部230を制御することにより、他の機器との間において無線通信を行う。また、例えば、CPU260は、無線通信を介したインターネットへのアクセスによって得られた画像、音声などのデータを、記憶部270に記憶させる。また、CPU260は、記憶部270に記憶させたこれらのデータを、無線通信を介してNAS装置10に送信する。
【0029】
<NAS装置の機能構成>
NAS装置10は、Wi−Fi無線通信部110と、BLE無線通信部120と、LTE無線通信部130と、CPU140と、記憶部150とをその機能部として備える。これら各部は、内部バスによって相互に接続される。
【0030】
Wi−Fi無線通信部110は、他の通信機器との間においてWi−Fi方式によって無線通信を行う。
BLE無線通信部120は、他の通信機器との間においてBLE方式によって無線通信を行う。
LTE無線通信部130は、他の通信機器との間においてLTE方式によって無線通信を行う。
【0031】
記憶部150は、例えば、ハードディスクドライブやROM等を備え、NAS装置10を制御するためのプログラムなどが記憶されている。
ルータ経由方式の場合、記憶部150には、NAS装置10がルータRTにアクセスするための鍵情報KYRが記憶される。この鍵情報KYRとは、通信端末装置20に記憶されている鍵情報KYRと同一の鍵情報であり、例えば、WEP等の暗号化キーである。この一例では、NAS装置10は、ルータRTが提供する無線通信に予め接続されていない。このため、NAS装置10は、通信端末装置20から鍵情報KYRを取得し、記憶部150に記憶させる。通信端末装置20から鍵情報KYRを取得する詳細については、後述する。
【0032】
CPU140は、記憶部150に格納されるプログラムを実行し、NAS装置10の各部を制御する。例えば、CPU140は、Wi−Fi無線通信部110、BLE無線通信部120、及びLTE無線通信部130を制御することにより、他の機器との間において無線通信を行う。
【0033】
また、CPU140は、選択部141をその機能部として備える。
選択部141は、通信端末装置20との間の無線通信の接続状態を示す情報(接続状態情報CD1)に基づいて、NAS装置10と通信端末装置20との間の通信方式を選択する。接続状態情報CD1とは、通信端末装置20が受信可能な無線通信の無線通信識別情報の一覧を示す情報である。この無線通信識別情報の一例として、無線LANのアクセスポイントを識別するSSID(Service Set Identifier)がある。
【0034】
アクセスポイントには、固有のSSIDが割り当てられている。アクセスポイントは、周囲の無線通信装置に対してSSIDを通知する。通信端末装置20は、アクセスポイントからSSIDを受信すると、受信したSSIDを一覧にした接続状態情報CD1を生成する。通信端末装置20は、BLE方式の無線通信によって、接続状態情報CD1をNAS装置10に通知する。
ルータRTが宅内に設置されている場合、通信端末装置20は、ルータRTのSSIDを受信する。この場合、通信端末装置20が生成する接続状態情報CD1には、ルータRTのSSIDが含まれている。したがって、ルータRTが宅内に設置されている場合、通信端末装置20がNAS装置10に通知する接続状態情報CD1には、ルータRTのSSIDが含まれている。
つまり、通信端末装置20は、接続状態情報CD1によって、ルータRTが宅内に設置されているか否かをNAS装置10に通知する。
【0035】
BLE無線通信部120は、接続状態情報CD1をBLE方式の無線通信によって受信する。選択部141は、BLE無線通信部120が受信した接続状態情報CD1に基づいて、NAS装置10の通信方式を選択する。
ルータRTが宅内に設置されている場合、接続状態情報CD1には、ルータRTのSSIDが含まれる。この場合、選択部141は、ルータ経由方式を、NAS装置10と通信端末装置20との間の無線通信方式として選択する。
【0036】
ここで、上述したように、NAS装置10がルータRTとの通信を行う場合、鍵情報KYRが必要である。
ルータ経由方式が選択される場合、NAS装置10は、BLE方式の無線通信によって、通信端末装置20から鍵情報KYRを受信する。NAS装置10は、受信した鍵情報KYRに基づいて、ルータRTとの通信設定を行う。これにより、NAS装置10は、通信端末装置20との間において、ルータ経由方式によってデータの送受信を行う。
【0037】
<NAS装置の動作について>
以下、
図3を参照し、NAS装置10の動作について説明する。
図3は、第1実施形態に係るNAS装置10の動作の一例を示す流れ図である。
BLE無線通信部120は、通信端末装置20から接続状態情報CD1を取得する(ステップS110)。
選択部141は、接続状態情報CD1にルータRTのSSIDが含まれる場合(ステップS120;YES)、「ルータ経由方式」をNAS装置10と通信端末装置20との間の通信方式として選択する(ステップS130)。この場合、BLE無線通信部120は、鍵情報KYRを通信端末装置20から受信する(ステップS140)。ここで、BLE無線通信部120は、受信した鍵情報KYRを記憶部150に記憶させる。Wi−Fi無線通信部110は、記憶部150に記憶される鍵情報KYRに基づいて、ルータRTが提供する無線通信に接続する。
選択部141は、接続状態情報CD1にルータRTのSSIDが含まれない場合(ステップS120;NO)、「LTE経由方式」をNAS装置10と通信端末装置20との間の通信方式として選択する(ステップS150)。
NAS装置10は、選択部141が選択した通信方式の無線通信によって、通信端末装置20とデータを送受信する(ステップS160)。
【0038】
<第1実施形態のまとめ>
以上説明したように、本実施形態の管理装置(この一例では、NAS装置10)は、NAS識別子ID1を有している。また、NAS装置10は、端末識別子ID2を有する通信端末装置20と通信可能である。また、本実施形態のNAS装置10は、取得部(この一例では、BLE無線通信部220)と、通信部(この一例では、Wi−Fi無線通信部110、及びLTE無線通信部130)と、選択部141とを備える。BLE無線通信部220は、通信端末装置20の無線通信方式の通信の接続状態を示す接続状態情報CD1を取得する。選択部141は、接続状態情報CD1に基づいて、移動体通信網を介した無線通信方式である第1無線通信方式(この一例では、LTE経由方式)、又は移動体通信網を介さない無線通信方式である第2無線通信方式(この一例では、ルータ経由方式)のいずれかを自装置の通信方式として選択する。通信部(この一例では、Wi−Fi無線通信部110、及びLTE無線通信部130)は、選択部241が選択する通信方式に基づいて無線通信する。
したがって、本実施形態のNAS装置10によれば、ネットワーク設定が不得手なユーザであっても、NAS装置10が設置される環境に応じた通信方式を選択し、選択した通信方式によって無線通信させることができる。つまり、本実施形態のNAS装置10によれば、NAS装置10のネットワークに係る設定を支援することができる。
【0039】
また、本実施形態のNAS装置10が備える選択部141は、接続状態情報CD1が、接続可能なことを示す無線通信方式を自装置の通信方式として選択し、通信部は、選択部141が選択する無線通信方式によって無線通信する。
つまり、本実施形態のNAS装置10は、複数の通信方式のうち、データの授受が可能な通信方式を自動的に選択する。したがって、本実施形態のNAS装置10によれば、ユーザの通信設定の手間を軽減することができる。これにより、ネットワーク設定が不得手なユーザであっても、NAS装置10を手軽に利用することができる。
【0040】
また、本実施形態のNAS装置10は、ルータ経由方式を自装置の通信方式として選択し、BLE無線通信部220は、ルータ経由方式の通信に使用される鍵情報KYRを通信端末装置20から取得し記憶部150に記憶させる。Wi−Fi無線通信部110は、記憶部150に記憶される鍵情報KYRを使用し、ルータ経由方式によって無線通信する。
したがって、本実施形態のNAS装置10によれば、ネットワーク設定が不得手なユーザであっても、ルータ経由方式の接続に係る設定を支援することができる。
【0041】
なお、移動体通信網は、LTE方式にしたがって構築された通信網に限られず、LTE方式にしたがって構築された通信網以外の3G方式等の通信網であってもよい。
また、上述では、NAS装置10が備える記憶部150は、NAS装置10に外付けされる構成であってもよい。この場合、NAS装置10は、無線通信によって通信端末装置20から受信したデータを別体に構成される記憶部に保存する。
また、NAS装置10は、ユーザの住宅の他、ユーザが通信端末装置20を高い使用頻度によって使用する場所(例えば、ユーザの職場等)に設置されていてもよい。
また、ルータRTが設置されていない場合、NAS装置10が備える記憶部150には、鍵情報KYRが記憶されていなくてもよい。
【0042】
<変形例>
以下、図を参照して、第1実施形態に係る変形例について説明する。
第1実施形態では、通信端末装置20の接続状態情報CD1に基づいて、NAS装置10の通信方式を選択する場合について説明した。変形例では、NAS装置の無線通信方式の通信への接続状態を示す情報(以下、接続状態情報CD2)に基づいて、NAS装置10の通信方式を選択する場合について説明する。
なお、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
図4は、変形例に係るNAS装置10及び通信端末装置20の機能構成の一例を示す図である。
図4に示す通り、変形例のNAS装置10が備えるCPU140は、選択部141と、検出部142とをその機能部として備える。検出部142は、NAS装置10が電波を受信可能な無線通信を検出し、接続状態情報CD2を生成する。接続状態情報CD2とは、例えば、NAS装置10が電波を受信可能な無線通信のSSIDの一覧を示す情報である。選択部141は、検出部142が検出し、生成する接続状態情報CD2に基づいて、NAS装置10の通信方式を選択する。
【0044】
ここで、宅内にルータRTが設置されている場合、接続状態情報CD2には、ルータRTのSSIDが含まれる。選択部141は、接続状態情報CD2にルータ経由方式のSSIDが含まれる場合、NAS装置10の無線通信方式としてルータ経由方式を選択する。
具体的には、宅内にルータRTが設置されている場合、接続状態情報CD1、及び接続状態情報CD2には、ルータRTのSSIDが含まれ、選択部141は、接続状態情報CD1と、接続状態情報CD2とを比較し、NAS装置10の通信方式を選択する。より具体的には、選択部141は、接続状態情報CD1に含まれるSSIDと、一致するSSIDが接続状態情報CD2に含まれる場合、当該SSIDのルータ(この一例では、ルータRT)を介して通信する通信方式(この一例では、ルータ経由方式)を選択する。
【0045】
また、住宅内にルータRTが設置されていない場合、接続状態情報CD2には、ルータ経由方式のSSIDが含まれない。選択部141は、取得した接続状態情報CD2にルータ経由方式のSSIDが含まれない場合、NAS装置10の無線通信方式としてLTE経由方式を選択する。
【0046】
<変形例のまとめ>
以上説明したように、変形例のNAS装置10は、NAS装置10の通信の接続状態を検出する検出部142を備える。また、変形例のNAS装置10が備える選択部141は、検出部142が検出する接続状態情報CD2が、ルータ経由方式の無線通信に接続可能なことを示し、かつ検出部142の検出結果がルータ経由方式の無線通信に接続不可能であることを示す場合、LTE経由方式を自装置の通信方式として選択する。また、選択部141がLTE経由方式を自装置の通信方式として選択する場合、NAS装置10は、LTE無線通信部130によってLTE経由方式の無線通信を行い、通信端末装置20とデータの送受信を行う。
ここで、ユーザの住宅の構造やルータRTの電波強度等によっては、通信端末装置20が、ルータ経由方式の無線通信が可能であっても、NAS装置10が、ルータ経由方式の無線通信が不可能である場合がある。この場合、変形例のNAS装置10によれば、NAS装置10の通信方式としてLTE経由方式を選択することができる。
したがって、変形例のNAS装置10によれば、NAS装置10が設置される環境に応じた通信方式を選択し、選択した通信方式によって無線通信させることができる。
【0047】
<第2実施形態>
以下、図を参照して本発明の第2実施形態について説明する。
第1実施形態及び変形例では、NAS装置10と通信端末装置20とが、ルータ経由方式、又はLTE経由方式によって無線通信する場合について説明した。
第2実施形態では、NAS装置10と通信端末装置20とが、NAS装置10が提供する無線LAN方式の無線通信によっても無線通信可能である場合について説明する。
なお、上述した第1実施形態、及び変形例と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
図5は、第2実施形態に係るNAS装置10及び通信端末装置20の機能構成の一例を示す図である。
本実施形態のNAS装置10は、無線LAN(例えば、Wi−fi)方式の無線通信を提供する機能を有する。以下の説明において、NAS装置10が提供する無線LANによって、NAS装置10と通信端末装置20との間を接続する無線通信方式を「NAS無線LAN方式」とも記載する。
本実施形態のNAS装置10は、上述したルータ経由方式、LTE経由方式に加え、NAS無線LAN方式の3種類の方式によって、通信端末装置20との間においてデータの送受信を行う。また、NAS装置10は、通信端末装置20がインターネット、又は移動体通信網に接続する場合において、これらの通信を中継する機能を有する。
【0049】
一例として、ルータRTがインターネットに接続されており、通信端末装置20がルータRTを介してインターネットに接続する場合について説明する。
この一例の場合、NAS装置10は、通信端末装置20との間の通信をNAS無線LAN方式によって行う。また、NAS装置10は、ルータRTとの間の通信を無線LAN(例えば、Wi−fi)方式によって行う。このNAS装置10とルータRTとの間の無線LANは、ルータRTが提供する。以下の説明において、ルータRTが提供する無線LANによって、NAS装置10とルータRTとの間を接続する無線通信方式を「ルータ無線LAN方式」とも記載する。
具体的には、通信端末装置20がインターネットに対して通信を行う場合、NAS装置10は、通信端末装置20との間の通信を「NAS無線LAN方式」によって行い、インターネットに対する通信を「ルータ無線LAN方式」によって行う。
つまり、NAS装置10は、通信端末装置20とルータRTとの間において、インターネット接続を中継する。
【0050】
より具体的には、第1の実施形態において説明した構成と同様に、NAS装置10は、通信端末装置20の接続状態情報CD1に基づいて、NAS装置10の通信方式を選択し、選択した通信方式によって無線通信する。この一例では、NAS装置10は、ルータ経由方式をNAS装置10の通信方式として選択し、無線通信する。
NAS装置10と通信端末装置20とは、NAS無線LAN方式の無線通信によってデータを送受信する。ここで、NAS装置10は、NAS無線LAN方式の通信を使用する際に用いられる鍵情報KYNを、BLE方式の無線通信によって通信端末装置20に送信する。通信端末装置20は、受信した鍵情報KYNに基づいて、NAS無線LAN方式の通信設定を行う。
なお、NAS装置10と通信端末装置20とは、例えば、WPS(Wi−Fi Protected Setup)によってNAS無線LAN方式の通信設定を行ってもよい。
【0051】
別の一例として、NAS装置10がLTEなどの移動体通信網に接続されており、通信端末装置20がNAS装置10を介して移動体通信網に接続する場合について説明する。
この一例の場合、NAS装置10は、通信端末装置20との間の通信をNAS無線LAN方式によって行う。また、NAS装置10は、移動体通信網との間の通信を行う。
つまり、NAS装置10は、通信端末装置20による移動体通信網への接続を中継する。
【0052】
<第2実施形態のまとめ>
以上説明したように、本実施形態のNAS装置10は、Wi−Fi無線通信部110は、自装置が提供する無線通信方式である第3無線通信方式(この一例では、NAS無線LAN方式)によって、通信端末装置20と無線通信する。
したがって、本実施形態のNAS装置10によれば、通信端末装置20がNAS無線LAN方式によって送受信する情報を集約し、インターネットや移動体通信網に中継することができる。
ここで、通信端末装置20が行う通信によっては、ルータ経由方式によって無線通信することが好ましい場合と、LTE経由方式によって無線通信することが好ましい場合とがある。例えば、LTE経由方式の無線通信が輻輳する場合、通信端末装置20は、ルータ経由方式によって無線通信することが好ましい。本実施形態のNAS装置10によれば、通信端末装置20がNAS無線LAN方式によって送受信する情報を集約し、ルータ経由方式、又はLTE経由方式の無線通信に振り分けることができる。
【0053】
<NAS装置が通信端末装置の無線通信方式を指定する場合>
なお、上述では、NAS装置10が、通信端末装置20がNAS無線LAN方式によって送受信する情報を集約する場合について説明したが、これに限られない。NAS装置10は、例えば、通信端末装置20の通信方式を指定する機能を有していてもよい。この場合、NAS装置10が備えるCPU140は、選択部141と、通信方式指定部143とをその機能部として備える。
通信方式指定部143は、通信端末装置20の無線通信方式を指定する。具体的には、通信方式指定部143は、通信端末装置20がNAS無線LAN方式の無線通信を自装置の通信方式として指定する。通信方式指定部143は、例えば、通信端末装置20の無線通信方式を指定する指定情報を生成し、Wi−Fi無線通信部110が実現するNAS無線LAN方式の無線通信によって通信端末装置20に指定情報を生成する。通信端末装置20は、NAS装置10から受信した指定情報に基づいて、ルータ経由方式、LTE経由方式、及びNAS無線LAN方式のうち、NAS無線LAN方式によって無線通信する。
したがって、本実施形態のNAS装置10によれば、通信端末装置20が送受信する情報を集約し、インターネットや移動体通信網に中継することができる。
【0054】
なお、この一例におけるNAS装置10は、LTEによる通信端末装置20との通信において、この加入者識別子IDを利用することにより通信の認証を行う構成であってもよい。この場合、NAS装置10は、通信端末装置20に装着されているSIMの加入者識別子IDが、予めNAS装置10に登録されている場合、LTEによる通信端末装置20との通信を許可する。
【0055】
また、この一例におけるNAS装置10は、Wi−Fiによる通信端末装置20との通信においても、この加入者識別子IDを利用することにより通信の認証を行う構成であってもよい。この場合、NAS装置10は、通信端末装置20に装着されているSIMの加入者識別子IDが、予めNAS装置10に登録されている場合、Wi−Fiによる通信端末装置20との通信を許可する。
【0056】
つまり、NAS装置10は、さまざまな通信端末装置のうち、予め登録されている通信端末装置20のみと通信を行う。このように構成することにより、NAS装置10は、未認証の通信端末装置が記憶部にアクセスして、勝手にデータを読み書きしないようにアクセス制限を行うことができる。
【0057】
例えば、NAS装置10は、記憶部のデータに対するアクセス認証を、SIMを用いて行う場合。このSIMは、移動体通信網における通信のセキュリティについての対策が十分に施されたうえで、通信事業者によって提供される。つまり、SIMによるアクセス認証は、通信セキュリティに対する信頼性が十分に高い。したがって、本実施形態のNAS装置10によれば、通信セキュリティについて、Wi−Fiによる通信であっても、LTEによる通信と同等の信頼性を確保することができる。
【0058】
なお、上記の各実施形態において、加入者識別子IDとは、加入者情報の一例である。また、NAS識別子ID1とは、第1加入者情報の一例である。また、端末識別子ID2とは、第2加入者情報の一例である。
【0059】
なお、上記の各実施形態におけるNAS装置10、及び通信端末装置20が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
【0060】
なお、NAS装置10、及び通信端末装置20が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、NAS装置10、及び通信端末装置20が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0061】
また、NAS装置10、及び通信端末装置20が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0062】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。