特許第6532510号(P6532510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6532510
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】感圧接着ストリップ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20190610BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20190610BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20190610BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J153/02
   C09J11/08
   C09J11/06
【請求項の数】32
【外国語出願】
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2017-155077(P2017-155077)
(22)【出願日】2017年8月10日
(65)【公開番号】特開2018-95834(P2018-95834A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2017年8月10日
(31)【優先権主張番号】10 2016 224 646.1
(32)【優先日】2016年12月9日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】10 2016 224 735.2
(32)【優先日】2016年12月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509120403
【氏名又は名称】テーザ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】アンナ・ブラツェイェフスキー
(72)【発明者】
【氏名】アクセル・ブルマイスター
(72)【発明者】
【氏名】アニカ・ペーターゼン
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−070655(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03075772(EP,A1)
【文献】 特表2012−508287(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0076430(US,A1)
【文献】 特開2011−074133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロバルーンで発泡されたビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする自着剤からなる少なくとも一つの層SK1を含む感圧接着ストリップであって、自着剤層SK1中のマイクロバルーンから形成された中空空間の平均径が60〜110μmである感圧接着ストリップ。
【請求項2】
自着剤層SK1からなることを特徴とする、請求項1に記載の感圧接着ストリップ。
【請求項3】
自着剤層SK1が、45〜5000μmの厚さを有することを特徴とする、請求項2に記載の感圧接着ストリップ。
【請求項4】
層SK1と、フィルムキャリアからなる更なる層Fとを含み、この層SK1が、フィルムキャリア層Fの表面の一つの上に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の感圧接着ストリップ。
【請求項5】
ビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする自着剤からなる更に別の層SK2を含み、この層SK2は、層SK1とは反対側のフィルムキャリア層Fの表面上に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の感圧接ストリップ。
【請求項6】
層SK2が、マイクロバルーンを用いて発泡された自着剤をベースとし、この際、層SK2中のマイクロバルーンから形成された中空空間の平均径が60〜110μmであることを特徴とする、請求項5に記載の感圧接着ストリップ。
【請求項7】
フィルムキャリア層が、5μmと125μmとの間の厚さを有し、及び自着剤層SK1及び存在する場合には自着剤SK2が、互いに独立して、45〜1000μmとの間の厚さを有することを特徴とする、請求項4〜6の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
【請求項8】
両方の自着剤層SK1及びSK2の発泡したビニル芳香族ブロックコポリマー組成物が化学的に同一であることにより、層の組成に関して対称的な構成を有することを特徴とする、請求項5〜7の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
【請求項9】
両方の自着剤層SK1及びSK2が同じ厚さ及び/または同じ密度を有することにより、構造的に対称的な構成を有することを特徴とする、請求項5〜の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
【請求項10】
(i)主としてビニル芳香族化合物から形成されたポリマーブロック(A−ブロック)と、同時に、(ii)主として1,3−ジエンの重合によって形成されたポリマーブロック(B−ブロック)とを含むビニル芳香族ブロックコポリマーをベースとする層が、自着剤層SK1及び/またはSK2として使用されることを特徴とする、請求項1〜の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
【請求項11】
A−B、A−B−A、(A−B)、(A−B)Xまたは(A−B−A)Xの構成を持つブロックコポリマーの形の少なくとも一種の合成ゴムがビニル芳香族ブロックコポリマーとして使用されることを特徴とする、請求項1〜10の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
ただし、
− ブロックAは、互いに独立して、少なくとも一種のビニル芳香族化合物の重合によって形成されたポリマーを表し、
− ブロックBは、互いに独立して、炭素原子数4〜18の共役ジエンの重合によって形成されたポリマー、またはこのようなポリマーの部分水素化誘導体を表し、
− Xは、カップリング試薬または開始剤の残部を表し、そして
− nは≧2の整数を表す。
【請求項12】
ビニル芳香族化合物が、ブロックAの構成のために、スチレン、α−メチルスチレン及び/または他のスチレン誘導体を含むことを特徴とする、請求項10または11に記載の感圧接着ストリップ。
【請求項13】
ブロックBのためのモノマーが、ブタジエン、イソプレン、エチルブタジエン、フェニルブタジエン、ピペリレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、エチルヘキサジエン及びジメチルブタジエン並びにこれらのモノマーの任意の混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1012の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
【請求項14】
ビニル芳香族ブロックコポリマーの割合が、合計として自着剤層SK1またはSK2全体を基準にして、少なくとも20重量%であり、かつ同時に、最大で75重量%であることを特徴とする、請求項1〜13の何れか一つに記載の感圧接ストリップ。
【請求項15】
自着剤層SK1及び/またはSK2が、ビニル芳香族ブロックコポリマー及び粘着樹脂をベースとして構成されることを特徴とする、請求項1〜14の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
【請求項16】
0℃超のDACP(ジアセトンアルコール曇点)及び70℃以上の軟化温度(環球式)を有する樹脂が(樹脂の総割合をベースとして)少なくとも75重量%まで選択されることを特徴とする、請求項15に記載の感圧接着ストリップ。
【請求項17】
自着剤層の総重量を基準にして20〜60重量%の粘着樹脂が、自着剤層SK1及び/またはSK2中に含まれることを特徴とする、請求項15または16に記載の感圧接着ストリップ。
【請求項18】
粘着樹脂が、それの少なくとも75重量%まで炭化水素樹脂またはテルペン樹脂またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項15〜17の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
【請求項19】
発泡自着剤層SK1及び/または発泡自着剤層SK2中のマイクロバルーンの割合が、それぞれ自着剤層の組成物全体を基準にして、12重量%までであることを特徴とする、請求項1〜18の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
【請求項20】
発泡自着剤層SK1及び/またはSK2中の、マイクロバルーンから形成された中空空間の平均径が、70〜100μmであることを特徴とする、請求項1〜19の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
【請求項21】
自着剤層SK1及び/またはSK2が、以下の組成からなることを特徴とする、請求項1〜20の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
−ビニル芳香族ブロックコポリマー 20〜75重量%
−粘着樹脂 24.6〜60重量%
−マイクロバルーン 0.2〜10重量%
−添加剤 0.2〜10重量%
【請求項22】
自着剤層SK1及び/またはSK2が、以下の組成からなることを特徴とする、請求項1〜21の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
−ビニル芳香族ブロックコポリマー 35〜65重量%
−粘着樹脂 34.6〜45重量%
−マイクロバルーン 0.2〜10重量%
−添加剤 0.2〜10重量%
【請求項23】
自着剤層SK1及び/またはSK2が、以下の組成からなることを特徴とする、請求項1〜20の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
−ビニル芳香族ブロックコポリマー 30〜75重量%
−粘着樹脂 24.8〜60重量%
−マイクロバルーン 0.2〜10重量%
【請求項24】
発泡自着剤層SK1及び/またはSK2の絶対密度が、400〜990kg/mあり、及び/または相対密度が、0.35〜0.99であることを特徴とする、請求項1〜23の何れか一つに記載の感圧接ストリップ。
【請求項25】
発泡自着剤層SK1及び/またはSK2の絶対密度が、450〜900kg/mであることを特徴とする、請求項24に記載の感圧接着ストリップ。
【請求項26】
フィルムキャリアが長さ方向に300%未満の破断伸びを有することを特徴とする、請求項4〜25の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
【請求項27】
フィルムキャリアが横方向にも300%未満の破断伸びを有することを特徴とする、請求項26に記載の感圧接着ストリップ。
【請求項28】
フィルムキャリアが長さ方向に少なくとも300%の破断伸びを有することを特徴とする、請求項4〜25の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
【請求項29】
フィルムキャリアが横方向にも少なくとも300%の破断伸びを有することを特徴とする、請求項28に記載の感圧接着ストリップ。
【請求項30】
部材及び電子デバイスの接着のための、請求項1〜29の何れか一つに記載の感圧接着ストリップの使用。
【請求項31】
蓄電池及びモバイルデバイスの接着のための、請求項1〜29の何れか一つに記載の感圧接着ストリップの使用。
【請求項32】
携帯電話の接着のための、請求項1〜29の何れか一つに記載の感圧接着ストリップの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧接着ストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば家庭用電化製品工業における機器中の小さな部品の接着には接着テープがしばしば使用されている。これを可能とするためには、接着テープ断片の形態を部品の形態に適合させる必要がある。この場合、困難な形状もしばしば必要となり、これは、接着テープのダイカットにより得られる。例えば、数ミリメータかまたはそれ未満のダイカットパーツにおける枠幅(Stegbreite)も珍しくない。この弱い接着テープを部品上に施与する場合、ダイカットパーツの変形がしばしば起こる。
【0003】
この変形を阻止するかまたは少なくとも軽減するためには、施与の際の引張力を受け止めるために接着テープ中に中間層としてフィルム、例えばPETフィルムを統合することが有利であることが分かっている。
【0004】
部品が衝撃負荷に曝される場合には、このような接着テープを用いた接着も益々使用されるようになっている。粘弾性のシンタクチックに発泡されたコア、安定化フィルム及び外側層上に二つの自着性接着層を備えた感圧接着ストリップを用いた接着が、格別に耐衝撃性に優れることが分かっている。
【0005】
これらの感圧接着性ストリップは、衝撃負荷下に感圧接着ストリップ内部に凝集破壊が観察されるという性能を持つ。発泡されたコアと安定化フィルムとの間の接合が機能しなくなり、そして発泡体とフィルムとが互いから剥がれる。
【0006】
発泡型感圧接着剤系はかなり前から知られており、従来技術に開示されている。
【0007】
基本的に、ポリマー発泡体は二つの方法で製造できる。一方の方法では、そのまま加えられるにせよまたは化学反応から生じるにせよ発泡ガスの作用によって行われ、他方の方法では原材料マトリックス中に中空球を配合することによって行われる。後者の方法で製造された発泡体はシンタクチックフォームと称される。
【0008】
シンタクチックフォームでは、ガラス球やセラミック中空球などの中空球(マイクロスフィア)またはマイクロバルーンをポリマーマトリックス中に組み入れる。それによって、シンタクチックフォームでは、中空空間は互いから離れており、そして中空空間中に存在する物質(ガス、空気)は膜によって周囲のマトリックスから隔離されている。
【0009】
マイクロ中空球を用いて発泡された材料は、発泡気泡の均一なサイズ分布を有する一定した気泡構造を特色とする。マイクロ中空球を用いると、空隙の無い独立気泡型発泡体が得られ、これは、開放気泡型発泡体と比べると、中でも、ダスト及び液状媒体に対するより良好なシーリング作用を特色とする。更に、化学的にもしくは物理的に発泡した材料は、圧力及び温度下での不可逆性の崩壊を起こしやすく、しばしば比較的低い凝集強度を示す。
【0010】
格別有利な特性は、発泡のためのマイクロ球として、膨張可能なマイクロ球(「マイクロバルーン」とも称される)を使用した場合に達成できる。それらの柔軟な熱可塑性ポリマーシェルによって、このような発泡体は、非膨張性の非ポリマー性マイクロ中空球(例えばガラス中空球)で満たされたものと比べて高い適合性を有する。これらは、例えば射出成形部品において通常であるような工程公差の調節のためにより良好に適しており、そしてそれらの発泡体特性の故に熱応力もより良好に相殺することができる。
【0011】
更に、ポリマーシェルの熱可塑性樹脂の選択によって、発泡体の機械的特性に更に影響を及ぼすことができる。例えば、たとえ発泡体がマトリックスよりも密度が小さい場合でも、ポリマーマットリックスだけを用いた場合よりもより高い凝集強度を持つ発泡体を製造することができる。例えば、粗い下地に対する適合性などの典型的な発泡体特性を、自着性発泡体のために高い凝集強度と組み合わせることができる。
【0012】
家庭用電化製品工業における機器には、本願の意味では電子、光学及び精密機械機器、特に、商標登録の商品役務国際分類(ニース分類)、第10版(NCL(10−2013))のクラス9に分類できるような機器(但し、電子、光学または精密機械機器であるものに限る)、更にクラス14(NCL(10−2013))に従う時計及び計時用具、
例えば特に
・科学用、航海用、測量用、写真用、映画用、光学用、計量用、測定用、信号用、監視用、救命用及び教育用の機器;
・電気の伝導用、開閉用、変圧用、蓄電用、調整用又は制御用の機械器具;
・映像の記録用、加工用、送信用又は再生用の装置、例えばテレビ及び類似品;
・音響の記録用、加工用、送信用又は再生用の装置、例えば放送用デバイス及び類似品;
・コンピュータ、計算機及びデータ処理装置、数学用機器、コンピュータ周辺機器、事務用機器、例えばプリンター、ファクシミリ、複写機器、タイプライター、データ記憶装置;
・電気通信用デバイス及び電気通信機能を持つ多機能デバイス、例えば電話機及び留守番電話機;
・化学的及び物理的測定装置、制御装置、例えば蓄電池、マルチメーター、電球、回転速度計;
・航海用計器;
・光学用機器;
・医療用機械器具、並びにスポーツ選手用のこのような機械器具;
・時計及びクロノメータ;
・太陽電池モジュール、例えば電気化学的色素太陽電池、有機太陽電池、薄層電池;
・消化器;
が挙げられる。
【0013】
技術的な開発は、いっそう小さくかつ軽く設計され、そのため使用者がいつでも携帯でき、通常は一般的に携帯されるデバイスに益々向けられている。これは、現在は益々、このようなデバイスの軽量化及び/または適切な大きさの実現によって行われるようになっている。このようなデバイスは、本明細書の枠内では、携帯用デバイスまたはポータブルデバイスとも称される。このような開発傾向の下に、精密機械デバイス及び光学デバイスには、小型化の可能性を高める電子部品が(も)備えられることが多くなっている。携帯用デバイスは持ち運ばれるために、これらは、(特に機械的な)負荷、例えば縁の衝突、落下、バック中での他の硬質物品との接触による負荷、または単に持ち運びされること自体による絶え間ない運動からの負荷に曝されることが多い。しかし、携帯用デバイスは、通常は室内に設置されて動かされないかまたは殆ど動かされることのない「固定型」デバイスと比べて、湿気の影響、温度の影響及び類似の影響に基づくより強い負荷にも曝される。
【0014】
応じて、本発明は特に好ましくは携帯用デバイスに関する。というのも、本発明に従い使用される感圧接着ストリップは、それらの予期できない良好な、すなわち一層向上された特性(非常に高い耐衝撃性)の故にこのような用途に特に有益であるからである。以下には、幾つかのポータブルデバイスを挙げるが、本発明の対象に関連して以下のリストに具体的に挙げた代表的なものによって、不要に限定されることは意図しない。
・光学機器、デジタルカメラ、撮影用品(例えば露出計、フラッシュデバイス、絞り、カメラケース、対物レンズなど)、フィルムカメラ、ビデオカメラ;
・小型コンピュータ(モバイルコンピュータ、ポケットコンピュータ、ポケットカルキュレータ)、ラップトップ、ノートブック、ネットブック、ウルトラブック、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、電子的予定記入式カレンダまたはシステム手帳(いわゆる「電子手帳」または「携帯情報末端」、PDA、パームトップ)、モデム;
・コンピュータアクセサリー及び電子デバイス用の操作用ユニット、例えばマウス、画用パッド、グラフィックスタブレット、マイクロフォン、スピーカー、ゲームコンソール、ゲームパッド、リモートコントロール、リモート操作用デバイス、タッチパッド;
・モニター、ディスプレイ、スクリーン、タッチセンシティブ型スクリーン(センサースクリーン、「タッチスクリーンデバイス」)、プロジェクター、
・電子ブック(「E−ブック」)のための書籍リーダー;
・小型テレビ、ポケットテレビ、フィルムプレーヤーデバイス、ビデオプレーヤーデバイス;
・ラジオ(小型ラジオ及びポケットラジオも含む)、ウオークマン、ディスクマン、例えばCD、DVD、ブルーレイ、カセット、USB、MP3のための音楽再生デバイス、及びヘッドフォン、
・コードレス電話機、携帯電話機、スマートフォン、送受信用無線機、ハンドフリーデバイス、ポケットベル(ページャー、ビーパー);
・携帯用細動除去器、血糖値測定デバイス、血圧計、万歩計、心拍計、
・懐中電灯、レーザーポインター、
・移動検出器、光学拡大鏡、望遠鏡、暗視装置、
・GPSデバイス、ナビゲーションデバイス、衛生通信のための携帯可能なインターフェースデバイス、
・データストレージデバイス(USBスティック、外部ハードディスク、メモリカード)、
・腕時計、デジタル時計、ポケットウオッチ、懐中時計、ストップウオッチ。
【0015】
これらの機器には、特に、高い保持性能を有する接着テープが必要とされる。
【0016】
更に、携帯デバイス、例えば携帯電話が落下しそして地面に衝突した時に接着テープがその保持性能を失わないことが重要である。すなわち、接着ストリップは、非常に高い耐衝撃性を有する必要がある。
【0017】
EP2832780A1(特許文献1)は、ゴムエラストマー、少なくとも一種の炭化水素粘着性付与剤、及び多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される架橋剤を含む、感圧接着フォームに関する。
【0018】
JP2010/070,655A(特許文献2)は、スチレンベースの熱可塑性エラストマー(A)、粘着性付与剤(B)及び熱膨張性マイクロカプセル状発泡剤を含む組成物に関する。
【0019】
DE102008056980A1(特許文献3)は、
・熱可塑性及び/または非熱可塑性エラストマーと、1,2−結合ジエンを30重量%超の割合でエラストマーブロック中に含む少なくとも一種のビニル芳香族ブロックコポリマーとのポリマーブレンド、
・少なくとも一種の粘着樹脂、
・膨張したポリマーマイクロ球
を含む混合物からなる自着剤に関する。
【0020】
WO2009/090119A1(特許文献4)は、膨張マイクロバルーンを含む感圧性接着剤であって、膨張マイクロバルーンを含む接着剤の接着力が、膨張マイクロバルーンによって生じた中空空間の破壊によって脱泡した、同処方、同単位面積重量の接着剤の接着力と比べてせいぜい30%減少する感圧性接着剤に関する。
【0021】
WO2003/011954A1(特許文献5)は、発泡した感圧接着剤物品に関し、ここでこの物品は、a)少なくとも一種のスチレン系ブロックコポリマー及び少なくとも一種のポリアリーレンオキシドを含むポリマー混合物、及びb)一種以上の発泡可能なポリマーマイクロ小球を含む。
【0022】
DE102015206076A1(特許文献6)は、本質的に接着面での伸張性延伸によって残渣及び破壊無く再び剥がすことができ、全てマイクロバルーンで発泡した感圧接着剤からなる一つ以上の接着剤層、場合によっては及び一つ以上の中間キャリア層からなる感圧接着ストリップであって、上記の接着剤層、場合によっては存在する中間キャリア層から排他的になり、かつ一つの外側の上面と一つの外側の下面が、上記の一つ以上の感圧接着剤層から形成されていることを特徴とする、感圧接着ストリップに関する。この再剥離可能な感圧接着ストリップは、顕著な耐衝撃性を特色とする。
【0023】
まだ公開されていない、本出願と同じ出願人の特許出願DE102016202479(特許文献7)は、四層接着テープを記載しており、ここで、発泡内側層は、PET安定化フィルムによって追加的に強化されている。このような構成によって、格別耐衝撃性の接着テープが提供できた。
【0024】
同様にまだ公開されていない、本願と同じ出願人の特許出願DE102016209707(特許文献8)は、非伸張性フィルムキャリアからなる内側層F、フィルムキャリア層Fの表面の一つ上に配置されかつ発泡アクリレート組成物をベースとする自着剤からなる層SK1、及び層SK1とは反対側のフィルムキャリア層Fの表面に配置されかつ発泡アクリレート組成物をベースとする自着剤からなる層SK2を含む、三層からなる感圧接着ストリップを記載している。このような構成によって、格別耐衝撃性の接着テープが同様に提供できた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】EP2832780A1
【特許文献2】JP2010/070,655A
【特許文献3】DE102008056980A1
【特許文献4】WO2009/090119A1
【特許文献5】WO2003/011954A1
【特許文献6】DE102015206076A1
【特許文献7】DE102016202479
【特許文献8】DE102016209707
【特許文献9】WO2011/124782A1
【特許文献10】DE102012223670A1
【特許文献11】WO2009/114683A1
【特許文献12】WO2010/077541A1
【特許文献13】WO2010/078396A1
【特許文献14】EP0894841B1
【特許文献15】EP1308492B1
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】Polymer Handbook[J.Brandrup,E.H.Immergut,E.A.Grulke(Hrsg.),Polymer Handbook,4.Aufl.1999,Wiley,New York]
【非特許文献2】H.Stoecker(Hrsg.),Taschenbuch der Physik,2.Aufl.,1994,Verlag Harri Deutsch,Frankfurt,S.102−110
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従来技術に対する本発明の課題は、高い接着強度及び高い耐衝撃性と共に向上した熱せん断強度を有する感圧接着ストリップを提供することである。このような感圧接着剤には、特に、高い耐衝撃性を有する接着結合を実現すべきという携帯デバイスの製造における要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
驚くべきことに、この課題は、主請求項に記載したような上位概念としての感圧接着ストリップを用いて本発明により解消される。この際、下位の請求項の対象は、該感圧接着ストリップの有利な実施形態である。
【0029】
応じて、本発明は、マイクロバルーンで発泡されたビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする自着剤からなる少なくとも一つの層SK1、好ましくは正確に一つの層SK1を含む感圧接着ストリップであって、自着剤層SK1中のマイクロバルーンから形成された中空空間の平均径が45〜110μmである感圧接着ストリップに関する。
【0030】
本発明による感圧接着ストリップは、高い接着強度及び高い耐衝撃性の他に、更に向上した熱せん断強度を有する。例えば、これは、高められた温度での静的せん断試験において高いせん断強度を示し、かつSAFT試験(「せん断接着破壊温度」)で分かるように更に高い耐熱性を有する。
【0031】
自着剤層中のマイクロバルーンによって形成された中空空間の平均径を45〜110μmに選択することによって、マイクロバルーンで発泡されたビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする自着剤層において、向上した熱せん断強度を達成できることが図らずしも見出された。少なくとも一つのこのような層を含む感圧接着ストリップは、応じて向上した熱せん断強度を示す。
【0032】
好ましくは、該感圧接着ストリップは唯一の自着剤層SK1からなり、そのため該感圧接着ストリップは単層システムである。このような単層の両面自着性接着テープ、すなわち両面接着テープは、「転写式テープ」とも称される。該転写式テープの自着剤層は、好ましくは45〜5000μm、好ましくは80〜2500μm、更に好ましくは100μm〜2000μm、特に100〜300μm、例えば150μmの厚さを有する。
【0033】
更に別の好ましい実施形態の一つでは、該感圧接着ストリップは、層SK1の他に、フィルムキャリアからなる層Fを含み、ここで層SK1は、フィルムキャリア層Fの表面の一つの上に配置される。このような感圧接着ストリップの一つは片面接着テープである。特に好ましくは、この片面接着テープは、層SK1及びフィルムキャリア層Fから排他的になる。
【0034】
フィルムキャリアからなる層Fは、本明細書の枠内では同義語として単にフィルムキャリア、フィルム層としてまたはフィルムキャリア層とも称する。
【0035】
特に好ましい実施形態の一つでは、更に、該感圧接着ストリップは、層SK1とは反対側のフィルムキャリア層Fの表面に配置された、ビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする自着剤からなる層SK2を含む。好ましくは、層SK2は、(特に好ましくはマイクロバルーンで)発泡された組成物をベースとし、この際、層SK2中においてマイクロバルーンによって形成された中空空間の平均径は特に45〜110μmである。このような感圧接着ストリップの一つは両面接着テープである。特に、該両面接着テープは、層SK1、SK2及びフィルムキャリア層Fから排他的になる。
【0036】
本明細書において、フィルムキャリア層の表面上への層SK1またはSK2の「配置」とは、層SK1及び/またはSK2が、フィルムキャリア層の表面と直接接触している、すなわちこの表面上に直接配置される配置を意味し得る。それ故、代替的に、層SK1と表面キャリア層Fの一方の表面との間に及び/または層SK2と、層SK1とは反対側のフィルムキャリア層Fの表面との間に少なくとも一つの層が存在するような配置も意味され得る。好ましくは、本発明によるフィルムキャリア層Fを備えた感圧接着ストリップでは、層SK1及び存在する場合にはSK2は、フィルムキャリア層Fの表面の一つとまたは層SK1とは反対側のフィルムキャリア層Fの表面と直接接触している。
【0037】
自着剤からなる一つ超の層を備えた本発明による感圧接着ストリップでは、好ましくは全部の含まれる自着剤層は、マイクロバルーンを用いて発泡されたビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする自着剤層であり、この際、これらの自着剤層中のマイクロバルーンによって形成された中空空間の平均径がそれぞれ45〜110μmである。このような感圧接着剤ストリップは、特に高い熱せん断強度を有する。
【0038】
両方の自着剤層SK1及びSK2が、両方の自着剤層SK1及びSK2中のマイクロバルーンで形成された中空空間がそれぞれ45〜110μmとなるようにマイクロバルーンで発泡されている本発明によるフィルムキャリア付きの両面接着テープは、相応して特に高い熱せん断強度を有する。両面接着テープにおいて、層SK1の他に更に層SK2も発泡されていると、更に接着テープの耐衝撃性が向上する。
【0039】
自着剤からなる層SK1及びSK2は、本明細書の枠内において、自着剤層SK1及びSK2とも、単に層SK1及びSK2とも、または外側層、接着剤−及び感圧接着剤層SK1及びSK2とも称される。この際、「外側」という記載は、場合により設けられた自着剤層の外面上のライナー(以下参照)とは関係なく、フィルムキャリアと層SK1及びSK2とからなる本発明による両面接着テープの好ましくは三層の構造に関連するものである。
【0040】
このような片面または両面接着テープの一つでは、フィルムキャリア層は、とりわけ5μmと125μmとの間、好ましくは10μmと60μmとの間、更に好ましくは10μmと50μmとの間、特に好ましくは10μmと40μmとの間の厚さを有する。更に、このような片面もしくは両面接着テープの一つでは、自着剤層SK1は、とりわけ45〜1000μm、より好ましくは45と200μmとの間、特に60〜150μmの厚さを有する。更に、このような片面もしくは両面接着テープの一つでは、自着剤層SK2は、存在する場合には、とりわけ20〜1000μm、好ましくは45〜1000μm、更により好ましくは45μmと200μmとの間、特に60〜150μmの厚さを有する。片面接着テープの形の感圧接着ストリップは、とりわけ50μm〜1125μm、好ましくは100〜1000μm、特に150μm〜300μmの厚さを有する。フィルムキャリアを備えた両面接着テープの形態の感圧接着ストリップは、とりわけ70μm〜2125μm、より好ましくは95μm〜2125μm、更により好ましくは100〜1000μm、特に150μm〜300μmの厚さを有する。
【0041】
フィルムキャリアを備えた両面接着テープにおいて、自着剤層SK2は好ましくはマイクロバルーンで発泡されており、この際、自着剤層SK2中のマイクロバルーンで形成された中空空間の平均径は好ましくは45〜110μmである。感圧接着ストリップの特に好ましい実施形態の一つでは、両方の自着剤層SK1及びSK2の発泡ビニル芳香族ブロックコポリマー組成物が化学的に同一であり、及び有利には、それらに添加剤が加えられている場合には、これらの添加剤が同一でありかつ同じ量で使用されていることによって、これは層の組成に関して対照的な構成を有する。特に、フィルムキャリアFの両表面が同一に前処理され及び両方の自着剤層SK1及びSK2が同じ厚さ及び密度を有するようにすることによって、該感圧接着ストリップは完全に対照的に構成される、すなわち両方の発泡した自着性ビニル芳香族ブロックコポリマー組成物層SK1及びSK2(場合により存在する添加剤も含める)の化学組成に関してばかりでなく、その構造的な構成に関しても完全に対照的に構成される。この際、「完全に対照的に」とは、特に、感圧接着ストリップのz−方向(感圧接着ストリップ面に対して垂直な「厚さ」方向)に関するが、更には当然に平面の形状(感圧接着ストリップのx及びy方向、すなわち長さ及び幅)にも関し得る。
【0042】
好ましくは、フィルムキャリアを備えた両面接着テープは、両方の自着剤層SK1及びSK2が同じ厚さを有し及び/または同じ密度を有することによって、z方向に構造的に対照的な構成を有する。本発明では、自着剤層SK1及びSK2が同じ厚さであり及び/または同じ密度を有するが、化学的に異なっている両面接着テープも実現可能である。
【0043】
感圧接着ストリップの接着に利用される外側面は、好ましくは、(特にマイクロバルーンを用いて)発泡された自着剤層から形成されている。というのも、そうすることで、x、y面、並びに特にz面での高い耐衝撃性が特に良好に実現できるからである。この際、特に、自着剤層中に形成された中空空間が耐衝撃性にとって中心的な意味を持つ。
【0044】
応じて、本発明による片面接着テープは、好ましくは、フィルムキャリア層Fと、フィルムキャリア層Fの表面の一つ上に配置された自着剤層SK1とからなる感圧接着ストリップである。そこでは、感圧接着ストリップの接着に利用される外側面は、本発明に従い発泡された自着剤層SK1から形成されている。
【0045】
また同様に、応じて、本発明によるフィルムキャリアを備えた両面接着テープは、好ましくは、フィルムキャリア層Fと、フィルムキャリア層Fの表面の一つの上に配置された自着剤層SK1と、層SK1とは反対側のフィルムキャリア層Fの表面上に配置された自着剤層SK2とからなる感圧接着ストリップである。そこでは、感圧接着ストリップの接着に利用される両方の外側面は、本発明に従い発泡された自着剤層SK1から形成されている。特に好ましくは、層SK2は、マイクロバルーンを用いて発泡されたビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとし、ここで、自着剤層SK2中においてマイクロバルーンによって形成された中空空間の平均径は特に45〜110μmである。
【0046】
以下の説明は、明らかに例外なく、本発明による両面接着テープの完全に対称的な実施態様に関するものである。
【0047】
層SK1及びSK2の自着剤は、それぞれ感圧接着剤である(PSA:英語:「pressure sensitive adhesives」)。「自着」及び「感圧接着」という用語は、本明細書の枠内では同義語として使用される。
【0048】
感圧接着剤とは、(場合によっては更なる成分、例えば粘着樹脂を添加配合することによって)使用温度(他に定義がなければ、室温)で持続的に粘着性かつ接着可能であり、かつ数多くの表面に接触した時に付着し、特に直ぐに付着する(いわゆる「タック」[接着性または付着性とも称する]を示す)ポリマー組成物のことである。これらは、溶媒や熱によって活性化することもなく使用温度で既に(しかし、通常は、程度の差はあれ高い圧力の作用下に)、接着すべき基材を十分に濡らすことができ、それによって、接着剤と基材との間に付着のために十分な相互作用を形成することができる。このための本質的な影響パラメータは中でも圧力及び接触時間である。該感圧接着剤のこの格別な特性は、中でも特にその粘弾性に帰するものである。例えば、弱付着性または強付着性接着剤を調製でき;更に、一回で及び持続的に接着可能であり、そうして接着が、接着剤及び/または基材の破壊無く接着を剥がすことができないようなこのような接着剤、または簡単に再剥離可能でありかつ場合により複数回接着可能であるこのような接着剤を調製できる。
【0049】
感圧接着剤は、基本的に、異なる化学的性質のポリマーを基礎として製造できる。感圧接着性の特性は、中でも、感圧接着剤の基礎となるポリマーの重合の時の使用モノマーの種類及び量比、それの平均モル質量及びモル質量分布によって、並びに感圧接着剤の添加物質、例えば粘着樹脂、可塑剤及び類似物の種類及び量によって影響を受ける。
【0050】
粘弾性特性の達成のためには、感圧接着剤の基礎となるポリマーがベースとするモノマー、並びに場合により存在する感圧接着剤の更なる成分を、特に、感圧接着剤が使用温度未満(すなわち通常は室温未満)のガラス転移温度(DIN53765準拠)を有するように選択する。
【0051】
場合によっては、適切な凝集制御手段、例えば架橋反応(巨大分子間のブリッジ形成性結合の形成)によって、ポリマー組成物が感圧接着性特性を示すようになる温度範囲を拡大及び/またはシフトすることが有利であり得る。それ故該感圧接着剤の使用範囲は、接着剤の流動性と凝集力との間の調節によって最適化できる。
【0052】
感圧接着剤は、室温で永続的に感圧接着性に作用し、つまり十分に低い粘度および高い初期粘着性を有しており、従って感圧接着剤は、それぞれの被接着下地の表面を、低い押圧力で既に濡らすものである。接着剤の貼付性はその接着特性に、および再剥離性はその凝集特性に基づいている。
【0053】
本発明の好ましい実施形態についての以下の説明では、単数形もしくは複数形の「自着剤層」または単数形もしくは複数形の「ビニル芳香族ブロックコポリマー組成物」と言う時には、他に明示がなければ、これは層SK1、層SK2または両方の層に関し得る。
【0054】
本発明で使用可能な自着剤層
本発明による感圧接着ストリップの層SK1は、マイクロバルーンを用いて発泡されたビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする。フィルムキャリアを備えた両面接着テープの形態の本発明による感圧接着ストリップの層SK2も同様に、ビニル芳香族ブロックコポリマー組成物を、場合によってはマイクロバルーンを用いた発泡されたビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする。
【0055】
(a)ビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする自着剤層
好ましくは、層SK1及び/または層SK2中は、ビニル芳香族ブロックコポリマーとして、A−B、A−B−A、(A−B)、(A−B)Xまたは(A−B−A)Xの構成を持つブロックコポリマーの形の少なくとも一種の合成ゴムが使用され、
ここで、
− ブロックAは、互いに独立して、少なくとも一種のビニル芳香族化合物の重合によって形成されたポリマーを表し、
− ブロックBは、互いに独立して、炭素原子数4〜18の共役ジエンの重合によって形成されたポリマー、またはこのようなポリマーの部分水素化誘導体を表し、
− Xは、カップリング試薬または開始剤の残部を表し、そして
− nは≧2の整数を表す。
【0056】
特に好ましくは、本発明による自着剤層の全ての合成ゴムは、上に説明したようなA−B、A−B−A、(A−B)、(A−B)Xまたは(A−B−A)Xの構成を持つブロックコポリマーである。それ故、本発明による自着剤層は、上述のような構成を持つ異なるブロックコポリマーの混合物を含むこともできる。
【0057】
すなわち、適当なブロックコポリマー(ビニル芳香族ブロックコポリマー)は、一つ以上のゴム様ブロックB(軟質ブロック)及び一つ以上のガラス様ブロックA(硬質ブロック)を含む。特に好ましくは、本発明による自着剤層の少なくとも一種の合成ゴムは、A−B、A−B−A、(A−B)X、(A−B)Xまたは(A−B)Xの構成を持つブロックコポリマーであり、ここでA、B及びXについては上述の意味が適用される。中でも特に好ましくは、本発明による自着剤層の全ての合成ゴムは、A−B、A−B−A、(A−B)X、(A−B)Xまたは(A−B)Xの構成を持つブロックコポリマーであり、ここでA、B及びXについては上述の意味が適用される。特に、本発明による自着剤層の合成ゴムは、A−B、A−B−A、(A−B)X、(A−B)Xまたは(A−B)Xの構成を持つブロックコポリマーの混合物であり、これは、好ましくは、ジブロックコポリマーA−B、及び/またはトリブロックコポリマーA−B−A及び/または(A−B)Xを少なくとも含む。
【0058】
更に、ジブロック−及びトリブロックコポリマー、及び(A−B)−または(A−B)Xブロックコポリマー(nは3以上である)からなる混合物が有利である。
【0059】
更に、ジブロック−及びマルチブロックコポリマー、及び(A−B)−または(A−B)Xブロックコポリマー(nは3以上である)からなる混合物が有利である。
【0060】
それ故、ビニル芳香族ブロックコポリマーとしては、例えばジブロックコポリマーA−Bを、上記のブロックコポリマーの内の他のものと組み合わせて利用できる。ジブロックコポリマーの割合を介して、自着剤の流動挙動及びそれの接着強度を調節できる。本発明に従い使用されるビニル芳香族ブロックコポリマーは、とりわけ0重量%〜70重量%、より好ましくは15重量%〜50重量%の割合でジブロックコポリマーを含む。ビニル芳香族ブロックコポリマー中のジブロックコポリマーの割合が高いほど、接着剤の凝集力が明らかに低下する。
【0061】
自着剤としては、好ましくは、(i)主としてビニル芳香族化合物、好ましくはスチレンから形成されたポリマーブロック(A−ブロック)、及び同時に、(ii)主として1,3−ジエンの重合によって形成されたポリマーブロック(B−ブロック)、例えば主としてブタジエン及びイソプレンの重合によって形成されたポリマーブロック、またはこれら両者のコポリマーを含むブロックコポリマーをベースとする自着剤が使用される。
【0062】
特に好ましくは、本発明による自着剤はスチレンブロックコポリマーをベースとし、例えば自着剤のブロックコポリマーはポリスチレンブロックを有する。
【0063】
Aブロック及びBブロックから生じるブロックコポリマーは、同じまたは異なるBブロックを含むことができる。該ブロックコポリマーは線状A−B−A構造を有することができる。また同様に、放射状形態のブロックコポリマー、並びに星型及び線状マルチブロックコポリマーも使用し得る。他の成分としては、A−B−Z二元ブロックコポリマーが存在することができる。上記のポリマーの全てを、単独でまたは互いの混合物として利用することができる。
【0064】
本発明に従い使用されるビニル芳香族ブロックコポリマーの一つ、例えば特にスチレンブロックコポリマーでは、ポリビニル芳香族類、例えば特にポリスチレンの割合は、とりわけ少なくとも12重量%、より好ましくは少なくとも18重量%、及び特に好ましくは少なくとも25重量%、並びに同様にとりわけ多くとも45重量%、より好ましくは多くとも35重量%である。
【0065】
好ましいポリスチレンブロックの代わりに、ビニル芳香族類としては、75℃超のガラス転移温度を有する他の芳香族類含有ホモ−及びコポリマー(好ましくはC〜C12芳香族類)をベースとするポリマーブロック、例えばα−メチルスチレン含有芳香族類ブロックを利用することができる。更に、同一のまたは異なるAブロックも含まれていてよい。
【0066】
この際、好ましくは、ブロックAの構成のためのビニル芳香族類は、スチレン、α−メチルスチレン及び/または他のスチレン誘導体を含む。それ故、ブロックAは、ホモポリマーまたはコポリマーとして存在することができる。特に好ましくは、ブロックAはポリスチレンである。
【0067】
軟質ブロックBのためのモノマーとしての好ましい共役ジエンは、特に、ブタジエン、イソプレン、エチルブタジエン、フェニルブタジエン、ピペリレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、エチルヘキサジエン、及びジメチルブタジエン並びにこれらのモノマーの任意の混合物からなる群から選択される。ブロックBもホモポリマーとしてまたはコポリマーとして存在し得る。
【0068】
特に好ましくは、軟質ブロックBのためのモノマーとしての共役ジエンは、ブタジエン及びイソプレンから選択される。例えば、軟質ブロックBは、ポリイソプレン、ポリブタジエン、またはこれら両者のポリマーの部分水素化誘導体、例えば特にポリブチレンブタジエン、またはブタジエン及びイソプレンからなる混合物でできたポリマーである。非常に特に好ましくは、ブロックBはポリブタジエンである。
【0069】
Aブロックは、本発明に関連しては、「硬質ブロック」とも称される。応じて、Bブロックは、「軟質ブロック」または「エラストマーブロック」とも称される。これは、それらのガラス転移温度(Aブロックでは少なくとも25℃、特に少なくとも50℃、ブロックBでは高くとも25℃、特に高くとも−25℃)に応じた本発明によるブロックの選択を反映している。
【0070】
ビニル芳香族ブロックコポリマー、例えば特にスチレンブロックコポリマーの割合は、とりわけ総自着剤層を基準にして合計で少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、更に好ましくは少なくとも35重量%である。ビニル芳香族ブロックコポリマーの割合が少ないほど、感圧接着剤の凝集力が比較的小さくなるという結果となる。
【0071】
ビニル芳香族ブロックコポリマー、例えば特にスチレンブロックコポリマーの最大割合は、総自着剤層を基準にして合計で、最大で75重量%、好ましくは最大で65重量%、とりわけ特に好ましくは最大で55重量%である。他方、ビニル芳香族ブロックコポリマーの割合が多いほど、感圧接着剤が殆ど感圧接着性でなくなるという結果となる。
【0072】
応じて、ビニル芳香族ブロックコポリマー、例えば特にスチレンブロックコポリマーの割合は、とりわけ、総自着剤を基準にして合計して、少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、更に好ましくは少なくとも35重量%であり、かつ同時に、最大で75重量%、より好ましくは最大で65重量%、とりわけ特に好ましくは最大で55重量%である。
【0073】
自着剤の感圧接着性は、エラストマー相と混合可能な粘着樹脂の添加によって達成できる。該自着剤は、一般的に少なくとも一種のビニル芳香族ブロックコポリマーの他に、接着性を望ましいように高めるために、少なくとも一種の粘着樹脂を含む。粘着樹脂は、ブロックコポリマーのエラストマーブロックと相溶性であるべきである。
【0074】
「粘着樹脂」とは、当業者の一般的な理解に一致して、粘着樹脂は含まないものの他は同じ感圧接着剤と比べた場合に感圧接着剤の接着力(タック、固有粘着性)を高めるオリゴマー性またはポリマー性樹脂のことと解される。
【0075】
自着剤中に粘着樹脂が含まれている場合には、応じて、0℃超、好ましくは10℃超のDACP(ジアセトンアルコール曇点)、及び70℃以上、好ましくは100℃以上の軟化温度(環球式)を有する樹脂が、(総樹脂割合を基準にして)少なくとも75重量%の割合で選択される。特に好ましくは、上記の粘着樹脂は、同時に、イソプレンブロックがエラストマー相中に存在しない場合には最大45℃のDACP値を有し、またはイソプレンブロックがエラストマー相中に存在する場合には最大60℃のDACP値を有する。特に好ましくは、上記の粘着樹脂の軟化温度は最大150℃である。
【0076】
特に好ましくは、(総樹脂割合を基準にして)少なくとも75重量%の粘着樹脂は、炭化水素樹脂またはテルペン樹脂またはこれらの混合物である。
【0077】
感圧接着剤(複数可)のための粘着性付与剤としては、特に非極性炭化水素樹脂、例えばジシクロペンタジエンの水素化もしくは非水素化ポリマー、C−、C/C−もしくはC−モノマー流をベースとする水素化されていないかまたは部分的、選択的もしくは完全に水素化された炭化水素樹脂、α−ピネン及び/またはβ−ピネン及び/またはδ−リモネンをベースとするポリテルペン樹脂を有利に使用し得ることが判明した。前述の粘着樹脂は、単独でまたは混合物としても使用し得る。この際、室温で固形の樹脂も、または室温で液状の樹脂も使用し得る。場合により、酸素も含む水素化または非水素化粘着樹脂、例えばロジン樹脂及び/またはロジンエステル樹脂及び/またはテルペンフェノール樹脂を、接着剤中の樹脂の総量を基準にして好ましくは最大25%の割合までで使用できる。
【0078】
場合により使用可能な室温で液状の樹脂または軟化剤の割合は、好ましい態様の一つでは、自着剤全体を基準にして15重量%まで、好ましくは10重量%までである。
【0079】
好ましい実施形態の一つでは、自着剤層中には、自着剤層の総重量を基準にして20〜60重量%の少なくとも一種の粘着樹脂、好ましくは自着剤層の総重量を基準にして30〜50重量%の少なくとも一種の粘着樹脂が含まれる。
【0080】
更なる添加剤として、典型的には下記のものを利用することができる:
・自着剤の総重量を基準に好ましくは0.2〜5重量%の割合の、可塑剤、例えば軟化剤油または低分子量液状ポリマー、例えば低分子量ポリブテン、
・自着剤の総重量を基準に好ましくは0.2〜1重量%の割合の、一次酸化防止剤、例えば立体障害性フェノール、
・自着剤の総重量を基準にして好ましくは0.2〜1重量%の割合の、二次酸化防止剤、例えばホスファイト、チオエステルまたはチオエーテル、
・自着剤の総重量を基準にして好ましくは0.2〜1重量%の割合の、プロセス安定化剤、例えばCラジカルスカベンジャー、
・自着剤の総重量を基準に好ましくは0.2〜1重量%の割合の、光保護材、例えばUV吸収剤または立体障害性アミン、
・自着剤の総重量を基準にして好ましくは0.2〜1重量%の割合の、加工助剤、
・自着剤の総重量を基準にして好ましくは0.2〜10重量%の割合の、末端ブロック強化樹脂、並びに
・場合によっては、自着剤の総重量を基準にして好ましくは0.2〜10重量%の割合の、好ましくはエラストマー性質のさらなるポリマー;これに対応して利用可能なエラストマーに含まれるのは、なかでも純粋な炭化水素をベースとするエラストマー、例えば天然のもしくは合成されたポリイソプレンもしくはポリブタジエンのような不飽和ポリジエン、化学的に実質的に飽和状態のエラストマー、例えば飽和エチレンプロピレンコポリマー、α−オレフィンコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、および化学的に官能化された炭化水素、例えばハロゲン含有の、アクリレート含有の、アリル含有の、もしくはビニルエーテル含有のポリオレフィンである。
【0081】
混合成分の種類及び量は必要に応じて選択することができる。
【0082】
接着剤が上記の添加物質の一部、好ましくは全てをそれぞれ含まないことも本発明の範囲内である。
【0083】
本発明の実施形態の一つでは、該自着剤は、更に別の添加剤も含み、限定はされないが、例えば、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、スズ、亜鉛、鉄またはアルカリ(土類)金属の結晶性もしくは非晶質の酸化物、水酸化物、炭酸塩、窒化物、ハロゲン化物、炭化物または混合酸化物−/水酸化物−/ハロゲン化物化合物が挙げられる。前記更なる添加剤は、本質的に、礬土、例えば酸化アルミニウム類、ベーマイト、バイヤライト、ギブサイト、ダイアスポア及び類似物である。中でも特に適したものは、層状シリケート、例えばベントナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、ヘクトライト、カオリナイト、ベーマイト、マイカ、バーミキュライトまたはこれらの混合物である。しかし、カーボンブラックまたは炭素の他の変態、例えばカーボンナノチューブも使用できる。
【0084】
接着剤は、染料または顔料で着色してもよい。接着剤は、白色、黒色または有彩色であることができる。
【0085】
軟化剤としては、例えば鉱油、(メタ)アクリレートオリゴマー、フタレート、シクロヘキサンジカルボン酸エステル、水溶性軟化剤、軟化樹脂、ホスフェートまたはポリホスフェートを計量添加できる。
【0086】
自着剤の熱せん断強度を更に高めるためには、シリカ、有利にはジメチルジクロロシランで表面変性された沈降シリカの添加を利用できる。
【0087】
本発明の好ましい実施形態の一つでは、接着剤は、ビニル芳香族ブロックコポリマー、粘着樹脂、マイクロバルーン、場合により及び上記の添加剤のみからなる。
【0088】
更に好ましくは、接着剤は以下の組成からなる。
−ビニル芳香族ブロックコポリマー 20〜75重量%
−粘着樹脂 24.6〜60重量%
−マイクロバルーン 0.2〜10重量%
−添加剤 0.2〜10重量%
更に好ましくは、接着剤は以下の組成からなる。
−ビニル芳香族ブロックコポリマー 35〜65重量%
−粘着樹脂 34.6〜45重量%
−マイクロバルーン 0.2〜10重量%
−添加剤 0.2〜10重量%
更に好ましくは、接着剤は以下の組成からなる。
−ビニル芳香族ブロックコポリマー 30〜75重量%
−粘着樹脂 24.8〜60重量%
−マイクロバルーン 0.2〜10重量%
本発明による自着剤SK1は発泡され、そして本発明による自着剤SK2も好ましくは発泡される。好ましくは、上記発泡はそれぞれ、マイクロバールを配合し、その後、膨張させて行われる。
【0089】
「マイクロバルーン」とは、弾性で、それ故それの通常の根底状態において膨張可能であり、かつ熱可塑性のポリマーシェルを有するマイクロ中空球体と理解される。これらの球体には、低沸点の液体または液化したガスが充填される。シェル材料としては、特に、ポリアクリロニトリル、PVDC、PVCまたはポリアクリレートが使用される。低沸点の液体としては、特に、低級アルカンの炭化水素、例えばイソブタンまたはイソペンタンが適しており、これらは、液化したガスとして加圧下にポリマーシェル中に封入される。
【0090】
特に熱の作用によってマイクロバルーンに作用を及ぼすことにより、外側のポリマーシェルが柔らかくなる。同時に、シェル中に存在する液状の発泡剤ガスがそれの気体の状態に変わる。この際、マイクロバルーンが不可逆的に拡大し、三次元的に膨張する。内圧と外圧が等しくなった時に膨張が終了する。ポリマーシェルは維持されるため、独立気泡型の発泡体が得られる。
【0091】
多種の未膨張マイクロバルーンを商業的に入手でき、これは、本質的に、それらのサイズ及びそれらの膨張に必要な開始温度(75〜220℃)によって区別される。商業的に入手可能な未膨張マイクロバルーンの一例は、Akzo Nobel社のExpancel(登録商標)DUタイプ(DU=乾燥未膨張品)である。この際、類型表示Expancel xxx DU yy(乾燥未膨張品)では、「xxx」はマイクロバルーン混合物の組成を表し、そして「yy」は膨張した状態でのマイクロバルーンのサイズを表す。
【0092】
未膨張マイクロバルーンは、固形物またはマイクロバルーン含有率が約40〜45重量%の水性分散液としても入手でき、更には、ポリマー結合型マイクロバルーン(マスターバッチ)、例えばエチルビニルアセテート中にマイクロバルーン濃度約65重量%のポリマー結合型マイクロバルーンとしても入手できる。例えばDUタイプのようなマイクロバルーン分散液もマスターバッチも、発泡された本発明による自着剤の製造のために適している。
【0093】
発泡された本発明による自着剤SK1及び/またはSK2は、いわゆる予膨張マイクロバルーンを用いても生成することができる。この部類のものにおいては、膨張は、ポリマーマトリックス中に混入する前に既に行われる。予膨張マイクロバーンは、例えばDualite(登録商標)の名称でまたはAkzo Nobel社の類型表示Expancel xxx DE yy(乾燥膨張品)で商業的に入手可能である。「xxx」は、マイクロバーン混合物の組成を表し、「yy」は膨張した状態でのマイクロバルーンのサイズを表す。
【0094】
既に膨張しているタイプのマイクロバルーンの加工では、マイクロバルーンは、それらが配合されるべきポリマーマトリックス中でのそれらの小さい密度の故に、浮揚する傾向があり、すなわちポリマーマトリックス中で加工プロセスの間に「上方に」浮かび上がるということが起こり得る。これは、層中でのマイクロバルーンの不均一な分布を招く。層の上側領域(z−方向)では、層の下側領域中よりもより多くのマイクロバルーンが存在し、それによって層厚にわたって密度勾配が生じる。
【0095】
このような密度勾配を大幅にまたはほぼ完全に避けるようにするためには、本発明では好ましくは、予膨張していないまたは僅かにだけ予膨張したマイクロバルーンを、層SK1またはSK2のいずれかのあるいは好ましくは層SK1及びSK2の両方のポリマーマトリックス中に配合する。層中に配合してから始めて、マイクロバルーンを膨張させる。このようにして、マイクロバルーンのより均一な分布がポリマーマトリックス中に得られる。
【0096】
好ましくは、マイクロバルーンは、ポリマーマトリックスの密度と、ポリマーマトリックス中に配合するべき(予膨張していないまたは僅かに予膨張した)マイクロバルーンの密度との比率が1と1:6との間になるように選択される。配合後に始めてまたは配合の際に直接、膨張を行う。溶媒含有組成物の場合には、マイクロバルーンは、好ましくは配合、コーティング、乾燥(溶媒蒸発)後に始めて膨張させる。それ故、本発明においては、好ましくはDU−タイプが使用される。
【0097】
本発明では、発泡自着剤層SK1中のマイクロバルーンによって形成された中空空間の平均径は45〜110μmであり、そしてマイロバルーンを用いて発泡された自着剤層SK2も、好ましくは、平均径が45〜110μmの範囲の中空空間を有する。
【0098】
好ましくは、発泡した自着剤層SK1及び/またはSK2中でのマイクロバルーンによって形成された中空空間の平均径は、60〜100μm、特に好ましくは70〜90μm、例えば80μmである。上記の範囲では、特に良好な熱せん断強度を達成できる。応じて、このような自着剤層を含む感圧接着ストリップは、優れた熱せん断強度を特徴とする。
【0099】
この際、発泡された自着剤層中でのマイクロバルーンで形成された中空空間の直径が測定されるため、これらの直径は、膨張されたマイクロバルーンによって形成された中空空間の直径である。この場合、平均径とは、各々の自着剤層SK1またはSK2中でのマイクロバルーンによって形成された中空空間の直径の算術平均を意味する。
【0100】
自着剤層中のマイクロバルーンによって形成される中空空間の平均径の決定は、感圧接着ストリップの凍結割断縁に基づいて走査電子顕微鏡(REM)で500倍拡大で行った。感圧接着ストリップの5つの異なる凍結割断縁のREM写真上に見える、試験すべき自着剤層のマイクロバルーンから、それぞれ図的に直径を求め、この際、求められた全ての直径の算術平均は、本出願の意味における自着剤層のマイクロバルーンで形成された中空空間の平均径を表す。写真上に見えるマイクロバルーンの直径は、試験する自着剤層のあらゆる個々のマイロバルーンについてのREM写真から、任意の(二次元の)方向のその最大寸法を取り出し、そしてその直径と見なすようにして、図的に求められる。
【0101】
マイクロバルーンを用いて発泡する場合には、マイクロバルーンは、バッチ、ペーストとしてまたは未切断もしくは切断粉末として調合物に供給することができる。更に、マイクロバルーンは溶媒中に懸濁した状態で存在し得る。
【0102】
自着剤層SK1及び/または(マイクロバーンで発泡されている場合は)自着剤層SK2中のマイクロバルーンの割合は、本発明の好ましい態様の一つでは、それぞれ自着剤層の組成物全体を基準にして、12重量%まで、好ましくは0.25重量%と5重量%との間、より好ましくは0.5と4重量%の間、更により好ましくは1と3.5重量%との間、特に2.0〜3.0重量%である。これらの範囲内で、格別良好な耐衝撃性の他に、特に優れた熱せん断強度を持つ自着剤層を提供できる。それ故、このような自着剤層を含む感圧接着ストリップは、格別良好な耐衝撃性の他に、特に、優れた熱せん断強度を特徴とする。
【0103】
本発明による膨張可能なマイクロ中空球を含む自着剤SK1またはSK2は、追加的に非膨張可能なマイクロ中空球を含んでもよい。唯一重要なことは、ガスを含むほぼ全ての空洞が永久的に緻密な膜によって閉じられていることであり、この際、この膜が、弾性でかつ熱可塑性伸張性ポリマー混合物のみからなるかまたは例えば弾性でかつ−プラスチック加工において可能な温度の範囲において−非熱可塑性のガラスからなるかには関係ない。
【0104】
本発明による自着剤にとって適しているのは、更に−独立して他の添加剤から選択されて−ポリマー中実球、ガラス中空球、ガラス中実球、セラミック中空球、セラミック中実球及び/または炭素中実球(「カーボンマイクロバルーン」)である。
【0105】
発泡された本発明による自着剤層SK1及び/またはSK2の絶対密度は、好ましくは400〜990kg/m、より好ましくは450〜900kg/m、更により好ましくは500〜800kg/m、特に500〜750kg/m、例えば600〜700kg/mである。
【0106】
これらの範囲内で、非常に良好な耐衝撃性の他に、特に、優れた熱せん断強度を持つ自着剤層を提供できる。このような絶対密度を有する自着剤層を含む本発明による感圧接着ストリップについても同様のことが言える。
【0107】
相対密度とは、発泡された本発明による自着剤の密度と、同じ処方の未発泡の本発明による自着剤の密度との比率を記載するものである。本発明による自着剤の相対密度は、好ましくは0.35〜0.99、より好ましくは0.45〜0.97、特に0.50〜0.90である。
【0108】
フィルムキャリア
本発明による感圧接着ストリップ中に場合により含まれるフィルムキャリアFは、非伸張性フィルムキャリアまたは伸張性フィルムキャリアであることができる。
【0109】
「非伸張性フィルムキャリア」とは、本発明によれば、好ましくは長さ方向だけでなく横方向にも300%未満の破断伸びを有するフィルムキャリアが意味される。更に、非伸張性フィルムキャリアは、好ましくは互いに独立して長さ方向だけでなく横方向にも、好ましくは200%未満、より好ましくは150%未満、更により好ましくは100%未満、特に70%未満、例えば50%未満の破断伸びを有する。上記の値は、それぞれ、以下に記載の測定法R1に関連する値である。
【0110】
「伸張性フィルムキャリア」とは、本発明によれば、好ましくは長さ方向だけでなく横方向にも少なくとも300%の破断伸びを有するフィルムキャリアが意味される。更に、伸張性フィルムキャリアは、好ましくは互いに独立して長さ方向だけでなく横方向にも、少なくとも500%、例えば少なくとも800%の破断伸びを有する。上記の値は、それぞれ、以下に記載の測定法R1に関連する値である。
【0111】
該フィルムキャリア層の厚さは、好ましい実施形態の一つでは、5と125μmとの間、より好ましくは10と60μmとの間、更により好ましくは10と50μmとの間、特に好ましくは10と40μmとの間である。
【0112】
フィルムキャリアの製造のためには、追加的に単軸もしくは二軸配向できるフィルム形成性または押出可能なポリマーが使用される。
【0113】
フィルムキャリアは単層または多層であることができ、好ましくは単層である。更に、フィルムキャリアはカバー層、例えば遮断層を有することができ、後者は、接着剤からフィルムへのまたは逆の方向での成分の進入を防止するものである。これらのカバー層は、水蒸気及び/または酸素の拡散を防止するためにバリア特性を有することもできる。
【0114】
フィルムキャリアの裏面は、抗接着性物理的処理またはコーティングに付すことができる。
【0115】
フィルムキャリアの製造のためには、フィルム形成特性を向上し、結晶性セグメントの形成傾向を減少し及び/または機械的特性を的確に向上しまたは場合により悪化させる添加剤及び更に別の成分を添加することが適切であり得る。
【0116】
本発明による感圧接着ストリップ中に非伸張性フィルムキャリアを使用することによって、生じる感圧接着ストリップの加工性が容易化され、特にダイカットプロセスを容易化できる。更に、本発明による感圧接着ストリップ中での(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)からなる)非伸張性フィルムキャリアの使用は、伸張性フィルムキャリアの使用と比べて、改善された耐衝撃性をもたらし得る。本発明による感圧接着ストリップの耐衝撃性には、単に発泡された自着剤層(複数可)によってだけでなく、驚くべきことに使用するフィルムキャリアの種類及びその厚さによっても影響を及ぼし得る。
【0117】
非伸張性フィルムキャリアFのフィルムの材料としては、好ましくはポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)または単軸もしくは二軸延伸ポリプロピレン(PP)が使用される。同様に、特に上記の材料からできた、多層ラミネートまたは共押出物の使用も可能である。好ましくは、非伸張性フィルムキャリアは単層である。
【0118】
特に好ましくは、非伸張性フィルムキャリアはポリエチレンテレフタレートからなりそして10と50μmとの間の厚さを有する。
【0119】
有利な方策では、非伸張性フィルムキャリア層Fの片面または両面は、物理的及び/または化学的に前処理されている。このような前処理は、例えばエッチング及び/またはコロナ処理及び/またはプラズマ前処理及び/または下塗り処理によって、好ましくはエッチングによって行うことができる。フィルム層の両面が前処理される場合には、各々の表面は異なる前処理に付すことができまたは特に両面を同じ前処理に付すことができる。
【0120】
粗面化に非常に良好な結果を達成するためには、フィルムのエッチングのための試薬として、トリクロロ酢酸(ClC−COOH)を使用するかまたはトリクロロ酢酸を不活性の粉末状化合物、好ましくはケイ素化合物、特に好ましくは[SiOと組み合わせて使用することが推奨される。不活性化合物の意義は、フィルム、特にPETフィルムの表面中に組み込む点にあり、そうして粗さ及び表面エネルギーが増強される。
【0121】
コロナ処理は、ポリマー性基材の表面張力/表面エネルギーを高めるための化学的−熱的方法である。二つの電極間で、高電圧放電において電子が強く加速され、これが空気のイオン化をもたらす。プラスチック基材がこれらの加速された電子の軌道中に置かれると、こうして生成した加速電子が、大概の基材の分子結合を表面上で解裂するのに必要であろうよりも2〜3倍のエネルギーを持って基材表面上に衝突する。これは、ガス状の反応生成物及び高反応性のフリーラジカルの発生をもたらす。これらのフリーラジカルは、酸素及び上記の反応生成物の存在下に迅速に反応し得、そして様々な化学的官能基を基材表面上に形成し得る。これらの酸化反応から生じた官能基は、表面エネルギーの上昇に最大限寄与する。コロナ処理は二電極装置で行うことができるが、単電極装置でも行い得る。コロナ前処理では、(通常の空気の他に)保護ガス雰囲気を形成するかまたはコロナ前処理を援助する異なるプロセスガス、例えば窒素を使用できる。
【0122】
プラズマ処理、特に低圧プラズマ処理は、接着剤の表面前処理のための既知の方法である。プラズマは、より高い反応性という意味での表面の活性化をもたらす。この際、表面の化学的変化が起こり、それによって例えば、極性及び非極性表面に対する接着剤の挙動に影響を与えることができる。この前処理は本質的に表面現象である。
【0123】
特に付着促進作用及び/または不動態化作用及び/または腐食防止作用を有するコーティング剤または下地剤が一般的にプライマーと称される。本発明の枠内では、特に付着促進作用が重要である。付着促進剤もしくは接着プロモーターとも称される付着促進性プライマーは、商業的な製品の形でまたは技術文献から様々なものが知られている。
【0124】
適当な非伸張性キャリアフィルムは、Hostaphan(登録商標)RNKの商品名で入手できる。このフィルムは、高透明性であり、二軸配向されており、そして三つの共押出層から構成されている。
【0125】
非伸張性フィルムキャリアの引張強さは、本発明では、長手方向に好ましくは100N/mm超、より好ましくは150N/mm超、更により好ましくは180N/mm超、特に200N/mm超、例えば250N/mm超であり、そして横方向に好ましくは100N/mm超、より好ましくは150N/mm超、更により好ましくは180N/mm超、特に200N/mm超、例えば250N/mm超である(上記の値は、それぞれ、以下に記載する測定法R1に関連する値である)。フィルムキャリアは、感圧接着ストリップの引張強さを決定的に定める。好ましくは、感圧接着ストリップは、使用したフィルムキャリアと同じ引張強さの値を有する。
【0126】
非伸張性フィルムキャリアの弾性率は、好ましくは長手方向及び横方向の両方で、好ましくは0.5GPa超、より好ましくは1GPa超、特に2.5GPa超である。
【0127】
本発明による感圧接着ストリップに伸張性フィルムキャリアが使用される場合は、感圧接着ストリップの残渣及び破壊の無い剥離を本質的に接着面における伸張性延伸によって保証するためには、好ましくはフィルムキャリアの伸張性で十分である。中間キャリアとしては、例えば非常に伸張性の高いフィルムを使用できる。有利に使用可能な伸張性中間キャリアの例は、WO2011/124782A1(特許文献9)、DE102012223670A1(特許文献10)、WO2009/114683A1(特許文献11)、WO2010/077541A1(特許文献12)、WO2010/078396A1(特許文献13)に記載の種のものである。
【0128】
伸張性フィルムキャリアの好ましい実施形態の一つでは、ポリオレフィンが使用される。好ましいポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブチレン及び/またはヘキシレンから製造され、この際、それぞれの場合に純粋なモノマーを重合することができ、または上記のモノマーの混合物が共重合される。重合方法によって及びモノマーの選択によって、ポリマーフィルムの物理的及び機械的特性、例えば軟化温度及び/または引裂き強度を制御できる。
【0129】
更に、伸張可能なフィルムキャリアの原料としてポリウレタンを有利に使用できる。ポリウレタンは、化学的及び/または物理的に架橋された重縮合物であり、これは典型的にはポリオール及びイソシアネートから構成されている。個々の成分の種類及び使用比に応じて、本発明の意味において有利に使用できる伸張性材料を得ることができる。処方者が利用できる原料は、例えばEP0894841B1(特許文献14)及びEP1308492B1(特許文献15)に記載されている。本発明による伸張性フィルムキャリアから構成できる他の原料も当業者には既知である。更に、伸張性を実現化するために、ゴムをベースとする材料を伸張性フィルムキャリアに使用することが有利である。ゴムまたは合成ゴムまたはこれらから生成されたブレンドが伸張性キャリアフィルムの原料として使用される場合には、合成ゴムは、基本的に、必要な純度と粘度レベルに応じて、全ての入手可能な品質等級、例えばクレープタイプ、RSSタイプ、ADSタイプ、TSRタイプまたはCVタイプから選択することができ、そして合成ゴムまたは複数種の合成ゴムは、統計的に共重合されたスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(XIIR)、アクリレートゴム(ACM)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)またはポリウレタンおよび/またはこれらのブレンドの群から選択できる。
【0130】
伸張性フィルムキャリアのための材料として特に有利に使用可能なものはブロックコポリマーである。この際、個々のポリマーブロックは互いに共有結合されている。ブロックの結合は、線形で存在することができるか、星型またはグラフトコポリマー型でも存在できる。有利に使用可能なブロックコポリマーの一例は、二つの末端ブロックが少なくとも40℃、好ましくは少なくとも70℃の軟化温度を有し及び中間ブロックが最高でも0℃、好ましくは最高でも−30℃の軟化温度を有する線形トリブロックコポリマーである。より高級のブロックコポリマー、例えばテトラブロックコポリマーも同様に使用可能である。重要な点は、同一かまたは異なる種類の少なくとも二種のポリマーブロックがブロックコポリマー中に含まれており、これらのポリマーブロックが、それぞれ少なくとも40℃、好ましくは少なくとも70℃の軟化温度を有し、そして軟化温度が最大でも0℃、好ましくは最大でも−30℃の少なくとも一種のポリマーブロックを介してポリマー鎖中で互いに隔てられていることである。ポリマーブロックの例は、ポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラヒドロフラン、ポリジエン、例えばポリブタジエンまたはポリイソプレン、水素化ポリジエン、例えばポリエチレンブチレンまたはポリエチレンプロピレン、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブタンジオールアジペートまたはポリヘキサンジオールアジペート、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、ビニル芳香族モノマーのポリマーブロック、例えばポリスチレンまたはポリ−[α]−メチルスチレン、ポリアルキルビニルエーテル、ポリビニルアセテート、[α],[β]不飽和エステルのポリマーブロック、例えば特にアクリレートまたはメタクリレートである。当業者にはこれらの対応する軟化温度は既知である。その代わりに、これらは、例えばPolymer Handbook[J.Brandrup,E.H.Immergut,E.A.Grulke(Hrsg.),Polymer Handbook,4.Aufl.1999,Wiley,New York](非特許文献1)に提案されている。ポリマーブロックはコポリマーから構成されていることができる。
【0131】
更に、伸張性フィルムキャリアとしては、ウェブ上の発泡材(例えばポリエチレン及びポリウレタンでできた発泡材)も考えられるが、本発明の意味においては好ましくない。
【0132】
伸張性フィルムキャリア上への自着剤のより良好な固定のためには、フィルムキャリアを、コロナ、プラズマまたは火炎などの既知の措置で前処理することができる。プライマーも利用も可能である。しかし、理想的には、前処理は無しで済ませることができる。
【0133】
特に有利には、伸張性フィルムキャリアは、単層フィルムキャリア、好ましくはポリウレタンでできた単層フィルムキャリアであり、この際、該キャリアは、少なくとも300%、好ましくは少なくとも500%、特に少なくとも800%の破断伸び、及び場合により50%を超える復元力を有する。好ましくは、該フィルムキャリアは、長手方向だけでなく、横方向でも上記の破断伸び及び/または上記の復元力を有する。
【0134】
好ましくは、伸張性キャリア材料の引張強さは、感圧接着ストリップが伸張性延伸によって接着アセンブリから破壊なく再び剥がすことができるように調整される。
【0135】
感圧接着ストリップの製造及び構成
本発明に従い使用可能な自着剤SK1またはSK2の製造及び加工は、溶液からでも、または溶融物からでも行うことができる。フィルムキャリア層への本発明に従い使用可能な自着剤SK1またはSK2の施用は、直接的なコーティングによってまたはラミネーション、特に熱ラミネーションによって行うことができる。
【0136】
有利には、本発明による感圧接着ストリップの外側の接着剤層の外側の自由面には、両面が抗接着性にコーティングされた材料、例えば剥離紙または剥離フィルム(ライナーとも称される)を、詳しくは一次的なキャリアとして装備することができる。ライナー(剥離紙、剥離フィルム)は、感圧接着ストリップの構成要素ではなく、その製造、保存及び/またはダイカットによる二次加工のための補助手段に過ぎない。更に、接着テープキャリアとは異なり、ライナーは接着剤層とは強く接合されない。
【0137】
本発明による感圧接着ストリップの典型的な製造形態は、接着テープロール並びに例えばダイカット品の形で得られるような接着ストリップである。
【0138】
好ましくは、全ての層が本質的に直方体の形態を有する。更に好ましくは、全ての層が全面的に互いに接合している。この接合は、フィルム表面の前処理によって最適化できる。
【0139】
「接着ストリップ」(感圧接着ストリップ)(同義語として「接着テープ」(感圧接着テープ)とも言う)という一般的な表現には、本発明の意味において、二次元に伸びたフィルムまたはフィルム断片、伸びた長さ及び限られた幅を有するテープ、テープ断片及び類似物、最後にダイカットまたはラベルのような全ての平坦な形成物が含まれる。
【0140】
それ故、感圧接着ストリップは、長さの延び(x方向)及び幅の延び(y方向)を有する。感圧接着ストリップは、両方の延びに対して垂直に延在する厚さ(z方向)も有し、この際、幅の伸び及び長さの伸びは、厚さよりも数倍大きい。厚さは、長さ及び幅によって決定される感圧接着ストリップの面積全体にわたって、できるだけ同じ、好ましくは正確に同じである。
【0141】
本発明による感圧接着ストリップは特にウェブ状の形で存在する。ウェブとは、長さ(x方向での延び)が幅(y方向での延び)よりも数倍長く、かつ幅が、長さ全体に沿ってほぼ、但し好ましくは正確に同一に一定となるように形成されている物品のことと解される。
【0142】
本発明による感圧接着ストリップにおける非伸張性フィルムキャリアの使用は、感圧接着ストリップの、特に繊細なダイカット品もの有利な取り扱い性をもたらす。本発明による感圧接着ストリップに使用可能な非伸張性フィルムキャリアは、ダイカット品において顕著な剛性をもたらし、それによってダイカットプロセス及びダイカット品の配置が容易になる。非伸張性フィルムキャリアを備えた本発明による感圧接着ストリップから形成されるダイカット品は、特に、外側のダイカット縁部及び内側の空所を有して、フレームの形態で存在することができる。この際、個々の枠は、5mm未満の幅または2.5mm未満の幅または1mm未満の幅さえも有することができる。
【0143】
本発明による感圧接着ストリップにおける伸張性フィルムキャリアの使用は、他の有利な製品形態を可能にする。伸張性延伸によって破壊無く接着から剥がすことができる感圧接着ストリップを得ることができる。
【0144】
特にウェブ形態の感圧接着ストリップは、ロールの形態で、すなわちそれ自体に巻回したアルキメデス螺旋の形で製造できる。
【0145】
本発明による感圧接着ストリップの特性
本発明による感圧接着ストリップは、優れた使用プロフィル、すなわち非常に良好な使用特性及び接着技術的特性を特徴とする。
【0146】
特に、本発明で設定した課題が解決される。例えば、本発明による感圧接着ストリップが、高い接着強度及び高い耐衝撃性の他に、更に、向上した熱せん断強度も有することが判明した。
【0147】
例えば、これは、高められた温度での静的せん断試験において高いせん断強度を示し、かつ更にはSAFT試験(「せん断接着破壊温度」)で分かるように高い耐熱性を有する。
【0148】
本発明による感圧接着ストリップの高い耐衝撃性は、z方向だけでなく、x、y−面でも高い衝撃靱性(すなわち横方向衝撃靱性)の形で現れる。更に、これは、落球試験(衝撃靱性、落球)においても非常に良好な値を示す。更に、これは、高いプッシュアウト強度(z面)も特徴とする。
【0149】
その他、本発明による感圧接着剤は、例えば有利な座屈/硬化挙動及び非常に良好な圧縮性を有する。
【0150】
更に、本発明による感圧接着剤は、粗い下地に対する良好な接着力、良好な減衰及び/または封止特性または平らでない下地に対する良好な密着性を有する。
【0151】
本発明による感圧接着剤の熱せん断強度のより詳しい説明は実施例で行う。
【0152】
以下に記載の図面に基づいて、本発明の特に有利な形態をより詳しく説明するが、それによって本発明を無用に限定することを意図するものではない。
【0153】
図1には、三つの層1、2、3からなる本発明による三層型感圧接着ストリップの図解による構成を横断面図として示す。
【0154】
このストリップは、両面がエッチングされたPETフィルムの形の非伸張性フィルムキャリア1(層F)を含む。このPETフィルム1の上面及び下面には、二つの外側の自着性接着剤層2、3(層SK1及び層SK2)が存在する。自着性接着剤層2、3(層SK1及びSK2)は、図示した例示的な形態では、それぞれライナー4、5で覆われている。
【0155】
更に、図2には、層2からなる本発明による単層型感圧接着ストリップの図解による構成を横断面図として示す。
【0156】
このストリップは、自着性接着剤層2(層SK1)を含む。自着性接着剤層2(層SK1)は、図示した例示的な形態では、それぞれライナー4、5で覆われている。
【0157】
更に、本発明は、本発明による自着剤層の製造のための方法を含む。図3を参照されたい。ここで、
・ポリマー、樹脂または充填材及び未膨張マイクロバルーンなどの接着剤形成のための構成分を第一の混合装置中で混合し、そして過圧下に膨張温度まで加熱し、
・マイクロバルーンを、混合装置からの出口で膨張し、
・接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンと一緒にロールコータで層に成形し、
・接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンと一緒に場合によりウェブ状キャリア−またはリリース材料上に施与する。
【0158】
更に、本発明は、本発明による自着剤層の製造のための方法を含む。同様に図3を参照されたい。ここで、
・ポリマー、樹脂または充填材及び未膨張マイクロバルーンなどの接着剤形成のための構成分を第一の混合装置中で混合し、そして膨張温度まで加熱し、
・マイクロバルーンを混合中に少なくとも部分的に、好ましくは完全に膨張し、
・接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンと一緒にロールコータで層に成形し、
・接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンと一緒に場合によりウェブ状キャリア−またはリリース材料上に施与する。
【0159】
また同様に、本発明は、本発明による自着剤層の製造のための方法を含む。図4を参照されたい。ここで、
・ポリマー、樹脂または充填材などの接着剤形成のための構成分を、未膨張マイクロバルーンと一緒に第一の混合装置中で過圧下に混合し、そしてマイクロバルーンの膨張温度未満の温度に温度調節し、
・混合した(特には均一の)接着剤を、第一の混合装置から第二のユニットに移し、そして膨張温度に加熱し、
・マイクロバルーンを第二の装置中でまたは第二の装置からの出口で膨張させ、
・接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンと一緒にロールコータで層に成形し、
・接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンと一緒に場合によりウェブ状キャリア−またはリリース材料上に施与する。
【0160】
また同様に、本発明は、本発明による自着剤層の製造のための方法を含む。図5を参照されたい。ここで、
・ポリマー、樹脂または充填材などの接着剤形成のための構成分を第一の混合装置中で混合し、
・混合した(特には均一の)接着剤を、第一の混合装置から第二の混合装置に移し、そこで未膨張のマイクロバルーンも装入し、
・マイクロバルーンを第二の混合装置中でまたは第二の混合装置からの出口で膨張させ、
・接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンと一緒にロールコータで層に成形し、
・接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンと一緒に場合によりウェブ状キャリア−またはリリース材料上に施与する。
【0161】
それ故、図3〜5中に図解する、本発明による自着剤層の製造方法は、それぞれ、唯一の自着剤層からなる感圧接着ストリップ、すなわち転写式テープを製造できる方法である。任意選択的に、この際、自着剤層は、ウェブ状のリリース材料、すなわちライナーで覆うことができる。好ましくは、自着剤層は、両方の面がライナーで覆われている。
【0162】
図3〜5の方法において、含まれる自着剤層がウェブ状のキャリア材料、すなわちフィルムキャリアF上に施与されている場合には、片面接着テープとなる。次いで任意選択的に、フィルムキャリア層Fとは反対側の自着剤層の表面を、ウェブ状リリース材料、すなわちライナーで覆うことができる。
【0163】
フィルムキャリア層F、自着剤層及びライナーからなる三層システムにおいて、次いで、自着剤層とは反対側の、フィルムキャリア層Fの表面上に更に別の自着剤層を施与すると、フィルムキャリアを備えた本発明による両面接着テープとなる。次いで任意選択的に、フィルムキャリア層Fとは反対側の自着剤層の表面を、ウェブ状リリース材料、すなわちライナーで覆うことができる。
【0164】
本発明の好ましい実施形態の一つでは、接着剤をローラコータで成形しそしてキャリア材料上に施与する。
【0165】
マイクロバルーンを用いて発砲した接着剤を用いる場合は、均一な閉じたコーティングの外観を得るためには、一般的にコーティングの前に脱気する必要はない。膨張性マイクロバルーンは、コンパウンド化の間に接着剤中に閉じ込められた空気を排除する。それでもなお、処理量が多い場合は、ロール間隙中に均一な接着剤の仕込み物(Massevorlage)を得るためには、接着剤をコーティング前に脱気することが得策である。脱気は、理想的には、ロールコータの直前に混合温度及び周囲圧と比べて少なくとも200mbarの差圧で行う。
【0166】
更に、
・第一の混合装置が連続式装置、特に遊星ローラ押出機、二軸スクリュー押出機またはピンタイプ押出機である場合、
・第一の混合装置が非連続式装置、特に、Z−混練機またはインターナルミキサーである場合、
・第二の混合装置が遊星ローラ押出機、単軸スクリュー押出機もしくは二軸スクリュー押出機またはピン型押出機である場合、及び/または
・接着剤を膨張したマイクロバルーンと一緒にキャリア層に成形する成形装置が、カレンダ、ローラコータ、またはローラと固定ドクタブレードから形成された間隙である場合、
に有利である。
【0167】
本発明による方法を用いることにより、全ての従前既知で文献記載の接着剤成分を、特に自着性に溶剤不含に加工できる。
【0168】
以下には、本発明の思想の内にある上記方法を、特に優れて構成された変形で図解するが、描写した図面の選択によって不要に限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0169】
図1】三つの層1、2、3からなる本発明による三層型感圧接着ストリップの横断面図。
図2】層2からなる本発明による単層型感圧接着ストリップの横断面図。
図3】マイクロバルーンが第一の混合装置中に直接加えられる、一つの混合装置を用いた方法。
図4】マイクロバルーンが第一の混合装置中に加えられる、二つの混合装置を用いた方法。
図5】マイクロバルーンが先ず第二の混合装置中に加えられる、二つの混合装置を用いた方法。
【0170】
図3には、発泡型感圧接着剤層を製造するための特に有利に構成された方法を示す。
【0171】
例えば遊星ローラ押出機(PWE)などの連続式混合装置中で、感圧接着剤を調製する。
【0172】
このためには、接着剤を形成する原料Eを遊星ローラ押出機PWE1中に供給する。同時に、未膨張マイクロバルーンMBを、コンパウンド化プロセスの間に、前記自着剤に均一に配合する。
【0173】
自着剤の均一な調製及びマイクロバルーンの膨張に必要な温度は、マイクロバルーンが混合中に少なくとも膨張し始め及び好ましくはPWE1の出口において、ノズル出口での圧力低下によって自着剤M中で完全に発泡しそしてこの際、接着剤表面から突き出るように、互いに調整する。
【0174】
成形装置としてローラコータ3を用いて、この発泡体様接着剤Mをカレンダリングし、そしてウェブ状キャリア材料、例えば剥離紙TP上にコーティングし、この際、部分的になおも後発泡がローラ間隙中で起こり得る。ローラコータ3は、ドクタローラ31及びコーティングローラ32からなる。後者には、剥離紙TPをピックアップローラ33を介して案内して、剥離紙TPが、接着剤Kをコーティングローラ32から受け取るようにする。
【0175】
同時に、膨張したマイクロバルーンMBを再び、接着剤Kのポリマーマトリックス中に押し込み、それ故、平坦な表面が生じる。マイクロバルーンによる接着力の低下は、それによって大きく減少することができる。
【0176】
図4には、発泡型感圧接着剤層を製造するための更に別の特に有利に構成された方法を示す。
【0177】
遊星ローラ押出機PWE1は、二つの直列に接続した混合域11、12を有し、その中ではセンタースピンドルが回転している。更に、加熱域毎に六つの遊星スピンドルが存在している。スパージリング13には、他の原料、例えば軟化剤または液状樹脂を供給する。
【0178】
適当な装置の一つは、例えばボーフム在のEntex社の遊星ローラ押出機である。
【0179】
次いで、マイクロバルーンを第二の混合装置、例えば二軸スクリュー押出機中で均一に自着剤中に配合して、膨張温度を超える温度に加熱して発泡させる。
【0180】
このためには、原料Eから形成された接着剤Kを、二軸スクリュー押出機ESE2中に供給し、同時にマイクロバルーンMBを充填する。この二軸スクリュー押出機ESEは、バレル長21にわたって合計で四つの加熱域を有する。
【0181】
適当な装置の一つは、例えばKiener社の二軸スクリュー押出機である。
【0182】
発泡したマイクロバルーンMBは、ESE2のノズル出口での圧力低下によって起こった膨張によって、接着剤表面から突き出る。
【0183】
ローラコータ3を用いて、この発泡体様接着剤Mをカレンダリングし、そしてウェブ状キャリア材料、例えば剥離紙TP上にコーティングし、この際、部分的になおも後発泡がローラ間隙中で起こり得る。ローラコータ3は、ドクタローラ31及びコーティングローラ32からなる。後者には、剥離紙TPをピックアップローラ33を介して案内して、剥離紙TPが、接着剤Kをコーティングローラ32から受け取るようにする。
【0184】
同時に、膨張したマイクロバルーンMBを再び、接着剤Kのポリマーマトリックス中に押し込み、それ故、平坦な表面が生じる。マイクロバルーンによる接着力の低下は、それによって大きく減少することができる。
【0185】
図5には、発泡型感圧接着剤層を製造するための更に別の特に有利に構成された方法を示す。
【0186】
例えば遊星ローラ押出機(PWE)などの連続式混合装置中で、感圧接着剤を調製する。
【0187】
このためには、接着剤を形成する原料Eを遊星ローラ押出機PWE1中に供給する。遊星ローラ押出機PWE1は、二つの直列に接続した混合域11、12を有し、その中でセンタースピンドルが回転している。更に、加熱域毎に六つの遊星スピンドルが存在している。
【0188】
スパージリング13には、他の原料、例えば軟化剤または液状樹脂を供給する。
【0189】
適当な装置の一つは、例えばボーフム在のEntex社の遊星ローラ押出機である。
【0190】
次いで、マイクロバルーンを第二の混合装置、例えば一軸スクリュー押出機中で過圧下に均一に自着剤中に配合し、膨張温度を超える温度に加熱して、吐出時に発泡させる。このためには、原料Eから形成された接着剤Kを、一軸スクリュー押出機ESE2中に供給し、同時にマイクロバルーンMBを充填する。この一軸スクリュー押出機ESEは、バレル長21にわたって合計で四つの加熱域を有する。
【0191】
適当な装置の一つは、例えばKiener社の一軸スクリュー押出機である。
【0192】
マイクロバルーンMBは、ESE2のノズル出口での圧力低下によって起こった膨張によって、接着剤表面を突き出る。
【0193】
ローラコータ3を用いて、この発泡体様接着剤Mをカレンダリングし、そしてウェブ状キャリア材料、例えば剥離紙TP上にコーティングし、この際、部分的になおも後発泡がローラ間隙中で起こり得る。ローラコータ3は、ドクタローラ31及びコーティングローラ32からなる。後者には、剥離紙TPをピックアップローラ33を介して案内して、剥離紙TPが、接着剤Kをコーティングローラ32から受け取るようにする。
【0194】
同時に、膨張したマイクロバルーンMBを再び、接着剤Kのポリマーマトリックス中に押し込み、それ故、平坦な表面が生じる。マイクロバルーンによる接着力の低下は、それによって大きく減少することができる。
【0195】
ローラ間隙中の間隙圧が低下すると、コーティングされた発泡自着剤の接着面が減少する。というのも、図3から分かるように、マイクロバルーンが強く押し戻されなくなるからである。図3は、コーティング方法またはパラメータに依存した接着面を示す。必要な間隙圧は使用する接着剤系に強く依存し、粘度が高い程、所望の層厚及び選択されたコーティング速度に応じて間隙圧をより大きくするべきである。実地では、4N/mm超の間隙圧が適することが実証されており、50m/分超の特別高速なコーティング速度において、少ない接着剤塗布量(70g/mの坪量)及び高粘性接着剤(0.1rad及び110℃で50,000Pa*s)では、50N/mm超の間隙圧も必要とされ得る。
【0196】
ローラの温度をマイクロバルーンの膨張温度に適合させることが適していることが判明した。マイクロバルーンを破壊することなく、それが後膨張することを可能とするためには、第一のローラのローラ温度は、マイクロバルーンの膨張温度を超えているのが理想的である。最終のローラは、膨張温度と同じまたはそれより低い温度を有するのがよく、そうすることで、マイクロバルーンの外皮を硬化できそして本発明による平滑な表面が形成する。
【0197】
溶剤不含ポリマー系を連続製造及び加工するための多数の装置が既知である。大概は、様々な加工セクション長及び装備を有する一軸スクリュー及び二軸スクリュー押出機などのスクリュー機械が使用される。しかし、様々な構造の連続作動式混練機、例えば混練機とスクリュー機械との組み合わせも、または遊星ローラ押出機もこのタスクために使用される。
【0198】
遊星ローラ押出機は、比較的昔から知られており、そして最初は熱可塑性プラスチック、例えばPVCの加工に使用された。この場合、これらは、主として、例えばカレンダまたはローラなどの後続のユニットへの原料供給のために使用された。摩擦を介して導入されたエネルギーが迅速かつ効果的に放出できるようになる材料及び熱交換のための大きな表面再生、並びに短い滞留時間及び狭い滞留時間範囲のそれらの利点によって、それの使用分野は、最近になって中でも、特別に温度制御された操業モードを必要とするコンパウンド化プロセスへも広がっている。
【0199】
遊星ローラ押出機は、製造業者に応じて、様々な設計及びサイズのものがある。所望の処理能力に応じて、ローラシリンダの直径は典型的には70mmと400mmとの間である。
【0200】
遊星ローラ押出機は、一般的に、充填部及びコンパウンド化部を有する。
【0201】
充填部は搬送スクリューを備え、そこに全ての固形成分が連続的に計量添加される。搬送スクリューは材料を次いでコンパウンド化部に引き渡す。このスクリューを備えた充填部の領域は、スクリューへの材料の付着を避けるために、好ましくは冷却される。しかし、スクリュー部が無い実施形態もあり、この場合、材料は、センタースピンドルと遊星スピンドルとの間に直接供給される。しかし、本発明による方法の効果のためには、これは重要ではない。
【0202】
コンパウンド化部は、駆動した一つのセンタースピンドルと複数の遊星スピンドルからなり、優先スピンドルは、内部はすば歯車を備えた一つまたは複数のローラシリンダ内でセンタースピンドルの周りを回転する。センタースピンドルの回転数、及びそれ故、遊星スピンドルの回転速度は変えることができ、それ故、コンパウンド化プロセスの制御のための重要なパラメータである。
【0203】
材料は、センタースピンドルと遊星スピンドルとの間で、または遊星スピンドルとローラ部のはすば歯車との間で回転され、そうしてせん断エネルギー及び外部温度調節の作用下に、均一なコンパウンドへの材料の分散が行われる。
【0204】
各々のローラシリンダ中で回転する遊星スピンドルの数は変えることができ、それ故、プロセスの要求に適合させることができる。スピンドル数は、遊星ローラ押出機内部の自由空間、プロセス中の材料の滞留時間に影響を及ぼし、加えて、熱交換及び材料交換のための面積を決定する。遊星スピンドルの数は、導入されたせん断エネルギーを介して、コンパウンド化の結果に影響を及ぼす。一定のローラシリンダ径において、より多くのスピンドル数を用いることで、より良好なホモジナイズ及び分散能力、またはより多い製品処理量を達成できる。
【0205】
センタースピンドルとローラシリンダの間に組み入れることができる遊星スピンドルの最大数は、ローラシリンダの直径及び使用する遊星スピンドルの直径に依存する。生産規模での処理量を達成するために必要であるようなより大きなローラ径を使用する場合または遊星スピンドルにより小さな直径を使用する場合、ローラシリンダにより多くの遊星スピンドルを装備することができる。典型的には、ローラ直径Dが70mmの場合には、7つまでの遊星スピンドルが使用され、他方、ローラ直径Dが200mmの場合には、例えば10つまでの遊星スピンドル、ローラ直径Dが400mmの場合には、例えば24つまでの遊星スピンドルを使用できる。
【0206】
本発明では、発泡した接着剤のコーティングをマルチローラアプリケータを用いて溶剤不含で行うことが提案される。これは、少なくとも一つのローラ間隙を持つ少なくとも二つのローラ乃至三つのローラ間隙を持つ五つのローラからなるアプリケータであることができる。
【0207】
カレンダ(I,F,L−カレンダ)などのコーティングユニットも考慮し得、この場合、発泡した接着剤は、一つ以上のローラ間隙を通過する時に所望の厚さに成形される。
【0208】
この際、未制御の発泡を防ぐために、送り出しローラが選択したマイクロバルーンタイプの発泡温度以上の温度を有することができ、他方で、受け取りローラが発泡温度以下の温度を有するようにすることで、場合により、制御された後発泡が起こり得るように、かつこの際、全てのローラが、個別に30〜220℃の温度に調節できるように、個々のローラの温度管理を選択することが特に有利であることが判明した。
【0209】
一つのローラから他のローラへの成形された接着剤層の移送特性を改善するために、更に、抗付着性に加工されたロールまたは格子目付きローラを使用できる。十分に高精度に成形された接着フィルムを生成するために、ローラの周速度に差をつけることができる。
【0210】
好ましい4本ローラコータは、一本の供給ローラ、供給ローラに並行に配置され支持体材料上の層の厚さを決定するドクタローラ、及び供給ローラの下にある1本の送りローラから構成されている。送りローラと共に第二のロール間隙を形成する押圧ローラ上で、接着剤とウェブ状材料が合体される。
【0211】
コーティングするウェブ状支持体材料の種類に応じて、コーティングは、共回転法または逆回転法で行うことができる。
【0212】
成形装置は、ローラと固定ドクタとの間に生じる間隙によっても構成し得る。固定ドクタは、ドクタナイフまたは固定(半)ローラであることができる。
【0213】
本発明による自着剤層を形成するための代替的な方法では、接着剤の全ての構成分を溶剤混合物(ベンジン/トルエン/アセトン)中に溶解する。マイクロバルーンをベンジン中に懸濁させ、そして溶解した接着剤中に混ぜ入れる。このためには、基本的に、既知のコンパウンド化及び攪拌ユニットを使用でき、この際、マイクロバルーンが混合中にまだ膨張しないように注意すべきである。マイクロバルーンが溶液中に均一に分布したら直ぐに、施着剤をコーティングでき、ここで、この場合もまた、従来技術によるコーティングシステムを使用することができる。例えば、コーティングは、ドクタによって慣用のPETライナー上に行うことができる。次のステップで、コーティングされた接着剤を100℃で15分間乾燥する。上記のステップのいずれにおいても、マイクロバルーンの膨張は起こらない。乾燥後、接着剤層を、第二の層のPETライナーでまたはフィルムキャリアで覆い、そして適当な温度−時間ウィンドウにおいて、例えば150℃で5分間または170℃で1分間、詳しくは特に平滑な表面を生成するために二つのライナー間でまたはライナーとフィルムキャリアとの間に覆った状態で、炉中で発泡させる。
【0214】
乾燥した接着層を二つのライナーの間で発泡させた場合には、自着剤層からなる本発明による感圧接着ストリップが生じる。自着層をライナーとフィルムキャリアとの間で発泡させる場合には、片面接着テープの形の本発明による感圧接着ストリップが生じる。
【0215】
代替的に、ライナーとキャリアフィルムとの間に局在する乾燥自着層の発泡の前に、乾燥自着層とは反対側のフィルムキャリア表面上に、ライナー上に施与された第二の同様に乾燥したマイクロバルーン含有自着層を積層することができ、そうして内部にある一つのフィルムキャリアと、フィルムキャリアと直接接触しており外面に同様にライナーが設けられている二つの自着層とからなる未発泡三層複合体を用意することができる。このような三層複合体は、フィルムキャリアFを、マイクロバルーン含有未発泡自着剤で同時にもしくは順番に直接コーティングし、そうしてから自着剤層を100℃で15分間乾燥し、次いでライナーで覆うことによっても用意することができる。乾燥後に、接着層を、詳しくは特に平滑な表面を生成するために二つのライナー間に覆った状態で、適切な温度−時間窓で、例えば150℃で5分間または170℃で1分間炉中で発泡する。キャリアを備えた両面接着テープの形の本発明による感圧接着テープが生じる。
【0216】
自着層のこうして生成された表面は、15μm未満、特に好ましくは10μm未満、就中特に好ましくは3μm未満の粗さRを有する。
【0217】
表面粗さRは、表面最終加工の品質のための工業規格の単位であり、そして粗さの平均的な高さ、特に評価領域内での粗さプロフィルの中線からの平均的な絶対距離である。別の表現では、Rは、算術的な中央粗さ、すなわち粗さプロフィルの全てのプロフィル値の算術的中央値である。Rは、レーザー三角測法を用いて測定される。
【0218】
乾燥の時のマイクロバルーンの膨張を避けるために、膨張温度は、特に、乾燥温度よりも高く選択される。
【0219】
以下に、本発明を幾つかの例によってより詳しく説明する。以下に記載の例に基づいて、本発明の特に有利な形態をより詳しく説明するが、それによって本発明を無用に限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0220】
以下には、マイクロバルーンExpancel 920DU80で発泡したビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする唯一の自着剤層SK1からそれぞれなる本発明による感圧接着ストリップの製造を記載する。この際、Expancel 920DU80のマイクロバルーン含有率は色々と変えた。
【0221】
このためには、先ず、50.0重量%のKraton D1102AS、45.0重量%のDercolyte A115、4.5重量%のWingtack 10及び0.5重量%の老化保護剤Irganox 1010からベンジン/トルエン/アセトン中40重量%濃度の接着液を調製した(接着液1とも称する)。この際、溶解した構成分の重量部は、それぞれ生じた溶液の乾燥重量に関する。接着剤の上記の構成分は以下のように特徴付けされる:
【0222】
【表1】
【0223】
この溶液を次いで、2重量%または3重量%の未膨張マイクロバルーンExpancel 920DU80と混合した。この際、マイクロバルーンはベンジン中の懸濁液として使用した。ここで、マイクロバルーンの重量割合は、それぞれ、マイクロバルーンを加えた使用した溶液の乾燥重量に対するものである(すなわち、使用した溶液の乾燥重量を100%とする)。次いで、得られた混合物を、コーティングバーを用いて、剥離性シリコーンを備えたPETライナー上に所望の層厚に塗布し、次いで100℃で15分間、溶剤を蒸発して接着剤層を乾燥した。
【0224】
そうしてから、それぞれ、形成及び乾燥した接着剤層の自由表面上に第二のPETライナーを積層し、次いでこの接着剤層を、両ライナー間で炉中で150℃で5分間発泡させた。二つのライナー間で発泡させることによって、特に平滑な表面を有する製品を得ることができる(R値が15μm未満)。ダイカットによって、所望の寸法の本発明による感圧接着ストリップが得られた(例1及び2)。これらの感圧接着ストリップは、約150μmの厚さを有するように作製した。この厚さは、PETライナー無しの感圧接着ストリップの厚さである。
【0225】
比較試験において、感圧接着ストリップの作製を同じように繰り返したが、未膨張マイクロバルーンExpancel 920DU80の代わりに、Expancel 920DU20、Expancel 920DU40またはExpancel 920DU120のタイプの未膨張マイクロバルーンを使用した。この際、マイクロバルーンの重量部は、使用した接着液の乾燥重量をそれぞれ基準にして、Expancel 920DU20またはExpancel 920DU40を使用した場合は、再び2重量%または3重量%に選択し、Expancel 920DU120を使用した場合は、0.9重量%または2重量%に選択した(比較例1〜6)。これらの感圧接着ストリップも同様に、約150μmの厚さを有するように作製した。この厚さは、PETライナー無しの感圧接着ストリップの厚さである。
【0226】
以下には、更に、同様にマイクロバルーンExpancel 920DU80で発泡したビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする唯一の自着剤層SK1からなる、本発明による感圧接着ストリップの製造を記載する。しかし、この際、他の接着液を使用した(接着液2とも称する)。
【0227】
このためには、先ず、25.0重量%のKraton D1101AS、25.0重量%のKraton D1118ES、45.0重量%のDercolyte A115、4.5重量%のWingtack 10及び0.5重量%の老化保護剤Irganox 1010からベンジン/トルエン/アセトン中40重量%濃度の接着液を調製した(接着液2と称する)。この際、溶解した構成分の重量部は、それぞれ生じた溶液の乾燥重量に関する。接着剤の上記の構成分は以下のように特徴付けされる:
【0228】
【表2】
【0229】
この溶液を次いで、2重量%の未膨張マイクロバルーンExpancel 920DU80と混合した。この際、マイクロバルーンはベンジン中の懸濁液として使用した。ここで、マイクロバルーンの重量割合は、マイクロバルーンを加えた使用した溶液の乾燥重量に対するものである(すなわち、使用した溶液の乾燥重量を100%とする)。次いで、得られた混合物を、コーティングバーを用いて、剥離性シリコーンを備えたPETライナー上に所望の層厚に塗布し、次いで100℃で15分間、溶剤を蒸発して接着剤層を乾燥した。
【0230】
そうしてから、形成及び乾燥した接着剤層の自由表面上に第二のPETライナーを積層し、次いでこの接着剤層を、両ライナー間で炉中150℃で5分間発泡させた。二つのライナー間で発泡させることによって、特に平滑な表面を有する製品を得ることができる(R値が15μm未満)。ダイカットによって、所望の寸法の本発明による感圧接着ストリップが得られた(例3)。これらの感圧接着ストリップは、約150μmの厚さを有するように作製した。この厚さは、PETライナー無しの感圧接着ストリップの厚さである。
【0231】
比較試験において、感圧接着ストリップの作製を同じように繰り返したが、未膨張マイクロバルーンExpancel 920DU80の代わりに、Expancel 920DU20のタイプの未膨張マイクロバルーンを使用した。この際、マイクロバルーンの重量割合は、使用した接着液の乾燥重量を基準にしてこの場合も2重量%に選択した(比較例7)。これらの感圧接着ストリップは、同様に、約150μmの厚さを有するように作製した。この厚さは、PETライナー無しの感圧接着ストリップの厚さである。
【0232】
以下の表1は、本発明による感圧接着ストリップ(例1〜3)並びに本発明によるものではない感圧接着ストリップ(比較例1〜7)の熱せん断強度を示す。
【0233】
【表3】
【0234】
例1〜3は、ビニル芳香族ブロックコポリマーをベースとする自着剤層を未膨張マイクロバルーンExpancel 920DU80で発泡させた場合に、驚くべきことに感圧接着ストリップにおいて優れた静的せん断強度及び耐熱性を達成できることを示している。
【0235】
本発明による感圧接着ストリップを、ビニル芳香族ブロックコポリマーをベースとする自着剤層をかなりより小さいマイクロバルーンまたはかなりより大きいマイクロバルーンで発泡させた比較例の感圧接着ストリップと比較すると、約80μmのオーダーの大きさの平均径を有する場合に発泡した接着剤層中の空洞が明らかに向上した熱せん断強度をもたらすようであることが示される。
【0236】
例1及び2の比較は、本発明による感圧接着ストリップにおいて、マイクロバルーンの含有率が2重量%または3重量%である場合に、類似の良好な熱せん断強度を達成できることを示す。
【0237】
更に、例1〜3は、本発明による感圧接着ストリップにおいて、自着剤の約500〜750kg/mの幅広い絶対密度範囲にわたって、優れた熱せん断強度を期待できることを示している。
【0238】
更に、例1及び3の比較は、本発明による感圧接着ストリップにおいて、熱せん断強度は、ビニル芳香族ブロックコポリマー組成物の適切な選択によっても更に向上できることを示している。
【0239】
検査法
全ての測定は、(別の記載がない限り)23℃および相対湿度50%で実施した。
【0240】
機械的及び接着技術的データは以下のように求めた:
復元力もしくは弾性
復元力の測定のためには、感圧接着ストリップを100%伸張し、30秒間この伸張を維持し、次いで緩和した。1分間の待機時間の後に、長さを再び測定した。
【0241】
ここで復元力は以下のように計算する:
RV=((L100-Lend)/L)*100
RV=復元力(%)
100:100%伸張の後の接着ストリップの長さ
:伸張前の接着ストリップの長さ
end:1分間の緩和後の接着ストリップの長さ
この際、復元力とは弾性に相当する。
【0242】
引張強度及び破断伸び(測定法R1)
引張強度及び破断伸びは、DIN53504に準拠してサイズS3のダンベル型試験片を使用して一分間あたり300mmの分離速度で測定した。試験雰囲気は23℃及び50%相対湿度であった。
【0243】
弾性率
弾性率は、材料が弾性変形に対抗する力学抵抗を示す。これは、達成された歪みεに対する必要な応力σの比率tとして決定され、ここでεは、試験体のフック変形領域における試験片の長さの変化ΔLと長さLからの商である。弾性率の定義は、例えばTaschenbuch der Physik(物理学ポケットブック)に説明されている(H.Stoecker(Hrsg.),Taschenbuch der Physik,2.Aufl.,1994,Verlag Harri Deutsch,Frankfurt,S.102−110(非特許文献2))。
【0244】
フィルムの弾性率を決定するために、タイプ2の試験標本(矩形の150mm長及び15mm幅のフィルム試験ストリップ)についての引張歪み挙動を、DIN EN ISO527−3/2/300に従い、300mm/分の試験速度、100mmの挟持長さ、及び0.3N/cmの初期力を用いて求めた。その際、データを求めるための試験ストリップを、鋭利な刃で切断した。Zwick社の引張試験機を使用した(モデルZ010)。引張歪み挙動を機械方向(MD)で測定した。1000N(Zwick Roell タイプKapーZ066080.03.00)または100N(Zwick Roell タイプKap−Z066110.03.00)ロードセルを使用した。弾性率は、測定曲線から図に基づいて、フックの挙動に特徴的な曲線の初期領域の勾配を決定することによって求め、そしてGPaで表した。
【0245】
DACP
乾燥した標本ビン中に、5.0gの試験物質(被験粘着樹脂サンプル)を計量し、そして5.0gのキシレン(異性体混合物、CAS[1330−20−7]、≧98.5%、Sigma−Aldrich#320579または等価物)と混合する。130℃で、試験物質を溶解し、次いで80℃に冷却する。場合によっては逃げ出したキシレンを更なるキシレンで補充して、再び5.0gのキシレンが存在するようにする。次いで、5.0gのジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、CAS[123−42−2]、99%、Aldrich#H41544または等価物)を加える。この標本ビンを、試験物質が完全に溶解するまで震盪する。このためには、溶液を100℃に加熱する。樹脂溶液を含む標本ビンを次いで、曇点測定装置であるNovomatics社のChemotronic Cool中に入れ、そこで110℃に温度調節する。1.0K/分の冷却速度で冷却する。曇点は光学的に検出する。このためには、溶液の曇点が70%に達する時の温度を記録する。結果を℃で表示する。DACPが小さくなるほど、試験物質の極性が大きい。
【0246】
接着樹脂軟化温度
粘着樹脂軟化温度は、環球法として知られておりASTM E28に基づいて標準化されている該当する方法論に基づいて実施される。
【0247】
直径
自着剤層中のマイクロバルーンによって形成される中空空間の平均径の決定は、感圧接着ストリップの凍結割断縁に基づいて走査電子顕微鏡(REM)で500倍拡大で行う。感圧接着ストリップの5枚の異なる凍結割断縁のREM写真上に見える、試験すべき自着剤層のマイクロバルーンから、それぞれ図的に直径を求め、この際、5枚のREM写真で求められた全ての直径の算術平均が、本出願の意味における自着剤層のマイクロバルーンで形成された中空空間の平均径を表す。写真上に見えるマイクロバルーンの直径は、試験する自着剤層のあらゆる個々のマイロバルーンについてのREM写真から、任意の(二次元の)方向のその最大寸法を取り出し、そしてその直径と見なすようにして、図的に求められる。
【0248】
密度
未発泡及び発泡接着剤層の密度は、キャリアまたはライナー上に施与された接着剤層の接着剤塗布量及び厚さからの商の生成によって求める。
【0249】
接着剤塗布量は、キャリアまたはライナー上に施与されたこのような接着剤層のその長さ及び幅に関して定義された断片の決定された質量から、使用したキャリアまたはライナーの同じ寸法の断面の(既知のまたは別途求めた)質量を差し引いて決定することができる。
【0250】
接着剤層の厚さは、キャリアまたはライナー上に施与されたこのような接着剤層のその長さ及び幅に関して定義された断片の決定された厚さから、使用したキャリアまたはライナーの同じ寸法の断面の(既知のまたは別途求めた)厚さを差し引いて決定することができる。感圧接着層の厚さは、慣用の厚さ測定装置(Taster試験装置)により、1μm未満の誤差の精度で求めることができる。厚さの変動が確認されたら、少なくとも三カ所の代表的な箇所での測定の平均値をとる。すなわち、特に、ひだ、折り目、ピンホール及び類似の部分では測定しない。
【0251】
厚さ
感圧接着層の厚さと同様に、感圧接着ストリップまたはフィルムキャリア層の厚さも、慣用の厚さ測定装置(Taster試験装置)により1μm未満の誤差の精度で求めることができる。厚さの変動が確認されたら、少なくとも三カ所の代表的な箇所での測定の平均値をとる。すなわち、特に、ひだ、折り目、ピンホール及び類似の部分では測定しない。
【0252】
静的ガラス転移温度T
ガラス転移点(同義語としてガラス転移温度とも称する)は、DIN53 765、特に7.1章及び8.1章に基づくダイナミック示差走査熱量測定DDK(英語名 Dynamic Scanning Calorimetry;DSC)による測定、ただしすべての加熱ステップおよび冷却ステップにおいて10K/分の統一された加熱速度および冷却速度での測定の結果として表示される(DIN53765;7.1章;注1を参照)。試料の計量は20mgである。
【0253】
せん断接着破壊温度(SAFT)、耐熱性
この試験は、温度負荷下での感圧接着ストリップのせん断強度の短時間試験に役立つ。このためには、調査すべき感圧接着ストリップを、温度調節可能な鋼製プレート上に接着し、重り(50g)を負荷し、そしてせん断距離を記録する。
【0254】
測定試料の調製:
調査すべき感圧接着ストリップを、これが両面接着性感圧接着ストリップの場合には、接着剤ストリップ側の一方を50μm厚のアルミニウム箔上に貼り付ける。場合によりこうして用意された感圧接着ストリップを10mm×50mmのサイズに切断する。
【0255】
切断した感圧接着ストリップ試料の他の接着剤面を、研磨しアセトンで洗浄した鋼製試験プレート(材料1.4301、DIN EN10088−2、表面2R、表面粗さR=30〜60nm、寸法50mm×13mm×1.5mm)上に、試料の接着面の高さ×幅が13mm×10mmとなりそして鋼製プレートの上縁が2mm張り出すように接着する。次いで、固定のために2kgの鋼製ロール及び10m/分の速度で6回ローラ掛けする。この試料を、上側で面一に、距離測定センサのための支持部として役立つ安定な接着ストリップで補強する。その後、より長くはみ出ている接着テープ端部が垂直に下を指すように、鋼製プレートで試料を吊るす。
【0256】
測定:
測定すべき試料の下端で50gの重りにより負荷をかける。貼り付けた試料を有する鋼製試験プレートを、25℃から始めて1分につき9Kの割合で200℃の最終温度へと加熱する。
【0257】
温度および時間に応じた試料の滑り距離を距離測定センサにより観察する。最大滑り距離を1000μm(1mm)と定め、これを上回ると試験を中断し、破壊温度を記録する。
【0258】
試験雰囲気室温23+/−3℃、相対湿度50+/−5%。
【0259】
せん断強度の定量的確定:静的せん断試験SSZ
感圧接着ストリップを、70℃または80℃に温度調節された人工気候室内で、所与の剛性被着下地(ここでは鋼鉄)上に施与し、そして一定のせん断負荷に付す。保持時間を分の単位で求める。
【0260】
プレートの適切な懸架(角度179±1°)によって、感圧接着ストリップがプレートの下側の縁から剥がれないことが保証される。
【0261】
この検査は、第一に、接着剤の凝集性に関する情報を提供するものである。しかし、このような情報が得られるのは、パラメータとしての重量及び温度が、検査の時に実際に凝集不良が起こるように選択された場合のみである。
【0262】
この試験は他に、被着下地に対する接着性についてのまたは接着剤の接着性及び凝集性の組み合わせについての情報を与える。
【0263】
検査する感圧接着ストリップの13mm幅のストリップを、研磨した小さい鋼プレート(試験下地)上で5cmの長さを2kgのローラで10回転がして貼り付ける。両面接着性の感圧接着ストリップは、背面を50μm厚のアルミニウム箔で覆って補強する。次いで、ベルトループを、接着テープの下端に取り付ける。次いで、179±1°の所与の角度を保証するために、せん断試験プレートの前側に小さなアダプタプレートをネジとナットで固定する。ローラ掛けと負荷との間の養生時間(Aufziehzeit)は10分間と15分間の間であるのがよい。続いて、500gまたは1kgの重りを、ベルトループを用いてそっとぶら下げる。
【0264】
ここで、自動カウント時計が、検査サンプルのせん断時点を確定する。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
マイクロバルーンで発泡されたビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする自着剤からなる少なくとも一つの層SK1、好ましくは正確に一つの層SK1を含む感圧接着ストリップであって、自着剤層SK1中のマイクロバルーンから形成された中空空間の平均径が45〜110μmである感圧接着ストリップ。
2.
自着剤層SK1からなることを特徴とする、上記1に記載の感圧接着ストリップ。
3.
自着剤層SK1が、45〜5000μm、より好ましくは80〜2500μm、更により好ましくは100μm〜2000μm、特に100〜300μm、例えば150μmの厚さを有することを特徴とする、上記2に記載の感圧接着ストリップ。
4.
層SK1と、フィルムキャリアからなる更なる層Fとを含み、この層SK1が、フィルムキャリア層Fの表面上に配置されていることを特徴とする、上記1に記載の感圧接着ストリップ。
5.
ビニル芳香族ブロックコポリマー組成物をベースとする自着剤からなる更に別の層SK2を含み、この層SK2は、層SK1とは反対側のフィルムキャリア層Fの表面上に配置されており、この際、層SK2は、好ましくはマイクロバルーンを用いて発泡された自着剤をベースとし、この際、層SK2中のマイクロバルーンから形成された中空空間の平均径が特に45〜110μmであることを特徴とする、上記4に記載の感圧接着ストリップ。
6.
フィルムキャリア層が、5μmと125μmとの間、好ましくは10μmと60μmとの間、より好ましくは10μmと50μmとの間、更により好ましくは10μmと40μmとの間の厚さを有し、及び自着剤層SK1及び存在する場合には自着剤SK2が、互いに独立して、45〜1000μmとの間、より好ましくは45μmと200μmとの間、特に60〜150μmの厚さを有することを特徴とする、上記4または5に記載の感圧接着ストリップ。
7.
両方の自着剤層SK1及びSK2の発泡したビニル芳香族ブロックコポリマー組成物が化学的に同一であることにより、層の組成に関して対称的な構成を有することを特徴とする、上記5または6に記載の感圧接着ストリップ。
8.
両方の自着剤層SK1及びSK2が同じ厚さ及び/または同じ密度を有することにより、構造的に対称的な構成を有することを特徴とする、上記5〜7の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
9.
(i)主としてビニル芳香族化合物、好ましくはスチレンから形成されたポリマーブロック(A−ブロック)と、同時に、(ii)主として1,3−ジエンの重合によって形成されたポリマーブロック(B−ブロック)、例えば主としてブタジエンもしくはイソプレンの重合によって形成されたポリマーブロック、またはこれら両者のコポリマーとを含むビニル芳香族ブロックコポリマーをベースとする層が、自着剤層SK1及び/またはSK2として使用されることを特徴とする、上記1〜8の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
10.
A−B、A−B−A、(A−B)、(A−B)Xまたは(A−B−A)Xの構成を持つブロックコポリマーの形の少なくとも一種の合成ゴムがビニル芳香族ブロックコポリマーとして使用されることを特徴とする、上記1〜9の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
ただし、
− ブロックAは、互いに独立して、少なくとも一種のビニル芳香族化合物の重合によって形成されたポリマーを表し、
− ブロックBは、互いに独立して、炭素原子数4〜18の共役ジエンの重合によって形成されたポリマー、またはこのようなポリマーの部分水素化誘導体を表し、
− Xは、カップリング試薬または開始剤の残部を表し、そして
− nは≧2の整数を表す。
11.
ビニル芳香族化合物が、ブロックAの構成のために、スチレン、α−メチルスチレン及び/または他のスチレン誘導体、特に好ましくはスチレンを含むことを特徴とする、上記9または10に記載の感圧接着ストリップ。
12.
ブロックBのためのモノマーが、ブタジエン、イソプレン、エチルブタジエン、フェニルブタジエン、ピペリレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、エチルヘキサジエン及びジメチルブタジエン並びにこれらのモノマーの任意の混合物からなる群から選択されることを特徴とする、上記9〜11の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
13.
ビニル芳香族ブロックコポリマー、例えば特にスチレンブロックコポリマーの割合が、合計として自着剤層SK1またはSK2全体を基準にして、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、更に好ましくは少なくとも35重量%であり、かつ同時に、最大で75重量%、好ましくは最大で65重量%、とりわけ特に好ましくは最大で55重量%であることを特徴とする、上記1〜12の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
14.
自着剤層SK1及び/またはSK2が、ビニル芳香族ブロックコポリマー及び粘着樹脂をベースとして構成され、この際、好ましくは(樹脂の総割合をベースとして)少なくとも75重量%まで、0℃超、好ましくは10℃超のDACP(ジアセトンアルコール曇点)及び70℃以上、好ましくは100℃以上の軟化温度(環球式)を有する樹脂が選択されることを特徴とする、上記1〜13の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
15.
自着剤層の総重量を基準にして20〜60重量%の粘着樹脂、好ましくは自着剤層の総重量を基準にして30〜50重量%の粘着樹脂が、自着剤層SK1及び/またはSK2中に含まれることを特徴とする、上記14に記載の感圧接着ストリップ。
16.
粘着樹脂が、それの少なくとも75重量%まで炭化水素樹脂またはテルペン樹脂またはこれらの混合物であることを特徴とする、上記14または15に記載の感圧接着ストリップ。
17.
発泡自着剤層SK1及び/または発泡自着剤層SK2中のマイクロバルーンの割合が、それぞれ自着剤層の組成物全体を基準にして、12重量%まで、好ましくは0.25重量%と5重量%との間、より好ましくは0.5重量%と4重量%の間、更により好ましくは1重量%と3.5重量%との間、特に2.0〜3.0重量%であることを特徴とする、上記1〜16の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
18.
発泡自着剤層SK1及び/またはSK2、好ましくは両方の層SK1及びSK2中の、マイクロバルーンから形成された中空空間の平均径が、60〜100μm、より好ましくは70〜90μm、例えば80μmであることを特徴とする、上記1〜17の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
19.
自着剤層SK1及び/またはSK2が、以下の組成からなることを特徴とする、上記1〜18の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
−ビニル芳香族ブロックコポリマー 20〜75重量%
−粘着樹脂 24.6〜60重量%
−マイクロバルーン 0.2〜10重量%
−添加剤 0.2〜10重量%
20.
自着剤層SK1及び/またはSK2が、以下の組成からなることを特徴とする、上記1〜19の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
−ビニル芳香族ブロックコポリマー 35〜65重量%
−粘着樹脂 34.6〜45重量%
−マイクロバルーン 0.2〜10重量%
−添加剤 0.2〜10重量%
21
自着剤層SK1及び/またはSK2が、以下の組成からなることを特徴とする、上記1〜18の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
−ビニル芳香族ブロックコポリマー 30〜75重量%
−粘着樹脂 24.8〜60重量%
−マイクロバルーン 0.2〜10重量%
22.
発泡自着剤層SK1及び/またはSK2の絶対密度が、400〜990kg/m、好ましくは450〜900kg/m、より好ましくは500〜800kg/m、特に500〜750kg/m、例えば600〜700kg/mであり、及び/または相対密度が、0.35〜0.99、好ましくは0.45〜0.97、特に0.50〜0.90であることを特徴とする、上記1〜21の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
23.
フィルムキャリアが非伸張性であることを特徴とする、上記4〜22の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
24.
フィルムキャリアが伸張性であることを特徴とする、上記4〜22の何れか一つに記載の感圧接着ストリップ。
25.
特に蓄電池などの部材及び特にモバイルデバイス、例えば携帯電話などの電子デバイスの接着のための、上記1〜24の何れか一つに記載の感圧接着ストリップの使用。
図1
図2
図3
図4
図5