【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
本発明は、高反応性オレフィンポリマーを製造するための方法、ここで、該ポリマー鎖の少なくとも50モル%は、末端二重結合を有する、およびこれを達成するための新規の重合開始系に関する。
【0015】
即ち、本発明の要旨は、
[1]少なくとも50モル%のエキソ-オレフィン含量を有するポリブテンの調製のための方法であって、該方法は、
実質的または完全に無極性の重合媒体中で、イソブテンまたはイソブテン含有モノマー混合物を、酸素-および/または硫黄含有ルイス塩基と複合体化されたルイス酸触媒と接触させる工程、ならびに
開始剤を用いて、該イソブテンまたはイソブテン含有モノマー混合物の重合を開始させる工程
を含み、該ルイス酸触媒は、式MR"
mY
n
(式中、Mは、Al、Fe、Ga、Hf、ZrおよびWから選択される金属であり;R"は、ヒドロカルビル基であり;Yはハロゲンであり;mは、0または1〜5の整数であり;nは、1〜6の整数である、ただし、m+nは、金属Mの原子価と等しい)のルイス酸であり、該開始剤は、式RX
(式中、Xはハロゲンアニオン(halide)であり;Rは、安定なカルボカチオンを形成し得るヒドロカルビル基であり、基Xに対して基Rを連結する炭素は、第3級、ベンジルまたはアリルである)
の化合物であり、該ルイス酸および該ルイス塩基は、液体無極性非ハロゲン化脂肪族溶媒および液体芳香族溶媒から選択される溶媒中で複合体化される、方法、
[2]Mが、Al、GaまたはFeであり、R"が、C
1〜C
8アルキル基である、
前記[1]記載の方法、
[3]Mが、AlまたはFeである、前記[1]記載の方法、
[4]Yが、ClまたはBrである、前記[1]記載の方法、
[5]該ルイス塩基が、
非環式ジヒドロカルビルエーテル、ここで、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
12ヒドロカルビルから選択される、
5〜7員環基を有する塩基性環式エーテル、
ジヒドロカルビルケトン、ここで各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
12ヒドロカルビルから選択される、
C
1〜C
12脂肪族アルコール、
C
1〜C
12脂肪族アルデヒド、
非環式脂肪族エステル、ここで、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
12ヒドロカルビルから選択される、
5〜7員環基を有する環式脂肪族エステル、
ジアルキルスルフィド、ここで、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
12ヒドロカルビルから選択される、および
塩基性ジヒドロカルビルチオカルボニル化合物、ここで、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
12ヒドロカルビルから選択される、ならびに
それらの混合物
から選択される、前記[1]記載の方法、
[6]該ルイス塩基が、
非環式ジアルキルエーテル、ここで、各アルキル基は、独立して、C
1〜C
4アルキルから選択される、
5〜7員環基を有する環式エーテル、
塩基性ジアルキルケトン、ここで、各アルキル基は、独立して、C
1〜C
4アルキルから選択される、
C
1〜C
4脂肪族アルコール、
C
1〜C
4脂肪族アルデヒド、
非環式脂肪族エステル、ここで、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
4アルキルから選択される、
5〜7員環基を有する環式脂肪族エステル、
ジアルキルスルフィド、ここで、各アルキル基は、独立して、C
1〜C
4アルキルから選択される、および
ジアルキルチオカルボニル化合物、ここで、各アルキル基は、独立して、C
1〜C
4アルキルから選択される、ならびに
それらの混合物
から選択される、前記[5]記載の方法、
[7]該ルイス塩基が、ジヒドロカルビルエーテルまたはジヒドロカルビルケトンであり、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
8ヒドロカルビルから選択され、該ジヒドロカルビルエーテルルイス塩基の該ヒドロカルビル基の1つまたはそれぞれは、電子求引基で置換される、前記[5]記載の方法、
[8]該電子求引基がハロゲン原子である、前記[7]記載の方法、
[9]該ハロゲン原子が塩素である、前記[8]記載の方法、
[10]該ルイス塩基の該ヒドロカルビル基が、分岐または直鎖のC
1〜C
4アルキル基である、前記[5]記載の方法、
[11]該ルイス塩基の該ヒドロカルビル基が、分岐または直鎖のC
1〜C
4アルキル基である、前記[7]記載の方法、
[12]該溶媒が、液体無極性非ハロゲン化脂肪族溶媒であり、m≧1である、前記[1]記載の方法、
[13]該溶媒が、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエンおよびキシレンから選択される液体芳香族溶媒である、前記[1]記載の方法、
[14]該溶媒が、トルエンまたはキシレンである、前記[13]記載の方法、
[15]該無極性重合媒体が、飽和C
4炭化水素、不飽和C
4炭化水素およびそれらの混合物から選択される、前記[1]記載の方法、
[16]該イソブテンまたはイソブテン含有モノマー混合物が、
純粋なイソブテン;
約5%〜約50%のブテン-1、約2%〜約40%のブテン-2、約2%〜約60%のイソ-ブ
タン、約2%〜約20%のn-ブ
タンおよび約0.5%までのブタジエンを含むC
4精製所(refinery)カット、ここで、全てのパーセンテージは、C
4精製所カットの総質量に基づく質量による;ならびに
純粋なイソブテンおよび該C
4精製所カットの混合物
から選択される、前記[1]記載の方法、
[17]該複合体が、媒体1リットル当たり、約0.2mM〜約200mMのルイス酸-ルイス塩基複合体のミリモル濃度で、該イソブテンまたはイソブテン含有モノマーと接触される、前記[1]記載の方法、
[18]該ルイス酸および該ルイス塩基が、該ルイス酸を該溶媒中に溶解して溶液を形成し、次いで、該ルイス塩基を該溶液に添加することにより、複合体化される、前記[1]記載の方法、
[19]該溶媒が、キシレンおよびトルエンから選択され、該ルイス酸および該ルイス塩基が、該ルイス塩基を該溶媒中に溶解して溶液を形成し、次いで該ルイス酸を該溶液に添加することにより複合体化される、前記[14]記載の方法、
[20]重合プロセスが連続して実施される、前記[1]記載の方法、
[21]該ポリブテン生成物が、少なくとも70モル%のエキソ-オレフィン含量を有する、前記[1]記載の方法、
[22]実質的または完全に無極性の重合媒体中で、イソブテンまたはイソブテン含有モノマー混合物の重合を触媒して、少なくとも50モル%のエキソ-オレフィン含量を有するポリブテン生成物を提供するための触媒-開始剤系であって、該触媒が、酸素-および/または硫黄含有ルイス塩基と複合体化されたルイス酸触媒を含み、該ルイス酸触媒が、式MR"
mY
n
(式中、Mは、Al、Fe、Ga、Hf、ZrおよびWから選択される金属であり;R"はヒドロカルビル基であり;Yはハロゲンであり;mは、0または1〜5の整数であり;nは、1〜6の整数である、ただし、m+nは、金属Mの原子価と等しい)
のルイス酸であり、重合が、式RX
(式中、Xはハロゲンアニオンであり;Rは、安定なカルボカチオンを形成し得るヒドロカルビル基であり、基Xに対して基Rを連結する炭素が、第3級、ベンジルまたはアリルである)
の開始剤を介して開始され、該ルイス酸および該ルイス塩基が、液体無極性非ハロゲン化脂肪族溶媒および液体芳香族溶媒から選択される溶媒中で複合体化される、触媒-開始剤系、
[23]Mが、Al、GaまたはFeであり、R"が、C
1〜C
8アルキル基である、前記[22]記載の触媒-開始剤系、
[24]Mが、AlまたはFeである、前記[23]記載の触媒-開始剤系、
[25]Yが、ClまたはBrである、前記[22]記載の触媒-開始剤系、
[26]該ルイス塩基が、
非環式ジヒドロカルビルエーテル、ここで、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
12ヒドロカルビルから選択される、
5〜7員環基を有する塩基性環式エーテル、
ジヒドロカルビルケトン、ここで、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
12ヒドロカルビルから選択される、
C
1〜C
12脂肪族アルコール、
C
1〜C
12脂肪族アルデヒド、
非環式脂肪族エステル、ここで、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
12ヒドロカルビルから選択される、
5〜7員環基を有する環式脂肪族エステル、
ジアルキルスルフィド、ここで、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
12ヒドロカルビルから選択される、および
塩基性ジヒドロカルビルチオカルボニル化合物、ここで、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
12ヒドロカルビルから選択される、ならびに
それらの混合物
から選択される、前記[22]記載の触媒-開始剤系、
[27]該ルイス塩基が、
非環式ジアルキルエーテル、ここで各アルキル基は、独立して、C
1〜C
4アルキルから選択される、
5〜7員環基を有する環式エーテル、
塩基性ジアルキルケトン、ここで、各アルキル基は、独立して、C
1〜C
4アルキルから選択される、
C
1〜C
4脂肪族アルコール、
C
1〜C
4脂肪族アルデヒド、
非環式脂肪族エステル、ここで、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
4アルキルから選択される、
5〜7員環基を有する環式脂肪族エステル、
ジアルキルスルフィド、ここで、各アルキル基は、独立して、C
1〜C
4アルキルから選択される、および
ジアルキルチオカルボニル化合物、ここで、各アルキル基は、独立して、C
1〜C
4アルキルから選択される、ならびに
それらの混合物
から選択される、前記[26]記載の触媒-開始剤系、
[28]該ルイス塩基が、ジヒドロカルビルエーテルまたはジヒドロカルビルケトンであり、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
8ヒドロカルビルから選択され、該ジヒドロカルビルエーテルルイス塩基の該ヒドロカルビル基の1つまたはそれぞれは、電子求引基で置換される、前記[26]記載の触媒-開始剤系、
[29]該電子求引基がハロゲン原子である、前記[28]記載の触媒-開始剤系、
[30]該ハロゲン原子が塩素である、前記[29]記載の触媒-開始剤系、
[31]該ルイス塩基の該ヒドロカルビル基が、分岐または直鎖のC
1〜C
4アルキル基である、前記[28]記載の触媒-開始剤系、
[32]該ルイス塩基の該ヒドロカルビル基が、分岐または直鎖のC
1〜C
4アルキル基である、前記[30]記載の触媒-開始剤系、
[33]該溶媒が、液体無極性非ハロゲン化脂肪族溶媒であり、m≧1である、前記[22]記載の触媒-開始剤系、
[34]該溶媒が、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエンおよびキシレンから選択される液体芳香族溶媒である、前記[22]記載の触媒-開始剤系、
[35]該溶媒がトルエンまたはキシレンである、前記[34]記載の触媒-開始剤系、
[36]該ルイス酸および該ルイス塩基が、ルイス酸を溶媒に溶解して溶液を形成し、次いで該ルイス塩基を該溶液に添加することにより複合体化される、前記[22]記載の触媒-開始剤系、
[37]該溶媒が、ベンゼンおよびトルエンから選択され、該ルイス酸および該ルイス塩基が、ルイス塩基を該溶媒に溶解して溶液を形成し、次いで該ルイス酸を該溶液に添加することにより複合体化される、前記[22]記載の触媒-開始剤系、
[38]該ルイス酸が、MeAlCl
2、EtAlCl
2、イソ-BuAlCl
2およびn-BuAlCl
2から選択され;該ルイス塩基が、ジヒドロカルビルエーテルであり、ここで、各ヒドロカルビル基は、独立して、C
1〜C
8ヒドロカルビルから選択され、該ジヒドロカルビルエーテルルイス塩基の該ヒドロカルビル基の1つまたはそれぞれが、塩素で置換され;該溶媒が、ベンゼンおよびトルエンから選択され、該ルイス酸および該ルイス塩基が、ルイス塩基を該溶媒に溶解して溶液を形成し、次いで、複合体中のルイス酸 対 ルイス塩基のモル比が約1:1〜約1:1.7となる量で、該ルイス酸を該溶液に添加することにより複合体化される、前記[1]記載の方法、
[39]該ルイス酸が、MeAlCl
2、EtAlCl
2、イソ-BuAlCl
2およびn-BuAlCl
2から選択され;該ルイス塩基が、ジヒドロカルビルエーテルであり、ここで、各ヒドロカルビル基が、独立して、C
1〜C
8ヒドロカルビルから選択され、該ジヒドロカルビルエーテルルイス塩基の該ヒドロカルビル基の1つまたはそれぞれが、塩素で置換され;該溶媒が、ベンゼンおよびトルエンから選択され、該ルイス酸および該ルイス塩基が、該ルイス塩基を該溶媒に溶解して溶液を形成し、次いで、該複合体中のルイス酸 対 ルイス塩基のモル比が約1:1〜約1:1.7となる量で、該ルイス酸を該溶液に添加することにより複合体化される、前記[22]記載の触媒-開始剤系、
[40]該ルイス酸が、MeAlCl
2、EtAlCl
2、イソ-BuAlCl
2およびn-BuAlCl
2から選択され;該ルイス塩基がジヒドロカルビルケトンであり、ここで、各ヒドロカルビル基が、独立して、C
1〜C
8ヒドロカルビルから選択され、該ジヒドロカルビルケトンの該ヒドロカルビル基の1つまたはそれぞれが、塩素で置換され;該溶媒が、ベンゼンおよびトルエンから選択され、該ルイス酸およびルイス塩基が、ルイス塩基を該溶媒に溶解して溶液を形成し、次いで、複合体中のルイス酸 対 ルイス塩基のモル比が約1:1〜約1:1.7となる量で、該ルイス酸を該溶液に添加することにより複合体化される、前記[1]記載の方法、
[41]該ルイス酸が、MeAlCl
2、EtAlCl
2、イソ-BuAlCl
2およびn-BuAlCl
2から選択され;該ルイス塩基がジヒドロカルビルケトンであり、ここで、各ヒドロカルビル基が、独立して、C
1〜C
8ヒドロカルビルから選択され、該ジヒドロカルビルケトンの該ヒドロカルビル基の1つまたはそれぞれが、塩素で置換され;該溶媒が、ベンゼンおよびトルエンから選択され、該ルイス酸および該ルイス塩基が、該ルイス塩基を該溶媒に溶解して溶液を形成し、次いで、該複合体中のルイス酸 対 ルイス塩基のモル比が約1:1〜約1:1.7となる量で、該ルイス酸を該溶液に添加することにより複合体化される、前記[22]記載の触媒-開始剤系
に関する。