特許第6532709号(P6532709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6532709走行支援システム、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6532709
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】走行支援システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20190610BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20190610BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20190610BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20190610BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
   G08G1/00 D
   G08G1/16 C
   G01C21/34
   G09B29/00 F
   G09B29/10 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-46002(P2015-46002)
(22)【出願日】2015年3月9日
(65)【公開番号】特開2016-167133(P2016-167133A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2017年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100117466
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 渉
(72)【発明者】
【氏名】宮島 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】小栗 春紀
【審査官】 田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/157359(WO,A1)
【文献】 特開2011−227833(JP,A)
【文献】 特開2014−199616(JP,A)
【文献】 特開2014−191774(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/004538(WO,A1)
【文献】 特開2010−112732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
G09B 23/00 − 29/14
B60R 21/00 − 21/13
B60R 21/34 − 21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において過去に減速が行われた減速地点を記録媒体に記録するとともに、前記減速地点において前記車両で前記減速が行われ、かつ、前記減速が行われた回数が所定の基準より多い場合に、学習条件を満たしたと判定し、前記学習条件を満たした前記減速地点を学習地点として前記記録媒体に記録する地点記録手段と、
表示部に表示された地図上に、前記学習地点を第1態様によって表示するとともに、前記車両が現在地の前方において今回の走行で通過すると予想される前記学習地点は第2態様によって表示し、前記今回の走行において前記車両で前記減速が行われ、かつ、前記減速が行われることによって、前記学習条件を満たす前記減速地点を第3態様によって前記地図上に表示する、表示制御手段と、
を備える走行支援システム。
【請求項2】
前記表示制御手段は、
前記車両の推定走行経路を取得し、前記推定走行経路上の前記学習地点を前記今回の走行で通過すると予想する、
請求項1に記載の走行支援システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
前記車両の推定走行経路を取得し、前記推定走行経路上の前記減速地点について、前記今回の走行において前記学習条件を満たすか否か判定する、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の走行支援システム。
【請求項4】
車両において過去に減速が行われた減速地点を記録媒体に記録するとともに、前記減速地点において前記車両で前記減速が行われ、かつ、前記減速が行われた回数が所定の基準より多い場合に、学習条件を満たしたと判定し、前記学習条件を満たした前記減速地点を学習地点として前記記録媒体に記録する地点記録工程と、
表示部に表示された地図上に、前記学習地点を第1態様によって表示するとともに、前記車両が現在地の前方において今回の走行で通過すると予想される前記学習地点は第2態様によって表示し、前記今回の走行において前記車両で前記減速が行われ、かつ、前記減速が行われることによって、前記学習条件を満たす前記減速地点を第3態様によって前記地図上に表示する、表示制御工程と、
を含む走行支援方法。
【請求項5】
車両において過去に減速が行われた減速地点を記録媒体に記録するとともに、前記減速地点において前記車両で前記減速が行われ、かつ、前記減速が行われた回数が所定の基準より多い場合に、学習条件を満たしたと判定し、前記学習条件を満たした前記減速地点を学習地点として前記記録媒体に記録する地点記録機能と、
表示部に表示された地図上に、前記学習地点を第1態様によって表示するとともに、前記車両が現在地の前方において今回の走行で通過すると予想される前記学習地点は第2態様によって表示し、前記今回の走行において前記車両で前記減速が行われ、かつ、前記減速が行われることによって、前記学習条件を満たす前記減速地点を第3態様によって前記地図上に表示する、表示制御機能と、
をコンピュータに実現させる走行支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援を行う走行支援システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両運転中の操作内容を学習する技術が知られている。例えば、特許文献1においては、車両の操作態様を検出し、操作態様に関する情報を交通情報に関連づけて学習する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−227833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術のように、運転中の操作内容を学習する構成においては、学習を反映した制御を行う過程等において、学習結果を地図上に表示することが好ましい。しかし、単に学習地点を地図上に表示する構成であると、学習地点の数が多大になった場合において、地図や学習地点の視認性が低下してしまう。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、地図上に学習地点をわかりやすく表示させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、走行支援システムは、車両において過去に減速が行われた減速地点を記録媒体に記録するとともに、学習条件を満たした減速地点を学習地点として記録媒体に記録する地点記録手段と、表示部に表示された地図上に、学習地点を第1態様によって表示するとともに、車両が今回の走行で通過すると予想される学習地点は第2態様によって表示する、表示制御手段と、を備える。
【0006】
また、上記の目的を達成するため、走行支援方法は、車両において過去に減速が行われた減速地点を記録媒体に記録するとともに、学習条件を満たした減速地点を学習地点として記録媒体に記録する地点記録工程と、表示部に表示された地図上に、学習地点を第1態様によって表示するとともに、車両が今回の走行で通過すると予想される学習地点は第2態様によって表示する、表示制御工程と、を含むように構成される。
【0007】
さらに、上記の目的を達成するため、走行支援プログラムは、車両において過去に減速が行われた減速地点を記録媒体に記録するとともに、学習条件を満たした減速地点を学習地点として記録媒体に記録する地点記録機能と、表示部に表示された地図上に、学習地点を第1態様によって表示するとともに、車両が今回の走行で通過すると予想される学習地点は第2態様によって表示する、表示制御機能と、をコンピュータに実現させるように構成される。
【0008】
以上のように、走行支援システム、方法、プログラムは、今回の走行で通過すると予想される学習地点と他の学習地点とを異なる態様で表示する。すなわち、利用者は、今回の走行で通過する学習地点に関心が高く、他の学習地点は相対的に関心が低い。そこで、今回の走行で通過すると予想される学習地点と他の学習地点とが異なる態様で表示されることにより、利用者の関心に応じたわかりやすい状態で地図上に学習地点を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】走行支援システムを含むナビゲーションシステムを示すブロック図である。
図2】地点表示処理を示すフローチャートである。
図3】(3A)(3B)は地図表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーションシステムの構成:
(2)地点表示処理:
(3)他の実施形態:
【0011】
(1)ナビゲーションシステムの構成:
図1は、車両に搭載された走行支援システムの構成を示すブロック図である。本実施形態において走行支援システムは、ナビゲーションシステム10によって実現される。ナビゲーションシステム10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20を備えており、ROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラムを実行可能である。当該ナビゲーションプログラムは、現在地から利用者の指示した目的地まで到達するための走行経路を探索する機能を制御部20に実現させるプログラムである。さらに、当該ナビゲーションプログラムは、ナビゲーションシステムの表示部に車両の現在地が含まれる地図を表示し、運転者を目的地まで走行経路に沿って車両を案内する機能を制御部20に実現させるプログラムである。当該ナビゲーションプログラムは、走行過程で利用される各種のプログラムを備えており、本実施形態においては、過去に減速された地点を学習し、学習された地点で車両を減速させる制御を行う走行支援プログラム21が含まれている。
【0012】
本実施形態にかかる車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とブレーキセンサ44とユーザI/F部45と変速機46とエンジン(内燃機関)46とを備えている。本実施形態にかかる車両はエンジン47によって駆動される車両であり、エンジン47によって生成されたトルクはトルクコンバータを介して変速機46に伝達される。本実施形態においては、トルクコンバータから変速機46へのトルクの伝達率をクラッチによって調整することができる。すなわち、制御部20がクラッチに対して制御信号を出力するとクラッチが駆動され、トルクコンバータの出力軸と変速機46の入力軸との結合の程度を調整することができる。本実施形態において制御部20は、クラッチに対して制御信号を出力することにより、トルクコンバータから変速機46にトルクが伝達されない状態(エンジンと車輪との間で動力が伝達されない状態:完全解放状態)と最大限のトルクが伝達される状態(完全結合状態)と予め決められたトルクを伝達する状態(既定トルク伝達状態)とのいずれかに設定することができる。
【0013】
なお、既定トルク伝達状態は、例えば、トルクコンバータの出力軸に連動する円盤と変速機46の入力軸に連動する円盤との摩擦によって各軸の回転の連動性を制御するクラッチにおいて、各円盤が滑りながらトルクを伝達する状態である。本実施形態においては、完全結合状態と規定トルク伝達状態は、エンジンと車輪との間で動力が伝達される状態である。さらに、変速機46は図示しないシフトレバーを備えており、運転者はシフトレバーを操作することによって前進時の変速比にするシフトレンジ(本実施形態においては前進時に自動で変速比の変更を行うドライブレンジ。特定の変速比に設定するレンジ等であってもよい)やクラッチを完全解放状態にするシフトレンジ(ニュートラルレンジ)や後進時の変速比にするシフトレンジ(リバースレンジ)などの既定のレンジを選択することが可能である。
【0014】
また、制御部20は、変速機46に対して制御信号を出力することにより、シフトレンジを変化させることができ、変速機46からの出力信号に基づいて現在の変速比を取得することができる。本実施形態において制御部20は、変速機46に対して制御信号を出力することで車両に減速力を作用させる減速制御を実行することができる。すなわち、制御部20が変速機46に制御信号を出力してシフトレンジをドライブレンジにするとともに、エンジン47に制御信号を出力して燃料供給を停止すると、車両に搭載されたエンジンと車輪との間で動力が伝達され、かつエンジンに対する燃料供給が停止された状態となり、車両に対してエンジンブレーキが作用する。
【0015】
さらに、本実施形態にかかる車両は、図示しないブレーキペダルを操作することによって車両に対して減速力を作用させることが可能であり、ブレーキセンサ44は、当該ブレーキペダルに対する操作の有無を示す信号を出力する。制御部20は、当該信号に基づいてブレーキペダルが操作されているか否かを特定する。
【0016】
GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在地を算出するための信号を出力する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。制御部20は、車速センサ42およびジャイロセンサ43等の出力信号に基づいて車両の走行軌跡を特定することで車両の現在地を取得する。GPS受信部41の出力信号は、車速センサ42およびジャイロセンサ43等から特定される車両の現在地を補正するなどのために利用される。
【0017】
ユーザI/F部45は、ユーザに各種の情報を提供し、またはユーザの指示を入力するためのインタフェース部であり、本実施形態においては図示しないタッチパネルディスプレイからなる表示部と音声を出力するスピーカーを備えている。制御部20は、当該ユーザI/F部45に対して制御信号を出力して任意の画像を表示部に表示させ、任意の音声をスピーカーから出力させる。また、制御部20は、ユーザI/F部45の出力信号に基づいて利用者の指示内容を特定する。
【0018】
記録媒体30には地図情報30aが記録されている。地図情報30aは、車両が走行する道路の端点(交差点)に対応するノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ等を含んでいる。また、ノードデータには、リンクデータには道路の属性(高速道路、一般道路等)を示す情報が対応づけられている。
【0019】
さらに、記録媒体30には、ナビゲーションシステム10の運用過程において、減速地点情報30bおよび学習地点情報30cが記録され得る。減速地点情報30bは、車両が減速された地点を示す情報であり、車両の車速が減少していって所定値よりも小さくなった地点を示す情報である。学習地点情報30cは、学習地点を示す情報であり、本実施形態においては、減速地点の中で学習条件を満たした地点が学習地点とされる。
【0020】
制御部20は、ナビゲーションプログラムに含まれる走行支援プログラム21を実行することにより、ユーザI/F部45の表示部に学習地点を表示する。この処理を実行するため、走行支援プログラム21は、地点記録部21aと表示制御部21bを備えている。また、走行支援プログラム21は、減速制御を行うための減速制御部21cを備えている。
【0021】
地点記録部21aは、車両において過去に減速が行われた減速地点を記録媒体に記録するとともに、学習条件を満たした減速地点を学習地点として記録媒体に記録する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、車速センサ42の出力信号等に基づいて車両の車速を監視しており、車両の車速が所定の閾値より小さくなった場合に、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて現在地を取得する。そして、当該現在地を減速地点と見なし、減速地点を示す減速地点情報30bを記録媒体30に記録する。なお、記録媒体30に減速地点が記録された後においては、減速地点情報30bが示す減速地点を通過した回数および減速された回数も減速地点情報30bに対応づけられる。
【0022】
すなわち、制御部20は、新規な減速地点を示す減速地点情報30bが記録媒体30に記録されると、その後、制御部20は、減速が行われたか否かに関わらず減速地点情報30bが示す減速地点の通過回数をカウントする。また、制御部20は、車両の車速が所定の閾値より小さくなった場合、当該車速が所定の閾値より小さくなった地点が既存の減速地点から所定距離以内に存在するならば、当該地点と既存の減速地点は同一であると見なす。そして、制御部20は、当該減速回数を1増加させる。制御部20は、このようにしてカウントされた通過回数と減速回数を減速地点情報30bが示す減速地点と対応づける。
【0023】
さらに、制御部20は、地点記録部21aの処理により、学習条件を満たした減速地点を学習地点とし、学習地点を示す学習地点情報30cを記録媒体30に記録する。本実施形態においては、同一地点と見なせる減速地点において、車両で減速が行われ、かつ、減速が行われた回数が所定の基準より多い場合に、地点記録手段が学習条件を満たしたと判定する。具体的には、制御部20は、減速地点情報30bが示す各減速地点についての減速回数、通過回数を取得し、(減速回数/通過回数)が予め決められた閾値より大きい場合に当該減速地点が学習地点を満たすと判定する。そして、当該減速地点の位置を示す情報を学習地点情報30cとして記録媒体30に記録することにより、当該減速地点を学習地点とする。
【0024】
表示制御部21bは、表示部に表示された地図上に、学習地点を第1態様によって表示するとともに、車両が今回の走行で通過すると予想される学習地点は第2態様によって表示する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在地を取得し、地図情報30aを参照して車両の現在地の周辺の地図を示す画像情報を生成する。そして、制御部20は、当該画像情報をユーザI/F部45の表示部に出力することにより、車両の現在地の周辺の地図を表示部に表示させる。
【0025】
この状態において、制御部20は、さらに、ユーザI/F部45の表示部に地図上の学習地点を表示させる。本実施形態において制御部20は、当該地図に含まれる全ての学習地点を第1態様で表示する。さらに、制御部20は、推定走行経路上の学習地点を今回の走行で通過する学習地点であると予想し、当該学習地点は第1態様で表示せず、第2態様で表示する。なお、本実施形態において制御部20は、車両から前方に道路沿いに所定距離だけ進んだ範囲を推定走行経路と見なす。また、本実施形態において制御部20は、第2態様は第1態様よりも学習地点を強調する表示である。
【0026】
従って、本実施形態において制御部20は、地図上に第1態様で学習地点を表示するとともに、車両が近づいた学習地点を第2態様で強調表示することになる。すなわち、利用者は、今回の走行で通過する学習地点に関心が高く、他の学習地点は相対的に関心が低いと考えられる。そこで、制御部20は、今回の走行で通過すると予想される、車両が近づいた学習地点を第2態様で表示し、第1態様で表示される他の学習地点と区別できるように表示態様を制御する。この結果、利用者の関心に応じたわかりやすい状態で地図上に学習地点を表示することができる。
【0027】
減速制御部21cは、減速地点において車速を所定の閾値より小さくなるように車両に対して減速力を作用させる機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在地を取得し、学習地点情報30cを参照して現在地の前方の道路上において現在地から既定の距離以内の位置に学習地点が存在するか否かを判定する。
【0028】
現在地の前方の道路上において現在地から既定の距離以内の位置に学習地点が存在すると判定された場合、制御部20は、減速地点を特定する際に参照された所定の閾値と同じ車速値を学習地点における目標車速とする。また、制御部20は、車速センサ42の出力信号に基づいて現在車速を監視し、現在車速から所定の減速度(負の加速度)で減速した場合に学習地点で車速を所定の閾値とするために必要な距離を、例えば、等加速度減速運動等を仮定することによって、特定する。
【0029】
そして、制御部20は、車両が学習地点から当該距離だけ進行方向後方の地点に達すると、変速機46およびエンジン47に対して制御信号を出力し、所定の減速度を車両に対して作用させる。この結果、学習地点において車両の車速が所定の閾値以下となるように車両に対しする減速制御が行われる。なお、以上のように、学習地点は減速制御が行われる地点であるため、本実施形態は、制御部20が、今回の走行で減速制御が行われると予想される学習地点を第2態様で表示させる構成であると見なすこともできる。
【0030】
(2)地点表示処理:
次に、地点表示処理について詳細に説明する。図2は、地点表示処理のフローチャートであり、本実施形態において制御部20は、所定期間毎(例えば、100ms毎)に表示制御部21bの処理により、地点表示処理を実行する。本実施形態においては、学習地点の他に一部の減速地点も表示するように構成されている。ただし、減速地点は学習地点よりも多数であるため、地図の視認性を低下させないように、利用者の関心が高い減速地点を表示するように構成されている。
【0031】
地点表示処理において制御部20は、ステップS100〜S130において減速地点を表示するための処理を行う。このために、まず、制御部20は、推定走行経路を取得する(ステップS100)。ただし、本実施形態において、表示対象の減速地点を決定するために参照される推定走行経路は、第2態様で表示する学習地点を決定するために参照される推定走行経路と異なっている。
【0032】
具体的には、第2態様で表示する学習地点を決定するために参照される推定走行経路は、上述のように、車両から前方に道路沿いに所定距離だけ進んだ範囲の道路である。一方、表示対象の減速地点を決定するために参照される推定走行経路は、目的地までの走行経路または道なり経路である。そこで、制御部20は、ステップS100において、目的地までの走行経路が探索済であるか否かを判定し、探索済である場合、当該走行経路を推定走行経路として取得する。目的地までの走行経路が探索済であると判定されない場合、制御部20は、車両が走行している道路を道なりに走行した場合の道なり経路を推定走行経路として取得する。
【0033】
道なり経路は各種の定義が可能であり、例えば、制御部20が、地図情報30aを参照し、車両が現在走行中の道路と道路属性が同一である道路を選択することによって道なり経路を選択する構成や、車両の進行方向が直進方向に最も近い道路を道なり経路として選択する構成等を採用可能である。なお、道なり経路が取得される場合、制御部20は、車両の現在地から前方に特定の距離までの道路を道なり経路として取得する。図3Aは、ユーザI/F部45の表示部に表示される地図の例を示す図であり、細い線で道路、太い線で走行経路を示している。この例においては、走行経路が設定済であるため、制御部20は、車両Cの前方に延びる走行経路を推定走行経路として取得することになる。
【0034】
次に、制御部20は、推定走行経路上の減速地点を着目地点として取得する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、減速地点情報30bを参照し、推定走行経路上の地点を示した情報が含まれる場合にその地点を示す情報を取得する。さらに、制御部20は、取得された減速地点の中から、ステップS105〜S125のループ処理において、着目対象とされていない減速地点を1個選択し、着目地点として取得する。なお、推定走行経路上に減速地点が存在しない場合、制御部20は、ステップS105〜S125をスキップする。
【0035】
次に、制御部20は、着目地点の通過回数Nおよび減速回数Sを取得する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、着目地点とされた減速地点の情報を減速地点情報30bから取得し、通過回数Nおよび減速地点Sを特定する。次に、制御部20は、(S+1)/(N+1)が予め決められた閾値(学習条件としての閾値)より大きいか否かを判定する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、減速回数および通過回数に1を加えた場合における減速回数S/通過回数Nが、学習条件としての閾値を超えるか否かを判定する。これにより、制御部20は、着目地点が、今回の走行において車両で減速が行われ、かつ、減速が行われることによって、学習条件を満たすようになる減速地点であるか否かを判定している。
【0036】
ステップS115において、(S+1)/(N+1)が予め決められた閾値より大きいと判定された場合、すなわち、今回の走行において車両で減速が行われ、かつ、減速が行われることによって、学習条件を満たす場合、制御部20は、着目地点を表示対象の減速地点に設定する(ステップS120)。一方、ステップS115において、(S+1)/(N+1)が予め決められた閾値より大きいと判定されない場合、制御部20は、ステップS120をスキップする。
【0037】
次に、制御部20は、推定走行経路上の全減速地点についてステップS105〜S120の処理が終了したか否かを判定し(ステップS125)、推定走行経路上の全減速地点についてステップS105〜S120の処理が終了したと判定されるまでステップS105以降の処理を繰り返す。
【0038】
ステップS125において、推定走行経路上の全減速地点についてステップS105〜S120の処理が終了したと判定された場合、制御部20は、表示対象の減速地点を第3態様で表示する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、表示対象の減速地点の地図上での表示位置を特定する。また、制御部20は、当該表示位置に対して第1態様および第2態様(第1,第2態様について詳細は後述)と異なる第3態様のアイコンを表示させるための制御信号をユーザI/F部45の表示部に対して出力する。この結果、表示対象の減速地点が地図上で第3態様にて表示される。
【0039】
図3Aにおいては、第3態様が星の形である場合の例を示している。第3態様で表示される減速地点は、推定走行経路上(この場合走行予定経路上)であるため、図3Aに示す例においては、太い線で示す目的地までの走行経路上に星の形のアイコンが表示されることで減速地点が示されている。このようなアイコンが表示されることにより、利用者は、今回の走行において車両で減速が行われ、かつ、減速が行われることによって、学習条件を満たすようになる減速地点を認識することができる。従って、星形のアイコンで示された減速地点において、今回も減速を行えば、次回からは当該減速地点が学習地点となり、自動で減速制御が行われると認識することが可能である。
【0040】
なお、本実施形態において制御部20は、推定走行経路上の減速地点について、今回の走行において学習条件を満たすか否かを判定している。従って、多数の減速地点を示す減速地点情報30bが記録媒体30に記録されている状態であっても、判定対象の減速地点を容易に特定することができる。
【0041】
次に、制御部20は、学習地点を第1態様で表示する(ステップS135)。すなわち、制御部20は、学習地点情報30cを参照し、ユーザI/F部45の表示部に表示中の地図に含まれる学習地点を表示対象として抽出する。また、制御部20は、地図情報30aを参照し、表示対象の学習地点を表示部の地図上に表示する際の表示位置を特定する。そして、制御部20は、当該表示位置に対して第2態様および第3態様と異なる第1態様のアイコンを表示させるための制御信号をユーザI/F部45の表示部に対して出力する。この結果、表示対象の学習地点が地図上で第1態様にて表示される。
【0042】
図3Aにおいては、第1態様が白い円形である場合の例を示している。本実施形態において、第1態様で表示される学習地点は、走行予定経路上に限定されていないため、図3Aに示す例においては、地図上の各所に白い円形のアイコンが表示されることで学習地点が示されている。このようなアイコンが表示されることにより、利用者は、今回の走行において到達する場合に減速制御が行われる地点を認識することが可能である。
【0043】
次に、制御部20は、車両が学習地点に接近したか否かを判定する(ステップS140)。すなわち、本実施形態において制御部20は、車両から前方に道路沿いに所定距離だけ進んだ範囲を今回の走行で通過すると予想し(推定走行経路であるとみなし)、当該道路上の学習地点を第2態様で表示する。そこで、制御部20は、ステップS140において、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在地を取得する。また、制御部20は、地図情報30aを参照し、当該現在地から進行方向前方に道路沿いに所定距離だけ進んだ範囲に、学習地点が存在するか否かを判定する。そして、当該羽仁に学習地点が存在する場合に、制御部20は、学習地点に接近したと判定する。
【0044】
ステップS140において、車両が学習地点に接近したと判定された場合、制御部20は、学習地点を第2態様で表示する(ステップS145)。すなわち、制御部20は、学習地点情報30cを参照し、車両が接近していると判定された学習地点を表示対象として抽出する。また、制御部20は、地図情報30aを参照し、表示対象の学習地点を表示部の地図上に表示する際の表示位置を特定する。そして、制御部20は、当該表示位置に対して第1態様および第3態様と異なる第2態様のアイコンを表示させるための制御信号をユーザI/F部45の表示部に対して出力する。この結果、表示対象の学習地点が地図上で第2態様にて表示される。
【0045】
図3Bにおいては、図3Aの後に車両Cが学習地点に所定距離Lの地点に接近した場合の例を示している。この例において、第2態様は第1態様よりも大きい白い円形である。このようなアイコンが表示されることにより、利用者は、次の減速制御の対象となる地点を認識することが可能である。
【0046】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、今回の走行で通過すると予想される学習地点と他の学習地点とを異なる態様で表示する限りにおいて、他にも種々の構成を採用可能である。例えば、ナビゲーションシステム10は、車両に固定的に搭載されていても良いし、持ち運び可能なナビゲーションシステム10が車両内に持ち込まれて利用される態様であっても良い。また、地点記録部21a、表示制御部21b、減速制御部21cの機能の少なくとも一部が他の制御主体(例えば、通信を介して接続される他のサーバや走行支援ECU等)で実現されても良い。
【0047】
さらに、第1態様および第2態様での表示対象が上述の実施形態と異なっていても良い。例えば、推定走行経路上の学習地点のみが第1態様で表示され、今回の走行で通過することが第1態様で表示された学習地点より確実である場合(例えば、近づいた場合)に第2態様で表示されるような構成であっても良い。
【0048】
地点記録手段は、車両において過去に減速が行われた減速地点を記録媒体に記録するとともに、学習条件を満たした減速地点を学習地点として記録媒体に記録することができればよい。すなわち、地点記録手段は、減速が行われた減速地点を随時記録していく。一方、同一と見なせる減速地点(例えば、所定距離以内に存在する減速地点)が学習条件を満たした場合、地点記録手段は、当該同一と見なせる減速地点を1個の学習地点として学習する。
【0049】
減速地点と学習地点とは、少なくとも各地点を特定できるように記録媒体に記録されていれば良く、各地点の位置を示す情報が記録媒体に記録される。むろん、他の情報、例えば、学習条件を満たしたか否かの判定要素となる情報や、減速が行われた場合の車両における運転操作内容や動作(車速や加速度等)を示す情報等が対応づけられていてもよい。減速地点は、減速が行われた地点を示していれば良く、例えば、減速開始地点、減速終了地点のいずれかまたは双方を減速地点として記録媒体に記録する構成等を採用可能である。さらに、減速地点は、減速が行われた地点であれば良いが、減速の度合いや減速後の車両の動作が特定の状態である場合にのみ減速地点とされる構成であっても良い。例えば、所定の閾値より小さい車速まで減速された地点を減速地点とする構成等を採用可能である。
【0050】
学習地点は、学習条件を満たした減速地点であれば良く、学習条件としては、種々の条件を想定することができる。例えば、減速が行われた頻度が他の地点より相対的に高い場合に学習条件を満たしたと見なす構成等を採用可能である。頻度を評価するためには、種々の手法を採用可能である。例えば、同一地点と見なせる減速地点において、車両で減速が行われ、かつ、減速が行われた回数が所定の基準より多い場合に、地点記録手段が学習条件を満たしたと判定する構成を採用してもよい。この場合、回数についての所定の基準は回数が統計的に多いか否かを判定するための基準であれば良い。例えば、減速が行われた回数が予め決められた閾値より多い場合に、所定の基準より多いと判定されても良いし、(減速が行われた回数/減速地点の通過回数)が予め決められた閾値より大きい場合に、所定の基準より多いと判定されても良い。
【0051】
表示制御手段は、表示部に表示された地図上に、学習地点を第1態様によって表示するとともに、車両が今回の走行で通過すると予想される学習地点は第2態様によって表示することができればよい。すなわち、表示制御手段は、地図上に学習地点を表示するにあたり、今回の走行で通過すると予想される学習地点の表示態様と、通過すると予想されない学習地点の表示態様とを異なる態様とする。
【0052】
地図上に学習地点を表示する際には、利用者が地点を認識することができるように表示が行われれば良く、例えば、地図上の学習地点または学習地点の近傍に学習地点を示すアイコンを表示する構成等を採用可能である。第1態様と第2態様は異なった態様であり、両者が異なっていることによって利用者が両者を区別可能であれば良い。例えば、アイコンによって学習地点を表示する場合であれば、アイコンの形状や色、大きさ等が異なっていれば良い。なお、利用者が、今回の走行で通過すると予想される学習地点に対して、他の学習地点よりも関心が強いのであれば、前者の学習地点の態様である第2態様を第1態様よりも強調する態様とすることが好ましい。
【0053】
今回の走行で学習地点を通過するか否かは、種々の手法で予想することが可能であり、例えば、表示制御手段が、車両の推定走行経路を取得し、推定走行経路上の学習地点を今回の走行で通過すると予想する構成を採用可能である。推定走行経路は、種々の手法で特定可能である。例えば、表示制御手段が、車両の現在地から前方に道路沿いに所定距離だけ進んだ範囲を推定走行経路と見なしても良い。また、予め利用者の指示等によって目的地までの走行経路が探索済である場合、表示制御手段が、当該走行経路を推定走行経路と見なす構成等を採用可能である。走行経路が探索済でない場合、表示制御手段が、車両が走行中の道路を道なりに走行する経路を推定走行経路とする構成を採用してもよい。
【0054】
道なりに走行する経路は、種々の要素で定義可能であり、例えば、利用者の過去の走行履歴や道路の属性、進行方向等が要素としてあげられる。より具体的には、利用者の過去の走行履歴に基づいて相対的に高い頻度で走行している経路が特定される場合、表示制御手段が、当該経路を道なりに走行する経路とする構成を採用可能である。また、表示制御手段が、道路に対応づけられた番号や道路種別が共通の道路を道なりに走行する経路上の道路であると見なす構成を採用可能である。さらに、表示制御手段が、車両の進行方向が直進方向に近い経路を、道なりに走行する経路とみなす構成等を採用可能である。
【0055】
なお、道なりに走行する経路を定義するための要素が複数個存在する場合、表示制御手段が、これらの要素を組み合わせて道なりに走行する経路を定義しても良いし、これらの要素に予め優先度を対応づけておき、表示制御手段が、優先度の順に各要素を検討して道なりに走行する経路を特定しても良い。
【0056】
さらに、減速地点を表示部に表示する構成が採用されていてもよい。減速地点は多数であるため、その一部が表示されることが好ましく、例えば、今回の走行において、車両で減速が行われ、かつ、減速が行われることによって、学習条件を満たす減速地点を、表示制御手段が第3態様によって地図上に表示する構成を採用してもよい。すなわち、今回の走行において減速が行われると、学習地点となるような減速地点が地図上に表示される。この構成によれば、減速地点の中でも特に利用者の関心が強い地点が地図上に表示される。なお、第3態様は、第1態様および第2態様と異なる態様であれば良く、この結果、学習地点と減速地点とが区別される構成であれば良い。
【0057】
さらに、この場合、表示制御手段が、車両の推定走行経路を取得し、推定走行経路上の減速地点について、今回の走行において、前記学習条件を満たすか否か判定する構成を採用してもよい。すなわち、今回の走行によって減速地点が学習条件を満たすか否かを当該減速地点に到達する前に判定するためには、事前に減速地点が特定されている必要がある。そこで、推定走行経路上の減速地点を判定対象とすれば、多数の減速地点が記録媒体に記録されている状態であっても、判定対象の減速地点を容易に特定することができる。なお、推定走行経路は、上述のように、車両から前方に道路沿いに所定距離だけ進んだ範囲の道路であっても良いし、探索済の走行経路や道なりに走行する経路等によって定義されても良い。
【0058】
さらに、本発明のように今回の走行で通過すると予想される学習地点と他の学習地点とを異なる態様で表示する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーションシステムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0059】
10…ナビゲーションシステム、20…制御部、21…走行支援プログラム、21a…地点記録部、21b…表示制御部、21c…減速制御部、30…記録媒体、30a…地図情報、30b…減速地点情報、30c…学習地点情報、41…GPS受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…ブレーキセンサ、45…ユーザI/F部、46…変速機、47…エンジン
図1
図2
図3