【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 A.展示 展示会名 2018春タカラトミーキャラクター発表会(東京) 展示日 平成30年1月30日 B.電気通信回線を通じた発表 掲載アドレス http://www.takaratomy.co.jp/product_release/pdf/p180130.pdf 掲載年月日 平成30年1月30日 C.配布 配布場所 2018春タカラトミーキャラクター発表会(東京) 東京都台東区浅草橋1−22−16 ヒューリック浅草橋ビル2Fホール 配布日 平成30年1月30日 D.展示 展示会名 2018春タカラトミーキャラクター発表会(大阪) 展示日 平成30年2月2日 E.配布 配布場所 2018春タカラトミーキャラクター発表会(大阪) 大阪府大阪市淀川区宮原1丁目6番1 新大阪ブリックビル 3F 配布日 平成30年2月2日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の一実施形態に係る発音玩具を図面に基づき説明する。この実施形態の発音玩具は、テレビ番組に登場するヒロイン達になりきる、いわゆる「なりきり遊び」を行う機能を有している。この実施形態で例示する「なりきり遊び」では、少なくともヒロイン達の変身場面を再現する。
【0016】
図1は、この発明の実施形態における発音玩具の蓋部を開放位置にした状態の斜視図である。
図2は、この発明の実施形態における発音玩具の蓋部を閉塞位置にした状態の斜視図である。
図3は、この発明の実施形態における玩具本体の概略構成を示すブロック図である。
図4は、この発明の実施形態におけるチップ部材の平面図である。
図5は、この発明の実施形態におけるチップ部材の側面図である。
図6は、この発明の実施形態における発音玩具の側面図である。
【0017】
図1、
図2に示すように、この実施形態の発音玩具100は、一般に「コンパクト」と称される携帯用の鏡付き容器を模している。この発音玩具100は、予め用意された複数種類のチップ部材200(
図4、
図5参照)のうち、一つのチップ部材200(
図4、
図5参照)を接近させると、そのチップ部材200の種類に応じた発音や発光等の動作を行う。なお、この実施形態で例示する発音玩具100は、番組設定上の「マジョカポルテ」と称する装備を模したものである。さらに、チップ部材200は、番組設定上の「マジョカジュエル」と称する装備を模したものである。発音玩具100は、玩具本体1と、蓋部2と、ヒンジ部3と、を備えている。
【0018】
図1から
図3に示すように、玩具本体1は、タグリーダ部11と、動作出力部12と、記憶部13と、制御部14と、筐体部15と、モード選択部16と、蓋位置検出部17と、押しボタン部18と、を主に備えている。また、
図4、
図5に示すように、チップ部材200は、ICタグ41と、ベース部材42と、を備えている。
【0019】
タグリーダ部11は、チップ部材200のICタグ41と共に、RFID(radio frequency identifier)システムを構成する。タグリーダ部11は、ICタグ41と無線通信を行ってICタグ41の識別情報IDを取得可能である。この実施形態におけるRFIDシステムは、ICタグ41用の電池を必要としないパッシブ型である。
【0020】
図3に示すように、タグリーダ部11は、ICタグ41に対して識別情報IDの送信要求として電磁波Wを出力する。ここで、ICタグ41は、タグリーダ部11から出力された電磁波Wを電力に変換して起動する。ICタグ41は、起動すると記憶領域に予め記憶されている識別情報IDを送信する。タグリーダ部11は、このICタグ41から送信された識別情報IDを受信して、この識別情報IDを制御部14に向けて出力する。
【0021】
タグリーダ部11は、電磁波Wを出力するとともに識別情報IDを受信するアンテナ部31(
図6参照)を備えている。このアンテナ部31は、ループコイルアンテナである。アンテナ部31の送受信可能な距離は、原則、アンテナ部31のループ中心を通る軸線a1上で最も長くなり、軸線a1から離れるにつれて短くなる。また、このアンテナ部31は、軸線a1の延びる方向における第一側(
図6中、上側)及び第二側(
図6中、下側)に、対称な送受信可能なエリア(後述する第一エリアA1、第二エリアA2)を形成する。
【0022】
動作出力部12は、少なくとも音声を出力する。この実施形態における動作出力部12は、音声を出力するスピーカSpと、光を出力する発光素子Ltと、を備えている。この動作出力部12は、スピーカSpによる音声出力や発光素子Ltによる光出力である動作が制御部14により制御されている。この実施形態における発光素子Ltは、押しボタン部18に内蔵されて押しボタン部18を光らせることが可能になっている。この発光素子Ltとしては、例えば、LED(light emitting diode)を用いることができる。なお、動作出力部12は、音声や光を発するものに限られず、如何なる動作を行うようにしてもよい。
【0023】
記憶部13は、動作出力部12を動作させる動作データと、ICタグ41に割り当てられている識別情報IDとを予め対応付けて記憶している。この実施形態の記憶部13は、識別情報ID、蓋部2の開閉位置の情報、及び遊びモードの情報の組合せに対して動作データを対応付けて記憶している。つまり、蓋部2の開閉位置の情報や遊びモードの情報が異なる場合、同一の識別情報IDを含む組合せであっても、それぞれ異なる動作データが対応付けられている場合がある。なお、動作データには、動作を何も行わないという動作データも含まれる。
【0024】
制御部14は、タグリーダ部11で取得した識別情報IDに基づいて記憶部13から動作データを読み出す。さらに、制御部14は、記憶部13から読み出した動作データに基づいて動作出力部12の動作を制御する。この実施形態における制御部14は、タグリーダ部11で取得した識別情報IDと、蓋部2の開閉位置の情報と、遊びモードの情報との組合せに対応付けられた動作データを記憶部13から読み出す。ここで、制御部14による動作出力部12の制御は、プログラムの形式で記憶部13に予め記憶させ、このプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより行うことができる。
【0025】
筐体部15は、タグリーダ部11と、動作出力部12と、記憶部13と、制御部14と、を収容している。つまり、筐体部15は、少なくともタグリーダ部11を収容している。この実施形態における筐体部15は、上記以外にもバッテリボックス(図示せず)を備えており、上記タグリーダ部11と、動作出力部12と、記憶部13と、制御部14と、を作動させる電力は、このバッテリボックス内に収容された乾電池等の電池から供給される。
【0026】
図1、
図6に示すように、筐体部15は、表面10aと、裏面10bと、側面10cと、を備えている。この実施形態で例示する筐体部15は、円盤に近似した外形を有している。
裏面10bと表面10aとは、互いに反対側を向くように配置されている。側面10cは、裏面10bの周縁と表面10aの周縁とを繋ぐ筒状に形成されている。以下の説明においては、表面10aと裏面10bとの両方に直交する方向を厚さ方向Dwと称する。この厚さ方向Dwは、筒状に形成された側面10cの中心軸a2の延びる方向と言い換えることもできる。この実施形態における筐体部15は、側面10cの中心軸a2を中心とした半径r1よりも、厚さ寸法W1が小さく形成されている。
【0027】
筐体部15は、タグリーダ部11よりも第一側の筐体部15の外部に、ICタグ41との無線通信が可能な第一エリアA1が形成されるようにタグリーダ部11を収容している。さらに、筐体部15は、第一側とは反対側となるタグリーダ部11よりも第二側の筐体部15の外部にも、ICタグ41との無線通信が可能な第二エリアA2が形成されるようにタグリーダ部11を収容している。ここで、この実施形態において、上述した第一側とは、厚さ方向Dwにおいてタグリーダ部11よりも表面10a側を意味し、第二側とは、厚さ方向Dwにおいてタグリーダ部11よりも裏面10b側を意味する。以下の説明において、第一側を「第一側Dw1」、第二側を「第二側Dw2」と称する。
【0028】
図6に示すように、この実施形態におけるタグリーダ部11は、筐体部15の厚さ方向Dwの中央にアンテナ部31を備えている。より具体的には、アンテナ部31は、このアンテナ部31の軸線a1が筐体部15の厚さ方向Dwに延びる姿勢で筐体部15に収容されている。さらに、アンテナ部31は、軸線a1が延びる方向で、表面10aまでの距離L1と、軸線a1が延びる方向における裏面10bまでの距離L2とが等距離となるように配置されている。なお、この実施形態における表面10aと裏面10bとには、軸線a1と交差する位置に、それぞれICタグ41をかざす位置を示す紋章などの目印S(
図1参照)が形成されている。
【0029】
上記のようにタグリーダ部11が筐体部15に収容されることで、筐体部15の外部に形成される第一エリアA1と第二エリアA2とが、実質的に対称な形状になる。ここで、筐体部15の厚さ方向Dwと直交する方向におけるアンテナ部31と側面10cとの距離(最短距離)は、アンテナ部31によって送受信可能な距離よりも長くしてもよい。このようにすることで、識別情報IDが、側面10cに接近したICタグ41からタグリーダ部11に読み取られることを抑制できる。
【0030】
図3に戻り、モード選択部16は、遊びモードを選択することが可能になっており、このモード選択部16によって選択された遊びモードの情報は、制御部14に入力される。この実施形態で例示するモード選択部16は、AモードとBモードとのうち何れか一つの遊びモードを選択することが可能になっている。
【0031】
この実施形態で例示するモード選択部16は、筐体部15の裏面10bに操作部が露出したスライドスイッチである。ユーザは、モード選択部16の切り換え操作を手指により行う。また、この実施形態で例示するモード選択部16は、電源スイッチを兼ねており、電源オフを選択できるようになっている。例えば、モード選択部16は、Aモード又はBモードを選択しているときに発音玩具100の電源をオンにする一方で、電源オフを選択しているときに発音玩具100の電源をオフにする。なお、モード選択部16によって選択可能な遊びモードの数は、二つに限られない。
【0032】
蓋位置検出部17は、蓋部2の開閉位置を検出する。この実施形態における蓋位置検出部17は、蓋部2に設けられた突起により、蓋部2が開放位置にあるときにだけ押圧される。蓋位置検出部17は、この突起により押圧されることで接点をオンにする一方で、突起による押圧が解除されると接点をオフにする。蓋位置検出部17による接点信号は、蓋部2の開閉位置の情報として制御部14に入力される。この実施形態にける蓋部2は、最もヒンジ部3側の端部に突起(図示せず)を備えている。
【0033】
押しボタン部18は、ゲーム等の遊びモードで遊んでいるときに、音声で出力される複数の選択肢の中から一つを選択する操作入力や、遊びを先に進めるための操作入力などを行うことが可能である。この押しボタン部18は、表面10aに露出するように配置されている。この実施形態で例示する押しボタン部18は、表面10aのうち、ヒンジ部3とは反対側の約半分の領域に配置されている。そして、この押しボタン部18は、上述したように動作出力部12によって様々な色で光ることが可能となっている。
【0034】
蓋部2は、第一エリアA1内にICタグ41が入ることを許容する開放位置(
図1参照)と、第一エリアA1を覆うように配置されて第一エリアA1内にICタグ41が入ることを規制する閉塞位置(
図2参照)との間で開閉可能になっている。この実施形態で例示する蓋部2は、閉塞位置に配置されたときに、筐体部15の表面10a全体を覆う。さらに、実施形態で例示する蓋部2は、開口縁2aが略円形に形成されている。
【0035】
また、蓋部2は、閉塞位置に配置されたときに、蓋部2の外面2bが第一エリアA1よりも外側(言い換えれば、アンテナ部31から離れた位置)に配置される形状になっている。この実施形態における蓋部2は、閉塞位置に配置されたときに表面10a側に向かって凹となるドーム状に形成されている。
図2に示すように、この実施形態における蓋部2は、閉塞位置において、その開口縁2aから第一側Dw1に向かうにしたがって中心軸a2に漸次近づくように形成された三次元曲面に形成されている。なお、第一エリアA1よりも蓋部2の外面2bが外側に配置され、且つ、表面10aよりも厚さ方向Dwの外側に第一エリアA1が配置されるように、アンテナ部31のループ数や大きさを調整するようにしても良い。
【0036】
さらに、
図1に示すように、蓋部2は、内面2cに鏡Mを備えている。この鏡Mは、蓋部2を開放位置にしたときに、ユーザを映すことができる。この実施形態では、蓋部2の中央に、円形の鏡Mが配置されている場合を例示しているが、鏡Mの形状や配置は、円形や中央配置に限られない。
【0037】
図2に示すように、蓋部2は、閉塞位置において、蓋部2の外側から押しボタン部18を押圧可能にする押圧部材21を備えている。この押圧部材21の一端21aは、蓋部2の外部に露出している。この実施形態における一端21aは、ハート形に露出するように形成されている。その一方で、押圧部材21の他端21b(
図1参照)は、蓋部2が閉塞位置にある場合に押しボタン部18に接する。
【0038】
押圧部材21は、押しボタン部18を押圧していない初期位置と、押しボタン部18を押圧する押圧位置との間で変位可能になっている。この押圧部材21は、初期位置に向かって付勢されている。押圧部材21は、ユーザにより一端21aが外側から押圧されると押しボタン部18を押圧する押圧位置に変位し、ユーザによる押圧が解除されると初期位置に戻る。この実施形態における押圧部材21は、押しボタン部18と同様に、光を透過可能な材料で形成されている。これにより、押圧部材21は、蓋部2が閉塞位置にある場合に、押しボタン部18の光を導光し、ハート形の一端21aが光る。
【0039】
図1、
図2、
図6に示すように、ヒンジ部3は、筐体部15に対して蓋部2を揺動可能に支持する。この実施形態におけるヒンジ部3は、上述したアンテナ部31の軸線a1と直交する方向に延びるヒンジピン32と、筐体部15の側面10cから膨出するように形成された第一膨出部33と、蓋部2の開口縁2a近傍から膨出する第二膨出部34と、を備えている。第二膨出部34は、第一膨出部33に対してヒンジピン32回りに回転可能に接続されている。なお、ヒンジ部3の形状は、第一膨出部33に対して第二膨出部34がヒンジピン32回りに回転可能であれば、如何なる形状であっても良い。
【0040】
蓋部2は、開口縁2aの周方向において、第二膨出部34の反対側に、筐体部15の側面10cに係止可能な係止部35を備えている。この係止部35は、蓋部2が閉塞位置に配置されている場合に、蓋部2の開口縁2aと筐体部15の側面10cとの間に渡るように形成され、蓋部2が閉塞位置から開放位置に変位することを抑制する。この実施形態における係止部35は、蓋部2を閉塞位置から開放位置に変位させる際に、ユーザにより外側に弾性変形されることで係止状態が解除される。
【0041】
ここで、上述したアンテナ部31は、平面視における筐体部15の中心位置(中心軸a2)よりもヒンジ部3に近い位置に配置されている。この場合、筐体部15の厚さ方向と交差する方向において、ICタグ41と送受信可能なエリアよりも外側にヒンジ部3の外面が配置されるようにしても良い。このようにすることで、ヒンジ部3側からICタグ41を筐体部15に対して近づけたとしても、ヒンジ部3が邪魔になり、識別情報IDがタグリーダ部11に読み取られることを抑制できる。
さらに、アンテナ部31が平面視における筐体部15の中心位置よりもヒンジ部3に近い側に配置される分だけ、筐体部15内において、ヒンジ部3とは反対側に広いスペースを確保できる。そのため、筐体部15内において、アンテナ部31以外の部品の設置自由度を向上することができる。
【0042】
図4、
図5に示すように、チップ部材200は、上述したICタグ41と、ベース部材42と、を備えている。
ICタグ41は、アンテナ及び半導体チップ(何れも図示せず)を備え、タグリーダ部11の送信要求に基づいて識別情報IDを送信する。これらアンテナ及び半導体チップは、シート状に一体化されている。この実施形態におけるICタグ41のアンテナは、タグリーダ部11のアンテナ部31と同様に、ループコイルアンテナである。ICタグ41のアンテナは、主にその厚さ方向に貫通する電磁波によって電力が発生する。ICタグ41の半導体チップは、この電力により駆動する。そして、ICタグ41の半導体チップは、駆動すると、予め記憶されている識別情報IDを、アンテナを介して送信する。
【0043】
ベース部材42は、内部にICタグ41を収容する。ここで、この実施形態で例示するチップ部材200は、番組上の設定により、変身用のチップ部材200と、魔法用のチップ部材200とが存在する。また、変身用のチップ部材200と、魔法用のチップ部材200とは、それぞれ複数種類ある。これらチップ部材200の意匠は、チップ部材200の種類に応じて異なる。すなわち、これらチップ部材200は、ICタグ41の識別情報IDに応じての意匠が異なる。
【0044】
この実施形態におけるベース部材42は、ベース本体部43とジュエル部44とを備えている。ベース本体部43は、ICタグ41を載置する載置面43aを備えている。ジュエル部44は、宝石を模して形成されており、載置面43aと対向する底面44aを有している。ICタグ41は、ベース本体部43の載置面43aとジュエル部44の底面44aとの間に挟み込まれる形で保持されている。なお、ジュエル部44を用いてICタグ41を保持する場合について説明したが、ジュエル部44とは別にICタグ41を保持するための専用の部材を用いるようにしてもよい。
【0045】
図4に示すように、ベース部材42は、このベース部材42の厚さ方向の中央にICタグ41が配置されるようにICタグ41を保持している。この実施形態におけるベース部材42は、ベース部材42の厚さ方向と、ICタグ41の厚さ方向Dwjとが一致するようにICタグ41を保持している。ICタグ41の厚さ方向Dwj、すなわちベース部材42の厚さ方向において、ICタグ41の中心位置からジュエル部44の最も外側の位置までの距離Laは、ICタグ41の中心の位置から、ジュエル部44とは反対側のベース本体部43の最も外側の位置までの距離Lbと等しい。
【0046】
ここで、変身用のチップ部材200のベース部材42は、チップ部材200をペンダントとしてユーザの首に掛けられるように、紐やチェーン等を取り付けることができる取付部47(
図4、
図5参照)を備えている。そして、変身のなりきり遊びを行う場合、変身用のチップ部材200は、ユーザの胸部前方(
図8参照)に配置される。なお、変身用のチップ部材200と、魔法用のチップ部材200とをユーザが目視で識別できるように、例えば、変身用のチップ部材200のベース本体部43に樹脂メッキ等の処理を施しても良い。
【0047】
次に、この実施形態の発音玩具による遊戯方法について図面を参照しながら説明する。
図7は、この発明の実施形態における遊戯方法のフローチャートである。
図8は、この発明の実施形態におけるなりきり遊びで識別情報を読み取る際の発音玩具の姿勢を示す図である。
図9は、この発明の実施形態における蓋部が閉塞位置の場合の発音玩具とチップ部材との位置関係を示す図である。
図10は、この発明の実施形態における蓋部が開放位置の場合の発音玩具とチップ部材との位置関係を示す図である。
なお、この実施形態の発音玩具100を用いた遊戯方法の説明においては、蓋部2の開閉や押しボタン部18の操作時に発せられる操作音等の出力についての説明を省略する。また、この実施形態における発音玩具100は、「コンパクト」を模しているため、蓋部2を閉塞位置から開放位置に変位させる際に、筐体部15の表面10aが上方を向き、裏面10bが下方を向く姿勢となる。
【0048】
図7に示すように、まず発音玩具100の電源をオンにする(ステップS01)。この際、ユーザは、電源をオンにすると同時に、モード選択部16によってAモードかBモードを選択する。
制御部14は、モード選択部16の選択結果がAモードかBモードかを判定する(ステップS02)。このAモードかBモードかの判定の結果、Aモードであると判定された場合、制御部14は、蓋部2が閉塞位置にあるか否かを判定する(ステップS03)。
【0049】
(なりきり遊び)
蓋部2が閉塞位置にあるか否かの判定の結果、蓋部2が閉塞位置にあると判定された場合(ステップS03で「Yes」)、制御部14は、押しボタン部18が操作されたか否かを判定する(ステップS04)。
ここで、蓋部2は閉塞位置にあるため、押しボタン部18が操作されたか否かの判定は、押圧部材21が操作されたか否かの判定と言い換えることができる。
【0050】
上記の押しボタン部18が操作されたか否かの判定の結果、押しボタン部18が操作されたと判定された場合、次いで、
図8に示すように、ユーザが、首にかけた状態のチップ部材200に発音玩具100をかざして(
図8二点鎖線で示す位置に変位させて)、識別情報IDの読み取りを行う。
図9に示すように、この際、発音玩具100は、チップ部材200のジュエル部44側に、筐体部15の裏面10bが対向する姿勢となり、ICタグ41が第二エリアA2内に入る。
その一方で、蓋部2が閉塞位置にあるため、仮に、チップ部材200を発音玩具100の表面10a側(第一側Dw1)の蓋部2にかざしたとしても、ICタグ41が第一エリアA1内に入らない。そのため、識別情報IDがタグリーダ部11によって読み取られない。
【0051】
ここで、制御部14は、タグリーダ部11から識別情報IDが入力されることにより、識別情報IDを読み取ったと判定することができる(ステップS05でYes)。なお、制御部14は、例えば、ステップS04の後に、ユーザに対して、発音玩具100をチップ部材200にかざすように促す音声等を動作出力部12から出力させるようにしてもよい。
【0052】
次に、ユーザは、蓋部2を閉塞位置から開放位置まで変位させる。この際、ユーザは、筐体部15の厚さ方向Dwが上下方向を向く姿勢で蓋部2を上方に向けて開放する。
制御部14は、蓋位置検出部17から入力される蓋部2の開閉位置の情報により、蓋部2が開放位置に変位したと判定する(ステップS06でYes)。なお、制御部14は、例えば、ステップS05の後に、ユーザに対して、発音玩具100の蓋部2を開放位置まで変位させることを促す音声等を動作出力部12から出力させるようにしてもよい。
【0053】
蓋部2が開放されると(ステップS06でYes)、「なりきり遊び」の動作を開始する(ステップS07)。つまり、制御部14は、モードの情報(Aモード)、識別情報ID、開閉位置の情報(閉塞位置(ステップS03で「Yes」))の組合せに対応付けられた動作データを記憶部13から読み出して、この動作データに従って動作出力部12を動作させる。ここで、この実施形態における「なりきり遊び」中の動作とは、ヒロインの変身中に流れる音楽と同じ音楽を流しつつ、様々な光の演出を行う等の動作である。また、「なりきり遊び」中に、制御部14は、この音楽に合わせて押しボタン部18を操作することで、所定の効果音が出力されるようにしてもよい。
この「なりきり遊び」における一連の動作が終了すると、上述したステップS02に戻る。
【0054】
(図鑑遊び、その他の遊び)
一方で、上述したステップS03の判定において蓋部2が開放位置にあると判定された場合(ステップS03で「No」)、制御部14は、押しボタン部18が操作されたか否かを判定する(ステップS08)。この押しボタン部18が操作されたか否かを判定により、押しボタン部18が操作されていないと判定された場合(ステップS08で「No」)、制御部14は、識別情報IDが読み取られたか否かを判定する(ステップS09)。言い換えれば、制御部14は、この識別情報IDが読み取られたか否かの判定によって、蓋部2が開放位置に変位された後に、押しボタン部18が操作されていない状態で、チップ部材200を発音玩具100にかざしたか否かを判定している。ここで、
図10に示すように、ユーザは、チップ部材200を発音玩具100の表面10aにかざして識別情報IDの読み取りを行う。なお、裏面10b側の第二エリアA2からも識別情報IDの読み取りは可能であるが、通常、裏面10bが下方を向くため、裏面10b側の第二エリアAA2から識別情報IDを読み取ることはできない。
【0055】
識別情報IDが読み取られたか否かの判定(ステップS09)において、識別情報IDが読み取られたと判定された場合、つまり、蓋部2が開放された発音玩具100に対してチップ部材200がかざされた場合(ステップS09で「Yes」)、制御部14は、「図鑑遊び」の動作を開始する(ステップS10)。つまり、制御部14は、モードの情報(Aモード)、識別情報ID、開閉位置の情報(開放位置(ステップS03で「No」))の組合せに対応付けられた動作データを記憶部13から読み出して、この動作データに従って動作出力部12を動作させる。ここで、この実施形態における「図鑑遊び」中の動作は、チップ部材200の種類等に基づく説明の音声を流しつつ、光の演出を行う等の動作である。なお、図鑑遊びでは、変身用のチップ部材200及び魔法用のチップ部材200を用いることができる。
「図鑑遊び」の動作が終わると、上述したステップS02に戻る。
【0056】
ステップS08の判定において、押しボタン部18が操作されたと判定された場合(ステップS08で「Yes」)、制御部14は、「その他の遊び」の動作を開始する(ステップS11)。この実施形態におけるその他の遊び中の動作は、押しボタン部18の操作に合わせて、効果音と、劇中に出てくるキャラクターのセリフと、が出力されるという動作である。ここで、キャラクターのセリフは、記憶部13に予め記憶されている複数のセリフの音声のうち一つがランダムに出力される。
「その他の遊び」の動作が終わると、上述したステップS02に戻る。
【0057】
(ゲーム遊び)
上述したステップS02の判定においてAモードではないと判定された場合、すなわちBモードであると判定された場合、制御部14は、蓋部2が開放位置にあるか否かを判定する(ステップS12)。この蓋部2が開放位置にあるか否かの判定の結果、開放位置にあると判定された場合(ステップS12で「Yes」)、制御部14は、複数のゲームの種類の中から、押しボタン部18によって一つのゲームを選択可能にする(ステップS13)。
【0058】
この実施形態においては、ユーザが押しボタン部18を押す度に、次の「ゲーム遊び」中のゲーム名称が順次音声出力される。そして、ゲーム名称の音声出力はループするようになっており、例えば、最後のゲーム名称が音声出力された後、最初のゲーム名称に戻る。この実施形態においては、ゲーム名称が音声出力された後に、チップ部材200を発音玩具100にかざすことで、直前に音声出力されたゲーム名称の「ゲーム遊び」に決定することができるようになっている。
【0059】
「ゲーム遊び」で行なわれるゲームの種類が決定されると、制御部14は、識別情報IDの読み取りを促す音声を出力する。そして、制御部14は、識別情報IDが読み取られると(ステップS13でYes)、決定された「ゲーム遊び」の動作を開始する。つまり、制御部14は、モードの情報(Bモード)とゲーム遊びの種類の情報との組合せ、又は、モードの情報(Bモード)とゲーム遊びの種類の情報と識別情報IDとの組合せ、に対応付けられた動作データを記憶部13から読み出して、この動作データに従って動作出力部12を動作させる。
【0060】
ここで、この実施形態における「ゲーム遊び」中の動作は、ゲームの種類ごとに異なっており、例えば、占いの音声が流れたり、劇中の音楽が流れたり、音楽に合わせて切り替わる押しボタン部18の光色を変化させたりする動作がある。また、「ゲーム遊び」中のゲームにおいて、押しボタン部18を用いても良い。押しボタン部18を用いるゲームとしては、例えば、押しボタン部18が指定の光色になった際に、ユーザに押しボタン部18を押させる等の遊びがある。「ゲーム遊び」の動作が終わると、上述したステップS02に戻る。
【0061】
なお、上述した「なりきり遊び」、「図鑑遊び」、「その他の遊び」、および、「ゲーム遊び」の途中で蓋部2が閉塞位置に変位した場合、制御部14は、割り込み処理によって、各遊びの動作を終了して、ステップS02に戻る。
【0062】
したがって、上述した実施形態によれば、「なりきり遊び」を行う場合と、それ以外の遊びを行う場合とで、第一エリアA1と第二エリアA2とを使い分けることが可能となる。そのため、筐体部15の姿勢が、「ゲーム遊び」や「図鑑遊び」を行うときのように、第二エリアA2の中にICタグ41を入れることができない姿勢であっても、第一エリアA1の中にICタグ41を入れることができる。
【0063】
さらに、蓋部2を閉塞位置にした場合、第一エリアA1にICタグ41が入り込まないため、「なりきり遊び」で第二エリアA2を使用する際に、第一エリアA1にICタグ41が入り込んで、この第一エリアA1に入り込んだICタグ41の識別情報IDがタグリーダ部11によって読み取られてしまうことを抑制できる。
その結果、発音玩具100は、チップ部材200の識別情報IDを複数の姿勢で容易に読み取ることができるとともに、意図しない姿勢で識別情報IDを読み取ってしまうことを抑制できる。
【0064】
さらに、上述した実施形態では、制御部14が、タグリーダ部11で受信した識別情報IDと、ステップS03の判定で用いる蓋部2の開閉位置の情報とに基づいて、記憶部13から動作データを読み出して動作出力部12の動作を制御する。そのため、タグリーダ部11によって同じ識別番号を受信した場合であっても、蓋部2の開閉状態に応じて動作出力部12の動作を異ならせることができる。
【0065】
また、上述した実施形態では、制御部14が、モード選択部16により選択されているモードの情報と、タグリーダ部11で受信した識別情報IDと、蓋部2の開閉位置の情報と、に基づいて、記憶部13から動作データを読み出して動作出力部12の動作を制御する。そのため、タグリーダ部11によって同じ識別番号を受信した場合であっても、蓋部2の開閉状態や、モード選択部16により選択したモードの情報に応じて動作出力部12の動作を異ならせることができる。
【0066】
さらに、上述した実施形態では、タグリーダ部11が、筐体部15の厚さ方向の中央に識別情報IDを受信するアンテナ部31を備えている。そのため、筐体部15の厚さ方向の第一側Dw1に位置する第一エリアA1と、第二側Dw2に位置する第二エリアA1とを均等に形成することができ、ICタグ41からの識別情報IDを第一エリアA1と第二エリアA2とにおいて同等に受信することができる。
【0067】
さらに、上述した実施形態では、チップ部材200が、発音玩具100のタグリーダ部11に識別情報IDを送信可能なICタグ41と、ICタグ41が厚さ方向の中央に配置されたベース部材42と、を備えている。これにより、チップ部材200を厚さ方向Dwjの何れの方向から筐体部15に対向させても、ICタグ41とアンテナ部31との距離を同等にすることができる。その結果、チップ部材200の厚さ方向Dwjの向きが何れの向きであっても安定して送受信を行うことができる。
【0068】
この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
【0069】
例えば、上述した実施形態においては、蓋部2がヒンジ部3を介して筐体部15に揺動可能に支持される場合を一例に説明した。しかし、蓋部2が閉塞位置や開放位置を維持することが可能であれば、ヒンジ部3を用いた開閉機構に限られない。
【0070】
また、上述した実施形態においては、遊びの種類として「ゲーム遊び」を有する場合について説明したいが、「ゲーム遊び」を省略しても良い。この「ゲーム遊び」を省略する場合、モード選択部16に代えて、電源のオン・オフのみを行うスイッチを設ければ良い。
【0071】
さらに、上述した実施形態の発音玩具100においては、「なりきり遊び」の他に複数の遊びの機能を備える場合について説明した。しかし、発音玩具100は、「なりきり遊び」の他に一種類の遊び機能しか有していなくてもよい。例えば、「なりきり遊び」の他に一種類の遊びしかない場合には、蓋部2の開閉位置の情報ではなく、例えば、押しボタン部18の操作の有無に応じてなりきり遊びとそれ以外の遊びとを切り替えるようにしても良い。このように「なりきり遊び」の他に一種類の遊びしかない場合、蓋位置検出部17を省略しても良い。
【0072】
また、「なりきり遊び」の他に一種類の遊びしかない場合、「なりきり遊び」のステップS07の後に、それ以外の遊びの処理(例えば、ステップS09,ステップS10)に直接的に流れるようにしても良い。この場合、蓋位置検出部17と押しボタン部18との両方を設けなくても良い。
また、上述した実施形態においては、パッシブ型のRFIDを用いる場合を一例に説明した。しかし、RFIDは、パッシブ型に限られない。例えば、セミパッシブ型のRFID等を用いてもよい。
【解決手段】発音玩具100は、タグリーダ部11と、動作出力部と、記憶部と、制御部と、筐体部と、蓋部2と、を備える。筐体部15は、タグリーダ部11の第一側の外部にICタグ41との無線通信が可能な第一エリアA1が形成されるとともに、第一側とは反対のタグリーダ部11の第二側の外部にICタグ41との無線通信が可能な第二エリアA2が形成されるように内部にタグリーダ部11を収容する。蓋部2は、記第一エリアA1内にICタグ41が入ることを許容する開放位置と、第一エリアA1を覆うように配置されて第一エリアA1内にICタグ41が入ることを規制する閉塞位置との間で開閉可能になっている。