(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特定部で特定した他の諸元領域の位置又は大きさの少なくとも一方を補完する補完部を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアナログメータ諸元認識装置。
アナログメータの諸元が記載された複数の諸元領域それぞれを検出する複数の学習器を備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のアナログメータ諸元認識装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施の形態のアナログメータ諸元認識装置としての諸元認識装置50の構成の一例を示すブロック図である。諸元認識装置50は、装置全体を制御する制御部51、取得部52、選定部53、特定部54、記憶部55、学習器56、補完部57、文字認識部58及び照合部59を備える。
【0012】
取得部52は、アナログメータの入力画像を取得する。入力画像は、アナログメータの複数の諸元領域内の諸元が撮影された画像である。
【0013】
図2は入力画像の要部の一例を示す模式図である。アナログメータのラベル(要部)には、例えば、符号r1〜r9で示す9個の諸元が記載されている。アナログメータの諸元は、例えば、交流の相数(r1)、製造年度(r2)、電力使用量を示す数字(r3)、型式(r4)、交流の線数(r5)、電圧(r6)、電流(r7)、製造メーカ(r8)、シリアル番号(r9)などを含む。諸元を囲む矩形状の領域を諸元領域と称する。
【0014】
学習器56は、教師データを用いて機械学習された学習モデルであり、例えば、SVM(サポートベクターマシン)で構成することができる。SVMは、入力された画像が、正解画像か不正解画像かに分類することができる。本明細書では、学習器56をSVMとして説明するが、学習器56は、SVMに限定されるものではない。学習器56は、予めアナログメータの複数の諸元領域を検出できるように学習されている。
【0015】
より具体的には、学習器56は、アナログメータの諸元が記載された複数の領域それぞれを撮像した諸元画像を用いて学習してあり、アナログメータの諸元が記載された複数の諸元領域を検出することができる。諸元領域は、アナログメータを撮影した画像から諸元が記載された矩形状の領域を切り出した画像である。一つのアナログメータにN個の諸元が記載されている場合、N個の諸元画像を切り出すことができる。学習器56は、正しい諸元が記載された諸元画像(正解画像)及び不正解画像の集合、並びに正解・不正解の教師ラベルを用いて学習することができる。これにより、未知の入力画像を学習器56に入力すると、学習器56は、複数の諸元領域を検出することができる。
【0016】
図3は学習器56の学習方法の一例を示す模式図である。
図3に示すように、学習器56は、複数の学習器で構成することができる。例えば、アナログメータの諸元が、r1〜rnのn個ある場合、各諸元に対応付けて、学習器561、562、…、56nのn個の学習器で構成することができる。
【0017】
学習器561を学習させる場合には、諸元r1を切り出した諸元r1画像(正解画像)及び諸元r1が含まれていない不正解画像の集合、並びに正解・不正解の教師ラベル(例えば、諸元領域R1であるか否かを示すラベル)を用いて学習することができる。
【0018】
学習器562を学習させる場合には、諸元r2を切り出した諸元r2画像(正解画像)及び諸元r2が含まれていない不正解画像の集合、並びに正解・不正解の教師ラベル(例えば、諸元領域R2であるか否かを示すラベル)を用いて学習することができる。他の学習器も同様である。
【0019】
正解であるか不正解であるかを分類するために用いる特徴量としては、例えば、HOG(Histograms of Oriented Gradients)特徴量(局所領域内の勾配方向ごとの勾配強度のヒストグラム)を用いることができるが、これに限定されない。例えば、EOH(Edge of Orientation Histograms)特徴量、EHOG(Extended HOG)特徴量、Edgelet特徴量などを用いてもよい。
【0020】
複数の学習器それぞれが、対象とする諸元が記載された諸元領域を検出することができるので、個々の学習器は、対象の諸元領域だけを検出すればよく、少ない学習データでも学習器を学習させることができる。また、個々の学習器は、対象の諸元領域だけを検出すればよいので、検出精度を高めることができる。
【0021】
記憶部55は、アナログメータの諸元が記載された複数の諸元領域の間の配置を示す配置情報を記憶することができる。配置情報は、予めアナログメータを撮影した画像を用いて算出しておくことができる。以下、配置情報の詳細について説明する。
【0022】
配置情報には、アナログメータの複数の諸元領域のうちの任意の一方の諸元領域と他方の諸元領域それぞれの所定位置を繋ぐ線分の傾き情報を含む。所定位置は、例えば、矩形状の諸元領域の中央(中点)とすることができる。
【0023】
図4は諸元領域を繋ぐ線分の傾きを示す説明図である。アナログメータの複数の諸元領域のうちの任意の2つの諸元領域をRi、Rjとする。諸元領域の数をnとすると、i=1…n、j=1…n、i≠jである。諸元領域Riの中点を(xi、yi)とし、諸元領域Rjの中点を(xj、yj)とする。諸元領域RiからRjの線分の傾きSijは、Sij=(yj−yi)/(xj−xi)で求めることができ、諸元領域RjからRiの線分の傾きSjiは、Sji=(yi−yj)/(xi−xj)で求めることができる。
【0024】
図5は配置情報が諸元領域を繋ぐ線分の傾きである場合の一例を示す模式図である。
図5において、縦方向の諸元領域R1〜Rnは、線分の始点側を表し、横方向の諸元領域R1〜Rnは、線分の終点側を表す。例えば、諸元領域R1から諸元領域R2への線分の傾きはS12である。他の傾きも同様である。
【0025】
また、配置情報は、アナログメータの複数の諸元領域のうちの任意の一方の諸元領域に対する他方の諸元領域の縦方向の長さの比及び横方向の長さの比を含む。
【0026】
図6は諸元領域の縦方向の長さの比及び横方向の長さの比を示す説明図である。アナログメータの複数の諸元領域のうちの任意の2つの諸元領域をRi、Rjとする。諸元領域の数をnとすると、i=1…n、j=1…n、i≠jである。諸元領域Riの縦方向の長さをdyiとし、横方向の長さをdxiとする。諸元領域Rjの縦方向の長さをdyjとし、横方向の長さをdxjとする。諸元領域Riに対するRjの縦辺長比をhijとし、横辺長比をwijとすると、hij=dyj/dyiであり、wij=dxj/dxiで求めることができる。また、諸元領域Rjに対するRiの縦辺長比をhjiとし、横辺長比をwjiとすると、hji=dyi/dyjであり、wji=dxi/dxjで求めることができる。
【0027】
図7は配置情報が諸元領域の縦方向の長さの比及び横方向の長さの比である場合の一例を示す模式図である。
図7において、縦方向の諸元領域R1〜Rnは、縦方向の長さの比及び横方向の長さの比の基準となる側の諸元領域を表す。例えば、諸元領域R1に対する諸元領域R2の縦方向の長さの比及び横方向の長さの比は、それぞれh12、w12である。他の縦方向の長さの比及び横方向の長さの比も同様である。
【0028】
選定部53は、取得部52で取得した入力画像を学習器56に入力してアナログメータの複数の諸元領域の中から所定数の基準領域を選定する。より具体的には、選定部53は、学習器56が検出する複数の諸元領域の検出精度に基づいて基準領域を選定することができる。所定数は、例えば、2であるが、2に限定されない。
【0029】
学習器56の学習の過程で、学習器56が検出する複数の諸元領域の検出精度(正解率)の差異の傾向を把握することができる。選定部53は、学習器56が検出する複数の候補領域の中で、例えば、最も検出精度の高い候補領域を選定することができる。
【0030】
特定部54は、選定部53で選定した基準領域及び記憶部55に記憶した配置情報に基づいて基準領域を除く複数の他の諸元領域を特定する。選定した基準領域が、学習器56の検出精度が最も高い諸元領域であり、配置情報は、アナログメータを撮像した画像を用いて予め算出してあるので、精度を高くすることができる。基準領域と配置情報を用いることにより、他の諸元領域を精度よく特定することができる。次に、配置情報を用いて他の諸元領域の特定方法の詳細について説明する。
【0031】
図8は他の諸元領域の位置を特定する方法の一例を示す模式図である。選定部53で選定した基準領域を基準領域1、2とする。特定する諸元領域をRkとする。基準領域1の中点と諸元領域Rkの中点を繋ぐ線分の傾きを有する直線を基準領域1の中点を通るように描く。同様に、基準領域2の中点と諸元領域Rkの中点を繋ぐ線分の傾きを有する直線を基準領域2の中点を通るように描く。両方の直線の交点が、諸元領域Rkの中点となる。これにより、諸元領域Rkの位置を特定することができる。他の諸元領域の位置も同様にして特定することができる。
【0032】
このように、2つの基準領域それぞれの所定位置と他の候補領域の所定位置とを繋ぐ線分の傾きは、配置情報から求めることができるので、当該他の諸元領域の位置を特定することができる。
【0033】
図9は他の諸元領域の大きさを特定する方法の一例を示す模式図である。基準領域1の縦方向の長さをdy1とし、横方向の長さをdx1とする。基準領域1に対する諸元領域の縦方向の長さの比及び横方向の長さの比をそれぞれh1k、w1kとする。諸元領域Rkの縦方向の長さdykは、dyk=dy1×h1kで求めることができ、諸元領域Rkの横方向の長さdxkは、dxk=dx1×w1kで求めることができる。これにより、諸元領域Rkの大きさを特定することができる。他の諸元領域の大きさも同様にして特定することができる。
【0034】
このように、1つの基準領域の縦方向の長さ及び横方向の長さに、当該基準領域に対する他の候補領域の縦方向の長さの比及び横方向の長さの比を乗算することにより、当該他の候補領域の縦方向の長さ及び横方向の長さを求めることができ、当該他の候補領域の大きさを特定することができる。
【0035】
諸元領域を精度良く特定することにより、諸元領域内の諸元が記載された文字(英数字、漢字など)を正確に文字認識することができ、検収表との照合を自動化できるので、目視や手作業による検収作業が不要になり、メータ交換業務における作業効率を向上させることができる。
【0036】
入力画像の中には、配置情報を算出する際に用いられたアナログメータの画像と撮影条件の違い等の影響により、特定した他の諸元領域の位置又は大きさに誤差が含まれる場合がある。
【0037】
図10は誤差が含まれる場合のアナログメータの諸元領域の一例を示す模式図である。
図10の例では、交流の相数を表す「単」が記載された領域を基準領域1とし、製造年度を表す「1999」が記載された領域を基準領域2としている。基準領域1、2は正確に特定されている。複数の諸元領域のうち基準領域1、2を除く他の諸元領域を矩形状の破線で示す。
図10の例では、特定した他の諸元領域と本来求めたい領域にずれが生じている。なお、
図10では、便宜上、ずれを分かりやすくするため、破線で示す他の諸元領域が傾いているように図示している。次に、特定部54で特定した他の諸元領域を補完する方法について説明する。
【0038】
補完部57は、特定部54で特定した他の諸元領域の位置又は大きさの少なくとも一方を補完する。特定した他の諸元領域の位置又は大きさの少なくとも一方を補完することにより、他の諸元領域の位置又は大きさを改善することができる。
【0039】
より具体的には、補完部57は、探索部としての機能を有し、特定部54で特定した他の諸元領域の全部又は一部を含む当該他の諸元領域の周辺領域を、所要の探索領域を繰り返し移動させて探索する。探索する場合、探索領域は、一部が重なるように繰り返し移動させることができる。
【0040】
図11は探索領域による探索の一例を示す模式図である。実線で示す矩形領域は補完前の諸元領域(特定部54で特定した他の諸元領域)である。破線で示す矩形領域は探索領域を示す。
図11に示すように、補完部57は、探索領域を少しずつ移動させて補完前の諸元領域の周辺領域を探索する。
【0041】
補完部57は、繰り返し移動させた探索領域それぞれを学習器56に入力して得られた結果に基づいて他の諸元領域を補完することができる。学習器は56、繰り返し入力される異なる探索領域それぞれが正解画像であるか不正解画像であるかに分類することができる。分類に用いる特徴量としては、例えば、HOG(Histograms of Oriented Gradients)特徴量(局所領域内の勾配方向ごとの勾配強度のヒストグラム)を用いることができるが、これに限定されない。例えば、EOH(Edge of Orientation Histograms)特徴量、EHOG(Extended HOG)特徴量、Edgelet特徴量などを用いてもよい。これにより、特定部54で特定した他の諸元領域の周辺領域内で補完された諸元領域を得ることができる。特に、諸元領域の位置を補完することができる。
【0042】
また、補完部57は、探索領域の大きさを変更しながら周辺領域を探索することができる。これにより、特定部54で特定した他の諸元領域の周辺領域内で補完された諸元領域を得ることができる。特に、諸元領域の大きさを補完することができる。
【0043】
補完前の諸元領域が特定され、その座標位置が概略分かっているので、補完部57による探索領域を余り広げる必要がなく、処理範囲を小さくできるので計算コストを抑制することができる。また、余分な不正解領域を学習させる必要がないので、誤認識率を低減することができる。また、画像の歪補正も不要になる。
【0044】
図12は補完後の諸元領域の一例を示す模式図である。破線で示す矩形領域は補完前の諸元領域(特定部54で特定した他の諸元領域)である。実線で示す矩形領域は補完後の諸元領域である。
図12の例では、補完前の諸元領域の位置及び大きさが補完されている。なお、補完の例は、
図12の例に限定されるものではなく、補完前の諸元領域の位置だけを補完する場合、あるいは大きさだけを補完する場合もある。
【0045】
図13は補完後のアナログメータの諸元領域の一例を示す模式図である。
図13の例では、
図10の例と同様、交流の相数を表す「単」が記載された領域を基準領域1とし、製造年度を表す「1999」が記載された領域を基準領域2としている。複数の諸元領域のうち基準領域1、2を除く補完された他の諸元領域を矩形状の実線で示す。
図13に示すように、補完した他の諸元領域と本来求めたい領域のずれが小さくなり、諸元領域の位置及び大きさが改善していることが分かる。
【0046】
文字認識部58は、基準領域及び他の諸元領域に記載された文字を認識することができる。文字は、例えば、英数字、漢字などを含む。
【0047】
照合部59は、文字認識部58で認識した文字と予め記録された検収表のアナログメータの諸元とを照合する。
【0048】
図14は検収表の一例を示す模式図である。検収表は、例えば、アナログメータの諸元と、当該アナログメータから交換されたスマートメータの諸元とを、アナログメータごとに対応付けて記録された表である。アナログメータの諸元には、前述のとおり、電力使用量を示す数字(kWh)、型式(形)、電圧(V)、電流(A)、交流の相数(相)、交流の線数(線式)、製造メーカ(会社)、シリアル番号(NO.)、製造年度(年製)などを含む。スマートメータの諸元には、計器IDなどが含まれる。
【0049】
文字認識部58により諸元領域内の諸元が記載された文字を正確に文字認識することができ、照合部59により検収表との照合を自動化できるので、目視や手作業による検収作業が不要になり、メータ交換業務における作業効率を向上させることができる。
【0050】
また、照合部59は、型式取得部としての機能を有し、アナログメータの型式を取得することができる。例えば、アナログメータの写真に写っているスマートメータの諸元シールに記載されたQRコード(登録商標)を読み取り、読み取った計器IDに基づいて検収表を探索してアナログメータの型式を取得することができる。
【0051】
制御部51は、選択部としての機能を有し、照合部59で取得した型式に応じて所要の学習器を選択することができる。アナログメータの型式が異なると、諸元の内容、諸元が記載された領域の数、位置、大きさ等が異なる。そこで、予め型式に応じて学習した学習器56を準備しておき、型式に応じて学習器56を選択することにより、型式に関わらず、諸元領域を精度良く特定することができる。
【0052】
図15は本実施の形態の諸元認識装置50の処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下では便宜上、処理の主体を制御部51として説明する。制御部51は、アナログメータの入力画像を取得し(S11)、複数の諸元領域を検出する(S12)。制御部51は、検出した複数の諸元領域の中から基準領域を選定する(S13)。
【0053】
制御部51は、基準領域及び配置情報に基づいて、複数の諸元領域から基準領域を除いた他の諸元領域を特定する(S14)。制御部51は、特定した他の諸元領域を補完し(S15)、基準領域内及び補完した諸元領域内に記載された文字を認識する(S16)。
【0054】
制御部51は、認識した文字情報を記録し(S17)、他の入力画像の有無を判定する(S18)。他の入力画像がある場合(S18でYES)、制御部51は、ステップS11以降の処理を繰り返す。他の入力画像がない場合(S18でNO)、制御部51は、アナログメータの入力画像から認識した文字情報と検収表とを照合し(S19)、処理を終了する。
【0055】
本実施の形態の諸元認識装置50は、CPU(プロセッサ)、GPU、RAM(メモリ)などを備えたコンピュータを用いて実現することもできる。すなわち、
図15に示すような、各処理の手順を定めたコンピュータプログラムをコンピュータに備えられたRAM(メモリ)にロードし、コンピュータプログラムをCPU(プロセッサ)で実行することにより、コンピュータ上で諸元認識装置50を実現することができる。コンピュータプログラムは記録媒体に記録され流通されてもよい。
【0056】
上述のように、本実施の形態によれば、諸元領域を精度良く特定することにより、諸元領域内の元が記載された文字(英数字、漢字など)を正確に文字認識することができ、検収表との照合を自動化できるので、目視や手作業による検収作業が不要になり、メータ交換業務における作業効率を向上させることができる。
【0057】
本実施の形態に係るアナログメータ諸元認識装置は、アナログメータの諸元が記載された複数の諸元領域の間の配置を示す配置情報を記憶する記憶部と、学習器と、アナログメータの入力画像を取得する取得部と、前記取得部で取得した入力画像を前記学習器に入力して前記アナログメータの複数の諸元領域の中から所定数の基準領域を選定する選定部と、前記選定部で選定した基準領域及び前記記憶部に記憶した配置情報に基づいて前記基準領域を除く複数の他の諸元領域を特定する特定部とを備える。
【0058】
本実施の形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、アナログメータの入力画像を取得する処理と、取得した入力画像を学習器に入力して前記アナログメータの複数の諸元領域の中から所定数の基準領域を選定する処理と、選定した基準領域及びアナログメータの諸元が記載された複数の諸元領域の間の配置を示す配置情報に基づいて前記基準領域を除く複数の他の諸元領域を特定する処理とを実行させる。
【0059】
本実施の形態に係るアナログメータ諸元認識方法は、アナログメータの入力画像を取得し、取得された入力画像を学習器に入力して前記アナログメータの複数の諸元領域の中から所定数の基準領域を選定し、選定された基準領域及びアナログメータの諸元が記載された複数の諸元領域の間の配置を示す配置情報に基づいて前記基準領域を除く複数の他の諸元領域を特定する。
【0060】
記憶部は、アナログメータの諸元が記載された複数の諸元領域の間の配置を示す配置情報を記憶する。配置情報は、予めアナログメータを撮影した画像を用いて算出しておくことができる。アナログメータの諸元は、例えば、電力使用量を示す数字、電圧、電流、型式、交流の相数、交流の線数、製造メーカ、製造年度、シリアル番号などを含む。諸元領域は、これの諸元を囲む矩形状の領域とすることができる。
【0061】
学習器は、教師データを用いて機械学習された学習モデルであり、例えば、SVM(サポートベクターマシン)で構成することができる。SVMは、入力された画像が、正解画像か不正解画像かに分類することができる。なお、学習器は、SVMに限定されるものではない。学習器は、予めアナログメータの複数の諸元領域を検出できるように学習されている。
【0062】
取得部は、アナログメータの入力画像を取得する。入力画像は、アナログメータの複数の諸元領域内の諸元が撮影された画像である。
【0063】
選定部は、取得した入力画像を学習器に入力してアナログメータの複数の諸元領域の中から所定数の基準領域を選定する。入力画像を学習器に入力すると、学習器は、複数の諸元領域を検出することができる。学習器の学習の過程で、学習器が検出する複数の諸元領域の検出精度(正解率)の差異の傾向を把握することができる。選定部は、学習器が検出する複数の候補領域の中で、例えば、最も検出精度の高い候補領域を選定することができる。所定数は、例えば、2であるが、2に限定されない。
【0064】
特定部は、選定した基準領域及び記憶部に記憶した配置情報に基づいて基準領域を除く複数の他の諸元領域を特定する。選定した基準領域が、学習器の検出精度が最も高い諸元領域であり、配置情報は、アナログメータを撮像した画像を用いて予め算出してあるので、精度を高くすることができる。基準領域と配置情報を用いることにより、他の諸元領域を精度よく特定することができる。
【0065】
諸元領域を精度良く特定することにより、諸元領域内の諸元が記載された文字(英数字、漢字など)を正確に文字認識することができ、検収表との照合を自動化できるので、目視や手作業による検収作業が不要になり、メータ交換業務における作業効率を向上させることができる。
【0066】
本実施の形態に係るアナログメータ諸元認識装置において、前記配置情報は、一方の諸元領域と他方の諸元領域それぞれの所定位置を繋ぐ線分の傾き情報を含む。
【0067】
配置情報は、一方の諸元領域と他方の諸元領域それぞれの所定位置を繋ぐ線分の傾き情報を含む。所定位置は、例えば、矩形状の諸元領域の中央(中点)とすることができる。2つの基準領域それぞれの所定位置と他の候補領域の所定位置とを繋ぐ線分の傾きは、配置情報から求めることができるので、当該他の諸元領域の位置を特定することができる。
【0068】
本実施の形態に係るアナログメータ諸元認識装置において、前記配置情報は、一方の諸元領域に対する他方の諸元領域の縦方向の長さの比及び横方向の長さの比を含む。
【0069】
配置情報は、一方の諸元領域に対する他方の諸元領域の縦方向の長さの比及び横方向の長さの比を含む。1つの基準領域の縦方向の長さ及び横方向の長さに、当該基準領域に対する他の候補領域の縦方向の長さの比及び横方向の長さの比を乗算することにより、当該他の候補領域の縦方向の長さ及び横方向の長さを求めることができ、当該他の候補領域の大きさを特定することができる。
【0070】
本実施の形態に係るアナログメータ諸元認識装置は、前記特定部で特定した他の諸元領域の位置又は大きさの少なくとも一方を補完する補完部を備える。
【0071】
補完部は、特定部で特定した他の諸元領域の位置又は大きさの少なくとも一方を補完する。入力画像の中には、配置情報を算出する際に用いられたアナログメータの画像と撮影条件の違い等の影響により、特定した他の諸元領域の位置又は大きさに誤差が含まれる場合がある。特定した他の諸元領域の位置又は大きさの少なくとも一方を補完することにより、他の諸元領域の位置又は大きさを改善することができる。
【0072】
本実施の形態に係るアナログメータ諸元認識装置は、前記特定部で特定した他の諸元領域の全部又は一部を含む前記他の諸元領域の周辺領域を、所要の探索領域を繰り返し移動させて探索する探索部を備え、前記補完部は、前記探索部で繰り返し移動させた探索領域それぞれを前記学習器に入力して得られた結果に基づいて前記他の諸元領域を補完する。
【0073】
探索部は、特定部で特定した他の諸元領域の全部又は一部を含む当該他の諸元領域の周辺領域を、所要の探索領域を繰り返し移動させて探索する。探索する場合、探索領域は、一部が重なるように繰り返し移動させることができる。
【0074】
補完部は、探索部で繰り返し移動させた探索領域それぞれを学習器に入力して得られた結果に基づいて他の諸元領域を補完する。学習器は、繰り返し入力される異なる探索領域それぞれが正解画像であるか不正解画像であるかに分類することができる。分類に用いる特徴量としては、例えば、HOG(Histograms of Oriented Gradients)特徴量(局所領域内の勾配方向ごとの勾配強度のヒストグラム)を用いることができるが、これに限定されない。例えば、EOH(Edge of Orientation Histograms)特徴量、EHOG(Extende諸元領域の周辺領域内で補完された諸元領域を得ることができる。特に、諸元領域の位置を補完することができる。
【0075】
本実施の形態に係るアナログメータ諸元認識装置において、前記探索部は、前記探索領域の大きさを変更しながら前記周辺領域を探索する。
【0076】
探索部は、探索領域の大きさを変更しながら周辺領域を探索する。これにより、特定部で特定した他の諸元領域の周辺領域内で補完された諸元領域を得ることができる。特に、諸元領域の大きさを補完することができる。
【0077】
本実施の形態に係るアナログメータ諸元認識装置において、前記学習器は、アナログメータの諸元が記載された複数の領域それぞれを撮像した諸元画像を用いて学習してあり、アナログメータの諸元が記載された複数の諸元領域を検出する。
【0078】
学習器は、アナログメータの諸元が記載された複数の領域それぞれを撮像した諸元画像を用いて学習してあり、アナログメータの諸元が記載された複数の諸元領域を検出する。諸元領域は、アナログメータを撮影した画像から諸元が記載された矩形状の領域を切り出した画像である。一つのアナログメータにN個の諸元が記載されている場合、N個の諸元画像を切り出すことができる。学習器は、正しい諸元が記載された諸元画像(正解画像)及び不正解画像の集合、並びに正解・不正解の教師ラベルを用いて学習することができる。これにより、未知の入力画像を学習器に入力すると、学習器は、複数の諸元領域を検出することができる。
【0079】
本実施の形態に係るアナログメータ諸元認識装置は、アナログメータの諸元が記載された複数の諸元領域それぞれを検出する複数の学習器を備える。
【0080】
複数の学習器は、アナログメータの諸元が記載された複数の諸元領域それぞれを検出する。例えば、アナログメータにN個の諸元が記載されている場合、N個の学習器を備えるようにして、それぞれの学習器が、対象とする諸元が記載された諸元領域を検出するようにする。これにより、個々の学習器は、対象の諸元領域だけを検出すればよいので、少ない学習データでも学習器を学習させることができる。また、個々の学習器は、対象の諸元領域だけを検出すればよいので、検出精度を高めることができる。
【0081】
本実施の形態に係るアナログメータ諸元認識装置において、前記選定部は、前記学習器が検出する複数の諸元領域の検出精度に基づいて基準領域を選定する。
【0082】
選定部は、学習器が検出する複数の諸元領域の検出精度に基づいて基準領域を選定する。学習器の学習の過程で、学習器が検出する複数の諸元領域の検出精度の差異の傾向を把握することができる。選定部は、学習器が検出する複数の候補領域の中で、例えば、最も検出精度の高い候補領域を選定することができる。
【0083】
本実施の形態に係るアナログメータ諸元認識装置は、前記基準領域及び前記他の諸元領域に記載された文字を認識する文字認識部と、前記文字認識部で認識した文字と予め記録されたアナログメータの諸元とを照合する照合部とを備える。
【0084】
文字認識部は、基準領域及び他の諸元領域に記載された文字を認識する。文字は、例えば、英数字、漢字などを含む。照合部は、文字認識部で認識した文字と予め記録されたアナログメータの諸元とを照合する。文字認識部により諸元領域内の諸元が記載された文字を正確に文字認識することができ、照合部により検収表との照合を自動化できるので、目視や手作業による検収作業が不要になり、メータ交換業務における作業効率を向上させることができる。
【0085】
本実施の形態に係るアナログメータ諸元認識装置は、アナログメータの型式を取得する型式取得部と、前記型式取得部で取得した型式に応じて所要の学習器を選択する選択部とを備える。
【0086】
型式取得部は、アナログメータの型式を取得する。例えば、アナログメータの写真に写っているスマートメータの諸元シールに記載されたQRコード(登録商標)を読み取り、読み取った計器IDに基づいて検収表を探索してアナログメータの型式を取得することができる。
【0087】
選択部は、取得した型式に応じて所要の学習器を選択する。アナログメータの型式が異なると、諸元の内容、諸元が記載された領域の数、位置、大きさ等が異なる。そこで、予め型式に応じて学習した学習器を準備しておき、型式に応じて学習器を選択することにより、型式に関わらず、諸元領域を精度良く特定することができる。
【解決手段】アナログメータ諸元認識装置は、アナログメータの諸元が記載された複数の諸元領域の間の配置を示す配置情報を記憶する記憶部と、学習器と、アナログメータの入力画像を取得する取得部と、取得した入力画像を学習器に入力してアナログメータの複数の諸元領域の中から所定数の基準領域を選定する選定部と、選定した基準領域及び配置情報に基づいて基準領域を除く複数の他の諸元領域を特定する特定部とを備える。