特許第6533124号(P6533124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533124
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】芳香システム
(51)【国際特許分類】
   B60H 3/00 20060101AFI20190610BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20190610BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
   B60H3/00 J
   G01C21/26 C
   B60H3/00 F
   A61L9/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-163261(P2015-163261)
(22)【出願日】2015年8月20日
(65)【公開番号】特開2017-39426(P2017-39426A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】助川 諒
【審査官】 町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3094787(JP,U)
【文献】 特開2002−359671(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3186240(JP,U)
【文献】 特開平01−214368(JP,A)
【文献】 特開平04−288164(JP,A)
【文献】 特開平05−286355(JP,A)
【文献】 特開2014−016893(JP,A)
【文献】 特開2013−018361(JP,A)
【文献】 特開2001−349739(JP,A)
【文献】 特開2007−320352(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/037873(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0098860(US,A1)
【文献】 特開2004−142611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 3/00
A61L 9/00
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載される芳香システムであって、
前記自動車の車室内に芳香を放出する芳香装置と、
前記自動車の車室内の臭いの強さを検出する臭い検出手段と、
前記芳香装置による芳香の放出を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、芳香を継続的または間欠的に放出する芳香放出動作を前記芳香装置に行わせているときに、ユーザから食事モードの設定を受け付けたときに、前記芳香装置の芳香放出動作を停止し、前記臭い検出手段が検出している臭いの強さを基準臭い強さとして取得すると共に、その後、前記臭い検出手段が検出している臭いの強さが、前記基準臭い強さよりも所定レベル低下したときに、前記芳香装置の芳香放出動作を再開させることを特徴とする芳香システム。
【請求項2】
請求項1記載の芳香システムであって、
前記芳香装置は、前記自動車の車室内に消臭剤を放出する機能を備え、
前記制御手段は、前記臭い検出手段が検出している臭いの強さが、前記基準臭い強さよりも所定レベル低下したときに、前記芳香装置の芳香放出動作の再開に先だって、前記芳香装置に前記消臭剤の放出を実行させることを特徴とする芳香システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の芳香システムであって、
前記自動車の車室内の空気を清浄する空気清浄装置を備え、
前記制御手段は、前記芳香放出動作を前記芳香装置に行わせているときに、前記ユーザから食事モードの設定を受け付けたときに、前記空気清浄装置に前記空気の清浄動作を開始させることを特徴とする芳香システム。
【請求項4】
自動車に搭載される芳香システムであって、
現在位置を算出する現在位置算出手段と、
設定された目的地までのルート、または、設定された目的地までの設定された経由地を経由するルートを設定するルート設定手段と、
前記ルート設定手段が設定したルートに従った前記自動車の走行を案内するルート案内手段と、
各施設について設けられた、当該施設の位置と当該施設が料理をテイクアウト可能な施設であるか否かを示す施設情報が格納された施設データベースと、
料理をテイクアウト可能な施設であることを前記施設情報が示す施設が、前記経由地または目的地に設定されているときに、当該テイクアウト可能な施設である経由地または目的地に到達するまでの所要走行時間を算出する所要走行時間算出手段と、
前記自動車の車室内に芳香を放出する芳香装置と、
前記芳香装置による芳香の放出を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、芳香を継続的または間欠的に放出する芳香放出動作を前記芳香装置に行わせているときに、前記所要走行時間算出手段が算出した所要走行時間が所定時間以下となったときに、前記芳香装置の芳香放出動作を停止することを特徴とする芳香システム。
【請求項5】
自動車に搭載される芳香システムであって、
現在位置を算出する現在位置算出手段と、
料理をテイクアウト可能な施設の位置が登録された施設データベースと、前記現在位置算出手段が算出した現在位置とに基づいて、料理をテイクアウト可能な施設に前記自動車が駐停車したことを検出する施設駐停車検出手段と、
前記自動車の車室内に芳香を放出する芳香装置と、
前記芳香装置による芳香の放出を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、芳香を継続的または間欠的に放出する芳香放出動作を前記芳香装置に行わせているときに、前記施設駐停車検出手段が前記料理をテイクアウト可能な施設に前記自動車が駐停車したことを検出したときに、前記芳香装置の芳香放出動作を停止することを特徴とする芳香システム。
【請求項6】
自動車に搭載される芳香システムであって、
現在位置を算出する現在位置算出手段と、
料理をテイクアウト可能な施設の位置が登録された施設データベースと、前記現在位置算出手段が算出した現在位置とに基づいて、料理をテイクアウト可能な施設に前記自動車が駐停車している期間を検出する施設駐停車検出手段と、
前記自動車の車室内に芳香を放出する芳香装置と、
前記芳香装置による芳香の放出を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、芳香を継続的または間欠的に放出する芳香放出動作を前記芳香装置に行わせているときに、所定の時間より短い期間を、前記施設駐停車検出手段が検出した場合に、前記芳香装置の芳香放出動作を停止することを特徴とする芳香システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車室内に芳香を供給する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車室内に芳香を供給する技術としては、自動車室内に芳香剤を放出する芳香システムが知られている(たとえば、特許文献1)。
また、室内に芳香を供給する技術としては、異なる芳香を放つ複数の芳香剤溶液のタンクを備え、状況に応じた芳香を室内に放出する芳香システムも知られている(たとえば、特許文献2、3)。
【0003】
また、自動車室内の臭いを臭いセンサで検出し、検出した臭いの強さに応じて空気清浄を行う技術も知られている(たとえば、特許文献4、5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-142611号公報
【特許文献2】特開2001-349739号公報
【特許文献3】特開2010- 22641号公報
【特許文献4】特開平8 -324235号公報
【特許文献5】特開平9 -309328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車の搭乗者が車室内で食事をする場合、料理以外の香りは食事の妨げとなる。
そして、芳香システムによる芳香供給動作が稼働している自動車の搭乗者が、車室内で食事期間中のみ料理以外の香りの無い環境で食事を行うためには、食事を開始する前に、芳香システムの芳香供給動作を停止させる操作を行った上で食事を行い、食事完了後に芳香システムの芳香供給動作を再開させるという煩雑な操作をユーザが行う必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、自動車室内に芳香を供給する芳香システムにおいて、ユーザが、より容易に、料理以外の香りの無い環境で食事を楽しむことができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される芳香システムに、前記自動車の車室内に芳香を放出する芳香装置と、前記自動車の車室内の臭いの強さを検出する臭い検出手段と、前記芳香装置による芳香の放出を制御する制御手段とを備えたものである。ここで、前記制御手段は、芳香を継続的または間欠的に放出する芳香放出動作を前記芳香装置に行わせているときに、前記ユーザから食事モードの設定を受け付けたときに、前記芳香装置の芳香放出動作を停止し、前記臭い検出手段が検出している臭いの強さを基準臭い強さとして取得すると共に、その後、前記臭い検出手段が検出している臭いの強さが、前記基準臭い強さよりも所定レベル低下したときに、前記芳香装置の芳香放出動作を再開させるものである。
【0008】
ここで、このような芳香システムであって、前記芳香装置に、前記自動車の車室内に消臭剤を放出する機能を備え、前記制御手段において、前記臭い検出手段が検出している臭いの強さが、前記基準臭い強さよりも所定レベル低下したときに、前記芳香装置の芳香放出動作の再開に先だって、前記芳香装置に前記消臭剤の放出を実行させるように構成してもよい。
【0009】
また、以上の芳香システムは、当該芳香システムに前記自動車の車室内の空気を清浄する空気清浄装置を備えると共に、前記制御手段において、前記芳香放出動作を前記芳香装置に行わせているときに、前記ユーザから食事モードの設定を受け付けたときに、前記空気清浄装置に前記空気の清浄動作を開始させるように構成してもよい。
【0010】
これらのような芳香システムによれば、ユーザが食事モードを設定すると、制御手段は、芳香の放出を停止した上で、車室内の臭いの強さの変化に基づいて食事の終了を監視し、食事の終了が検出されたならば、芳香の放出を再開する。よって、ユーザは、食事に際して、食事モードを設定するだけで、食事期間中の芳香の放出停止と、食事終了後の車室内の芳香環境の復帰とを行うことができる。
【0011】
また、前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される芳香システムに、現在位置を算出する現在位置算出手段と、設定された目的地までのルート、または、設定された目的地までの設定された経由地を経由するルートを設定するルート設定手段と、前記ルート設定手段が設定したルートに従った前記自動車の走行を案内するルート案内手段と、各施設について設けられた、当該施設の位置と当該施設が料理をテイクアウト可能な施設であるか否かを示す施設情報が格納された施設データベースと、料理をテイクアウト可能な施設であることを前記施設情報が示す施設が、前記経由地または目的地に設定されているときに、当該テイクアウト可能な施設である経由地または目的地に到達するまでの所要走行時間を算出する所要走行時間算出手段と、前記自動車の車室内に芳香を放出する芳香装置と、前記芳香装置による芳香の放出を制御する制御手段とを設けたものである。ここで、前記制御手段は、芳香を継続的または間欠的に放出する芳香放出動作を前記芳香装置に行わせているときに、前記所要走行時間算出手段が算出した所要走行時間が所定時間以下となったときに、前記芳香装置の芳香放出動作を停止するものである。
【0012】
また、前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される芳香システムに、現在位置を算出する現在位置算出手段と、料理をテイクアウト可能な施設の位置が登録された施設データベースと、前記現在位置算出手段が算出した現在位置とに基づいて、料理をテイクアウト可能な施設に前記自動車が駐停車したことを検出する施設駐停車検出手段と、前記自動車の車室内に芳香を放出する芳香装置と、前記芳香装置による芳香の放出を制御する制御手段とを備えたものである。ここで、前記制御手段は、芳香を継続的または間欠的に放出する芳香放出動作を前記芳香装置に行わせているときに、前記施設駐停車検出手段が前記料理をテイクアウト可能な施設に前記自動車が駐停車したことを検出したときに、前記芳香装置の芳香放出動作を停止する。
【0013】
また、前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される芳香システムに、現在位置を算出する現在位置算出手段と、料理をテイクアウト可能な施設の位置が登録された施設データベースと、前記現在位置算出手段が算出した現在位置とに基づいて、料理をテイクアウト可能な施設に前記自動車が駐停車している期間を検出する施設駐停車検出手段と、前記自動車の車室内に芳香を放出する芳香装置と、前記芳香装置による芳香の放出を制御する制御手段とを備えたものである。ここで、前記制御手段は、芳香を継続的または間欠的に放出する芳香放出動作を前記芳香装置に行わせているときに、所定の時間より短い期間を、前記施設駐停車検出手段が検出した場合に、前記芳香装置の芳香放出動作を停止するものである。
【0014】
これらのような芳香システムによれば、ユーザが施設で料理をテイクアウトすることが予測される場合には自動的に芳香の放出を停止する。よって、ユーザは特段の操作を行うことなく、芳香剤による余計な芳香がない車室内で、テイクアウトした料理を食することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、ユーザが、より容易に、料理以外の香りの無い環境で食事を楽しむことができる芳香システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る地図データの構成を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る車載システムの表示画面を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る食事モード時芳香制御処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態に係る通常モード時芳香制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、第1の実施形態について説明する。
図1に、本第1実施形態に係る車載システム1の構成を示す。
車載システム1は閉塞可能な車室のある自動車に搭載されるシステムであり、ナビゲーションシステム101、記憶装置102、芳香装置103、イオン発生装置などの空気清浄装置104、車室内の臭いの強さを計測する臭いセンサ105、GPS受信機やAV装置や自動車の状態を検出する各種センサなどの周辺装置106、タッチパネルなどの入力装置107、液晶表示装置などの表示装置108、音声を出力する音声出力装置109、制御装置110を備えている。
【0018】
ここで、芳香装置103は、1つまたは複数の芳香剤溶液のタンクを備えており、制御装置110に制御に従って、制御装置110から放出を指定された芳香剤溶液を蒸気化または霧化して拡散することにより車室内に芳香を放出することができる。また、芳香装置103は、消臭剤溶液のタンクも備えており、制御装置110に制御に従って、消臭剤溶液を蒸気化または霧化して拡散することにより車室内の消臭を行うことができる。
【0019】
次に、記憶装置102には、ナビゲーションシステム101が使用するデータとして、図2に示す、道路地図を表す地図データと施設データベースとが記憶されている。
また、図示するように、施設データベースには、複数の施設の各々に対して設けられた施設データが含まれており、各施設データには、施設の識別子となる施設ID、施設のレストランやファーストフード店やガソリンスタンドといった種別を表す施設種別、施設の名称を表す施設名称、施設の位置を表す施設座標、施設の電話番号を表す施設電話番号、施設の住所を表す施設住所、その他の施設の情報を表すその他施設属性が登録されている。
【0020】
ここで、料理を提供する施設の、その他施設属性には、その施設がテイクアウトできる料理を提供しているか否かの情報が登録されている。
次に、ナビゲーションシステム101は、周辺装置106として備えたGPS受信機や自動車の状態を検出する各種センサで計測した現在位置の計測値と地図データとのマップマッチングによる現在位置の算定や、入力装置107に対するユーザ操作に応じた目的地や経由地の設定や、設定した目的地までの設定した経由地を経由するルートの探索や、探索したルートの推奨ルートとしての設定や、ユーザに対する現在位置や、推奨ルートの案内などを行う。ここで、ナビゲーションシステム101は、現在位置や、目的地までの推奨ルートの案内を、現在位置周辺の地図上に現在位置や推奨ルートや目的地を表す図形を配置した、図3に示すようなナビゲーション画面300を制御装置110を介して表示装置108に表示することにより行う。
【0021】
ここで、ナビゲーションシステム101は、上述した施設データベースを利用した目的地や経由地の設定を受け付けることもできる。すなわち、たとえば、ナビゲーションシステム101は、制御装置110を介して入力装置107や表示装置108を利用しながら、ユーザから入力装置107を介して施設の検索条件を受け付けて、検索条件にマッチした施設を施設データベースから抽出し、抽出した施設の一覧を表示装置108に表示し、一覧上でユーザによって選択された施設を、ユーザの指定に応じて目的地や経由地に設定する動作を行う。
【0022】
以下、このような車載システム1において、車室内の芳香を制御する動作について説明する。
まず、制御装置110は、図3に示すようなアロマメニュー310の「通常」ボタン311、「食事」ボタン312、「おやすみ」ボタン313の操作をユーザから受け付け、「通常」ボタン311の操作を受け付けた場合にはアロマモードとして通常モードを設定し、「食事」ボタン312の操作を受け付けた場合にはアロマモードとして食事モードを設定し、「おやすみ」ボタン313の操作を受け付けた場合にはアロマモードとしておやすみモードを設定する。
【0023】
そして、制御装置110は、アロマモードとして通常モードを設定しているときには、所定の時間間隔で間欠的に芳香装置103に芳香を車室内に放出させる処理を行い、アロマモードとしておやすみモードを設定しているときには、通常モードのときよりも長い時間間隔で間欠的に芳香装置103に芳香を車室内に放出させる処理を行う。ただし、制御装置110は、アロマモードとして通常モードを設定しているときには、継続的に芳香装置103に芳香を車室内に放出させる制御を行うものであってもよい。
【0024】
そして、制御装置110は、アロマモードとして、食事モードが設定されたときには、以下に示す食事モード時方向制御処理を行う。
図4に、この食事モード時芳香制御処理の手順を示す。
図示するように、食事モード時芳香制御処理において、制御装置110は、芳香装置103の芳香の放出を停止する(ステップ402)。
また、臭いセンサ105から車室内の臭いの計測値を取得し(ステップ404)、取得した計測値を基準値に設定する(ステップ406)。そして、空気清浄装置104による空気清浄動作を開始させる(ステップ408)。
【0025】
次に、臭いセンサ105から車室内の臭いの計測値を取得し(ステップ410)、取得した計測値が基準値のK倍未満であるかどうかを判定する(ステップ412)処理を、取得した計測値が基準値のK倍未満となるまで繰り返す。ここで、Kは、1未満の値であり、基準値のK倍の計測値が計測されたときの臭いの強さが、基準値が計測値として計測されたときの臭いの強さよりも、顕在的に減少した強さとなるように設定する。すなわち、たとえば、K=0.75とする。なお、車室内で行われた食事の臭いは、食事完了後は、空気清浄装置104の空気清浄動作の作用により、または、経時変化により徐々に低下していく。したがって、食事開始時と推定できる食事モード設定時の臭いの強さよりも、所定レベル臭いの強さが低下したことをステップ412で検出することにより、食事の完了を検出することができる。
【0026】
そして、取得した計測値が基準値のK倍未満となったならば(ステップ412)、空気清浄装置104の空気清浄動作を停止する(ステップ414)。また、芳香装置103に消臭剤溶液を車室内に拡散させる(ステップ416)。
【0027】
そして、アロマモードを、食事モードが設定される前のモードに復帰し(ステップ418)、食事モード時芳香制御処理を終了する。ここで、ステップ418のモードの復帰によって、アロマモードは通常モードまたはおやすみモードに設定され、芳香装置103による定期的または継続的な芳香の放出が再開される。
【0028】
以上、本発明の第1実施形態について説明した。
以上のように本第1実施形態によれば、ユーザがアロマモードとして食事モードを設定すると、制御装置110は芳香の放出を停止した上で、臭いセンサ105の計測値に基づいて食事の終了を監視し、食事の終了が検出されたならば、消臭剤溶液を放出して食事の臭いを消臭した上で、食事モード設定前のモードにアロマモードを復帰する。よって、ユーザは、食事に際して、食事モードを設定するだけで、食事期間中の芳香の放出停止と、食事終了後の車室内の芳香環境の復帰とを行うことができる。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本第2実施形態は、上述した第1実施形態における制御装置110の、アロマモードとして食事モードが設定されているときの処理と、アロマモードとして通常モードが設定されているときの処理を変更したものである。
【0030】
すなわち、本第2実施形態では、制御装置110は、アロマモードとして食事モードが設定されているときには、芳香装置103の芳香の放出を停止し、空気清浄装置104に空気清浄動作を行わせる。
【0031】
また、本第2実施形態では、制御装置110は、アロマモードとして通常モードが設定されたならば、図5に示す通常モード時芳香制御処理を行う。
すなわち、図5に示すように、通常モード時芳香制御処理において制御装置110は、まず、定期芳香供給処理を起動する(ステップ502)。ここで、起動された定期芳香供給処理では、定期的に芳香装置103に芳香を車室内に放出させる。
【0032】
そして、定期芳香供給処理を起動したならば(ステップ502)、次に、ナビゲーションシステム101に目的地または経由地として、テイクアウトできる料理を提供している施設が設定されているかどうかを、ルートが設定されているかどうかや、目的地または経由地として設定されている地点が施設であるかどうかや、目的地または経由地として設定されている施設の施設データのその他施設属性にテイクアウトできる料理を提供していることを表す情報が登録されているかどうか等に基づいて判定し(ステップ504)、目的地または経由地として、テイクアウトできる料理を提供している施設が設定されていない場合にはステップ514の処理に進む。
【0033】
一方、目的地または経由地として、テイクアウトできる料理を提供している施設が設定されている場合には(ステップ504)、当該テイクアウトできる料理を提供している施設に到達するまでの予想所要時間がしきい値Ta(たとえば、10分)未満であるかどうかをナビゲーションシステム101に問い合わせて調べ(ステップ506)、予想所要時間がしきい値Ta(たとえば、10分)未満で無ければ、ステップ514の処理に進む。
【0034】
一方、目的地または経由地として設定されているテイクアウトできる料理を提供している施設までの予想所要時間がしきい値Ta(たとえば、10分)未満であれば(ステップ506)、定期芳香供給処理を終了して芳香装置103の芳香の放出を停止し(ステップ508)、アロマモードを食事モードに設定する(ステップ510)。そして、アロマモードを食事モードに切り替えたことを通知する音声メッセージを音声出力装置109から出力し(ステップ512)、通常モード時芳香制御処理を終了する。なお、テイクアウトできる料理を提供している施設の到着時刻よりも、しきい値Ta相当時間前の時刻に食事モードを設定するのは、このようにすることにより当該施設に到着してテイクアウトした料理の食事を開始するまでに芳香が充分に弱まることが期待できるからである。
【0035】
一方、上述のようにしてステップ504またはステップ506からステップ514に進んだならば、ナビゲーションシステム101に、現在自動車が、テイクアウトできる料理を提供している施設に駐停車中であるかどうかを問い合わせることにより調べ(ステップ514)、駐停車中で無ければ、ステップ504からの処理に戻る。なお、ナビゲーションシステム101は、自動車の状態を検出する各種センサの検出値(たとえば、サイドブレーキの制動状態)と、現在位置と、その他施設属性にテイクアウトできる料理を提供していることを表す情報が登録されている施設データとに基づいて、現在自動車が、テイクアウトできる料理を提供している施設に駐停車中であるかどうかを判定する。
【0036】
また、現在自動車が、テイクアウトできる料理を提供している施設に駐停車中である場合には(ステップ514)、駐停車している期間のしきい値Tb(たとえば、15分)の超過の発生と(ステップ516)、自動車の走行開始の発生と(ステップ518)を監視する。
【0037】
そして、駐停車している期間のしきい値Tb(たとえば、15分)の超過が発生した場合には(ステップ516)、ステップ504からの処理に戻る。
一方、自動車の走行開始が発生した場合には(ステップ518)、定期芳香供給処理を終了して芳香装置103の芳香の放出を停止し(ステップ508)、アロマモードを食事モードに設定する(ステップ510)。そして、アロマモードを食事モードに切り替えたことを通知する音声メッセージを音声出力装置109から出力し(ステップ512)、通常モード時芳香制御処理を終了する。
【0038】
以上、制御装置110が行う通常モード時芳香制御処理について説明した。
ここで、以上のような通常モード時芳香制御処理は、現在自動車が、テイクアウトできる料理を提供している施設に駐停車中であると判定されたならば(ステップ514)、そのままステップ508に進んで、定期芳香供給処理を終了し(ステップ508)、アロマモードを食事モードに設定する(ステップ510)ように修正して実施してもよい。
【0039】
なお、図5に示した通常モード時芳香制御処理は、ユーザによってアロマモードが他のモードに切り替えられたときにも終了する。
以上のように、本第2実施形態によれば、ユーザがテイクアウトできる料理を提供している施設で料理をテイクアウトすることが予測される場合には自動的に芳香の放出を停止する。よって、ユーザは特段の操作を行うことなく、芳香剤による余計な芳香がない車室内で、テイクアウトした料理を食することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…車載システム、101…ナビゲーションシステム、102…記憶装置、103…芳香装置、104…空気清浄装置、105…センサ、106…周辺装置、107…入力装置、108…表示装置、109…音声出力装置、110…制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5