特許第6533142号(P6533142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533142
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 23/00 20060101AFI20190610BHJP
   B60K 20/02 20060101ALI20190610BHJP
   G05G 1/04 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
   B60K23/00 K
   B60K20/02 Z
   G05G1/04 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-203052(P2015-203052)
(22)【出願日】2015年10月14日
(65)【公開番号】特開2017-74840(P2017-74840A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 しのぶ
【審査官】 木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−54527(JP,A)
【文献】 特開2014−82651(JP,A)
【文献】 特開2003−260948(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/108987(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第2277736(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0032186(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 23/00
B60K 20/02
G05G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動モードを備えた車両のシフト装置において、
操作媒体であるマウス型のシフターと、表示器とを備え、
前記自動モードのとき、前記表示器に前記シフターを自車に見立てた表示を行う表示制御手段を備えた
ことを特徴とするシフト装置。
【請求項2】
前記シフターは前後方向に操作可能であり、
前記表示制御手段は、前記自動モードのとき、前記シフターを前方に向けて操作した場合に車両速度がアップされることを連想させる表示を行うとともに、前記シフターを後方に向けて操作した場合に車両速度がダウンされることを連想させる表示を行う
請求項1に記載のシフト装置。
【請求項3】
前記シフターは左右方向に操作可能であり、
前記表示制御手段は、前記自動モードのとき、前後方向に延びる2本以上の車線を左右方向に並べて表示するとともに、自車に見立てた前記シフターを前記2本以上の車線のうち走行車線に配置しつつ、前記シフターを左方に向けて操作した場合に左車線に車線変更されることを連想させる表示を行うとともに、前記シフターを右方に向けて操作した場合に右車線に車線変更されることを連想させる表示を行う
請求項1又は2に記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動モードを備えた車両のシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転中の車両の速度を、アクセルペダルを踏むことなく一定に維持する機能、いわゆるクルーズコントロール機能を備えた車両のシフト装置が開示されている。上記機能による自動モードの発展型として、先行車との車間距離をレーダー等で測距し、自動的に速度を調節して追随する機能、いわゆるアダプティブクルーズコントロール(ACC)機能を備えた車両も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−161188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転車両において、ドライバーがステアリングから手を離す状態を想定したとき、ステアリングは自動操舵状態で回転動作することになる。この場合、ステアリング或いはその周辺のレバーに設けられたスイッチの操作を通じて車両速度或いは走行車線の変更を行うのでは、操作性がよいとはいえない。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、自動モード時の操作性を向上することを可能にしたシフト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するシフト装置は、自動モードを備えた車両のシフト装置において、操作媒体であるマウス型のシフターと、表示器とを備え、前記自動モードのとき、前記表示器に前記シフターを自車に見立てた表示を行う表示制御手段を備えたことをその要旨としている。
【0007】
この構成によれば、自動モード時には、マウス型のシフター(操作媒体)が自車に見立てられる。これにより、自車に必要なシフト操作を直感的にイメージできるようになる。したがって、自動モード時の操作性を向上できる。
【0008】
上記シフト装置について、前記シフターは前後方向に操作可能であり、前記表示制御手段は、前記自動モードのとき、前記シフターを前方に向けて操作した場合に車両速度がアップされることを連想させる表示を行うとともに、前記シフターを後方に向けて操作した場合に車両速度がダウンされることを連想させる表示を行うこととしてもよい。
【0009】
この構成によれば、自動モード時には、シフターを前後方向に操作することで車両速度の変更が可能であることを前提に、それを直感的にイメージできるようになる。したがって、車両速度変更時の操作性を向上できる。
【0010】
上記シフト装置について、前記シフターは左右方向に操作可能であり、前記表示制御手段は、前記自動モードのとき、前後方向に延びる2本以上の車線を左右方向に並べて表示するとともに、自車に見立てた前記シフターを前記2本以上の車線のうち走行車線に配置しつつ、前記シフターを左方に向けて操作した場合に左車線に車線変更されることを連想させる表示を行うとともに、前記シフターを右方に向けて操作した場合に右車線に車線変更されることを連想させる表示を行うこととしてもよい。
【0011】
この構成によれば、自動モード時には、シフターを左右方向に操作することで走行車線の変更が可能であることを前提に、それを直感的にイメージできるようになる。したがって、車線変更時の操作性を向上できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自動モード時の操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】自動運転モードを備えた車両のシフト装置を示す構成図。
図2】(a)は手動運転モード時の表示内容を示す図、(b)は自動運転モード時の表示内容を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、シフト装置の一実施の形態について説明する。
図1に示すように、シフト装置1は、自動運転モードを備えた車両に搭載され、操作媒体であるマウス型のシフター2と、ディスプレイ、LED照明或いはプロジェクタ等による表示器3とを備える。表示器3は、表示制御手段であるECU(electronic control unit )4の制御を受けて、運転モードに応じた表示を行う。運転モードには、自動操舵及び制動及び加速が一括設定される自動運転モードの他、操舵及び制動及び加速がそれぞれ手動による手動運転モードが含まれる。
【0015】
シフター2は前後左右の各方向に操作可能であり、手動運転モードにおいて、駐車(P)ポジション、後進(R)ポジション、中立(N)ポジション、前進(D)ポジションの他、自動走行(AP)ポジションを選択可能である。手動運転モードでは、各機能ポジションを示すシンボル(P、R、N、D、AP)が表示器3に表示される。そして、実際に選択された機能ポジションを示すシンボルが他のシンボルに比べて修飾表示され、また、シフター2の上面中央には当該選択された機能ポジションを示すシンボルがシフター2の右横のシンボルよりも大きな文字で且つ修飾を伴って表示される。これにより、選択状態の機能ポジションを示すシンボルが強調表示される。尚、図の例では、前進(D)ポジションが選択されている。
【0016】
そして、前進(D)ポジションの選択状態からシフター2を右方に向けて操作すると、自動走行(AP)ポジションの選択状態となり、このとき、「D」のシンボルに代わって「AP」のシンボルが強調表示される。自動走行(AP)ポジションを選択すると、自動運転モードに移行し、自動操舵及び制動及び加速が一括設定される。これにより、ステアリング及びブレーキペダル及びアクセルペダルの操作を必要としない自動運転が可能になる。
【0017】
自動運転モードでは、シフター2を自車に見立てた表示(詳細は後述する)が行われる。そして、自動運転モードでブレーキペダル或いはステアリングを操作すると、自動運転モードがキャンセルされ、手動運転モードに移行する。
【0018】
次に、シフト装置1の作用について説明する。
図2(a)に示すように、手動運転モードにおいて、前進(D)ポジションの選択状態から自動走行(AP)ポジションを選択すると、自動運転モード(APモード)に設定される。
【0019】
図2(b)に示すように、自動運転モードのとき、表示器3には、前後方向に延びる3本の車線が左右方向に並ぶように表示されるとともに、自車に見立てられたシフター2が当該3本の車線のうち中央の車線に配置される。また、シフター2の上面中央には、当該シフター2を前後左右の各方向に操作可能であることを示唆する合計4つの二等辺三角印のシンボルが、それぞれの頂点を各方向に向けて表示される。
【0020】
本例では、シフター2が自車に見立てられているので、頂点が前方を向く二等辺三角印のシンボルに倣い、シフター2を前方に向かって操作すれば、自車が今よりも速く進むこと、つまり車両速度がアップされることが連想される。そして、実際にシフター2を前方に向かって操作すると、1回の操作の度に、ACC機能の設定速度が時速5キロメートルだけアップされる。
【0021】
同様に、頂点が後方を向く二等辺三角印のシンボルに倣い、シフター2を後方に向かって操作すれば、自車が今よりも遅く進むこと、つまり車両速度がダウンされることが連想される。そして、実際にシフター2を後方に向かって操作すると、1回の操作の度に、ACC機能の設定速度が時速5キロメートルだけダウンされる。
【0022】
また、頂点が左方を向く二等辺三角印のシンボルに倣い、シフター2を左方に向かって操作すれば、自車が今よりも左側の車線を走行すること、つまり左車線に車線変更されることが連想される。そして、実際にシフター2を左方に向かって操作すると、1回の操作の度に、左隣の車線への自動車線変更設定が行われる。
【0023】
同様に、頂点が右方を向く二等辺三角印のシンボルに倣い、シフター2を右方に向かって操作すれば、自車が今よりも右側の車線を走行すること、つまり右車線に車線変更されることが連想される。そして、実際にシフター2を右方に向かって操作すると、1回の操作の度に、右隣の車線への自動車線変更設定が行われる。
【0024】
尚、自動運転モードでブレーキペダル或いはステアリングを操作すると、自動運転モードがキャンセルされ、このとき、図2(a)に示す手動運転モードの表示に戻る。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0025】
(1)自動運転モード時には、マウス型のシフター2(操作媒体)が自車に見立てられる。これにより、自車に必要なシフト操作を直感的にイメージできるようになる。したがって、自動運転モード時の操作性を向上できる。
【0026】
(2)自動運転モード時には、シフター2を前後方向に操作することで車両速度の変更が可能であることを前提に、それを直感的にイメージできるようになる。したがって、車両速度変更時の操作性を向上できる。
【0027】
(3)自動運転モード時には、シフター2を左右方向に操作することで走行車線の変更が可能であることを前提に、それを直感的にイメージできるようになる。したがって、車線変更時の操作性を向上できる。
【0028】
(4)手動運転モードで自動走行(AP)ポジションを選択することで、自動運転モードに切り替えることができる。
(5)自動運転モードでブレーキペダル或いはステアリングを操作すると、自動運転モードがキャンセルされる。したがって、ドライバーの意志を的確に運転モードに反映できる。
【0029】
(6)運転モードに応じた表示制御が行われる。したがって、車両の機能に詳しくないユーザーでも簡単に操作できる。
(7)ステアリングが自動操舵状態で回転動作する場合でも、シフター2を操作することで自動運転モード時の設定変更を簡単に行える。
【0030】
(8)手動運転モード時には、従来と同様のシフトパターンによる表示が行われる。したがって、従来通りの入力操作により機能ポジションを選択できる。
尚、上記実施の形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0031】
・上記実施の形態では、左車線への車線変更と右車線への車線変更が共に可能な場合を想定した。これに代えて、表示器3に2本の車線を表示するとともに、自車に見立てたシフター2を2本の車線のうち走行車線に配置しつつ、左右いずれかへの車線変更が可能であることを連想させる表示を行ってもよい。
【0032】
・ナビゲーションの情報やカメラの情報によって周囲の情報を取得し、周囲の情報に合わせて、例えば1車線しかない場合には、車線変更ができないことを連想させる表示を行ってもよい。この場合、シフター2の上面中央には、当該シフター2を前後の各方向に操作可能であることを示唆する合計2つの二等辺三角印のシンボルが、それぞれの頂点を各方向に向けて表示されることになる。
【0033】
・二等辺三角印のシンボルに代えて、シフター2を操作可能な方向を向く矢印のシンボルを表示してもよい。
・車両速度のアップ/ダウンをシフター2の操作回数に代えて操作時間により設定できるようにしてもよい。
【0034】
・シフター2の前後方向への操作を、先行車との車間距離の設定に割り当ててもよい。この場合、シフター2を前方に向けて操作した場合に車間距離が縮まることを連想させるべく、例えば上記実施の形態と同様の表示を行うとともに、シフター2を後方に向けて操作した場合に車間距離が広がることを連想させるべく、例えば上記実施の形態と同様の表示を行う。
【0035】
・自動モードとして自動駐車モードを備えた車両のシフト装置に本発明を適用してもよい。
次に、上記実施の形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
【0036】
(イ)シフト装置において、前記表示制御手段は、前記自動モードでブレーキペダル或いはステアリングが操作されたことを契機に、手動モードの表示を行うこと。
(ロ)シフト装置において、前記手動モードの表示は、前記シフターの操作により選択可能な複数の機能ポジションを示すシンボルの表示であること。
【0037】
(ハ)シフト装置において、前記機能ポジションは、前記自動モードへの切替ポジションを含むこと。
【符号の説明】
【0038】
1…シフト装置、2…マウス型のシフター(操作媒体)、3…表示器、4…ECU(表示制御手段)。
図1
図2