特許第6533260号(P6533260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533260
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】作業車協調システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20190610BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20190610BHJP
   A01B 69/04 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
   G05D1/02 N
   A01B69/00 303F
   A01B69/00 303M
   A01B69/04
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-187445(P2017-187445)
(22)【出願日】2017年9月28日
(62)【分割の表示】特願2014-153901(P2014-153901)の分割
【原出願日】2014年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-5941(P2018-5941A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2017年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松崎 優之
(72)【発明者】
【氏名】新海 敦
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 安久
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0112730(US,A1)
【文献】 米国特許第06732024(US,B2)
【文献】 特開平06−175722(JP,A)
【文献】 特開平11−039036(JP,A)
【文献】 特開平11−266608(JP,A)
【文献】 特開平05−158537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
A01B 69/00
A01B 69/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人操縦可能な子作業車と有人操縦される親作業車とにより、中央作業地と前記中央作業地の周囲に位置する枕地とに対して対地作業を行う作業車協調システムであって、
前記親作業車の位置を検出する親位置検出モジュールと、
前記子作業車の位置を検出する子位置検出モジュールと、
前記子作業車の前記中央作業地での無人操縦作業走行のために用いられる中央作業地走行経路を算定する中央作業地経路算定部と、
前記子位置検出モジュールによって検出された子作業車位置と前記中央作業地走行経路とに基づいて前記子作業車を前記親作業車に先行して無人操縦する第1操縦制御部と
前記親作業車の前記枕地での作業走行軌跡に基づいて前記子作業車の無人操縦走行のために用いられる枕地走行経路を算定する枕地経路算定部と、
前記子位置検出モジュールによって検出された子作業車位置と前記枕地走行経路とに基づいて前記子作業車を前記親作業車に追従するように無人操縦する第2操縦制御部と、を備え、
前記親作業車及び前記子作業車は、互いに異なるタイプの作業装置を有していると共に、前記中央作業地において互いに同一の走行経路を走行する作業車協調システム。
【請求項2】
前記親作業車及び前記子作業車は、前記中央作業地における直線状の走行と、前記枕地における転回走行と、を繰り返し行い、
前記親作業車による前記転回走行の走行経路と、前記子作業車による前記転回走行の走行経路と、は互いに異なっている請求項1に記載の作業車協調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人操縦可能な子作業車と有人操縦される親作業車とにより、中央作業地と前記中央作業地の周囲に位置する枕地とに対して対地作業を行う作業車協調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
親作業車の実際の走行位置に基づいて順次目標走行位置を決定し、その目標走行位置を目指して子作業車を操縦する車両制御システムが、特許文献1から知られている。この車両制御システムでは、親作業車に対して設定されたX(経度)方向とY(緯度)方向とのオフセット量を維持するように子作業車を親作業車に追従させる制御モードや親作業車の走行軌跡を作業幅分だけ平行移動させることによって得られる走行経路を目標走行経路として子作業車を親作業車に追従させる制御モードなどが開示されている。
【0003】
特許文献1による追従制御では、広大な作業地における作業を意図しており、畦等によって境界づけられた比較的狭い面積の田畑などを作業地とする対地作業は意図されていない。そのような作業地(圃場)での対地作業、特に農作を対象とする対地作業は、作業地の中央領域(中央作業地)に対して直進作業走行とUターンとを繰り返して走行する中央作業地走行と、中央作業地の周囲に規定される枕地作業走行領域(枕地と呼ばれる)を回りながら作業する枕地走行とに分けて行われる。このため、作業地は、予め中央作業地と、枕地とに区分けされる。中央作業地走行と枕地走行とでは、異なる操縦が要求される。
【0004】
中央作業地走行と枕地走行とに対する、耕耘作業などの対地作業を、単独の無人作業車によって行うことは、例えば特許文献2から知られている。しかしながら、直線走行が主となる中央作業地走行と、複雑な旋回操舵が含まれる枕地走行とを、親作業車と子作業車とを連係させる作業車協調制御で効果的に実現するためには、特許文献1や特許文献2に開示されている制御を単に組み合わせるだけでは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許6,732,024号公報
【特許文献2】特開平11−266608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記実情から、中央作業地と枕地とを対象とする対地作業走行を、親作業車と子作業車との効果的な連係によって実現させる作業車協調制御システムが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
無人操縦可能な子作業車と有人操縦される親作業車とにより、中央作業地と前記中央作業地の周囲に位置する枕地とに対して対地作業を行う、本発明による作業車協調システムは、前記親作業車の位置を検出する親位置検出モジュールと、前記子作業車の位置を検出する子位置検出モジュールと、前記子作業車の前記中央作業地での無人操縦作業走行のために用いられる中央作業地走行経路を算定する中央作業地経路算定部と、前記子位置検出モジュールによって検出された子作業車位置と前記中央作業地走行経路とに基づいて前記子作業車を前記親作業車に先行して無人操縦する第1操縦制御部と、前記親作業車の前記枕地での作業走行軌跡に基づいて前記子作業車の無人操縦走行のために用いられる枕地走行経路を算定する枕地経路算定部と、前記子位置検出モジュールによって検出された子作業車位置と前記枕地走行経路とに基づいて前記子作業車を前記親作業車に追従するように無人操縦する第2操縦制御部と、を備え、前記親作業車及び前記子作業車は、互いに異なるタイプの作業装置を有していると共に、前記中央作業地において互いに同一の走行経路を走行する。
【0008】
この構成によれば、直線走行が主となる中央作業地走行は、無人操縦される子作業車が親作業車に先行する。親作業車の運転者は、子作業車の作業跡を見ながら、その作業跡に沿って走行することになるが、作業跡が目標ラインとなるため、楽に走行することができる。また、複雑な切り返し走行が要求される枕地走行では、基準経路がない状態で無人操舵用の走行経路を算定することは難しい。このため、そのような切り返し走行は先に有人操舵で親作業車が先導し、その親作業車の走行軌跡を基準経路として利用することで、比較的容易に無人操舵用の走行経路が算定可能となる。これにより、中央作業地では子作業車が先導し、枕地では親作業車が先導するという、斬新なアイデアによって、親作業車と子作業車とを効果的に連係させる作業車協調制御システムが実現された。
【0009】
また、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記親作業車及び前記子作業車は、前記中央作業地における直線状の走行と、前記枕地における転回走行と、を繰り返し行い、前記親作業車による前記転回走行の走行経路と、前記子作業車による前記転回走行の走行経路と、は互いに異なっている。
【0010】
【0011】
【0012】
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】中央作業地における、本発明の作業車協調システムを用いた親作業車の走行軌跡と子作業車の走行軌跡の一例を示す模式図である。
図2】枕地における、本発明の作業車協調システムを用いた親作業車の走行軌跡と子作業車の走行軌跡の一例を示す模式図である。
図3図2に示された親作業車の走行軌跡と子作業車の走行軌跡の続きを示す模式図である。
図4】枕地における、本発明の作業車協調システムを用いた親作業車の走行軌跡と子作業車の走行軌跡の別例を示す模式図である。
図5】作業車協調システムの実施形態において、作業車として適用された耕耘装置付きトラクタの側面図である。
図6】作業車協調システムを構築する機能部を示す機能ブロック図である。
図7】作業車協調システムによる作業の流れの一例を表すフローチャートである。
図8】枕地での子作業車の親作業車に対する追従の基本原理を説明する模式図であり、(a)は子作業車の退避走行軌跡を示し、(b)は親作業車の切り返し走行と枕地作業走行の走行軌跡を示し、(c)は子作業車の切り返し走行と回り作業走行の走行軌跡を示す。
図9】親作業車の枕地コーナでの切り返し走行を説明する模式図である。
図10】子作業車の枕地コーナでの切り返し走行を説明する模式図である。
図11】中央作業地における、別な親作業車と子作業車との協調走行を示す模式図である。
図12】中央作業地における、親作業車と子作業車とが同一の走行軌跡を残す協調走行を示す模式図である。
図13】枕地における、親作業車と子作業車とが同一の走行軌跡を残す協調走行を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による作業車協調システムの具体的な実施形態を説明する前に、図1図2図3図4を用いて、この作業車協調システムの下での、親作業車の走行軌跡と子作業車の走行軌跡の基本例を説明する。この作業車協調システムでは、有人操縦式の親作業車1Pと、無人走行可能な子作業車1Cとが共同して対地作業を行う。
【0015】
ここでの例では、対地作業地は畦によって境界づけられた圃場であり、対地作業は、耕耘作業のように、作業車の走行に伴って、対地作業装置の幅分の対地作業が実施されていくものである。圃場での作業では、一般に、圃場は、略四角形の中央作業地CLと、その中央作業地CLの周囲で、畦に沿って規定される枕地HLとに区分けされる。中央作業地CLでは、図1で示すように、往復走行によって対地作業が行われるので、走行軌跡は、直線状の往路走行と転回(Uターン)走行と直線状の復路走行と転回(Uターン)走行との繰り返しとなる。枕地HLは、中央作業地CLの作業走行における転回領域となる。枕地HLでは、直線状の走行と各コーナ領域での切り返し走行の繰り返しで対地作業が行われる。
【0016】
ここでは無人走行のための目標走行経路として算定された中央作業地走行経路に基づいて、子作業車1Cが親作業車1Pに先行して無人走行する。親作業車1Pは、子作業車1Cが無人走行した後、その左側を、子作業車1Cの作業跡に対して親作業車1Pの作業跡が所定量オーバーラップするように、走行する。
【0017】
図2の上側の図で示すように、中央作業地CLにおける直線状の往復経路が偶数本であれば、作業走行が実質的な終了時には、子作業車1Cのすぐ左後に親作業車1Pが位置する。ここから、枕地HLに対する作業が開始される。この枕地HLでは、親作業車1Pが先行し、子作業車1Cが親作業車1Pを追従する。このため、親作業車1Pの枕地HLでの作業走行軌跡に基づいて子作業車1Cの無人操縦走行のために用いられる目標走行経路である枕地走行経路が算定される。なお、この枕地HLには、3周回分の枕地走行経路が設定されている。
【0018】
実質的な枕地走行に先立って、その初期走行として、子作業車1Cが親作業車1Pの走行の邪魔にならない枕地HLの位置に避難する(#01)。この初期走行は、有人走行または無人走行のいずれでもよい。その後、図2の下側の図で示すように、親作業車1Pがまず、最外周の枕地走行経路に進入し、切り返して、後進で枕地直線走行のスタート点である枕地コーナHLCで停車する(#02)。次いで、親作業車1Pが対地作業装置を動作させて、前進での作業走行を開始する(#03)。
【0019】
図3の上側の図で示すように、親作業車1Pが子作業車1Cを通り過ぎると、子作業車1Cが、親作業車1Pの枕地走行経路の内周側に算定される子作業車1Cの枕地走行経路に基づき、後進で枕地直線走行のスタート点である枕地コーナHLCで停車する(#04)。次いで、子作業車1Cは、親作業車1Pに追従すべく、前進での作業走行を開始する(#05)。図3の下側の図で示すように、親作業車1Pが次の枕地コーナの手前に到着すると、良く知られている切り返し走行パターンであるが、対地作業装置を非動作にして次の枕地走行経路に向かって旋回走行(ここでは90度旋回走行)し、後進で枕地コーナHLCに入る(#06)。次いで、親作業車1Pは対地作業装置を動作させて、前進での作業走行を開始する(#07)。その際、子作業車1Cは、親作業車1Pの切り返し走行の邪魔にならない位置で待機し(#08)、その後、親作業車1Pの切り返し走行軌跡を参照して算定される切り返し走行のための目標走行経路に基づいて切り返し走行を行う。このような切り返し走行を伴いながら、親作業車1P及び子作業車1Cの枕地作業走行が行われる。
【0020】
図2の上側の図では、中央作業地CLにおける直線状の往復経路が偶数本である例が示されたが、図4では、中央作業地CLにおける直線状の往復経路が奇数本である例が示されている。この場合、先行する子作業車1Cは、最終の経路の1本前の直線状経路からいきなり最後の直線状経路に進入して、最終の直線状経路を作業走行して停止する(#10)。後続する親作業車1Pは、最終の経路の2本前の直線状経路の走行後、直接枕地HLに入り、子作業車1Cの走行軌跡を迂回して(#11)、最外周の枕地走行経路に進入し、切り返して、後進で枕地直線走行のスタート点である枕地コーナHLCで停車する(#12)。さらに、親作業車1Pは対地作業装置を動作させて、前進での作業走行を開始する(#13)。次いで、子作業車1Cは、親作業車1Pとの干渉が避けられる時点で、切り返し走行を行って枕地コーナHLCに到達する(#14)。
【0021】
上述の説明では、親作業車1Pの対地作業幅である親作業幅と子作業車1Cの対地作業幅である子作業幅とは同じであると想定していたが、相違してもよい。親作業車1Pと子作業車1Cとの横方向の位置ずれ量は、理想的には(親作業幅+子作業幅)/2であるが、追従誤差による作業残しを避けるために、例えば数十cm程度オーバーラップさせている。
【0022】
次に、本発明の作業車協調システムの具体的な実施形態の1つを説明する。この実施形態では、作業車は畦によって境界づけられた田畑を耕耘する耕耘装置を装備した、図5に示されたトラクタである。親作業車1Pとしての親トラクタ1Pと、子作業車1Cとしての子トラクタ1Cとは、実質的に同形であり、前輪2aと後輪2bとによって支持された車体3の中央部に操縦部30が形成されている。車体3の後部には油圧式の昇降機構4を介して対地作業装置としての耕耘装置5が装備されている。親トラクタ1Pと子トラクタ1Cの操縦部30には、従来通りのステアリングホイールや各種操作レバー、さらに運転者が着座するシートなどが備えられている。本発明の作業車協調システムに基づく追従制御の実行時には、親トラクタ1Pは運転者によって操縦され、子トラクタ1Cは無人操縦される。
【0023】
なお、無人走行するこの子トラクタ1Cには、レーザレーダシステムが装備されている。図5で模式的に示されているように、フロントグリルの下端領域で左右方向の中央にフロントレーザレーダユニット32fがブラケットを用いて取り付けられており、キャビンの後上端領域で左右方向の中央にリアレーザレーダユニット32rが取り付けられている。このレーザレーダシステム自体は、良く知られたものある。ここでは、フロントレーザレーダユニット32fは、数m先の地上高さ数cmの物体をターゲットとし、スキャニングにより約270度程度の周囲領域をカバーしている。また、リアレーザレーダユニット32rは、耕耘装置5(作業装置)の後方で数m先の地上高さ数cmの物体をターゲットとし、スキャニングにより約120度程度の周囲領域をカバーしている。このレーザレーダシステムにより、子トラクタ1Cの所定範囲内に物体が接近してくるのを検知すると、車体3及び耕耘装置5は自動的に停止する。なお、必要の場合、同様のレーザレーダシステムを親トラクタ1Pに装備してもよい。
【0024】
図6で示すように、この実施形態では、作業車協調システムを構築するための電子コントロールユニットが、親トラクタ1Pに装備される親機コントロールユニット6と子トラクタ1Cに装備される子機コントロールユニット7とに分割されている。親機コントロールユニット6と子機コントロールユニット7とは、互いに無線方式でデータ伝送できるように、通信モジュール60と70を備えている。
【0025】
親機コントロールユニット6は、さらに、親位置検出モジュール61と、親走行軌跡算定部62、子作業装置遠隔制御モジュール65などの機能部を備えている。これらの機能部は、ハードウエアとの連携動作を行うこともあるが、実質的にはコンピュータプログラムの起動によって実現する。
【0026】
親位置検出モジュール61は、RTK(リアルタイムキネマティック)−GPSを利用して、自身の位置つまり親トラクタ1Pの位置を検出する。親走行軌跡算定部62は、親位置検出モジュール61で検出された位置から親トラクタ1Pの走行軌跡を算定する。算定された親トラクタ1Pの走行軌跡はデータ化され、子作業車1Cに伝送される。子作業装置遠隔制御モジュール65は、親作業車1Pから、子作業車1Cに装備された耕耘装置5の昇降高さや耕耘回転数などの諸状態を無線によって調整する機能を有する。子作業装置遠隔制御モジュール65には親作業車1Pの運転者によって操作されるリモコンが含まれており、リモコン操作によって生成された制御信号が子作業車1Cに作業装置制御ユニット31cに無線転送され、子作業車1Cの耕耘装置5が制御される。
【0027】
子機コントロールユニット7も、子位置検出モジュール71と、操縦制御モジュール72、作業地形状算定モジュール73、経路算定モジュール74などの機能部を備えている。これらの機能部は、ハードウエアとの連携動作を行うこともあるが、実質的にはコンピュータプログラムの起動によって実現する。
【0028】
子位置検出モジュール71は、親位置検出モジュール61と同様な構成であり、RTK−GPSを利用して、自身の位置つまり子トラクタ1Cの位置を検出する。経路算定モジュール74は、子トラクタ1Cが無人で走行する際に用いられる目標走行経路を算定する。この子トラクタ1Cは、中央作業地CLでは、予め算定された中央作業地走行経路に沿って無人走行し、枕地HLでは、親トラクタ1Pの走行軌跡に対して所定幅ずらした経路で親トラクタ1Pを無人追従走行する。このため、それぞれにおいて用いられる目標走行経路の算定アルゴリズムが異なっている2つの経路算定部、つまり、中央作業地経路算定部74aと枕地経路算定部74bとが構築されている。中央作業地経路算定部74aは、子トラクタ1Cの中央作業地CLでの無人操縦作業走行のために用いられる中央作業地走行経路を算定する。枕地経路算定部74bは、親作業車1Pの枕地HLでの作業走行軌跡に基づいて子トラクタ1Cの無人操縦走行のために用いられる枕地走行経路を算定する。
【0029】
この子トラクタ1Cには、ティーチング走行を通じて作業地の形状を算定する作業地形状算定モジュール73が備えられている。作業地形状算定モジュール73は、子トラクタ1Cが有人操縦により作業対象となっている圃場内でこの圃場の外形を示す畦との境界線に沿って走行し、圃場のコーナポイントで指令を与えることで、圃場(作業地)の形状を算定する。もし、当該圃場の地図データがある場合には、このティーチング走行を割愛することができる。いずれにせよ、中央作業地経路算定部74aは、作業地形状算定モジュール73で算定された圃場の形状に基づいてまたは地図データに基づいて、中央作業地走行経路を算定する。その際、経路算定モジュール74は、圃場の形状から中央作業地CLと枕地HLとを区分けする区分けデータを生成し、中央作業地経路算定部74a及び枕地経路算定部74bに与える。
【0030】
中央作業地経路算定部74aは、親トラクタ1Pの耕耘幅及び子トラクタ1Cの耕耘幅と、互いの耕耘幅のオーバーラップも考慮して、子トラクタ1Cの目標走行経路となる、直線状の往復経路とUターン経路とを算定する。
【0031】
枕地経路算定部74bは、親トラクタ1Pの作業幅及び子トラクタ1Cの作業幅と、親トラクタ1Pの切り返し走行における切り返し走行開始点と切り返し走行完了点とを含む切り返し走行軌跡とから、子トラクタ1Cの切り返し走行開始点と切り返し走行完了点とを算定する機能を有する。さらに、枕地経路算定部74bは、親トラクタ1Pの作業幅及び子トラクタ1Cの作業幅と、親トラクタ1Pの枕地作業走行軌跡とから、切り返し走行完了点から次の切り返し走行開始点までの子トラクタ1Cの枕地作業走行における目標走行位置を算定する機能を有する。これらの機能で得られたデータに基づいて、枕地経路算定部74bは、親トラクタ1Pを追従するための枕地走行経路を算定する。
【0032】
操縦制御モジュール72には、第1操縦制御部72aと第2操縦制御部72bとが含まれている。第1操縦制御部72aは、子位置検出モジュール71によって検出された子作業車位置と中央作業地経路算定部74aによって算定された中央作業地走行経路とに基づいて子トラクタ1Cを親トラクタ1Pに先行して無人操縦する。第2操縦制御部72bは、子位置検出モジュール71によって検出された子作業車位置と枕地経路算定部74bによって算定された枕地走行経路とに基づいて子トラクタ1Cを親トラクタ1Pに追従するように無人操縦する。
【0033】
なお、直線状の作業走行経路以外のUターン走行経路や、切り返し走行経路などでは、耕耘装置5は一端上昇され、非動作状態となる。したがって、作業装置制御ユニット31cは、操縦制御モジュール72からの指令によって耕耘装置5の昇降を実行する。
【0034】
次に、図7のフローチャートを用いて、この実施形態における親トラクタ1Pと子トラクタ1Cとの協調走行による圃場作業の一例を説明する。ここで、作業対象となる圃場は、図1から図3で示したような圃場である。
【0035】
(ステップ#21)RTK基地局の設置
RTK−GPSを起動させるために、作業対象となる圃場の近くにRTK基地局を設置する必要がある。同一圃場を繰り返し無人走行する場合には、同一箇所にRTK基地局を設置する必要があるので、当該RTK基地局の設置場所に目印に杭などを打っておくと便利である。
(ステップ#22)子トラクタ1Cのティーチング走行
無人走行のための目標走行経路を作成するためには、圃場の外形データが必要となるが、地図データなどの圃場地形を示すデータがない場合は、ティーチング走行が実行される。その際、利用されるティーチングの流れの一例は、以下の通りである。
(1)子トラクタ1Cに運転者が乗り込んで、人為操縦で、圃場に入る。
(2)子トラクタ1Cのティーチングプログラムを起動させる。
(3)子トラクタ1Cを圃場の最寄りのコーナに移動させ、枕地耕耘の開始点に子トラクタ1Cを移動し、耕耘装置5を下す。耕耘装置5を下す操作を通じて、その地点を作業地形状算定モジュール73は、圃場外形のコーナ点とみなす。
(4)一度耕耘装置5を上げて、耕耘作業をイメージしながら次のコーナまで進む。
(5)切り返し走行の後、耕耘作業走行開始点に子トラクタ1Cを移動し、耕耘装置5を下す。この作業を繰り返して、圃場外形のコーナ点を入力する。
【0036】
(ステップ#23)作業地形状算定
圃場外形のコーナ点及び、圃場出入り口と出入り方向を入力パラメータとして、作業地形状が算定される。
(ステップ#24)子トラクタ1Cの走行経路算定
算定された、作業地形状(圃場形状)、子トラクタ1Cと親トラクタ1Pとのロータリ耕幅、オーバーラップ量などを入力パラメータとして子トラクタ1Cの走行経路を算定する。
【0037】
(ステップ#25)子トラクタ1Cの作業開始位置への移動
子トラクタ1Cを算定された走行経路に基づいて耕耘開始点近くまで走行させる。子トラクタ1Cに搭載されている中央作業地CLを作業するための無人走行制御プログラムを起動させる。
(ステップ#26)親トラクタ1Pの圃場への進入
有人操縦される親トラクタ1Pを圃場に入れて、耕耘開始点の近くまで移動する。
(ステップ#27)子トラクタ1Cの位置合わせ・自動走行設定
運転者が子トラクタ1Cに乗り込んで耕耘開始点まで移動させる。なお、この移動は、無人操縦で行うことも可能である。いずれにせよ、耕耘開始位置で、車体方向を走行経路の方向にできるだけ合わせることが重要である。
【0038】
(ステップ#28)子トラクタ1Cの設定
子トラクタ1Cの作業走行に必要な走行用動作機器(エンジン回転数や車速など)や作業用動作機器(耕耘深さなど)対する各種設定を行う。
(ステップ#29)親トラクタ1Pの設定
親トラクタ1Pの作業走行に必要な走行用動作機器(エンジン回転数や車速など)や作業用動作機器(耕耘深さなど)対する各種設定を行う。
【0039】
(ステップ#30)子トラクタ1Cの中央作業地CLでの無人走行
子トラクタ1Cの中央作業地CLに対する無人での作業走行を開始する。
(ステップ#31)親トラクタ1Pの中央作業地CLでの有人走行
子トラクタ1Cが作業走行を開始して、子トラクタ1Cと親トラクタ1Pとの距離が所定値に達すると、親トラクタ1Pによる作業走行を開始する。
【0040】
図1または図4に示すように、無人走行の子トラクタ1Cに有人走行の親トラクタ1Pが追従しながら、中央作業地CLに対する耕耘走行が完了すると、次は、有人走行の親トラクタ1Pに無人走行の子トラクタ1Cが追従しながら、枕地HLに対する耕耘走行が以下のように行われる。なお、子トラクタ1Cは、中央作業地CLでの耕耘走行が完了すると、枕地HLに入って、先導する親トラクタ1Pの枕地HLでの耕耘を行うために必要な切り返し走行の障害にならない位置で待機する。
(ステップ#32)親トラクタ1Pの有人枕地走行
親トラクタ1Pが切り返し走行を経て枕地HLの耕耘を開始する。
(ステップ#33)子トラクタ1Cの無人枕地走行
先導する親トラクタ1Pの走行軌跡に基づいて、目標となる走行経路を算定しながら、子トラクタ1Cが枕地HLを走行して、枕地HLの耕耘を開始する。
【0041】
例えば、枕地走行経路が、図2及び図3に示すような場合、子トラクタ1Cは、1回の周回耕耘走行を終了すると停止し、親トラクタ1Pは、2回の周回耕耘走行を終了すると停止する。続いて、
(ステップ#34)子トラクタ1Cの圃場外への移動
運転者は、親トラクタ1Pから子トラクタ1Cに乗り換えて、子トラクタ1Cを圃場外に出す。
(ステップ#35)親トラクタ1Pの圃場外への移動
さらに、運転者は、子トラクタ1Cから親トラクタ1Pに乗り換えて、親トラクタ1Pを圃場外に出す。
【0042】
次に、図8を用いて、枕地HLにおける子トラクタ1Cの追従制御の一例を説明する。ここでは、親作業車1Pの走行軌跡は黒太線で示され、子作業車1Cの走行軌跡は白太線で示されており、さらに、待機位置への走行軌跡を含む切り返し走行軌跡は点線描画で区別されている。この例では、まず、図8の(a)に示されているように、子作業車1Cが、先行して枕地HLでの切り返し走行を行う親作業車1Pの邪魔にならないように、中央作業地CLでの停止点Pc1から枕地HLに設定された待機点Pc2に移動する。この待機点Pc2は、子作業車1Cの枕地HLにおける切り返し走行の切り返し点でもある。この移動は無人運転でもよいし、有人運転でもよい。
【0043】
枕地走行が効率的に行われるように、適切な経路をとって行われる親作業車1Pの切り返し走行を、子作業車1Cが追従する必要がある。まず、図8の(b)に示されているように、親作業車1Pは、中央作業地CLでの走行開始点Pp1から出発して、枕地HLに進入する。なお、親作業車1Pは、中央作業地CLでの走行中は作業状態(耕耘装置5の下降)とし、枕地HLに入ると非作業状態(耕耘装置5を上昇)とされる。親作業車1Pは枕地HLに入ると、圃場の1つのコーナ部に設定された枕地作業走行開始点(切り返し走行完了点でもある)Pp3に作業車後端を向き合わせるように前進旋回走行し、作業車後端が枕地作業走行開始点に向き合った切り返し点Pp2で停止する。次に、枕地作業走行開始点となる切り返し走行完了点Pp3に達するまで後進走行する。切り返し走行を完了すると、親作業車1Pは、作業状態(耕耘装置5を下降)で、枕地作業走行領域を前進走行する。この枕地作業走行は実質的には直線状の走行軌跡となるように行われる。
【0044】
上述した親作業車1Pの走行軌跡から親作業車1Pが切り返し走行を実施したことが検知されると、当該走行軌跡と、親作業車1P及び子作業車1Cの対地作業幅(以下単に作業幅と略称し、図8ではそれぞれWPとWcで示されている)とから、図8の(c)に示されているように、子作業車1Cの切り返し走行完了点Pc3が算定される。子作業車1Cの待機点Pc2から切り返し走行完了点Pc3までの後進走行における目標走行位置は、子作業車1Cの轍が親作業車1Pの枕地作業走行幅に入り込まないという条件下で、親作業車1Pの切り返し後進走行の走行軌跡とは無関係に算定される。切り返し走行完了点Pc3でもある枕地作業走行開始点からの枕地作業走行における走行目標位置は、親作業車1Pの作業幅及び子作業車1Cの作業幅と、親作業車1Pの枕地作業走行軌跡とから算定される。算定された枕地作業走行における走行目標位置に基づいて、子作業車1Cの枕地作業走行が、実行される。
【0045】
次に、図9図10とを用いて、枕地作業走行での最初のコーナで必要となる切り返し走行での、子作業車1Cの追従制御の一例を説明する。その際、図9は親作業車1Pの走行軌跡(黒太線)を示し、図10は子作業車1Cの走行軌跡(白太線)を示している。
まず、先行する親トラクタ1Pが次のコーナ領域の外周端まで作業走行すると、図9に示すように、耕耘装置5を上昇させた非作業状態で、切り返し走行開始点Pp1まで後進する。ここから2回目の切り返し走行が開始する。つまり、この切り返し走行開始点Pp1から非作業状態で、切り返し点Pp2まで旋回前進する。次いで、枕地HLの外縁まで後進して、停止する。この停止点が次の枕地作業走行の出発点となるので、親トラクタ1Pは耕耘装置5を下降させた作業状態で、前進走行を始める。その際、この親トラクタ1Pの前進走行(枕地作業走行)の走行軌跡を、親トラクタ1Pと子トラクタ1Cとの作業幅の半分の距離だけ平行移動させた線を、ここでの切り返し補助線として算定するともに、その切り返し補助線上に切り返し点Pc2を算定する。さらに、切り返し旋回用切れ角で当該切り返し点Pc2に到達できる切り返し走行開始点Pc1を算定しておく。
【0046】
当該コーナに接近した子トラクタ1Cは、切り返し走行時に親トラクタ1Pと干渉しないように親トラクタ1Pが所定地点に達するまで待機する。その後、図10に示すように、子トラクタ1Cは、切り返し走行開始点を超えてできるだけ枕地HLの外縁まで作業状態のままで、前進する。次いで、耕耘装置5を上昇させた非作業状態で、切り返し走行開始点Pc1まで後進する。切り返し走行開始点Pc1からの切り返し走行は、枕地走行開始時の切り返し走行と同様に、切り返し点Pp2まで旋回前進する。次いで、枕地HLの外縁まで後進して、停止する。この停止点が、枕地作業走行の開始点なので、耕耘装置5を下降させた作業状態で、前進走行する。同様にして、枕地HLの全てのコーナ部を経て一周回すると、この例では、枕地HLの未作業地は親トラクタ1Pだけで行う。
【0047】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、中央作業地CLでは、子作業車1Cが親作業車1Pに先行して無人走行し、枕地HLでは、親作業車1Pが先行し、子作業車1Cが親作業車1Pの走行軌跡に基づいて追従走行した。もし、枕地HLでの走行軌跡が比較的簡単である場合、枕地HLでも子作業車1Cが親作業車1Pに先行して無人走行してもよい。
(2)中央作業地CLにおける往復の作業走行経路で子作業車1Cと親作業車1Pとの相対位置は、図1で示したように、逆転していた。つまり、往路では親作業車1Pは子作業車1Cの左側を追従しており、復路では親作業車1Pは子作業車1Cの右側を追従していた。これに代えて、図11に示すように、往復の作業走行経路において、子作業車1Cとの親作業車1Pとの相対位置が変わらない走行経路を採用することができる。
(3)上述した実施形態では、子作業車1Cと親作業車1Pとは、同タイプの作業装置5を搭載し、互いの作業幅を並列させることで、作業効率を向上させていた。このような作業協調に代えて、異なる作業装置5を搭載して、後続する作業車が先行する作業車と同じ軌跡を走行して、2つの異なる作業を行うようにしてもよい。図12には、中央作業地CLでのそのような作業走行の走行軌跡が示されており、図13には、枕地HLでの走行軌跡が示されている。図12図13では、子作業車1Cが先行しているが、親作業車1Pが先行してもよい。また、中央作業地CLと枕地HLとで先行する作業車を相違させてもよい。
(4)親作業車1Pと子作業車1Cとは互いの通信モジュール60と70を通じてデータ交換可能であるが、このデータ交換は直接的に行われてもよいし、サーバ等の中継装置を介して行われてよい。データ交換されるデータの内容には、耕耘深さや耕耘ピッチやローリング制御状況などが含まれる。例えば、有人走行中の親作業車1Pから無人走行中の子作業車1Cにそのようなデータが送信されることで、子作業車1Cの作業装置制御ユニット31は親作業車1Pの設定と同一または類似する設定を行うことができる。このようなデータ交換は、状況に応じて定期的に行うのが良い場合と、運転者が決定したタイミングで行うのが良い場合とがある。このため、定期的にデータ交換するモードと任意にデータ交換するモードが備えられていると好都合である。このモード切替は、作業車に搭載されているメータパネルやディスプレイを通じて案内表示とともに行えると運転者にとって好都合である。また、その操作入力には、ソフトウエアボタンを表示するタッチパネル方式を用いてもよいし、ハードウエアボタン(スイッチ、レバー)を用いてもよい。
(5)親作業車1Pと子作業車1Cとの間で行われたデータ交換の内容は、ハードディスクや不揮発性メモリなどの記憶デバイスに記憶しておくとよい。特に、親作業車1Pから子作業車1Cに与えられる走行や作業等に関する設定データは、協調走行において重要である。子作業車1Cがキーオフされても、再起動時に、そのような設定データを記憶デバイスから読み出すことにより再設定可能となり、作業の再現性が向上する。
(6)上述した実施形態では、子トラクタ1Cは一台であったが、類似する制御方法で複数台の子トラクタ1Cにも本発明を適用することは可能である。
(7)本発明による作業車協調システムでは、親トラクタ1Pと子トラクタ1Cの切り返し走行軌跡は、上述した実施形態における走行軌跡に限定されるわけではない。親トラクタ1Pの作業幅及び子トラクタ1Cの作業幅と、親トラクタ1Pの切り返し走行における切り返し走行開始点Pp1と切り返し点Pp2と切り返し走行完了点Pp3とを含む切り返し走行軌跡とから、子トラクタ1Cの切り返し走行開始点Pc1と切り返し点Pc2と切り返し走行完了点Pc3とが算定可能な種々の切り返し走行軌跡を採用することができる。また、親トラクタ1P及び子トラクタ1Cの切り返し点Pp2、Pc2は単一でも複数でもよい。
(8)上述した実施形態では、作業車として耕耘装置5を搭載したトラクタを取り上げたが、耕耘装置5に代えて散布装置や施肥装置など他の作業装置を搭載しても、本発明の特徴を有効に利用することができる。さらにはその他の作業車、例えばコンバイン、田植機、芝刈機、除草機、ブルドーザなどの土木建設機械などにも本発明は適用可能である。また、親作業車1Pと子作業車1Cは同機種でなくてもよい、例えばコンバインと搬送トラックなどの組み合わせでもよい。
(9)対地作業装置が耕耘装置5などの場合には、親作業幅と子作業幅との重なり長さであるオーバーラップは、基本的には必須であるが、散布装置や施肥装置などの場合、オーバーラップを設けずに、むしろ親作業幅と子作業幅との間に所定間隔をとる、いわゆるアンダーラップが設定される。したがって、本発明では、オーバーラップOLを設定することは必須ではなく、親作業車1Pと子作業車1Cの互いの経路間隔が所定範囲を保持するような追従制御の実現が要点である。
(10)親作業車1Pまたは子作業車1Cあるいはその両方が、それぞれの作業車の仕様の違いを示すオフセット情報を管理するオフセット情報管理部が備えられている好都合である。オフセット情報管理部は、自車の仕様と、相手側の仕様とからその違いを検知することができるので、その違いを補償するような走行設定や作業設定を行うことができる。このようなオフセット情報をテーブル化しておけば、一方の作業車の設定内容に適合する設定内容を他方の作業車に設定させることが可能となる。このようなオフセット情報の管理は3台以上の作業車による協調制御システムにおいても、一方の作業車の設定内容を他の複数の作業車に送ることで、実現可能である。さらに、オフセット情報は、少なくとも管理中心となる作業車の記憶デバイスに記憶させておくとよい。あるいは、クラウドシステムとして機能する遠隔の管理コンピュータに記憶させておいてもよい。これにより、作業車は常にオフセット情報を取得して、利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、複数の作業車が協調して作業走行する協調制御システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1C :子トラクタ(子作業車)
1P :親トラクタ(親作業車)
5 :耕耘装置(作業装置)
6 :親機コントロールユニット
7 :子機コントロールユニット
30 :操縦部
31c :作業装置制御ユニット
60 :通信モジュール
61 :親位置検出モジュール
62 :親走行軌跡算定部
65 :子作業装置遠隔制御モジュール
71 :子位置検出モジュール
72 :操縦制御モジュール
72a :第1操縦制御部
72b :第2操縦制御部
73 :作業地形状算定モジュール
74 :経路算定モジュール
74a :中央作業地経路算定部
74b :枕地経路算定部
CL :中央作業地
HL :枕地
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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