(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの第2ガス流路の流路断面積の合計値(S2)に対する、前記少なくとも1つの第1ガス流路の流路断面積の合計値(S1)の割合(S1/S2)は、1.05以上である、
請求項1に記載の燃料電池セル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなセルスタック装置において、ガスの使用効率を向上させることが要望されている。そこで本発明の課題は、ガスの使用効率を向上させることのできる燃料電池セル及びセルスタック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に係る燃料電池セルは、遠位端部及び近位端部を有する。この燃料電池セルは、支持基板と、少なくとも1つの発電素子部と、少なくとも1つの第1ガス流路と、少なくとも1つの第2ガス流路と、を備える。発電素子部は、支持基板上に配置される。第1及び第2ガス流路は、支持基板内を近位端部から遠位端部に向かって延びる。第1及び第2ガス流路は、遠位端部において互いに連通する。第1ガス流路及び第2ガス流路は、第1ガス流路内におけるガスの圧力損失が第2ガス流路内におけるガスの圧力損失よりも小さくなるように構成される。
【0006】
この構成によれば、第1ガス流路を流れて発電素子部の発電に用いられたガスのうち未反応ガスは、第1ガス流路の遠位端部から外部へと排出されるのではなく、第2ガス流路を流れることによって、再び発電素子部の発電に用いられる。このため、ガスの使用効率を向上させることができる。
【0007】
なお、第1及び第2ガス流路に燃料ガスを流した場合、以下のような問題が生じ得る。すなわち、燃料ガスは、第1ガス流路及び第2ガス流路を流れる過程において各発電素子部において消費される。そして、燃料ガスは第1ガス流路を流れた後に第2ガス流路を流れる。このため、第1ガス流路内を流れる燃料ガスよりも、第2ガス流路内を流れる燃料ガスの方が、燃料ガスの水素濃度が低くなっている。燃料ガスの水素濃度が低くなり、発電素子部に必要な水素が不足すると、燃料極における電解質との界面の雰囲気が酸化雰囲気になる。この結果、界面近傍に存在するNiがNiOに変化し、界面近傍における反応抵抗が大きくなり、その発電素子部の発電効率が低下するという問題が生じ得る。
【0008】
これに対して、本発明に係る燃料電池セルでは、第1ガス流路及び第2ガス流路は、第1ガス流路内におけるガスの圧力損失が第2ガス流路内におけるガスの圧力損失よりも小さくなるように構成されている。この構成によれば、第1ガス流路内を流れるガスの流速よりも、第2ガス流路内を流れるガスの流速の方が大きくなる。この結果、発電素子部のうち第2ガス流路からガスが供給される部分に対するガス拡散性を向上させて、界面近傍に存在するNiがNiOに変化することを抑制することができる。したがって、発電素子部の発電効率の低下を抑制することができる。
【0009】
好ましくは、少なくとも1つの第1ガス流路の流路断面積の合計値は、少なくとも1つの第2ガス流路の流路断面積の合計値よりも大きい。
【0010】
少なくとも1つの第2ガス流路の流路断面積の合計値(S2)に対する、少なくとも1つの第1ガス流路の流路断面積の合計値(S1)の割合(S1/S2)は、1.05以上である。
【0011】
好ましくは、燃料電池セルは、複数の第1ガス流路を備える。
【0012】
好ましくは、第1ガス流路の数は、第2ガス流路の数よりも多い。
【0013】
好ましくは、隣り合う第1ガス流路と前記第2ガス流路との間のピッチは、隣り合う第1ガス流路間のピッチよりも大きい。
【0014】
好ましくは、燃料電池セルは、複数の第2ガス流路を備える。各第1ガス流路及び各第2ガス流路の各流路断面積は、互いに等しい。また、第1ガス流路間のピッチと第2ガス流路間のピッチとは互いに等しい。この構成によれば、1つの発電素子部に対してより均等にガスを供給することができる。なお、各流路断面積が互いに等しいとは、完全に同一である必要は無く、製造上の誤差を含んでいてもよい。また第1ガス流路間のピッチと第2ガス流路間のピッチとが互いに等しいとは、完全に同一である必要は無く、製造上の誤差を含んでいてもよい。
【0015】
好ましくは、燃料電池セルは、連通流路をさらに備える。連通流路は、燃料電池セルの遠位端部において、少なくとも1つの第1ガス流路と少なくとも1つの第2ガス流路とを連通する。
【0016】
好ましくは、支持基板は、連通流路を内部に有する。
【0017】
好ましくは、燃料電池セルは、支持基板のマニホールドと遠位端部に取り付けられる連通部材をさらに備える。連通部材は、連通流路を内部に有する。
【0018】
好ましくは、少なくとも1つの発電素子部は、複数の発電素子部を含む。各発電素子部は、第1及び第2ガス流路が延びる方向に配列される。
【0019】
好ましくは、発電素子部は、支持基板の幅方向に延びている。発電素子部は、支持基板の幅方向において、第1部分と第2部分とに区画される。支持基板の厚さ方向視において、第1ガス流路は、発電素子部の第1部分と重複する。支持基板の厚さ方向視において、第2ガス流路は、発電素子部の第2部分と重複する。
【0020】
本発明の第2側面に係るセルスタック装置は、上記いずれかの燃料電池セルと、マニホールドとを備える。マニホールドは、ガス供給室及びガス回収室を有する。マニホールドは、燃料電池セルの近位端部を支持する。第1ガス流路は、ガス供給室と連通する。第2ガス流路は、ガス回収室と連通する。
【0021】
本発明の第3側面に係るセルスタック装置は、マニホールドと、燃料電池セルとを備えている。マニホールドは、ガス供給室及びガス回収室を有する。燃料電池セルは、支持基板、及び少なくとも1つの発電素子部を有する。支持基板は、マニホールドから第1方向に延びる。発電素子部は、支持基板に支持される。支持基板は、少なくとも1つの第1ガス流路と、少なくとも1つの第2ガス流路とを有する。第1ガス流路は、第1方向に延びてガス供給室と連通する。第2ガス流路は、第1方向に延びてガス回収室と連通する。第1ガス流路及び第2ガス流路のそれぞれは、マニホールド側に位置する近位端部と、近位端部と反対側の遠位端部と、を有する。第1ガス流路は、近位端部においてガス供給室内に開口する。第2ガス流路は、近位端部においてガス回収室内に開口する。第1ガス流路と第2ガス流路とは、遠位端部側において互いに連通している。第1ガス流路及び第2ガス流路は、第1ガス流路内におけるガスの圧力損失が第2ガス流路内におけるガスの圧力損失よりも小さくなるように構成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ガスの使用効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る燃料電池セル及びセルスタック装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、セルスタック装置を示す斜視図である。なお、
図1において、いくつかの燃料電池セルの記載を省略している。以下の説明において、近位及び遠位とは、マニホールドを基準にした位置を言う。例えば、近位端部とは、マニホールドに近い側の端部を意味し、遠位端部とは、マニホールドから遠い側の端部を意味する。
【0025】
[セルスタック装置]
図1に示すように、セルスタック装置100は、マニホールド2と、複数の燃料電池セル10と、連通部材3と、を備えている。
【0026】
[マニホールド]
図2に示すように、マニホールド2は、燃料電池セル10にガスを供給するように構成されている。また、マニホールド2は、燃料電池セル10から排出されたガスを回収するように構成されている。マニホールド2は、ガス供給室21とガス回収室22とを有している。ガス供給室21には、改質器などを介して燃料ガス供給源から燃料ガスが供給される。ガス回収室22は、各燃料電池セル10にて使用された燃料ガスのオフガスを回収する。
【0027】
マニホールド2は、マニホールド本体部23と、仕切板24とを有している。マニホールド本体部23は、内部に空間を有している。マニホールド本体部23は、直方体状である。
【0028】
図3に示すように、マニホールド本体部23の上板部231には、複数の貫通孔232が形成されている。各貫通孔232は、マニホールド本体部23の長さ方向(z軸方向)に間隔をあけて並んでいる。各貫通孔232は、マニホールド本体部23の幅方向(y軸方向)に延びている。各貫通孔232は、ガス供給室21及びガス回収室22に開口している。なお、各貫通孔232は、ガス供給室21に開口する部分とガス回収室22に開口する部分とに分かれていてもよい。
【0029】
仕切板24は、マニホールド本体部23の空間をガス供給室21とガス回収室22とに仕切っている。詳細には、仕切板24は、マニホールド本体部23の略中央部において、マニホールド本体部23の長さ方向に延びている。なお、本実施形態では、仕切板24は、マニホールド本体部23の空間を完全に仕切っているが、仕切板24とマニホールド本体部23との間に隙間が形成されていてもよい。
【0030】
図2に示すように、ガス供給室21の底面には、ガス供給口211が形成されている。また、ガス回収室22の底面には、ガス排出口221が形成されている。なお、ガス供給口211はガス供給室21の側面又は上面に形成されていてもよいし、ガス排出口221はガス回収室22の側面又は上面に形成されていてもよい。
【0031】
ガス供給口211は、例えば、燃料電池セル10の配列方向(z軸方向)において、マニホールド2の中心Cよりも第1端部201側に配置されている。一方、ガス排出口221は、例えば、燃料電池セル10の配列方向(z軸方向)において、マニホールド2の中心Cよりも第2端部202側に配置されている。
【0032】
[燃料電池セル]
図4は、セルスタック装置の断面図を示している。
図4に示すように、燃料電池セル10は、マニホールド2から上方に延びている。燃料電池セル10は、近位端部101及び遠位端部102を有している。燃料電池セル10は、近位端部101がマニホールド2に取り付けられている。すなわち、マニホールド2は、各燃料電池セル10の近位端部101を支持している。本実施形態では、燃料電池セル10の近位端部101は下端部を意味し、燃料電池セル10の遠位端部102は上端部を意味する。
【0033】
図1に示すように、各燃料電池セル10は、主面同士が対向するように並べられている。また、各燃料電池セル10は、マニホールド2の長さ方向(z軸方向)に沿って間隔をあけて並べられている。すなわち、燃料電池セル10の配列方向は、マニホールド2の長さ方向に沿っている。本実施形態では、各燃料電池セル10は、マニホールド2の長さ方向に沿って等間隔に配置されているが、等間隔でなくてもよい。
【0034】
図4及び
図5に示すように、燃料電池セル10は、支持基板4、複数の第1ガス流路41、複数の第2ガス流路42、及び複数の発電素子部5を有している。また、燃料電池セル10は、連通流路30を有している。
【0035】
[支持基板]
支持基板4は、マニホールド2から上方に延びている。支持基板4は、扁平状であり、近位端部43と遠位端部44とを有している。近位端部43及び遠位端部44は、支持基板4の長さ方向(x軸方向)における両端部である。本実施形態では、支持基板4の近位端部43は下端部を意味し、支持基板4の遠位端部44は上端部を意味する。本実施形態では、支持基板4は、幅方向(y軸方向)に比べて長さ方向(x軸方向)の寸法の方が長いが、長さ方向(x軸方向)よりも幅方向(y軸方向)の寸法の方が長くてもよい。
【0036】
支持基板4の近位端部43は、マニホールド2に取り付けられる。例えば、支持基板4の近位端部43は、接合材などによってマニホールド2の上板部231に取り付けられる。詳細には、支持基板4の近位端部43は、上板部231に形成された貫通孔232に挿入されている。なお、支持基板4の近位端部43は、貫通孔に挿入されていなくてもよい。
【0037】
図5に示すように、支持基板4は、第1主面45と、第2主面46とを有している。第1主面45と第2主面46とは、互いに反対を向いている。第1主面45及び第2主面46は、各発電素子部5を支持している。第1主面45及び第2主面46は、支持基板4の厚さ方向(z軸方向)を向いている。また、支持基板4の各側面47は、支持基板4の幅方向(y軸方向)を向いている。各側面47は、湾曲していてもよい。
【0038】
支持基板4は、電子伝導性を有さない多孔質の材料によって構成される。支持基板4は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成される。または、支持基板4は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl
2O
4(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板4の気孔率は、例えば、20〜60%程度である。この気孔率は、例えば、アルキメデス法、又は微構造観察により測定される。
【0039】
支持基板4は、緻密層48によって覆われている。緻密層48は、第1ガス流路41及び第2ガス流路42から支持基板4内に拡散されたガスが外部に排出されることを抑制するように構成されている。本実施形態では、緻密層48は、支持基板4の第1主面45、第2主面46、及び各側面47を覆っている。なお、本実施形態では、緻密層48は、後述する電解質7と、インターコネクタ91とによって構成されている。緻密層48は、支持基板4よりも緻密である。例えば、緻密層48の気孔率は、0〜7%程度である。
【0040】
[第1及び第2ガス流路]
複数の第1ガス流路41及び複数の第2ガス流路42は、支持基板4内に形成されている。第1ガス流路41は、燃料電池セル10の近位端部101から遠位端部102に向かって延びている。本実施形態では、第1ガス流路41は、支持基板4内を上下方向に延びている。第1ガス流路41は、支持基板4を貫通している。各第1ガス流路41は、支持基板4の幅方向(y軸方向)において互いに間隔をあけて配置されている。なお、各第1ガス流路41は、実質的に等間隔に配置されていることが好ましい。
【0041】
図4に示すように、第1ガス流路41は、近位端部411と、遠位端部412とを有している。燃料電池セル10をマニホールド2に取り付けた状態において、第1ガス流路41の近位端部411は、マニホールド2側に位置する。また、第1ガス流路41の遠位端部412は、近位端部411の反対側の端部である。なお、本実施形態において、第1ガス流路41の下端部が近位端部411であり、第1ガス流路41の上端部が遠位端部412である。
【0042】
燃料電池セル10をマニホールド2に取り付けた状態において、第1ガス流路41は、マニホールド2のガス供給室21と連通している。すなわち、第1ガス流路41は、近位端部411においてガス供給室21内に開口している。
【0043】
第2ガス流路42は、燃料電池セル10の近位端部101から遠位端部102に向かって延びている。本実施形態では、第2ガス流路42は支持基板4内を上下方向に延びている。第2ガス流路42は、支持基板4を貫通している。各第2ガス流路42は、支持基板4の幅方向(y軸方向)において互いに間隔をあけて配置されている。なお、各第2ガス流路42は、実質的に等間隔に配置されていることが好ましい。
【0044】
第2ガス流路42は、近位端部421と、遠位端部422とを有している。燃料電池セル10をマニホールド2に取り付けた状態において、第2ガス流路42の近位端部421は、マニホールド2側に位置する。また、第2ガス流路42の遠位端部422は、近位端部421の反対側の端部である。なお、本実施形態において、第2ガス流路42の下端部が近位端部421であり、第2ガス流路42の上端部が遠位端部422である。
【0045】
燃料電池セル10をマニホールド2に取り付けた状態において、第2ガス流路42は、マニホールド2のガス回収室22と連通している。すなわち、第2ガス流路42は、近位端部421においてガス供給室21内に開口している。
【0046】
隣り合う第1ガス流路41間のピッチp1は、例えば、1〜5mm程度である。この隣り合う第1ガス流路41間のピッチp1は、隣り合う第1ガス流路41の中心間の距離である。例えば、第1ガス流路41間のピッチp1は、支持基板4の近位端部43、中央部、及び遠位端部44のそれぞれにおいて測定したピッチの平均値とすることができる。
【0047】
隣り合う第2ガス流路42間のピッチp2は、例えば、1〜5mm程度である。この隣り合う第2ガス流路42間のピッチp2は、隣り合う第2ガス流路42の中心間の距離である。例えば、第2ガス流路42間のピッチp2は、支持基板4の近位端部43、中央部、及び遠位端部44のそれぞれにおいて測定したピッチの平均値とすることができる。なお、第2ガス流路42間のピッチp2は、第1ガス流路41間のピッチp1と実質的に等しいことが好ましい。
【0048】
隣り合う第1ガス流路41と第2ガス流路42との間のピッチp0は、例えば、1〜10mm程度である。この隣り合う第1ガス流路41と第2ガス流路42との間のピッチp0は、第1ガス流路41の中心と第2ガス流路42の中心との距離である。例えば、ピッチp0は、支持基板4の近位端部43、中央部、及び遠位端部4のそれぞれにおいて測定したピッチの平均値とすることができる。
【0049】
隣り合う第1ガス流路41と第2ガス流路42との間のピッチp0は、隣り合う第1ガス流路41間のピッチp1よりも大きい。また、隣り合う第1ガス流路41と第2ガス流路42との間のピッチp0は、隣り合う第2ガス流路42間のピッチp2よりも大きい。これらにより、第1ガス流路41を流れるガスが支持基板4内を介して第2ガス流路42へショートカットすることを抑制している。
【0050】
このように、第1ガス流路41と第2ガス流路42との間のピッチp0を第1ガス流路41間のピッチp1、及び第2ガス流路42間のピッチp2よりも大きくすることによって、隣り合う第1ガス流路41と第2ガス流路42とを分けている。この第1ガス流路41と第2ガス流路42との間の領域を境界領域403と称する。
【0051】
図6に示すように、支持基板4は、第1領域401、第2領域402、及び境界領域403を有している。第1領域401、第2領域402、及び境界領域403のそれぞれの領域は、支持基板4を幅方向(y軸方向)に区画することによってできる領域である。第1領域401は、第1ガス流路41が形成される領域である。第2領域402は、第2ガス流路42が形成される領域である。境界領域403は、第1領域401と第2領域402との間の領域である。境界領域403によって、第1領域401と第2領域402とが隔てられている。
【0052】
第1ガス流路41と第2ガス流路42とは、燃料電池セル10の遠位端部102において互いに連通している。すなわち、第1ガス流路41と第2ガス流路42とは、それぞれの遠位端部412,422において互いに連通している。詳細には、第1ガス流路41の遠位端部412と、第2ガス流路42の遠位端部422とが、連通流路30を介して連通している。
【0053】
[第1及び第2ガス流路の圧力損失]
第1ガス流路41及び第2ガス流路42は、第1ガス流路41内におけるガスの圧力損失が第2ガス流路42内におけるガスの圧力損失よりも小さくなるように構成されてい
る。
【0054】
本実施形態では、各第1ガス流路41の流路断面積の合計値を、各第2ガス流路42の流路断面積の合計値よりも大きくしている。なお、本実施形態では、各第1ガス流路41の流路断面積のそれぞれが、各第2ガス流路42の流路断面積のそれぞれよりも大きい。
【0055】
各第2ガス流路42の流路断面積の合計値(S2)に対する、各第1ガス流路41の流路断面積の合計値(S1)の割合(S1/S2)は、1.05以上とすることが好ましい。また、この割合(S1/S2)は、3.0以下とすることができる。
【0056】
なお、特に限定されるものではないが、第1ガス流路41の流路断面積は、例えば、0.5〜20mm
2程度とすることができる。また、第2ガス流路42の流路断面積は、例えば、0.1〜15mm
2程度とすることができる。
【0057】
第1ガス流路41の流路断面積は、第1ガス流路41が延びる方向(x軸方向)と直交する面(yz平面)で切断した切断面における第1ガス流路41の流路断面積を言う。また、第1ガス流路41の流路断面積は、第1ガス流路41の近位端部411の任意の箇所における流路断面積と、中央部の任意の箇所における流路断面積と、遠位端部412の任意の箇所における流路断面積との平均値とすることができる。
【0058】
また、第2ガス流路42の流路断面積は、第2ガス流路42が延びる方向(x軸方向)と直交する面(yz平面)で切断した切断面における第2ガス流路42の流路断面積を言う。また、第2ガス流路42の流路断面積は、第2ガス流路42の近位端部421の任意の箇所における流路断面積と、中央部の任意の箇所における流路断面積と、遠位端部422の任意の箇所における流路断面積との平均値とすることができる。
【0059】
[発電素子部]
図5に示すように、各発電素子部5は、支持基板4の第1主面45及び第2主面46に支持されている。なお、第1主面45に形成される発電素子部5の数と第2主面46に形成される発電素子部5の数とは、互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。また、各発電素子部5の大きさは、互いに異なっていてもよい。
【0060】
各発電素子部5は、第1及び第2ガス流路41、42が延びる方向(x軸方向)に沿って配列されている。詳細には、各発電素子部5は、支持基板4上において、近位端部43から遠位端部44に向かって互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、各発電素子部5は、支持基板4の長さ方向(x軸方向)に沿って、間隔をあけて配置されている。なお、各発電素子部5は、後述する電気的接続部9によって、互いに直列に接続されている。
【0061】
発電素子部5は、支持基板4の幅方向(y軸方向)に延びている。発電素子部5は、支持基板4の幅方向において第1部分51と第2部分52とに区画される。なお、第1部分51と第2部分52との厳密な境界はない。例えば、燃料電池セル10をマニホールド2に取り付けた状態において、支持基板4の長さ方向視(x軸方向視)において、ガス供給室21とガス回収室22との境界と重複する部分を、第1部分51と第2部分52との境界部とすることができる。
【0062】
支持基板4の厚さ方向視(z軸方向視)において、第1ガス流路41は、発電素子部5の第1部分51と重複している。このため、発電素子部5の第1部分51は、主に各第1ガス流路41から燃料ガスが供給される。また、支持基板4の厚さ方向視(z軸方向視)において、第2ガス流路42は、発電素子部5の第2部分52と重複している。このため、発電素子部5の第2部分52は、主に各第2ガス流路42から燃料ガスが供給される。なお、複数の第1ガス流路41のうち、一部の第1ガス流路41が第1部分51と重複していなくてもよい。同様に、複数の第2ガス流路42のうち、一部の第2ガス流路42が第2部分52と重複していなくてもよい。
【0063】
図7は、第1ガス流路41に沿って切断した燃料電池セル10の断面図である。なお、第2ガス流路42に沿って切断した燃料電池セル10の断面図は、第2ガス流路42の流路断面積が異なる以外は、
図7と同じである。
【0064】
発電素子部5は、燃料極6、電解質7、及び空気極8を有している。また、発電素子部5は、反応防止膜11をさらに有している。燃料極6は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極6は、燃料極集電部61と燃料極活性部62とを有する。
【0065】
燃料極集電部61は、凹部49内に配置されている。凹部49は、支持基板4に形成されている。詳細には、燃料極集電部61は、凹部49内に充填されており、凹部49と同様の外形を有する。各燃料極集電部61は、第1凹部611及び第2凹部612を有している。燃料極活性部62は、第1凹部611内に配置されている。詳細には、燃料極活性部62は、第1凹部611内に充填されている。
【0066】
燃料極集電部61は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極集電部61は、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部61の厚さ、及び凹部49の深さは、50〜500μm程度である。
【0067】
燃料極活性部62は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極活性部62は、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部62の厚さは、5〜30μmである。
【0068】
電解質7は、燃料極6上を覆うように配置されている。詳細には、電解質7は、一のインターコネクタ91から他のインターコネクタ91まで長さ方向に延びている。すなわち、支持基板4の長さ方向(x軸方向)において、電解質7とインターコネクタ91とが交互に配置されている。また、電解質7は、支持基板4の第1主面45、第2主面46、及び各側面47を覆っている。
【0069】
電解質7は、支持基板4よりも緻密である。例えば、電解質7の気孔率は、0〜7%程度である。電解質7は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質7は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質7の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0070】
反応防止膜11は、緻密な材料から構成される焼成体である。反応防止膜11は、平面視において、燃料極活性部62と略同一の形状である。反応防止膜11は、電解質7を介して、燃料極活性部62と対応する位置に配置されている。反応防止膜11は、電解質7内のYSZと空気極8内のSrとが反応して電解質7と空気極8との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。反応防止膜11は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O
2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜11の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0071】
空気極8は、反応防止膜11上に配置されている。空気極8は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極8は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO
3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O
3(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極8は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極8の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0072】
[電気的接続部]
電気的接続部9は、隣り合う発電素子部5を電気的に接続するように構成されている。電気的接続部9は、インターコネクタ91及び空気極集電膜92を有する。インターコネクタ91は、第2凹部612内に配置されている。詳細には、インターコネクタ91は、第2凹部612内に埋設(充填)されている。インターコネクタ91は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ91は、支持基板4よりも緻密である。例えば、インターコネクタ91の気孔率は、0〜7%程度である。インターコネクタ91は、例えば、LaCrO
3(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO
3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ91の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0073】
空気極集電膜92は、隣り合う発電素子部5のインターコネクタ91と空気極8との間を延びるように配置される。例えば、
図7の左側に配置された発電素子部5の空気極8と、
図7の右側に配置された発電素子部5のインターコネクタ91とを電気的に接続するように、空気極集電膜92が配置されている。空気極集電膜92は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極集電部82は、酸素イオン伝導性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0074】
空気極集電膜92は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜92の厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
【0075】
[連通部材]
図4に示すように、連通部材3は、支持基板4の遠位端部44に取り付けられている。そして、連通部材3は、第1ガス流路41と第2ガス流路42とを連通させる連通流路30を有している。詳細には、連通流路30は、各第1ガス流路41の遠位端部412と各第2ガス流路42の遠位端部422とを連通する。連通流路30は、各第1ガス流路41から各第2ガス流路42まで延びる空間によって構成されている。連通部材3は、支持基板4に接合されていることが好ましい。
【0076】
連通部材3は、例えば、多孔質である。また、連通部材3は、その外側面を構成する緻密層31を有している。緻密層31は、連通部材3の本体よりも緻密に形成されている。例えば、緻密層31の気孔率は、0〜7%程度である。この緻密層31は、連通部材3と同じ材料や、上述した電解質7に使用される材料、結晶化ガラス等によって形成することができる。
【0077】
[発電方法]
上述したように構成されたセルスタック装置100では、マニホールド2のガス供給室21に水素ガスなどの燃料ガスを供給するとともに、燃料電池セル10を空気などの酸素を含むガスに曝す。すると、空気極8において下記(1)式に示す化学反応が起こり、燃料極6において下記(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる。
(1/2)・O
2+2e
−→O
2− …(1)
H
2+O
2−→H
2O+2e
− …(2)
【0078】
詳細には、ガス供給室21に供給された燃料ガスは、各燃料電池セル10の第1ガス流路41内を流れ、各発電素子部5の燃料極6において、上記(2)式に示す化学反応が起こる。各燃料極6において未反応であった燃料ガスは、第1ガス流路41を出て連通流路30を介して第2ガス流路42へ供給される。そして、第2ガス流路42へ供給された燃料ガスは、再度、燃料極6において上記(2)式に示す化学反応が起こる。第2ガス流路42を流れる過程において燃料極6において未反応であった燃料ガスは、マニホールド2のガス回収室22へ回収される。
【0079】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0080】
変形例1
上記実施形態では、燃料極集電部61が第1凹部611及び第2凹部612を有しているが、燃料極集電部61の構成はこれに限定されない。例えば、燃料極集電部61は第1凹部611及び第2凹部612などの凹部を有していなくてもよい。この場合、燃料極活性部62及びインターコネクタ91は、燃料極集電部61の主面上に形成されており、燃料極集電部61に埋設されていない。
【0081】
変形例2
各第1ガス流路41の流路断面積は、互いに異なっていてもよい。また、各第2ガス流路42の流路断面積は、互いに異なっていてもよい。
【0082】
変形例3
上記実施形態では、第2ガス流路42の数は、第1ガス流路41の数と同じであったが、第2ガス流路42の数はこれに限定されない。例えば、
図8に示すように、第2ガス流路42の数は、第1ガス流路41の数よりも少なくてもよい。すなわち、ガス回収室22と連通するガス流路の数をガス供給室21と連通するガス流路の数よりも少なくしてもよい。この場合、第2ガス流路42の流路断面積の合計値が第1ガス流路41の流路断面積の合計値より大きくならない範囲であれば、第2ガス流路42の流路断面積は、第1ガス流路41の流路断面積と同じ、または第1ガス流路41の流路断面積よりも大きくてもよい。なお、上記実施形態と同様に、第2ガス流路42の流路断面積は、第1ガス流路41の流路断面積よりも小さくてもよい。また、第2ガス流路42の流路断面積の合計値が第1ガス流路41の流路断面積の合計値より大きくならない範囲であれば、第2ガス流路42の数は、第1ガス流路41の数より多くてもよい。
【0083】
なお、
図8に示す構成では、第2ガス流路42間のピッチp2を広げることで第2ガス流路42の数を第1ガス流路41の数よりも少なくしているが、セルスタック装置100は、他の構成によって第2ガス流路42の数を第1ガス流路41の数よりも少なくしてもよい。
【0084】
例えば、
図9に示すように、第2領域402を第1領域401よりも小さくすることによって、第2ガス流路42の数を第1ガス流路41の数よりも少なくしてもよい。この場合、第1ガス流路41間のピッチp1と第2ガス流路42間のピッチp2とは、互いに等しい。また、第1ガス流路41の流路断面積と、第2ガス流路42の流路断面積とは、互いに等しい。
【0085】
境界領域403は、幅方向(y軸方向)において支持基板4の中央から第2領域402側に寄っている。また、マニホールド2は、ガス回収室22がガス供給室21よりも小さくなるように構成されている。例えば、仕切板24を中央よりもガス回収室22側に移動させることによって、ガス回収室22をガス供給室21よりも小さくすることができる。
【0086】
変形例4
第1ガス流路41は、その長さ方向(x軸方向)において、均一な流路断面積を有していなくてもよい。特に、第1ガス流路41の流路断面積は、燃料ガス濃度が低くなる遠位端部412に近付くほど小さくなっていてもよい。また、第2ガス流路42は、その長さ方向(x軸方向)において、均一な流路断面積を有していなくてもよい。特に、第2ガス流路42の流路断面積は、燃料ガス濃度が低くなる近位端部421に近付くほど小さくなっていてもよい。この構成によれば拡散性が向上し界面近傍に存在するNiがNiOに変化することを更に抑制することができる。
【0087】
変形例5
上記実施形態では、第1及び第2ガス流路41,42は、円形状の断面を有しているが、第1及び第2ガス流路41,42の断面形状は、矩形状や楕円形状であってもよい。
【0088】
変形例6
上記実施形態では、燃料電池セル10は、複数の第1ガス流路41を有しているが、1つの第1ガス流路41のみを有していてもよい。この場合、第1ガス流路41の流路断面積の合計値とは、その1つの第1ガス流路41の断面積を意味する。同様に、燃料電池セル10は、複数の第2ガス流路42を有しているが、1つの第2ガス流路42のみを有していてもよい。この場合、第2ガス流路42の断面積の合計値とは、その1つの第2ガス流路42の断面積を意味する。
【0089】
変形例7
上記実施形態では、第1主面45に配置された各発電素子部5は、互いに直列に接続されているが、第1主面45に配置された各発電素子部5の全てが直列に接続されている必要は無い。なお、第2主面46に配置された各発電素子部5についても同様である。
【0090】
変形例8
燃料電池セル10において、第1主面45に形成された各発電素子部5と第2主面46に形成された各発電素子部5との間は、互いに電気的に接続されていなくてもよいし、複数の箇所で電気的に接続されていてもよい。
【0091】
変形例9
上記実施形態では、各発電素子部5は、第1主面45と第2主面46との両面に配置されているが、どちらか一方の面のみに配置されていてもよい。
【0092】
変形例10
各燃料電池セル10の幅は、互いに異なっていてもよい。詳細には、各発電素子部5の幅は、互いに異なっていてもよい。例えば、ある支持基板4に形成された各発電素子部5の幅と、別の支持基板4に形成された各発電素子部5の幅とは、異なっていてもよい。
【0093】
変形例11
実施形態では、連通部材3は多孔質であるが、連通部材3は金属によって構成されていてもよい。具体的には、連通部材3は、Fe−Cr合金、Ni基合金、又はMgO系セラミックス材料(支持基板4と同じ材料でも良い)などによって構成することができる。
【0094】
変形例12
上記実施形態では、連通部材3の連通流路30は空間によって構成されていたが、連通部材3の連通流路30の構成はこれに限定されない。例えば、
図10に示すように、連通部材3の連通流路30は、連通部材3内に形成された複数の気孔によって構成することができる。
【0095】
変形例13
図11に示すように、セルスタック装置100は、連通部材3を備えていなくてもよい。この場合、例えば、支持基板4内に連通流路30が形成されていてもよい。この連通流路30は、支持基板4の遠位端部44において、幅方向(y軸方向)に延びている。
【0096】
変形例14
上記実施形態のマニホールド2では、1つのマニホールド本体部23を仕切板24で仕切ることによって、ガス供給室21とガス回収室22とを画定しているが、マニホールド2の構成はこれに限定されない。例えば、2つのマニホールド本体部23によってマニホールド2を構成することもできる。この場合、1つのマニホールド本体部23がガス供給室21を有し、別のマニホールド本体部23がガス回収室22を有している。
【0097】
変形例15
上記実施形態の燃料電池セル10は、各発電素子部5が支持基板4の長さ方向(x軸方向)に配列されている、いわゆる横縞型の燃料電池セルであるが、燃料電池セル10の構成はこれに限定されない。例えば、燃料電池セル10は、支持基板4の第1主面45に1つの発電素子部5が支持された、いわゆる縦縞型の燃料電池セルであってもよい。この場合、支持基板4の第2主面46に一つの発電素子部5が支持されていてもよいし、支持されていなくてもよい。
【実施例】
【0098】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0099】
図9に示すような構成のセルスタック装置100において、表1に示すように、各第2ガス流路42の流路断面積の合計値(S2)に対する、各第1ガス流路41の流路断面積の合計値(S1)の割合(S1/S2)を変えて、それぞれサンプルNo.1〜8を作成した。各サンプルNo.1〜8において、第1ガス流路41の流路断面積の合計値(S1)及び第2ガス流路42の流路断面積の合計値(S2)以外の条件は基本的に同じとしている。
【0100】
(評価方法)
以上のように作製したサンプルNo.1〜8の燃料電池セル10に対して連続発電試験を実施した。そして、連続発電試験の開始から1000時間後の発電素子部5における発電効率の低下を評価した。なお、発電温度:750℃、電流密度:0.15A/cm
2、燃料利用率:90%で運転した際の燃料電池セルの平均出力電圧の変化率を、試験開始直後の平均出力電圧を基準として評価した。
【0101】
【表1】
【0102】
表1に示すように、各第1ガス流路41の流路断面積の合計値(S1)を、各第2ガス流路の流路断面積の合計値(S2)よりも大きくすることによって、発電効率の低下を抑制できることが分かった。また、第2ガス流路42の流路断面積の合計値(S2)に対する、第1ガス流路41の流路断面積の合計値(S1)の割合(S1/S2)を1.05以上とすることによって、発電効率の低下をさらに抑制できることが分かった。このように発電効率の低下を抑制できるのは、各第1ガス流路41の流路断面積の合計値(S1)を、各第2ガス流路の流路断面積の合計値(S2)よりも大きくすることによって、いわゆる燃料枯れが抑制されたためであると考えられる。
【解決手段】セルスタック装置100は、マニホールド2と、燃料電池セル10とを備えている。マニホールド2は、ガス供給室21及びガス回収室22を有する。燃料電池セル10は、支持基板4、及び発電素子部を有する。支持基板4は、第1ガス流路41、及び第2ガス流路42を有する。第1ガス流路41はガス供給室21と連通し、第2ガス流路42はガス回収室22と連通する。第1ガス流路41は、近位端部411においてガス供給室21内に開口する。第2ガス流路42は、近位端部421においてガス回収室22内に開口する。第1ガス流路41と第2ガス流路42とは、遠位端部412,422側において互いに連通している。第1ガス流路41及び第2ガス流路42は、第1ガス流路41におけるガスの圧力損失が第2ガス流路42内におけるガスの圧力損失よりも小さくなるように構成される。