【実施例】
【0100】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これらの実施例は、例示目的のためにのみ提供され、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくそれらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0101】
(実施例1)
リサイクル樹脂のサプライヤーより、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンフレークの混色サンプルの供給を受けた。消費者による使用後にリサイクルされたポリプロピレンは、米国及びカナダに由来する。それぞれ一般的な混合部品及び輸送部品を有する30mmの汎用スクリューを2本取り付けたCentury/W&P ZSK30二軸スクリュー押出機でコンパウンド化することにより、受領したままの混色カラーフレークを均質化した。スクリュー回転速度は約50rpmとし、フィーダーの押出質量は約9.07kg/時間(20ポンド/時間)とし、バレル温度はダイの約210℃から、供給口の約150℃までの範囲とした。押出機から排出されたグレーのストランドを室温の水浴で冷却し、風乾させ、ペレットに細断した。
【0102】
本明細書に開示する試験方法を用いサンプルを特性評価した。得られたデータを表1に要約する。この例は、消費者による使用後、精製前にリサイクルされた、代表的な樹脂の特性を示すことを目的とする。
【0103】
ペレット及び相当する四角形の試験片は、四角形の試験片のL
*a
*b
*値において示されるとおり暗灰色であった。サンプルの不透明度は、平均して約100%であった(すなわち、非透光性であった)。四角形の試験片の画像を実施例1として
図4に示す。
図4に示すとおり、試験片は暗色であり、透光性がなかった。
【0104】
この例は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンで見られる重金属混入についての代表的なベースラインとして提供される。その他の例と比較したとき、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンは、提供されたままの状態で非常に高い重金属混入が見られる。
【0105】
実施例1のサンプルの灰分含量の値は平均して約1.2117重量%であった。この値は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンにおいて多くの場合存在する非可燃性の物質量についてのベースラインとしても提供される。
【0106】
この例は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンで見られる臭気化合物混入についての代表的なベースラインとしても提供される。実施例1のサンプルの臭気強度は、5点スケールで3.75であることも判明し(5が最も強い)、「生ゴミのような」、「ほこりっぽい」、又は「酸っぱい」臭気を有するとして記録された。
【0107】
この例は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンで見られるポリエチレン混入についての代表的なベースラインとしても提供される。実施例1のサンプルのポリエチレン含量は平均して約5.5重量%であった。
【0108】
(実施例2)
実施例1に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンの混色フレークサンプルを、
図3に示す実験装置及び以下の手順を用い加工した。
1.内径(ID)4.45cm(1.75”)かつ長さ71.12cm(28”)の1.1Lの抽出カラム圧力容器に237gの混色フレークを充填し、外面温度175℃にまで加熱した。
2.容積式ポンプを使用して液体n−ブタン溶媒を約14.82MPa(2,150psig)に加圧し、2台の熱交換器を使用して約110℃の温度に予熱した後、抽出カラムの底部に導入した。
3.抽出カラムの頂部から出た流体ストリームを、IDが5.08cm(2”)でありかつ長さが約21.59cm(8.5”)の2つめの0.5Lの圧力容器に導入し、外面温度175℃にまで加熱した。第2の圧力容器には、予めビーカー内で150mLの酸化アルミニウム(Activated Alumina,Selexsorb CDX,7×14,BASF,USA)と混合しておいた150mLのシリカゲル(Silicycle Ultra Pure Silica Gels,SiliaFlash GE60,Parc−Technologies,USA)を入れた。
4.第2の圧力容器の底部から出た流体ストリームは、膨張弁から枝付き三角フラスコにかけて減圧される。減圧した流体ストリームが三角フラスコ内に入った後で、サイドアーム口を通して溶媒蒸気をベントし、フラスコ内に液体/固体を回収した。フラスコ内での材料の集積が観察されなくなるまで、14.82MPa(2,150psig)でn−ブタン溶媒をシステムに通し溶出した。19.93gの白色固体を回収し、「画分1」とラベルした。
5.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を16.55MPa(2,400psig)に上昇させた。
6.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を16.55MPa(2,400psig)に維持した。89.35gの白色固体を回収し、「画分2」とラベルした。
7.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を17.24MPa(2,500psig)に上昇させた。
8.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を17.24MPa(2,500psig)に維持した。58.18gの白色固体を回収し、「画分3」とラベルした。
9.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を17.93MPa(2,600psig)に上昇させた。
10.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を17.93MPa(2,600psig)に維持した。7.29gの白色固体を回収し、「画分4」とラベルした。
11.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を20.68MPa(3,000psig)に上昇させた。
12.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を20.68MPa(3,000psig)に維持した。5.58gの白色固体を回収し、「画分5」とラベルした。
13.各フラスコに回収されたサンプルを室温及び室圧下で少なくとも2日間脱ガスした後、本明細書に開示した試験方法を用い特性評価した。
【0109】
16.55MPa(2,400psig)で画分2として回収した白色固体材料についてのデータを表1に要約する。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
本実施例において、画分1〜5において分離された固体は白色であった。画分2由来の白色固体を四角形の試験片に圧縮成形した。この試験片は無色透明であり、バージンポリプロピレンと同様の外見をしていた。四角形の試験片の画像を実施例2として
図4に示す。
図4に示すとおり、試験片は透明であり、色及び透光性がバージンポリプロピレンと同等であった。L
*a
*b
*値は、四角形の試験片が本質的に無色であることを示し、かつ実施例1の四角形の試験片(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)と比較して色が劇的に改善していることを示した。実施例2の画分2の四角形の試験片のL
*値は平均して85.29であり、平均して39.76であった実施例1の四角形の試験片のL
*値と比較して十分に改善されていた。不透明度が平均して7.90%(すなわち、透明度は約92%)であった実施例2の画分2の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約100%であった実施例1の四角形の試験片の不透明度値と比較して十分改善されていた。
【0113】
実施例2の画分2に由来するサンプルの重金属混入濃度も、実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。例えば、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであったのに対し、実施例2の画分2由来のサンプル中のナトリウム濃度は平均してわずか2,630ppbであった(約98%の低減)。アルミニウム、鉄、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例1のサンプルでは、それぞれ平均して192,000、108,000、1,620、及び12,166ppbであったのに対し、実施例2の画分2に由来するサンプルでは、同元素群は全て定量限界を下回った。測定された他の全ての元素の濃度(カルシウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、及び亜鉛)は、実施例2の画分2では、実施例1のサンプルと比較して、全て99%超低減された。
【0114】
実施例2の画分2のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約1.2117重量%であった実施例1のサンプルと比較して大幅に低く、平均して約0.2897重量%であった。
【0115】
実施例2の画分2のサンプルの臭気強度は、5点スケールで0.5であり、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と比較して十分に改善されていたことが判明した(5が最も強い)。実施例2の画分2に由来するサンプルの臭気強度は低かったものの、バージンポリプロピレンと同様の「プラスチック」様又は「ガソリン」様の臭気と有すると記載された。
【0116】
実施例2の画分2に由来するサンプル中のポリエチレン含量は、定量限界を下回っており、ポリエチレン含量が平均して約5.5重量%であった実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。
【0117】
図5は、実施例2の精製したリサイクルポリプロピレンの不透明度及び臭気強度を、未処理のリサイクルポリプロピレン(実施例1)、欧州特許第EP08493121(A1)号に記載の方法に従って処理したリサイクルポリプロピレン(実施例8)、及びバージンポリプロピレンの比較サンプルと比較する棒グラフである。
図5に示すとおり、実施例2の精製されたリサイクルポリプロピレンは、不透明度が低くかつ臭気強度が低く、バージンポリプロピレンの比較サンプルと同様であった。
【0118】
(実施例3)
実施例1に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンの混色フレークサンプルを、
図3に示す実験装置及び以下の手順を用い加工した。
1.225gの混色フレークを、外表面温度が135℃になるまで加熱した内径(ID)44.45mm(1.75”)及び長さ71.12cm(28”)の1.1Lの抽出カラム圧力容器に充填した。
2.容積式ポンプを使用して液体n−ブタン溶媒を約6.89MPa(1,000psig)に加圧し、2台の熱交換器を使用して約90℃の温度に予熱した後、抽出カラムの底部に導入した。
3.抽出カラムの頂部から出た流体ストリームを、IDが5.08cm(2”)でありかつ長さが約21.59cm(8.5”)の2つめの0.5Lの圧力容器に導入し、外面温度135℃にまで加熱した。第2の圧力容器には、予めビーカー内で150mLの酸化アルミニウム(Activated Alumina,Selexsorb CDX,7×14,BASF,USA)と混合しておいた150mLのシリカゲル(Silicycle Ultra Pure Silica Gels,SiliaFlash GE60,Parc−Technologies,USA)を入れた。
4.第2の圧力容器の底部から出た流体ストリームは、膨張弁から枝付き三角フラスコにかけて減圧される。減圧した流体ストリームが三角フラスコ内に入った後で、サイドアーム口を通して溶媒蒸気をベントし、フラスコ内に液体/固体を回収した。フラスコ内の材料集積が観察されなくなるまで、6.89MPa(1,000psig)でn−ブタン溶媒をシステムに通し溶出した。27.52gのオフホワイト固体を回収し、「画分1」とラベルした。
5.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を10.34MPa(1,500psig)に上昇させた。
6.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を10.34MPa(1,500psig)に維持した。59.25gのオフホワイト固体を回収し、「画分2」とラベルした。
7.10.34MPa(1,500psig)で回収した画分2のサンプルを室温及び室圧下で少なくとも2日間脱ガスした後、本明細書に開示した試験方法を用い特性評価した。
【0119】
10.34MPa(1,500psig)で回収した画分2のサンプルについてのデータを表1に要約する。
【0120】
この実施例において、画分2に分離された固体は、わずかにオフホワイト色を帯びていた。これらの固体を四角形の試験片に圧縮成形した。画分2由来のこの試験片はほぼ無色透明であり、バージンポリプロピレンとほとんど同様の外見をしていた。四角形の試験片の画像を実施例3として
図4に示す。
図4に示すとおり、試験片は透明であり、色及び透光性がバージンポリプロピレンと同等であった。L
*a
*b
*値も、画分2由来の四角形の試験片が本質的に無色であることを示し、かつ実施例1の四角形の試験片(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)と比較して色が劇的に改善していることを示した。実施例3の画分2の四角形の試験片のL
*値は平均して84.57であり、平均して39.76であった実施例1の四角形の試験片のL
*値と比較して十分に改善されていた。不透明度が平均して9.58%(すなわち、透明度は約90%)であった実施例3の画分2の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約100%であった実施例1の四角形の試験片の不透明度値と比較して十分改善されていた。
【0121】
実施例3の画分2に由来するサンプルの重金属混入濃度も、実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。例えば、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであったのに対し、実施例3の画分2由来のサンプル中のナトリウム濃度は平均して36,100ppbであった(約74%の低減)。鉄、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例1のサンプルでは、それぞれ平均して108,000、1,620、及び12,166ppbであったのに対し、実施例3の画分2に由来するサンプルでは、同元素群は全て定量限界を下回った。カルシウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、及び亜鉛の濃度は、実施例3の画分2では、実施例1のサンプルと比較して、全て95%超低減された。同比較において、アルミニウムの濃度は約74%低減された。
【0122】
実施例3の画分2のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約0.1614重量%であった実施例1のサンプルと比較して大幅に低く、平均して約1.2117重量%であった。
【0123】
実施例3の画分2のサンプルの臭気強度は、5点スケールで3であり、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と比較してわずかに改善されていたことが判明した(5が最も強い)。実施例3の画分2由来のサンプルは、「プラスチック」様又は「溶媒」様と記載される臭気を有していた。
【0124】
実施例3の画分2に由来するサンプル中のポリエチレン含量は、定量限界を下回っており、ポリエチレン含量が平均して約5.5重量%であって実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。
【0125】
(実施例4)
実施例1に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンの混色フレークサンプルを、
図3に示す実験装置及び以下の手順を用い加工した。
1.236gの混色フレークを、外表面温度が175℃になるまで加熱した内径(ID)44.45mm(1.75”)及び長さ71.12cm(28”)の1.1Lの抽出カラム圧力容器に充填した。
2.容積式ポンプを使用して液体ヘキサン(混合異性体)溶媒を約1.38MPa(200psig)に加圧し、2台の熱交換器を使用して約110℃の温度に予熱した後、抽出カラムの底部に導入した。
3.抽出カラムの頂部から出た流体ストリームを、IDが50.8mm(2”)でありかつ長さが約21.59cm(8.5”)の2つめの0.5Lの圧力容器に導入し、外面温度175℃にまで加熱した。第2の圧力容器には、予めビーカー内で150mLの酸化アルミニウム(Activated Alumina,Selexsorb CDX,7×14,BASF,USA)と混合しておいた150mLのシリカゲル(Silicycle Ultra Pure Silica Gels,SiliaFlash GE60,Parc−Technologies,USA)を入れた。
4.第2の圧力容器の底部から出た流体ストリームは、膨張弁から枝付き三角フラスコにかけて減圧される。減圧した流体ストリームが三角フラスコ内に入った後で、液体/固体溶液溶媒蒸気をベントし、フラスコ内に液体/固体を回収した。フラスコ内の材料集積が観察されなくなるまで、1.38MPa(200psig)でヘキサン溶媒をシステムに通し溶出した。102.11gの白色固体を回収し(溶媒の蒸発後)、「画分1」とラベルした。
5.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を2.07MPa(300psig)に上昇させた。
6.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を2.07MPa(300psig)に維持した。71.08gの白色固体を回収し(溶媒の蒸発後)、「画分2」とラベルした。
7.全てのサンプルからヘキサン溶媒を蒸発により除去し、次いで、サンプルを室温及び室圧下で少なくとも2日間脱ガスした後、本明細書に開示した試験方法を用い特性評価した。
【0126】
1.38MPa(200psig)で回収した画分1のサンプルについてのデータを表1に要約する。
【0127】
この実施例の画分1に分離された固体は、わずかにオフホワイト色を帯びていた。これらの画分1の固体を四角形の試験片に圧縮成形した。この試験片はほぼ無色であったものの、その外見はわずかに濁っていた。四角形の試験片の画像を実施例4として
図4に示す。
図4に示すとおり、試験片の色及び不透明度は実施例1と比較して改善されていたものの、試験片は、バージンPPと比較して濁った外見も有した。L
*a
*b
*値は、画分1の四角形の試験片が本質的に無色であり、実施例1の四角形の試験片(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)と比較して色が改善されていたことを示した。実施例4の画分1の四角形の試験片のL
*値は平均して82.18であり、平均して39.76であった実施例1の四角形の試験片のL
*値と比較して十分に改善されていた。不透明度が平均して22.18%であった実施例4の画分1の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約100%であった実施例1の四角形の試験片の不透明度値と比較して改善されていた。しかしながら、実施例4の画分1に由来する四角形の試験片の不透明度値は、実施例2及び3の画分2に由来する四角形の試験片の不透明度値ほど改善されていなかった。
【0128】
実施例4の画分1に由来するサンプルの重金属混入濃度も、実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。例えば、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであったのに対し、実施例4の画分1由来のサンプル中のナトリウム濃度は平均して2,790ppbであった(約97%の低減)。アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例4の画分1では、実施例1のサンプルと比較して、全て96%超低減された。
【0129】
実施例4の画分1のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約0.2812重量%であった実施例1のサンプルと比較して大幅に低く、平均して約1.2117重量%であった。
【0130】
実施例4の画分1のサンプルの臭気強度は、5点スケールで2.25であり、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と比較して改善されていたことが判明した(5が最も強い)。強度は低減されていたものの、実施例4の画分1に由来するサンプルは「ミント」様、「酸っぱい」、「プラスチック」、及び「焼けたよう」として記載される臭気を有していた。
【0131】
実施例4の画分1由来のサンプルの平均ポリエチレン含量値は、ポリエチレン含量値が平均約5.5重量%であった実施例1のサンプルと比較して改善されており、平均して約1.9重量%であった。
【0132】
(実施例5)
実施例1に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンの混色フレークサンプルを、
図3に示す実験装置及び以下の手順を用い加工した。
1.233gの混色フレークを、外表面温度が175℃になるまで加熱した内径(ID)44.45mm(1.75”)及び長さ71.12cm(28”)の1.1Lの抽出カラム圧力容器に充填した。
2.容積式ポンプを使用して液体n−ブタン溶媒を約14.13MPa(2,050psig)に加圧し、2台の熱交換器を使用して約110℃の温度に予熱した後、抽出カラムの底部に導入した。
3.抽出カラムの頂部から出た流体ストリームを、IDが50.8mm(2”)でありかつ長さが約21.59cm(8.5”)の2つめの0.5Lの圧力容器に導入し、外面温度175℃にまで加熱した。第2の圧力容器には、180mLのシリカゲル(Silicycle Ultra Pure Silica Gels,SiliaFlash GE60,Parc−Technologies,USA)を入れた。
4.第2の圧力容器の底部から出た流体ストリームは、膨張弁から枝付き三角フラスコにかけて減圧される。減圧した流体ストリームが三角フラスコ内に入った後で、サイドアーム口を通して溶媒蒸気をベントし、フラスコ内に液体/固体を回収した。フラスコ内の材料集積が観察されなくなるまで、14.13MPa(2,050psig)でn−ブタン溶媒をシステムに通し溶出した。12.87gの白色固体を回収し、「画分1」とラベルした。
5.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を17.24MPa(2,500psig)に上昇させた。
6.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を17.24MPa(2,500psig)に維持した。162.43gの白色固体を回収し、「画分2」とラベルした。
7.17.24MPa(2,500psig)で回収したサンプルを室温及び室圧下で少なくとも2日間脱ガスした後、本明細書に開示した試験方法を用い特性評価した。
【0133】
17.24MPa(2,500psig)で回収した画分2のサンプルについてのデータを表2に要約する。
【0134】
この実施例において、画分2から分離された固体は、白色〜わずかなオフホワイト色を帯びていた。これらの画分2の固体を四角形の試験片に圧縮成形した。この試験片はほぼ無色であったものの、その外見はわずかに濁っていた。四角形の試験片の画像を実施例5として
図4に示す。
図4に示すとおり、試験片の外見は実施例1と比較して改善されていたものの、試験片は、バージンPPと比較して濁った外見を有した。L
*a
*b
*値は、画分1の四角形の試験片が本質的に無色であり、実施例1の四角形の試験片(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)と比較して色が劇的に改善されていたことを示した。実施例5の画分2の四角形の試験片のL
*値は平均して82.00であり、平均して39.76であった実施例1の四角形の試験片のL
*値と比較して十分に改善されていた。不透明度が平均して約18.63%であった実施例5の画分2の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約100%であった実施例1の四角形の試験片の不透明度値と比較して改善されていた。しかしながら、実施例5の画分2に由来する四角形の試験片の不透明度値は、実施例2及び3の画分2に由来する四角形の試験片の不透明度値ほど改善されていなかった。何らかの理論に束縛されることを望むものではないが、本出願人らは、外見が改善されているものの尚も濁っているのは、シリカゲルの充填が少なく(すなわち、層の長さが短い)、回収されたポリマー中に、より多量の混入物が残留したためだと考えている。
【0135】
実施例5の画分2に由来するサンプルにおける重金属混入濃度も、実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。例えば、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであったのに対し、実施例5の画分2由来のサンプル中のナトリウム濃度は平均して2,960ppbであった(約98%の低減)。実施例1のサンプル中の鉄濃度は平均して108,000であったのに対し、実施例5の画分2のサンプル中の鉄濃度は検出限界未満であった。アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例5の画分2では、実施例1のサンプルと比較して、全て97%超低減された。
【0136】
実施例5の画分2のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約0.5723重量%であった実施例1のサンプルと比較して低く、平均して約1.2117重量%であった。
【0137】
実施例5の画分2のサンプルの臭気強度は、5点スケールで4であり、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と比較してわずかに高かったことが判明した(5が最も強い)。実施例5の画分2由来のサンプルは、「汚泥」様又は「油っぽい」、又は「ミント」様と記載される臭気を有していた。理論に束縛されることを望むものではないが、本出願人らは、実施例5のサンプルの臭気強度が高くなっているのは、第1の抽出工程(すなわち、画分1の集積)中に臭気分子がシリカゲルに吸着したことによるものと考えている。実施例5で使用されるシリカゲルの量が少ない(ひいては層の高さが短い)ことから、吸着した臭気分子は、画分2として回収された固体とともに溶出したようである。
【0138】
実施例5の画分2由来のサンプルの平均ポリエチレン含量値は、ポリエチレン含量値が平均約5.5重量%であった実施例1のサンプルと比較して改善されており、平均して約1.7重量%であった。
【0139】
(実施例6)
実施例6のサンプルは、実施例3において6.89MPa(1,000psig)で生成された画分1の白色固体を実施例3において10.34MPa(1,500psig)で生成された画分2の白色固体と組み合わせることにより生成した。画分1及び画分2のサンプルを組み合わせることで、抽出可能な混入物を抽出する工程なしにポリプロピレンを精製する方法の性能を実証した。実施例3の画分1及び2を組み合わせたものについてのデータを表2に要約する。
【0140】
この実施例の固体分を四角形の試験片に圧縮成形したところ、試験片の外見は実施例3の画分2の四角形の試験片と同様の外見を有していた。四角形の試験片の画像を実施例6として
図4に示す。
図4に示すとおり、試験片は透明であり、色及び透光性がバージンポリプロピレンと同等であった。L
*a
*b
*値は、四角形の試験片が本質的に無色であることを示し、かつ実施例1の四角形の試験片(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)と比較して色が劇的に改善していることを示した。実施例6の四角形の試験片のL
*値は平均して84.51であり、平均して39.76であった実施例1の四角形の試験片のL
*値と比較して十分に改善されていた。不透明度が平均して9.14%(すなわち、透明度は約91%)であった実施例6の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約100%であった比較例1の四角形の試験片の不透明度値と比較して十分改善されていた。実施例6の四角形の試験片のL
*a
*b
*値及び不透明度も、実施例3の画分2のL
*a
*b
*値及び四角形の試験片の不透明度と同様であった。
【0141】
実施例3の画分2と同様、実施例6のサンプル中の重金属混入濃度も、実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。例えば、実施例6のサンプル中のナトリウム濃度は平均して19,700ppbであったのに対し、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであった(約86%の低減)。アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例6では、実施例1のサンプルと比較して、全て82%超低減された。
【0142】
実施例6のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約1.2117重量%であった実施例1のサンプルと比較して低く、平均して約0.4951重量%であった。実施例3の画分2に由来するサンプルの灰分含量値と比較して、実施例6のサンプルの灰分含量値はわずかに高かった。
【0143】
実施例6のサンプルの臭気強度は、5点スケールで3.75であり、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と同じであったことが判明した(5が最も強い)。実施例6のサンプルは、「塩素」、「プラスチック」、「油っぽい」、及び「脂っぽい」として記載される臭気を有していた。実施例3の画分2のサンプルと比較して、実施例6のサンプルはより強烈な臭気を有していた。
【0144】
実施例3の画分2と同様に、実施例6のサンプル中のポリエチレン含量は、定量限界を下回っており、ポリエチレン含量が平均して約5.5重量%であった実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。
【0145】
(実施例7)
この実施例は、ポリマー溶液を固体媒体と接触させる工程なしにポリプロピレンを精製する方法は性能が良くないことを実証することを目的とする。実施例1に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンの混色フレークサンプルを、
図3に示す実験装置及び以下の手順を用い加工した。
1.231gの混色フレークを、外表面温度が175℃になるまで加熱した内径(ID)44.45mm(1.75”)及び長さ71.12cm(28”)の1.1Lの抽出カラム圧力容器に充填した。
2.容積式ポンプを使用して液体n−ブタン溶媒を約13.79MPa(2,000psig)に加圧し、2台の熱交換器を使用して約110℃の温度に予熱した後、抽出カラムの底部に導入した。
3.抽出カラムの頂部から出た流体ストリームを、IDが50.8mm(2”)でありかつ長さが約21.59cm(8.5”)の2つめの0.5Lの圧力容器に導入し、外面温度175℃にまで加熱した。本例において、第2の圧力容器には、固体媒体を収容させなかった。
4.第2の圧力容器の底部から出た流体ストリームは、膨張弁から枝付き三角フラスコにかけて減圧される。減圧した流体ストリームが三角フラスコ内に入った後で、サイドアーム口を通して溶媒蒸気をベントし、フラスコ内に液体/固体を回収した。フラスコ内の材料集積が観察されなくなるまで、13.79MPa(2,000psig)でn−ブタン溶媒をシステムに通し溶出した。20.82gの白色固体を回収し、「画分1」とラベルした。
5.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を17.24MPa(2,500psig)に上昇させた。
6.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を17.24MPa(2,500psig)に維持した。173.39gの灰色固体を回収し、「画分2」とラベルした。
7.17.24MPa(2,500psig)で回収した画分2のサンプルを室温及び室圧下で少なくとも2日間脱ガスした後、本明細書に開示した試験方法を用い特性評価した。
【0146】
17.24MPa(2,500psig)で回収した画分2のサンプルについてのデータを表2に要約する。
【0147】
この実施例において、画分2に分離された固体は、灰色〜オフホワイト色を帯びていた。これらの画分2の固体を四角形の試験片に圧縮成形した。この試験片の外見は淡褐色/薄い灰色であった。四角形の試験片の画像を実施例7として
図4に示す。
図4に示すとおり、試験片は実施例1と比較してわずかに改善されていた。固体媒体を接触させる工程がなかったのにもかかわらず、L
*a
*b
*値は、実施例7の画分2の四角形の試験片の色が、実施例1のサンプル(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)と比較してわずかに改善されていたことを示す。実施例7の画分2の四角形の試験片のL
*値は平均して50.51であり、平均して39.76であった実施例1の四角形の試験片のL
*値と比較してわずかに改善されていた。不透明度が平均して87.20%であった実施例7の画分2の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約100%であった実施例1の四角形の試験片の不透明度値と比較してわずかに改善されていた。理論に束縛されることを望むものではないが、実施例7の四角形の試験片の色値及び不透明度がわずかに改善されていたのは、外見に関係する着色剤及びその他の材料からポリマーが抽出されたためである可能性がある。更に、本出願人らは、着色剤及びその他の材料は、ポリマーが抽出された後に残留物として残される場合もあると考えている。
【0148】
実施例7の画分2に由来するサンプルにおける重金属混入濃度も、実施例1のサンプルと比較して改善されていた。例えば、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであったのに対し、実施例7の画分2由来のサンプル中のナトリウム濃度は平均して33,300ppbであった(約76%の低減)。アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例7の画分2では、実施例1のサンプルと比較して、全て69%超低減された。理論に束縛されることを望むものではないが、本出願人らは、ポリマーが混入物から抽出され、かかる混入物がポリマー抽出後の残留物として後に残された結果として、重金属混入の低減が生じたと考えている。
【0149】
実施例7の画分2のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約0.3154重量%であった実施例1のサンプルと比較して低く、平均して約1.2117重量%であった。
【0150】
実施例7の画分2のサンプルの臭気強度は、5点スケールで1であり、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と比較して十分に改善されていたことが判明した(5が最も強い)。実施例7の画分2由来のサンプルは、「プラスチック」様又は「石油」様と記載される臭気を有していた。
【0151】
実施例7の画分2由来のサンプルの平均ポリエチレン含量値は、ポリエチレン含量値が平均約5.5重量%であった実施例1のサンプルと比較して改善されており、平均して約1.2重量%であった。
【0152】
(実施例8)
実施例1に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンの混色フレークサンプルを、欧州特許第EP0849312(A1)号に示す手順をもとにした手順を用い精製した。
【0153】
消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレン混色フレーク20.00gを、1Lの丸底フラスコ内で400.04gのホワイトスピリット(Sigma−Aldrich,USA)と混ぜ合わせた。時折かき混ぜながら、この混合物を室温で22時間維持した。次に、ホワイトスピリットをポリマーから傾斜した。このポリマーの入っているフラスコに、402.60gの新しいホワイトスピリットを加えた。混合物を加熱した後、還流下、140℃で90分間維持した。濾過媒体としてグラスウール層を用い、IDが70mmのブフナー漏斗を介して、得られた熱溶液を真空濾過した。約300mLの濾液を回収し、室温に放冷した。得られた灰色の沈殿物は、シャークスキンろ紙を用い、IDが70mmのブフナー漏斗を介して真空濾過により分離した。灰色の沈殿物を、1Lの丸底フラスコ内で2.01gのフラー土(Sigma−Aldrich,USA)と195.21gの新しいホワイトスピリットと混ぜ合わせた後、加熱し、還流下、140℃で30分間維持した。シャークスキンろ紙を用い、IDが5.5cmのブフナー漏斗を介して、得られた熱溶液を真空濾過した。濾液を室温まで放冷した。得られた薄灰色の沈殿物は、シャークスキンろ紙を用い、IDが5.5cmのブフナー漏斗を介して真空濾過により分離した。分離した沈殿物を25℃の真空炉で約18時間乾燥した。約4.82gの乾燥沈殿を分離した。次に、分離した沈殿物を、セルロース製円筒ろ紙を入れたソックスレー抽出器によりアセトンで30分間抽出した。抽出した物質を25℃の真空炉で約19時間乾燥した。3.4654gの物質を回収した。本明細書に開示する試験方法を用いサンプルを特性評価した。得られたデータを表2に要約する。
【0154】
この実施例で分離した固体は薄灰色〜オフホワイト色であった。これらの固体を四角形の試験片に圧縮成形した。この試験片の外見はくすんだ薄い灰色であった。四角形の試験片の画像を実施例8として
図4に示す。
図4に示すとおり、試験片は、改善されたものの暗色のままであり、バージンPP程清澄及び半透明ではなかった。L
*a
*b
*値には、サンプルの色が実施例1(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)のサンプルと比較して改善されていたことを示した。実施例8のサンプルのL
*値は平均して63.15であり、平均して39.76であった実施例1のサンプルのL
*値と比較して改善されていた。しかしながら、実施例8のサンプルのL
*値により、欧州特許第EP0849312(A1)号に記載の方法では、本発明のいくつかの実施形態のサンプルのように明るく無色のサンプルが製造されないことが実証される。実施例8のサンプルの不透明度は24.96%であり、不透明度が平均して約100%であった実施例1のサンプルの不透明度と比較して改善されていた。不透明度は、実施例8のサンプルが本発明のいくつかの実施形態ほど透明ではなかったことも示す。
【0155】
実施例8のサンプルにおける重金属混入濃度は、実施例1のサンプルと比較して改善されていた。例えば、実施例8のサンプル中のナトリウム濃度は5,120ppbであったのに対し、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであった(約96%の低減)。アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例8では、実施例1のサンプルと比較して、全て43%超低減された。
【0156】
実施例8のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約1.2117重量%であった実施例1のサンプルと比較して低く、平均して約0.3294重量%であった。
【0157】
実施例8のサンプルの臭気強度は、5点スケールで5であり(5が最も強い)、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と比較してかなり強かったたことが判明した。実施例3のサンプルは、「ガソリン」様と記載される臭気を有していた。このサンプルの強い臭気は、使用したホワイトスピリット溶媒が残留していたことに起因した。
【0158】
実施例8のサンプルのポリエチレン含量値は、ポリエチレン含量値が平均約5.5重量%であった実施例1のサンプルと同じであり、平均して約5.5重量%であった。
【0159】
バージンポリプロピレン比較サンプル
全ての「バージンPP」比較サンプルには、Pro−fax 6331ポリプロピレン(LyondellBasell Industries Holdings,B.V.)を使用した。バージンPPのペレットを、本明細書に記載の方法により四角形の試験片に加工した。バージンPPから作製した試験片の平均Lab値は、それぞれ85.13±0.18、−0.71±0.01、及び2.27±0.02であった。四角形の試験片の平均不透明度は、7.56±0.21%であった。バージンPPのペレットの臭気強度は、5点スケールで0.5であり(5が最も強い)、「プラスチック」様と記載される臭気を有した。
【0160】
(実施例9)
消費者による使用後に得られるリサイクル高密度ポリエチレンのサンプルは、リサイクル樹脂のサプライヤーより供給を受けた。消費者による使用後にリサイクルされたポリエチレンは、「ナチュラルカラー」として分類される英国製のものとした。本明細書に開示する試験方法を用い、提供されたままの状態のペレットを特性評価した。得られたデータを表3に要約する。この例は、消費者による使用後、本発明の実施形態による精製前にリサイクルされた、代表的なポリエチレン樹脂の特性を示すことを目的とする。
【0161】
ペレット及び相当する四角形の試験片は、四角形の試験片のL
*a
*b
*値において示されるとおりオフホワイト色であった。実施例9のサンプルの不透明度は約81.61%であった。四角形の試験片の画像を実施例9として
図6に示す。
【0162】
この例は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリエチレンで見られる重金属混入についての代表的なベースラインとして提供される。その他の例と比較したとき、消費者による使用後に得られるリサイクルポリエチレンは、提供されたままの状態で最も高い重金属混入が見られる。
【0163】
実施例9のサンプルの灰分含量の値は平均して約0.8513重量%であった。この値は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリエチレンにおいて多くの場合存在する非可燃性の物質量についてのベースラインとしても提供される。
【0164】
この例は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリエチレンで見られる臭気化合物混入についての代表的なベースラインとしても提供される。実施例9のサンプルの臭気強度は、5点スケールで2.5であることも判明した(5が最も強い)。
【0165】
(実施例10)
実施例9に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリエチレンを、
図3に示す実験装置及び以下の手順を用い加工した。
1.237gのポリエチレンペレットを、外表面温度が175℃になるまで加熱した内径(ID)44.45mm(1.75”)及び長さ71.12cm(28”)の1.1Lの抽出カラム圧力容器に充填した。
2.容積式ポンプを使用して液体n−ブタン溶媒を約31.03MPa(4,500psig)に加圧し、2台の熱交換器を使用して約110℃の温度に予熱した後、抽出カラムの底部に導入した。
3.抽出カラムの頂部から出た流体ストリームを、IDが50.8mm(2”)でありかつ長さが約21.59cm(8.5”)の2つめの0.5Lの圧力容器に導入し、外面温度175℃にまで加熱した。第2の圧力容器には、予めビーカー内で150mLの酸化アルミニウム(Activated Alumina,Selexsorb CDX,7×14,BASF,USA)と混合しておいた150mLのシリカゲル(Silicycle Ultra Pure Silica Gels,SiliaFlash GE60,Parc−Technologies,USA)を入れた。
4.第2の圧力容器の底部から出た流体ストリームは、膨張弁から枝付き三角フラスコにかけて減圧される。減圧した流体ストリームが三角フラスコ内に入った後で、サイドアーム口を通して溶媒蒸気をベントし、フラスコ内に液体/固体を回収した。フラスコ内の材料集積が観察されなくなるまで、31.03MPa(4,500psig)でn−ブタン溶媒をシステムに通し溶出した。3.93gの白色固体を回収し、「画分1」とラベルした。
5.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を34.47MPa(5,000psig)に上昇させた。
6.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を34.47MPa(5,000psig)に維持した。33.19gの白色固体を回収し、「画分2」とラベルした。
【0166】
34.47MPa(5,000psig)で回収した画分2のサンプルについてのデータを表3に要約する。
【0167】
この実施例で分離した画分2の固体は白色〜オフホワイトであった。これらの画分2の固体を四角形の試験片に圧縮成形した。この試験片の外見はオフホワイトであった。四角形の試験片の画像を実施例10として
図3に示す。
図6に示すとおり、試験片は未処理のPEよりも透明であり、不透明度はバージンポリエチレンと同様であった。L
*a
*b
*値も、実施例10の画分2由来の四角形の試験片が実施例1の試験片(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリエチレン)と比較して色が改善していることを示した。実施例10の画分2の四角形の試験片のL
*値は平均して85.20であり、平均して80.28であった実施例9の四角形の試験片のL
*値と比較してわずかに改善されていた。不透明度が平均して53.20%であった実施例10の画分2の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約81.61%であった実施例9の四角形の試験片の不透明度値と比較して改善されていた。
【0168】
実施例10の画分2に由来するサンプルにおける重金属混入濃度も、実施例9のサンプルと比較して改善されていた。例えば、実施例10の画分2由来のサンプル中のナトリウム濃度は平均して6,620ppbであったのに対し、実施例9のサンプル中のナトリウム濃度は平均して19,800ppbであった(約67%の低減)。測定した他の全ての元素の濃度は、実施例10の画分2では、実施例9のサンプルと比較して、全て66%超低減された。
【0169】
実施例10の画分2のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約0.8513重量%であった実施例9のサンプルと比較して低く、平均して約0.5032重量%であった。
【0170】
実施例10の画分2のサンプルの臭気強度は、5点スケールで0.5であり、臭気強度が2.5であった実施例9のサンプルの臭気強度と比較して改善されていたことが判明した(5が最も強い)。
【0171】
図7は、実施例10の精製したリサイクルポリエチレンの不透明度及び臭気強度を、未処理のリサイクルポリエチレン(実施例9)及びバージンポリエチレンの比較サンプルと比較する棒グラフである。
図7に示すとおり、実施例10の精製したリサイクルポリエチレンは、不透明度及び臭気強度が改善されていた。
【0172】
【表3】
【0173】
バージンポリエチレン比較サンプル
全ての「バージンPE」比較サンプルにはDow 6850Aポリエチレン(The Dow Chemical Company,USA)を使用した。バージンPEのペレットを、本明細書に記載の方法により四角形の試験片に加工した。バージンPEから作製した試験片の平均Lab値は、それぞれ84.51±0.97、−1.03±0.04、及び−0.63±0.12であった。四角形の試験片の平均不透明度は、34.68±0.69%であった。バージンPEのペレットの臭気強度は、5点スケールで0.5であり(5が最も強い)、「プラスチック」様と記載される臭気を有した。
【0174】
相互参照されるか若しくは関連する任意の特許又は特許公開を含めた、本明細書で引用される全ての文書は、明示的に除外又は別途限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独でも若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示、示唆、若しくは開示することを認めるものではない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0175】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、他の様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、本開示の範囲内にある、そのような変更及び修正の全てを添付の特許請求の範囲で扱うものとする。