特許第6533334号(P6533334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533334
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】混入物を含むポリマーの精製方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/20 20060101AFI20190610BHJP
   C08J 3/14 20060101ALI20190610BHJP
   C08J 3/11 20060101ALI20190610BHJP
   C08J 11/16 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
   C08J11/20
   C08J3/14CES
   C08J3/11
   C08J11/16ZAB
【請求項の数】15
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2018-500341(P2018-500341)
(86)(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公表番号】特表2018-521186(P2018-521186A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】US2016038865
(87)【国際公開番号】WO2017003797
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2018年1月4日
(31)【優先権主張番号】62/186,493
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン モンクリーフ レイマン
(72)【発明者】
【氏名】マギー グンナーソン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス シェーネマン
(72)【発明者】
【氏名】カーラ ウィリアムズ
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−325407(JP,A)
【文献】 米国特許第09982066(US,B1)
【文献】 米国特許第05554657(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 11/20
C08J 3/11
C08J 3/14
C08J 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収ポリマーの精製方法であって、
a.消費者使用後のポリマー、産業使用後のポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記回収ポリマーを入手する工程と、
b.前記回収ポリマーを、80℃〜220℃の温度かつ1.03MPa(150psig)〜103.42MPa(15,000psig)の圧力にて70℃未満の標準沸点を有する第1の流体溶媒と接触させて、抽出された回収ポリマーを生成する工程と、
c.前記抽出された回収ポリマーを、90℃〜220℃の温度かつ2.41MPa(350psig)〜137.90MPa(20,000psig)の圧力にて、第1の流体溶媒、第2の流体溶媒、及びこれらの混合物からなる群から選択された溶媒に溶解し、ポリマー溶液を生成する工程と、
d.前記ポリマー溶液を固体媒体と接触させることにより90℃〜220℃の温度、かつ2.41MPa(350psig)〜137.90MPa(20,000psig)の圧力にて前記ポリマー溶液を精製して、より高純度のポリマー溶液を生成する工程と、
e.前記より高純度のポリマー溶液から、より高純度のポリマーを分離する工程と、を含み、
前記第2の流体溶媒は、前記第1の流体溶媒と同じ化学組成又は異なる化学組成を有する、方法。
【請求項2】
前記より高純度のポリマーが、0〜220℃の温度かつ0MPa(0psig)〜13.79MPa(2,000psig)の圧力にて前記高純度ポリマー溶液から分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回収ポリマーが、消費者による使用後のリサイクルに由来するポリマーである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記回収ポリマーがポリスチレンである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記流体溶媒が、−45℃超0℃未満の標準沸点と、+25kJ/mol未満の標準蒸発エンタルピー変化を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記流体溶媒が、オレフィン性炭化水素、脂肪族炭化水素、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記流体溶媒が、n−ブタン、ブタン異性体、又はこれらの混合物である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
工程b、c、及びdにおける温度が、110℃〜170℃である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
工程bにおける圧力が、7.58MPa(1,100psig)〜37.92MPa(5,500psig)である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
工程bにおける圧力が、7.58MPa(1,100psig)未満である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
工程cにおける圧力が、7.58MPa(1,100psig)超である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記固体媒体が、無機物質、炭素系物質、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記炭素系物質が、無煙炭、カーボンブラック、コークス、活性炭、セルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマー溶液を前記固体媒体と接触させる工程が、前記固体媒体の充填層で行われる、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記充填層が20cm超の長さである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、加圧された溶媒及び固体媒体の使用により、混入物を含むポリマーを精製する方法に関する。より具体的には、本発明は、消費者による使用後及び産業使用後にリサイクルされたプラスチックなどのリサイクルポリマーを精製して、無色又は透明、無臭、バージン様ポリマーを生成するための方法に関する。かかる方法は、特にポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィンを精製するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリマー、特に合成プラスチックは、比較的製造原価が低く、かつ材料特性のバランスがよいことから、日常生活のあらゆる場面で使用されている。合成プラスチックは、梱包、自動車部品、医療用デバイス、及び消費財などの様々な用途に使用される。これらの用途の高需要を満たすべく、世界的に年ベースで数百億ポンドの合成プラスチックが製造されている。合成プラスチックのほとんどは、減少の一途を辿っている石油及び天然ガスなどの化石源から製造される。更に、化石源から合成プラスチックを製造すると、副産物としてCOが生成される。
【0003】
合成プラスチックの普及により、結果として、毎年数百トンのプラスチック廃棄物が生じている。都市固形廃棄物のプログラムによりプラスチック廃棄物の大部分は埋め立てられているものの、それでもかなりのプラスチック廃棄物が、生態系に対し有害である可能性がありかつ目障りであるゴミとして環境中に見られる。プラスチック廃棄物は、多くの場合、河系に流され最終的には海に流れ着く。
【0004】
プラスチックのリサイクルは、プラスチック類の多岐にわたる使用に伴う課題をある程度解消する解決法の1つとして登場した。プラスチック類の回収及び再使用することにより、埋立地からの廃棄物を流用し、化石系資源から製造されたバージンプラスチックの需要を低下させ、結果、温室効果ガスの放出も減少する。米国及び欧州連合などの先進地域では、消費者、企業、及び産業の製造業務における意識の高まりにより、プラスチック類のリサイクル率は上昇している。プラスチック類を含むリサイクル材料の大部分は、材料回収施設(MRF)により一緒くたにしてシングルストリームにまとめられ、回収及び加工される。MRFでは、材料は選別され、洗浄され、次なる販売のため梱包される。プラスチック類は、高密度ポリエチレン(HDPE)又はポリエチレンテレフタレート(PET)などの各材料に選別可能であり、あるいはその他の一般的なプラスチック類、例えば、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、及びポリアミド(PA)などのミクストストリーム(mixed streams)であってもよい。次に、シングルストリーム又はミクストストリームは更に選別され、洗浄され、プラスチック類の加工、例えば、ブロー成形及び射出成形などにおける再使用に適したペレットへと再加工することができる。
【0005】
リサイクルプラスチックは、概ね均一なストリームに選別され、水性溶液及び/又は腐食性溶液により洗浄されるものの、最終的な再加工ペレットは、多くの場合、腐った食物残渣及び残留香料成分などといった望ましくない廃棄不純物が多く混入したままである。更に、リサイクルした飲料容器に由来するものを除き、リサイクルプラスチックペレットは、プラスチック物品を着色するために一般的に使用される染料及び顔料が混じり合うことによって、暗色を帯びてしまう。色及び混入が特に問題とならないような用途もあるにはあるものの(例えば、黒色プラスチック製の塗料容器及び隠れてしまう自動車部品)、ほとんどの用途では無着色のペレットが必要とされる。高品質で「バージン様」のリサイクル樹脂に対するニーズは、食品の梱包などといった、食品及び薬品に接触する用途で特に重要である。多くのリサイクル樹脂製品には、不純物及び混ざりあった着色剤が混入していることに加え、多くの場合、化学的組成が不均一であり、かつ例えば、PPをリサイクル使用する場合のポリエチレン(PE)混入及びその逆などのように顕著な量でポリマーが混入している場合がある。
【0006】
二次リサイクルとしても知られるメカニカルリサイクルは、リサイクルしたプラスチック廃棄物を、以降の製造に再利用可能な形態に変換するプロセスである。メカニカルリサイクルプロセス及びその他のプラスチック回収プロセスのより詳細なレビューは、S.M.Al−Salem,P.Lettieri,J.Baeyens,「Recycling and recovery routes of plastic solid waste (PSW):A review」,Waste Management,Volume 29,Issue 10,October 2009,Pages 2625〜2643,ISSN 0956〜053X.に記載されている。メカニカルリサイクル技術の進歩により、リサイクルポリマーの品質はある程度まで向上しているものの、機械的な混入除去によるアプローチには、例えば、ポリマーマトリックス内へ物理的に顔料を閉じ込めるなどの根本的な限界がある。したがって、メカニカルリサイクル技術の進歩をもってさえ、現在利用可能なリサイクルプラスチック廃棄物における暗色及び高レベルの化学汚染が原因となり、プラスチック工業におけるリサイクル樹脂の使用範囲が制限されている。
【0007】
メカニカルリサイクルに関する根本的な限界を克服するため、混入物を含むポリマーを化学的アプローチ又は化学的リサイクルにより精製するための数多くの方法が開発されてきた。これらの方法のほとんどは、ポリマーから混入物を除いて精製する目的で溶媒を使用する。溶媒を使用することで不純物の抽出及びポリマーの溶解が可能となり、これにより、更に別の分離技術が使用可能になる。
【0008】
例えば、米国特許第7,935,736号は、溶媒を使用してポリエステルを溶解させてから洗浄を行い、ポリエステルを含有する廃棄物からポリエステルをリサイクルする方法を記載している。当該736特許は、溶媒からポリエステルを回収するためには沈殿剤を使用する必要があることも記載している。
【0009】
別の例では、米国特許第6,555,588号は、その他のポリマーからなるプラスチック混合物に由来するポリプロピレンブレンドの製造方法を記載している。当該588特許は、例えばヘキサンなどの選択された溶媒中、ポリマーの溶解温度未満の温度、特定の滞留時間でのポリマーからの混入物の抽出を記載している。当該588特許は、濾過前にポリマーを溶解させる溶媒(又は第2の溶媒)の温度を上昇させることを更に記載している。当該588特許は、溶液からポリプロピレンを沈殿させるためのせん断又はフローの使用を更に記載している。当該588特許に記載のポリプロピレンブレンドは、最大で5.6重量%の混入ポリエチレンを含有していた。
【0010】
別の実施例では、欧州特許出願第849,312号(ドイツ語から英語に翻訳されている)は、ポリオレフィン含有プラスチック混合物又はポリオレフィン含有廃棄物から精製ポリオレフィンを得るためのプロセスを記載している。当該312特許出願では、90℃超の沸点を有するガソリン又はディーゼル燃料の炭化水素画分による、90℃〜炭化水素溶媒の沸点の温度での、ポリオレフィン混合物又は廃棄物の抽出を記載している。当該312特許出願は、熱ポリオレフィン溶液を漂白クレイ(bleaching clay)及び/又は活性炭と接触させて、溶液から異物成分を除去することを更に記載している。当該312特許出願は、溶液を70℃未満の温度に冷却してポリオレフィンを結晶化し、次にポリオレフィンをポリオレフィンの融点以上に加熱して、付着した(adhering)溶媒を除去する工程、あるいは付着した溶媒を真空中で蒸発させること、あるいはポリオレフィン沈殿へのガス流の通気、及び/又はポリオレフィンの融点未満で沸騰するアルコール又はケトンによる溶媒抽出を更に記載している。
【0011】
別の実施例では、米国特許第5,198,471号は、第1のより低い温度で溶媒を使用して、複数のポリマーを含有する物理的に混じり合った固体混合物(例えば、廃プラスチック)からポリマーを分離して、第1の単相溶液と、残部として固体成分とを形成する方法を記載している。当該471特許出願は、第1のより低い温度では溶解しなかった追加のポリマーを溶解するため、溶媒をより高い温度に加熱することを更に記載している。当該471特許出願は、未溶解の成分の濾過について記載している。
【0012】
別の実施例では、米国特許第5,233,021号は、それぞれの成分を適切な温度及び圧力にて超臨界流体に溶解し、次に、温度及び/又は圧力を変化させて順番に(in sequence)特定の成分を抽出することにより、多成分の構造物(例えば、廃棄カーペット)から純粋なポリマー成分を抽出する方法を記載している。しかしながら、当該021特許は、当該471特許同様、沈殿させた成分の濾過のみを記載している。
【0013】
別の実施例では、米国特許第5,739,270号は、共溶媒及び作動流体を使用して、混入物及びその他のプラスチック成分からプラスチックのポリマー成分を連続的に分離するための方法及び装置を記載している。共溶媒は少なくとも部分的にポリマーを溶解し、第2の流体(液体状態、臨界状態、又は超臨界状態である)はポリマーから成分を可溶化し、溶解させたポリマーのうち一部を共溶媒から沈殿させる。当該270特許は、熱可塑性共溶媒(作動流体あり又は作動流体なしで)を濾過して、ガラス粒子などの粒子状混入物を濾過する工程を更に記載する。
【0014】
上記のとおり、混入物を含むポリマーを精製するための既知の溶媒ベースの方法では、「バージン様」ポリマーは製造されない。以前の方法では、共溶解、ひいては多くの場合他のポリマーの二次混入が生じる。吸着剤が使用される場合、濾過工程及び/又は遠心分離工程は、多くの場合、使用した吸着剤を溶液から除去するために使用される。更に、溶媒を除去するための、例えば、加熱、真空蒸発、及び/又は沈殿する化学物質を用いた沈殿などの分離プロセスを使用して、残留溶媒を含まないポリマーを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第7,935,736号
【特許文献2】米国特許第6,555,588号
【特許文献3】欧州特許出願第849,312号
【特許文献4】米国特許第5,198,471号
【特許文献5】米国特許第5,233,021号
【特許文献6】米国特許第5,739,270号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】S.M.Al−Salem,P.Lettieri,J.Baeyens,「Recycling and recovery routes of plastic solid waste (PSW):A review」,Waste Management,Volume 29,Issue 10,October 2009,Pages 2625〜2643,ISSN 0956〜053X
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、ポリマーから容易に及び経済的に除去される溶媒を使用して、混入物を含むポリマーを精製するための、改良された溶媒ベースの方法であって、単位操作の数が比較的少なく、顕著な量のポリマーの二次混入を生じずにポリマーを製造し、本質的に無色のポリマーを製造し、及び本質的に臭気のないポリマーを製造する方法が尚も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
回収ポリマーを精製する方法が開示される。方法は、消費者使用後のポリマー、産業使用後のポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、回収ポリマーを入手する工程を含む。回収ポリマーを、約80℃〜約220℃の温度かつ約1.03MPa(150psig)〜約103.42MPa(15,000psig)の圧力にて、約70℃未満の標準沸点を有する第1の流体溶媒と接触させて、抽出された回収ポリマーを生成する。抽出された回収ポリマーを、約90℃〜約220℃の温度かつ約2.42MPa(350psig)〜約137.90MPa(20,000psig)の圧力にて、第1の流体溶媒、第2の流体溶媒、及びこれらの混合物からなる群から選択された溶媒に溶解し、ポリマー溶液を生成する。ポリマー溶液を固体媒体と接触させる工程により、約90℃〜約220℃の温度、かつ約2.42MPa(350psig)〜約137.90MPa(20,000psig)の圧力にてこのポリマー溶液を精製して、より高純度のポリマー溶液を生成する。次に、このより高純度のポリマー溶液からより高純度のポリマーを分離する。一実施形態では、第2の流体溶媒は、第1の流体溶媒と同じ化学組成又は異なる化学組成のいずれかを有する。
【0019】
一実施形態では、より高純度のポリマーは、約0℃〜約220℃の温度かつ約0MPa(0psig)〜13.79MPa(2,000psig)の圧力にてより高純度のポリマー溶液から分離される。
【0020】
一実施形態では、回収ポリマーはポリスチレンである。別の実施形態では、回収ポリマーはポリジメチルシロキサンである。
【0021】
一実施形態では、回収ポリマーは、消費者による使用後のリサイクルに由来するポリマーである。別の実施形態では、回収ポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー又はポリプロピレンを主とするコポリマーである。別の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレンホモポリマー又はポリエチレンを主とするコポリマーである。
【0022】
一実施形態では、流体溶媒は、約−45℃超約0℃未満の標準沸点と、約+25kJ/mol未満の標準蒸発エンタルピー変化を有する。別の実施形態では、流体溶媒は、オレフィン性炭化水素、脂肪族炭化水素、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
一実施形態では、脂肪族炭化水素は、C〜C脂肪族炭化水素及びこれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、脂肪族炭化水素及びこれらの混合物は、主にC脂肪族炭化水素からなる。
【0024】
一実施形態では、流体溶媒は、本質的にC液化石油ガスからなる。別の実施形態では、流体溶媒は、n−ブタン、ブタン異性体、又はこれらの混合物である。
【0025】
一実施形態では、抽出工程、溶解工程、及び精製工程における温度は、約110℃〜約170℃である。
【0026】
一実施形態では、接触させる工程における圧力は、約7.58MPa(1,100psig)〜約37.92MPa(5,500psig)である。
【0027】
一実施形態では、接触させる工程における圧力は、約7.58MPa(1,100psig)未満である。
【0028】
一実施形態では、溶解させる工程における圧力は、約7.58MPa(1,100psig)超である。別の実施形態では、溶解させる工程における圧力は、約37.92MPa(5,500psig)超である。
【0029】
一実施形態では、固体媒体は、無機物質、炭素系物質、及びこれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、無機物質は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、非晶質火山ガラス、及びこれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、無機物質は、シリカ、シリカゲル、珪藻岩、砂、石英、アルミナ、真珠岩、フラー土、ベントナイト、及びこれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、無機物は再生ガラスである。
【0030】
一実施形態では、炭素系物質は、無煙炭、カーボンブラック、コークス、活性炭、セルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、ポリマー溶液の固体媒体との接触させる工程が、固体媒体の充填層で行われる。一実施形態では、充填層は、20cm超の長さである。
【0031】
本発明の追加的な特徴は、実施例とともに以下の詳細な説明の検討によって当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態の主要な工程を示すブロックフローダイアグラムである。
図2】DSCの測定値からエンタルピー値を使用した、ポリプロピレン中ポリエチレン含量の算出用の較正曲線である。
図3】実施例に使用した実験装置の概略図である。
図4】ポリプロピレンの実施例の試験片の画像である。
図5】いくつかのポリプロピレン例についての不透明度及び臭気強度についての棒グラフである。
図6】ポリエチレンの実施例の試験片の画像である。
図7】いくつかのポリエチレン例についての不透明度及び臭気強度についての棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
I.定義
本明細書で使用するとき、用語「回収ポリマー」は、前述の目的で使用された後、更なる加工のため回収されたポリマーを指す。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「消費者による使用後」は、最終消費者が消費財又は製品において材料を使用した後に生じる材料の供給源を指す。
【0035】
本明細書で使用するとき、用語「消費者による使用後のリサイクル」(PCR)は、最終消費者により使用された後に生成され、廃棄物ストリームにおいて処分された材料を指す。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「産業使用後」は、グッズ又は製品の製造中に生じる材料の供給源を指す。
【0037】
本明細書で使用するとき、用語「流体溶媒」は、特定の温度及び圧力条件下にて液体状態で存在し得る物質を指す。いくつかの実施形態では、流体溶媒は1種の分子又は異性体のほとんど均一な化学組成物であってよく、一方で、他の実施形態では、流体溶媒はいくつかの異なる分子組成物又は異性体の混合物であってもよい。更に、本発明のいくつかの実施形態では、用語「流体溶媒」は、その物質の臨界温度及び臨界圧力(臨界点)にあるか、それに近いか、又はそれを上回る物質にも適用され得る。その物質の臨界点を超える物質は、液体の典型的な物理特性(すなわち、密度)を有しない「超臨界流体」として知られていることは、当業者には周知である。
【0038】
本明細書で使用するとき、用語「溶解した」は、分子レベルでの、溶質(ポリマー又は非ポリマー)の溶媒中への少なくとも部分的な組み込みを意味する。更に、溶質/溶媒溶液の熱力学的安定性は、以下の式1により記載され得る:
(I)
ΔGmix=ΔH−TΔSmix
式中、ΔGmixは溶質と溶媒との混合のギブス自由エネルギーの変化、ΔHmixは混合のエンタルピー変化、Tは絶対温度、ΔSmixは混合エントロピーである。溶媒中に溶質がある安定した溶液を維持するため、ギブス自由エネルギーは、最低でも負である必要がある。したがって、適切な温度及び圧力下で負のギブス自由エネルギーを最小にする溶質及び溶媒の任意の組み合わせを本発明に用いることができる。
【0039】
本明細書で使用するとき、用語「標準沸点」は、国際純正応用化学連合(IUPAC)により制定されたとおり、正確に100kPa(1bar、14.5psia、0.9869atm)の絶対圧下での沸騰温度を指す。
【0040】
本明細書で使用するとき、用語「標準蒸発エンタルピー変化」は、物質の標準沸点下での、所定量の物質の液体から蒸気への変換に必要とされるエンタルピー変化を指す。
【0041】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー溶液」は、溶媒に溶解したポリマーの溶液を指す。ポリマー溶液は未溶解の物質を含有してよく、したがって、ポリマー溶液は、溶媒に溶解したポリマーの溶液中に懸濁した未溶解物の「スラリー」であってもよい。
【0042】
本明細書で使用するとき、用語「固体媒体」は、使用条件下で固体状態で存在する物質を指す。固体媒体は、結晶質、半結晶質、又は非結晶質であってよい。固体媒体は粒状であってよく、及び様々な形状(すなわち、球体、円筒形、ペレット形など)で供給されてもよい。固体媒体が粒状である場合、固体媒体の粒径及び粒径分布は、粒状媒体の分級に使用されるメッシュサイズにより定義され得る。標準的なメッシュサイズ表記の一例は、米国材料試験協会(ASTM)標準ASTM E11「Standard Specification for Woven Wire Test Sieve Cloth and Test Sieves」で確認することができる。固体媒体は、不織の繊維マット又は織布であってもよい。
【0043】
本明細書で使用するとき、用語「より高純度のポリマー溶液」は、精製工程前の同じポリマー溶液と比較して混入物がより少ないポリマー溶液を指す。
【0044】
本明細書で使用するとき、用語「バージン様」は、本質的に混入物を含まず、顔料を含まず、臭気がなく、均質であり、かつ特性がバージンポリマーと同様であるポリマーを意味する。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語「ポリプロピレンを主とするコポリマー」は、70mol%超がプロピレン繰り返し単位を有するコポリマーを指す。
【0046】
本明細書で使用するとき、用語「ポリエチレンを主とするコポリマー」は、70mol%超がエチレン繰り返し単位を有するコポリマーを指す。
【0047】
II.混入物を含むポリマーの精製方法
驚くべきことに、好ましい実施形態において、比較的単純なプロセスで使用したときに、温度及び圧力依存性のポリマー溶解度を示す、ある種の流体溶媒を使用して、混入物を含むポリマー、特に回収又はリサイクルされたポリマーを精製し、ほとんどバージン様の品質にできることが判明した。図1に例示するこのプロセスは、1)回収ポリマーを入手する工程(図1中工程a)、次に2)抽出温度(T)及び抽出圧力(P)にてポリマーを流体溶媒で抽出する工程(図1中工程b)、次に3)溶解温度(T)及び溶解圧力(P)にてポリマーを流体溶媒に溶解させる工程(図1中工程c)、次に4)溶解温度(T)及び溶解圧力(P)にて、溶解させたポリマー溶液を固体媒体と接触させる工程後(図1中工程d)、流体溶媒からポリマーを分離する工程(図1中工程e)、を含む。本発明の一実施形態では、消費者による使用後の廃棄物ストリームから供給され得る精製ポリマーは、本質的に混入物を含まず、顔料を含まず、臭気がなく、均質で、かつバージンポリマーと特性が同様である。更に、好ましい実施形態では、本発明の流体溶媒の物理特性により、精製したポリマーから流体溶媒を分離するために、よりエネルギー効率の高い方法が可能になり得る。
【0048】
回収ポリマー
本発明の一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、回収ポリマーを入手する工程を含む。本発明の目的に関し、回収ポリマーは、消費者による使用後の廃棄物ストリーム、産業使用後の廃棄物ストリーム、商業的使用後の廃棄物ストリーム、及び/又はその他の特別な廃棄物ストリームから供給される。例えば、消費者による使用後の廃棄ポリマーは、ごみ運搬業者又はリサイクル業者による回収のため、末端消費者が、包装及び製品由来の使用済みポリマーを指定の回収箱に入れるという、歩道脇でのリサイクル・ストリームに由来したものであってよい。消費者による使用後の廃棄ポリマーは、消費者が店に廃棄ポリマーを持ち込んで、かかる廃棄ポリマーを指定の回収箱に入れるという、店内の「回収(take-back)」プログラムに由来するものであってもよい。産業使用後の廃棄ポリマーの例は、使用不能な材料(すなわち、トリミング屑、規格外材料、スタートアップ・スクラップ(start up scrap))として収集されたグッズ又は製品の製造又は運搬中に生じた廃棄ポリマーであってよい。特定の廃棄ストリーム由来の廃棄ポリマーの例は、電子廃棄物としても知られる電気・電子機器廃棄物のリサイクルに由来する廃棄ポリマーであってよい。特定の廃棄ストリームに由来する廃棄ポリマーの別の例は、自動車のリサイクルに由来する廃棄ポリマーであり得る。特定の廃棄ストリームの廃棄ポリマーの別の例は、使用済みの敷物類及び繊維製品のリサイクルに由来する廃棄ポリマーであり得る。
【0049】
本発明の目的に関し、回収ポリマーは、各ポリマーの均質な組成物、又はいくつかの異なるポリマー組成物の混合物である。回収ポリマー組成物の非限定例としては、ポリエチレン及びアイソチックポリプロピレンなどのポリオレフィンのホモポリマー及びコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステル、ポリ塩化ビニルなどのビニルポリマー、ポリスチレンなどのスチレンポリマー、ポリ(ヘキサメチレンアダパミド)などのポリアミド、ポリ(ビスフェノール−Aカーボネート)などのポリカーボネート、ポリ(メチルメタクリレート)などのポリアクリレート、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー及びエチレン−プロピレンゴムなどの熱可塑性エラストマー、並びに当業者には明白であり得るその他の溶解可能なポリマーが挙げられる。
【0050】
回収ポリマーは、重合中又はオリジナルのポリマーを最終的な物品形態に変換させている間にポリマーに添加された様々な顔料、染料、加工助剤、安定化添加物、充填剤、及びその他の性能の添加剤も含有し得る。顔料の非限定例は、当業者には明白なものであり得る、銅フタロシアニンなどの有機顔料、二酸化チタンなどの無機顔料、及びその他の顔料である。有機染料の非限定例はベーシックイエロー51である。加工助剤の非限定例は、例えばグリセロールモノステアラートなどの帯電防止剤、及び例えばエルカミドなどのスリップ促進剤(slip-promoting agents)である。安定化添加物の非限定例は、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネートである。充填剤の非限定例には、炭酸カルシウム、タルク、及びガラス繊維がある。
【0051】
溶媒
本発明の流体溶媒は約70℃未満の標準沸点を有する。加圧により、標準沸点が本発明の操作温度範囲未満である溶媒は、溶媒の蒸発がほとんどあるいは全くない状態に維持される。一実施形態では、約70℃未満の標準沸点を有する流体溶媒は、二酸化炭素、ケトン、アルコール、エーテル、エステル、アルケン、アルカン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。約70℃未満の標準沸点を有する流体溶媒の非限定例は、二酸化炭素、アセトン、メタノール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、ペンテンの分岐状異性体、1−ヘキセン、2−ヘキセン、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサンの異性体、及び当業者には明白であり得るその他の物質である。
【0052】
適切な溶媒又は溶媒混合物の選択は、本発明により精製される回収ポリマー又はポリマー混合物によって異なる。更に、精製されるポリマー及び対応して使用される流体溶媒の選択により、本発明の工程を実施するのに使用される温度範囲及び圧力範囲が決定されることになる。本発明に記載の種類の溶媒中でのポリマーの相挙動の概説は、以下の参照文献に提供されている:McHugh et al.(1999)Chem.Rev.99:565〜602。
【0053】
抽出
本発明の一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、かかるポリマーが流体溶媒に本質的に不溶性である温度及び圧力にて、回収ポリマーを流体溶媒と接触させる工程を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、出願人らは、流体溶媒がポリマーを完全に溶解するのを妨げるような方法で、温度及び圧力依存性の溶解度を制御できると考えているが、流体溶媒はポリマー内に拡散し、抽出可能な混入物を抽出することができる。抽出可能な混入物は、ポリマーに添加された残留加工助剤、香水及び香料などのポリマーに接触した残留製品組成物、染料、並びに、例えば廃棄物の回収及びそれ以降のその他の廃棄物との集積中に、意図的にポリマーに添加された又は意図せずポリマーに組み込まれることになった抽出可能なその他の何らかの材料であり得る。
【0054】
一実施形態では、制御された抽出は、ポリマー/流体溶媒系の温度を一定にし、次いでポリマーが流体溶媒に溶解する圧力又は圧力範囲よりも低い圧力を制御することにより達成することができる。別の実施形態では、制御された抽出は、ポリマー/溶媒系の圧力を一定にし、次にポリマーが流体溶媒中に溶解する温度又は温度範囲よりも低い温度を制御することにより達成することができる。流体溶媒を用いる温度及び圧力制御されたポリマー抽出は、好適な圧力容器を使用し、流体溶媒によるポリマーの連続抽出を可能にする方法で構成され得る。本発明の一実施形態では、加圧容器は、溶融ポリマーが抽出カラムの一端に送液され、流体溶媒が抽出カラムの同じ端部又は反対側の端部に送液される、連続的な液−液抽出カラムであり得る。別の実施形態では、抽出された混入物を含有する流体は、プロセスから除去される。別の実施形態では、抽出された混入物を含有する流体は、プロセスにおける抽出工程又は異なる工程における使用のために精製され、回収され、及びリサイクルされる。本発明の一実施形態では、抽出は、バッチ式の方法として実施することができ、回収ポリマーは圧力容器内に固定され、流体溶媒は、固定されたポリマー相を通して連続的に送液される。抽出時間又は使用する流体溶媒の量は、最終的なより高純度のポリマーに所望される純度及び回収ポリマーに当初含まれている抽出可能な混入物量によって異なり得る。別の実施形態では、抽出された混入物を含有する流体は、以下「精製」の項に記載するとおりの分離工程において固体媒体と接触させられる。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、かかるポリマーが溶融されておりかつ液体状態である温度及び圧力にて、回収ポリマーを流体溶媒と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーは、ポリマーが固体状態である温度及び圧力にて、流体溶媒と接触される。
【0055】
一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、ポリエチレンが本質的に未溶解のままである温度及び圧力にてポリエチレンを流体溶媒と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約80℃〜約220℃の温度でポリエチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度でポリエチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度でポリエチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約1.03MPa(150psig)〜約44.82MPa(6,500psig)の圧力でポリエチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約20.68MPa(3,000psig)〜約41.37MPa(6,000psig)の圧力でポリエチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約31.03MPa(4,500psig)〜約37.92MPa(5,500psig)の圧力でポリエチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。
【0056】
別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約80℃〜約220℃の温度でポリエチレンをプロパンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度でポリエチレンをプロパンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度でポリエチレンをプロパンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約6.89MPa(1,000psig)〜約103.42MPa(15,000psig)の圧力でポリエチレンをプロパンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約13.79MPa(2,000psig)〜約68.95MPa(10,000psig)の圧力でポリエチレンをプロパンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約34.47MPa(5,000psig)〜約62.05MPa(9,000psig)の圧力でポリエチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。
【0057】
一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、ポリプロピレンが本質的に未溶解のままである温度及び圧力にてポリプロピレンを流体溶媒と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約80℃〜約220℃の温度でポリプロピレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度でポリプロピレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度でポリプロピレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約1.03MPa(150psig)〜約20.68MPa(3,000psig)の圧力でポリプロピレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約6.89MPa(1,000psig)〜約18.96MPa(2,750psig)の圧力でポリプロピレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約10.34MPa(1,500psig)〜約17.24MPa(2,500psig)の圧力でポリプロピレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。
【0058】
別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約80℃〜約220℃の温度でポリプロピレンをプロパンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度でポリプロピレンをプロパンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度でポリプロピレンをプロパンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約1.38MPa(200psig)〜約55.16MPa(8,000psig)の圧力でポリプロピレンをプロパンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約6.89MPa(1,000psig)〜約41.37MPa(6,000psig)の圧力でポリプロピレンをプロパンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約13.79MPa(2,000psig)〜約27.58MPa(4,000psig)の圧力でポリプロピレンをプロパンと接触させる工程を含む。
【0059】
一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、ポリスチレンが本質的に未溶解のままである温度及び圧力にてポリスチレンを流体溶媒と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約90℃〜約220℃の温度でポリスチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度でポリスチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約120℃〜約180℃の温度でポリスチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約3.45MPa(500psig)〜約34.47MPa(5,000psig)の圧力でポリスチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約6.89MPa(1,000psig)〜約27.58MPa(4,000psig)の圧力でポリスチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約13.79MPa(2,000psig)〜約20.68MPa(3,000psig)の圧力でポリスチレンをn−ブタンと接触させる工程を含む。
【0060】
一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、ポリジメチルシロキサンが本質的に未溶解のままである温度及び圧力にてポリジメチルシロキサンを流体溶媒と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約220℃の温度でポリジメチルシロキサンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約115℃〜約200℃の温度でポリジメチルシロキサンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約120℃〜約180℃の温度でポリジメチルシロキサンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約1.38MPa(200psig)〜約12.41MPa(1,800psig)の圧力でポリジメチルシロキサンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約2.07MPa(300psig)〜約10.34MPa(1,500psig)の圧力でポリジメチルシロキサンをn−ブタンと接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約3.45MPa(500psig)〜約6.89MPa(1,000psig)の圧力でポリジメチルシロキサンをn−ブタンと接触させる工程を含む。
【0061】
溶解
本発明の一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、かかるポリマーが流体溶媒に溶解する温度及び圧力にて、回収ポリマーを流体溶媒に溶解させる工程を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、出願人らは、回収ポリマーを熱力学的に望ましく流体溶媒に溶解させることを可能にするような方法で、温度及び圧力を制御可能であるものと考えている。更に、特定のポリマー又はポリマー混合物の溶解を可能にする一方で、他のポリマー又はポリマー混合物は溶解させないような方法で、温度及び圧力を制御することができる。この制御可能な溶解により、ポリマー混合物からのポリマーの分離が可能になる。
【0062】
本発明の一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、混入物を含む回収ポリマーを、同じ温度及び圧力条件下では混入物を溶解しない溶媒に溶解させる工程を含む。混入物は、顔料、充填剤、汚泥(dirt)、及び他のポリマーを含み得る。これらの混入物は、溶解時に回収ポリマーから放出され、次に、固液分離工程によりポリマー溶液から除去される。
【0063】
本発明の一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、ポリエチレンが流体溶媒に溶解する温度及び圧力にて、ポリエチレンを流体溶媒に溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約90℃〜約220℃の温度でポリエチレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度でポリエチレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度でポリエチレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約6.89MPa(1,000psig)〜約82.74MPa(12,000psig)の圧力でポリエチレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約13.79MPa(2,000psig)〜約68.95MPa(10,000psig)の圧力でポリエチレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約27.58MPa(4,000psig)〜約41.37MPa(6,000psig)の圧力でポリエチレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。
【0064】
別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約90℃〜約220℃の温度でポリエチレンをプロパンと溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度でポリエチレンをプロパンと溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度でポリエチレンをプロパンと溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約20.68MPa(3,000psig)〜約137.90MPa(20,000psig)の圧力でポリエチレンをプロパンと溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約34.47MPa(5,000psig)〜約103.42MPa(15,000psig)の圧力でポリエチレンをプロパンと溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約55.16MPa(8,000psig)〜約75.84MPa(11,000psig)の圧力でポリエチレンをプロパンと溶解させる工程を含む。
【0065】
一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、ポリプロピレンが流体溶媒に溶解する温度及び圧力にてポリプロピレンを流体溶媒に溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約90℃〜約220℃の温度でポリプロピレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度でポリプロピレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度でポリプロピレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約2.41MPa(350psig)〜約27.57MPa(4,000psig)の圧力でポリプロピレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約6.89MPa(1,000psig)〜約24.13MPa(3,500psig)の圧力でポリプロピレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約13.79MPa(2,000psig)〜約20.68MPa(3,000psig)の圧力でポリプロピレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。
【0066】
別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約90℃〜約220℃の温度でポリプロピレンをプロパンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度でポリプロピレンをプロパンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度でポリプロピレンをプロパンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約13.79MPa(2,000psig)〜約55.16MPa(8,000psig)の圧力でポリプロピレンをプロパンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約20.68MPa(3,000psig)〜約41.37MPa(6,000psig)の圧力でポリプロピレンをプロパンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約24.13MPa(3,500psig)〜約34.47MPa(5,000psig)の圧力でポリプロピレンをプロパンと溶解させる工程を含む。
【0067】
一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、ポリスチレンが流体溶媒に溶解する温度及び圧力にてポリスチレンを流体溶媒に溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約90℃〜約220℃の温度でポリスチレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度でポリスチレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度でポリスチレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約6.89MPa(1,000psig)〜約62.05MPa(9,000psig)の圧力でポリスチレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約13.79MPa(2,000psig)〜約55.16MPa(8,000psig)の圧力でポリスチレンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約31.03MPa(4,500psig)〜約51.71MPa(7,500psig)の圧力でポリスチレンをn−ブタンと溶解させる工程を含む。
【0068】
一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、ポリジメチルシロキサンが流体溶媒に溶解する温度及び圧力にてポリジメチルシロキサンを流体溶媒に溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約115℃〜約220℃の温度でポリジメチルシロキサンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約120℃〜約200℃の温度でポリジメチルシロキサンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約140℃〜約180℃の温度でポリジメチルシロキサンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約3.45MPa(500psig)〜約14.48MPa(2,100psig)の圧力でポリジメチルシロキサンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約4.83MPa(700psig)〜約9.65MPa(1,400psig)の圧力でポリジメチルシロキサンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約5.52MPa(800psig)〜約8.96MPa(1,300psig)の圧力でポリジメチルシロキサンをn−ブタンに溶解させる工程を含む。
【0069】
精製
本発明の一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、かかるポリマーが流体溶媒に溶解したままである温度及び圧力にて、混入物を含むポリマー溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。本発明の固体媒体は、回収ポリマーを本発明の流体溶媒に溶解した溶液から混入物を少なくともある程度除去する、任意の固体材料である。理論に束縛されることを望むものではないが、本出願人らは、固体媒体が様々な機序で混入物を除去するものと考える。可能性のある機序の非限定例としては、吸着、吸収、サイズ排除、イオン排除、イオン交換、及び当業者には明白なその他の機序が挙げられる。更に、回収ポリマーに一般的に見られる顔料及びその他の混入物は、極性化合物である場合があり、同様にして少なくともわずかに極性であり得る前述の固体媒体と優先的に相互作用し得る。極性−極性相互作用は、アルカンなどの無極性溶媒が流体溶媒として使用される場合に特に望ましい。
【0070】
本発明の一実施形態では、固体媒体は、無機物質、炭素系物質、又はこれらの混合物からなる群から選択される。有用な無機物質の例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、非晶質火山ガラス、シリカ、シリカゲル、珪藻岩、砂、石英、再生ガラス、アルミナ、真珠岩、フラー土、ベントナイト、及びこれらの混合物が挙げられる。有用な炭素系物質の例としては、無煙炭、カーボンブラック、コークス、活性炭、セルロース、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の別の実施形態では、固体媒体はリサイクルガラスである。
【0071】
本発明の一実施形態では、固体媒体を撹拌しつつ、特定の時間にわたり、容器内で固体媒体をポリマーと接触させる。別の実施形態では、固体媒体は、固液分離工程を介しより高純度のポリマー溶液から除去される。固液分離工程の非限定例としては、濾過、傾斜、遠心分離、及び沈降が挙げられる。本発明の別の実施形態では、混入物を含むポリマー溶液は、固体媒体の静止層を通過する。本発明の別の実施形態では、固体媒体の静止層の高さ又は長さは5cm超である。本発明の別の実施形態では、固体媒体の静止層の高さ又は長さは10cmである。本発明の別の実施形態では、固体媒体の静止層の高さ又は長さは20cm超である。本発明の別の実施形態では、固体媒体は、ポリマーを所望の純度に維持するため必要に応じて置き換えられる。更に別の実施形態では、固体媒体は、精製工程で再生及び再使用される。別の実施形態では、逆洗工程中、固体媒体を流動化させることで固体媒体が再生される。
【0072】
一実施形態では、回収ポリエチレンの精製方法は、ポリエチレンが流体溶媒に溶解したままである温度及び圧力にて、ポリエチレン/流体溶媒溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約90℃〜約220℃の温度にてポリエチレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度にてポリエチレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度にてポリエチレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約6.89MPa(1,000psig)〜約82.74MPa(12,000psig)の圧力にてポリエチレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約13.79MPa(2,000psig)〜約68.95MPa(10,000psig)の圧力でポリエチレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約27.58MPa(4,000psig)〜約41.37MPa(6,000psig)の圧力でポリエチレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。
【0073】
別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約90℃〜約220℃の温度にてポリエチレン/プロパン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度にてポリエチレン/プロパン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度にてポリエチレン/プロパン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約20.68MPa(3,000psig)〜約137.90MPa(20,000psig)の圧力にてポリエチレン/プロパン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約34.47MPa(5,000psig)〜約103.42MPa(15,000psig)の圧力にてポリエチレン/プロパン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約55.16MPa(8,000psig)〜約75.84MPa(11,000psig)の圧力にてポリエチレン/プロパン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。
【0074】
一実施形態では、回収ポリプロピレンの精製方法は、ポリプロピレンが流体溶媒に溶解したままである温度及び圧力にて、ポリプロピレン/流体溶媒溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約90℃〜約220℃の温度にてポリプロピレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度にてポリプロピレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度にてポリプロピレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約2.41MPa(350psig)〜約27.57MPa(4,000psig)の圧力にてポリプロピレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約6.89MPa(1,000psig)〜約24.13MPa(3,500psig)の圧力にてポリプロピレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約13.79MPa(2,000psig)〜約20.68MPa(3,000psig)の圧力にてポリプロピレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。
【0075】
別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約90℃〜約220℃の温度にてポリプロピレン/プロパン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度にてポリプロピレン/プロパン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度にてポリプロピレン/プロパン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約13.79MPa(2,000psig)〜約55.16MPa(8,000psig)の圧力にてポリプロピレン/プロパン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約20.68MPa(3,000psig)〜約41.37MPa(6,000psig)の圧力にてポリプロピレン/プロパン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約24.13MPa(3,500psig)〜約34.47MPa(5,000psig)の圧力にてポリプロピレン/プロパン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。
【0076】
一実施形態では、回収ポリマーの精製方法は、ポリスチレンが流体溶媒に溶解したままである温度及び圧力にて、ポリスチレン/流体溶媒溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約90℃〜約220℃の温度にてポリスチレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度にてポリスチレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度にてポリスチレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約6.89MPa(1,000psig)〜約62.05MPa(9,000psig)の圧力にてポリスチレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約13.79MPa(2,000psig)〜約55.16MPa(8,000psig)の圧力にてポリスチレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約31.03MPa(4,500psig)〜約51.71MPa(7,500psig)の圧力にてポリスチレン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。
【0077】
一実施形態では、回収ポリマーの精製方法は、ポリジメチルシロキサンが流体溶媒に溶解したままである温度及び圧力にて、ポリジメチルシロキサン/流体溶媒溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約115℃〜約220℃の温度にてポリジメチルシロキサン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約120℃〜約200℃の温度にてポリジメチルシロキサン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約140℃〜約180℃の温度にてポリジメチルシロキサン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約3.45MPa(500psig)〜約14.48MPa(2,100psig)の圧力にてポリジメチルシロキサン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約4.83MPa(700psig)〜約9.65MPa(1,400psig)の圧力にてポリジメチルシロキサン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約5.52MPa(800psig)〜約8.96MPa(1,300psig)の圧力にてポリジメチルシロキサン/n−ブタン溶液を固体媒体と接触させる工程を含む。
【0078】
分離
本発明の一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、ポリマーが溶液から沈殿し、もはや流体溶媒に溶解しなくなる温度及び圧力にて、より高純度のポリマーを流体溶媒から分離する工程を含む。別の実施形態では、流体溶媒からのより高純度のポリマーの沈殿は、一定温度にて圧力を減少させることにより達成される。別の実施形態では、流体溶媒からのより高純度のポリマーの沈殿は、一定圧力にて温度を低下させることにより達成される。別の実施形態では、流体溶媒からのより高純度のポリマーの沈殿は、一定圧力にて温度を上昇させることにより達成される。別の実施形態では、流体溶媒からのより高純度のポリマーの沈殿は、温度及び圧力の両方を低下させることにより達成される。溶媒は、温度及び圧力の制御により液体から蒸気相へと一部又は完全に転換され得る。別の実施形態では、沈殿させたポリマーは、分離工程中の溶媒の温度及び圧力の制御により、流体溶媒を100%蒸気相に完全に転換することなく流体溶媒から分離される。沈殿させたより高純度のポリマーの分離は、液−液分離又は液−固分離の何らかの方法により達成される。液−液又は液−固分離の非限定例としては、濾過、傾斜、遠心分離、及び沈降が挙げられる。
【0079】
一実施形態では、回収ポリエチレンを精製する方法は、溶液からポリエチレンを沈殿させる温度及び圧力にてポリエチレン/流体溶媒溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0℃〜約220℃の温度でポリエチレン/n−ブタン溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約50℃〜約175℃の温度でポリエチレン/n−ブタン溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約160℃の温度でポリエチレン/n−ブタン溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0MPa(0psig)〜約27.58MPa(4,000psig)の圧力でポリエチレン/n−ブタン溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0.34MPa(50psig)〜約13.79MPa(2,000psig)の圧力でポリエチレン/n−ブタン溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0.52MPa(75psig)〜約6.89MPa(1,000psig)の圧力でポリエチレン/n−ブタン溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。
【0080】
別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約−42℃〜約220℃の温度でポリエチレン/プロパン溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0℃〜約150℃の温度でポリエチレン/プロパン溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約50℃〜約130℃の温度でポリエチレン/プロパン溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0MPa(0psig)〜約103.42MPa(15,000psig)の圧力でポリエチレン/プロパン溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0.34MPa(50psig)〜約34.47MPa(5,000psig)の圧力でポリエチレン/プロパン溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0.52MPa(75psig)〜約6.89MPa(1,000psig)の圧力でポリエチレン/プロパン溶液からポリエチレンを分離する工程を含む。
【0081】
一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、溶液からポリプロピレンを沈殿させる温度及び圧力にて、ポリプロピレン/流体溶媒溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0℃〜約220℃の温度でポリプロピレン/n−ブタン溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度でポリプロピレン/n−ブタン溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度でポリプロピレン/n−ブタン溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0MPa(0psig)〜約13.79MPa(2,000psig)の圧力でポリプロピレン/n−ブタン溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0.34MPa(50psig)〜約10.34MPa(1,500psig)の圧力でポリプロピレン/n−ブタン溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0.52MPa(75psig)〜約6.89MPa(1,000psig)の圧力でポリプロピレン/n−ブタン溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。
【0082】
別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約−42℃〜約220℃の温度でポリプロピレン/プロパン溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0℃〜約150℃の温度でポリプロピレン/プロパン溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約50℃〜約130℃の温度でポリプロピレン/プロパン溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0MPa(0psig)〜約41.37MPa(6,000psig)の圧力でポリプロピレン/プロパン溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0.34MPa(50psig)〜約20.68MPa(3,000psig)の圧力でポリプロピレン/プロパン溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0.52MPa(75psig)〜約6.89MPa(1,000psig)の圧力でポリプロピレン/プロパン溶液からポリプロピレンを分離する工程を含む。
【0083】
一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、溶液からポリスチレンを沈殿させる温度及び圧力にて、ポリスチレン/流体溶媒溶液からポリスチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0℃〜約220℃の温度でポリスチレン/n−ブタン溶液からポリスチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約100℃〜約200℃の温度でポリスチレン/n−ブタン溶液からポリスチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約130℃〜約180℃の温度でポリスチレン/n−ブタン溶液からポリスチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0MPa(0psig)〜約13.79MPa(2,000psig)の圧力でポリスチレン/n−ブタン溶液からポリスチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0.34MPa(50psig)〜約10.34MPa(1,500psig)の圧力でポリスチレン/n−ブタン溶液からポリスチレンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0.52MPa(75psig)〜約6.89MPa(1,000psig)の圧力でポリスチレン/n−ブタン溶液からポリスチレンを分離する工程を含む。
【0084】
一実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、溶液からポリジメチルシロキサンを沈殿させる温度及び圧力にて、ポリジメチルシロキサン/流体溶媒溶液からポリジメチルシロキサンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0℃〜約220℃の温度でポリジメチルシロキサン/n−ブタン溶液からポリジメチルシロキサンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約115℃〜約200℃の温度でポリジメチルシロキサン/n−ブタン溶液からポリジメチルシロキサンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約120℃〜約180℃の温度でポリジメチルシロキサン/n−ブタン溶液からポリジメチルシロキサンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0MPa(0psig)〜約10.34MPa(1,500psig)の圧力でポリジメチルシロキサン/n−ブタン溶液からポリジメチルシロキサンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0.34MPa(50psig)〜約6.89MPa(1,000psig)の圧力でポリジメチルシロキサン/n−ブタン溶液からポリジメチルシロキサンを分離する工程を含む。別の実施形態では、回収ポリマーを精製する方法は、約0.52MPa(75psig)〜約3.45MPa(500psig)の圧力でポリジメチルシロキサン/n−ブタン溶液からポリジメチルシロキサンを分離する工程を含む。
【0085】
III試験方法
本明細書に記載の試験方法は、ポリマーを精製する様々な方法の有効性を評価するために使用される。具体的には、記載された方法は、色及び透光性/清澄性の向上(すなわち、回収ポリマーの色及び不透明度を未着色のバージンポリマーに近づける)、元素混入の低減又は排除(すなわち、重金属を除去する)、非可燃性の混入物の低減又は排除(すなわち、無機フィラー)、揮発性化合物の低減又は排除(特に、回収ポリマーの悪臭に関与する揮発性化合物)、及びポリマー混入の低減又は排除(すなわち、ポリプロピレンにおけるポリエチレン混入)における所定の精製法の有効性を示す。
【0086】
色測定及び不透明度測定:
ポリマーの色及び不透明度/透光性は、ポリマーがポリマーから製造された物品に所望される視覚的な美しさを達成可能であるか否かを判定する重要なパラメーターである。回収ポリマー、特に消費者による使用後に回収されたポリマーは、典型的には、残留する顔料、充填剤、及びその他の混入物に起因して暗色でありかつ不透明である。したがって、色及び不透明度の測定値は、ポリマーを精製する方法の有効性を判定するにあたり重要なパラメーターである。
【0087】
色測定の前に、ポリマーの粉末又はペレットのいずれかのサンプルを、幅30mm×長さ30mm×厚み1mmの正方形の試験片(角丸)に圧縮成形した。ステンレス製プラテンの間の接触−剥離層として清浄で未使用のアルミニウム箔を使用して、粉末サンプルをシートへと冷温圧縮することにより、かかる粉末サンプルを室温(約20〜23℃)にて最初に高密度化した。次に、この低温圧縮した粉末又はペレットのいずれか約0.85gを、200℃に予熱したCarver Press Model C(Carver,Inc.,Wabash,IN 46992−0554 USA)で、アルミニウムプラテンと、未使用のアルミニウム箔剥離層と、前述の正方形試験片の寸法に一致するキャビティを有するステンレス鋼製シムとを使用し試験片へと圧縮した。加圧する前にサンプルを5分間加熱した。5分後、次に少なくとも1.81メートルトン(2トン)の水圧でプレス機に少なくとも5秒間圧をかけた後、解放した。金型スタックを取り外し、冷却のため、厚みのある2枚の平らな金属製ヒートシンク間に配置した。次に、アルミ箔の接触剥離層をサンプルから剥ぎ取り廃棄した。少なくとも片面上で、サンプル周囲のバリを型の縁に沿って剥ぎ取った後、フォーム(form)を通してサンプルを押し出した。ボイド/バブル欠陥について各試験片を視覚的に評価し、色測定領域(最小直径17.78mm(0.7”))において欠陥のないサンプルのみを色測定に使用した。
【0088】
国際照明委員会(CIE)によるL、a、b三次元色空間を用い、各サンプルの色を評価した。次元Lはサンプルの明るさの尺度であり、L=0は最も暗い黒色のサンプルに相当し、L=100は最も明るい白色のサンプルに相当する。次元aはサンプルの赤色又は緑色の尺度であり、aが正の値であると赤色に相当し、aが負の値であると緑色に相当する。次元bはサンプルの青色又は黄色の尺度であり、bが正の値であると青色に相当し、bが負の値であると黄色に相当する。それぞれ幅30mm×長さ30mm×厚さ1mmの四角形の試験片のL値を、HunterLab model LabScan XE分光光度計(Hunter Associates Laboratory,Inc.,Reston,VA 20190−5280,USA)で測定した。D65を標準光源とし、視野を10°とし、測定径(area diameter view)を44.45mm(1.75”)とし、内径を17.78mm(0.7”)として分光光度計を設定した。
【0089】
前述のHunterLab分光光度計をコントラスト比不透明度モードで用い、どの程度の量の光がサンプルを透過するかの尺度(すなわち、サンプルの透光性の尺度)となる不透明度を各サンプルについて求めた。測定を2回行い、各サンプルの不透明度を求めた。1回はホワイトバッキングをバックにしたサンプルの輝度値、Yホワイトバッキングを測定し、もう1回はブラックバッキングをバックにしたサンプルの輝度値、Yブラックバッキングを測定した。次に、下式2を用い輝度値をもとに不透明度を計算した:
【0090】
【数1】
【0091】
元素分析:
回収ポリマーの多くは、受容不能なほど高濃度で重金属が混入している。重金属、例えば、鉛、水銀、カドミウム、及びクロムが存在すると、食品若しくは薬品が接触する用途又は医療用デバイス用途などといったある種の用途では、回収ポリマーの使用が妨げられ得る。したがって、ポリマーを精製する方法の有効性を判定する際、重金属の濃度測定は重要である。
【0092】
誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)を使用して元素分析を実施した。約0.25gのサンプルを4mLの濃硝酸及び1mLの濃フッ化水素酸(HF)と組み合わせて、サンプルの入手しやすさをもとにn=2〜n=6で試料溶液を調製した。20分かけて125℃に温度を上昇させること、10分かけて250℃に温度を上昇させること、250℃で20分間保持することからなるマイクロ波試料分解(Ultrawave Microwave Digestion)プロトコルを使用して、サンプルを分解した。分解したサンプルを室温に冷却した。内部標準として100ppmのGe及びRhを0.25mL加えた後、分解したサンプルを50mLに希釈した。測定の正確性を評価するため、バージンポリマーをスパイクすることにより分解前スパイクを調製した。バージンポリマーをスパイクしたサンプルを上記と同じ手順を用いて計量し、Na、Al、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、Cd、及びPbを含む対象とするそれぞれ単元素標準を適量でスパイクした。「低レベルスパイク」及び「高レベルスパイク」の異なる2とおりのレベルでスパイクを調製した。各スパイクは3つずつ調製した。バージンポリマーをスパイクした他、ピペット操作中に誤差が生じていないことを検証し、プロセスの再現性について追跡するため、ブランクにもスパイクを行った。2とおりの異なるレベルでスパイクしたブランク試料も3つずつ調製し、スパイクしたバージンポリマー及び試験サンプルと同じ方法で処理した。Na、Al、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、Cd、及びPbを含有する0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、100、及び500ppbの溶液により、9点較正曲線を作製した。未希釈の標準参照溶液と、内部標準として100ppmのGe及びRhを0.25mLと、4mLの濃硝酸及び1mLの濃HFと、を希釈することにより全ての較正曲線を作製した。製造元の推奨に従い最適化し、Agilentの8800 ICP−QQQMSを使用して、調製した標準、試験サンプル、及びスパイクした試験サンプルを分析した。各分析対象物についてモニターしたm/z、及び分析に使用した衝突セルガスは以下のとおりとした:Na、23m/z、H2;Al、27m/z、H2;Ca、40m/z、H2;Ti、48m/z、H2;Cr、52m/z、He;Fe、56m/z、H2;Ni、60m/z;ガスなし;Cu、65m/z、ガスなし;Zn、64m/z、He;Cd、112m/z;H2;Pb、206≧206、207≧207、208≧208m/zの合計、ガスなし;Ge、72m/z、全モード;Rh、103m/z、全モード。<103m/zでは全ての元素についてGeを内部標準として使用し、>103m/zでは全ての元素についてRhを使用した。
【0093】
残留灰含量:
回収ポリマーの多くは、例えば、炭酸カルシウム、滑石、及びガラス繊維などの様々な充填剤を含有する。回収ポリマーのもとの用途では有用である一方、これらの充填剤は、回収ポリマーの新たな用途には望ましくない恐れのある方法でポリマーの物理特性を変化させる。したがって、ポリマー精製法の有効性を評価するときには充填剤の量を測定することが重要である。
【0094】
サンプル中の非可燃性材料(灰分含量と呼ばれることもある)を定量するため、熱重量分析(TGA)を実施した。白金製サンプルパンに約5〜15mgのサンプルを載せ、TA InstrumentsのQ500 TGAモデルの装置において、空気雰囲気下、20℃/分の速度で700℃に加熱した。サンプルを700℃の定温で10分間保持した。等温保持後、700℃にて残渣塊の割合を測定した。
【0095】
臭気分析:
それぞれのサンプル約3gを20mLのガラスバイアルに入れ、室温にて少なくとも30分間サンプルを平衡化して、臭気の官能分析を行った。平衡化後、各バイアルを開けて、ヘッドスペースの匂いをかぎ(ウサギが匂いをかぐときのように)、訓練を受けた評価者により臭気強度及び記述子プロファイルを求める。以下のスケールをもとに臭気強度を評価した:
5=非常に強い
4=強い
3=中等度
2=弱〜中等度
1=弱い
0=無臭
【0096】
ポリマー混入の分析:
回収ポリマーの多く、特に混合式ストリームを供給源とする回収ポリマーは、望ましくないポリマー混入物を含有し得る。理論に束縛されることを望むものではないが、ポリマー混入、例えば、ポリプロピレンにおけるポリエチレン混入では、不均一な相が存在するために界面が弱くなることから、ポリマーの物理特性に影響が生じ得る。更に、ポリマー混入はポリマーの不透明度を上昇させ、色味に影響を及ぼすこともある。したがって、ポリマーの精製法の有効性を判定するときにはポリマーの混入量を測定することが重要である。
【0097】
示差走査熱量測定(DSC)を用い、半晶質のポリマー混入を評価した。例えば、ポリプロピレンにおけるポリエチレン混入量を測定するため、5とおりのポリプロピレン/ポリエチレンブレンドセットを、Pro−fax 6331ポリプロピレン(LyondellBasell Industries Holdings,B.V.)中、2、4、6、8、及び10重量%のFormolene(登録商標)HB5502F HDPE(Formosa Plastics Corporation,USA)で調製した。それぞれのサンプル約5〜15mgをアルミニウム製DSCパンに密閉し、TA InstrumentsのQ2000 DSCモデルで以下の方法により分析した:
1.30.00℃で平衡化する。
2.20.00℃/分で200.00℃まで温度を上昇させる。
3.0サイクル目の終わりとする。
4.20.00℃/分で30.00℃まで低下させる。
5.1サイクル目の終わりとする。
6.20.00℃/分で200.00℃まで上昇させる。
7.2サイクル目の終わりとする。
8.20.00℃/分で30.00℃まで低下させる。
9.3サイクル目の終わりとする。
10.5.00℃/分で200.00℃まで上昇させる。
11.4サイクル目の終わりとする。
【0098】
128℃付近のHDPEピークに関し、5.00℃/分でDSCサーモグラムを使用して、HDPE含量が既知の各サンプルについて融解エンタルピーを計算した。既知のHDPE濃度(重量%)に対し融解エンタルピーをプロットし、図2に示す線形較正曲線を作成した。
【0099】
前述のものと同じDSC装置及び方法を使用して、PE含量が未知のサンプルを分析した。前述の較正曲線を使用してPE含量を計算した。較正曲線を作成するために使用した特定のHDPEは、回収ポリマーサンプル中に存在し得るポリエチレン(又はポリエチレンブレンド)混入物とは異なる結晶化度を恐らく有することになる。結晶化度は、独立してポリエチレンの融解エンタルピーに影響する場合があり、したがって、ポリエチレン含量について得られる計算値に影響する場合がある。しかしながら、本明細書に記載のDSC試験法は、ポリマーを精製する様々な方法の有効性を比較する相対的な測定基準となることを意図するものであり、ポリマーブレンド中のポリエチレン含量の厳密な定量化であることを意図しない。前述の方法は、ポリプロピレン中のポリエチレン混入の測定について記載しているが、この方法は、DSCサーモグラムにおいて異なる温度範囲及びピークを用いるその他の半晶質のポリマーの測定にも適用され得る。更に、サンプル中の半晶質ポリマーの混入及び非晶質ポリマーの混入の両方の量を測定するため、核磁気共鳴(NMR)分光法などの代替的な方法を使用することもできる。
【実施例】
【0100】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これらの実施例は、例示目的のためにのみ提供され、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくそれらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0101】
(実施例1)
リサイクル樹脂のサプライヤーより、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンフレークの混色サンプルの供給を受けた。消費者による使用後にリサイクルされたポリプロピレンは、米国及びカナダに由来する。それぞれ一般的な混合部品及び輸送部品を有する30mmの汎用スクリューを2本取り付けたCentury/W&P ZSK30二軸スクリュー押出機でコンパウンド化することにより、受領したままの混色カラーフレークを均質化した。スクリュー回転速度は約50rpmとし、フィーダーの押出質量は約9.07kg/時間(20ポンド/時間)とし、バレル温度はダイの約210℃から、供給口の約150℃までの範囲とした。押出機から排出されたグレーのストランドを室温の水浴で冷却し、風乾させ、ペレットに細断した。
【0102】
本明細書に開示する試験方法を用いサンプルを特性評価した。得られたデータを表1に要約する。この例は、消費者による使用後、精製前にリサイクルされた、代表的な樹脂の特性を示すことを目的とする。
【0103】
ペレット及び相当する四角形の試験片は、四角形の試験片のL値において示されるとおり暗灰色であった。サンプルの不透明度は、平均して約100%であった(すなわち、非透光性であった)。四角形の試験片の画像を実施例1として図4に示す。図4に示すとおり、試験片は暗色であり、透光性がなかった。
【0104】
この例は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンで見られる重金属混入についての代表的なベースラインとして提供される。その他の例と比較したとき、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンは、提供されたままの状態で非常に高い重金属混入が見られる。
【0105】
実施例1のサンプルの灰分含量の値は平均して約1.2117重量%であった。この値は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンにおいて多くの場合存在する非可燃性の物質量についてのベースラインとしても提供される。
【0106】
この例は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンで見られる臭気化合物混入についての代表的なベースラインとしても提供される。実施例1のサンプルの臭気強度は、5点スケールで3.75であることも判明し(5が最も強い)、「生ゴミのような」、「ほこりっぽい」、又は「酸っぱい」臭気を有するとして記録された。
【0107】
この例は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンで見られるポリエチレン混入についての代表的なベースラインとしても提供される。実施例1のサンプルのポリエチレン含量は平均して約5.5重量%であった。
【0108】
(実施例2)
実施例1に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンの混色フレークサンプルを、図3に示す実験装置及び以下の手順を用い加工した。
1.内径(ID)4.45cm(1.75”)かつ長さ71.12cm(28”)の1.1Lの抽出カラム圧力容器に237gの混色フレークを充填し、外面温度175℃にまで加熱した。
2.容積式ポンプを使用して液体n−ブタン溶媒を約14.82MPa(2,150psig)に加圧し、2台の熱交換器を使用して約110℃の温度に予熱した後、抽出カラムの底部に導入した。
3.抽出カラムの頂部から出た流体ストリームを、IDが5.08cm(2”)でありかつ長さが約21.59cm(8.5”)の2つめの0.5Lの圧力容器に導入し、外面温度175℃にまで加熱した。第2の圧力容器には、予めビーカー内で150mLの酸化アルミニウム(Activated Alumina,Selexsorb CDX,7×14,BASF,USA)と混合しておいた150mLのシリカゲル(Silicycle Ultra Pure Silica Gels,SiliaFlash GE60,Parc−Technologies,USA)を入れた。
4.第2の圧力容器の底部から出た流体ストリームは、膨張弁から枝付き三角フラスコにかけて減圧される。減圧した流体ストリームが三角フラスコ内に入った後で、サイドアーム口を通して溶媒蒸気をベントし、フラスコ内に液体/固体を回収した。フラスコ内での材料の集積が観察されなくなるまで、14.82MPa(2,150psig)でn−ブタン溶媒をシステムに通し溶出した。19.93gの白色固体を回収し、「画分1」とラベルした。
5.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を16.55MPa(2,400psig)に上昇させた。
6.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を16.55MPa(2,400psig)に維持した。89.35gの白色固体を回収し、「画分2」とラベルした。
7.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を17.24MPa(2,500psig)に上昇させた。
8.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を17.24MPa(2,500psig)に維持した。58.18gの白色固体を回収し、「画分3」とラベルした。
9.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を17.93MPa(2,600psig)に上昇させた。
10.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を17.93MPa(2,600psig)に維持した。7.29gの白色固体を回収し、「画分4」とラベルした。
11.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を20.68MPa(3,000psig)に上昇させた。
12.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を20.68MPa(3,000psig)に維持した。5.58gの白色固体を回収し、「画分5」とラベルした。
13.各フラスコに回収されたサンプルを室温及び室圧下で少なくとも2日間脱ガスした後、本明細書に開示した試験方法を用い特性評価した。
【0109】
16.55MPa(2,400psig)で画分2として回収した白色固体材料についてのデータを表1に要約する。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
本実施例において、画分1〜5において分離された固体は白色であった。画分2由来の白色固体を四角形の試験片に圧縮成形した。この試験片は無色透明であり、バージンポリプロピレンと同様の外見をしていた。四角形の試験片の画像を実施例2として図4に示す。図4に示すとおり、試験片は透明であり、色及び透光性がバージンポリプロピレンと同等であった。L値は、四角形の試験片が本質的に無色であることを示し、かつ実施例1の四角形の試験片(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)と比較して色が劇的に改善していることを示した。実施例2の画分2の四角形の試験片のL値は平均して85.29であり、平均して39.76であった実施例1の四角形の試験片のL値と比較して十分に改善されていた。不透明度が平均して7.90%(すなわち、透明度は約92%)であった実施例2の画分2の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約100%であった実施例1の四角形の試験片の不透明度値と比較して十分改善されていた。
【0113】
実施例2の画分2に由来するサンプルの重金属混入濃度も、実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。例えば、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであったのに対し、実施例2の画分2由来のサンプル中のナトリウム濃度は平均してわずか2,630ppbであった(約98%の低減)。アルミニウム、鉄、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例1のサンプルでは、それぞれ平均して192,000、108,000、1,620、及び12,166ppbであったのに対し、実施例2の画分2に由来するサンプルでは、同元素群は全て定量限界を下回った。測定された他の全ての元素の濃度(カルシウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、及び亜鉛)は、実施例2の画分2では、実施例1のサンプルと比較して、全て99%超低減された。
【0114】
実施例2の画分2のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約1.2117重量%であった実施例1のサンプルと比較して大幅に低く、平均して約0.2897重量%であった。
【0115】
実施例2の画分2のサンプルの臭気強度は、5点スケールで0.5であり、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と比較して十分に改善されていたことが判明した(5が最も強い)。実施例2の画分2に由来するサンプルの臭気強度は低かったものの、バージンポリプロピレンと同様の「プラスチック」様又は「ガソリン」様の臭気と有すると記載された。
【0116】
実施例2の画分2に由来するサンプル中のポリエチレン含量は、定量限界を下回っており、ポリエチレン含量が平均して約5.5重量%であった実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。
【0117】
図5は、実施例2の精製したリサイクルポリプロピレンの不透明度及び臭気強度を、未処理のリサイクルポリプロピレン(実施例1)、欧州特許第EP08493121(A1)号に記載の方法に従って処理したリサイクルポリプロピレン(実施例8)、及びバージンポリプロピレンの比較サンプルと比較する棒グラフである。図5に示すとおり、実施例2の精製されたリサイクルポリプロピレンは、不透明度が低くかつ臭気強度が低く、バージンポリプロピレンの比較サンプルと同様であった。
【0118】
(実施例3)
実施例1に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンの混色フレークサンプルを、図3に示す実験装置及び以下の手順を用い加工した。
1.225gの混色フレークを、外表面温度が135℃になるまで加熱した内径(ID)44.45mm(1.75”)及び長さ71.12cm(28”)の1.1Lの抽出カラム圧力容器に充填した。
2.容積式ポンプを使用して液体n−ブタン溶媒を約6.89MPa(1,000psig)に加圧し、2台の熱交換器を使用して約90℃の温度に予熱した後、抽出カラムの底部に導入した。
3.抽出カラムの頂部から出た流体ストリームを、IDが5.08cm(2”)でありかつ長さが約21.59cm(8.5”)の2つめの0.5Lの圧力容器に導入し、外面温度135℃にまで加熱した。第2の圧力容器には、予めビーカー内で150mLの酸化アルミニウム(Activated Alumina,Selexsorb CDX,7×14,BASF,USA)と混合しておいた150mLのシリカゲル(Silicycle Ultra Pure Silica Gels,SiliaFlash GE60,Parc−Technologies,USA)を入れた。
4.第2の圧力容器の底部から出た流体ストリームは、膨張弁から枝付き三角フラスコにかけて減圧される。減圧した流体ストリームが三角フラスコ内に入った後で、サイドアーム口を通して溶媒蒸気をベントし、フラスコ内に液体/固体を回収した。フラスコ内の材料集積が観察されなくなるまで、6.89MPa(1,000psig)でn−ブタン溶媒をシステムに通し溶出した。27.52gのオフホワイト固体を回収し、「画分1」とラベルした。
5.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を10.34MPa(1,500psig)に上昇させた。
6.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を10.34MPa(1,500psig)に維持した。59.25gのオフホワイト固体を回収し、「画分2」とラベルした。
7.10.34MPa(1,500psig)で回収した画分2のサンプルを室温及び室圧下で少なくとも2日間脱ガスした後、本明細書に開示した試験方法を用い特性評価した。
【0119】
10.34MPa(1,500psig)で回収した画分2のサンプルについてのデータを表1に要約する。
【0120】
この実施例において、画分2に分離された固体は、わずかにオフホワイト色を帯びていた。これらの固体を四角形の試験片に圧縮成形した。画分2由来のこの試験片はほぼ無色透明であり、バージンポリプロピレンとほとんど同様の外見をしていた。四角形の試験片の画像を実施例3として図4に示す。図4に示すとおり、試験片は透明であり、色及び透光性がバージンポリプロピレンと同等であった。L値も、画分2由来の四角形の試験片が本質的に無色であることを示し、かつ実施例1の四角形の試験片(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)と比較して色が劇的に改善していることを示した。実施例3の画分2の四角形の試験片のL値は平均して84.57であり、平均して39.76であった実施例1の四角形の試験片のL値と比較して十分に改善されていた。不透明度が平均して9.58%(すなわち、透明度は約90%)であった実施例3の画分2の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約100%であった実施例1の四角形の試験片の不透明度値と比較して十分改善されていた。
【0121】
実施例3の画分2に由来するサンプルの重金属混入濃度も、実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。例えば、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであったのに対し、実施例3の画分2由来のサンプル中のナトリウム濃度は平均して36,100ppbであった(約74%の低減)。鉄、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例1のサンプルでは、それぞれ平均して108,000、1,620、及び12,166ppbであったのに対し、実施例3の画分2に由来するサンプルでは、同元素群は全て定量限界を下回った。カルシウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、及び亜鉛の濃度は、実施例3の画分2では、実施例1のサンプルと比較して、全て95%超低減された。同比較において、アルミニウムの濃度は約74%低減された。
【0122】
実施例3の画分2のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約0.1614重量%であった実施例1のサンプルと比較して大幅に低く、平均して約1.2117重量%であった。
【0123】
実施例3の画分2のサンプルの臭気強度は、5点スケールで3であり、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と比較してわずかに改善されていたことが判明した(5が最も強い)。実施例3の画分2由来のサンプルは、「プラスチック」様又は「溶媒」様と記載される臭気を有していた。
【0124】
実施例3の画分2に由来するサンプル中のポリエチレン含量は、定量限界を下回っており、ポリエチレン含量が平均して約5.5重量%であって実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。
【0125】
(実施例4)
実施例1に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンの混色フレークサンプルを、図3に示す実験装置及び以下の手順を用い加工した。
1.236gの混色フレークを、外表面温度が175℃になるまで加熱した内径(ID)44.45mm(1.75”)及び長さ71.12cm(28”)の1.1Lの抽出カラム圧力容器に充填した。
2.容積式ポンプを使用して液体ヘキサン(混合異性体)溶媒を約1.38MPa(200psig)に加圧し、2台の熱交換器を使用して約110℃の温度に予熱した後、抽出カラムの底部に導入した。
3.抽出カラムの頂部から出た流体ストリームを、IDが50.8mm(2”)でありかつ長さが約21.59cm(8.5”)の2つめの0.5Lの圧力容器に導入し、外面温度175℃にまで加熱した。第2の圧力容器には、予めビーカー内で150mLの酸化アルミニウム(Activated Alumina,Selexsorb CDX,7×14,BASF,USA)と混合しておいた150mLのシリカゲル(Silicycle Ultra Pure Silica Gels,SiliaFlash GE60,Parc−Technologies,USA)を入れた。
4.第2の圧力容器の底部から出た流体ストリームは、膨張弁から枝付き三角フラスコにかけて減圧される。減圧した流体ストリームが三角フラスコ内に入った後で、液体/固体溶液溶媒蒸気をベントし、フラスコ内に液体/固体を回収した。フラスコ内の材料集積が観察されなくなるまで、1.38MPa(200psig)でヘキサン溶媒をシステムに通し溶出した。102.11gの白色固体を回収し(溶媒の蒸発後)、「画分1」とラベルした。
5.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を2.07MPa(300psig)に上昇させた。
6.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を2.07MPa(300psig)に維持した。71.08gの白色固体を回収し(溶媒の蒸発後)、「画分2」とラベルした。
7.全てのサンプルからヘキサン溶媒を蒸発により除去し、次いで、サンプルを室温及び室圧下で少なくとも2日間脱ガスした後、本明細書に開示した試験方法を用い特性評価した。
【0126】
1.38MPa(200psig)で回収した画分1のサンプルについてのデータを表1に要約する。
【0127】
この実施例の画分1に分離された固体は、わずかにオフホワイト色を帯びていた。これらの画分1の固体を四角形の試験片に圧縮成形した。この試験片はほぼ無色であったものの、その外見はわずかに濁っていた。四角形の試験片の画像を実施例4として図4に示す。図4に示すとおり、試験片の色及び不透明度は実施例1と比較して改善されていたものの、試験片は、バージンPPと比較して濁った外見も有した。L値は、画分1の四角形の試験片が本質的に無色であり、実施例1の四角形の試験片(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)と比較して色が改善されていたことを示した。実施例4の画分1の四角形の試験片のL値は平均して82.18であり、平均して39.76であった実施例1の四角形の試験片のL値と比較して十分に改善されていた。不透明度が平均して22.18%であった実施例4の画分1の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約100%であった実施例1の四角形の試験片の不透明度値と比較して改善されていた。しかしながら、実施例4の画分1に由来する四角形の試験片の不透明度値は、実施例2及び3の画分2に由来する四角形の試験片の不透明度値ほど改善されていなかった。
【0128】
実施例4の画分1に由来するサンプルの重金属混入濃度も、実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。例えば、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであったのに対し、実施例4の画分1由来のサンプル中のナトリウム濃度は平均して2,790ppbであった(約97%の低減)。アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例4の画分1では、実施例1のサンプルと比較して、全て96%超低減された。
【0129】
実施例4の画分1のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約0.2812重量%であった実施例1のサンプルと比較して大幅に低く、平均して約1.2117重量%であった。
【0130】
実施例4の画分1のサンプルの臭気強度は、5点スケールで2.25であり、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と比較して改善されていたことが判明した(5が最も強い)。強度は低減されていたものの、実施例4の画分1に由来するサンプルは「ミント」様、「酸っぱい」、「プラスチック」、及び「焼けたよう」として記載される臭気を有していた。
【0131】
実施例4の画分1由来のサンプルの平均ポリエチレン含量値は、ポリエチレン含量値が平均約5.5重量%であった実施例1のサンプルと比較して改善されており、平均して約1.9重量%であった。
【0132】
(実施例5)
実施例1に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンの混色フレークサンプルを、図3に示す実験装置及び以下の手順を用い加工した。
1.233gの混色フレークを、外表面温度が175℃になるまで加熱した内径(ID)44.45mm(1.75”)及び長さ71.12cm(28”)の1.1Lの抽出カラム圧力容器に充填した。
2.容積式ポンプを使用して液体n−ブタン溶媒を約14.13MPa(2,050psig)に加圧し、2台の熱交換器を使用して約110℃の温度に予熱した後、抽出カラムの底部に導入した。
3.抽出カラムの頂部から出た流体ストリームを、IDが50.8mm(2”)でありかつ長さが約21.59cm(8.5”)の2つめの0.5Lの圧力容器に導入し、外面温度175℃にまで加熱した。第2の圧力容器には、180mLのシリカゲル(Silicycle Ultra Pure Silica Gels,SiliaFlash GE60,Parc−Technologies,USA)を入れた。
4.第2の圧力容器の底部から出た流体ストリームは、膨張弁から枝付き三角フラスコにかけて減圧される。減圧した流体ストリームが三角フラスコ内に入った後で、サイドアーム口を通して溶媒蒸気をベントし、フラスコ内に液体/固体を回収した。フラスコ内の材料集積が観察されなくなるまで、14.13MPa(2,050psig)でn−ブタン溶媒をシステムに通し溶出した。12.87gの白色固体を回収し、「画分1」とラベルした。
5.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を17.24MPa(2,500psig)に上昇させた。
6.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を17.24MPa(2,500psig)に維持した。162.43gの白色固体を回収し、「画分2」とラベルした。
7.17.24MPa(2,500psig)で回収したサンプルを室温及び室圧下で少なくとも2日間脱ガスした後、本明細書に開示した試験方法を用い特性評価した。
【0133】
17.24MPa(2,500psig)で回収した画分2のサンプルについてのデータを表2に要約する。
【0134】
この実施例において、画分2から分離された固体は、白色〜わずかなオフホワイト色を帯びていた。これらの画分2の固体を四角形の試験片に圧縮成形した。この試験片はほぼ無色であったものの、その外見はわずかに濁っていた。四角形の試験片の画像を実施例5として図4に示す。図4に示すとおり、試験片の外見は実施例1と比較して改善されていたものの、試験片は、バージンPPと比較して濁った外見を有した。L値は、画分1の四角形の試験片が本質的に無色であり、実施例1の四角形の試験片(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)と比較して色が劇的に改善されていたことを示した。実施例5の画分2の四角形の試験片のL値は平均して82.00であり、平均して39.76であった実施例1の四角形の試験片のL値と比較して十分に改善されていた。不透明度が平均して約18.63%であった実施例5の画分2の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約100%であった実施例1の四角形の試験片の不透明度値と比較して改善されていた。しかしながら、実施例5の画分2に由来する四角形の試験片の不透明度値は、実施例2及び3の画分2に由来する四角形の試験片の不透明度値ほど改善されていなかった。何らかの理論に束縛されることを望むものではないが、本出願人らは、外見が改善されているものの尚も濁っているのは、シリカゲルの充填が少なく(すなわち、層の長さが短い)、回収されたポリマー中に、より多量の混入物が残留したためだと考えている。
【0135】
実施例5の画分2に由来するサンプルにおける重金属混入濃度も、実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。例えば、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであったのに対し、実施例5の画分2由来のサンプル中のナトリウム濃度は平均して2,960ppbであった(約98%の低減)。実施例1のサンプル中の鉄濃度は平均して108,000であったのに対し、実施例5の画分2のサンプル中の鉄濃度は検出限界未満であった。アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例5の画分2では、実施例1のサンプルと比較して、全て97%超低減された。
【0136】
実施例5の画分2のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約0.5723重量%であった実施例1のサンプルと比較して低く、平均して約1.2117重量%であった。
【0137】
実施例5の画分2のサンプルの臭気強度は、5点スケールで4であり、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と比較してわずかに高かったことが判明した(5が最も強い)。実施例5の画分2由来のサンプルは、「汚泥」様又は「油っぽい」、又は「ミント」様と記載される臭気を有していた。理論に束縛されることを望むものではないが、本出願人らは、実施例5のサンプルの臭気強度が高くなっているのは、第1の抽出工程(すなわち、画分1の集積)中に臭気分子がシリカゲルに吸着したことによるものと考えている。実施例5で使用されるシリカゲルの量が少ない(ひいては層の高さが短い)ことから、吸着した臭気分子は、画分2として回収された固体とともに溶出したようである。
【0138】
実施例5の画分2由来のサンプルの平均ポリエチレン含量値は、ポリエチレン含量値が平均約5.5重量%であった実施例1のサンプルと比較して改善されており、平均して約1.7重量%であった。
【0139】
(実施例6)
実施例6のサンプルは、実施例3において6.89MPa(1,000psig)で生成された画分1の白色固体を実施例3において10.34MPa(1,500psig)で生成された画分2の白色固体と組み合わせることにより生成した。画分1及び画分2のサンプルを組み合わせることで、抽出可能な混入物を抽出する工程なしにポリプロピレンを精製する方法の性能を実証した。実施例3の画分1及び2を組み合わせたものについてのデータを表2に要約する。
【0140】
この実施例の固体分を四角形の試験片に圧縮成形したところ、試験片の外見は実施例3の画分2の四角形の試験片と同様の外見を有していた。四角形の試験片の画像を実施例6として図4に示す。図4に示すとおり、試験片は透明であり、色及び透光性がバージンポリプロピレンと同等であった。L値は、四角形の試験片が本質的に無色であることを示し、かつ実施例1の四角形の試験片(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)と比較して色が劇的に改善していることを示した。実施例6の四角形の試験片のL値は平均して84.51であり、平均して39.76であった実施例1の四角形の試験片のL値と比較して十分に改善されていた。不透明度が平均して9.14%(すなわち、透明度は約91%)であった実施例6の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約100%であった比較例1の四角形の試験片の不透明度値と比較して十分改善されていた。実施例6の四角形の試験片のL値及び不透明度も、実施例3の画分2のL値及び四角形の試験片の不透明度と同様であった。
【0141】
実施例3の画分2と同様、実施例6のサンプル中の重金属混入濃度も、実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。例えば、実施例6のサンプル中のナトリウム濃度は平均して19,700ppbであったのに対し、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであった(約86%の低減)。アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例6では、実施例1のサンプルと比較して、全て82%超低減された。
【0142】
実施例6のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約1.2117重量%であった実施例1のサンプルと比較して低く、平均して約0.4951重量%であった。実施例3の画分2に由来するサンプルの灰分含量値と比較して、実施例6のサンプルの灰分含量値はわずかに高かった。
【0143】
実施例6のサンプルの臭気強度は、5点スケールで3.75であり、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と同じであったことが判明した(5が最も強い)。実施例6のサンプルは、「塩素」、「プラスチック」、「油っぽい」、及び「脂っぽい」として記載される臭気を有していた。実施例3の画分2のサンプルと比較して、実施例6のサンプルはより強烈な臭気を有していた。
【0144】
実施例3の画分2と同様に、実施例6のサンプル中のポリエチレン含量は、定量限界を下回っており、ポリエチレン含量が平均して約5.5重量%であった実施例1のサンプルと比較して十分に改善されていた。
【0145】
(実施例7)
この実施例は、ポリマー溶液を固体媒体と接触させる工程なしにポリプロピレンを精製する方法は性能が良くないことを実証することを目的とする。実施例1に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンの混色フレークサンプルを、図3に示す実験装置及び以下の手順を用い加工した。
1.231gの混色フレークを、外表面温度が175℃になるまで加熱した内径(ID)44.45mm(1.75”)及び長さ71.12cm(28”)の1.1Lの抽出カラム圧力容器に充填した。
2.容積式ポンプを使用して液体n−ブタン溶媒を約13.79MPa(2,000psig)に加圧し、2台の熱交換器を使用して約110℃の温度に予熱した後、抽出カラムの底部に導入した。
3.抽出カラムの頂部から出た流体ストリームを、IDが50.8mm(2”)でありかつ長さが約21.59cm(8.5”)の2つめの0.5Lの圧力容器に導入し、外面温度175℃にまで加熱した。本例において、第2の圧力容器には、固体媒体を収容させなかった。
4.第2の圧力容器の底部から出た流体ストリームは、膨張弁から枝付き三角フラスコにかけて減圧される。減圧した流体ストリームが三角フラスコ内に入った後で、サイドアーム口を通して溶媒蒸気をベントし、フラスコ内に液体/固体を回収した。フラスコ内の材料集積が観察されなくなるまで、13.79MPa(2,000psig)でn−ブタン溶媒をシステムに通し溶出した。20.82gの白色固体を回収し、「画分1」とラベルした。
5.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を17.24MPa(2,500psig)に上昇させた。
6.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を17.24MPa(2,500psig)に維持した。173.39gの灰色固体を回収し、「画分2」とラベルした。
7.17.24MPa(2,500psig)で回収した画分2のサンプルを室温及び室圧下で少なくとも2日間脱ガスした後、本明細書に開示した試験方法を用い特性評価した。
【0146】
17.24MPa(2,500psig)で回収した画分2のサンプルについてのデータを表2に要約する。
【0147】
この実施例において、画分2に分離された固体は、灰色〜オフホワイト色を帯びていた。これらの画分2の固体を四角形の試験片に圧縮成形した。この試験片の外見は淡褐色/薄い灰色であった。四角形の試験片の画像を実施例7として図4に示す。図4に示すとおり、試験片は実施例1と比較してわずかに改善されていた。固体媒体を接触させる工程がなかったのにもかかわらず、L値は、実施例7の画分2の四角形の試験片の色が、実施例1のサンプル(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)と比較してわずかに改善されていたことを示す。実施例7の画分2の四角形の試験片のL値は平均して50.51であり、平均して39.76であった実施例1の四角形の試験片のL値と比較してわずかに改善されていた。不透明度が平均して87.20%であった実施例7の画分2の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約100%であった実施例1の四角形の試験片の不透明度値と比較してわずかに改善されていた。理論に束縛されることを望むものではないが、実施例7の四角形の試験片の色値及び不透明度がわずかに改善されていたのは、外見に関係する着色剤及びその他の材料からポリマーが抽出されたためである可能性がある。更に、本出願人らは、着色剤及びその他の材料は、ポリマーが抽出された後に残留物として残される場合もあると考えている。
【0148】
実施例7の画分2に由来するサンプルにおける重金属混入濃度も、実施例1のサンプルと比較して改善されていた。例えば、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであったのに対し、実施例7の画分2由来のサンプル中のナトリウム濃度は平均して33,300ppbであった(約76%の低減)。アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例7の画分2では、実施例1のサンプルと比較して、全て69%超低減された。理論に束縛されることを望むものではないが、本出願人らは、ポリマーが混入物から抽出され、かかる混入物がポリマー抽出後の残留物として後に残された結果として、重金属混入の低減が生じたと考えている。
【0149】
実施例7の画分2のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約0.3154重量%であった実施例1のサンプルと比較して低く、平均して約1.2117重量%であった。
【0150】
実施例7の画分2のサンプルの臭気強度は、5点スケールで1であり、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と比較して十分に改善されていたことが判明した(5が最も強い)。実施例7の画分2由来のサンプルは、「プラスチック」様又は「石油」様と記載される臭気を有していた。
【0151】
実施例7の画分2由来のサンプルの平均ポリエチレン含量値は、ポリエチレン含量値が平均約5.5重量%であった実施例1のサンプルと比較して改善されており、平均して約1.2重量%であった。
【0152】
(実施例8)
実施例1に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレンの混色フレークサンプルを、欧州特許第EP0849312(A1)号に示す手順をもとにした手順を用い精製した。
【0153】
消費者による使用後に得られるリサイクルポリプロピレン混色フレーク20.00gを、1Lの丸底フラスコ内で400.04gのホワイトスピリット(Sigma−Aldrich,USA)と混ぜ合わせた。時折かき混ぜながら、この混合物を室温で22時間維持した。次に、ホワイトスピリットをポリマーから傾斜した。このポリマーの入っているフラスコに、402.60gの新しいホワイトスピリットを加えた。混合物を加熱した後、還流下、140℃で90分間維持した。濾過媒体としてグラスウール層を用い、IDが70mmのブフナー漏斗を介して、得られた熱溶液を真空濾過した。約300mLの濾液を回収し、室温に放冷した。得られた灰色の沈殿物は、シャークスキンろ紙を用い、IDが70mmのブフナー漏斗を介して真空濾過により分離した。灰色の沈殿物を、1Lの丸底フラスコ内で2.01gのフラー土(Sigma−Aldrich,USA)と195.21gの新しいホワイトスピリットと混ぜ合わせた後、加熱し、還流下、140℃で30分間維持した。シャークスキンろ紙を用い、IDが5.5cmのブフナー漏斗を介して、得られた熱溶液を真空濾過した。濾液を室温まで放冷した。得られた薄灰色の沈殿物は、シャークスキンろ紙を用い、IDが5.5cmのブフナー漏斗を介して真空濾過により分離した。分離した沈殿物を25℃の真空炉で約18時間乾燥した。約4.82gの乾燥沈殿を分離した。次に、分離した沈殿物を、セルロース製円筒ろ紙を入れたソックスレー抽出器によりアセトンで30分間抽出した。抽出した物質を25℃の真空炉で約19時間乾燥した。3.4654gの物質を回収した。本明細書に開示する試験方法を用いサンプルを特性評価した。得られたデータを表2に要約する。
【0154】
この実施例で分離した固体は薄灰色〜オフホワイト色であった。これらの固体を四角形の試験片に圧縮成形した。この試験片の外見はくすんだ薄い灰色であった。四角形の試験片の画像を実施例8として図4に示す。図4に示すとおり、試験片は、改善されたものの暗色のままであり、バージンPP程清澄及び半透明ではなかった。L値には、サンプルの色が実施例1(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリプロピレン)のサンプルと比較して改善されていたことを示した。実施例8のサンプルのL値は平均して63.15であり、平均して39.76であった実施例1のサンプルのL値と比較して改善されていた。しかしながら、実施例8のサンプルのL値により、欧州特許第EP0849312(A1)号に記載の方法では、本発明のいくつかの実施形態のサンプルのように明るく無色のサンプルが製造されないことが実証される。実施例8のサンプルの不透明度は24.96%であり、不透明度が平均して約100%であった実施例1のサンプルの不透明度と比較して改善されていた。不透明度は、実施例8のサンプルが本発明のいくつかの実施形態ほど透明ではなかったことも示す。
【0155】
実施例8のサンプルにおける重金属混入濃度は、実施例1のサンプルと比較して改善されていた。例えば、実施例8のサンプル中のナトリウム濃度は5,120ppbであったのに対し、実施例1のサンプル中のナトリウム濃度は平均して136,000ppbであった(約96%の低減)。アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、及び鉛の濃度は、実施例8では、実施例1のサンプルと比較して、全て43%超低減された。
【0156】
実施例8のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約1.2117重量%であった実施例1のサンプルと比較して低く、平均して約0.3294重量%であった。
【0157】
実施例8のサンプルの臭気強度は、5点スケールで5であり(5が最も強い)、臭気強度が3.75であった実施例1のサンプルの臭気強度と比較してかなり強かったたことが判明した。実施例3のサンプルは、「ガソリン」様と記載される臭気を有していた。このサンプルの強い臭気は、使用したホワイトスピリット溶媒が残留していたことに起因した。
【0158】
実施例8のサンプルのポリエチレン含量値は、ポリエチレン含量値が平均約5.5重量%であった実施例1のサンプルと同じであり、平均して約5.5重量%であった。
【0159】
バージンポリプロピレン比較サンプル
全ての「バージンPP」比較サンプルには、Pro−fax 6331ポリプロピレン(LyondellBasell Industries Holdings,B.V.)を使用した。バージンPPのペレットを、本明細書に記載の方法により四角形の試験片に加工した。バージンPPから作製した試験片の平均Lab値は、それぞれ85.13±0.18、−0.71±0.01、及び2.27±0.02であった。四角形の試験片の平均不透明度は、7.56±0.21%であった。バージンPPのペレットの臭気強度は、5点スケールで0.5であり(5が最も強い)、「プラスチック」様と記載される臭気を有した。
【0160】
(実施例9)
消費者による使用後に得られるリサイクル高密度ポリエチレンのサンプルは、リサイクル樹脂のサプライヤーより供給を受けた。消費者による使用後にリサイクルされたポリエチレンは、「ナチュラルカラー」として分類される英国製のものとした。本明細書に開示する試験方法を用い、提供されたままの状態のペレットを特性評価した。得られたデータを表3に要約する。この例は、消費者による使用後、本発明の実施形態による精製前にリサイクルされた、代表的なポリエチレン樹脂の特性を示すことを目的とする。
【0161】
ペレット及び相当する四角形の試験片は、四角形の試験片のL値において示されるとおりオフホワイト色であった。実施例9のサンプルの不透明度は約81.61%であった。四角形の試験片の画像を実施例9として図6に示す。
【0162】
この例は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリエチレンで見られる重金属混入についての代表的なベースラインとして提供される。その他の例と比較したとき、消費者による使用後に得られるリサイクルポリエチレンは、提供されたままの状態で最も高い重金属混入が見られる。
【0163】
実施例9のサンプルの灰分含量の値は平均して約0.8513重量%であった。この値は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリエチレンにおいて多くの場合存在する非可燃性の物質量についてのベースラインとしても提供される。
【0164】
この例は、消費者による使用後に得られるリサイクルポリエチレンで見られる臭気化合物混入についての代表的なベースラインとしても提供される。実施例9のサンプルの臭気強度は、5点スケールで2.5であることも判明した(5が最も強い)。
【0165】
(実施例10)
実施例9に記載の、消費者による使用後に得られるリサイクルポリエチレンを、図3に示す実験装置及び以下の手順を用い加工した。
1.237gのポリエチレンペレットを、外表面温度が175℃になるまで加熱した内径(ID)44.45mm(1.75”)及び長さ71.12cm(28”)の1.1Lの抽出カラム圧力容器に充填した。
2.容積式ポンプを使用して液体n−ブタン溶媒を約31.03MPa(4,500psig)に加圧し、2台の熱交換器を使用して約110℃の温度に予熱した後、抽出カラムの底部に導入した。
3.抽出カラムの頂部から出た流体ストリームを、IDが50.8mm(2”)でありかつ長さが約21.59cm(8.5”)の2つめの0.5Lの圧力容器に導入し、外面温度175℃にまで加熱した。第2の圧力容器には、予めビーカー内で150mLの酸化アルミニウム(Activated Alumina,Selexsorb CDX,7×14,BASF,USA)と混合しておいた150mLのシリカゲル(Silicycle Ultra Pure Silica Gels,SiliaFlash GE60,Parc−Technologies,USA)を入れた。
4.第2の圧力容器の底部から出た流体ストリームは、膨張弁から枝付き三角フラスコにかけて減圧される。減圧した流体ストリームが三角フラスコ内に入った後で、サイドアーム口を通して溶媒蒸気をベントし、フラスコ内に液体/固体を回収した。フラスコ内の材料集積が観察されなくなるまで、31.03MPa(4,500psig)でn−ブタン溶媒をシステムに通し溶出した。3.93gの白色固体を回収し、「画分1」とラベルした。
5.三角フラスコを空の清浄なフラスコに換え、次にシステムの圧力を34.47MPa(5,000psig)に上昇させた。
6.システムからの固体材料の溶出が観察されなくなるまで、システムの圧力を34.47MPa(5,000psig)に維持した。33.19gの白色固体を回収し、「画分2」とラベルした。
【0166】
34.47MPa(5,000psig)で回収した画分2のサンプルについてのデータを表3に要約する。
【0167】
この実施例で分離した画分2の固体は白色〜オフホワイトであった。これらの画分2の固体を四角形の試験片に圧縮成形した。この試験片の外見はオフホワイトであった。四角形の試験片の画像を実施例10として図3に示す。図6に示すとおり、試験片は未処理のPEよりも透明であり、不透明度はバージンポリエチレンと同様であった。L値も、実施例10の画分2由来の四角形の試験片が実施例1の試験片(すなわち、消費者による使用後に得られ、提供されたままの状態のポリエチレン)と比較して色が改善していることを示した。実施例10の画分2の四角形の試験片のL値は平均して85.20であり、平均して80.28であった実施例9の四角形の試験片のL値と比較してわずかに改善されていた。不透明度が平均して53.20%であった実施例10の画分2の四角形の試験片の不透明度も、不透明度が平均して約81.61%であった実施例9の四角形の試験片の不透明度値と比較して改善されていた。
【0168】
実施例10の画分2に由来するサンプルにおける重金属混入濃度も、実施例9のサンプルと比較して改善されていた。例えば、実施例10の画分2由来のサンプル中のナトリウム濃度は平均して6,620ppbであったのに対し、実施例9のサンプル中のナトリウム濃度は平均して19,800ppbであった(約67%の低減)。測定した他の全ての元素の濃度は、実施例10の画分2では、実施例9のサンプルと比較して、全て66%超低減された。
【0169】
実施例10の画分2のサンプルの灰分含量値は、灰分含量値が平均約0.8513重量%であった実施例9のサンプルと比較して低く、平均して約0.5032重量%であった。
【0170】
実施例10の画分2のサンプルの臭気強度は、5点スケールで0.5であり、臭気強度が2.5であった実施例9のサンプルの臭気強度と比較して改善されていたことが判明した(5が最も強い)。
【0171】
図7は、実施例10の精製したリサイクルポリエチレンの不透明度及び臭気強度を、未処理のリサイクルポリエチレン(実施例9)及びバージンポリエチレンの比較サンプルと比較する棒グラフである。図7に示すとおり、実施例10の精製したリサイクルポリエチレンは、不透明度及び臭気強度が改善されていた。
【0172】
【表3】
【0173】
バージンポリエチレン比較サンプル
全ての「バージンPE」比較サンプルにはDow 6850Aポリエチレン(The Dow Chemical Company,USA)を使用した。バージンPEのペレットを、本明細書に記載の方法により四角形の試験片に加工した。バージンPEから作製した試験片の平均Lab値は、それぞれ84.51±0.97、−1.03±0.04、及び−0.63±0.12であった。四角形の試験片の平均不透明度は、34.68±0.69%であった。バージンPEのペレットの臭気強度は、5点スケールで0.5であり(5が最も強い)、「プラスチック」様と記載される臭気を有した。
【0174】
相互参照されるか若しくは関連する任意の特許又は特許公開を含めた、本明細書で引用される全ての文書は、明示的に除外又は別途限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独でも若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示、示唆、若しくは開示することを認めるものではない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0175】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、他の様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、本開示の範囲内にある、そのような変更及び修正の全てを添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7