特許第6533414号(P6533414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6533414屋根上における設置物の取付け構造、設置物付き屋根および屋根上における設置物の取付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533414
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】屋根上における設置物の取付け構造、設置物付き屋根および屋根上における設置物の取付け方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20190610BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20190610BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20190610BHJP
【FI】
   E04D13/00 KETD
   E04D13/18
   H02S20/23 B
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-110481(P2015-110481)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2016-223159(P2016-223159A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008350
【氏名又は名称】東邦シートフレーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 進
(72)【発明者】
【氏名】岩部 英児
(72)【発明者】
【氏名】近藤 敏
(72)【発明者】
【氏名】富川 幹正
(72)【発明者】
【氏名】中尾 一也
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4785495(JP,B2)
【文献】 特開2009−228210(JP,A)
【文献】 特開2015−004244(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0298494(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 3/24 − 3/369
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に固定されるフレーム部材および前記フレーム部材を覆う屋根板を備える屋根上に設置物を取り付ける構造であって、
前記屋根板上に載置され、前記設置物を支持する支持部材と、
前記支持部材を、前記屋根板よりも強度が高く設定された前記フレーム部材に固定する固定部と、を備え、
前記フレーム部材は、前記躯体を構成する梁が連続する方向に沿って、上方に突出して前記屋根板を支持する凸部と下方に凹む凹部とが交互に形成され、
前記支持部材は、
上下方向に延びる筒状部と前記筒状部の上部を閉塞する閉塞板部とを有する支柱部と、前記筒状部の下端部から外周側にフランジ状に張り出したベース部と、前記閉塞板部に形成され上方に向かって突出する設置物固定部と、を備え、前記ベース部が前記フレーム部材の隣接する凸部を跨がるように設置されて、前記固定部によって前記凸部上において前記フレーム部材に接合する屋根上における設置物の取付け構造。
【請求項2】
前記屋根は、前記屋根板上に、断熱層および防水層のうちの少なくとも一方を有する保護層を備え、
前記支持部材は、前記保護層に形成された貫通孔を通して上方に突出して設けられている請求項1に記載の屋根上における設置物の取付け構造。
【請求項3】
前記固定部は、前記屋根板に挿通されて前記支持部材と前記フレーム部材とを固定する挿通部材、または前記屋根板を介して前記支持部材と前記フレーム部材とを一体に溶接した溶接部である請求項1又は2記載の屋根上における設置物の取付け構造。
【請求項4】
前記固定部は、前記挿通部材であり、
前記挿通部材は、前記屋根板に外部から挿通される請求項3記載の屋根上における設置物の取付け構造。
【請求項5】
前記屋根板は、上面が平坦面状に形成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の屋根上における設置物の取付け構造。
【請求項6】
前記屋根板は、下方に向かって突出する補強リブを有し、
前記補強リブは、前記フレーム部材の前記凹部の内方に収容され、かつ前記凹部の底部よりも上方に間隔を空けて形成されている請求項5または6に記載の屋根上における設置物の取付け構造。
【請求項7】
躯体に固定されるフレーム部材および前記フレーム部材を覆う屋根板を備える屋根と、
前記屋根上に取り付けられる設置物と、を備え、
前記設置物が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の取付け構造により取り付けられた前記支持部材上に支持されている設置物付き屋根。
【請求項8】
躯体に固定されるフレーム部材および前記フレーム部材を覆う屋根板を備える屋根上に設置物を取り付ける方法であって、
上下方向に延びる筒状部と前記筒状部の上部を閉塞する閉塞板部とを有する支柱部と、前記筒状部の下端部から外周側にフランジ状に張り出したベース部と、前記閉塞板部に形成され上方に向かって突出する設置物固定部と、を有し前記設置物を支持する支持部材を、前記屋根板よりも強度が高く設定され前記躯体を構成する梁が連続する方向に沿って、上方に突出して前記屋根板を支持する凸部と下方に凹む凹部とが交互に形成された前記フレーム部材の隣接する凸部を跨がるようにして前記凸部上に前記ベース部を設置し、前記ベース部を固定部によって前記フレーム部材に接合した後、前記支持部材に前記設置物を固定する屋根上における設置物の取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根上における設置物の取付け構造、設置物付き屋根および屋根上における設置物の取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に記載されているような、躯体に固定されるタイトフレームおよび前記タイトフレームを覆う屋根板を備える屋根が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4785495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の屋根では、ソーラーパネルなどの設置物を屋根上に強固に取り付けることについて要望がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、屋根上に設置物を強固に取り付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る設置物の取付け構造は、躯体に固定されるフレーム部材および前記フレーム部材を覆う屋根板を備える屋根上に設置物を取り付ける構造であって、前記屋根板上に載置され、前記設置物を支持する支持部材と、前記支持部材を、前記屋根板よりも強度が高く設定された前記フレーム部材に固定する固定部と、を備え、前記フレーム部材は、前記躯体を構成する梁が連続する方向に沿って、上方に突出して前記屋根板を支持する凸部と下方に凹む凹部とが交互に形成され、前記支持部材は、上下方向に延びる筒状部と前記筒状部の上部を閉塞する閉塞板部とを有する支柱部と、前記筒状部の下端部から外周側にフランジ状に張り出したベース部と、前記閉塞板部に形成され上方に向かって突出する設置物固定部と、を備え、前記ベース部が前記フレーム部材の隣接する凸部を跨がるように設置されて、前記固定部によって前記凸部上において前記フレーム部材に接合する
【0007】
この場合、支持部材は、固定部によって屋根板を貫通してフレーム部材に接合されるので、設置物から支持部材に加えられた外力を、屋根板を介さずに、屋根板よりも強度が高いフレーム部材を介して躯体に伝達することができる。したがって、屋根上に設置物を強固に取り付けることができる。
【0008】
また、前記固定部は、前記屋根板に挿通されて前記支持部材と前記フレーム部材とを固定する挿通部材、または前記屋根板を介して前記支持部材と前記フレーム部材とを一体に溶接した溶接部であるようにしてもよい。
【0009】
この場合、挿通部材または溶接部により、屋根板を貫通して支持部材とフレーム部材とを強固に接合することができる。
【0010】
また、前記固定部は、前記挿通部材であり、前記挿通部材は、前記屋根板に外部から挿通されるようにしてもよい。
【0011】
この場合、挿通部材が屋根板に外部から挿通されるので、屋根板の設置後に支持部材を外部から固定することが可能になり、施工性を向上させることができる。
【0012】
また、前記屋根板は、上面が平坦面状に形成されているようにしてもよい。
【0013】
この場合、屋根板の上面が平坦面状に形成されているので、例えば屋根板が凹凸形状に形成されている場合に比べて、支持部材の設置位置に多様性を具備させることができる。
【0014】
また、前記フレーム部材は、前記躯体を構成する梁が連続する方向に沿って、上方に突出して前記屋根板を支持する凸部と下方に凹む凹部とが交互に形成されてなり、前記支持部材は、前記固定部により前記凸部上に固定されているようにしてもよい。
【0015】
この場合、支持部材は、屋根板を介して支持部材の凸部上に支持される。つまり、支持部材を介してフレーム部材に伝達される設置物の荷重や外力は、凸部に集中して躯体へと伝達される。
【0016】
また、前記支持部材は、前記梁が連続する方向に沿って互いに隣接する複数の凸部に跨がるように設置されているようにしてもよい。
【0017】
この場合、支持部材を通してフレーム部材に伝達される設置物の荷重や外力は、複数の凸部に分散する。これにより、一つの凸部で支持する荷重や外力が小さくて済む。
【0018】
また、前記屋根板は、下方に向かって突出する補強リブを有し、前記補強リブは、前記フレーム部材の前記凹部の内方に収容され、かつ前記凹部の底部よりも上方に間隔を空けて形成されているようにしてもよい。
【0019】
この場合、屋根板上に設けられた支持部材の荷重はフレーム部材の凸部に集中するため、屋根板の補強リブの部分が沈み込むことを抑制することができる。これにより、補強リブがフレーム部材の凹部に干渉するのを抑えることができる。
また、屋根板自体は、補強リブにより断面性能が向上することによって強度が高まる。これによって、支持部材によって支持される設置物の脚部のスパンを拡大することが可能となる。
【0020】
また、前記屋根は、前記屋根板上に、断熱層および防水層のうちの少なくとも一方を有する保護層を備え、前記支持部材は、前記保護層に形成された貫通孔を通して上方に突出して設けられている。
【0021】
この場合、屋根が十分な断熱性能や防水性能を得ることができる。また、支持部材は、保護層に取り込まれることによって、水平方向への変形等を拘束することができる。
【0022】
また、本発明の設置物付き屋根は、躯体に固定されるフレーム部材および前記フレーム部材を覆う屋根板を備える屋根と、前記屋根上に取り付けられる設置物と、を備え、前記設置物が、上記したような取付け構造により取り付けられた前記支持部材上に支持されている。
【0023】
この場合、支持部材は、固定部によって屋根板を貫通してフレーム部材に接合されるので、設置物から支持部材に加えられた外力を、屋根板を介さずに、屋根板よりも強度が高いフレーム部材を介して躯体に伝達することができる。したがって、屋根上に設置物を強固に取り付けることができる。
【0024】
また、本発明は、躯体に固定されるフレーム部材および前記フレーム部材を覆う屋根板を備える屋根上に設置物を取り付ける方法であって、上下方向に延びる筒状部と前記筒状部の上部を閉塞する閉塞板部とを有する支柱部と、前記筒状部の下端部から外周側にフランジ状に張り出したベース部と、前記閉塞板部に形成され上方に向かって突出する設置物固定部と、を有し前記設置物を支持する支持部材を、前記屋根板よりも強度が高く設定され前記躯体を構成する梁が連続する方向に沿って、上方に突出して前記屋根板を支持する凸部と下方に凹む凹部とが交互に形成された前記フレーム部材の隣接する凸部を跨がるようにして前記凸部上に前記ベース部を設置し、前記ベース部を固定部によって前記フレーム部材に接合した後、前記支持部材に前記設置物を固定する。
【0025】
この場合、支持部材は、固定部によって屋根板を貫通してフレーム部材に接合されるので、設置物から支持部材に加えられた外力を、屋根板を介さずに、屋根板よりも強度が高いフレーム部材を介して躯体に伝達することができる。したがって、屋根上に設置物を強固に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、屋根上に設置物を強固に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る屋根上における設置物の取付け構造を適用した屋根の構造を示す斜視断面図である。
図2図1に示す設置物の取付け構造を示す図であって、屋根を梁の軸線(梁が連続する方向)に沿って断面視した図である。
図3図1に示す設置物の取付け構造を示す図であって、屋根を梁の軸線(梁が連続する方向)に直交する方向から断面視した図である。
図4図1に示す設置物の取付け構造を示す図であって、断熱材および防水材を施工する前段で、屋根板上に支持部材を装着した状態の屋根を平面視した図である。
図5図1に示す設置物の取付け構造の変形例を示す断面図である。
図6図1に示す設置物の取付け構造を適用する屋根板の変形例を示す断面図である。
図7図1に示す設置物の取付け構造を適用する屋根板のさらに他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る屋根上における設置物の取付け構造、設置物付き屋根および屋根上における設置物の取付け方法を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る屋根上における設置物の取付け構造を適用した屋根の構造を示す斜視断面図である。図2は、図1に示す設置物の取付け構造を示す図であって、屋根を梁の軸線(梁が連続する方向)に沿って断面視した図である。図3は、図1に示す設置物の取付け構造を示す図であって、屋根を梁の軸線(梁が連続する方向)に直交する方向から断面視した図である。図4は、図1に示す設置物の取付け構造を示す図であって、断熱材および防水材を施工する前段で、屋根板上に支持部材を装着した状態の屋根を平面視した図である。
図1に示すように、設置物100は、各種建物1の屋根2(設置物付き屋根)上に、支持部材10を介して設置されている。
【0029】
図1図3に示すように、屋根2は、建物1の躯体1Kを構成する梁3上に設けられ、タイトフレーム4(フレーム部材)と、屋根板5と、断熱材6(断熱層)と、防水材7(防水層)と、を備えている。
【0030】
タイトフレーム4は、梁3が延びる方向に沿って連続する鋼材からなり、梁3の上面3fに沿う下部平面部4aと、下部平面部4aの両端部からそれぞれ斜め上方に延びる傾斜面部4bと、傾斜面部4bの上端部から梁3の上面3fに平行に沿って延びる上部平面部4cと、を有している。図2に示すように、このようなタイトフレーム4には、下部平面部4aとその両側の傾斜面部4b,4bとにより、下方に向かって凹となる谷部4T(凹部)が形成され、上部平面部4cとその両側の傾斜面部4b、4bとにより上方に向かって凸となる山部4Y(凸部)が形成されている。これら谷部4Tと山部4Yは、タイトフレーム4が連続する方向に沿って交互に形成されている。タイトフレーム4は、下部平面部4aを例えば溶接やビス、発射鋲等の接合手段により梁3に接合することで、躯体1Kに固定することができる。
このタイトフレーム4は、屋根板5よりも肉厚が大きく、屋根板5よりも強度(鉛直方向および水平方向の荷重に対する強度)が高く設定されている。
【0031】
屋根板5は、金属材料、樹脂材料、木質系材料、モルタル質系材料等からなり、タイトフレーム4を構成する鋼材よりも上下方向の厚さが小さい板状材を折り曲げ加工(ロール加工)することで形成されている。図2に示すように、屋根板5は、平面部5aと、平面部5aの両端部5eからそれぞれ直交して下方に向かって延出する垂下壁部5bと、垂下壁部5bの下端から直交して平面部5aの下方で平面部5aに平行に延出する下部平行部5cと、下部平行部5cの先端から180°折り返して下部平行部5cの下面に沿って延びる底面部5dと、を有している。
平面部5aは、梁3が延びる方向に沿って一定の幅寸法を有し、梁3が延びる方向に直交する方向に連続する、平面視細長形状をなしている。梁3が延びる方向において互いに隣接する平面部5a、5aの端部5e、5e同士は互いに突き当たっている。これにともなって、互いに隣接する一方の平面部5aの端部5eから垂下する垂下壁部5bと、他方の平面部5aの端部5eから垂下する垂下壁部5bとは、互いに重ね合わさっている。さらに、互いに重ね合わさる垂下壁部5b、5bの下端から延出する下部平行部5c、5cは、これらの下方に位置する底面部5dを介して互いに連結されている。このようにして、互いに隣接する平面部5a、5a同士の連結部分には、断面視略I型の補強リブ5Rが形成されている。
【0032】
このような屋根板5では、各平面部5aが、タイトフレーム4の上部平面部4cに、ビス、発射鋲等の接合部材8により接合されている。また、屋根板5の各補強リブ5Rは、屋根板5の各谷部4T内に挿入配置されている。各谷部4T内において、補強リブ5Rの最下端に位置する底面部5dは、谷部4Tの底部を形成するタイトフレーム4の下部平面部4aの上方に、隙間Sを隔てて位置するよう設けられている。これにより、例えば、タイトフレーム4の下部平面部4aを梁にビスや発射鋲などで固定する場合であっても、その固定手段の頭部(下部平面部4aよりも上方に張り出す部分)と補強リブ5Rとの干渉を防止することができる。
【0033】
図1に示すように、断熱材6は、断熱性能を有した周知の各種断熱材料が所定厚さの板状、シート状とされたもので、屋根板5の平面部5a、5a、…上に敷設されている。
防水材7は、例えば塩化ビニル樹脂等、防水性能を有した軟質樹脂系材料、ゴム系材料等からなるシート状で、断熱材6上に敷設されている。これらの断熱材6および防水材7は、屋根板5上の保護層を構成する。
【0034】
ここで屋根板5に対する防水加工には、周知の防水工法を適宜適用することが可能である。例えば、前述のようなシート状の防水材7を用いるシート防水工法の他にも、アスファルトにより防水層を形成するアスファルト防水工法、防水層としての塗膜を形成する塗膜防水工法、ステンレスシート(ステンレス板)を防水層として用いるステンレス防水工法などを採用することができる。
【0035】
図2図3に示すように、支持部材10は、支柱部11と、ベース部12と、設置物固定部13と、を備えている。
支柱部11は、鋼板等からなり、例えば断面視円形で上下方向に延びる筒状部11aと、筒状部11aの上部を閉塞する閉塞板部11bと、を一体に備えている。
【0036】
ベース部12は、筒状部11aの下端部から外周側にフランジ状に張り出す円板状で、その中央部に開口部12kが形成されている。ベース部12の内周部は、筒状部11aの下端部に溶接等により一体に接合されている。図4に示すように、ベース部12における、筒状部11aよりも外周側に、周方向に間隔を空けた複数箇所に挿通孔12hが形成されている。図2に示すように、この実施形態において、ベース部12は、タイトフレーム4において梁3の軸方向に沿って互いに隣接する二つの山部4Y、4Yに跨がる。さらに、図4に示すように、ベース部12に形成された挿通孔12hは、周方向において互いに対向する位置に、それぞれ2つずつ形成されている。
【0037】
図2図3に示すように、設置物固定部13は、例えばボルト14からなり、支柱部11の閉塞板部11bに形成された貫通孔11hに下方から挿通されて、頭部14hが閉塞板部11bに下方から突き当たることで、雄ネジ部14nが閉塞板部11bから上方に向かって突出するよう設けられている。
【0038】
図2に示すように、このような支持部材10は、ベース部12が屋根板5の平面部5a上に載置されている。ここで、ベース部12は、梁3の軸方向に沿って互いに隣接する二つの山部4Y、4Yの上方位置において、屋根板5をタイトフレーム4に接合する接合部材8の頭部8t上に載置されている。ベース部12は、それぞれの挿通孔12hに挿通させたビス、発射鋲等のピン状をなした挿通部材15(固定部)を、屋根板5の平面部5a、および屋根板5の下方に位置するタイトフレーム4の上部平面部4cに挿通させることによって、タイトフレーム4において互いに隣接する二つの山部4Y、4Yに接合されている。
【0039】
ベース部12が屋根板5を介してタイトフレーム4に接合・固定された状態で、支持部材10の支柱部11は、断熱材6および防水材7(保護層)に形成された貫通孔6h、7hに挿通され、上方に向かって突出するよう設けられている。
【0040】
このような支持部材10は、屋根2を施工する際に、梁3上にタイトフレーム4を取り付け、タイトフレーム4上に屋根板5を敷設した後に設置する。ここで、屋根板5は、タイトフレーム4の上部平面部4c上に平面部5aを載せた状態で、ビス、発射鋲等の接合部材8を上部平面部4cに貫通させることで固定する。
【0041】
支持部材10を設置するには、まず、ベース部12を、屋根板5の平面部5a上に載置する。このとき、ベース部12は、屋根板5をタイトフレーム4に接合する接合部材8の頭部8tを目印として位置決めすることができる。
次いで、ベース部12の挿通孔12hに挿通させたビス、発射鋲等の挿通部材15を、屋根板5の平面部5a、およびタイトフレーム4の上部平面部4cに挿通させる。これによって、ベース部12は、屋根板5を介し、タイトフレーム4において互いに隣接する二つの山部4Y、4Yに接合される。なお、挿通部材15としてビスを用いる場合には、予め挿通孔が形成されていない屋根板5およびタイトフレーム4に、ねじ切りしながら挿通させることができる。
【0042】
この後、断熱材6および防水材7を、支持部材10の支柱部11が貫通孔6h、7hを通して上方に突出するように敷設する。これにより、屋根2の施工が完了する。
【0043】
このようにして屋根板5上に固定された複数の支持部材10上に、ソーラーパネル等の設置物100が設置される。それぞれの支持部材10の支柱部11の閉塞板部11b上には、設置物100の脚部101が、貫通孔101hに設置物固定部13を挿通させた状態で載置される。脚部101の貫通孔101hに挿通させた設置物固定部13の雄ネジ部14nに、ナット16等を締結することで、設置物100の脚部101は、支持部材10上に固定される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る屋根上における設置物の取付け構造、設置物付き屋根および屋根上における設置物の取付け方法によれば、支持部材10は、挿通部材15によって屋根板5を貫通し、屋根板5よりも強度が高く設定されたタイトフレーム4に接合される。これにより、設置物100から支持部材10に加えられた外力を、屋根板5を介さずに、屋根板5よりも強度が高いタイトフレーム4を介して躯体1Kに伝達することができる。このように、軽量化のために肉厚が薄く設定される屋根板5に対し、より強固なタイトフレーム4に支持部材10を固定することで、上下方向の力に限らず、水平方向の力に対しても、屋根2上に設置物100を強固に取り付けることができる。
【0045】
また、挿通部材15はボルトであり、屋根板5を貫通して支持部材10とタイトフレーム4とを接合することができる。
さらに、この挿通部材15は、屋根板5に外部から挿通することによって、屋根板5の設置後に支持部材10を外部から固定することが可能になり、施工性を向上させることができる。
【0046】
また、屋根板5の上面が平坦面状に形成されているので、例えば屋根板5が凹凸形状に形成されている場合に比べて、支持部材10の設置位置に制限を受けにくく、支持部材10の設置位置、すなわち設置物100の設置位置の自由度を高めることができる。また、支持部材10、断熱材6、防水材7、設置物100等を設置施工する際に、作業者が容易かつ安定して歩行することができ、施工性に優れる。また、屋根板5の上面が平坦面状であれば、施工時に、作業者が不用意につまずいて屋根板5を踏み抜いたり、重量物である設置物100を落下させて屋根板5を破損してしまうのを防ぐことができる。
さらに、屋根板5の上面が平坦面状であれば、屋根板5と断熱材6とを全面的に接着することができ、断熱材6を強固に設置することができる。
【0047】
タイトフレーム4は、躯体1Kを構成する梁3が連続する方向に沿って、上方に突出して屋根板5を支持する山部4Yと下方に凹む谷部4Tとが交互に形成され、支持部材10は、挿通部材15により山部4Y上に固定されている。これにより、支持部材10は、屋根板5を介して支持部材10の山部4Y上に支持される。つまり、支持部材10を介してタイトフレーム4に伝達される設置物100の荷重や外力は、山部4Yに集中して躯体1Kへと伝達される。
さらに、支持部材10は、梁3が連続する方向に沿って互いに隣接する複数の山部4Yに跨がるように設置されている。これにより、支持部材10を通してタイトフレーム4に伝達される設置物100の荷重や外力は、複数の山部4Yに分散し、一つの山部4Yで支持する荷重や外力が小さくて済む。したがって、より大きな荷重の設置物100を支持部材10で支持することが可能となる。
【0048】
加えて、屋根板5は、下方に向かって突出する補強リブ5Rを有し、補強リブ5Rは、タイトフレーム4の谷部4Tの内方に収容され、かつ谷部4Tの底部を形成する下部平面部4aよりも上方に隙間Sを有して形成されている。このような構成において、屋根板5上に設けられた支持部材10の荷重はタイトフレーム4の山部4Yに集中するため、屋根板5の補強リブ5Rの部分が沈み込むことがない。これにより、補強リブ5Rがタイトフレーム4の谷部4Tに干渉するのを抑えることができる。
【0049】
また、屋根板5自体は、補強リブ5Rにより断面性能が向上することによって強度が高まる。これにより、設置物100の荷重が作用した際に、屋根板5や支持部材10のベース部12等が変形するのを抑えることができる。さらに、支持部材10の支持面である屋根板5が強固であることによって、ベース部12の全体に均一に荷重が作用し、支持部材10で支持することのできる支持荷重が増大する。また、支持部材10によって支持される設置物100の脚部101のスパンを拡大することが可能となる。
【0050】
さらに、屋根2は、屋根板5上に断熱材6および防水材7を備え、支持部材10は、断熱材6および防水材7に形成された貫通孔6h、7hを通して上方に突出して設けられている。これにより、屋根2が十分な断熱性能及び防水性能を得ることができる。また、支持部材10は、断熱材6および防水材7に取り囲まれることによって、水平方向への変形等を拘束することができる。
【0051】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、タイトフレーム4に山部4Yと谷部4Tとを交互に設けるようにしたが、山部4Yや谷部4Tにおける梁3の軸方向に沿った幅寸法や、形状等は、適宜変更しても良い。また、フレーム部材として、タイトフレーム4に代えて、例えば断面C型、I型等のチャンネル材や、その他の部材を適宜設けてもよい。さらに、フレーム部材は、梁3に沿って連続するのではなく、梁3上に、支持部材10を設ける部位のみに間欠的に設けてもよい。
【0052】
また、挿通部材15に代えて、屋根板5を介して支持部材10とタイトフレーム4とを一体に溶接した溶接部を形成してもよい。
【0053】
また、支持部材10のベース部12は、屋根板5をタイトフレーム4に接合する接合部材8の頭部8t上に載置されているが、これに限らない。
図5は、図1に示す設置物の取付け構造の変形例を示す断面図である。
図5に示すように、頭部8tをフラット形状なものとする等して、屋根板5上からの突出寸法を抑えるようにして、ベース部12との干渉を抑えるようにしてもよい。
【0054】
また、屋根板5をタイトフレーム4に接合する接合部材8と、支持部材10のベース部12をタイトフレーム4に接合する挿通部材15とを別々に備えるようにしているが、支持部材10のベース部12をタイトフレーム4に接合する挿通部材15により、屋根板5をタイトフレーム4に接合するようにしてもよい。ただし、屋根板5をタイトフレーム4に接合する接合部材8と、支持部材10のベース部12をタイトフレーム4に接合する挿通部材15とを別々にすることで、施工の際、支持部材10の設置に先行して屋根板5をタイトフレーム4に固定することができ、施工性に優れる。
【0055】
また、支持部材10をタイトフレーム4に固定する位置は、上部平面部4c上であればいかなる位置であってもよい。例えば、ベース部12の大きさによっては、一つの山部4Y上のみに支持部材10を固定してもよいし、3以上の山部4Yに跨がるように支持部材10を固定してもよい。
また、支持部材10のベース部12の少なくとも一部がタイトフレーム4上に支持および固定されていれば、他の部分は、例えば、タイトフレーム4から側方に張り出した屋根板5上などに位置していても良い。
【0056】
さらに、支持部材10のベース部12は、タイトフレーム4のみならず、屋根板5の平面部5aにおいて補強リブ5Rの上方部分にビス等によって固定することも可能である。屋根板5は、補強リブ5Rによって補強されているため、支持部材10の荷重の一部を負担することもできる。
【0057】
さらに、タイトフレーム4上に固定された支持部材10に加えて、設置物100を補助的に支持するため、支持部材10と同様の支柱部材を、タイトフレーム4上以外の屋根板5上や、互いに隣接する梁3、3の中間部等に設置してもよい。この場合、屋根板5は、上面が平坦面状であるため、補助的に設ける支柱部材を屋根板5上に高い自由度で設置することができる。また、このように支持部材10をタイトフレーム4上以外の位置に設置した場合であっても、屋根板5に補強リブ5Rが設けられているので、支持部材10の自重による屋根板5の下方への変形等を抑えることができる。
【0058】
また、支持部材10の各部の構成、例えば支柱部11の断面形状、ベース部12の平面形状等は、円形に限らず、正方形状、長方形状、多角形状等、他のいかなるものであってもよい。
【0059】
さらに、屋根板5の補強リブ5Rは、断面I型であるが、これに限らない。
図6は、図1に示す設置物の取付け構造を適用する屋根板の変形例を示す断面図である。図7は、図1に示す設置物の取付け構造を適用する屋根板のさらに他の変形例を示す断面図である。
例えば、図6に示すように、補強リブ5Rの下端部5xを断面視三角形の筒状に形成してもよい。また、図7に示すように、補強リブ5Rの下端部5yを、断面視矩形の筒状に形成してもよい。
【0060】
また、屋根板5は、上記実施形態および変形例に示したものに限らない。例えば、山型の凹部と凸部とを交互に連続させた、いわゆる折板を屋根板5に用いることもできる。この場合、折板の凹部は、上記実施形態および変形例における補強リブ5Rと同様に機能し、屋根板5の断面性能を向上させて強度を高めることができる。
さらに、屋根板5に折板を用いる場合、下方に向かって凸となる凹部の部分は、上記実施形態における補強リブ5Rと同様、タイトフレーム4の谷部4Tの内方に収容される。このとき、折板の凹部は、谷部4Tの底部を形成する下部平面部4aよりも上方に隙間Sを有するように設置してもよいし、下部平面部4aに接して設けてもよい。
加えて、屋根板5に折板を用いる場合、折板の各凹部を塞ぐようにカバー材を設けることによって、屋根板5の上面を平坦面状に形成することもできる。
【0061】
また、屋根板5上に、断熱材6および防水材7の両方が設けられているが、これに限らない。屋根板5上に、保護層として、断熱材6(断熱層)および防水材7(防水層)のうちの少なくとも一方を設けた他の形態に適宜変更することが可能である。断熱材6および防水材7のうち、少なくとも防水材7が設けられていることが好ましいが、断熱材6および防水材7の両方が設けられていない形態を採用することもできる。
【0062】
また、支持部材10で支持する設置物100としては、ソーラーパネルに限らず、貯水タンク、空気調和システムの室外機、太陽熱集熱パネル、看板等であってもよい。
【0063】
さらに、上記したような支持部材10を用いて設置物100を設置する建物1の躯体1Kは、鉄骨造の他、木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等とすることもできる。
【0064】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 建物
1K 躯体
2 屋根(設置物付き屋根)
3 梁
4 タイトフレーム(フレーム部材)
4T 谷部(凹部)
4Y 山部(凸部)
5 屋根板
5R 補強リブ
6 断熱材(断熱層)
6h 貫通孔
7 防水材(防水層)
10 支持部材
15 挿通部材(固定部)
100 設置物
101 脚部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7