特許第6533421号(P6533421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋精器工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6533421-作業車 図000002
  • 特許6533421-作業車 図000003
  • 特許6533421-作業車 図000004
  • 特許6533421-作業車 図000005
  • 特許6533421-作業車 図000006
  • 特許6533421-作業車 図000007
  • 特許6533421-作業車 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533421
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/46 20060101AFI20190610BHJP
【FI】
   B60P1/46 E
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-125615(P2015-125615)
(22)【出願日】2015年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-7534(P2017-7534A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】590003021
【氏名又は名称】東洋精器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114030
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 義雄
(72)【発明者】
【氏名】阿瀬 正浩
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−120475(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0208315(US,A1)
【文献】 特表2002−522283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/00− 1/64
B60P 3/00− 9/00
B60S 3/00−13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の片側側面に第一扉を設けた前室がキャビン後方に設けられ、前記前室の後方に修理作業機器が搭載される荷台が設けられ、前記前室内で前記第一扉の内側下部近傍に底板を有する第一収納部が設けられた作業車であって、
前記第一収納部の底板を地上高さ近傍まで降下させる第一昇降機構が設けられ、
前記第一収納部は、固定枠と、前記底板を支持し前記固定枠に対して昇降可能な可動枠とからなり、
前記第一昇降機構には第一昇降シリンダが用いられ、
前記固定枠に前記第一昇降シリンダのシリンダチューブが固定され、前記第一昇降シリンダのピストンロッド又は当該ピストンロッドに取り付けられる延長ロッドに前記可動枠が固定され、
前記延長ロッドは降下時に直接又は脚部を介して地上に接地できるように構成してあることを特徴とする作業車。
【請求項2】
前記作業車は、当該作業車の前後方向の中心線を挟んで、前記第一扉が設けられた側とは反対側の車体に接地用昇降シリンダがさらに取り付けられ、
前記接地用昇降シリンダのピストンロッドにも先端側を接地させるための延長ロッドが設けられ、
前記第一昇降シリンダと、前記接地用昇降シリンダとが同時に接地することができるように構成される請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記作業車は、当該作業車の前後方向の中心線を挟んで反対側面に前記第一扉および前記第一収納部と同一構成の第二扉および第二収納部が設けられ、
前記第二収納部には前記第一収納部の第一昇降シリンダと同一構造の第二昇降シリンダを用いた第二昇降機構が設けられ、
前記第一収納部の第一昇降シリンダと、前記第二収納部の第二昇降シリンダとが同時に接地できるように構成されている請求項1に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修理サービスカーやタイヤサービスカー等のように、大型のジャッキを含む各種修理作業機器を搭載して移動する作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の作業車は、多様な修理に対応するために、ジャッキ、コンプレッサ、発電機、タイヤチェンジャ、ホイールバランサ等の修理作業機器をボックス型の荷台に格納してある。そして、修理現場でこれらの重量のある機器を必要に応じて荷台から地上に降ろすために、荷台の後端にパワーゲート(「パワーゲート」は登録商標である。昇降ゲートとも称する。)と称されるリフト機構を備えている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
車に搭載される修理作業機器のうち、タイヤ交換作業等で用いるジャッキについては、重量物(例えば40〜50Kg程度)であるだけでなく長尺物でもあるので、荷台に載せると他の修理作業機器を荷台上で移動する際に邪魔になりやすい。また、他の修理作業機器に比べるとジャッキの使用頻度は特に高い。
そこで、作業車の荷台の後部下方のシャシフレーム(サイドレール)間に、ジャッキを収納するための長尺の箱体からなる専用の収納部(以後、「後部ジャッキ収納部」と称する)を設け、この後部ジャッキ収納部の出入口を作業車後方に向けた作業車が開示されている(特許文献2参照)。これによれば、ジャッキを後部ジャッキ収納部から取り出す際に、パワーゲートのゲート面を水平姿勢にして後部ジャッキ収納部の底面と略水平となる位置まで降下させ、後部ジャッキ収納部の蓋板をパワーゲートとの隙間を埋める橋渡しとなるようにゲート面に橋架させるようにし、この状態でジャッキを転がしてゲート面上に引き出し、その後、ゲート面を降下して地上に降ろすようにしている。
【0004】
上記の特許文献2に記載の作業車は、ジャッキの積み降ろしの際にパワーゲートが利用できるだけでなく、後部ジャッキ収納部にジャッキを収納しているので、他の作業機器や荷物の積み降ろしの際にも邪魔にならず、作業性がよく便利である。
ところで、上記の後部ジャッキ収納部は、荷台下方のシャシフレームを構成する一対のサイドレール間の隙間(幅400mm×高さ200mm程度)を利用して長尺の収納箱を取り付けたものである。一方、作業車に搭載するジャッキは修理対象となる車両の大きさによって種々のタイプがあり、低床型の細長いパワージャッキについては後部ジャッキ収納部に簡単に収納できるが、大型車両のタイヤ交換等に用いる大型ジャッキでは寸法上の制約から収納できないことがあった。
特にダンプ等に使用する大型のトラックジャッキは、低床型ジャッキに比べてジャッキの本体部分が太くて短い形状であり、ジャッキ本体全高が200mmを超えるものが多いため、後部ジャッキ収納部に収納することができなかった。
【0005】
そこで、最近の作業車では、トラックジャッキのような大型のジャッキを他の修理作業機器の移動の邪魔にならないように収納するために、荷台の前方側(キャビン後方位置)に設けた前室(電源室や防音室とも称する)を利用してジャッキ収納スペースを設けている。
図7は従来からの前室を設けた作業車101を側方から見た状態を示す図である。荷台前方の前室103には、発電機等の積み降ろしすることのない機器が搭載してあり、電源室として用いられている。また、前室103は車体の片側側面(両側側面でもよい)に開閉扉105が設けてある。
【0006】
そして開閉扉105の内側下部近傍(裏側)には底板112を設けたスペースが設けてあり、この底板112の上にトラックジャッキを収納し、開閉扉105を閉めることでトラックジャッキを収納できるようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−213020号公報
【特許文献2】特開2006−327462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、トラックジャッキを前室103内の底板112上に搭載することで安全な収納場所を確保することができる。しかしながら車両には「最低地上高」が定められており、作業車のようなトラックでは20cm程度とされている。したがって底板112は最低地上高よりも高い位置に設ける必要がある。
そのため、トラックジャッキを地上に降ろしたり、地上から収納したりする際は、20cm程度の高低差を昇降させる必要がある。このとき前室103は荷台後端のパワーゲートからは仕切られた位置にあるためパワーゲートを使用することはできない。したがって、20cmの高低差ではあるが、50Kg程度の重量のトラックジャッキTを作業者が手で持ち上げて昇降させていた。この作業は前屈姿勢となる重労働であり、作業者の腰に大きな負担をかけることとなっていた。
【0009】
そこで本発明は、前室に収納されているジャッキを地上に取り出したり、前室にジャッキを収納したりする際に、作業者の負担を軽減して腰痛等の生じる危険の少ない作業車を提供することを目的とする。
【0010】
また、上記課題を解決するための変更点に加えて、簡単な追加の変更を加えることにより、作業車として望まれる新たな機能(制振機能)を追加することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明では次のような技術的手段を講じた。すなわち、本発明に係る作業車は、車体の片側側面に第一扉を設けた前室がキャビン後方に設けられ、前記前室の後方に修理作業機器が搭載される荷台が設けられ、前記前室内で前記第一扉の内側下部近傍に底板を有する第一収納部が設けられた作業車であって、前記第一収納部の底板を地上高さ近傍まで降下させる第一昇降機構が設けられ、前記第一収納部は、固定枠と、前記底板を支持し前記固定枠に対して昇降可能な可動枠とからなり、前記第一昇降機構には第一昇降シリンダが用いられ、前記固定枠に前記第一昇降シリンダのシリンダチューブが固定され、前記第一昇降シリンダのピストンロッド又は当該ピストンロッドに取り付けられる延長ロッドに前記可動枠が固定され、前記延長ロッドは降下時に直接又は脚部を介して地上に接地できるように構成してある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第一昇降機構を作動させると収納部の底板を降下することができるので、底板を地上付近まで降ろした状態で重量物であるジャッキ等を転がして積み降ろしすることができるようになり、ジャッキを積み降ろしする際の作業性と労力が大きく改善する。
【0013】
また、前記第一収納部は、固定枠と、前記底板を支持し前記固定枠に対して昇降可能な可動枠とからなり、前記第一昇降機構には第一昇降シリンダが用いられ、前記固定枠に前記第一昇降シリンダのシリンダチューブ側が固定され、前記可動枠側に前記第一昇降シリンダのピストンロッド側(ピストンロッド又は当該ピストンロッドに取り付けられる延長ロッド)が固定されるので、底板を第一昇降シリンダのピストンロッドの往復運動だけで昇降させることができる。
また、降下時に第一昇降シリンダを接地させた状態でジャッキの積み降ろしができる。
【0014】
上記発明において、前記作業車は、当該作業車の前後方向の中心線を挟んで、前記第一扉が設けられた側とは反対側の車体に接地用昇降シリンダがさらに取り付けられ、前記接地用昇降シリンダのピストンロッドにも先端側を接地させるための延長ロッドが設けられ、前記第一昇降シリンダと、前記接地用昇降シリンダとが同時に接地することができるようにしてもよい。
【0015】
これによれば、第一昇降シリンダを接地させるだけでなく、接地用昇降シリンダとの互いに離隔した二箇所を同時に接地することによって、サスペンションの存在により振動しやすい構造の荷台であっても、上記二箇所を接地して補助的に車体を支持することで振動の影響を抑えることができ、例えばホイールバランサのような振動の影響を受けやすい作業機器を荷台上に載せたまま安定して使用することが可能になる。そして、ジャッキ積み降ろし用の第一昇降シリンダが転用できるので、必要な追加装備は接地用昇降シリンダだけでよい。
なお、パワーゲートを搭載している作業車の場合は、これらに加えて、パワーゲートも同時に接地させることにより、離隔した三箇所で車体を補助的に支持できるので、振動の影響をさらに効果的に抑制することができる。
【0016】
また、別の観点からなされたさらなる発明は、上記発明において、前記作業車は、当該作業車の前後方向の中心線を挟んで反対側面に前記第一扉および前記第一収納部と同一構成の第二扉および第二収納部が設けられ、前記第二収納部には前記第一収納部の第一昇降シリンダと同一構造の第二昇降シリンダを用いた第二昇降機構が設けられ、前記第一収納部の第一昇降シリンダと、前記第二収納部の第二昇降シリンダとが同時に接地できるように構成されている。
これによれば、第一収納部を第一昇降機構で降下させるだけでなく、第二収納部も第二昇降機構で降下させることができるので、より多くのジャッキ等の重量物の積み降ろしが可能となり、ジャッキを積み降ろしする際の作業性と労力が大きく改善する。
【0017】
また、第二収納部の底板を第二昇降機構の第二昇降シリンダのピストンロッドの往復運動だけで昇降させることができる。
【0018】
また、第一収納部並びに第二収納部の昇降だけでなく、制振用部材としても第一昇降シリンダと第二昇降シリンダとを利用することができる。すなわち、第一昇降シリンダと、第二昇降シリンダとの互いに離隔した二箇所を同時に接地することによって、サスペンションの存在により振動しやすい構造の荷台であっても、上記二箇所を接地して補助的に車体を支持することで振動の影響を抑えることができるようになるので、例えばホイールバランサのような振動の影響を受けやすい作業機器を荷台上に載せたまま安定して使用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態である作業車を側方視した図。
図2図1に係るシャシフレームと各構成部分の位置関係を平面視で示す模式図。
図3図1に係る前室内の収納部を示す図。
図4図3に係る収納部を降下させた状態を示す図。
図5図3に係るA−A断面図。
図6】本発明の他の一実施形態を示す図2同様の模式図。
図7】従来の作業車を側方視した図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下において、本発明の詳細を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態である作業車を側方から見た状態を示す図であり、図2図1の作業車におけるシャシフレームと各構成部分との位置関係を平面視で示す模式図である。
【0021】
作業車1は、主にキャビン(運転室)2と、キャビン2の後方にある前室3と、前室3の後方にある荷台4とからなる。
前室3の片側側面(図1では車体の左側面)には、先に述べた図7の扉105と同様の開閉扉5(図1では図示省略)が設けてある。なお、開閉扉5の形状は特に限定されず、シャッタ構造のものとしてもよい。
荷台4の後端にはパワーゲート(リフト機構)8が設けてあり、荷台4からの積み降ろしの際には、パワーゲート8のゲート面を水平姿勢にして荷台の高さから地上高さまで昇降するようにして使用される。なお、ゲート面は走行時には図1のように垂直姿勢にしてある。
また、前室3と荷台4との境界は、防音目的等のために仕切り壁やフレームで仕切られている。なお、防音仕様の必要がない場合は必ずしも仕切り壁を設ける必要はない。
【0022】
前室3の内部には、シャシフレーム(サイドレール)9上に固定された二段棚が設けられ、下側の棚には発電機6、上側の棚にはコンプレッサ7を搭載するようにしてあり、前室3は電源室や圧空室として用いられる。
【0023】
また、前室3の内部で、開閉扉5の内側下部近傍には、発電機6との間にスペースがあり、このスペースを利用して昇降可能な収納部10が設けてある。
図3は収納部10を示す図であり、図4は収納部10を降下させた状態を示す図である。また、図5図3におけるA−A断面図である。
【0024】
収納部10は、固定枠11と、底板12を有する可動枠13とで構成される。固定枠11は左右一対の縦枠11aと、これら縦枠11aどうしを連結する横枠11bと、短い縦枠11cと、短い横枠11dとからなり、前室3(車体)に固定してある。可動枠13は左右一対の縦枠13aと、これら縦枠13aどうしを連結する横枠13bと、短い縦枠13cと、短い横枠13dとからなり、縦枠13aの下端に底板12が固定してある。
固定枠11の縦枠11aは断面がコの字の溝形をしており、縦枠11aの溝の内側に可動枠13の縦枠13aが入れてある。縦枠13a側面にはローラが設けてあり、縦枠11aの溝をガイドにして、第一昇降シリンダ14により縦枠13aが上下に摺動できるようにしてある。
【0025】
第一昇降シリンダ14は特に種類は限定されないが、ここでは電動油圧シリンダが用いられ、図4に示すようにシリンダチューブ14aとピストンロッド14bとからなり、ピストンロッド14bには、地上に接地できるようにするための延長ロッド14cおよび接地面となる脚部14dが取り付けてある。なお、延長ロッド14cが直接接地するようにして脚部14dを兼用してもよい。
シリンダチューブ14aは、固定枠11の横枠11bの中央に固定してある。ピストンロッド14bは延長ロッド14cを介して可動枠13の横枠13bに固定してある。したがってピストンロッド14bが伸びると可動枠13が降下して、底板12が地上近傍まで降下するようにしてある。
なお、ピストンロッド14bは延長ロッド14cを介さず可動枠13に直接固定するようにしてもよい。
【0026】
底板12は1台または複数台のトラックジャッキTを並べて載せることができる大きさ(面積)にしてあり、可動枠13の横枠13bにはトラックジャッキTの直立させたハンドル部分を固定する固定具(不図示)が設けてある。
【0027】
また、車体の前後方向の中心線、すなわちシャシフレーム9を挟んで、開閉扉5が設けられた側とは反対側の車体に、接地用昇降シリンダ15(図2参照)がさらに取り付けられる。この接地用昇降シリンダ15は、第一昇降シリンダ14とともに、いわゆる「アウトリガー」として制振用に使用されるものである。そのため、接地用昇降シリンダ15の取付位置は、前後方向の中心線を挟んで第一昇降シリンダ14と対称の位置付近が好ましいが、互いに離隔していれば対称な位置でなくても問題ない。なお、第一昇降シリンダ14、接地用昇降シリンダ15とともにパワーゲート8も同時に接地して制振用に使用することもできる。
【0028】
接地用昇降シリンダ15は、第一昇降シリンダ14と同じ構造であるので図示を省略するが、シリンダチューブとピストンロッドとからなり、ピストンロッドには、地上に接地できるようにするための延長ロッドおよび脚部が取り付けてある。なお、ピストンロッド側が可動枠13に固定されていない点だけが第一昇降シリンダ14と異なる。
【0029】
次に、上記構成による二つの動作について説明する。
第一の動作は、トラックジャッキTを前室3の収納部10から降ろしたり、積み込んだりする際の動作である。この場合、第一昇降シリンダ14だけを駆動する。収納部10の可動枠13が降下し、底板12が地上高さ近傍まで降下するとともに、第一昇降シリンダ14の脚部14dが接地すると停止する。この状態では底板12と地上との高低差が小さいので、トラックジャックTを転がしながら収納部10から降ろしたり積み込んだりすることができる。トラックジャッキTを積み込んだ後は、第一昇降シリンダ14を「最低地上高」よりも高い位置に戻し、作業車1が走行可能な状態にする。
【0030】
第二の動作は、アウトリガーとして使用する際の動作である。この場合、第一昇降シリンダ14と接地用昇降シリンダ15とを、同時に駆動させて接地した状態で停止する。これにより、二箇所で同時に接地するようにして荷台4を安定させることで振動の影響を抑えることができる。既述のように、荷台4後端のパワーゲート8もゲート面を水平姿勢にして降下させゲート下面を接地させることにより、三箇所で同時に接地するようにして安定させることもできる。
【0031】
(変形実施形態)
上記実施形態では、第一昇降シリンダ14と接地用昇降シリンダ15とを設けたが、アウトリガーとしての機能が必要ない場合は、第一昇降シリンダ14だけを設け、収納部10を昇降させるだけにしてもよい。
【0032】
また上記実施形態では、前室3は片側側面に開閉扉(第一扉)5および収納部(第一収納部)10を設けたが、同じ構成を反対側面に設けてもよい。
図6は本発明の他の一実施形態である作業車におけるシャシフレームと各構成部分との位置関係を平面視で示す模式図である。図6において、図2と同じ構成部分については同符号を付すことにより説明を省略する。この作業車1’の前室3は、開閉扉(第一扉)5が設けられた側とは反対側の側面にもう一つの開閉扉(第二扉)5’が設けてある。そして開閉扉5’の内側下部近傍は発電機6との間にスペースがあり、このスペースを利用して昇降可能な収納部(第二収納部)10’が設けてある。
収納部10’は、図3図5を用いて説明した収納部(第一収納部)10と同じ構造である。第一昇降シリンダ(第一昇降機構)14と同じ構造の第二昇降シリンダ(第二昇降機構)14’を用いて昇降するようにしてある。
【0033】
このように収納部(第二収納部)10’および、第二昇降シリンダ14’を設けたことにより、ジャッキ等の重量物を収納するスペースを増やすことができる。また、それだけでなく、第一昇降シリンダ14と、第二昇降シリンダ14’とを同時に接地させることにより、「アウトリガー」として制振用に使用することも可能になる。
このときもパワーゲート8を同時に接地させて三箇所で補助的に支持するようにしてさらに制振効果を高めてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明はトラックジャッキのような大型ジャッキを搭載して移動する作業車に適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
T トラックジャッキ
1 作業車
2 キャビン
3 前室
4 荷台
5 開閉扉(第一扉)
5’ 開閉扉(第二扉)
6 発電機
7 コンプレッサ
8 パワーゲート
9 シャシフレーム
10 収納部(第一収納部)
10’ 収納部(第二収納部)
11 固定枠
12 底板
13 可動枠
14 第一昇降シリンダ(第一昇降機構)
14’ 第二昇降シリンダ(第二昇降機構)
14c 延長ロッド
15 接地用昇降シリンダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7