特許第6533467号(P6533467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6533467-分散液の製造方法及び分散液 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533467
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】分散液の製造方法及び分散液
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/00 20060101AFI20190610BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20190610BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20190610BHJP
   C08J 3/11 20060101ALI20190610BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20190610BHJP
   A61K 8/04 20060101ALN20190610BHJP
   A61K 8/85 20060101ALN20190610BHJP
   A61K 8/35 20060101ALN20190610BHJP
   A23L 5/00 20160101ALN20190610BHJP
【FI】
   B01J13/00 B
   B01J3/00 A
   C09D17/00
   C08J3/11CFD
   A61K9/10
   !A61K8/04
   !A61K8/85
   !A61K8/35
   !A23L5/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】58
(21)【出願番号】特願2015-552522(P2015-552522)
(86)(22)【出願日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】JP2014082901
(87)【国際公開番号】WO2015087986
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年9月29日
(31)【優先権主張番号】特願2013-255923(P2013-255923)
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-255976(P2013-255976)
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-270981(P2013-270981)
(32)【優先日】2013年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-271023(P2013-271023)
(32)【優先日】2013年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-271072(P2013-271072)
(32)【優先日】2013年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-271117(P2013-271117)
(32)【優先日】2013年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-271160(P2013-271160)
(32)【優先日】2013年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-110679(P2014-110679)
(32)【優先日】2014年5月28日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-192770(P2014-192770)
(32)【優先日】2014年9月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芥川 貴司
(72)【発明者】
【氏名】榎 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 大輝
(72)【発明者】
【氏名】根布谷 理
(72)【発明者】
【氏名】篠原 修一
(72)【発明者】
【氏名】金子 尚史
(72)【発明者】
【氏名】太田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山下 泰治
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−115780(JP,A)
【文献】 特開2012−172074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/00
A23L
C08J
C09D
A61K
G03G
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散質(A)と溶剤(S)と圧縮性流体(F)とを含む混合物(X)を、体積膨張させる工程を含む、分散質(A)を含む粒子(C)が溶剤(S)に分散された分散液(L)の製造方法であって、分散質(A)の融点又は軟化点は50〜80℃であり、分散質(A)の融点又は軟化点以下の温度で分散質(A)が溶剤(S)及び/又は圧縮性流体(F)に溶解した状態で、分散質(A)の融点又は軟化点以下で混合物(X)を体積膨張させること、並びに粒子(C)のメジアン径が3.0μm以下であることを特徴とする分散液(L)の製造方法。
【請求項2】
分散質(A)が融点を有し、以下の条件1を満たす請求項1に記載の分散液(L)の製造方法。
条件1
T3<T1<T2<T0
T0:分散質(A)の融点
T1:分散液(L)をDSC降温測定した際の、分散質(A)由来の発熱ピーク温度
T2:体積膨張させる直前の混合物(X)の温度
T3:混合物(X)を体積膨張した直後の分散液(L)の温度
【請求項3】
以下の条件2を満たす請求項2に記載の分散液(L)の製造方法。
条件2
T3+10<T1
T1:分散液(L)をDSC降温測定した際の、分散質(A)由来の発熱ピーク温度
T3:混合物(X)を体積膨張した直後の分散液(L)の温度
【請求項4】
前記混合物(X)において、分散質(A)が溶剤(S)及び圧縮性流体(F)からなる群より選択される少なくとも1種の液と液液二相分離している請求項1〜3のいずれかに記載の分散液(L)の製造方法。
【請求項5】
分散質(A)が非晶質材料である請求項1に記載の分散液(L)の製造方法。
【請求項6】
圧縮性流体(F)が液体二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素又は超臨界二酸化炭素である請求項1〜5のいずれかに記載の分散液(L)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散液の製造方法及び分散液に関する。詳しくは固体粒子等の各種微粒子が溶剤に分散された分散液の製造方法及び分散液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗料、インキ、化粧品、食品、医薬品その他の各種の製造工程において、固体粒子等の材料を微細化し、この微粒子を水、有機溶剤等の分散溶剤に分散させて分散液を作製する工程が含まれているが、従来の方法、装置では固体粒子等の微粒子を溶剤に分散するために長い時間と多くの動力を必要とした。
また、上述のような方法を改良するものとして、分散質と溶剤を混合した混合物を超臨界容器に供給し超臨界状態とした後、超臨界状態の混合物を大気中に解放し、衝突部に衝突させることにより分散質を溶剤中に微粒子化して分散する方法や(例えば特許文献1参照)、晶析により分散質を微粒子化する方法として、分散質が溶解した超臨界流体をノズルより噴出させて分散質を析出させる超臨界急速膨張法、又は分散質を溶解した溶液を、超臨界流体中にノズルより噴出、或いは超臨界流体を、溶質を溶解した溶液中にノズルより噴出させ、溶質を析出させる超臨界貧溶剤法等も提案されているが(例えば特許文献2参照)、分散質の溶剤への分散性が不充分であるという問題があった。
更に分散質と圧縮性流体の混合液を分散質の融点以上の温度から減圧膨張させる方法が提案されているが(特許文献3)、減圧膨張後の分散液の安定性が不充分であるという問題があり、また、融点を有する結晶性材料しか取り扱えない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−192670号公報
【特許文献2】特開2006−181553号公報
【特許文献3】特開2011−115780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の解決課題は、固体粒子等の分散質が分散溶剤中に微細にかつ安定に分散された分散液を、迅速に、かつ少ない動力で得ることができる分散液の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、分散質(A)と溶剤(S)と圧縮性流体(F)とを含む混合物(X)を、体積膨張させる工程を含む、分散質(A)を含む粒子(C)が溶剤(S)に分散された分散液(L)の製造方法であって、分散質(A)の融点又は軟化点以下の温度で分散質(A)が溶剤(S)及び/又は圧縮性流体(F)に溶解した状態で、分散質(A)の融点又は軟化点以下で混合物(X)を体積膨張させること、並びに粒子(C)のメジアン径が3.0μm以下である分散液(L)を製造する方法が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、分散質の効果的な分散を行う事ができ、迅速に、かつ少ない動力で、分散質のメジアン径が微細で安定である分散液を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明における、ラインブレンドによる混合方法での分散液の作製に用いる実験装置のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明を詳述する。
本発明に用いられる分散質(A)としては、特に限定されず有機物及び/又は無機物であってもよい。例えば、ワックス、樹脂(結晶性樹脂、非晶質樹脂)、染料、顔料、充填剤、帯電防止剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、及び難燃剤等が挙げられ、また上記の2種以上を併用しても差し支えない。
分散質(A)が融点を有する場合は微粒子化効果がより大きい点で、ワックス及び結晶性樹脂が好ましい。分散質(A)が非晶質材料である場合、好ましいのは、圧縮性流体(F)と溶剤(S)の混合液において溶剤(S)及び/又は圧縮性流体(F)に溶解し、分散質(A)が液状であるという観点から、非晶質樹脂が好ましく、例えば、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等及びそれらの併用である。
【0009】
ワックスとしては、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸、炭素数30〜50の脂肪酸エステル及びこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、及びサゾールワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス及びライスワックスが挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸エステルとしては、例えばステアリン酸ステアリルが挙げられる。
本発明の分散液の製造方法を用いるのに適した分散質(A)は、融点又は軟化点を有する。分散質(A)の融点又は軟化点は好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜110℃、更に好ましくは50℃〜100℃、特に好ましくは55℃〜90℃、最も好ましくは60〜80℃である。
本発明における融点は、分散質(A)が結晶性材料である場合に用い、示差走査熱量測定(以下、DSCと記載する)における吸熱ピークより求めたものである。
本発明における軟化点は、分散質(A)が非晶質材料である場合に用い、降下式フローテスターを用いて測定され、求めたものである。
本発明において、非晶質とは、以下の結晶の特徴をしめさないもののことであり、以下に結晶性の定義をする。「結晶性」とは示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、かつそのピーク温度と軟化温度との絶対温度比(軟化温度/吸熱ピーク温度)が0.93〜1.07であることを示す。
また、本発明における軟化点は降下式フローテスター{例えば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて測定され、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点とする。
【0010】
樹脂としては、結晶性樹脂及び非晶質樹脂が挙げられる。
【0011】
結晶性樹脂としては、特に組成は限定されないが、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びビニル樹脂等の結晶性樹脂並びにそれらの複合樹脂が挙げられる。
非晶質樹脂としては、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、及びポリカーボネート樹脂等の非晶質樹脂並びにそれらの複合樹脂が挙げられる。
【0012】
上記結晶性樹脂のうち、ポリエステル樹脂としては、アルコール(ジオール)成分と酸(ジカルボン酸)成分とから合成される重縮合ポリエステル樹脂であることが、結晶性の点から好ましい。ただし、必要に応じて3官能以上のアルコール(3価以上のポリオール)成分や酸(3価以上のポリカルボン酸)成分を用いてもよい。またポリウレタン樹脂としては、アルコール(ジオール)成分とイソシアネート(ジイソシアネート)成分とから合成されるポリウレタン樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアルコール(3価以上のポリオール)成分やイソシアネート(3価以上のポリイソシアネート)成分を用いてもよい。ポリアミド樹脂としては、アミン(ジアミン)成分と酸(ジカルボン酸)成分とから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアミン(3価以上のポリアミン)成分や酸(3価以上のポリカルボン酸)成分を用いてもよい。ポリウレア樹脂としては、アミン(ジアミン)成分とイソシアネート(ジイソシアネート)成分とから合成されるポリウレア樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアミン(3価以上のポリアミン)成分やイソシアネート(3価以上のポリイソシアネート)成分を用いてもよい。なお、ポリエステル樹脂としては、重縮合ポリエステル樹脂以外に、ラクトン開環重合物及びポリヒドロキシカルボン酸も同様に好ましい。ポリカーボネート樹脂としては、ジオール成分とホスゲンやジメチルカーボネートとから合成されるポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0013】
以降の説明において、まず、これら結晶性重縮合ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリウレア樹脂に用いられるジオール成分、3価以上のポリオール成分、ジカルボン酸成分、3価以上のポリカルボン酸成分、ジイソシアネート成分、3価以上のポリオール成分、ジアミン成分及び3価以上のポリアミン成分についてそれぞれ示す。
−ジオール成分−
ジオール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、鎖炭素数が2〜36の範囲であることが好ましい。また直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。
脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下するため、例えば、得られる分散液(L)の耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が36を超えると、実用上の材料の入手が困難な場合がある。
【0014】
ジオール成分は、直鎖型脂肪族ジオールの含有量が使用ジオール成分の80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上である。必要に応じてその他の成分が含まれても構わない。
直鎖型脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上では、ポリエステル樹脂の結晶性が向上するため、小粒子化が容易になる。
【0015】
直鎖型脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
【0016】
その他必要に応じて使用されるジオールとしては、炭素数2〜36の上記以外の脂肪族ジオール(1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下BOと略記する)等〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオール等);及びポリブタジエンジオール等が挙げられる。
【0017】
更にその他必要に応じて使用されるジオールとしては、上記のヒドロキシル基以外の官能基を有しないジオール以外に、他の官能基を有するジオールを用いてもよい。ヒドロキシル基以外の官能基を有するジオールとしては、カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基もしくはスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等が挙げられる。
カルボキシル基を有するジオールとしては、ジアルキロールアルカン酸[炭素数6〜24のもの、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等]が挙げられる。
スルホン酸基もしくはスルファミン酸基を有するジオールとしては、スルファミン酸ジオール[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基が炭素数1〜6)又はそのAO付加物(AOとしてはEO又はPO等、AOの付加モル数1〜6):例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等];ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート等が挙げられる。
これらのヒドロキシル基以外の官能基を有するジオールの塩としては、該官能基と、例えば前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミン等)及び/又はアルカリ金属(ナトリウム等)との塩が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用である。
【0018】
必要により用いられる3価以上のポリオールとして、3〜8価又はそれ以上の価数のポリオールが挙げられる。3〜8価又はそれ以上の価数のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖、及びメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマーの共重合物等];等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物であり、更に好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
【0019】
−ジカルボン酸及び3価以上のポリカルボン酸成分−
ジカルボン酸成分としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が好ましく、脂肪族ジカルボン酸は直鎖型のカルボン酸がより好ましい。3価以上のポリカルボン酸成分としては、3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸が挙げられる。
【0020】
ジカルボン酸としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)等〕、炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等)等が挙げられる。
なお、ジカルボン酸又は3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
これらジカルボン酸の中では、脂肪族ジカルボン酸(特に直鎖型のカルボン酸)を単独で用いるのが特に好ましいが、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、及び、これらの低級アルキルエステル類が好ましい)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては20モル%以下が好ましい。
ジカルボン酸成分としては、主には上記のカルボン酸が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、結晶性や入手容易性を考慮すると、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、及びイソフタル酸が好ましい。
【0021】
−ジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネート成分−
ジイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート及びこれらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。また、必要により、3価以上のポリイソシアネートを併用してもよい。
【0022】
上記炭素数6〜20の芳香族ジイソシアネート及び3価以上の芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。
上記炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート及び3価以上の脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
上記炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
上記炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
また、上記ジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等が挙げられる。
具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI等のジイソシアネートの変性物及びこれらの2種以上の混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
これらのうちで好ましいものは炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ジイソシアネート、及び炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIである。
【0023】
−ジアミン及び3価以上のポリアミン成分−
ジアミン及び3価以上のポリアミンの例として、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類及び3価以上の脂肪族ポリアミン類、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類及び3価以上の芳香族ポリアミン類が挙げられる。
上記脂肪族ジアミン類及び3価以上の脂肪族ポリアミン類(炭素数2〜18)としては、〔1〕脂肪族ジアミン及び3価以上の脂肪族ポリアミン{炭素数2〜6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、ポリアルキレン(炭素数2〜6)ジアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等〕};〔2〕これらのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体〔ジアルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等〕;〔3〕脂環又は複素環含有脂肪族ジアミン及び3価以上の脂環又は複素環含有脂肪族ポリアミン{脂環式ジアミン(炭素数4〜15)〔1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等〕、複素環式ジアミン(炭素数4〜15)〔ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等〕;〔4〕芳香環含有脂肪族アミン類(炭素数8〜15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等)、等が挙げられる。
【0024】
芳香族ジアミン類及び3価以上の芳香族ポリアミン類(炭素数6〜20)としては、〔1〕非置換芳香族ジアミン及び3価以上の非置換芳香族ポリアミン〔1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4´−又は4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等〕;〔2〕核置換アルキル基(メチル、エチル、n−又はi−プロピル、ブチル等の炭素数1〜4アルキル基)を有する芳香族ジアミン及び3価以上の芳香族ポリアミン、例えば2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルスルホン等、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物;〔3〕核置換電子吸引基(Cl,Br,I,F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基等)を有する芳香族ジアミン及び3価以上の芳香族ポリアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチル−5,5´−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3´−ジクロロベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフィド、4,4´−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等〕;〔4〕2級アミノ基を有する芳香族ジアミン及び3価以上の芳香族ポリアミン〔上記〔1〕〜〔3〕の芳香族ジアミン及び3価以上の芳香族ポリアミンの−NHの一部又は全部が−NH−R´(R´はアルキル基例えばメチル、エチル等の低級アルキル基)で置き換ったもの〕〔4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等〕が挙げられる。
【0025】
ジアミン又は3価以上のポリアミン成分としては、これらの他、ポリアミドポリアミン〔ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等〕、ポリエーテルポリアミン〔ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等〕等が挙げられる。
【0026】
結晶性ポリエステル樹脂のうち、ラクトン開環重合物は、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させることにより得ることができる。これらのうち、好ましいラクトンは、結晶性の観点からε−カプロラクトンである。
開始剤として、グリコールを用いると、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物が得られる。このようなラクトン開環重合物は、例えば、上記ラクトン類とエチレングリコール、ジエチレングリコール等の前記ジオール成分を触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物等が一般的であり、反応溶液中に0.1〜5000ppm程度の割合で添加して、100〜230℃で、好ましくは不活性雰囲気下に重合させることによって、ラクトン開環重合物を得ることができる。ラクトン開環重合物は、その末端を例えばカルボキシル基になるように変性したものであってもよい。ラクトン開環重合物は、結晶性の高い熱可塑性脂肪族ポリエステル樹脂である。ラクトン開環重合物は、市販品を用いてもよく、例えば、ダイセル株式会社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等(いずれも、融点=約60℃、Tg=約−60℃の高結晶性ポリカプロラクトン)が挙げられる。
【0027】
結晶性ポリエステル樹脂のうち、ポリヒドロキシカルボン酸は、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合することで得られるが、グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体)等のヒドロキシカルボン酸の2分子間もしくは3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方が分子量の調整の観点から好ましい。これらのうち、好ましい環状エステルは、結晶性の観点からL−ラクチド、及びD−ラクチドである。
開始剤として、グリコールを用いると、末端にヒドロキシル基を有するポリヒドロキシカルボン酸骨格が得られる。このような末端にヒドロキシル基を有するポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する化合物は、例えば、上記環状エステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール等の前記ジオール成分を触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物等が一般的であり、反応溶液中に0.1〜5000ppm程度の割合で添加して、100〜230℃で、好ましくは不活性雰囲気下に重合させることによって、ポリヒドロキシカルボン酸を得ることができる。ポリヒドロキシカルボン酸は、その末端を例えばカルボキシル基になるように変性したものであってもよい。
【0028】
ポリエーテル樹脂としては、結晶性ポリオキシアルキレンポリオール等が挙げられる。
結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法としては特に限定されず、従来より公知のいずれの方法でもよい。
例えば、キラル体のAOを、通常AOの重合で使用される触媒で開環重合させる方法(例えば、Journal of the American Chemical Society、1956年、第78巻、第18号、p.4787−4792 に記載)や、安価なラセミ体のAOを立体的に嵩高い特殊な化学構造の錯体を触媒として用いて、開環重合させる方法が知られている。
特殊な錯体を用いる方法としては、ランタノイド錯体と有機アルミニウムを接触させた化合物を触媒として用いる方法(例えば、特開平11−12353号公報に記載)やバイメタルμ−オキソアルコキサイドとヒドロキシル化合物をあらかじめ反応させる方法(例えば、特表2001−521957号公報に記載)等が知られている。
また、非常にアイソタクティシティの高いポリオキシアルキレンポリオールを得る方法として、サレン錯体を触媒として用いる方法(例えば、Journal of the American Chemical Society、2005年、第127巻、第33号、p.11566−11567 に記載)が知られている。
【0029】
例えば、キラル体のAOを用い、その開環重合時に、開始剤として、グリコール又は水を用いると、末端にヒドロキシル基を有するアイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールが得られる。アイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールは、その末端を例えば、カルボキシル基になるように変性したものであってもよい。なお、アイソタクティシティが50%以上であると、通常結晶性となる。
上記グリコールとしては、前記ジオール成分等が、カルボキシ変性するのに用いるカルボン酸としては、前記ジカルボン酸成分等が挙げられる。
【0030】
結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造に用いるAOとしては、炭素数3〜9のものが挙げられ、例えば以下の化合物が挙げられる。
炭素数3のAO[PO、1−クロロオキセタン、2−クロロオキセタン、1,2−ジクロロオキセタン、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン];炭素数4のAO[1,2−BO、メチルグリシジルエーテル];炭素数5のAO[1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ペンチレンオキサイド、3−メチル−1,2−ブチレンオキサイド];炭素数6のAO[シクロヘキセンオキサイド、1,2−へキシレンオキサイド、3−メチル−1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ヘキシレンオキサイド、4−メチル−2,3−ペンチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル];炭素数7のAO[1,2−へプチレンオキサイド];炭素数8のAO[スチレンオキサイド];炭素数9のAO[フェニルグリシジルエーテル]等である。
【0031】
これらのAOのうち、PO、1,2−BO、スチレンオキサイド及びシクロへキセンオキサイドが好ましい。更に好ましくはPO、1,2−BO及びシクロへキセンオキサイドである。重合速度の観点から、最も好ましくはPOである。
これらのAOは、単独で、又は、2種類以上を使用することができる。
【0032】
結晶性ポリオキシアルキレンポリオールのアイソタクティシティは、得られる結晶性ポリエーテル樹脂の高結晶化度の観点から70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上である。
【0033】
アイソタクティシティは、Macromolecules、vol.35、No.6、2389−2392頁(2002年)に記載の方法で算出することができ、以下のようにして求める。
測定試料約30mgを直径5mmの13C−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶剤を加えて溶解させ、分析用試料とする。ここで重水素化溶剤は、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶剤を適宜選択する。
【0034】
13C−NMRの3種類のメチン基由来の信号は、それぞれシンジオタクチック値(S)75.1ppm付近とヘテロタクチック値(H)75.3ppm付近とアイソタクチック値(I)75.5ppm付近に観測される。アイソタクティシティを次の計算式(1)により算出する。
アイソタクティシティ(%)=[I/(I+S+H)]×100 (1)
但し、式中、Iはアイソタクチック信号の積分値;Sはシンジオタクチック信号の積分値;Hはヘテロタクチック信号の積分値である。
【0035】
本発明における結晶性樹脂は、上記結晶性樹脂を結晶性部(b)とし、該結晶性部(b)と、これから述べる非晶質部(c)とを用いたブロックポリマーでもよい。非晶質部(c)の形成に用いられる樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂(ポリスチレン、スチレンアクリル系ポリマー等)、ポリエポキシ等の非晶質樹脂が挙げられるが、その限りではない。
ただし、上記結晶性部(b)の形成に用いられる樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂であることが好ましいので、加熱時に相溶することを考慮すると、非晶質部(c)の形成に用いられる樹脂もポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂及びそれらの複合樹脂であることが好ましい。さらに好ましくはポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂である。
【0036】
−非晶質樹脂の製法−
非晶質部(c)として用いられる非晶質樹脂としては、前記結晶性部(b)と同様に、ポリエステル樹脂は、アルコール(ジオール)成分と酸(ジカルボン酸)成分とから合成される重縮合ポリエステル樹脂であるのが好ましい。ただし、必要に応じて3官能以上のアルコール(3価以上のポリオール)成分や酸(3価以上のポリカルボン酸)成分を用いてもよい。またポリウレタン樹脂としては、アルコール(ジオール)成分とイソシアネート(ジイソシアネート)成分とから合成されるポリウレタン樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアルコール(3価以上のポリオール)成分やイソシアネート(3価以上のポリイソシアネート)成分を用いてもよい。ポリウレア樹脂としては、アミン(ジアミン)成分とイソシアネート(ジイソシアネート)成分とから合成されるポリウレア樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアミン(3価以上のポリアミン)成分やイソシアネート(3価以上のポリイソシアネート)成分を用いてもよい。ポリアミド樹脂としては、アミン(ジアミン)成分と酸(ジカルボン酸)成分とから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアミン(3価以上のポリアミン)成分や酸(3価以上のポリカルボン酸)成分を用いてもよい。ポリエーテル樹脂としては、アルコール(ジオール)成分にAOを付加して得られるポリオキシアルキレンポリオール等が挙げられる。
これら非晶質ポリエステル樹脂、非晶質ポリウレタン樹脂、非晶質ポリアミド樹脂、非晶質ポリウレア樹脂、及び非晶質ポリエーテル樹脂に用いられるモノマーは、前記ジオール成分、前記3価以上のポリオール成分、前記ジカルボン酸成分、前記3価以上のポリカルボン酸成分、前記ジイソシアネート成分、前記3価以上のポリイソシアネート成分、前記ジアミン成分、前記3価以上のポリアミン成分及び前記AOが具体例として挙げられ、非晶質樹脂となるものであれば、いかなる組合せでも構わない。
【0037】
−ブロックポリマーの製法−
結晶性部(b)と非晶質部(c)とで構成されるブロックポリマーは、それぞれの末端官能基の反応性を考慮して結合剤の使用、非使用を選択し、また使用の際は末端官能基にあった結合剤種を選択し、結晶性部(b)と非晶質部(c)を結合させ、ブロックポリマーとすることが出来る。
結合剤を使わない場合、必要により加熱減圧しつつ、結晶性部(b)を形成する樹脂の末端官能基と非晶質部(c)を形成する樹脂の末端官能基の反応を進める。特に酸とアルコールとの反応や酸とアミンとの反応の場合、片方の樹脂の酸価が高く、もう一方の樹脂の水酸基価やアミン価が高い場合、反応がスムーズに進行する。反応温度は180℃〜230℃で行うのが好ましい。
結合剤を使う場合は、種々の結合剤が使用できる。結合剤として、多価カルボン酸、多価アルコール、多価イソシアネート、多官能エポキシ、酸無水物等を用いて、脱水反応や、付加反応を行うことでブロックポリマーである結晶性樹脂が得られる。
多価カルボン酸及び酸無水物としては、前記ジカルボン酸成分及び3価以上のポリカルボン酸成分と同様のものが挙げられる。多価アルコールとしては、前記ジオール成分及び3価以上のポリオール成分と同様のものが挙げられる。多価イソシアネートとしては、前記ジイソシアネート成分及び3価以上のポリイソシアネート成分と同様のものが挙げられる。多官能エポキシとしては、ビスフェノールA型及びF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールA又はFのAO付加体のジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのAO付加体のジグリシジルエーテル、ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等)の各ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジ又はトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリ又はテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘプタ又はヘキサグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン・フェノール付加型グリシジルエーテル、メチレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、1,6−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0038】
結晶性部(b)と非晶質部(c)を結合させる方法のうち、脱水反応の例としては、結晶性部(b)、非晶質部(c)とも両末端アルコール樹脂で、これらを結合剤(例えば多価カルボン酸)で結合する反応が挙げられる。この場合、例えば、無溶剤下、反応温度180℃〜230℃で反応し、結晶性樹脂が得られる。
付加反応の例としては、結晶性部(b)、非晶質部(c)とも末端に水酸基を有する樹脂であり、これらを結合剤(例えば多価イソシアネート)で結合する反応や、また結晶性部(b)、非晶質部(c)の片方が末端に水酸基を有する樹脂で、もう一方が末端にイソシアネート基を有する樹脂の場合、結合剤を用いずにこれらを結合する反応が挙げられる。この場合、例えば、結晶性部(b)、非晶質部(c)ともに溶解可能な溶剤に溶解させ、これに必要であるなら結合剤を投入し、反応温度80℃〜150℃で反応し、結晶性樹脂が得られる。
【0039】
また結晶性樹脂として結晶性ビニル樹脂も好ましい樹脂として挙げられる。
結晶性ビニル樹脂としては、結晶性基を有するビニルモノマー(m)と、必要により後述する結晶性基を有しないビニルモノマーを構成単位として有するものが好ましい。
【0040】
ビニルモノマー(m)としては、アルキル基の炭素数が12〜50の直鎖アルキル(メタ)アクリレート(m1)(炭素数12〜50の直鎖アルキル基が結晶性基である)、及び前記結晶性部(b)の単位を有するビニルモノマー(m2)等が挙げられる。
結晶性ビニル樹脂としては、ビニルモノマー(m)として、アルキル基の炭素数が12〜50(好ましくは16〜30)の直鎖アルキル(メタ)アクリレート(m1)を含有するものが更に好ましい。
上記アルキル基の炭素数が12〜50の直鎖アルキル(メタ)アクリレート(m1)としては、各アルキル基がいずれも直鎖状の、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、及びベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本発明において、アルキル(メタ)アクリレートとは、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタアクリレートを意味し、以下同様の記載法を用いる。
【0041】
結晶性部(b)の単位を有するビニルモノマー(m2)において、結晶性部(b)の単位をビニルモノマーに導入する方法は、それぞれの末端官能基の反応性を考慮して、結合剤(カップリング剤)を使用するかしないかを選択し、また使用する場合は、末端官能基にあった結合剤を選択し、結晶性部(b)とビニルモノマーを結合させ、結晶性部(b)の単位を有するビニルモノマー(m2)とすることができる。
【0042】
結晶性部(b)の単位を有するビニルモノマー(m2)の作製時に結合剤を使わない場合、必要により加熱減圧しつつ、結晶性部(b)の末端官能基とビニルモノマーの末端官能基の反応を進める。特に末端の官能基がカルボキシル基と水酸基との反応や、カルボキシル基とアミノ基との反応の場合、片方の樹脂の酸価が高く、もう一方の樹脂の水酸基価やアミン価が高い場合、反応がスムーズに進行する。反応温度は180℃〜230℃で行うのが好ましい。
【0043】
結合剤を使う場合は、末端の官能基の種類に合わせて、種々の結合剤が使用できる。
結合剤の具体例、及び結合剤を用いたビニルモノマー(m2)の作製法としては、前記のブロックポリマーの製法と同様の方法が挙げられる。
【0044】
以下、非晶質樹脂として好ましい樹脂である、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂につき、詳細に説明する。
【0045】
非晶質樹脂として用いられるビニル樹脂は、結晶性基を有しないビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーである。ビニルモノマーとしては、下記(1)〜(10)が挙げられる。
(1)ビニル炭化水素:
(1−1)脂肪族ビニル炭化水素:
アルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン。
(1−2)脂環式ビニル炭化水素:
モノ−もしくはジ−シクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン等。
(1−3)芳香族ビニル炭化水素:
スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;インデン及びビニルナフタレン。
【0046】
(2)カルボキシル基含有ビニルモノマー及びその金属塩:
炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニルモノマー;及びこれらの金属塩。
【0047】
(3)スルホン基含有ビニルモノマー、ビニル硫酸モノエステル化物及びこれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;及びその炭素数2〜24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル、及び下記一般式(1−1)〜(1−3)で示される硫酸エステルもしくはスルホン酸基含有モノマー;ならびそれらの塩等。
【0048】
【化1】
【0049】
(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nが複数の場合、(AO)は同一でも異なっていてもよく、異なる場合はランダムでもブロックでもよい。Arはベンゼン環を示し、m及びnはそれぞれ独立して1〜50の整数を示し、R’はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基を示す。)
【0050】
(4)燐酸基含有ビニルモノマー及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類、例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸;及びこれらの塩。
【0051】
なお、上記(2)〜(4)の塩(有機酸の塩)としては、金属塩、アンモニウム塩、及びアミン塩(4級アンモニウム塩を含む)が挙げられる。金属塩を形成する金属としては、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Zn、Ba、Zr、Ca、Mg、Na、及びK等が挙げられる。これらの内、好ましくはアルカリ金属塩、及びアミン塩であり、更に好ましくは、ナトリウム塩及び炭素数3〜20の3級モノアミンの塩である。
【0052】
(5)ヒドロキシル基含有ビニルモノマー:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル等。
【0053】
(6)含窒素ビニルモノマー:
(6−1)アミノ基含有ビニルモノマー:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、これらの塩等。
(6−2)アミド基含有ビニルモノマー:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等。
(6−3)ニトリル基含有ビニルモノマー:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等。
(6−4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニルモノマー:
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニルモノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)。
(6−5)ニトロ基含有ビニルモノマー:
ニトロスチレン等。
【0054】
(7)エポキシ基含有ビニルモノマー:
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
【0055】
(8)ハロゲン元素含有ビニルモノマー:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等。
【0056】
(9)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類:
(9−1)ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1〜11のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニルモノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等。
(9−2)ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン等。
(9−3)ビニルケトン、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン。
(9−4)ビニルスルホン、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
【0057】
(10)その他のビニルモノマー:
(10−1)イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
(10−2)ジメチルシロキサン基を有するモノマー:
メタクリル変性シリコーンが好ましく、次式に示す構造を持つものが挙げられる。
(CHSiO((CHSiO)Si(CHR(但しaは、平均値で15〜45であり、Rはメタクリル基を含む有機変性基である。)
Rの例としては、COCOC(CH)=CHが挙げられる。
【0058】
(10−3)フッ素を含有するモノマー:
テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)等のパーフルオロオレフィン;パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PFAVE)、パーフルオロ(1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PFDD)、パーフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)(MMD)、パーフルオロブテニルビニルエーテル(PFBVE)等のパーフルオロビニルエーテル;ビニリデンフルオライド(VdF)、トリフルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン、パーフルオロ(ブチル)エチレン(PFBE)等の水素原子含有フルオロオレフィン;1,1−ジヒドロパーフルオロオクチルアクリレート(DPFOA)、1,1−ジヒドロパーフルオロオクチルメタクリレート(DPFOMA)、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート(PFOEA)、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(PFOEMA)、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(PFHEMA)、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート(PFBEMA)等のポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート;α−フルオロスチレン、β−フルオロスチレン、α,β−ジフルオロスチレン、β,β−ジフルオロスチレン、α,β,β−トリフルオロスチレン、α−トリフルオロメチルスチレン、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)スチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−α−メチルスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−β−メチルスチレン等のフルオロスチレン等が挙げられる。
【0059】
ビニルモノマーとして有機酸の塩を含有するビニル樹脂を用いる場合、この樹脂は、例えば、ビニルモノマーの少なくとも一部として、上記モノマー(2)〜(4)の塩のうち、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Zn、Ba、及びZrから選ばれる金属の塩を、1種以上用いることにより得られる。これらの有機酸の塩の、重合に用いる全モノマー中の使用量は、好ましくは5〜60重量%である。下限は更に好ましくは10重量%であり、上限は更に好ましくは50重量%である。
【0060】
ビニルモノマーの共重合体としては、上記(1)〜(10)の任意のモノマー同士を、2元又はそれ以上の個数で、任意の割合で共重合したポリマーが挙げられるが、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、及びこれらの共重合体の塩等が挙げられる。
【0061】
非晶質樹脂として用いられるポリエステル樹脂としては、ポリオールと、ポリカルボン酸又はその酸無水物又はその低級アルキルエステルとの重縮合物、及びこれらの重縮合物の金属塩等が挙げられる。ポリオールとしてはジオール(11)及び3〜8価又はそれ以上の価数のポリオール(12)が、ポリカルボン酸又はその酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、ジカルボン酸(13)及び3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸(14)及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステルが挙げられる。
ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/5、更に好ましくは1.5/1〜1/4、特に好ましくは1/1.3〜1/3である。
カルボキシル基の含有量を前記の好ましい範囲内とするために、水酸基が過剰なポリエステルをポリカルボン酸で処理してもよい。
【0062】
ジオール(11)としては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);上記アルキレングリコール又は脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(AO)〔EO、PO、BO等〕付加物(付加モル数1〜120);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオール等);及びポリブタジエンジオール等が挙げられる。
【0063】
ジオール(11)としては、上記のヒドロキシル基以外の官能基を有しないジオール以外に、他の官能基を有するジオール(11a)を用いてもよい。ヒドロキシル基以外の官能基を有するジオール(11a)としては、カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基もしくはスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等が挙げられる。
カルボキシル基を有するジオールとしては、ジアルキロールアルカン酸[炭素数6〜24のもの、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等]が挙げられる。
スルホン酸基もしくはスルファミン酸基を有するジオールとしては、スルファミン酸ジオール[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)又はそのAO付加物(AOとしてはEO又はPO等、AOの付加モル数1〜6):例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等];ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート等が挙げられる。
これらのヒドロキシル基以外の官能基を有するジオールの塩としては、該官能基と、例えば前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミン等)及び/又はアルカリ金属(ナトリウム等)との塩が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用である。
【0064】
3〜8価又はそれ以上の価数のポリオール(12)としては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖、及びメチルグルコシド);多価脂肪族アルコールのAO付加物(付加モル数2〜120);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマーの共重合物等];等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物であり、更に好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
【0065】
ジカルボン酸(13)としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等)及びアルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)等〕、炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケンジカルボン酸、及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸(14)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。
なお、ジカルボン酸(13)又は3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸(14)としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
【0066】
有機酸の塩の構成単位を含有するポリエステル樹脂を用いる場合、この樹脂は、例えば、COOHの残基を有するポリエステル(酸価が好ましくは1〜100、更に好ましくは5〜50)を合成し、その少なくとも1部のCOOH基を、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Zn、Ba、及びZrから選ばれる少なくとも1種の金属の塩とすることにより得られる。
金属塩とする方法としては、例えば、COOH基を有するポリエステルと該当する金属の水酸化物とを反応することにより得られる。
【0067】
非晶質樹脂として用いられるポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート(15)と活性水素含有化合物{水、ポリオール[前記ジオール(11)〔ヒドロキシル基以外の官能基を有するジオール(11a)を含む〕、及び3〜8価又はそれ以上の価数のポリオール(12)]、ポリカルボン酸[ジカルボン酸(13)、及び3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸(14)]、ポリオールとポリカルボン酸の重縮合により得られるポリエステルポリオール、炭素数6〜12のラクトンの開環重合体、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)、及びこれらの併用等}の重付加物、並びにポリイソシアネート(15)と活性水素含有化合物を反応させてなる末端イソシアネート基プレポリマーと、該プレポリマーのイソシアネート基に対して等量の1級及び/又は2級モノアミン(18)とを反応させて得られる、アミノ基含有ポリウレタン樹脂が挙げられる。
ポリウレタン樹脂中のカルボキシル基の含有量は、0.1〜10重量%が好ましい。
【0068】
ポリイソシアネート(15)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0069】
上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。
上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
上記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
また、上記ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等が挙げられる。
具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI等のポリイソシアネートの変性物及びこれらの2種以上の混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
これらのうちで好ましいものは6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、及び炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、特に好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIである。
【0070】
ポリアミン(16)の例としては、
脂肪族ポリアミン類(炭素数2〜18):〔1〕脂肪族ポリアミン{炭素数2〜6アルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、ポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等〕};〔2〕これらのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体〔ジアルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等〕;〔3〕脂環又は複素環含有脂肪族ポリアミン〔3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等〕;〔4〕芳香環含有脂肪族アミン類(炭素数8〜15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等)、脂環式ポリアミン(炭素数4〜15):1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等、
複素環式ポリアミン(炭素数4〜15):ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等、
芳香族ポリアミン類(炭素数6〜20):〔1〕非置換芳香族ポリアミン1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4´−又は4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等;〔2〕核置換アルキル基(メチル、エチル、n−又はi−プロピル、ブチル等の炭素数1〜4アルキル基)を有する芳香族ポリアミン、例えば2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルスルホン等、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物;〔3〕核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基等)を有する芳香族ポリアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチル−5,5´−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3´−ジクロロベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフィド、4,4´−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等〕;〔4〕2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン〔上記〔1〕〜〔3〕の芳香族ポリアミンの−NHの一部又は全部が−NH−R´(R´はアルキル基例えばメチル,エチル等の低級アルキル基)で置き換ったもの〕〔4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等〕、ポリアミドポリアミン:ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等、ポリエーテルポリアミン:ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等が挙げられる。
【0071】
ポリチオール(17)としては、炭素数2〜36のアルカンジチオール(エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール等)等が挙げられる。
【0072】
1級及び/又は2級モノアミン(18)としては、炭素数2〜24のアルキルアミン(エチルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン等)等が挙げられる。
【0073】
エポキシ樹脂としては、ポリエポキシド(19)の開環重合物、ポリエポキシド(19)と活性水素基含有化合物(T){水、ポリオール[前記ジオール(11)及び3価以上のポリオール(12)]、ジカルボン酸(13)、3価以上のポリカルボン酸(14)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等}との重付加物、又はポリエポキシド(19)とジカルボン酸(13)又は3価以上のポリカルボン酸(14)の酸無水物との硬化物等が挙げられる。
本発明に用いるポリエポキシド(19)は、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されない。ポリエポキシド(19)として好ましいものは、硬化物の機械的性質の観点から分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。ポリエポキシド(19)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、通常65〜1000であり、好ましいのは90〜500である。エポキシ当量が1000を超えると、架橋構造がルーズになり硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等の物性が悪くなり、一方、エポキシ当量が65未満のものを合成するのは困難である。
【0074】
ポリエポキシド(19)の例としては、芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環系ポリエポキシ化合物、脂環族系ポリエポキシ化合物あるいは脂肪族系ポリエポキシ化合物が挙げられる。芳香族系ポリエポキシ化合物としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル体及びグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、並びに、アミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−tret−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、又はホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、及びレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体等が挙げられる。多価フェノールのグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。更に、本発明において前記芳香族系として、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマー及びビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキシド又はプロピレンオキシド)付加物のジグリシジルエーテル体も含む。複素環系ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる。脂環族系ポリエポキシ化合物としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。また、脂環族系ポリエポキシ化合物としては、前記芳香族系ポリエポキシド化合物の核水添化物も含む。脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、及びグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル及びポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート等が挙げられる。グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。また、本発明において脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。これらのうち、好ましいのは、脂肪族系ポリエポキシ化合物及び芳香族系ポリエポキシ化合物である。本発明のポリエポキシドは、2種以上併用しても差し支えない。
【0075】
結晶性樹脂及び非晶質樹脂の製造方法は特に限定されず、上述したモノマーの種類及び量等を適宜設定することにより、融点又は軟化点を有する所望の樹脂を製造することができる。
【0076】
本発明の分散液(L)の製造方法は、分散質(A)と溶剤(S)と圧縮性流体(F)とを含む混合物(X)を、体積膨張させる工程を含む、分散質(A)を含む粒子(C)が溶剤(S)に分散された分散液(L)の製造方法であって、分散質(A)の融点又は軟化点以下の温度で分散質(A)が溶剤(S)及び/又は圧縮性流体(F)に溶解した状態で、分散質(A)の融点又は軟化点以下で混合物(X)を体積膨張させること、並びに粒子(C)のメジアン径が3.0μm以下であることを特徴とする。
【0077】
本発明において、溶剤(S)は、例えばケトン溶剤(アセトン、及びメチルエチルケトン等)、エーテル溶剤(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、及び環状エーテル等)、エステル溶剤(酢酸エチル等の酢酸エステル、ピルビン酸エステル、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル、及び乳酸エステル等)、アミド溶剤(ジメチルホルムアミド等)、アルコール溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びフッ素含有アルコール等)、芳香族炭化水素溶剤(トルエン、キシレン等)、及び脂肪族炭化水素溶剤(オクタン、及びデカン等)、水等が挙げられ、これらの混合溶剤であっても構わない。
【0078】
本発明において、粒子(C)は、分散質(A)を含む粒子である。
【0079】
本発明において、圧縮性流体とは、常温で常圧以上の圧力により圧縮されている流体のことを意味する。圧縮性流体(F)の圧力は1MPa以上であることが好ましく、より好ましくは2MPa以上、さらに好ましくは3MPa以上、特に好ましくは4MPa以上である。
本発明において、圧縮性流体(F)は、メタン、エチレン、代替フロン等でもよいが、安全性や取り扱いの容易さ等の点から、好ましくは二酸化炭素であり、更に好ましくは液体二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素又は超臨界二酸化炭素が好ましい。
本発明において、液体二酸化炭素とは、二酸化炭素の温度軸と圧力軸とで表す相図上において、二酸化炭素の三重点(温度=−57℃、圧力0.5MPa)と二酸化炭素の臨界点(温度=31℃、圧力=7.4MPa)を通る気液境界線、臨界温度の等温線、及び固液境界線に囲まれた部分の温度・圧力条件である二酸化炭素を表し、超臨界二酸化炭素とは、臨界温度以上の温度・圧力条件である二酸化炭素を表す(ただし、圧力は、2成分以上の混合ガスの場合、全圧を表す)。
【0080】
本発明において混合物(X)は、分散質(A)と溶剤(S)と圧縮性流体(F)を含む混合物である。
体積膨張させる前の混合物(X)において、分散質(A)は液状であり、分散質(A)の融点又は軟化点以下の温度で分散質(A)が溶剤(S)及び/又は圧縮性流体(F)に溶解している。また本発明においては、分散質(A)の融点又は軟化点以下で混合物(X)を体積膨張させる。
【0081】
分散質(A)が融点を有している場合、以下の条件1を満たすことが好ましい。
条件1
T3<T1<T2<T0
T0:分散質(A)の融点
T1:分散液(L)をDSC降温測定した際の、分散質(A)由来の発熱ピーク温度
T2:体積膨張させる直前の混合物(X)の温度
T3:混合物(X)を体積膨張した直後の分散液(L)の温度
【0082】
条件1を満たさない場合、体積膨張後の温度が高く、分散質(A)が析出不充分であったり、析出して形成された粒子(C)が不安定であったりする。また混合物(X)の体積膨張する前の分散質(A)の状態が液状でなく、析出した状態である場合、微細な粒子(C)の分散液を得難くなる場合もある。
【0083】
更に、温度T2における混合物(X)において、分散質(A)が溶剤(S)及び/又は圧縮性流体(F)に溶解していることがより好ましい。
また、別の形態として、混合物(X)においては、分散質(A)の融点以下の温度で分散質(A)が溶融している(液状である)ことが好ましく、分散質(A)が溶剤(S)及び圧縮性流体(F)からなる群より選択される少なくとも1種の液と液液二相分離していることが好ましい。また、温度T2における混合物(X)において、分散質(A)が溶融し(液状であり)、分散質(A)と溶剤(S)又は圧縮性流体(F)とが液液二相分離していることがより好ましい。このような混合物(X)として、例えば、分散質(A)の融点以下の温度(好ましくは温度T2)の混合物(X)において、分散質(A)が溶剤(S)に溶解し、圧縮性流体(F)と液液二相分離している形態、分散質(A)が圧縮性流体(F)に溶解し、溶剤(S)と液液二相分離している形態が挙げられる。混合物(X)においては、分散質(A)の融点以下の温度(好ましくは温度T2)で分散質(A)が圧縮性流体(F)に溶解し、溶剤(S)と液液二相分離していることが特に好ましい。
本発明においては、混合物(X)を体積膨張する前の分散質(A)の状態が上記の状態であればよく、他に分散剤や物性値(粘度、拡散係数、誘電率、溶解度、界面張力等)を調整するために後述する不活性気体等を併用してもよい。
【0084】
混合物(X)において、以下の条件2を満たすことが、特に好ましい。
条件2
T3+10<T1
T1:分散液(L)をDSC降温測定した際の、分散質(A)由来の発熱ピーク温度
T3:混合物(X)を体積膨張した直後の分散液(L)の温度
上記DSC降温測定は、以下の条件で行う。
示差走査熱量計{例えば、セイコー電子工業社製、DSC210}を用いて、測定試料を200℃まで昇温してから、降温速度10℃/分で0℃まで冷却して行う。T1は、この際に現れる分散質(A)由来の発熱の最大ピーク温度である。
【0085】
混合物(X)に含まれる分散質(A)が非晶質材料である場合、混合物(X)においては、分散質(A)の軟化点以下の温度で分散質(A)が溶剤(S)及び/又は圧縮性流体(F)に溶解している。また、別の形態として、混合物(X)において、分散質(A)が溶剤(S)及び圧縮性流体(F)からなる群より選択される少なくとも1種の液と液液二相分離していることが好ましく、混合物(X)において分散質(A)と溶剤(S)又は圧縮性流体(F)とが液液二相分離していることがより好ましい。このような混合物(X)として、例えば、分散質(A)の軟化点以下の温度の混合物(X)において、分散質(A)が溶剤(S)に溶解し、圧縮性流体(F)と液液二相分離している形態、分散質(A)が圧縮性流体(F)に溶解し、溶剤(S)と液液二相分離している形態が挙げられる。混合物(X)においては、分散質(A)の軟化点以下の温度で分散質(A)が圧縮性流体(F)に溶解し、溶剤(S)と液液二相分離していることが特に好ましい。
本発明においては、混合物(X)を体積膨張する前の分散質(A)の状態が上記の状態であればよく、他に分散剤や物性値(粘度、拡散係数、誘電率、溶解度、界面張力等)を調整するために不活性気体等を併用してもよい。
【0086】
混合物(X)には、分散剤が含まれていてもよく、分散剤としては、特に限定はなく、公知のものを使用することができ、分散質(A)との相溶性の高いユニットと、溶剤(S)との相性の高いユニットがブロック体として存在するポリマーやオリゴマー等が挙げられる。
分散質(A)がワックスのように炭化水素比率が高い場合、炭化水素との相溶性の高いユニットと樹脂との相溶性の高いユニットのうち一方に他方がグラフトしているポリマーもしくはオリゴマー〔例えば、ワックスの存在下、ビニルモノマーを重合させて得られるもの〕、不飽和炭化水素(エチレン、プロピレン、ブテン、スチレン、及びα−メチルスチレン等)と、α,β−不飽和カルボン酸又はそのエステルもしくはその無水物(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、これらのエステル及び無水イタコン酸等)との共重合体、ビニル樹脂とポリエステル樹脂とのブロックもしくはグラフト共重合体等が挙げられる。
【0087】
不活性気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気等の不活性気体等が挙げられる。圧縮性流体(F)として二酸化炭素を用いる場合、二酸化炭素と他の不活性気体の合計中の二酸化炭素の重量分率は、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
【0088】
本発明において得られる分散液(L)に含まれる粒子(C)のメジアン径は、3.0μm以下であり、好ましくは0.05μm〜3.0μmであり、より好ましくは0.06μm〜1.0μm、更に好ましくは0.07μm〜0.7μm、特に好ましくは0.08μm〜0.4μmである。一方メジアン径が3.0μmより大きい場合、例えば分散液(L)を塗料に配合して塗布したときのコート面の平滑性が損なわれる問題が発生することや、また粒子中に粒子(C)を含有した樹脂粒子を製造する場合、樹脂粒子の粒度分布の悪化が発生する。メジアン径とは、体積分布に基づくメジアン径である。メジアン径はレーザー式粒度分布測定装置(LA−920:堀場製作所製)によって測定される。なお、粗大粒子量も同じ装置を用いて測定できる。
【0089】
本発明により得られる分散液(L)中の粒子(C)の粗大粒子量は、好ましくは1.0体積%以下であり、より好ましくは0.5体積%以下、更に好ましくは0.1体積%以下、特に好ましくは0.01体積%以下である。粗大粒子量が1体積%を超える場合、例えば分散液(L)を塗料に配合して塗布したときのコート面の平滑性が損なわれる問題が発生することや、また粒子中に粒子(C)を含有させた樹脂粒子を製造する際には樹脂粒子の粒度分布の悪化が発生する。
なお粗大粒子とは(メジアン径×3)μm以上の粒子のことである。ただし(メジアン径×3)≦1.0の場合は1.0μm以上の粒子を粗大粒子とする。
【0090】
本発明により得られる分散液(L)では、分散液(L)中の粒子(C)の保管中における安定性が良好である。
安定性が良好とは、保管中の粒子のメジアン径の変化が無く、粗大粒子量の増加がないことを意味する。
【0091】
本発明により得られる分散液(L)中の粒子(C)の保管中におけるメジアン径の変化率としては、3μmを超えない範囲で100%以下であり、好ましくは50%以下、より好ましくは25%以下、特に好ましくは10%以下である。変化率が100%を超える場合、粒子中に粒子(C)を含有した樹脂粒子を製造する場合、製造が不安定となり、粒度分布の悪化が発生する。
【0092】
また、本発明の分散液(L)における粗大粒子量の増加量としては、粗大粒子量の絶対値が1体積%を超えない範囲で0.5体積%以下、より好ましくは0.1体積%以下、更に好ましくは0.01体積%以下である。増加量が少ないほど、保管中における分散液が安定であり、増加量が0.5体積%を超える場合、粒子中に粒子(C)を含有した樹脂粒子の製造する場合、樹脂粒子の製造が不安定となり、粒度分布の悪化が発生する。
【0093】
保管中の粒子の安定性としては、分散液を10℃下で24時間静置し、静置前後でのメジアン径及び粗大粒子量を上記の方法で測定し、メジアン径の変化率及び粗大粒子の増加量を算出する。
【0094】
メジアン径の変化率は以下の通りの計算で求める。
計算式1 B/A×100−100=メジアン径の変化率(%)
測定値A:10℃、24時間静置した分散液のメジアン径
測定値B:製造後一時間以内の分散液中のメジアン径
【0095】
粗大粒子量の増加率は以下の通りの計算で求める。
計算式2 C−D=粗大粒子量の増加率(%)
測定値C:10℃、24時間静置した分散液中の粗大粒子量
測定値D:製造後一時間以内の分散液中の粗大粒子量
本発明の分散液(L)の製造方法によれば、分散液を10℃下で24時間静置し、静置前後でのメジアン径及び粗大粒子量を上記の方法で測定し、メジアン径の変化率及び粗大粒子の増加量を算出した場合に、分散液に含まれる粒子(C)のメジアン径の変化率及び粗大粒子の増加量が上述した範囲となる分散液を製造することができる。
【0096】
本発明の分散液の製造方法においては、分散質(A)と溶剤(S)と圧縮性流体(F)との混合物(X)を体積膨張することによって分散液(L)を得ることができる。
本発明の分散液の製造方法においては、分散質(A)の融点又は軟化点以下の温度で分散質(A)が溶剤(S)及び/又は圧縮性流体(F)に溶解した状態で、分散質(A)の融点又は軟化点以下で混合物(X)を体積膨張させる。
本発明の分散液の製造方法においては、分散質(A)の融点又は軟化点以下の温度の混合物(X)を体積膨張させる。この分散質(A)の融点又は軟化点以下の温度の混合物(X)において、分散質(A)は溶剤(S)及び/又は圧縮性流体(F)に溶解した状態である。
【0097】
なお圧縮性流体(F)として二酸化炭素が用いられる際は、分散質(A)にフッ素、シリコーン基、エーテル基、カルボニル基及び炭化水素鎖からなる群より選択される少なくとも1種が含有されることが好ましい。
【0098】
混合物(X)における分散質(A)と圧縮性流体(F)と溶剤(S)との体積比率は、体積膨張後の分散液(L)が目的の温度になるならば、いかなる比率であっても構わないが、圧縮性流体(F)の比率が高いほど体積膨張後の温度が下がり、粒子(C)の粒径が小さくまた安定な分散液(L)が得られやすい。また、圧縮性流体(F)が分散質(A)にとって良溶媒であるならば圧縮性流体(F)の比率が高いほど粘度が下がり、粒子(C)の粒径が小さくまた安定な分散液(L)が得られやすい。
【0099】
混合物(X)における分散質(A)と圧縮性流体(F)と溶剤(S)の混合は、分散質(A)が液状であり、撹拌されて均一溶解、又は均一分散されているなら充分である。ただし、不均一であるなら、分散液(L)に温度分布が発生し、粒子(C)の粒度分布が悪化する。
【0100】
分散質(A)が融点を有する場合の分散液(L)の製造方法について詳細に説明する。
本発明の分散液の製造方法においては、分散質(A)の融点以下の温度で混合物(X)を体積膨張して、分散質(A)の粒子(C)が、溶剤(S)中に分散された分散液(L)を得る。本発明の方法は、混合物(X)を調製する工程を含んでもよい。混合物(X)の調製方法は特に限定されず、例えば、分散質(A)、溶剤(S)及び圧縮性流体(F)を混合することにより調製することができる。
また、好ましい形態としては、分散質(A)の融点(T0)以上の温度(液状を維持できる温度以上)で、溶剤(S)と分散質(A)と、圧縮性流体(F)を混合し、混合物(X)を作製する。圧縮性流体(F)として二酸化炭素を用いる場合には、圧力が0.5MPa以上である二酸化炭素を用いることが好ましい。
その後、混合物(X)を分散質(A)の融点以下の温度(T2)に温調し、その後体積膨張して圧縮性流体(F)を気化させて除去することで、分散質(A)の析出温度(T1)以下に冷却(T3)することで、分散質(A)が、溶剤(S)中に粒子(C)として分散された分散液(L)を得る。
【0101】
分散質(A)が融点を有さない場合には、分散質(A)の軟化点以下の温度で混合物(X)を体積膨張して、分散質(A)の粒子(C)が、溶剤(S)中に分散された分散液(L)を得る。
分散質(A)として融点を有さないもの(非晶質材料)を使用する場合の混合物(X)も特に限定されないが、例えば、分散質(A)の軟化点以上の温度(液状を維持できる温度以上)で、溶剤(S)と分散質(A)と圧縮性流体(F)とを混合し、混合物(X)を作製することが好ましい。圧縮性流体(F)として二酸化炭素を用いる場合には、圧力が0.5MPa以上である二酸化炭素を用いることが好ましい。
その後、混合物(X)を分散質(A)の軟化点以下の温度に温調し、その後体積膨張して圧縮性流体(F)を気化させて除去することで、分散質(A)の析出温度以下に冷却し、分散質(A)が、溶剤(S)中に粒子(C)として分散された分散液(L)を得ることができる。
【0102】
上記のように分散質(A)と溶剤(S)の混合について、取扱い安さの観点から予め溶剤と混ぜ合わされるほうが好ましい。溶剤(S)の量は、分散質(A)に対して1〜100重量%使用するのが好ましく、更に好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜60重量%である。この範囲内において分散液を、取り扱いしやすい粘度で得ることができる。
分散質(A)と溶剤(S)を混合し、分散質(A)が析出しない温度以上の混合物〔好ましくは分散質(A)の溶剤(S)溶液〕とする手順としては特に制限はなく、常温の分散質(A)と溶剤(S)を混合した後に加熱しても、加熱した分散質(A)あるいは溶剤(S)にもう一方を導入しても、どちらでもよい。なお、前記の分散剤等の添加剤を用いる場合、この混合物中に添加するのが好ましい。
【0103】
本発明の分散液の製造方法においては、分散質(A)を含む粒子(C)の一次粒子がすでに狙いのサイズであり、二次凝集をしているだけの場合は、分散質(A)を液状にする必要はなく、そのためこの場合は更に上記の方法以外として、例えば圧縮性流体(F)として二酸化炭素を用いる場合には、圧力が0.5MPa以上である圧縮性流体(F)を混合し、その後、急激な減圧膨張し、共に圧縮性流体(F)を気化させて溶剤(S)と混合されることで、分散質(A)が、溶剤(S)中に分散された分散液(L)を得る。
なお溶剤(S)は上記工程のどの段階で混ぜ合わされてもよく、予め分散質(A)と混合されていても良い。
【0104】
体積膨張させる手段としては、圧縮性流体の加熱操作や減圧操作があるが、効率よく粉砕、解砕するためには減圧操作による体積膨張が好ましい。
混合物(X)を体積膨張する直前の圧力としては、小粒径かつ粗大粒子の少ない分散液を得るという観点から好ましくは2〜15MPaであり、更に好ましくは2.5〜12MPaであり、特に好ましくは3.5〜10MPaである。また、混合物(X)を体積膨張後の圧力としては、小粒径かつ粗大粒子の少ない分散液を得るという観点から好ましくは−0.1〜2MPaであり、更に好ましくは0〜1MPaであり、特に好ましくは0.1〜0.5MPaである。
【0105】
分散質(A)と溶剤(S)との混合物〔以下、(A)含有混合物と呼ぶ〕と、例えば圧力が0.5MPa以上である二酸化炭素等の圧縮性流体(F)を混合する方法は特に限定されないが、好ましい具体的な方法としては、(A)含有混合物と圧縮性流体(F)の混合を耐圧式の容器で行う場合、(A)含有混合物を耐圧式の容器に仕込み、(A)含有混合物の温度が低く分散質(A)が析出している場合は、加熱し分散質(A)を液状にする。分散質(A)の融点以上の温度で分散質(A)を融解させることができる。分散質(A)が完全に融解した後、分散質(A)の融点以下の温度に調整しながら、耐圧容器に備え付けたポンプ等の加圧手段により、所望の圧力に達するまで圧縮性流体(F)を容器内に導入し、(A)含有混合物と混合する。圧縮性流体(F)を導入することで(A)含有混合物の体積が膨張するため、(A)含有混合物の初期仕込み量は、容器の容積に対して5〜70体積%が好ましい。
【0106】
本発明の分散液の製造方法に用いる耐圧容器は、例えば圧縮性流体(F)として二酸化炭素等を用いる場合には、0.5MPa以上の最大圧力に耐え得るものであり、容器内で(A)含有混合物と圧縮性流体(F)を攪拌混合できる設備を備え付けたもので、更に容器下部に(A)含有混合物取り出し用のノズルを備えているものが好ましい。ノズルは液状物質が通ることが出来るものであるならいかなるノズルでもかまわず、例えば口径0.1〜5.0mm程度のニードルバルブあるいはボールバルブの開閉でも、圧縮性流体(F)混合後の(A)含有混合液を高圧状態から大気中に一気に噴出させることができる。
【0107】
圧縮性流体(F)の導入後、しばらく攪拌することで圧縮性流体(F)を充分(A)含有混合物に浸透させる。攪拌時間は、(A)含有混合物が圧縮性流体(F)全体に充分混合される、最低限度の時間でよく、10〜30分程度攪拌するのが好ましい。圧縮性流体(F)を充分混合することにより(A)含有混合物の粘度を下げ、次工程の減圧膨張による分散質(A)の微粒子化を効果的に行うことができる。
また、(A)含有混合物と圧縮性流体(F)の攪拌混合時の温度は、過昇温による分散質の凝集防止や、吐出時の(A)含有混合物の温度調整等の点から、好ましくは20〜180℃、より好ましくは30〜120℃、更に好ましくは35〜100℃、特に好ましくは40〜85℃である。
【0108】
攪拌後、容器下部ノズルよりバルブを開けて(A)含有混合物を一気に大気圧まで減圧膨張させる。これにより(A)含有混合物の温度が急激に下がり、分散質(A)が析出する温度以下となり溶解した分散質(A)が析出する。更に圧縮性流体(F)を気化させて除くことで、分散質(A)が溶剤(S)中に分散された分散液(L)が得られる。この減圧膨張により(A)含有混合物の温度を充分に下げ、分散質(A)を充分に析出させるために、減圧膨張前の(A)含有混合物の温度及び圧力は適正な条件に設定されるべきで、これはエンタルピー線図から設定されることが好ましい。また、(A)含有混合物を一気に減圧膨張させる方法としては、ノズルに取り付けたニードルバルブあるいはボールバルブの開閉により、高圧下から吐出させるのが好ましい。
【0109】
(A)含有混合物と圧縮性流体(F)の混合は、上記の耐圧容器内で行う方法以外に、ラインブレンド(インライン混合)方法により連続的に行うことが、生産性の向上、品質の一定化、製造スペースの縮小化等の面から好ましい。ラインブレンド方法に用いる装置の具体例として、スタティックミキサー、インラインミキサー、ラモンドスーパーミキサー、スルザーミキサーのような静止型インライン混合機や、バイブミキサー、ターボミキサーのような撹拌型インライン混合機等が挙げられる。装置のミキサー部分の長さ及び配管径、ミキシング装置(エレメント)数に何ら限定はないが、例えば圧縮性流体(F)として二酸化炭素を用いる場合等には、0.5MPa以上の最大圧力に耐え得るものでなければならない。
ラインブレンド方法に用いる装置の出口には、耐圧容器と同様の、混合物取り出し用のノズルを備えているのが好ましい。
【0110】
(A)含有混合物と圧縮性流体(F)の混合方法としては、まず、圧縮性流体(F)をラインブレンドを行う装置内に導入して圧力が0.5MPa以上となるよう調整し、次いで(A)含有混合物を圧縮性流体(F)に導入するのが好ましい。上記圧縮性流体(F)の圧力は、耐圧容器内で行う方法と同様の圧力が好ましい。
ラインブレンドを行う温度は、前記の耐圧容器を用いて混合する場合と同様である。また、装置内の滞留時間は、混合が充分行われるのであれば特に限定されないが、0.1〜1800秒が好ましい。
ラインブレンド後の混合物を大気圧まで減圧膨張させ、圧縮性流体(F)を気化させて除くことで、分散質(A)を含む粒子(C)が溶剤(S)中に分散された分散液(L)が得られる。
【0111】
このようなラインブレンド方法に用いる装置の一例について図面を用いて説明する。
図1は、本発明における、ラインブレンドによる混合方法での分散液の作製に用いる実験装置のフローチャートである。なお、以下では圧縮性流体(F)として二酸化炭素を用いる場合を例としているが、本発明における圧縮性流体(F)はこれに限定されない。
分散質(A)と溶剤(S)と圧縮性流体(F)とを混合する方法としては、例えば、まず圧縮性流体(F)を、二酸化炭素ボンベB1から二酸化炭素ポンプP2を通じてラインブレンドを行う装置内(スタティックミキサーM1)に導入し、例えば二酸化炭素が液状又は超臨界状態となる圧力(0.5MPa以上)及び温度となるよう調整し、次いで分散質(A)と溶剤(S)とを含む溶液を、溶解槽T1から溶液ポンプP1を通じて液状又は超臨界状態の二酸化炭素に導入するのが好ましい。次いで、スタティックミキサーM1で分散質(A)と溶剤(S)と圧縮性流体(F)とを、圧力及び温度を維持しながらラインブレンドして混合物(X)を得る。分散質(A)と溶剤(S)とを含む溶液は、溶解槽T1に分散質(A)と溶剤(S)とを仕込み、密閉して混合することにより調製することができる。この混合の際には、撹拌及び加熱を行うことが好ましい。
次に、分散液受け槽T2に通じるバルブV1を開くことによりラインブレンド後の混合物(X)を大気圧まで減圧膨張させ、圧縮性流体(F)を気化させて除くことで、分散質(A)を含む粒子(C)が溶剤(S)に分散された分散液(L)が得られる。
【0112】
また、本発明の分散液の製造方法は、分散質(A)と圧縮性流体(F)をラインブレンドにより混合する工程を含む方法であることが好ましい。
【0113】
また、混合物(X)が調製される耐圧容器から混合物(X)を目的の圧力に調製された別の受け容器へ移送する場合は、混合物(X)を移送できる口径のノズルと受け容器を同じ圧力に保つレギュレーターが必要である。ただし、後者の場合、受け容器の圧力を大気圧とするのであれば、レギュレーターは不要である。
【0114】
本発明の分散液の製造方法で製造された分散液(L)も、本発明に包含される。
本発明の分散液は、上記分散質(A)を含む粒子(C)が溶剤(S)に分散されているものであり、該粒子(C)のメジアン径は3.0μm以下である。
本発明の分散液の用途は特に限定されず、分散質(A)及び溶剤(S)の種類等に応じて種々の用途に使用することができるものである。例えば、塗料、インキ、化粧品、食品、医薬品その他の各種の用途に好適に使用することができる。
【実施例】
【0115】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部を示す。
【0116】
<製造例1> 分散剤の製造
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、キシレン454部、低分子量ポリエチレン〔三洋化成工業製 サンワックス LEL−400:軟化点128℃〕150部を投入し、窒素置換後170℃に昇温して充分溶解し、スチレン716部、アクリル酸ブチル46部、アクリロニトリル88部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34部、及びキシレン119部の混合溶液を、170℃で3時間で滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、[分散剤1]を得た。[分散剤1]の重量平均分子量は5200であった。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定、以下Mwと略記する。GPCの測定条件を、以下に示す。以降の製造例についても同様に測定した。
(GPC測定条件)
装置(一例) :東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例):TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 :100μL
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLY STYRENE)12点(分子量 500、1050、2800、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)
【0117】
<製造例2>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール16部、セバシン酸16部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.05部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5〜20mmHgの減圧下に反応させ、Mwが6000になった時点で取り出し[結晶性樹脂1]を得た。[結晶性樹脂1]の融点は65℃であった。
【0118】
<製造例3>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール159部、ドデカン二酸286部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に5〜20mmHgの減圧下に反応させ取り出した。取り出し[結晶性樹脂2]を得た。[結晶性樹脂2]の融点は65℃、Mwが10000であった。
【0119】
<製造例4>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール100部、イソフタル酸30部、テレフタル酸70部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に5〜20mmHgの減圧下に反応させ取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し分散質[結晶性樹脂3]を得た。[結晶性樹脂3]の融点は99℃、Mwが6000であった。
【0120】
<製造例5>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、イソフタル酸100部、1,6−ヘキサンジオール100部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に5〜20mmHgの減圧下に反応させ取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し[結晶性樹脂4]を得た。[結晶性樹脂4]の融点は77℃、Mwが5430であった。
【0121】
<製造例6>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸15部、アジピン酸2部、1,4−ブタンジオール16部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.05部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、更に5〜20mmHgの減圧下に反応させ、取り出し[結晶性樹脂5]を得た。[結晶性樹脂5]の融点は58℃、Mwがおよそ6000であった。
【0122】
<製造例7>
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器に、1,4−ブタンジオール66部、1,6−ヘキサンジオール86部、及びメチルエチルケトン(MEK)40部を仕込んだ。この溶液にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)248部を仕込み80℃で5時間反応し、[結晶性樹脂6]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂6]の融点は57℃、Mwが9700であった。
【0123】
<製造例8>
攪拌装置及び脱溶剤装置のついた反応容器に、メチルエチルケトン1000部、1,6−ヘキサンジオール430部、ヘキサメチレンジイソシアネート570部を投入し、80℃で7時間反応を行い、80℃、20kPaで脱溶剤し、[結晶性樹脂7]を得た。[結晶性樹脂7]はMw7,500、融点75℃であった。
【0124】
<製造例9>
攪拌装置及び脱溶剤装置のついた反応容器に、メチルエチルケトン1000部、1,6−ヘキサンジオール210部、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸からなるポリエステルジオール(豊国製油(株)製、商品名「HS 2H−200S」、水酸基価56)500部、ヘキサメチレンジイソシアネート290部を投入し、80℃で7時間反応を行い、80℃、20kPaで脱溶剤し、[結晶性樹脂8]を得た。[結晶性樹脂8]はMw9,000、融点60℃であった。
【0125】
<製造例10>
1,9−ノナンジオール50部、及びジエチレングリコール38部を反応容器内に入れ、攪拌下ナトリウムメトキシドの25重量%メタノール溶液0.1部を添加し、160℃に昇温した。昇温終了後、ジメチルカーボネート51部を滴下し、滴下終了から5時間後80℃まで冷却した。触媒除去のために、吸着剤を添加し1時間攪拌した後、濾過を行った。得られた生成物を反応容器に戻し、240℃に昇温させ、0.5kPaに減圧し、未反応物及び溶剤を留去することにより、ポリカーボネートからなる[結晶性樹脂9]を得た。[結晶性樹脂9]は、Mw6200、融点54℃であった。
【0126】
<製造例11>
反応容器に、メチルエチルケトン1000部、1,4−ブタンジオール19部、及びヘキサメチレンジイソシアネート54部を投入し、80℃で7時間反応を行った後、1,6−ヘキサンジオールを成分とする結晶性ポリカーボネート(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「PCDL T6002」、水酸基価56)340部を投入し、80℃で7時間反応を行い、80℃、20kPaで脱溶剤し、ポリカーボネートとポリウレタンとの複合樹脂からなる[結晶性樹脂10]を得た。[結晶性樹脂10]は、Mw11000、融点61℃であった。
【0127】
<製造例12>
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、キシレン200部、及びジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート2部を投入し、窒素置換後170℃に昇温して充分溶解し、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(ケミノックス FAAC‐6、ユニマテックス社製)60部、メタクリル酸メチル20部、スチレン20部、及びキシレン100部の混合溶液を、170℃で3時間で滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、[非晶質樹脂1]を得た。[非晶質樹脂1]の重量平均分子量は5200であった。降下式フローテスター(島津製作所製、CFT−500D)で以下の方法により測定した軟化点は75℃であった。
1gの[非晶質樹脂1]を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点とした。
【0128】
以下の実施例及び比較例中、「T1」は、得られた分散液を以下の条件でDSC降温測定した際の、分散液に含まれる分散質(結晶性樹脂等の結晶性材料)由来の発熱ピーク温度である。
DSC測定条件
示差走査熱量計{例えば、セイコー電子工業社製、DSC210}を用いて、測定試料を200℃まで昇温してから、降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、昇温速度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定した。
【0129】
メジアン径の測定は、レーザー式粒度分布測定装(LA−920、堀場製作所製、以下単に「LA−920」と記載する)により行った。
メジアン径の変化率は以下の通りの計算で求めた。
計算式1 B/A×100−100=メジアン径の変化率(%)
測定値A:10℃、24時間静置した分散液のメジアン径
測定値B:製造後一時間以内の分散液中のメジアン径
【0130】
粗大粒子増加量は以下の通りの計算で求めた。
計算式2 C−D=粗大粒子増加量(%)
測定値C:10℃、24時間静置した分散液中の粗大粒子量
測定値D:製造後一時間以内の分散液中の粗大粒子量
なお、(メジアン径×3)μm以上の粒子を粗大粒子とした。ただし(メジアン径×3)≦1.0の場合は1.0μm以上の粒子を粗大粒子とした。
【0131】
<実施例1>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を40℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂1]を含む粒子(C−1)が分散された分散液(L−1)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−1)の温度(T3)は4℃であり、LA−920による粒子(C−1)のメジアン径は0.52μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−1)のメジアン径は0.54μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン系の変化率は3.8%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0132】
<実施例2>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂2](T0(融点):65℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を40℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂2]を含む粒子(C−2)が分散された分散液(L−2)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−2)の温度(T3)は4℃であり、LA−920による粒子(C−2)のメジアン径は0.50μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−2)のメジアン径は0.54μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン径の変化率は8.0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった
【0133】
<実施例3>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂3](T0(融点):99℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度99℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を75℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂3]を含む粒子(C−3)が分散された分散液(L−3)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−3)の温度(T3)は38℃であり、LA−920による粒子(C−3)のメジアン径は0.45μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−3)のメジアン径は0.47μmであり、粗大粒子量0.0体積%であった。メジアン径の変化率は4.4%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は54℃であった。
【0134】
<実施例4>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂4](T0(融点):77℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度77℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を45℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂4]を含む粒子(C−4)が分散された分散液(L−4)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−4)の温度(T3)は10℃であり、LA−920による粒子(C−4)のメジアン径は0.72μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−4)のメジアン径は0.75μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン径の変化率は4.2%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は30℃であった。
【0135】
<実施例5>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂5](T0(融点):58℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度58℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を30℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂5]を含む粒子(C−5)が分散された分散液(L−5)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−5)の温度(T3)は0℃であり、LA−920による粒子(C−5)のメジアン径は0.66μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−5)のメジアン径は0.66μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン径の変化率は0.0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は16℃であった。
【0136】
<実施例6>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂6](T0(融点):57℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度57℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を30℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂6]を含む粒子(C−6)が分散された分散液(L−6)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−6)の温度(T3)は−1℃であり、LA−920による粒子(C−6)のメジアン径は0.42μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−6)のメジアン径は0.45μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン径の変化率は7.1%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は15℃であった。
【0137】
<実施例7>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂7](T0(融点):75℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度75℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を45℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂7]を含む粒子(C−7)が分散された分散液(L−7)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−7)の温度(T3)は0℃であり、LA−920による粒子(C−7)のメジアン径は0.53μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−7)のメジアン径は0.54μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン径の変化率は1.9%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0138】
<実施例8>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂8](T0(融点):60℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度60℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を30℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂8]を含む粒子(C−8)が分散された分散液(L−8)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−8)の温度(T3)は−5℃であり、LA−920による粒子(C−8)のメジアン径は0.62μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−8)のメジアン径は0.65μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン系の変化率は4.8%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は17℃であった。
【0139】
<実施例9>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂9](T0(融点):54℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度54℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を30℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂9]を含む粒子(C−9)が分散された分散液(L−9)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−9)の温度(T3)は−2℃であり、LA−920による粒子(C−9)のメジアン径は0.41μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−9)のメジアン径は0.44μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン径の変化率は7.3%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0140】
<実施例10>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂10](T0(融点):61℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度61℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を30℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂10]を含む粒子(C−10)が分散された分散液(L−10)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−10)の温度(T3)は−1℃であり、LA−920による粒子(C−10)のメジアン径は0.52μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−10)のメジアン径は0.52μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン径の変化率は0.0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は16℃であった。
【0141】
<実施例11>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[非晶質樹脂1](T0(軟化点):75℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度75℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を45℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[非晶質樹脂1]を含む粒子(C−11)が分散された分散液(L−11)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−11)の温度(T3)は10℃であり、LA−920による粒子(C−11)のメジアン径は0.39μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−11)のメジアン径は0.40μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン径の変化率は2.6%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。
【0142】
<実施例12>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、酢酸エチル196.8部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を40℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂1]を含む粒子(C−12)が分散された分散液(L−12)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−12)の温度(T3)は4℃であり、LA−920による粒子(C−12)のメジアン径は0.50μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−12)のメジアン径は0.52μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン径の変化率は4.0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0143】
<実施例13>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、メチルエチルケトン196.8部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を40℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂1]を含む粒子(C−13)が分散された分散液(L−13)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−13)の温度(T3)は4℃であり、LA−920による粒子(C−13)のメジアン径は0.51μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−13)のメジアン径は0.51μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン径の変化率は0.0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0144】
<実施例14>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、水196.8部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温した。さらに、65℃を維持し二酸化炭素を供給し6MPaにした後、再度、釜内を観察窓から観察した、結晶性樹脂1は二酸化炭素には溶解しているが、水と分離し、液液二相が形成されていることを確認した。さらに、撹拌を加え水中に結晶樹脂二酸化炭素溶液を懸濁させ、6MPaのまま系内温度を40℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂1]を含む粒子(C−14)が分散された分散液(L−14)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−14)の温度(T3)は7℃であり、LA−920による粒子(C−14)のメジアン径は0.53μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−14)のメジアン径は0.54μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン径の変化率は1.9%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0145】
<実施例15>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し10MPaにして10分間攪拌した後、10MPaのまま系内温度を40℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂1]を含む粒子(C−15)が分散された分散液(L−15)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−15)の温度(T3)は0℃であり、LA−920による粒子(C−15)のメジアン径は0.45μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−15)のメジアン径は0.46μmであり、粗大粒子量は0.0体積%であった。メジアン径の変化率は2.2%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0146】
<実施例16>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を25℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂1]を含む粒子(C−16)が分散された分散液(L−16)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−16)の温度(T3)は−10℃であり、LA−920による粒子(C−16)のメジアン径は0.41μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−16)のメジアン径は0.41μmであり、メジアン径の変化率は0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0147】
<実施例17>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)43.2部を、耐圧反応容器の容積の30%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を40℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂1]を含む粒子(C−17)が分散された分散液(L−17)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−17)の温度(T3)は4℃であり、LA−920による粒子(C−17)のメジアン径は0.50μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−17)のメジアン径は0.51μmであり、メジアン径の変化率は2.0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0148】
<実施例18>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、アセトン175.0部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)75.0部を、耐圧反応容器の容積の30%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして10分間攪拌した後、6MPaのまま系内温度を40℃(T2)まで降温し、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、[結晶性樹脂1]を含む粒子(C−18)が分散された分散液(L−18)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−18)の温度(T3)は4℃であり、LA−920による粒子(C−18)のメジアン径は0.57μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−18)のメジアン径は0.58μmであり、メジアン径の変化率は1.8%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0149】
<実施例19>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1にアセトン196.8部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)43.2部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温し、結晶性樹脂1の溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.4L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、6MPaとした。次いで、溶解槽(タンク)T1、ポンプP1より結晶性樹脂1の溶液を0.5L/hの流量で導入し、6MPa、40℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂1を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、結晶性樹脂1を含む粒子(C−19)が分散された分散液(L−19)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−19)の温度(T3)は4℃であり、LA−920による粒子(C−19)のメジアン径は0.39μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−19)のメジアン径は0.39μmであり、メジアン径の変化率は0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0150】
<実施例20>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1にアセトン196.8部、[結晶性樹脂10](T0(融点):61℃)43.2部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度61℃まで昇温し、結晶性樹脂10の溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.4L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、6MPaとした。次いで、溶解槽(タンク)、ポンプP1より結晶性樹脂10の溶液を0.5L/hの流量で導入し、6MPa、30℃(T2)を維持しながら、スタティックミキサーM1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂10を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、結晶性樹脂10を含む粒子(C−20)が分散された分散液(L−20)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−20)の温度(T3)は−1℃であり、LA−920による粒子(C−20)のメジアン径は0.35μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−20)のメジアン径は0.36μmであり、メジアン径の変化率は2.9%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は16℃であった。
【0151】
<実施例21>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1に酢酸エチル196.8部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)43.2部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温し、結晶性樹脂1の溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.4L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、6MPaとした。次いで、溶解槽(タンク)T1、ポンプP1より結晶性樹脂1の溶液を0.5L/hの流量で導入し、6MPa、40℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂1を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、結晶性樹脂1を含む粒子(C−21)が分散された分散液(L−21)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−21)の温度(T3)は4℃であり、LA−920による粒子(C−21)のメジアン径は0.31μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−21)のメジアン径は0.32μmであり、メジアン径の変化率は3.2%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0152】
<実施例22>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1に、水196.8部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)43.2部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温し、結晶性樹脂1の溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.4L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、6MPaとした。次いで、タンクT1、ポンプP1より結晶性樹脂1の溶液を0.5L/hの流量で導入し、6MPa、40℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂1を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、結晶性樹脂1を含む粒子(C−22)が分散された分散液(L−22)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−22)の温度(T3)は4℃であり、LA−920による粒子(C−22)のメジアン径は0.39μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−22)のメジアン径は0.39μmであり、メジアン径の変化率は0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0153】
<実施例23>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1に、アセトン196.8部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)43.2部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温し、結晶性樹脂1の溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.7L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、10MPaとした。次いで、溶解槽(タンク)T1、ポンプP1より結晶性樹脂1の溶液を0.83L/hの流量で導入し、10MPa、40℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂1を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、結晶性樹脂1を含む粒子(C−23)が分散された分散液(L−23)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−23)の温度(T3)は0℃であり、LA−920による粒子(C−23)のメジアン径は0.30μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−23)のメジアン径は0.31μmであり、メジアン径の変化率は3.3%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0154】
<実施例24>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1にアセトン196.8部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)43.2部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温し、結晶性樹脂1の溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.4L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、6MPaとした。次いで、溶解槽(タンク)T1、ポンプP1より結晶性樹脂1の溶液を0.5L/hの流量で導入し、6MPa、25℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂1を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、結晶性樹脂1を含む粒子(C−24)が分散された分散液(L−24)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−24)の温度(T3)は−10℃であり、LA−920による粒子(C−24)のメジアン径は0.35μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−24)のメジアン径は0.36μmであり、メジアン径の変化率は2.9%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0155】
<実施例25>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1にアセトン175.0部、[結晶性樹脂1](T0(融点):65℃)75.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温し、結晶性樹脂1の溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.4L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、6MPaとした。次いで、溶解槽(タンク)T1、ポンプP1より結晶性樹脂1の溶液を0.5L/hの流量で導入し、6MPa、40℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、結晶性樹脂1を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、結晶性樹脂1を含む粒子(C−25)が分散された分散液(L−25)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−25)の温度(T3)は4℃であり、LA−920による粒子(C−25)のメジアン径は0.37μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−25)のメジアン径は0.39μmであり、メジアン径の変化率は5.4%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0156】
<実施例26>
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部、アセトン168部、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し8MPaとした、8MPaを維持したまま70℃(T2)に降温し、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−26)が分散された分散液(L−26)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−26)の温度(T3)は13℃であり、LA−920による粒子(C−26)のメジアン径は0.52μmで、粗大粒子量の割合が0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−26)のメジアン径は0.53μmであり、メジアン径の変化率は1.9%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0157】
<実施例27>
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、カルナバワックス(H1−100、T0(融点):83℃、大日化学社製)48.0部、アセトン168部、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度83℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し8MPaとした、8MPaを維持したまま75℃に降温(T2)し、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、カルナバワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、カルナバワックスを含む粒子(C−27)が分散された分散液(L−27)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−27)の温度(T3)は21℃であり、LA−920による粒子(C−27)のメジアン径は0.63μmで、粗大粒子量の割合が0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−27)のメジアン径は0.65μmであり、メジアン径の変化率は3.2%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は37℃であった。
【0158】
<実施例28>
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、ポリオレフィンワックス(ACCUM ELT100、T0(融点):102℃)48.0部、アセトン168部、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度102℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し8MPaとした、8MPaを維持したまま90℃(T2)に降温し、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、ポリオレフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、ポリオレフィンワックスを含む粒子(C−28)が分散された分散液(L−28)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−28)の温度(T3)は32℃であり、LA−920による粒子(C−28)のメジアン径は0.66μmで、粗大粒子量の割合が0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−28)のメジアン径は0.68μmであり、メジアン径の変化率は3.0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は62℃であった。
【0159】
<実施例29>
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、ステアリン酸ステアリル(エキセパール SS、T0(融点):56℃)48.0部、アセトン168部、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度56℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し8MPaとした、8MPaを維持したまま40℃(T2)に降温し、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、ステアリン酸ステアリルを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、ステアリン酸ステアリルを含む粒子(C−29)が分散された分散液(L−29)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−29)の温度(T3)は−7℃であり、LA−920による粒子(C−29)のメジアン径は0.54μmで、粗大粒子量の割合が0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−29)のメジアン径は0.56μmであり、メジアン径の変化率は3.7%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は19℃であった。
【0160】
<実施例30>
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部、酢酸エチル168部、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し8MPaとした、さらに8MPaを維持したまま70℃(T2)に降温し、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−30)が分散された分散液(L−30)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−30)の温度(T3)は13℃であり、LA−920による粒子(C−30)のメジアン径は0.52μmで、粗大粒子量の割合が0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−30)のメジアン径は0.52μmであり、メジアン径の変化率は0.0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0161】
<実施例31>
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部、メチルエチルケトン168部、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し8MPaとした、8MPaを維持したまま70℃(T2)に降温し、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−31)が分散された分散液(L−31)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−31)の温度(T3)は13℃であり、LA−920による粒子(C−31)のメジアン径は0.55μmで、粗大粒子量の割合が0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−31)のメジアン径は0.56μmであり、メジアン径の変化率は1.8%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0162】
<実施例32>
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部、水168部、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し8MPaとした、このとき、パラフィンワックスが水に溶解せず、二酸化炭素にのみに溶解し、液液二相分離していることを確認した。8MPaを維持したまま70℃(T2)に降温し、10分間攪拌した後、パラフィンワックス二酸化炭素容器が水に分散していることを観察窓から確認した。容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−32)が分散された分散液(L−32)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−32)の温度(T3)は13℃であり、LA−920による粒子(C−31)のメジアン径は0.58μmで、粗大粒子量の割合が0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−32)のメジアン径は0.59μmであり、メジアン径の変化率は1.7%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0163】
<実施例33>
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部、アセトン168部、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し10MPaとした。10MPaを維持したまま70℃(T2)に降温し、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−33)が分散された分散液(L−33)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−33)の温度(T3)は6℃であり、LA−920による粒子(C−33)のメジアン径は0.36μmで、粗大粒子量の割合が0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−33)のメジアン径は0.37μmであり、メジアン径の変化率は2.8%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0164】
<実施例34>
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部、アセトン168部、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し8MPaとした。8MPaを維持したままさらに60℃(T2)に降温し、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−34)が分散された分散液(L−34)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−34)の温度(T3)は0℃であり、LA−920による粒子(C−34)のメジアン径は0.39μmで、粗大粒子量の割合が0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−34)のメジアン径は0.41μmであり、メジアン径の変化率は5.1%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0165】
<実施例35>
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部、アセトン168部、耐圧反応容器の容積の30%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し8MPaとした。8MPaを維持したまま70℃(T2)に降温し、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−35)が分散された分散液(L−35)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−35)の温度(T3)は13℃であり、LA−920による粒子(C−35)のメジアン径は0.43μmで、粗大粒子量の割合が0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−35)のメジアン径は0.45μmであり、メジアン径の変化率は4.7%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0166】
<実施例36>
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、製造例1で得られた[分散剤1]32.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)64.0部、アセトン168部、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し8MPaとした、さらに70℃(T2)に降温し、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−36)が分散された分散液(L−36)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−36)の温度(T3)は13℃であり、LA−920による粒子(C−36)のメジアン径は0.53μmで、粗大粒子量の割合が0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−36)のメジアン径は0.54μmであり、メジアン径の変化率は1.9%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0167】
<実施例37>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1にアセトン168.0部、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温し、パラフィンワックスの溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.55L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、8MPaとした。次いで、溶解槽(タンク)T1、ポンプP1よりパラフィンワックスの溶液を0.65L/hの流量で導入し、8MPa、70℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−37)が分散された分散液(L−37)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−37)の温度(T3)は13℃であり、LA−920による粒子(C−37)のメジアン径は0.45μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−37)のメジアン径は0.46μmであり、メジアン径の変化率は2.2%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0168】
<実施例38>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1にアセトン168.0部、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、ステアリン酸ステアリル(エキセパール SS、T0(融点):56℃)48.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度56℃まで昇温し、ステアリン酸ステアリルの溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.55L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、8MPaとした。次いで、溶解槽(タンク)T1、ポンプP1よりステアリン酸ステアリルの溶液を0.65L/hの流量で導入し、8MPa、40℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、ステアリン酸ステアリルを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、ステアリン酸ステアリルを含む粒子(C−38)が分散された分散液(L−38)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−38)の温度(T3)は−7℃であり、LA−920による粒子(C−38)のメジアン径は0.41μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−38)のメジアン径は0.41μmであり、メジアン径の変化率は0.0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は19℃であった。
【0169】
<実施例39>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1に酢酸エチル168.0部、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温し、パラフィンワックスの溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.55L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、8MPaとした。次いで、溶解槽(タンク)T1、ポンプP1よりパラフィンワックスの溶液を0.65L/hの流量で導入し、8MPa、70℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−39)が分散された分散液(L−39)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−37)の温度(T3)は13℃であり、LA−920による粒子(C−39)のメジアン径は0.46μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−39)のメジアン径は0.46μmであり、メジアン径の変化0.0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0170】
<実施例40>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1に水168.0部、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温し、パラフィンワックスの溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.55L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、8MPaとした。次いで、溶解槽(タンク)T1、ポンプP1よりパラフィンワックスの溶液を0.65L/hの流量で導入し、8MPa、70℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−40)が分散された分散液(L−40)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−40)の温度(T3)は13℃であり、LA−920による粒子(C−40)のメジアン径は0.45μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−40)のメジアン径は0.46μmであり、メジアン径の変化2.2%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0171】
<実施例41>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1にアセトン168.0部、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温し、パラフィンワックスの溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.70L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、10MPaとした。次いで、溶解槽(タンク)T1、ポンプP1よりパラフィンワックスの溶液を0.83L/hの流量で導入し、10MPa、70℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−41)が分散された分散液(L−41)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−41)の温度(T3)は13℃であり、LA−920による粒子(C−41)のメジアン径は0.39μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−41)のメジアン径は0.39μmであり、メジアン径の変化0.0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0172】
<実施例42>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1にアセトン168.0部、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温し、パラフィンワックスの溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.55L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、8MPaとした。次いで、タンクT1、ポンプP1よりパラフィンワックスの溶液を0.65L/hの流量で導入し、8MPa、60℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−42)が分散された分散液(L−42)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−42)の温度(T3)は1℃であり、LA−920による粒子(C−42)のメジアン径は0.38μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−42)のメジアン径は0.39μmであり、メジアン径の変化2.6%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0173】
<実施例43>
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置としては、スタティックミキサーM1(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まず溶解槽(タンク)T1にアセトン168.0部、製造例1で得られた[分散剤1]24.0部、パラフィンワックス(HNP−9、T0(融点):76℃、日本精蝋製)48.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度76℃まで昇温し、パラフィンワックスの溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.55L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、8MPaとした。次いで、溶解槽(タンク)T1、ポンプP1よりパラフィンワックスの溶液を0.65L/hの流量で導入し、8MPa、70℃(T2)を維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルから分散液受け槽T2内(0.1MPa)に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスを含む粒子(C−43)が分散された分散液(L−43)を得た。体積膨張した直後の分散液(L−43)の温度(T3)は13℃であり、LA−920による粒子(C−43)のメジアン径は0.51μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(C−43)のメジアン径は0.52μmであり、メジアン径の変化2.0%であり、粗大粒子増加量は0.0体積%であった。また、DSCでの測定からT1は29℃であった。
【0174】
<比較例1>
実施例1において、T2を70℃及び、T3を25℃とした以外は同様に行い、比較粒子(RC−1)が分散した分散液(RL−1)を得た。LA−920による粒子(RC−1)のメジアン径は8.90μmで、粗大粒子量は3.2体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−1)のメジアン径は10.20μmで、粗大粒子量3.4体積%であった。メジアン径の変化率は14.6%であり、粗大粒子増加量は0.2体積%であった。
【0175】
<比較例2>
実施例1において、T2を70℃及び、膨張前圧力を10MPaとした以外は同様に行い、比較粒子(RC−2)が分散した分散液(RL−2)を得た。LA−920による粒子(RC−2)のメジアン径は0.51μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−2)のメジアン径は3.62μmで、粗大粒子量1.5体積%であった。メジアン径の変化率は609.8%であり、粗大粒子増加量は1.5体積%であった。
【0176】
<比較例3>
実施例1において、膨張前圧力を1MPaとしT3を19℃とした以外は同様に行い、比較粒子(RC−3)が分散した分散液(RL−3)を得た。LA−920による粒子(RC−3)のメジアン径は5.40μmで、粗大粒子量は3.2体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−3)のメジアン径は7.30μmで、粗大粒子量4.5体積%であった。メジアン径の変化率は35.2%であり、粗大粒子増加量は1.3体積%であった。
【0177】
<比較例4>
実施例1において、膨張後圧力を3MPaとしT3を25℃とした以外は同様に行い、比較粒子(RC−4)が分散した分散液(RL−4)を得た。LA−920による粒子(RC−4)のメジアン径は5.70μmで、粗大粒子量は2.1体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−4)のメジアン径は8.48μmで、粗大粒子量5.5体積%であった。メジアン径の変化率は48.8%であり、粗大粒子増加量は3.4体積%であった。
【0178】
<比較例5>
実施例26において、T2を90℃及び、T3を33℃とした以外は同様に行い、比較粒子(RC−5)が分散した分散液(RL−5)を得た。LA−920による粒子(RC−5)のメジアン径は7.60μmで、粗大粒子量は3.2体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−5)のメジアン径は11.30μmで、粗大粒子量3.5体積%であった。メジアン径の変化率は48.7%であり、粗大粒子増加量は0.3体積%であった。
【0179】
<比較例6>
実施例26において、T2を90℃及び膨張前圧力を10MPaとした以外は同様に行い、比較粒子(RC−6)が分散した分散液(RL−6)を得た。LA−920による粒子(RC−6)のメジアン径は0.45μmで、粗大粒子量は0.2体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−6)のメジアン径は1.62μmで、粗大粒子量4.3体積%であった。メジアン径の変化率は260.0%であり、粗大粒子増加量は4.1体積%であった。
【0180】
<比較例7>
実施例26において、膨張前圧力を1MPaとし、膨張後温度(T3)を25℃とした以外は同様に行い、比較粒子(RC−7)が分散した分散液(RL−7)を得た。LA−920による粒子(RC−7)のメジアン径は5.61μmで、粗大粒子量は4.1体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−7)のメジアン径は7.61μmで、粗大粒子量5.1体積%であった。メジアン径の変化率は35.7%であり、粗大粒子増加量は1.0体積%であった。
【0181】
<比較例8>
実施例26において、膨張前圧力を8MPaとし、膨張後圧力を5MPaとした以外は同様に行い、比較粒子(RC−8)が分散した分散液(RL−8)を得た。LA−920による粒子(RC−8)のメジアン径は4.32μmで、粗大粒子量は3.5体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−8)のメジアン径は4.53μmで、粗大粒子量4.1体積%であった。メジアン径の変化率は4.9%であり、粗大粒子増加量は0.6体積%であった。
【0182】
<比較例9>
実施例19において、T2を70℃、T3を25℃とした以外は同様に行い、比較粒子(RC−9)が分散した分散液(RL−9)を得た。LA−920による粒子(RC−9)のメジアン径は9.50μmで、粗大粒子量は2.9体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−9)のメジアン径は11.50μmで、粗大粒子量4.3体積%であった。メジアン径の変化率は21.1%であり、粗大粒子増加量は1.4体積%であった。
【0183】
<比較例10>
実施例19において、T2を70℃、T3を4℃、膨張前圧力10MPaとした以外は同様に行い、比較粒子(RC−10)が分散した分散液(RL−10)を得た。LA−920による粒子(RC−10)のメジアン径は0.41μmで、粗大粒子量は0.0体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−10)のメジアン径は3.21μmで、粗大粒子量1.5体積%であった。メジアン径の変化率は682.9%であり、粗大粒子増加量は1.5体積%であった。
【0184】
<比較例11>
実施例19において、T3が25℃、膨張前圧力を1MPaとした以外は同様に行い、比較粒子(RC−11)が分散した分散液(RL−11)を得た。LA−920による粒子(RC−11)のメジアン径は4.30μmで、粗大粒子量は1.7体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−11)のメジアン径は5.37μmで、粗大粒子量4.5体積%であった。メジアン径の変化率は24.9%であり、粗大粒子増加量は2.8体積%であった。
【0185】
<比較例12>
実施例19において、T3が25℃、膨張後圧力を3MPaとした以外は同様に行い、比較粒子(RC−12)が分散した分散液(RL−12)を得た。LA−920による粒子(RC−12)のメジアン径は6.10μmで、粗大粒子量は3.8体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−12)のメジアン径は8.45μmで、粗大粒子量5.1体積%であった。メジアン径の変化率は38.5%であり、粗大粒子増加量は1.3体積%であった。
【0186】
<比較例13>
実施例37において、T2を80℃、T3が33℃とした以外は同様に行い、比較粒子(RC−13)が分散した分散液(RL−13)を得た。LA−920による粒子(RC−13)のメジアン径は5.60μmで、粗大粒子量は3.5体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−13)のメジアン径は10.54μmで、粗大粒子量4.1体積%であった。メジアン径の変化率は88.2%であり、粗大粒子増加量は0.6体積%であった。
【0187】
<比較例14>
実施例37において、T2を80℃、膨張前圧力を10MPaとした以外は同様に行い、比較粒子(RC−14)が分散した分散液(RL−14)を得た。LA−920による粒子(RC−14)のメジアン径は0.41μmで、粗大粒子量は0.1体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−14)のメジアン径は3.24μmで、粗大粒子量3.5体積%であった。メジアン径の変化率は690.2%であり、粗大粒子増加量は3.4体積%であった。DSCでの測定からT1は20℃であった。
【0188】
<比較例15>
実施例37において、膨張前圧力を1MPaとしT2を40℃とした以外は同様に行い、比較粒子(RC−15)が分散した分散液(RL−15)を得た。LA−920による粒子(RC−15)のメジアン径は4.65μmで、粗大粒子量は4.5体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−15)のメジアン径は5.65μmで、粗大粒子量4.7体積%であった。メジアン径の変化率は21.5%であり、粗大粒子増加量は0.2体積%であった。
【0189】
<比較例16>
実施例37において、膨張後圧力を5MPaとしT2を40℃とした以外は同様に行い、比較粒子(RC−16)が分散した分散液(RL−16)を得た。LA−920による粒子(RC−16)のメジアン径は3.32μmで、粗大粒子量は3.8体積%であった。また10℃、24h静置後の粒子(RC−16)のメジアン径は5.57μmで、粗大粒子量4.8体積%であった。メジアン径の変化率は67.8%であり、粗大粒子増加量は1.0体積%であった。
【0190】
実施例1〜43及び比較例1〜16における分散液の評価結果を表1〜6に示す。
【0191】
【表1】
【0192】
【表2】
【0193】
【表3】
【0194】
【表4】
【0195】
【表5】
【0196】
【表6】
【0197】
上記に示したように、実施例の分散液は、比較例の分散液と比べて、分散質を含む粒子が溶剤に微細にかつ安定に分散された分散液であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0198】
本発明の分散液の製造方法により、微細化された粒子の分散液を迅速に得ることができる。本発明の製造方法により製造される分散液は、塗料、インキ、化粧品、食品、医薬品その他の各種の用途に好適である。
【符号の説明】
【0199】
T1:溶解槽(最高使用圧力20MPa、最高使用温度200℃、攪拌機つき)
T2:分散液受け槽
B1:二酸化炭素ボンベ
P1:溶液ポンプ
P2:二酸化炭素ポンプ
M1:スタティックミキサー
V1:バルブ
図1