(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シースは、皮下リード線がシースを通って第2の皮下トンネルの中に導入されうるように、第2の挿入ツールの除去時及び除去後にその場に留まるようになされた分割式シースである、請求項2に記載の導入器ツールキット。
第2の挿入ツールは第2の皮下トンネルの作出を支援するために超音波エネルギーを使用するための超音波振動子を備えた遠位端を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導入器ツールキット。
内側トンネル作製ロッドは、第1の線に沿った第1の部分と、第1の線に対して少なくとも60度の角度をなす第2の線に沿った第2の部分とを有する皮下トンネルの作出を容易にするために、少なくとも60度の湾曲を有する、請求項6に記載の導入器ツールセット。
内側トンネル作製ロッドは、皮下組織を通って切り開くのを支援するための展開可能な切断要素を備えている、請求項6〜9のいずれか1項に記載の導入器ツールセット。
ガイドワイヤ上を通過する際に拡張器上に配置するために構成された分割式シースであって、それを通した皮下リード線の導入を容易にするためにガイドワイヤ及び拡張器の除去の際にその場に留まるように構成された分割式シースをさらに含み、分割式シースは、皮下リード線が配置されると分割式シースが分割して皮下リード線上から除去可能であるように構成されている、請求項12に記載の導入器ツールセット。
内側トンネル作製ロッド又は導入器シースのうち少なくとも一方はその挿入の際にかかる力を同定するように構成された力覚センサを含む、請求項6〜14のいずれか1項に記載の導入器ツールセット。
【発明の概要】
【0006】
概観
本発明者らは、数ある中でも特に、解決されるべき問題は完全皮下型除細動器の植込みに多数の切開場所が含まれることである、ということを認識してきた。侵襲性が最小限である技法及びツールセットが本明細書中に開示される。
【0007】
第1の非限定的な例は、心臓治療装置で使用される皮下リード線の植込みのための導入器ツールキットの形態をとり、該ツールセットは、第1の線に沿った第1の皮下トンネルの作出に使用される第1の挿入ツールであって、患者の体内に導入するための遠位端を有し該遠位端又はその近傍に開口部を備えた第1の挿入ツールと、第1の皮下トンネルの作出の間第1の挿入ツールを通して配置するための第1の支持部材と、第1の挿入ツール内を通過して開口部から出ることにより第1の皮下トンネルに対して角度をなした第2の皮下トンネルの作出に使用される第2の挿入ツールであって、第1の挿入ツールの開口部の位置で湾曲するように構成されている第2の挿入ツールと、を含む。
【0008】
第2の非限定的な例は、第1の非限定的な例におけるような導入器ツールキットであって、第1の挿入ツール内の通過及び第2の皮下トンネルの作出の際に第2の挿入ツール上に配置するためのシースをさらに含む導入器ツールキットの形態をとる。第3の非限定的な例は、第2の非限定的な例におけるような導入器ツールキットであって、シースは、皮下リード線がシースを通って第2の皮下トンネルの中に導入されうるように、第2の挿入ツールの除去時及び除去後にその場に留まるようになされた分割式シースである、導入器ツールキットの形態をとる。
【0009】
第4の非限定的な例は、第1〜第3の非限定的な例のうちいずれかにおけるようなキットであって、第2の挿入ツールは第2の皮下トンネルを設けるための駆動式要素を備えた遠位端を有する、キットの形態をとる。第5の非限定的な例は、第1〜第3の非限定的な例のうちいずれかにおけるようなキットであって、第2の挿入ツールは第2の皮下トンネルの作出を支援するために超音波エネルギーを使用するための超音波振動子を備えた遠位端を有する、キットの形態をとる。
【0010】
第6の非限定的な例は、心臓治療装置で使用される皮下リード線の植込みのための導入器ツールセットの形態をとり、該ツールセットは、内側トンネル作製ロッドであって、近位端、第1の位置における湾曲、及び皮下トンネルを切り開くのに適した遠位端を有し、第1の位置は近位端よりも遠位端に近い、内側トンネル作製ロッドと、導入器シースであって、近位端、遠位端、及び少なくとも第1の相対配置と第2の相対配置とを有する摺動可能な方式で内側トンネル作製ロッドを受け入れる大きさの内側ルーメンを有する導入器シースとを含み、第1の相対配置にあるとき、導入器シースは概ね直線状の組立体を維持するように内側トンネル作製ロッドの湾曲を収容し、かつ第2の相対配置にあるとき、内側トンネル作製ロッドが導入器シースの遠位端よりも遠位側に、導入器シースの軸に対して角度をなして伸びる。
【0011】
第7の非限定的な例は、第6の非限定的な例におけるような導入器ツールセットの形態をとり、内側トンネル作製ロッドは、第1の線に沿った第1の部分と、第1の線に対して少なくとも60度の角度をなす第2の線に沿った第2の部分とを有する皮下トンネルの作出を容易にするために、少なくとも60度の湾曲を有する。第8の非限定的な例は、第6又は第7の非限定的な例のうちいずれかの導入器ツールセットの形態をとり、第2の配置は、内側トンネル作製ロッドが導入器シースの遠位端を越えて5〜15cm(2〜6インチ)の範囲で伸びるような配置である。第9の非限定的な例は、第6〜第8の非限定的な例のうちいずれかにおけるような導入器ツールセットの形態をとり、導入器シースは超音波振動子を有する動力付きシースである。
【0012】
第10の非限定的な例は、第6〜第9の非限定的な例のうちいずれかにおけるような導入器ツールセットの形態をとり、内側トンネル作製ロッドは、皮下組織を通って切り開くのを支援するための展開可能な切断要素を備えている。第11の非限定的な例は、第6〜第10の非限定的な例のうちいずれかにおけるような導入器ツールセットの形態をとり、内側トンネル作製ロッドは超音波振動子を有する動力付きツールである。
【0013】
第12の非限定的な例は、第6〜第11の非限定的な例のうちいずれかにおけるような導入器ツールセットであって、内側トンネル作製ロッド又はシースのうち少なくとも一方を通り抜けるためのガイドワイヤであって、シース及び内側トンネル作製ロッドの除去の際に皮下トンネルの中に残されるように構成されたガイドワイヤと、シース及び内側トンネル作製ロッドで作られた皮下トンネルを拡張するためにガイドワイヤ上を通過するための拡張器とをさらに含む、導入器ツールセットの形態をとる。第13の非限定的な例は、第12の非限定的な例におけるような導入器ツールセットであって、ガイドワイヤ上を通過する際に拡張器上に配置するために構成された分割式シースであって、それを通した皮下リード線の導入を容易にするためにガイドワイヤ及び拡張器の除去の際にその場に留まるように構成された分割式シースをさらに含み、分割式シースは、皮下リード線が配置されると分割式シースが分割して皮下リード線上から除去可能であるように構成されている、導入器ツールセットの形態をとる。
【0014】
第14の非限定的な例は、第6〜第13の非限定的な例のうちいずれかにおけるような導入器ツールセットであって、内側トンネル作製ロッドは選択的に湾曲を与える操舵機構を有する可動型ロッドである、導入器ツールセットの形態をとる。第15の非限定的な例は、第6〜第13の非限定的な例のうちいずれかにおけるような導入器ツールセットであって、内側トンネル作製ロッド又は導入器シースのうち少なくとも一方はその挿入の際にかかる力を同定するように構成された力覚センサを含む、導入器ツールセットの形態をとる。
【0015】
第16の非限定的な例は、患者に皮下除細動リード線を植込む方法であって、第1の切開部を作製し、第1の切開部を経て遠位端及び近位端を有する第1の挿入ツールを挿入し、かつ第1の挿入ツールを標的位置へと方向付けて切開部から標的位置に向かう第1の皮下トンネルを設けることと、第1の挿入ツールの内部から第2の挿入ツールを延長することとを含み、第1の挿入ツールは第1の軸に概ね沿って伸び、第2の挿入ツールは、第1の挿入ツールの遠位端又はその近傍から第1の軸に対し少なくとも30度の角度をなした第2の軸に沿って延長されて、第2の軸に沿った第2の皮下トンネルの少なくとも一部分を形成する方法の形態をとる。
【0016】
第17の非限定的な例は、第16の非限定的な例におけるような方法であって、第1の挿入ツールは組織を通したトンネル作製を容易にするための超音波振動子を有する動力付きツールであり、かつ第1の挿入ツールを挿入するステップは超音波振動子を活性化することを含む方法の形態をとる。第18の非限定的な例は、第16又は第17の非限定的な例のいずれかにおけるような方法の形態をとり、第1の挿入ツールは、第1の挿入ツールの遠位端又はその近傍に出口を有するルーメンを含み、かつ第2の挿入ツールは、少なくとも30度の角度を作出することを容易にするための、遠位端の近傍に湾曲部を有する鈍い解剖器であって、第1の挿入ツールの内部から第2の挿入ツールを延長するステップは第2の挿入ツールの湾曲部を使用して角度を生成することを含むようになっている。
【0017】
第19の非限定的な例は、第16の非限定的な例におけるような方法の形態をとり、第2の挿入ツールは可動型でありかつその近位端に操舵制御部を備え、第2の挿入ツールを延長するステップは、該ツールの遠位端を第2の軸に向かって所望方向に操舵することを含む。第20の非限定的な例は、第16の非限定的な例におけるような方法の形態をとり、第2の挿入ツールは第2の挿入ツールの前進を容易にするための展開可能な切断具を備え、かつ第2の挿入ツールを延長するステップは、第2の挿入ツールを第2の軸に沿って方向付けるために展開可能な切断具を使用することを含む。
【0018】
第21の非限定的な例は、第16〜第20の非限定的な例のうちいずれかにおけるような方法の形態をとり、第2の軸は第1の軸から約90度の角度をなしている。第22の非限定的な例は、第16〜第21の非限定的な例のうちいずれかにおけるような方法の形態をとり、第1の軸は概ね患者の横断面に沿って伸び、第2の軸は概ね患者の矢状面又は側矢状面に沿って伸びる。第23の非限定的な例は、第16〜第22の非限定的な例のうちいずれかにおけるような方法の形態をとり、第1の皮下トンネルはほぼ左腋窩から胸骨に向かって伸び、かつ第2の皮下トンネルは剣状突起の1〜5cm左及び上方の位置から胸骨柄に向かって胸骨と概ね平行な方向に伸びる。
【0019】
第24の非限定的な例は、第16の非限定的な例におけるような方法の形態をとり、第2の挿入ツールは、ハンドルを備えた近位端、及び遠位端を含み、かつ第2の挿入ツールを延長するステップは、組織を切り開くために第2の挿入ツール内に配置された鈍い解剖器を使用することを含み、第2の挿入ツールは、鈍い解剖器が方向付けられる方向を決定するために使用され、かつ鈍い解剖器は、横方向の強度ではなく縦方向の強度が出るように構成されている。第25の非限定的な例は、第24の非限定的な例におけるような方法の形態をとり、第2の挿入ツールは可動型でありかつその近位端に操舵制御部を備え、第2の挿入物を延長するステップは、その遠位端を、内部の鈍い解剖器とともに第2の軸に向かって所望方向に操舵することを含む。
【0020】
第26の非限定的な例は、第24の非限定的な例におけるような方法の形態をとり、鈍い解剖器を第2の挿入物の遠位端から前進させて第2の皮下トンネルを形成して、第1の挿入ツールが第1の切開部から標的位置まで伸び、第2の挿入ツールが第1の挿入ツールの遠位端から湾曲部に沿って第2の皮下トンネルの始点まで伸び、かつ鈍い解剖器が第2の皮下トンネルの始点からその遠位端まで伸びるようにすることを、さらに含む。
【0021】
第27の非限定的な例は、第26の非限定的な例におけるような方法の形態をとり、鈍い解剖器はガイドワイヤの前進又は配置のために内部にルーメンが提供されており、かつ該方法は、ルーメンを通して第2の皮下トンネルの遠位端の近傍又は遠位端へとガイドワイヤを前進させること、ガイドワイヤを所望の場所に保ちながら少なくとも鈍い解剖器を除去すること、ガイドワイヤを伝ってリード線を所望のリード線配置状態へと前進させること、及びガイドワイヤを除去することを、さらに含む。
【0022】
第28の非限定的な例は、第26の非限定的な例におけるような方法の形態をとり、鈍い解剖器にはガイドワイヤの前進又は配置のためにルーメンが提供されており、かつ鈍い解剖器を前進させるステップは、解剖器のルーメン内に含まれたガイドワイヤを用いて実施され、該方法はさらに、ガイドワイヤを所望の場所に保ちながらガイドワイヤを伝って少なくとも鈍い解剖器を除去すること、ガイドワイヤを伝ってリード線を所望のリード線配置状態へと前進させること、及びガイドワイヤを除去することを含む。
【0023】
第29の非限定的な例は、第26の非限定的な例におけるような方法の形態をとり、鈍い解剖器を前進させるステップは、鈍い解剖器上に分裂式シースを備えて実施され、かつ該方法は、シースを所望の場所に保ちながら少なくとも鈍い解剖器を除去すること、リード線を分裂式シース内で所望のリード線配置状態へと前進させること、及びリード線上の分裂式シースを除去することをさらに含む。
【0024】
第30の非限定的な例は、第16の非限定的な例におけるような方法の形態をとり、第2の挿入物は組織内への方向性を備えた前進のための先端を有する解剖ツールを備え、第2の挿入物を延長するステップは、組織を第2の軸の方向に選択的に切り開くために解剖ツール先端を使用することを含む。第31の非限定的な例は、第16の非限定的な例におけるような方法の形態をとり、第2の挿入ツールを前進させてその遠位端が所望位置又はその近傍にあるようにすること、第2の挿入ツール上を伝って第1の挿入ツールを前進させて第1の挿入ツールの遠位端が所望位置又はその近傍にあるようにすること、第1の挿入ツールの内部から第2の挿入ツールを除去すること、近位端及び遠位端を有するリード線を挿入してその遠位端が所望位置又はその近傍にあるようにすること、並びにリード線上の第1の挿入ツールを除去することをさらに含む。第32の非限定的な例は、第31の非限定的な例におけるような方法の形態をとり、リード線を、その遠位端が所望位置又はその近傍に留まるように係留することをさらに含む。第33の非限定的な例は、第16〜第32の非限定的な例のうちいずれかにおけるような方法の形態をとり、該方法が第2の切開部を作製することなく完了するように、第1の切開部を閉止することをさらに含む。第34の非限定的な例は、第16〜第32の非限定的な例のうちいずれかにおけるような方法の形態をとり、該方法が単一の切開部しか使用せずに完了するように、第1の切開部を閉止することをさらに含む。
【0025】
この概観は、本特許出願の主題の概観を提供するように意図されている。本発明の排他的又は網羅的な説明を提供するようには意図されていない。詳細な説明は、本特許出願に関するさらに詳しい情報を提供するために記載されている。
【0026】
図面(必ずしも一定の縮尺で描かれていない)において、同様の数字は異なる図における類似の構成要素を表現することができる。異なる文字の添え字を有する同様の数字は、類似の構成要素の異なる実例を表わしうる。図面は一般に、例として、ただし限定としてではなく、本文書において議論される様々な実施形態を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
上記に説明されたように、
図1は例示的な完全皮下型の植込み式心臓刺激システムを植込まれた状態で示す。
図2は、
図1のようなデバイスを植込むための手順のある態様を例示する。この例示において、植込みのための手順は、位置30、32及び34における3つの切開部を使用することを必要とする。感染のリスクを低減するために、おおよそエリア36を含む滅菌野が準備されるかもしれない。これは主に、2012年の市販承認の時点でキャメロン・ヘルス(Cameron Health)及びボストン・サイエンティフィック(Boston Scientific)のS‐ICD(登録商標)システムについて米国で承認されたラベルに記載された植込みの方法をたどっている。
【0029】
しかしながら、多くの患者において、この滅菌野36は、例えば肥満の患者において、及び/又は、左乳房に近いことが原因で、様々な皮膚のひだを含むことになるであろう。手術のためにこのエリア36を清潔にすること、ましてや切開部30、32、34が全て治癒する間の手術後何日間又は何週間の間これを清潔かつ乾いた状態に保つことは、必ずしも簡単とは限らない。患者によっては、胸骨に沿った切開部は審美的な心配を与える場合もあり、これは例えば、切開部34は通常かつ一般的な衣類を着用しているときに見える可能性のある瘢痕を残す場合があり、また切開部32は水着を着用しているときにはっきり目に見える場合があるからである。
【0030】
切開部の数を低減することが提案されてきた。一部には、例えば米国特許第7,655,014号明細書のいくつかの実施形態に記載されたものに類似の2箇所切開技法を使用する場合があり、前記特許文献の開示内容は参照により本願に援用される。この技法では、切開部32及び切開部30の間にトンネルを作製しこれを通してリード線を引いた後、分割式シースを有する導入器ツールを切開部32から胸骨柄に向かい胸骨に沿って、切開部34を全く作製することなく前進させる。次に、導入器ツールは除去されてシースが残り、リード線がシースを通して導入される。最後にシースは分割されてリード線上を伝って除去される。
【0031】
1つの改良は、植込み式除細動器が一体型構造を有する米国特許第6,647,292号明細書において示唆されている。長尺状のハウジングは両端部に電極が備えられており、単一の切開部を通じて患者に挿入される。解剖ツールは、植込みが行われるための空間を作出するために使用されうる。しかしながらこのシステムは、デバイスの必要な電子機器をすべて収容している長尺状で湾曲したハウジングを必要とする。湾曲したハウジングを開発することは可能であるが、米国特許第6,647,292号明細書の長尺状で湾曲したものよりも、矩形、楕円形又は円形の形状を有する小型のハウジングを提供するほうがより安価かつ単純であると考えられる。したがって、本発明者らは、以下にさらに説明されるような通路の途中に湾曲部を有する皮下通路に沿ってリード線を植込む方法を特定した。
【0032】
図3は、例示的な実施例として導入器ツールセット又はキットを示す。1セットのツールには、鈍い解剖器50、第1の挿入ツール60、第2の挿入ツール70、可動型挿入ツール80、分割式シース90、及びガイドワイヤ100が含まれうる。単一のキット中に全ての要素が提供されるとは限らない。例えば、キットは鈍い解剖器50、第2の挿入ツール70、及びガイドワイヤ100を含むがその他の要素は含まない場合もある。別の例示的なキットには、第1の挿入ツール60、可動型挿入ツール80、及び分割式シース90が含まれる。本明細書中の他の図面と同様に、
図3は必ずしも一定の縮尺では描かれておらず、異なる品目は他の品目より長いこともあれば短いこともあり、相対的な太さと長さとの比率は原寸に比例していない。
【0033】
鈍い解剖器50は、ハンドルを備えた近位端と、皮下組織を鈍的に切り開くのに適した遠位端とを有する。様々な例において、鈍い解剖器50は中実であっても中空であってもよく、遠位側開口部を備えたルーメンを有してもよい。鈍い解剖器50は、例えば網状又はコイル状の金属支持部材を備えたポリマーシャフトなど、ポリマー、金属、又はこれらの組み合わせを含む任意の適切な生体適合材料で作製されうる。鈍い解剖器の遠位端は鈍化されていてもよいし、いくつかの実施形態では、皮下組織を通した前進を容易にするために尖状若しくは鋭利であってもよい。1例において、鈍い解剖器50は、長尺状で中空の要素及び該要素を通した挿入用の拡張器のような、2つ以上の部分を備えうる。
【0034】
第1の挿入ツール60は、長尺状部材であって、該部材を通りハンドル62から遠位端64へと伸びるルーメンを有する長尺状部材である。該長尺状部材は、好ましくはポリマーチューブであってその中に網状又はその他の支持部材を備えうるポリマーチューブである。遠位端64は、角度があるか又は斜角が付いた形状を有して示されている。第1の挿入ツール60は、いくつかの実施形態では、遠位端64の近傍に駆動装置及び切断要素を備えうる。必要に応じて、近位側ハンドル62は、例えば抗生物質又は鎮痛薬が導入されることを可能にするために、輸液が通るのを容易にするポートを備えてもよい。
【0035】
いくつかの例において、遠位端64は、第1の挿入ツール60の近位側ハンドル62においてアクセス可能な導体に結合された超音波振動子を備えうる。そのような振動子は、皮下組織を通り抜ける際の組織の切り開きを支援するのに有用となりうる。ハンドル62は、遠位端64の角度のある端部が所定の時間にどの方向に向いているかをユーザが同定するのを助けるために、図のように片方に寄っていてもよいし、そうでなければ印が付けられてもよい。
【0036】
第1の挿入ツール60は概ね直線状の要素として示されている。第2の挿入ツール70は同様に、72のハンドルと、74の湾曲部及び遠位端76へと伸びる長尺状シャフトとを備えて示されている。湾曲部74は、例えば患者の左腋窩と剣状突起との間の間隔に対応するように、ハンドル72から所望の距離に提供されることが可能である、というのも、いくつかの例においては、
図1に示されるもののようなデバイスを左腋窩における単一の切開場所のみを使用して植込むことが意図されているからである。湾曲部は、例えば、特殊な支持構造(例えば網状又は織製の要素など)、熱硬化、形状記憶、又は型を使用した製造の結果生じたものであってよい。
【0037】
第2の挿入ツール70は、その直径が第1の挿入ツール60の長尺状シャフトの内側に嵌合するような大きさに作られる。いくつかの例において、第1の挿入ツール60は、第2の挿入ツール70が第1の挿入ツール60の内側に配置された時に湾曲部74を持たない概ね直線の配向状態に保持されるような、側圧に抵抗性のシャフトを備えている。例えば第1の挿入ツールは、全体的に又はちょうどその選択領域において、屈曲に対して抵抗性のハイポチューブで形成されてもよいし、該ハイポチューブで形成された区画を備えてもよい。そのような例については、第2の挿入ツール70の長さは、第2の挿入ツールを前進させて遠位端76及び湾曲部74が第1の挿入ツール60の遠位端64から出るようにすることが可能であるような長さであるとよい。
【0038】
可動型挿入ツールは80で示されており、かついくつかの例では、第2の挿入ツール70の代わりとなってもよい。可動型挿入ツール80の近位側ハンドル82は、該ツールの遠位端84の操舵のための1つ以上の駆動装置を備えうる。遠位端84は解剖器先端として構成されることも可能であるし、遠位端84において開口する可動型挿入ツール80を通るルーメンが存在してもよい。操舵性は、内視鏡検査において良く知られているもののような任意の適切な設計によって付与されうる。例えば、1つ又は複数の可動型ワイヤが、近位側ハンドル82で該可動型ワイヤを引くことにより遠位端84が屈折するように、提供されてもよい。
【0039】
分割式シース90は、分割式ハンドル94と、該シースの遠位端96まで伸びる1列に並んだ脆弱部又は穿孔92を備えて、同様に示されている。そのようなシースは当分野において良く知られている。最後にガイドワイヤ100が示されており、これは任意の適切な大きさの様々な既知かつ市販のガイドワイヤを含む任意の適切な形態をとることができる。
【0040】
いくつかの例において、品目50、60、70、又は80のうちいずれかの遠位端は、医師が植込みの際に遠位端の配置状態を経皮的に視覚化するのを支援するために、発光ダイオードのような1つ以上の発光素子を備えてもよい。品目50、60、70、80、又は100のうちいずれも、例えば肋間隙又は胸筋のような望まれぬ組織の穿刺を防止するために、いつ組織通過が達成されたかを医師が知るのを支援するために、例えばドップラー検出器又は他のセンサを備えることができる。そのようなマーカー又は検出器はさらに、前進している挿入ツールが胸筋のような筋肉に接近しているか又は侵入しているかの判断を支援して、挿入路が(限定するものではないが所望の通路は胸骨近傍であろうと仮定して)胸骨から横方向に離れすぎていることを示すこともできる。
【0041】
図4〜5及び7〜8は、医療用デバイスを植込むための
図3のようなツールセットの使用を例示する。
図4では、鈍い解剖器50が、第1の挿入ツール60の遠位端を僅かに越えたところまで伸びるように、第1の挿入ツール60を通して配置されている。鈍い解剖器50及び第1の挿入ツール60の組み合わせは、患者のほぼ前腋窩線の切開部52を通じて挿入された。切開部52を作製する前に、医師チームは最初に少なくとも切開部52の周りの適切な滅菌野の作出をすませることになろう。
【0042】
挿入された要素50/60は、鈍い解剖器50の遠位端が皮下トンネルを切り開くために使用されて、患者の腋窩に向かって方向付けられている。望ましい場合には、単に鈍い解剖器50のみではなく、可動型要素が
図4に示されるステップの際に使用されてもよい。さらなる別例では、鈍い解剖器50ではなく、可動型要素80及び第2の挿入ツール70(
図3)が、
図4に示される第1の挿入ステップの際に使用されてもよい。
【0043】
図5は次のステップを示し、該ステップにおいて第2の挿入ツール70は、第2の挿入ツール70の端部の湾曲部が第1の挿入ツール60の遠位端を過ぎて伸びるように使用されて、第1の挿入ツール60の中に挿入済みである。この例においては、可動型挿入ツール80が、
図6A〜6Cで強調表示されるように、導入及び方向転換を容易にするために第2の挿入ツール70内部の拡張器として使用済みである。
図4に示されるように鈍い解剖器50が前のステップで使用された場合、そのツールは品目70/80の導入を可能にするために最初に除去されているであろう。
【0044】
図6A〜6Cは、
図5に例示されたステップの詳細図を提供する。
図6Aに示されるように、第2の挿入ツールの遠位端76は、第1の挿入ツールの遠位端64を僅かに越えたところまで伸びている。加えて、可動型挿入ツールの遠位端84は、第2の挿入ツールの遠位端76から外へと伸びている。
【0045】
図6Bは、可動型挿入ツールがその遠位端84において、第2の挿入ツールの遠位端76を第1の挿入ツールの軸に対して角度をなした方向に沿って誘導するために、屈折されたことを示す。可動型挿入ツール及び第2の挿入ツールはこのプロセスの間に共に前進させてもよいし、可動型挿入ツールの遠位端84を最初に前進させ、次に第2の挿入ツールを可動型挿入ツール上に前進させるようになっていてもよい。第1若しくは第2の挿入ツール、又は可動型挿入ツールはさらに、所望の角度での制御された前進を提供するために、必要に応じて、小刻みな切断運動を使用する、前進を容易にするための鋭利な切断要素(図示せず)を備えてもよい。
【0046】
図6Cは、第2の挿入ツール及び可動型挿入ツールの遠位端76、84がさらに前進して、第2の挿入ツールの予め湾曲した部分74が第1の挿入ツールの遠位端64から出ることを可能にしていることを示している。一例において、第2の挿入ツールの予め湾曲した部分74は、予め湾曲した部分74が第1の挿入ツールの遠位端64から出るまで同部分を直線状に保つために、第1の挿入ツール、又はその一部分、並びに第1の挿入ツール及び可動型挿入ツールの剛性の組み合わせ、のうち少なくともいずれかよりも剛性が低いことが可能である。別の例では、可動型挿入ツール又は第2の挿入ツールのうち一方又は両方が、必要な場合に予め湾曲した部分74を解放するために除去されうる剛性のワイヤ又はスタイレットを受け入れるための、開口ルーメンを備えてもよい。
【0047】
図7に示されるように、第2の挿入ツールの予め湾曲した部分74が第1の挿入ツールの遠位端から出てしまえば、前記部分は、可動型挿入ツール80をその遠位端が第二〜第四肋骨の範囲内であって胸骨柄のすぐ下方のどこか(他の場所が選ばれてもよい)に至るまで傍胸骨の方向に前進させるための基部としての役割を果たすことが可能である。
図7に示されるように、角度54は、腋窩の切開部から第1の挿入ツールの端部までの線に沿った第1の軸と、可動型挿入ツール80が延長されるときの胸骨と概ね平行に走行する第2の軸とによって定義される。角度54は30〜135度の範囲にあってよく、図示された例では、角度54は約90度ということであろうし、又は75〜105度の範囲であってもよい。
【0048】
リード線110も図示されており、遠位端114の近傍の電極構成112と、シールプラグ及び複数の電気接点を有しうる近位端116とを備えている。任意の適切なリード線110が使用可能であって、いくつかの例示的な実施例は米国特許第8,483,841号明細書に示されているが、その他の設計も同様に使用されうる。
【0049】
いくつかの実施形態では、次のステップは、可動型挿入ツール80を除去すること、並びに、第1及び第2の挿入ツール60、70を通して、また可動型挿入ツール80の前進によって形成された皮下トンネルの上方へと、リード線110を簡単に導入することであろう。しかしながら、
図7に示される例では、ガイドワイヤが可動型挿入ツール80を通してその遠位端又はその近傍で抜け出るまで導入される。可動型挿入ツール80はその後除去され、
図8に示されるように、リード線110をガイドワイヤ100の上に前進させる。必要であれば、可動型挿入ツール80は、患者の体外で可動型挿入ツール80の全長をガイドワイヤ100の上で扱わなければならないことを回避するために、カテーテルの分野で既知の方式で、迅速交換又は単独オペレータ交換の機構として働くサイドポート又は側方チャネルを備えてもよい。
【0050】
図8におけるガイドワイヤ100の使用の代替として、分割式シース(例えば
図3の要素90など)が可動型挿入ツール80の挿入前に該ツール上に配置されてもよい。傍胸骨の皮下トンネルがひとたび形成されれば、可動型挿入ツールは分割式シースをその場に保ちながら除去されるであろうし、またリード線110は分割式シースを通して挿入されることになろう。
【0051】
別の実施形態では、
図8の結果を達成することが示されたプロセスは、トンネルを作り出すには小さすぎるが皮下リード線を植込むには十分大きい、比較的小さな直径のデバイスを用いて実施されてもよい。例えば、より小さなデバイスは、非常に精密なトンネル作製をより簡単に行うことを可能としうる。この例については、ガイドワイヤ100がひとたび適所にあれば、残りのデバイスは除去されてガイドワイヤだけを残すことが可能であり、次に拡張器が、リード線の導入用に皮下トンネルを拡張するために、ガイドワイヤ上に導入される。必要であれば、ガイドワイヤ100はその遠位端又はその近傍に膨張式バルーンのような係留要素を備えて、他のデバイスの除去及び拡張器の前進の際にガイドワイヤがその場に係留されることが可能であるようになっていてもよい。
【0052】
図9は、別の例示的な実施例の導入器ツールセット又はキットを示す。第1の挿入ツール200は遠位端202及び近位側ポート204を備え、近位側ポート204と遠位端202との間に伸びるルーメン(図示せず)を有している。任意選択で、第1の挿入ツール200は、皮下組織を通した前進を容易にするための、遠位端202の近傍の超音波振動子のための動力伝導部206を有する動力付き挿入ツールであってよい。
【0053】
第2の挿入ツールも210で示され、2部品型の近位側ハンドル212、214及び遠位端216を有している。遠位端216は皮下の切り開きを容易にする錐状体又は弾丸の形状の先端であってよい。この場合も、任意選択で、第2の挿入ツールは、組織を通した前進を容易にするための、遠位端216の近傍の超音波振動子のための動力伝導部218を有する動力付き挿入ツールであってよい。一例において、遠位端216は、
図17A〜17Cで以下に例示されるように、一方の部品のハンドル212を他方の部品のハンドル214に対して回すことにより駆動可能な切断要素を備えて設計されている。別例として、2部品型ハンドル212、214は、遠位端216における操舵機構の制御を容易にする場合もある。
【0054】
同様に任意選択なのは、植込み方法のある一定のステップの間、第1の挿入ツール200と第2の挿入ツール210との間の所望の長手方向の関係を維持するために以下に示されるように使用可能な、間隔保持具220である。間隔保持具220は任意の適切な構成を有しうるが、この例ではハンドル212、214の遠位側で第2の挿入ツール上にスナップ嵌合されるように設計されたC字形状の要素として示されている。
【0055】
図10〜12及び14は、医療用デバイスを植込むための
図9におけるようなツールセットの使用を例示する。
図10は、切開部222が通常の滅菌野準備に続いて患者に切開済みである、挿入前ステップを示す。
図9の挿入ツールは図のように共に連結済みであり、第1の挿入ツールのハンドル204は間隔保持具220によって第2の挿入ツールのハンドル212から間隔を置いた状態になっている。間隔保持具の使用により、挿入の間、第2の挿入ツールの遠位端216は、第1の挿入ツールの遠位端202を僅かに越えたところまで伸びている所望の構成に維持される。
【0056】
図11は、次のステップであって、皮下組織を通して切り開くための第2の挿入ツールの遠位端216を使用して、両挿入ツールが共に切開部を通って患者の剣状突起に向かってトンネルを作製した状態のステップを示す。剣状突起に達すると、間隔保持具220は図のように除去されることが可能である。次に、
図12に示されるように、2部品型ハンドル212、214は、第2の挿入ツールの遠位端216を
図13A〜13Dに詳述されるように上方に方向転換させるために前進させるように、操作されることが可能である。
【0057】
図13A〜13Dは、
図12に例示されたステップの詳細図を提供する。
図13Aで示されるように、間隔保持具は、使用時には、第2の挿入ツールの遠位端216を第1の挿入ツールの遠位端202の僅かに遠位側に保持している。間隔保持具が除去されると、第2の挿入ツールは第1の挿入ツールの中にさらに挿入されて、
図13Bに示されるように、先端216が先端202から更に離れて伸びることが可能となる。
【0058】
図13Bに示される方向転換を作出するために利用可能ないくつかの設計上の選択肢が存在する。一例において、2部品型ハンドルを操作すること、又は引き紐若しくはプルレバーのような何らかの他の機構のいずれかにより、操舵機構が遠位端216を操舵するために使用されることが可能である。別の例において、第2の挿入ツールは予め湾曲しており挿入の間は第1の挿入ツールシャフトによって直線状に保持され、ひとたび遠位端216を前進させると、第2の挿入ツールの本来の湾曲部が図のような形状を作り出すことが可能となる。予め湾曲した設計についての変形形態では、第1の挿入ツールは、直線状の構成を維持するために1つ以上の除去可能な補剛材を備えてもよい。さらに別の例では、切断要素が以下に
図16A〜16D又は17A〜17Cで示されるように遠位端216に提供されて、所望方向に向かって組織を選択的に切断するために使用される。
【0059】
図13Cは、第2の挿入ツール216のさらなる前進を示す。
図13Dは、任意選択の次のステップであって、第1の挿入ツールの遠位端202を第2の挿入ツールの遠位端216の近傍に至らせるために第1の挿入ツールを第2の挿入ツール上に前進させるステップを例示している。
【0060】
一例において、第1の挿入ツールは比較的可撓性である一方、第2の挿入ツールは予め湾曲しており、かつ、
図11に示される挿入ステップの間、患者の左腋窩から剣状突起までトンネルを作製しているときに連結物全体を概ね直線状に維持するために、1つ以上の除去可能な補剛材が第1の挿入ツールに配置される(又は1つ以上の直線矯正材が第2の挿入ツールに配置される)。予め湾曲した第2の挿入ツールが方向転換点を越えた/方向転換をなした後、次に補剛材は第1の挿入ツールの前進を容易にするために該ツールから取り除かれる。
図13Dの構成がひとたび達成されて皮下トンネルの湾曲部が設けられてしまえば、例えば
図14に示されるように傍胸骨の方向の継続的なトンネル作製を容易にするために、補剛材が再導入されることが可能である。別の代替例では、方向転換がなされて
図13Dの構成が達成されてしまえば、第2の挿入ツールは除去されて、別個の解剖器であって予め湾曲した形状を持たないがその代わり傍胸骨の皮下トンネルの残りを切り開くために概ね直線状である別個の解剖器が、第1の挿入ツールを通して導入されてもよい。
【0061】
図15は、ガイドワイヤ及びシースの両方を使用する、例示的な実施例を示している。この実例では、第1の挿入ツール250は第1の軸に沿った第1の皮下トンネル内を伸び、第2の挿入ツール252は、第1の皮下トンネルと、第2の軸に沿って伸びる第2の皮下トンネルとの間の角度260を越えるために使用される。第2の挿入ツール252の遠位端から、解剖器254が所望の位置に向かって第2の軸に沿って伸びる。分割式シース256は、解剖器の導入の間は解剖器上に配置され、かつ解剖器254が除去される時はその場に留まるように構成される。ガイドワイヤ258は解剖器254を通り抜け、かつさらに解剖器が除去される際にその場に留まるように構成される。
【0062】
この実例は、次いで電極が導入されることが可能な2つの方法を示す。一例では、解剖器254が除去されてリード線が所望の植込み位置へとガイドワイヤ上を伝って通されることが可能であり、かつ次にガイドワイヤが、リード線遠位端の位置を妨害することなく除去されることが可能である。別の例では、リード線は分割式シースを通して挿入され、次いでシースがその近位端で分割されて、リード線遠位端の位置を妨害することなくリード線上から除去されることが可能である。第1の挿入ツール250及び第2の挿入ツール252は、リード線挿入の間そのまま留まってもよいし、一方又は両方が除去されてもよい。ほとんどの例において、分割式シース256又はガイドワイヤ258のうち一方のみが使用されるであろうが、
図15には両方が示されている。
【0063】
図16A〜16Dは、挿入ツールの遠位端270の切断ツール272を示し、
図16Aに示されるように挿入ツールのルーメン内には内部拡張器又は解剖器276が配置されている。切断ツール272は図のように挿入ツールの周囲全体に伸びていてもよいし、周長上のより少ない部分に、又は角度をなした構成で、提供されてもよい。ユーザが切断ツール272の延長及び後退を制御することを可能にするために、1つ以上の制御ワイヤ274が切断ツール272に接続される。
【0064】
図16Bは、
図16AのB‐B線に沿った断面図である。解剖器276は挿入ツール遠位端270の中央ルーメン内にあり、制御ワイヤは図のように二次ルーメン278の中に存在する。
【0065】
図16Cは別の断面を示し、今度は
図16AのC‐C線に沿ったものである。この場合も解剖器276は挿入ツールの主ルーメン内にあり、かつ切断ツール272が中に存在する環状ルーメンが、挿入ツールの遠位端270に提供されている。この設計は、例えば、挿入ツールの遠位端270の近傍に第1及び第2の外側チューブを有してこの2本のチューブを選択的にレーザ溶接し、溶接されない部分を残すことによって、達成可能である。別の例では、最も外側のチューブを、環状の空隙を作出するために遠位端の近傍でマンドレルを使用する状態で、内側のチューブに付着するように熱収縮させる。別の例では、主ルーメン及び二次ルーメンは押出工程の際に形成され、二次ルーメンの環状部分は研削又はその他の除去ステップにおいて形成される。
【0066】
図16Dは、挿入ツールの遠位端270からの切断ツール272の延長を例示する。切断ツール272は、制御ワイヤ274の操作により、図のように解剖器276の遠位端を越えて延長可能である。
【0067】
図17A〜17Cは挿入ツール290についての別の切断ツールの設計を示している。ここで、内針又はハイポチューブ292は挿入ツール290の内部に提供されている。挿入ツール290及びハイポチューブ292はいずれも、
図17Aに示されるように、角度をなした前面又は斜端を備えた遠位端を有する。
図17Bに強調表示されるように、挿入ツール290の遠位端はハイポチューブ292の遠位端を越えて伸びている。ハイポチューブ292はその遠位端において鋭利になっており、かつしたがって
図17Bに示された構成は組織内を前進する際の切断を防止する。切断が必要な時は、
図17Cに示されるように、ハイポチューブ292が挿入ツール290に対して回されて、ハイポチューブ292の角度をなした遠位端の長い側の遠位端が、挿入ツール290の遠位端を越えて伸びて、切断動作を容易にすることが可能となる。
【0068】
図18は、いくつかの例示的な方法についてのブロック流れ図である。ブロック300から開始し、300で示されるように滅菌野が準備されて第1の切開部が作製される。第1の導入器又は挿入ツールが302で示されるように挿入される。ステップ302は、いくつかの例においては304で示されるようにほぼ左腋窩から剣状突起付近(すなわち、剣状突起から約5cm以内又はそれより近く)に向かって、トンネルを作製することを含みうる。
【0069】
剣状突起付近へとトンネルを作製するステップ304は、左腋窩から剣状突起のやや上方かつ左側の位置までトンネルを作製することを含みうる。別例として、ステップ304は、特定の症例であって例えば患者が極めて中心寄りに位置した心臓又は小さな心臓を有している症例において、例えば右傍胸骨リード線を患者に植込むために左腋窩から胸骨の右側までトンネルを作製することにより、剣状突起を過ぎてトンネルを作製することを含みうる。右側寄りの心臓を有しているか又は左腋窩の使用を阻む身体的制約を有している患者については、切開部が右腋窩に作製されてそこから剣状突起に向かってトンネルが作製されてもよい。医師によっては、特に小柄な患者の場合に、比較的腹側寄りの左腋窩の植込みではなく、上述の様々な図面に示された側方切開部がどちらかといえば中腋窩の位置にあることを必要とする、左後腋窩線上又はその腹側寄りの深部への植込みが好まれる場合もある。
【0070】
次に、306で示されるように、第2の導入器ツール306が第1の導入器ツールから延長される。いくつかの例において、第2の導入器ツール306は「方向転換を行う」ために使用される。
【0071】
いくつかの例において、第2の導入器ツールを用いて方向転換がなされてしまえば、308で示されるように、その後第2の導入器ツールは所望の標的の植込み位置まで進み続けるために使用可能である。ブロック308に概説されるような1つの方法は
図13B〜13Cに示されており、同図において第2の導入器ツールは、第1の導入器ツールの遠位端から延長されることが可能であり、次に所望の標的の植込み位置まで第2の軸に沿って伸びる。
【0072】
ブロック310で概説される別の例では、第2の導入器ツールは方向転換を行うために使用され、次に第1の導入器ツールを続いて方向転換地点から所望の標的の植込み位置まで上方に前進させる。そのような1つの方法は
図14に示されている。
【0073】
別のアプローチは、第2の導入器ツールを用いて方向転換を行いかつ
図15に示されるように続行することである。この例については、第2の導入器ツール252は第1の導入器ツール250から方向転換するために使用され、かつ312に示されるようなさらなるツールである「第3の導入器ツール」を前進させるための基部の位置を提供する。
【0074】
これらの異なる手法308、310、312のいずれでも最終目的を達成するために使用可能であり、最終目的とは植込み式キャニスタの部位における切開を除き314で示されるように第2の切開部を作製することなくリード線の植込みを競争(compete)することである。上記のいくつかの例において示されたように、分割式シース若しくはガイドワイヤ、又は両方が、トンネル作製が完了した時点でリード線を植込むために使用されてもよいし、いずれも使用されなくてもよい。
【0075】
いくつかの代替例において、導入器302はブロック304が示唆するのとは異なる方式で行われる場合もある。例えば、第1の切開部は、患者の左側又は右側の鎖骨近傍の高い胸筋の位置であって、そこから導入器が胸骨柄又は胸骨上部に向かうような位置に、作製されることもできる。その後、308、310又は312のうちいずれかの「方向転換」が、胸骨に沿った下方への第2のトンネルを方向付けることになろう。
【0076】
上記の説明は主として完全皮下型の植込みに注目しているが、記載されたもののようなツールは胸骨下への植込みにも使用されうる。胸骨下への植込みは、例えば、左腋窩の位置から剣状突起近傍であるが肋骨の縁より下方の位置までトンネルを作製し、かつ胸骨の裏面に沿って心膜又は肺を突き通すことなく上方に続行することにより、達成されうる。加えて、完全皮下型の植込みではなく、上記に記載されたツール及び方法は、1つ以上の経静脈又は心外膜電極/リード線を有する心臓デバイスと共に使用するための皮下リード線を植込むためにも使用されうる。
【0077】
導入器、導入器ツール、及び挿入ツールという用語は、一般に、本明細書中において互換的に使用されうる。
これらの非限定的な例はそれぞれ、単独のものであってもよいし、1つ以上の他の例と様々な順列又は組み合わせで組み合わされてもよい。
【0078】
上記の詳細な説明は添付の図面への言及を含んでおり、該図面は詳細な説明の一部を形成する。図面は、例示として、本発明を実行することが可能な具体的な実施形態を示している。これらの実施形態も本明細書中において「例」と呼ばれる。そのような例は、図示又は記述された要素に加えて要素を含むことが可能である。しかしながら、本発明者らはさらに、図示又は記述された要素のみが提供される例も企図している。さらに、本発明者らは、特定の例(若しくはその1つ以上の態様)に関して、又は本明細書中に図示若しくは記述された他の例(若しくはその1つ以上の態様)に関して、図示又は記述された要素(又はその1つ以上の態様)の任意の組み合わせ又は順列を使用している例も企図している。
【0079】
本文書と、そのようにして参照により援用された任意の文書との間で使用法が矛盾する場合には、本文書の使用法が優先される。
本文書において、用語「1つの」は、特許文献において一般的であるように、何らかの他の事例又は「少なくとも1つ」若しくは「1つ以上」の使用法とは無関係に、1つよりもむしろ1つ以上を含むように使用される。さらに、以降の特許請求の範囲において、用語「第1の」、「第2の」、及び「第3の」などは単に標識として使用されており、該用語の対象に数字上の要件を課するようには意図されていない。
【0080】
上記の説明は、例示であってかつ限定的ではないように意図されている。例えば、上記の例(又はその1つ以上の態様)は互いと組み合わせて使用されうる。他の実施形態は、例えば当業者によって、上記説明の検討がなされれば使用されることが可能である。
【0081】
要約書は、読み手が技術的開示内容の本質を迅速に確認することを可能にするために、米国特許法施行規則1.72(b)に適合するように提供されている。それは、特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈又は限定するようには使用されることはないという了解の下で提出されている。
【0082】
さらに、上記の詳細な説明においては、様々な特徴が本開示を簡素化するためにひとまとめにされる場合もある。これは、未請求だが開示された特徴が任意の請求項にとって必須であることを意図しているとは解釈されるべきでない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴には満たないものにある。よって、以降の特許請求の範囲はこれにより、各請求項が個別の実施形態として自立している状態で、例又は実施形態として詳細な説明に組み込まれ、かつ、そのような実施形態が様々な組み合わせ又は順列で互いに組み合わされることが可能であることが企図されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を取得する等価物の全範囲と併せて参照して、判断されるべきである。