(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜
図11を参照して、
図1に示す本発明の実施形態の上部旋回体1について説明する。
【0010】
上部旋回体1(クレーンのキャブ低振動化構造)は、建設機械の構成要素である。この建設機械は、例えばクレーンであり、例えば移動式クレーンであり、例えばラチスブームクローラクレーンである。上部旋回体1は、下部走行体(図示なし)に搭載され、下部走行体に対して旋回可能である。上部旋回体1は、旋回フレーム10と、エンジンデッキ20と、キャブデッキ30と、デッキ支持部材40と、側板支持部材50(
図2参照)と、を備える。
【0011】
旋回フレーム10(センターセクション)は、下部走行体(図示なし)に取り付けられる。旋回フレーム10の中心線であって、旋回フレーム10の長手方向に延びる中心線を、中心線10cとする。旋回フレーム10の長手方向(中心線10cの方向)を、前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、エンジンデッキ20に対するキャブデッキ30側(向き)を前側X1とし、前側X1とは逆側を後側X2とする。前後方向Xに直交する方向かつ水平方向(左右方向)を、横方向Yとする。横方向Yにおいて、中心線10cに近づく側を横方向内側Y1とし、中心線10cから遠ざかる側を横方向外側Y2とする。前後方向Xおよび横方向Yに直交する方向(鉛直方向)を、上下方向Zとする。上下方向Zには、上側Z1と下側Z2とがある。旋回フレーム10は、底板11と、前板13と、側板15と、ブーム取付ブラケット17と、を備える。旋回フレーム10には、ブームB(
図3参照)およびガントリ(図示なし)が取り付けられる。
【0012】
底板11は、旋回フレーム10の底部(下側Z2部分)を構成する板(板状部材)である。上記「板」は、略板状でもよい(以下同様)。底板11は、前後方向Xおよび横方向Yに延びる。
【0013】
前板13は、旋回フレーム10の前側X1部分を構成する板である。前板13は、横方向Yに延び、底板11から上側Z1に延びる(突出する)。前板13の下側Z2端部は、底板11の上面(上側Z1の端面)に固定される。
【0014】
側板15は、旋回フレーム10の横方向外側Y2部分(側面)を構成する板である。側板15は、複数枚設けられ、具体的には2枚設けられる。側板15は、前後方向Xに延び、底板11から上側Z1に延び、底板11の横方向外側Y2の両端部それぞれから上側Z1に突出する。側板15の厚さ方向は、横方向Yである。側板15には、第一側板15Aと、第二側板15Bと、がある。第一側板15Aと第二側板15Bとは(複数の側板15は)、横方向Yに互いに対向する。第二側板15Bは、第一側板15Aよりもキャブデッキ30に近い側(横方向Yにおける近い側)に配置される。
【0015】
ブーム取付ブラケット17には、
図3に示すように、ブームB(具体的には下部ブーム)の基端部のブームフットBfが取り付けられる。ブームB(ジブとも呼ばれる)は、ワイヤロープを介して吊荷を吊り、吊荷を移動させるための構造物である。
図1に示すように、ブーム取付ブラケット17は、側板15の前側X1の略端部かつ上側Z1の略端部に設けられる。
【0016】
エンジンデッキ20は、エンジン(図示なし)などの振動源が搭載される構造物(フレーム、デッキ部材)である。エンジンデッキ20には、エンジン以外の振動源が搭載されてもよく、例えば油圧ポンプ(図示なし)などが搭載される。エンジンデッキ20には、例えば、ラジエータ、ファン、排ガス浄化装置、機器を防護するためのエンジンガード(それぞれ図示なし)などが搭載される。エンジンデッキ20は、旋回フレーム10よりも横方向外側Y2に配置され、旋回フレーム10に接続され、さらに詳しくは、第二側板15Bに固定される。
【0017】
キャブデッキ30は、キャブ(運転室、図示なし)が搭載される構造物(フレーム、デッキ部材)である。キャブデッキ30は、旋回フレーム10よりも横方向外側Y2に配置され、旋回フレーム10に固定され、さらに詳しくは、第二側板15Bに固定される。キャブデッキ30は、エンジンデッキ20よりも前側X1に配置され、エンジンデッキ20と前後方向Xに対向するように配置される。キャブデッキ30は、エンジンデッキ20と直接にはつながっていない(いわば切り離されている)。キャブデッキ30は、エンジンデッキ20との間に隙間S(前後方向Xの隙間S)をあけて配置される。隙間Sは、エンジンデッキ20の振動がキャブデッキ30に直接伝達されないように設けられる。なお、キャブデッキ30に搭載されたキャブと、エンジンデッキ20に搭載されたエンジンガードと、の間にも前後方向Xの隙間があけられる。キャブデッキ30は、枠部31を備える。
【0018】
枠部31は、キャブデッキ30の外周部分(上下方向Zから見た外周部分)を構成する。枠部31は、上下方向Zから見て長方形(略長方形を含む)であり、前後方向Xに長い。枠部31は、例えば上下方向Zに延びる板状部材などにより構成される。枠部31は、枠部31の横方向内側Y1部分を構成する内側枠部31iを備える。内側枠部31iは、前後方向Xおよび上下方向Zに延びる板である。内側枠部31iの厚さ方向は、横方向Yである。内側枠部31iと第二側板15Bとは、横方向Yに対向する。
【0019】
デッキ支持部材40は、旋回フレーム10に対してキャブデッキ30およびキャブ(図示なし)を支持する(質量を支える)部材である。デッキ支持部材40は、旋回フレーム10とキャブデッキ30との間に配置され、旋回フレーム10とキャブデッキ30とに接続され(固定され)、さらに詳しくは、第二側板15Bと枠部31(内側枠部31i)とに接続される。
図3に示すように、デッキ支持部材40は、キャブデッキ30に取り付けられるキャブと、ブームBと、の干渉を避けるために設けられる。さらに詳しくは、ブームフットBfは、ブーム取付ブラケット17を横方向Y両側から挟むように配置される。そのため、ブーム取付ブラケット17と、キャブと、の間に横方向Yの間隔をあける必要がある。そのため、旋回フレーム10とキャブデッキ30との間に横方向Yの間隔をあける必要があり、さらに詳しくは、第二側板15Bと内側枠部31iとの間に横方向Yの間隔をあける必要がある。この間隔をあけるために、デッキ支持部材40が設けられる。デッキ支持部材40は、複数の(具体的には3本の)単位デッキ支持部材により構成される。複数の単位デッキ支持部材それぞれは、旋回フレーム10とキャブデッキ30とに接続される部材である。単位デッキ支持部材には、後側デッキ支持部材41(第一デッキ支持部材)と、中央デッキ支持部材42(第二デッキ支持部材)と、前側デッキ支持部材43と、がある。
【0020】
後側デッキ支持部材41(第一デッキ支持部材)は、複数の単位デッキ支持部材のうち最も後側X2に配置される。後側デッキ支持部材41は、横方向Yに(水平方向に)延びる略棒状の部材(梁)であり、例えば中実であり、また例えば中空である(他の単位デッキ支持部材も同様)。横方向Yから見た後側デッキ支持部材41の断面は、例えば多角形であり、例えば四角形であり、例えば長方形などであり、例えば略長方形などでもよい(他の単位デッキ支持部材も同様)。なお、後側デッキ支持部材41の断面形状は、多角形でなくてもよく、C字状や円形などでもよい(他の単位デッキ支持部材も同様)。後側デッキ支持部材41には、中心軸41aと、接続部41dと、接続部41sと、がある。
【0021】
中心軸41aは、横方向Yに延びる直線であり、後側デッキ支持部材41の中心を通る。さらに詳しくは、中心軸41aは、後側デッキ支持部材41の前後方向Xにおける中心を通り、後側デッキ支持部材41の上下方向Zにおける中心を通る(
図6参照)。
【0022】
接続部41dは、後側デッキ支持部材41のキャブデッキ30への(内側枠部31iへの)接続部分である。接続部41dは、内側枠部31iの後側X2部分(内側枠部31iの前後方向X中央よりも後側X2の部分)に配置される。さらに詳しくは、接続部41dは、内側枠部31iの後側X2の端部の近傍に配置される。
【0023】
接続部41sは、後側デッキ支持部材41の側板15への(第二側板15Bへの)接続部分である。接続部41sは、前板13よりも後側X2に配置される。
【0024】
中央デッキ支持部材42(第二デッキ支持部材)は、後側デッキ支持部材41よりも前側X1に配置される、単位デッキ支持部材である。中央デッキ支持部材42には、中心軸42aと、接続部42dと、接続部42sと、がある。
【0025】
中心軸42aは、横方向Yに延びる直線であり、中央デッキ支持部材42の中心(「後側デッキ支持部材41の中心」の説明を参照)を通る。
【0026】
接続部42dは、中央デッキ支持部材42のキャブデッキ30への(内側枠部31iへの)接続部分である。接続部42dは、内側枠部31iの後側X2部分に配置される。
【0027】
接続部42sは、中央デッキ支持部材42の側板15への(第二側板15Bへの)接続部分である。接続部42sは、前板13よりも後側X2に配置される。
【0028】
前側デッキ支持部材43は、中央デッキ支持部材42よりも前側X1に配置される、単位デッキ支持部材である。前側デッキ支持部材43のキャブデッキ30への(内側枠部31iへの)接続部分は、内側枠部31iの前後方向X中央部の近傍(または中央部)に配置される。前側デッキ支持部材43の側板15への(第二側板15Bへの)接続部分は、前板13よりも前側X1に配置され、第二側板15Bの前側X1の端部の近傍に配置される。
【0029】
側板支持部材50は、
図2に示すように、底板11に対して側板15を支持する部材であり、底板11および側板15を補強する部材である。側板支持部材50は、旋回フレーム10、デッキ支持部材40(
図1参照)、およびキャブデッキ30の振動を抑制するための部材である。側板支持部材50は、側板15と底板11との間に配置され、側板15と底板11とに接続される(つながれる、連結される、固定される)。さらに詳しくは、側板支持部材50の横方向外側Y2端部は、第二側板15Bの横方向内側Y1の面(端面)に固定される。側板支持部材50の下側Z2端部は、底板11の上面に固定される。側板支持部材50は、複数設けられ、具体的には2つ設けられる。側板支持部材50には、後側側板支持部材51(第一側板支持部材)と、前側側板支持部材52(第二側板支持部材)と、がある。
【0030】
後側側板支持部材51(第一側板支持部材)は、
図3に示すように、側板15に対する接続部41sの裏側部分(下記)で、側板15に接続される。後側側板支持部材51は、略棒状である。上下方向Zから見たとき、後側側板支持部材51は、例えば四角形であり、例えば長方形(略長方形でもよい)である。
図9等(
図6〜
図10)に示すように、前後方向Xから見たとき、後側側板支持部材51は、例えば四角形であり、例えば台形(略台形でもよい)である。後側側板支持部材51は、前後方向Xから見たときに三角形でもよい。
図9に示すように、後側側板支持部材51には、中心軸51aと、底板11への接続部51bと、側板15への接続部51sと、がある。
【0031】
中心軸51aは、接続部51bと接続部51sとを通るように、後側側板支持部材51の中心を通る直線である。中心軸51aは、接続部51bの中央部と、接続部51sの中央部と、を通る。さらに詳しくは、中心軸51aは、上下方向Zから見た接続部51bの中心(図心)と、横方向Yから見た接続部51sの中心(図心)と、を通る。中心軸51aは、
図3に示すように、後側側板支持部材51の前後方向Xの中心を通る。上下方向Zから見たとき、中心軸51aは、横方向Yに延びる。
図9に示すように、前後方向Xから見たとき、中心軸51aは、横方向外側Y2ほど上側Z1に配置されるように傾斜する。前後方向Xから見たとき、底板11の上面に対する中心軸51aの角度の下限は、例えば20°であり、例えば30°であり、例えば40°である。この角度の上限は、例えば80°であり、例えば70°であり、例えば60°である。
【0032】
接続部51bは、後側側板支持部材51の底板11への接続部分である。第二側板15Bから接続部51bまでの横方向Yの距離が大きいほど(横方向内側Y1に配置されるほど)、底板11および第二側板15Bの振動を抑制できる。接続部51bは、旋回フレーム10の中心線10c(
図2参照)よりも第二側板15B側に配置され、底板11の旋回モータ取付部(図示なし)よりも第二側板15B側に配置される。上記「旋回モータ取付部」は、下部走行体(図示なし)に対して上部旋回体1を旋回させるための旋回モータが取り付けられる部分(台座)である。
【0033】
接続部51sは、後側側板支持部材51の側板15への(第二側板15Bへの)接続部分である。接続部51sは、少なくとも次の[配置a]のように配置される。
[配置a]
図3に示すように、接続部51sは、接続部41sの裏側部分に設けられる(配置される)。上記「接続部41sの裏側部分」は、第二側板15Bの面のうち、接続部41sが設けられる面(横方向外側Y2の面)の、裏面(横方向内側Y1の面)全体(全面)のうち少なくとも一部である。
上記「接続部41sの裏側部分」は、下記の[配置a1]の条件を満たしてもよく、下記の[配置a2]の条件を満たしてもよい。
[配置a1]上記「接続部41sの裏側部分」の前後方向X位置は、前板13よりも後側X2である。
[配置a2]上記「接続部41sの裏側部分」の前後方向X位置は、エンジンデッキ20の前側X1端部よりも前側X1である。
【0034】
この接続部51sは、次の[配置a3]や[配置a4]のように配置されることが好ましい。
[配置a3]接続部51sは、上下方向Zから見たとき、第二側板15Bを介して、後側デッキ支持部材41に横方向Yに対向する位置(または、ほぼ対向する位置)に配置される。
[配置a4]
図9に示すように、接続部51sは、前後方向Xから見たとき、第二側板15Bを介して、後側デッキ支持部材41に横方向Yに対向する位置(または、ほぼ対向する位置)に配置される。
【0035】
なお、
図3に示す接続部51sの前側X1端部と、接続部41sの後側X2端部と、の前後方向X位置が等しい場合は、上記[配置a3]が満たされる。接続部51sの後側X2端部と、接続部41sの前側X1端部と、の前後方向X位置が等しい場合は、上記[配置a3]が満たされる。
また、
図9に示す接続部51sの上側Z1端部と、接続部41sの下側Z2端部と、の上下方向Z位置が等しい場合は、上記[配置a4]が満たされる。
図7に示すように、接続部51sの下側Z2端部と、接続部41sの上側Z1端部と、の上下方向Z位置が等しい場合は、上記[配置a4]が満たされる。
【0036】
(接続部51sの前後方向Xの位置)
図3に示す接続部51sと接続部41sとは、前後方向X位置(前後位置)がいわば重なる。さらに詳しくは、接続部51sの前後方向X位置は、次の[配置b]を満たす。
[配置b]接続部51sの少なくとも一部は、接続部41sの後側X2端部よりも前側X1、かつ、接続部41sの前側X1端部よりも後側X2に配置される。
さらに詳しくは、接続部51sは、次の[配置b1]と[配置b2]とを満たす。
[配置b1]接続部51sの前側X1端部は、接続部41sの後側X2端部(例えば後側デッキ支持部材41の後側X2の端面)よりも前側X1に配置される。
[配置b2]接続部51sの後側X2端部は、接続部41sの前側X1端部(例えば後側デッキ支持部材41の前側X1の端面)よりも後側X2に配置される。
【0037】
上記[配置b]を満たす接続部51sは、次の[配置c]を満たすことがさらに好ましい。
[配置c]接続部51sは、上下方向Zから見たとき、中心軸41aと中心軸51aとが重なる(例えば一致する、または略一致する)ように配置される。
【0038】
(接続部51sの上下方向Zの位置)
図9に示すように、接続部51sと接続部41sとは、上下方向Z位置(高さ位置)がいわば重なる。さらに詳しくは、接続部51sの上下方向Z位置は、次の[配置d]を満たす。
[配置d]接続部51sの少なくとも一部は、接続部41sの上側Z1端部よりも下側Z2、かつ、接続部41sの下側Z2端部よりも上側Z1に配置される。
さらに詳しくは、接続部51sは、次の[配置d1]と[配置d2]とを満たす。
[配置d1]接続部51sの下側Z2端部は、接続部41sの上側Z1端部(例えば後側デッキ支持部材41の上側Z1の端面)よりも下側Z2に配置される。
[配置d2]接続部51sの上側Z1端部は、接続部41sの下側Z2端部(例えば後側デッキ支持部材41の下側Z2の端面)よりも上側Z1に配置される。
なお、接続部51sの上下方向Z位置は、下記のモデルC2〜モデルC6のように設定されてもよい(詳細は下記)。
【0039】
前側側板支持部材52(第二側板支持部材)(
図3参照)は、後側側板支持部材51とほぼ同様に構成される。前側側板支持部材52の、後側側板支持部材51に対する相違点は次の通りである。前側側板支持部材52は、後側側板支持部材51よりも前側X1に配置される。前側側板支持部材52には、中心軸52a(後側側板支持部材51における中心軸51aに対応)と、底板11への接続部(接続部51bに対応、図示なし)と、側板15への接続部52s(接続部51sに対応)と、がある。接続部52sは、接続部42sの裏側部分(接続部41sの裏側部分に対応)に設けられる。接続部42sに対する接続部52sの配置(相対的配置)は、接続部41sに対する接続部51sの配置(相対的配置)と同様に設定される。
【0040】
(比較)
図1に示す上部旋回体1などについて、振動加速度応答を計算し、振動低減効果を比較した(振動の評価を行った)。計算や比較の詳細は次の通りである。エンジンからエンジンデッキ20への外力を想定し、エンジンデッキ20の加振点αを加振したときの、キャブデッキ30の応答評価点βでの振動加速度応答を計算した。加振点αの位置は、エンジンデッキ20のエンジンマウント部(エンジンの取付位置)である。加振力(単位加振力)は1[kgf]である。加振の方向は上下方向Zである。加振の周波数は、エンジンからエンジンデッキ20に伝わり得る周波数の全周波数である。応答評価点βの位置は、実機で振動が大きくなる位置であり、具体的には、キャブデッキ30の最も前側X1かつ最も横方向外側Y2の位置である。評価の対象とした周波数領域は、キャブ内のオペレータの乗り心地に影響が大きい低周波数領域であり、具体的には、10〜25[Hz]である。応答評価点βでの、前後方向X、横方向Y、および上下方向Zそれぞれの振動について、振動のピークの大きさを比較した。なお、比較に用いた解析モデルは、旋回フレーム10、エンジンデッキ20、およびキャブデッキ30を詳細モデル化したものである。この解析モデルでは、後側X2から前側X1に向かって見たときの旋回フレーム10よりも左側のデッキを省略した。この解析モデルでは、キャブ、エンジン、タンク、ラジエータ、ウインチ、ガントリについては、集中マスでモデル化した。
【0041】
(比較1)
図3に示す側板支持部材50の数が互いに異なる複数のモデルについて、振動低減効果を比較した。比較に用いたモデルは、下記のモデルA1〜モデルA4である。
モデルA1は、比較例の上部旋回体であり、側板支持部材50を備えない。モデルA1の側板支持部材50以外の構成は、本実施形態の上部旋回体1と同じである(モデルA2およびモデルA3についても同様)。
モデルA2は、比較例の上部旋回体であり(本実施形態の変形例としてもよい)、後側側板支持部材51を備えず、前側側板支持部材52を備える。
モデルA3は、本実施形態の変形例の上部旋回体であり、前側側板支持部材52を備えず、後側側板支持部材51を備える。
モデルA4は、上記実施形態の上部旋回体1である(さらに詳しくは、上部旋回体1をモデル化したものである)。
【0042】
(比較1の結果)
表1〜表3に計算結果を示す。表中の「振動低減効果[%]」は、側板支持部材50を備えないモデルA1の振動加速度に対して、各モデルの振動加速度がどれだけ減ったかを示す値である(下記の表4〜表9についても同様)。
【表1】
【表2】
【表3】
【0043】
表1に示すように、前後方向Xについて、モデルA1およびモデルA2に比べ、モデルA3およびモデルA4それぞれの振動が低減した。また、表2および表3に示すように、横方向Yおよび上下方向Zそれぞれについて、モデルA1に比べ、モデルA2、モデルA3、およびモデルA4それぞれの振動が低減した。
側板支持部材50を備えない場合(モデルA1)に対する、前側側板支持部材52のみを備える場合(モデルA2参照)の振動低減効果は小さい(具体的には表2および表3参照)ことが分かる。ただし、前側側板支持部材52のみを備える場合でも、振動低減効果はあることが分かる。
前側側板支持部材52のみを備える場合(モデルA2参照)に比べ、後側側板支持部材51のみを備える場合(モデルA3参照)の方が、振動低減効果が大きいことが分かる。そのため、後側側板支持部材51を設けることが、振動低減効果を得るために重要であることが分かる。
後側側板支持部材51のみを備える場合(モデルA3参照)に比べ、前側側板支持部材52および後側側板支持部材51を備える場合(モデルA4参照)の方が、振動低減効果が大きくなることが分かる。
【0044】
前側側板支持部材52よりも後側側板支持部材51の方が、大きい振動低減効果を得られる理由は次の通りである。
図1に示すように、キャブデッキ30は、旋回フレーム10に対して、デッキ支持部材40により支持される。その結果(デッキ支持部材40が設けられることに起因して)、振動加速度応答の評価の対象である10〜25[Hz]の周波数領域では、キャブデッキ30などの振動モードの形状が、
図11に示すようになる。具体的には、キャブデッキ30が、第二側板15Bを支点(変形の中心、振動の中心)として、前後方向X、横方向Y、および上下方向Zに複合的に振動する。このとき、上記「支点」の位置(例えば、横方向Yの振動の中心の位置)は、前側デッキ支持部材43と中央デッキ支持部材42との間の第二側板15Bなどとなる。上記「支点」に近い位置に側板支持部材50を設ける場合よりも、上記「支点」から遠い位置に側板支持部材50を設ける方が、第二側板15Bなどの振動による変形を抑制できる。よって、前側側板支持部材52よりも後側側板支持部材51の方が、大きい振動低減効果を得られる。
【0045】
側板支持部材50を設けることによる振動低減効果の詳細は次の通りである。上記のキャブデッキ30の振動に伴い、第二側板15Bは、デッキ支持部材40に引っ張られ、または押され、変形(振動)する。ここで、第二側板15Bの板厚を増やし、第二側板15Bの剛性を高くする場合について考える。この場合、第二側板15Bの剛性を高くしても、他の部材(具体的には底板11)の剛性が相対的に低くなる。そのため、底板11を支点としてキャブデッキ30が振動するなどのおそれがある。さらに詳しくは、デッキ支持部材40が設けられることに起因する振動形状(キャブデッキ30周辺の振動形状)が、底板11から変形する(動く)振動形状になるおそれがある。そのため、第二側板15Bのみの剛性を高くしても、キャブデッキ30の振動を十分に抑制できないおそれがある。また、第二側板15Bの板厚を増やすと、第二側板15Bの質量が増加する。第二側板15Bが弾性としてではなく慣性として(おもりとして)振動に作用している場合、第二側板15Bの板厚を増やしても、キャブデッキ30の振動を十分に抑制できないおそれがある。一方、
図2に示すように、本実施形態の上部旋回体1では、側板支持部材50は、底板11、第二側板15B、およびデッキ支持部材40の変形を抑制するので、キャブデッキ30の振動を確実に抑制できる。
【0046】
(比較2:前後方向X位置の比較)
図3、
図4、および
図5に示すように、側板支持部材50の側板15への接続部(接続部51s、接続部52s)の前後方向X位置が互いに異なる複数のモデルについて、振動低減効果を比較した。比較に用いたモデルは、下記のモデルB1〜モデルB4である。モデルB1は、上記のモデルA1と同じ、比較例の上部旋回体である。
【0047】
モデルB2〜モデルB4は、本実施形態の上部旋回体1である。モデルB2〜モデルB4では、後側デッキ支持部材41に対する後側側板支持部材51の配置(相対的な配置)と、中央デッキ支持部材42に対する前側側板支持部材52の配置と、は同じである。以下では、後側デッキ支持部材41に対する後側側板支持部材51の配置のみ説明する。
【0048】
モデルB2では、
図4に示すように、中心軸51aは、中心軸41aから65[mm]だけ前側X1の位置に配置される。モデルB2では、接続部51sの後側X2端部は、接続部41sの前側X1端部よりもわずかに後側X2である。モデルB2では、接続部51sの前側X1端部は、接続部41sの前側X1端部よりも前側X1である。
【0049】
モデルB3では、
図5に示すように、中心軸51aは、中心軸41aから32.5[mm]だけ後側X2の位置に配置される。モデルB3では、接続部51sの前側X1端部と、中心軸41aと、の前後方向X位置が等しい(またはほぼ等しい)。モデルB3では、接続部51sの後側X2端部は、接続部41sの後側X2端部よりも後側X2である。
【0050】
モデルB4では、
図3に示すように、中心軸51aと中心軸41aとの前後方向X位置は等しい(上記[配置c]を満たす)。モデルB4では、接続部51sの後側X2端部と、接続部41sの後側X2端部と、の前後方向X位置が等しい(またはほぼ等しい)。モデルB4では、接続部51sの前側X1端部と、接続部41sの前側X1端部と、の前後方向X位置が等しい(またはほぼ等しい)。
【0051】
(比較2の結果)
表4〜表6に計算結果を示す。
【表4】
【表5】
【表6】
【0052】
表4〜表6に示すように、各方向について、モデルB1(比較例)に比べ、モデルB2〜モデルB4それぞれの振動が低減した。また、モデルB2およびモデルB3に比べ、モデルB4で振動がより低減した。
各中心軸(中心軸41aと中心軸51aなど)の前後方向X位置が重なる(揃う)場合(
図3のモデルB4参照)は、各中心軸が重ならない場合(
図4のモデルB2および
図5のモデルB3参照)に比べ、振動低減効果が大きいことが分かる。この比較から、各中心軸の前後方向X位置をずらすと、振動低減効果が減ることが分かる。各中心軸の前後方向X位置のずれを、モデルB2(
図4参照)やモデルB3(
図5参照)よりもさらに大きくすると、振動低減効果がさらに低減すると考えられる。
ただし、各中心軸の前後方向X位置がずれている場合(
図4のモデルB2および
図5のモデルB3参照)でも、側板支持部材50を備えない場合(モデルB1)と比べると、振動低減効果が得られることが分かる。
【0053】
(比較3:上下方向Z位置の比較)
図6〜
図10に示すように、側板支持部材50の側板15への接続部(接続部51s、接続部52s(
図3参照))の上下方向Z位置が互いに異なる複数のモデルについて、振動低減効果を比較した。比較に用いたモデルは、下記のモデルC1〜モデルC6である。モデルC1は、モデルA1と同じ、比較例の上部旋回体である。
【0054】
モデルC2〜モデルC6は、本実施形態の上部旋回体1である。モデルC2〜モデルC6では、
図3に示すように、後側デッキ支持部材41に対する後側側板支持部材51の配置(相対的な配置)と、中央デッキ支持部材42に対する前側側板支持部材52の配置と、は同じである。以下では、後側デッキ支持部材41に対する後側側板支持部材51の配置のみ説明する。モデルC2〜モデルC6では、上記のモデルB4のように、中心軸41aと中心軸51aとの前後方向Xの位置が揃う。
図6〜
図10に示すように、モデルC2、モデルC3、モデルC4、モデルC5、モデルC6の順に、接続部51sが下側Z2に配置される。
【0055】
モデルC2では、
図6に示すように、接続部51sの上側Z1端部と、第二側板15Bの上側Z1端部と、の上下方向Z位置が等しい。モデルC2では、接続部51sの下側Z2端部は、接続部41sの上側Z1端部よりも上側Z1である(例えば後側デッキ支持部材41の上面よりも上側Z1である)。なお、モデルC2では、上記[配置a]は満たされ、上記[配置d]は満たされない(モデルC3も同様)。
【0056】
モデルC3では、
図7に示すように、接続部51sの上側Z1端部は、第二側板15Bの上側Z1端部よりも下側Z2である。接続部51sの下側Z2端部と、接続部41sの上側Z1端部と、の上下方向Z位置は等しい。
【0057】
モデルC4では、
図8に示すように、接続部51sにおける中心軸51aの位置(前後方向Xから見て接続部51sと中心軸51aとが交わる位置)は、接続部51sにおける中心軸41aの位置から100[mm]だけ上側Z1である。接続部51sにおける中心軸51aの位置は、接続部41sの上側Z1端部よりも下側Z2である。モデルC4では、接続部51sの上側Z1端部は、接続部41sの上側Z1端部よりも上側Z1である。モデルC4では、接続部51sの下側Z2端部は、接続部41sの上側Z1端部よりも下側Z2であり、接続部41sの下側Z2端部よりも上側Z1である。
【0058】
モデルC5では、
図9に示すように、接続部51sにおける中心軸51aの位置と、接続部51sにおける中心軸41aの位置と、の上下方向Z位置が等しい(揃う)。モデルC5では、接続部51sの上側Z1端部と、接続部41sの上側Z1端部と、の上下方向Z位置とが等しい(またはほぼ等しい)。モデルC5では、接続部51sの下側Z2端部と、接続部41sの下側Z2端部と、の上下方向Z位置が等しい(またはほぼ等しい)。
【0059】
モデルC6では、
図10に示すように、接続部51sにおける中心軸51aの位置は、接続部51sにおける中心軸41aの位置から100[mm]だけ下側Z2である。モデルC6では、接続部51sの上側Z1端部は、接続部41sの上側Z1端部よりも下側Z2であり、接続部41sの下側Z2端部よりも上側Z1であり、例えば中心軸41aよりも上側Z1である。モデルC6では、接続部51sの下側Z2端部は、接続部41sの下側Z2端部よりも下側Z2である。
【0060】
(比較3の結果)
表7〜表9に計算結果を示す。
【表7】
【表8】
【表9】
【0061】
表7〜表9に示すように、前後方向X、横方向Y、および上下方向Zそれぞれについて、モデルC1(比較例)に比べ、モデルC2〜モデルC6それぞれの振動が低減した。また、モデルC2に比べ、モデルC3〜C6で振動低減が大きかった。
接続部51sの下側Z2端部が、接続部41sの上側Z1端部よりも上側Z1に配置される場合(
図6のモデルC2参照)は、そうでない場合(モデルC3〜モデルC6参照)に比べ、振動低減効果が小さくなることが分かる。
ただし、モデルC2のような場合でも、側板支持部材50を備えない場合(モデルC1)と比べると、振動低減効果が得られることが分かる。
【0062】
図9に示す接続部51sの上下方向Z位置の詳細は次の通りである。第二側板15Bと底板11との接合部では、底板11が第二側板15Bの変形を抑制させる構造となっている。そのため、第二側板15Bは、下側Z2部分よりも上側Z1部分で変形しやすい(振動しやすい)。そこで、接続部51sの位置を、より上側Z1部分とすることで、振動低減効果を大きくすることが期待できる。ただし、接続部51sの位置が上側Z1すぎる(高すぎる)と、振動低減効果が減る。具体的には、接続部51sの下側Z2端部が、接続部41sの上側Z1端部よりも上側Z1に配置された場合(
図6のモデルC2参照)は、そうでない場合(モデルC3〜モデルC6)に比べ、振動低減効果は減る。
なお、通常、第二側板15Bの上側Z1端部には、ブームB(
図3参照)やウインチ(図示なし)を支持するために補剛がされている。しかし、第二側板15B全体に補剛を行うと質量増やコスト増となる。そのため、通常、第二側板15Bの接続部41sの近傍には補剛がされていない。そのため、側板支持部材50が設けられなければ、接続部41sの近傍は変形しやすい。
【0063】
(比較4:横方向Y位置の比較)
図9に示す側板支持部材50の底板11への接続部51bの、横方向Y位置が互いに異なる複数のモデルについて、振動低減効果を比較した。比較に用いたモデルは、下記のモデルD1〜モデルD3である。モデルD1は、上記のモデルA1と同じ、比較例の上部旋回体である。
【0064】
モデルD2およびモデルD3は、本実施形態の上部旋回体1である。モデルD2およびモデルD3では、後側デッキ支持部材41に対する後側側板支持部材51の配置と、中央デッキ支持部材42(
図3参照)に対する前側側板支持部材52(
図3参照)の配置(相対的な配置)と、は同じである。以下では、後側デッキ支持部材41に対する後側側板支持部材51の配置のみ説明する。
【0065】
モデルD2では、接続部51bの横方向内側Y1端部の位置は、旋回モータ取付部(図示なし)の近傍(ほぼ隣接する位置)である。
モデルD3では、接続部51bの横方向内側Y1端部の位置は、旋回モータ取付部から120[mm]だけ、第二側板15B側(横方向外側Y2)である。
【0066】
(比較4の結果)
表10〜表12に計算結果を示す。
【表10】
【表11】
【表12】
【0067】
表10〜表12に示すように、各方向について、モデルD1(比較例)に比べ、モデルD2およびモデルD3それぞれの振動が低減した。モデルD3に比べ、モデルD2で振動が低減した。接続部51bの横方向Yの位置を、横方向内側Y1に設定するほど(第二側板15Bから離し、旋回モータ取付部に近づけるほど)、振動低減効果が大きくなると考えられる。
【0068】
(効果1)
図1に示す上部旋回体1による効果は次の通りである。上部旋回体1は、旋回フレーム10と、キャブデッキ30と、複数のデッキ支持部材40と、後側側板支持部材51(
図2参照)と、を備える。旋回フレーム10は、前後方向Xに延びる底板11と、底板11から上側Z1に延びる側板15と、を備える。キャブデッキ30は、旋回フレーム10よりも横方向外側Y2に配置される。デッキ支持部材40は、側板15とキャブデッキ30とに接続され、複数の単位デッキ支持部材(後側側板支持部材51など)により構成される。
[構成1−1]
図2に示すように、後側側板支持部材51は、側板15と底板11とに接続される。
[構成1−2]
図3に示すように、デッキ支持部材40は、後側デッキ支持部材41を備える。後側デッキ支持部材41は、複数の単位デッキ支持部材のうち最も後側X2に配置され、キャブデッキ30の後側X2部分に接続される。
[構成1−3]後側側板支持部材51の側板15への接続部51sは、後側デッキ支持部材41の、側板15への接続部41sの裏側部分である。
【0069】
上記[構成1−1]により、後側側板支持部材51は、底板11および側板15の振動を抑制できる。ここで、キャブデッキ30の後側X2部分は、キャブデッキ30の前後方向X中央部分よりも、振動が大きくなりやすい。そこで、キャブデッキ30の後側X2部分に接続される後側デッキ支持部材41(上記[構成1−2])の接続部41sの裏側部分に、後側側板支持部材51の側板15への接続部51sが設けられる(上記[構成1−3])。よって、後側側板支持部材51は、後側デッキ支持部材41を介して、振動が大きくなりやすいキャブデッキ30の後側X2部分の振動を抑制できる。よって、キャブデッキ30の振動を抑制できる。
【0070】
(効果2)
[構成2]後側側板支持部材51の側板15への接続部51sの前側X1端部は、後側デッキ支持部材41の側板15への接続部41sの後側X2端部よりも前側X1に配置される。後側側板支持部材51の側板15への接続部51sの後側X2端部は、後側デッキ支持部材41の側板15への接続部41sの前側X1端部よりも後側X2に配置される。
【0071】
上記[構成2]により、後側側板支持部材51は、後側デッキ支持部材41の振動をより確実に抑制できる。その結果、キャブデッキ30の振動をより確実に抑制できる。
【0072】
(効果3)
[構成3]上下方向Zから見たとき、後側デッキ支持部材41の前後方向X中心を通る中心軸41aと、後側側板支持部材51の前後方向X中心を通る中心軸51aと、が重なる。
【0073】
上記[構成3]により、後側側板支持部材51は、後側デッキ支持部材41の振動をより確実に抑制できる(詳細は上記「比較2」を参照)。その結果、キャブデッキ30の振動をより確実に抑制できる。
【0074】
(効果4)
[構成4]
図9に示すように、後側側板支持部材51の側板15への接続部51sの下側Z2端部は、後側デッキ支持部材41の側板15への接続部41sの上側Z1端部よりも下側Z2に配置される。後側側板支持部材51の側板15への接続部51sの上側Z1端部は、後側デッキ支持部材41の側板15への接続部41sの下側Z2端部よりも上側Z1に配置される。
【0075】
上記[構成4]により、後側側板支持部材51は、後側デッキ支持部材41の振動をより確実に抑制できる(詳細は上記「比較3」を参照)。その結果、キャブデッキ30の振動をより確実に抑制できる。
【0076】
(効果5)
図3に示すように、デッキ支持部材40は、後側デッキ支持部材41よりも前側X1に配置される中央デッキ支持部材42を備える。
[構成5−1]側板支持部材50は、後側側板支持部材51と、前側側板支持部材52と、を備える。
[構成5−2]後側側板支持部材51は、後側デッキ支持部材41の側板15への接続部41sの裏側部分で側板15に接続される(上記[構成1−3]参照)。
[構成5−3]前側側板支持部材52は、後側側板支持部材51よりも前側X1に配置され、中央デッキ支持部材42の側板15への接続部42sの裏側部分で側板15に接続される。
【0077】
上部旋回体1は、上記[構成5−1]および[構成5−3]を備える。よって、後側側板支持部材51が後側デッキ支持部材41を介してキャブデッキ30の振動を抑制するだけでなく、前側側板支持部材52が中央デッキ支持部材42を介してキャブデッキ30の振動を抑制する。よって、前側側板支持部材52が設けられない場合に比べ、キャブデッキ30の振動をより確実に抑制できる(詳細は上記「比較1」を参照)。
【0078】
(効果6)
図1に示すように、上部旋回体1は、エンジンデッキ20を備える。エンジンデッキ20は、旋回フレーム10に接続され、かつ、旋回フレーム10よりも横方向外側Y2に配置される。
[構成6]エンジンデッキ20は、キャブデッキ30との間に前後方向Xの隙間Sをあけてキャブデッキ30よりも後側X2に配置される。
【0079】
上記[構成6]では、キャブデッキ30とエンジンデッキ20との間に隙間Sがあいていない場合(キャブデッキ30とエンジンデッキ20とが直接つながれている場合)に比べ、旋回フレーム10に対してキャブデッキ30が振動しやすい。このような構成であっても、上部旋回体1では、上記[構成1−1]〜[構成1−3]により、キャブデッキ30の振動を抑制できる。
【0080】
(他の変形例)
上記実施形態および変形例は、さらに様々に変形できる。
上記のモデルA3、A4、B2〜B4、およびC2〜C6の構成(条件)が、適宜組み合わされてもよい。
図3に示す後側デッキ支持部材41に対する後側側板支持部材51の配置(相対的な配置)と、中央デッキ支持部材42に対する前側側板支持部材52の配置(相対的な配置)と、が異なってもよい。
上記実施形態の構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、前側デッキ支持部材43は設けられなくてもよい。
上記実施形態の構成要素の数が変更されてもよい。例えば、
図1に示すように、上記実施形態では、側板15は2枚設けられたが、側板15の数は2枚を超えてもよい。また例えば、
図3に示すように、デッキ支持部材40を構成する単位デッキ支持部材の数は、上記実施形態では3本であったが、2本以下でもよく、4本以上でもよい。また例えば、側板支持部材50の数は、上記実施形態では2であり、変形例(モデルA3)では1であったが、3以上でもよい。