特許第6533731号(P6533731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6533731フレキシブルコンテナ破袋システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533731
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】フレキシブルコンテナ破袋システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20190610BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20190610BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20190610BHJP
【FI】
   B65B69/00 101
   G21F9/36 G
   B23K26/38 Z
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-196891(P2015-196891)
(22)【出願日】2015年10月2日
(65)【公開番号】特開2017-65793(P2017-65793A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(72)【発明者】
【氏名】上田 昭郎
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 桂
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−096545(JP,A)
【文献】 特開平10−086918(JP,A)
【文献】 特開2015−155882(JP,A)
【文献】 特開2015−105095(JP,A)
【文献】 特開2014−193751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B69/00
B23K26/38
G21F 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルコンテナが載置される固定床版と、
前記フレキシブルコンテナの底面中央部を含むように前記固定床版に形成された開口部と、
前記フレキシブルコンテナにおける前記開口部の縁部近傍の部位にレーザーを照射しつつ、前記開口部の縁部に沿って相対移動し、前記フレキシブルコンテナの底部を切断するレーザーヘッドと、
前記開口部に配置されて前記レーザーによる切断時に前記固定床版と共に床面を形成し、切断後に前記フレキシブルコンテナから離れる方向に移動して、前記フレキシブルコンテナの収容物を前記開口部を介して排出させる可動床版と、
を含んで構成され
前記可動床版は、床面形成時に、前記開口部の内周面と前記可動床版の外周面との間に、前記レーザーが通過する間隙を形成することを特徴とする、フレキシブルコンテナ破袋システム。
【請求項2】
前記レーザーヘッドは、前記固定床版の下方に配置されて、上向きにレーザーを照射することを特徴とする、請求項1記載のフレキシブルコンテナ破袋システム。
【請求項3】
前記レーザーヘッドは、前記開口部の半径方向外側から内側に向けて、斜め上向きにレーザーを照射することを特徴とする、請求項2記載のフレキシブルコンテナ破袋システム。
【請求項4】
フレキシブルコンテナが載置される固定床版と、
前記フレキシブルコンテナの底面中央部を含むように前記固定床版に形成された開口部と、
前記フレキシブルコンテナにおける前記開口部の縁部近傍の部位にレーザーを照射しつつ、前記開口部の縁部に沿って相対移動し、前記フレキシブルコンテナの底部を切断するレーザーヘッドと、
前記開口部に配置されて前記レーザーによる切断時に前記固定床版と共に床面を形成し、切断後に前記フレキシブルコンテナから離れる方向に移動して、前記フレキシブルコンテナの収容物を前記開口部を介して排出させる可動床版と、
を含んで構成され
前記開口部が、前記フレキシブルコンテナの底部が嵌合して係止される大きさに設定され、
前記レーザーヘッドは、前記固定床版の上方に配置されて、前記開口部の半径方向外側から内側に向けて、斜め下向きにレーザーを照射することを特徴とする、フレキシブルコンテナ破袋システム。
【請求項5】
前記レーザーヘッドは、前記フレキシブルコンテナの底部をC字状に切断することを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ破袋システム。
【請求項6】
前記レーザーの焦点位置を調整可能な焦点位置調整機構を更に含んで構成されることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ破袋システム。
【請求項7】
前記フレキシブルコンテナにおける前記開口部の縁部近傍の部位に突き刺さって、前記開口部の縁部に沿って相対移動し、前記フレキシブルコンテナの底部を切断するカッターを更に含んで構成され、
前記レーザーヘッドと前記カッターとが選択的に用いられることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ破袋システム。
【請求項8】
前記レーザーヘッドは、炭酸ガスレーザーを照射する第1のレーザーヘッドと、ファイバーレーザーを照射する第2のレーザーヘッドとの2種設けられ、
前記第1のレーザーヘッドと前記第2のレーザーヘッドとが選択的に用いられることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ破袋システム。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ破袋システムを用いて、除染に伴い発生した除去物を収容しているフレキシブルコンテナを破袋することを特徴とする、フレキシブルコンテナ破袋方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管・運搬用の袋状の包材であるフレキシブルコンテナ(フレキシブルコンテナバッグともいう)から収容物を取り出す際に用いるフレキシブルコンテナ破袋システム(及び方法)に関する。
尚、本明細書では、「フレキシブルコンテナ」という用語に関し、以下では、略称として一般に定着している「フレコン」を用いる。
【背景技術】
【0002】
フレコンは、粉状物や粒状物の保管・運搬に適しており、収納は上部の開口部から行い、マチ部分によって開口部を閉じることが可能である。また、フレコンには丈夫なループ状の吊りベルトが付いていて、クレーン等で吊り上げるのに適している。
【0003】
かかるフレコンから収容物を取り出すためのフレコン破袋装置としては、次のようなものがある。
特許文献1に記載のフレコン破袋装置(開封装置)は、荷受けホッパ内に上刃付ナイフ体を逆V字状に固設し、この上にフレコンを急速に降下させてフレコンの底部を開裂させる。
【0004】
特許文献2に記載のフレコン破袋装置(開封装置)は、荷受けホッパ上部にフレコン預け台を設置し、前記フレコン預け台の周囲に、1箇所に切刃を取付けた回転可能な回転体を取付け、前記回転体を回転させることによってフレコン底部を切断し、フレコンを開封する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平04−132017号公報
【特許文献2】特開2009−096545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、除染に伴い発生した除去土壌などの除去物(除染で取り除いた土壌や放射性物質に汚染された廃棄物)は、一定容量ずつ、フレコンに収納されて、仮置き場などの一時保管場所に保管されている。
かかる除去物を一時保管場所から中間貯蔵施設へ搬入して貯蔵する際、分別と減容化処理のため、フレコンを破袋して、収容物を取り出す必要がある。このため、破袋装置が必要となる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の破袋装置は、フレコンの自重のみによるため、破袋の確実性に劣るという問題点がある。
また、図11(A)、(B)に一般的なフレコンの正面図及び底面図を示すように、フレコンには2本の吊りベルトが縫い付けられており、フレコンの底面では2本のベルトが交差して、二重になっている。このベルト交差部は厚手のベルトが二重に縫い付けられており、簡単に切断することができない。
従って、特許文献1に記載の破袋装置のように底面中央部から切断しようとするもの、あるいは底面中央部を横断する形で切断しようとするものは、ベルト交差部を切断しなければならず、これによって確実な切断が困難となる恐れがある。
【0008】
また、特許文献2に記載の破袋装置は、フレコンの底面において、カッター(切刃)を周方向に回転させて、リング状又はC字状に切断するので、ベルト交差部を避けることができる利点はある。
しかし、カッターを回転させる方式では、カッターを回転させても、フレコンの袋が逃げてしまったり、フレコンの袋にしわ等があったりすると、刃が中に入って行かず、その結果フレコンを破袋できないことがあるという問題点がある。
また、フレコンに収納された除去物には、コンクリート片や金属片など、硬いものも含まれる。除去土壌の場合でも、採取した場所の土質や、フレコンに詰められて長時間放置されたことで、フレコン内で締固められていて、極めて硬いこともある。このような場合に、カッターを回転させる方式では、確実な切断が困難になると考えられる。
【0009】
本発明は、このような実状に鑑み、フレコンの破袋をより確実に行うことができ、しかも除染に伴い発生した除去土壌などの除去物を収容したフレコンを破砕するのに適したフレコン破袋システム(及び方法)を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係るフレコン破袋システムは、フレコンが載置される固定床版と、前記フレコンの底面中央部を含むように前記固定床版に形成された開口部と、前記フレコンにおける前記開口部の縁部近傍の部位にレーザーを照射しつつ、前記開口部の縁部に沿って相対移動し、前記フレコンの底部を切断するレーザーヘッドと、を含んで構成される。
【0011】
前記レーザーヘッドは、前記固定床版の下方に配置されて、上向きにレーザーを照射する構成とするとよく、更には、前記開口部の半径方向外側から内側に向けて、斜め上向きにレーザーを照射する構成としてもよい。
あるいは、前記開口部が前記フレコンの底部が嵌合して係止される大きさに設定されることを条件として、前記レーザーヘッドは、前記固定床版の上方に配置されて、前記開口部の半径方向外側から内側に向けて、斜め下向きにレーザーを照射する構成とすることもできる。
【0012】
本発明に係るフレコン破袋システムは、前記開口部に配置されて前記レーザーによる切断時に前記固定床版と共に床面を形成し、切断後に前記フレコンから離れる方向に移動して、前記フレコンの収容物を前記開口部を介して排出させる可動床版を更に含んで構成されるとよい。前記レーザーヘッドが前記固定床版の下方に配置される場合、前記可動床版は、床面形成時に前記開口部の内周面と前記可動床版の外周面との間に、前記レーザーが通過する間隙(スリット)を形成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レーザーヘッドを用い、フレコンの底部をベルト交差部を避けてレーザーにより切断することにより、破袋の確実性を向上させることができる。特にレーザーはフレコンの収容物の如何にかかわらず破袋が可能で、カッター(切刃)を用いる場合のようなメンテナンスが不要となる。
また、フレコンを固定床版上に載置することで、フレコンを位置決めできる。固定床版に開口部があるとしても、少なくとも開口部の縁部では、フレコンを位置決めできる。従って、フレコンにおける開口部の縁部近傍の部位を狙ってレーザーを照射しつつ、開口部の縁部に沿ってレーザーを移動させることにより、レーザーの焦点位置(スポット)を定めるのが比較的容易となり、レーザーによる確実な破袋が可能となる。
【0014】
更に、可動床版を併用する方式とすることで、レーザーによる切断時のフレコンの位置決めがより確実になると共に、切断途中でフレコンの収容物の排出が開始されてフレコンの形状が変わるのを抑制できる。
【0015】
従って、本発明に係るフレコン破袋システムを用いることで、除染に伴い発生した除去物を収容しているフレコンを確実に破袋することができ、大量のフレコンを処理する必要があり、しかも放射性物質を取り扱うことから、基本的に無人状態でなされる作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態を示すフレコン破袋システムの正面図
図2】同上のフレコン破袋システムの底面図
図3】同上のフレコン破袋システムの工程図
図4】本発明の第2実施形態を示すフレコン破袋システムの正面図
図5】本発明の第3実施形態を示すフレコン破袋システムの正面図
図6】第3実施形態の要部拡大図
図7】本発明の第4実施形態を示すフレコン破袋システムの正面図
図8】第4実施形態の底面図
図9】本発明の第5実施形態を示すフレコン破袋システムの正面図
図10】本発明の第6実施形態を示すフレコン破袋システムの正面図
図11】一般的なフレコンの正面図及び底面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1図3は本発明に係るフレコン破袋システムの第1実施形態を示し、図1は正面図、図2は底面図、図3は工程図である。
【0018】
本実施形態でのフレコン1は、円筒状で、除染に伴い発生した除去土壌などの除去物が詰められていて、仮置き場などの一時保管場所から車両により中間貯蔵施設へ搬入される。中間貯蔵施設では、フレコン1を破袋して、収容物を取り出す一方、破袋したフレコン1(袋)は別途回収する。
【0019】
フレコン破袋システムは、フレコン1が載置される固定床版10を含んで構成される。
【0020】
フレコン1は、収容物を収容した状態で、破袋施設の天井部に設けられた移動用レールに沿って移動可能な電動ホイスト(図示せず)のワイヤ2により、その下端のフック3に吊り下げられて移動する。そして、固定床版10の上方位置に達すると、ワイヤ2と共に降下して、固定床版10の上面中央部に載置される。載置された状態では、破袋後にフレコン1(袋)を回収するため、フック3から吊りベルトが外れないように、吊りベルトがある程度の緊張状態に保持されるようにする。
【0021】
固定床版10の中央部には、フレコン1の底面中央部を含むように円形の開口部11が形成されている。すなわち、開口部11は、フレコン1の底面中央部(ベルト交差部)より大きく形成され、ベルト交差部が開口部11内に収まるようにする。開口部11はまた、フレコン1の外径より小さく形成され、フレコン1を載置して保持するのに支障がないようにする。
【0022】
固定床版10の開口部11内には、円形の可動床版12が配置される。ここにおいて、固定床版10の開口部11の内周面と、可動床版12の外周面との間には、レーザー通過用の幅10mm程度の間隙(スリット)13が環状に形成される。
【0023】
可動床版12は、油圧シリンダ等の駆動機構14により、上下動可能で、固定床版10とほぼ面一になって固定床版10と共に床面を形成する位置と、固定床版10より下方へ待避する位置(図示点線位置)とに移動可能である。
【0024】
固定床版10と可動床版12との間の間隙13の下方には、環状をなす間隙13に沿って移動可能にレーザーヘッド15が配置される。
レーザーヘッド15は、上方に向かってレーザーを照射し、レーザーは前記間隙13を通過してフレコン1の底部に照射される。レーザーヘッド15はまた、レーザーを照射しつつ、前記間隙13に沿って水平面内を移動する。
尚、レーザーヘッド15はレーザー発生源(図示せず)に可撓性の光ファイバーあるいは回転鏡などを有する光学系を介して接続されている。
【0025】
レーザーヘッド15の移動機構は、固定床版10の下面に開口部11を囲むように環状に配設されたレール16と、レール16に沿って走行可能な走行体17とを含んで構成され、走行体17が位置調整機構18を介してレーザーヘッド15を支持する。レール16に沿う走行体17の移動により、レーザーヘッド15は前記間隙13に沿って移動することができる。
【0026】
位置調整機構18は、走行体17へのレーザーヘッド15の取付位置を上下方向に変更することができ、これにより、焦点距離一定のレーザーヘッド15の焦点位置がフレコン1の底部と一致するように微調整することができる。従って、取付位置調整用の位置調整機構18は焦点位置調整機構として機能する。
尚、レーザーヘッド15は、その内部にレーザー集光用のフォーカスレンズを有して、レーザーを収束させる。エネルギー密度を高めて、確実な切断を行うためである。フォーカスレンズと収束位置(スポット)の間が焦点距離であり、フレコン1の底部がスポットとなるように、フォーカスレンズが選定され、上下方向の取付位置が調整される。
【0027】
次に本実施形態のフレコン破袋システムの動作について図3の工程図により説明する。
尚、本システムは、放射性物質を取り扱うことから、基本的に無人状態でかつ外部から遠隔操作可能な状態で自動運転され、その運転状態は監視カメラにより監視される。
【0028】
図3(A)に示されるように、ワイヤ2先端のフック3により吊り下げて、フレコン1を固定床版10の上面中央部に載置する。このとき、可動床版12は上動していて、固定床版10の開口部11内で、固定床版10と面一になっており、フレコン1は、固定床版10及び可動床版12上に載置される。かかる状態でフレコン1の底部は自重により固定床版10及び可動床版12に押付けられ、平面状態となる。
【0029】
かかる載置状態から、レーザーヘッド15により固定床版10と可動床版12との間の間隙13を介してフレコン1の底部にレーザーを照射させつつ、レーザーヘッド15を間隙13に沿って移動させる。これにより、フレコン1の底部が環状に切断される。これにより、フレコン1の底部に穴があき、収容物の排出が可能となる。
このとき、レーザーヘッド15は、180°以上、360°未満回転させるとよい。より具体的には20〜30°残して、回転させる。これにより、フレコン1の底部がC字状に切断され、収容物の排出が可能となる一方、フレコン1の袋自体が切り取られて、収容物に混じって排出されるのを防止できる。
【0030】
レーザーヘッド15による切断後は、図3(B)に示すように、可動床版12を下動させる。これにより、固定床版10の開口部11が開口し、フレコン1の収容物が開口部11を介して落下し、排出される。
尚、固定床版10及び可動床版12の下方にはホッパ(図示せず)が配置されており、フレコン1より排出された収容物はホッパに回収される。
【0031】
収容物が排出された後は、図3(C)に示すように、ワイヤ2先端のフック3に破袋されたフレコン1の袋のみ(前述の切り残し部を含む)が残されるので、ワイヤ2を引き上げて、移動させ、適宜の位置で破袋済みのフレコン1を回収する。これは、可燃物として焼却処理に回すことができる。
【0032】
尚、図1に示してあるように、固定床版10上におけるフレコン1の載置状態をより一定に保つため、フレコン1を両側から押さえる押さえ機構20を設けるようにしてもよい。レーザーによる切断の場合は、切断によってフレコンに外力が加わることはないので、押さえ機構20を設けるとしても、フレコン1の位置を一定にするためにガイドする程度でよい。また、この押さえ機構20を利用し、切断後に、押込んで、収容物を押出すようにしてもよい。尚、固定床版10の下側(ホッパ側)を負圧にしておくと、大気圧の作用で収容物の押出し効果がさらに高まる。
【0033】
本実施形態に係るフレコン破袋システムは、フレコン1が載置される固定床版10と、フレコン1の底面中央部を含むように固定床版10に形成された開口部11と、フレコン1における開口部11の縁部近傍(縁部内側)の部位にレーザーを照射しつつ、開口部11の縁部に沿って相対移動し、フレコン1の底部を切断するレーザーヘッド15と、を含んで構成される。
これによれば、フレコン1の底部をベルト交差部を避けてレーザーにより切断することにより、破袋の確実性を向上させることができる。特にレーザーはフレコン1の収容物の如何にかかわらず破袋が可能で、カッター(切刃)を用いる場合のようなメンテナンスが不要となる。
【0034】
また、本実施形態に係るフレコン破袋システムでは、レーザーヘッド15は、固定床版10の下方に配置されて、上向きにレーザーを照射する。これにより、フレコン1の底部に対し、最短距離でレーザーを照射することが可能となり、確実な切断が可能となる。
【0035】
また、本実施形態に係るフレコン破袋システムは、固定床版10の開口部11に配置されてレーザーによる切断時に固定床版10と共に床面を形成し、切断後にフレコン1から離れる方向に移動して、フレコン1の収容物を開口部11を介して排出させる可動床版12を更に含んで構成され、前記可動床版12は、前記開口部11の内周面と前記可動床版12の外周面との間に、レーザーが通過する間隙13を形成する。
これによれば、固定床版10と可動床版12とでフレコン1を位置決めすることで、レーザーによる切断時のフレコン1の位置決めがより確実になる。従って、固定床版10と可動床版12との間の間隙13に沿って、レーザーを移動させる構成とすることにより、レーザーの焦点位置(スポット)を定めるのが容易となり、レーザーのエネルギーをフレコン1に集中させるのが容易となることから、レーザーによる確実な破袋が可能となる。
また、固定床版10と可動床版12とでフレコン1を位置決めすることで、切断途中でフレコン1の収容物の排出が開始されてフレコン1の形状が変わるのを抑制でき、切断中、所期の切断性能を維持することができる。
また、フレコン1の底部が固定床版10と可動床版12とに密着しているので、レーザーにより、フレコン1の底部が燃えたとしても、燃え広がることはない。
【0036】
但し、可動床版12を設けることなく、実施することも可能である。この場合、フレコン1の位置決めは、開口部11を有する固定床版10のみで行うことになるが、固定床版10に開口部があるとしても、少なくとも開口部11の縁部では、フレコン1を位置決めできる。従って、開口部11の縁部に沿って(縁狙いで)、レーザーを移動させることにより、レーザーの焦点位置(スポット)を定めるのが比較的容易となり、レーザーによる確実な破袋が可能となる。
また、フレコン1は、固定床版10に対し開口部11の縁部で密着しているので、レーザーにより、フレコン1の底部が燃えたとしても、それ以上、燃え広がることはない。
【0037】
また、本実施形態に係るフレコン破袋システムでは、レーザーヘッド15は、フレコン1の底部をC字状に切断する。これにより、フレコン1の袋自体が切り取られて、収容物に混じって排出されるのを防止でき、破袋済みのフレコン1の全てを可燃物として焼却処理に回すことができる。
【0038】
また、本実施形態に係るフレコン破袋システムは、レーザーの焦点位置(スポット)を調整可能な焦点位置調整機構(位置調整機構18)を更に含んで構成される。これにより、焦点位置の微調整が可能となる。
例えば、中間貯蔵施設に持ち込まれるフレコンの中には、仮置き場などにおいてフレコンの袋が傷んでしまったため、そのまま別のフレコンに入れて、搬入したものもある。このようにして持ち込まれたフレコンは、袋が二重になっている。このような二重袋のフレコンを破袋する場合に、位置調整機構18による焦点位置の調整が有効になる。
【0039】
図4は本発明に係るフレコン破袋システムの第2実施形態を示している。尚、第2実施形態において第1実施形態と対応する要素には同一符号を付して説明を簡素化する。
【0040】
第2実施形態では、レーザーヘッド15は、フレコン1における開口部11の縁部近傍(縁部内側)にレーザーを照射するに際し、固定床版10の下方に配置されて、開口部11の半径方向外側から内側に向けて、斜め上向きにレーザーを照射する。
この場合、固定床版10の開口部11の内周面は上方に向かって先すぼまりのテーパ面とし、可動床版12の外周面は上方に向かって先細りのテーパ面とする。
【0041】
第2実施形態によれば、レーザーヘッド15は、固定床版10の下方に配置されて、開口部11の半径方向外側から内側に向けて、斜め上向きにレーザーを照射する構成としたので、レーザーヘッド15をフレコン1の収容物が排出される開口部11の直下から待避させて配置することができる。これにより、フレコン1の収容物の排出時に収容物がレーザーヘッド15を直撃するのを回避することができる。
【0042】
図5は本発明に係るフレコン破袋システムの第3実施形態を示している。図6は要部の拡大図である。尚、第3実施形態においても第1実施形態と対応する要素には同一符号を付して説明を簡素化する。
【0043】
第3実施形態では、固定床版10の開口部11が、フレコン1の底部が嵌合して係止される大きさに設定される。すなわち、フレコン1の底部は、底面と側面との角アール部で、開口部11に嵌合し、係止される。
レーザーヘッド15は、フレコン1における開口部11の縁部近傍(縁部上側)にレーザーを照射するに際し、固定床版10の上方に配置されて、開口部11の半径方向外側から内側に向けて、斜め下向きにレーザーを照射する。
この場合、固定床版10の開口部11の内周面は上方に向かって先すぼまりのテーパ面とし、固定床版10の上面側の開口部11の縁部(図6中のE)でフレコン1を位置決めできるようにする。レーザーはこの縁部Eの内側を通過する。また、レール16は、固定床版10の上面に開口部11を囲むように環状に配設される。尚、可動床版12等については、省略したが、採用してもよい。
【0044】
第3実施形態によれば、固定床版10の開口部11が、フレコン1の底部が嵌合して係止される大きさに設定され、レーザーヘッド15は、固定床版10の上方に配置されて、開口部11の半径方向外側から内側に向けて、斜め下向きにレーザーを照射する構成としたので、レーザーヘッド15をフレコン1の収容物が排出される固定床版10の下側から待避させることができる。これにより、レーザーヘッド15がフレコン1から排出される収容物の影響を受けることがほぼなくなり、切断機能を安定的に維持することができる。
【0045】
上記のように、レーザー式のフレコン破袋システムを用いることで、除染に伴い発生した除去物を収容しているフレコンを確実に破袋することができ、大量のフレコンを処理する必要があり、しかも放射性物質を取り扱うことから、基本的に無人状態でなされる作業の効率化を図ることができる。
【0046】
次にレーザーヘッドとカッター(切刃)とを併設した実施形態について説明する。
フレコンには、樹脂布にアルミ箔を内張りして、水漏れを防止するようにしたものがある。レーザー(特に炭酸ガスレーザー)は反射率の高い金属は苦手であり、このため、アルミ箔付きのフレコンの場合、樹脂布は切断できても、アルミ箔を切断できないことがある。
このような場合を考慮して、第4〜第6実施形態では、レーザーヘッドとカッター(切刃)とを併設し、これらを選択的に使用可能とした。
【0047】
図7及び図8は本発明に係るフレコン破袋システムの第4実施形態を示し、図7は正面図、図8は底面図である。第4実施形態は、第1実施形態(図1図2)に対し、機械式カッターを追加したもので、第1実施形態と対応する要素には同一符号を付して説明を簡略化する。
【0048】
第4実施形態では、レーザーヘッド15案内用のレール16により案内して、カッター31を設けている。
カッター31は、その切刃31aがフレコン1における開口部11の縁部近傍の部位に下側から突き刺さって、開口部11の縁部に沿って相対移動し、フレコン1の底部を切断可能である。尚、切刃31aは突き刺し方向に移動可能で、使用時以外は突き刺し方向と反対方向に移動して、フレコン1から待避する。
【0049】
従って、通常のフレコンを破袋する場合は、レーザーヘッド15を選択的に使用し、アルミ箔付きのフレコンを破袋する場合は、カッター31を選択的に使用する。このように、破袋対象のフレコンに合わせて、レーザーヘッド15又はカッター31を選択的に使用して、破袋をより確実にする。
【0050】
尚、第4実施形態(図7図8)では、レーザーヘッド15とカッター31とを180°位相をずらして描いているが、これは作図上の理由であり、同じ位置に並べて設け、一緒に回動させて構わない。後述する第5、第6実施形態についても同様である。
【0051】
図9は本発明に係るフレコン破袋システムの第5実施形態を示している。第5実施形態は、第2実施形態(図4)に対し、機械式カッターを追加したもので、第2実施形態と対応する要素には同一符号を付して説明を簡略化する。
【0052】
第5実施形態では、レーザーヘッド15案内用のレール16により案内して、カッター32を設けている。
カッター32は、その切刃32aがフレコン1における開口部11の縁部近傍の部位に下側から斜めに突き刺さって、開口部11の縁部に沿って相対移動し、フレコン1の底部を切断可能である。尚、切刃32aは突き刺し方向に移動可能で、使用時以外は突き刺し方向と反対方向に移動して、フレコン1から待避する。
この場合も、破袋対象のフレコンに合わせて、レーザーヘッド15又はカッター32を選択的に使用し、破袋をより確実にする。
【0053】
図10は本発明に係るフレコン破袋システムの第6実施形態を示している。第6実施形態は、第3実施形態(図5)に対し、機械式カッターを追加したもので、第3実施形態と対応する要素には同一符号を付して説明を簡略化する。
【0054】
第6実施形態では、固定床版10の上側のレーザーヘッド15案内用のレール16により案内して、カッター33を設けている。
カッター33は、その切刃33aがフレコン1における開口部11の縁部近傍の部位に上側から斜めに突き刺さって、開口部11の縁部に沿って相対移動し、フレコン1の底部を切断可能である。尚、切刃33aは突き刺し方向に移動可能で、使用時以外は突き刺し方向と反対方向に移動して、フレコン1から待避する。
この場合も、破袋対象のフレコンに合わせて、レーザーヘッド15又はカッター33を選択的に使用して、破袋をより確実にする。
【0055】
上記の第4〜第6実施形態によれば、破袋対象のフレコン1の仕様によって、レーザーヘッド15又はカッター31〜33(切刃31a〜33a)を使い分けることで、破袋をより確実なものとすることができる。
【0056】
次に、2種類のレーザーを用いる実施形態について説明する。
例えば、炭酸ガスレーザーは、樹脂は簡単に切断できるが、アルミ等の金属は苦手である。これに対し、ファイバーレーザーは、アルミ等の金属を比較的簡単に切断できるが、樹脂の場合は再溶着が起きることから切断しにくい。
そこで、レーザーヘッドとして、炭酸ガスレーザーを照射する第1のレーザーヘッドと、ファイバーレーザーを照射する第2のレーザーヘッドとを設け、破袋対象のフレコンに合わせて、これら2種のレーザーヘッドを選択的に使用可能とする。
2種類のレーザーを用いる実施形態の図示は省略するが、図7及び図8において、15を第1のレーザーヘッドとし、31を第2のレーザーヘッドとすればよい。また、図9において、15を第1のレーザーヘッドとし、32を第2のレーザーヘッドとすればよい。また、図10において、15を第1のレーザーヘッドとし、33を第2のレーザーヘッドとすればよい。
【0057】
次に、レーザーの焦点距離について補足する。
従来の切断用のレーザーには、一般に、焦点距離が短いレンズ(f<60mm程度)を使用する。この場合、切断可能となる焦点深度が±数mm程度しかとれない。このため、フレコン表面の凹凸に対応できないことがある。
そこで、あまり一般的ではないが、長焦点レンズ(f>100mmクラスで、例えば600mm程度)を用いれば、焦点深度を±200mm程度まで大きくすることができる。
よって、100mm以上の長焦点レンズを用いることで、表面に凹凸のあるフレコンに対しても、何ら問題なく切断できるようになり、焦点位置調整機構も不要となる。
【0058】
尚、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることはもちろんである。
【0059】
例えば、レーザーヘッド15は、移動経路上に複数配置し、分担して切断するように構成することで、それぞれの移動距離を短くすることができる。
また、固定床版10の開口部11は円形でなくてもよく、例えば四角形などでもよい。この場合、レーザーヘッド15は開口部11の内周に沿って移動させるので、その移動経路は円形でなく、例えば四角形(切り残しを考えれば、コ字形)となる。この場合、レーザーヘッド15を複数にして、それぞれ直線移動するようにすれば、各移動機構を簡素化できる。
【0060】
また、上記実施形態では、固定床版10の開口部11の内周に沿ってレーザーヘッド15を移動させるようにしたが、相対移動させればよいので、レーザーヘッド15(及びカッター31〜33)を固定し、固定床版10(及び可動床版12)と共にフレコン1を回転させるようにしてもよい。この場合は、押さえ機構により、フレコン1を上から固定床版10に押さえつけながら、一緒に回転させるようにするとよい。
【0061】
また、上記実施形態では、可動床版12がフレコン1から離れる方向に待避する際、下方に向かって待避する構成としたが、収容物の排出の邪魔とならないように、斜め下方、或いは、横方向に待避する構成としてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、フレコン1は円筒状として説明したが、本発明に係るフレコン破袋システムは、直方体形状(箱形)に成形されたフレコンの破袋に用いることもできる。
【符号の説明】
【0063】
1 フレコン
2 ワイヤ
3 フック
10 固定床版
11 開口部
12 可動床版
13 間隙
14 駆動機構
15 レーザーヘッド
16 レール
17 走行体
18 位置調整機構
20 押さえ機構
31、32、33 カッター
31a、32a、33a 切刃
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11