(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子回路が形成されている半導体基板、および、第1のパターンで前記半導体基板の表面上に配置されるIC接触パッド、を含む集積回路(IC)ダイであって、前記IC接触パッドは前記電子回路と動作可能に結合される、集積回路ダイと、
パッケージ基板、第2のパターンで第1の表面上に配置される複数の第1のパッケージ接触構造、第2の表面上に配置される複数の第2のパッケージ接触構造、および、前記第1および第2の表面の間にパッケージ構造を介して延びる複数のパッケージ導体であって、それにより、前記パッケージ導体の各々は関連する第1のパッケージ接触構造および関連する第2のパッケージ接触構造の間に電気経路を形成する、複数のパッケージ導体、を含むパッケージ構造と、
前記第1のパターンで第1の表面上に配置される複数の第1の接触点、第2の表面上に配置される複数の第2の接触点、および、複数のインターポーザ導体、を含むガラス基板を備えるインターポーザであって、前記インターポーザ導体の各々は関連する第1の接触点および関連する第2の接触点の間に電気経路を形成するよう構成される、インターポーザと、
前記インターポーザと付着され、トリガ信号に応答して前記ガラス基板上に初期の破砕強度を生成および印加するよう構成される、トリガデバイスと、
を備える過渡的な電子デバイスであって、
前記インターポーザは前記パッケージ基板に固定され、それにより、前記第2の表面上に配置される前記第2の接触点の各々は、対応する第1のパッケージ接触構造と電気的に接続され、
前記ガラス基板は相当量のイオンを含有し、それにより、第2の破砕が前記初期の破砕強度に応答して前記ガラス基板に生成されて前記ガラス基板全体に伝搬し、したがって、前記ガラス基板が粉末化され、および、
前記ICダイは前記ガラス基板に固定的に付着され、それにより、前記第2の破砕が前記ICダイ内に、前記ICダイを粉末化するのに十分なエネルギーで伝搬する、
過渡的な電子デバイス。
前記トリガデバイスは、前記初期の破砕強度の放出を外部から供給されるトリガ信号に応答して制御するよう構成される作動メカニズムを備える、請求項1に記載の過渡的な電子デバイス。
【背景技術】
【0002】
広域の感知は、様々な軍事的、生態学的、および、商業的な利益にとって重要であり、歴史的に、中央長距離センサの使用を介して機能してきた。しかしながら、電子システムの小型化が急速に進んだことにより、小型センサデバイスの性能が大幅に向上している。これらのマイクロセンサは、運用の適応性、近接近でのみ可能な従来と異なる検知手順、向上した感度およびネットワーク化された知能を介する知識抽出において利点を有する、「大N」分散ネットワークを作成する可能性を有する。
【0003】
分散ネットワークシステムは非常に有望な見込みを有する一方で、実際の使用は、環境内への蓄積、検出および無効化、および、積極的な制御を維持できないことによる搾取と関連付けられるリスクにより、限定される(中央長距離センサと異なる)。
【0004】
「過渡的な電子機器」という語句は、設定された期間内に消滅する(分解および消失する)電子デバイスの比較的に新しい群を指し、理想的には、分散ネットワークシステムに適用させる。従来の過渡的な電子システムは、典型的に、可溶性基板および電子材料(シルクなど)の使用に依存する。溶媒(典型的には、水)内に置かれると、これらの従来の基板および電子機器は、ゆっくり溶液内に溶解する。したがって、従来の過渡的な電子デバイスで構成される分散ネットワークシステムは、比較的に短い時間で(例えば、周期的な降雨の後)「消滅」することが予期され得る。
【0005】
従来の過渡的な電子手法は、電子機器を使用後に「消滅」させるという目的を達成するが、完全に分解および消失するのに長い溶解期間が必要なため、従来の手法は命令下で急速かつ完全に分解することが必要な個別の(例えば、軍事的な)用途には不向きである。さらに、従来の手法は、既存の集積回路製造および組立技術に適合しない材料を利用しているため、新しいIC製造プロセスを膨大なコストで開発する必要がある。
【0006】
インターポーザは、半導体デバイスパッケージとの関連において既知の電気的インタフェースであり、典型的には、ICダイ(チップ)と、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージまたはピングリッドアレイ(PGA)パッケージなどの標準化された半導体パッケージ構造と、の間に配置される。インターポーザは、典型的に、2つの異なるパターンで対向する基板表面上に配置される対応する接触構造(点)の間に、複数の金属導体が延びる、平坦な絶縁体基板(例えば、FR4などの硬質絶縁体、または、ポリイミドなどの軟質絶縁体のいずれか)を含む。すなわち、インターポーザ基板の1つの側部上に配置される接触点の第1のセットが、対応する接触パッドと合致するパターンでICダイ上に形成され、(例えば、表面搭載技術による)ICとインターポーザとの接続が容易になる。さらに、インターポーザの対向する側部上における接触点の第2のセットが、ホストパッケージの内部表面上に配置される対応する接触構造と合致する第2の(異なる)パターンで並べられ、インターポーザのホストパッケージへの表面搭載が容易になる。金属導体はインターポーザ基板を通過して、第1および第2のセットの対応する接触構造の間に信号経路を提供する。この配列を伴って、ホストパッケージ構造が、例えば、電気システムの印刷回路基板(PCB)と実質的に接続されると、インターポーザにより、ICダイ(複数可)と電気システムとの間の信号の通過が、ホストパッケージのI/Oピン/ボールにより容易になる。
【0007】
インターポーザは、典型的に本来は、標準的なパッケージ構造における対応する接触点とのICダイ接続を別の経路に切り替えるために利用されていたが、近年は他の目的にも役立てられている。例えば、半導体製造の進歩により、相応に微細なピッチのICダイ接触パッドを有する小型のICダイが容易になるので、インターポーザは、さらに、微細に離れたICダイ接触点を、従来のパッケージ構造との適合性が高い幅広いピッチまで広げるために、利用される。この事例において、インターポーザは、微細なピッチの(第1の)パターンで1つの表面上に並べられる第1の接触点、および、幅広いピッチの(第2の)パターンで対向する表面上に並べられる第2の接触点を含み、導電性金属ビアおよびトレースが基板を介して対向する表面に沿って延び、関連する第1および第2の接触点の間に電気信号経路を提供する。微細に離れたICダイ接触点を幅広いピッチに広げることに加えて、インターポーザは、2つ以上のダイを単一のパッケージ構造内に固定するために使用されている。
【0008】
既存のIC製造技術と適合する過渡的な電子パッケージ組立が必要とされており、配置されるICダイが命令により十分に完全に分解され、ICダイ上に実装される無欠損の集積回路へのアクセスを防ぐことで、セキュリティおよび改ざん対策保護の両方を提供することを、達成する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態にしたがって生産される過渡的な電子デバイスを示す上面斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の過渡的な電子デバイスを生産するための一般化された製造プロセスを示すフロー図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態による、ガラス貫通金属ビア構造を含むインターポーザコアを生産するための製造プロセスを示すフロー図である。
【
図3A】
図3Aは、
図3のプロセスフローによる、インターポーザコアの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3のプロセスフローによる、インターポーザコアの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図3C】
図3Cは、
図3のプロセスフローによる、インターポーザコアの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図3D】
図3Dは、
図3のプロセスフローによる、インターポーザコアの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図3E】
図3Eは、
図3のプロセスフローによる、インターポーザコアの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明のシートレベルのパターニング実施形態による、複数の過渡的な電子デバイスの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明のシートレベルのパターニング実施形態による、複数の過渡的な電子デバイスの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図4C】
図4Cは、本発明のシートレベルのパターニング実施形態による、複数の過渡的な電子デバイスの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図4D】
図4Dは、本発明のシートレベルのパターニング実施形態による、複数の過渡的な電子デバイスの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図4E】
図4Eは、本発明のシートレベルのパターニング実施形態による、複数の過渡的な電子デバイスの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明のダイレベルのパターニング実施形態による、複数の過渡的な電子デバイスの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明のダイレベルのパターニング実施形態による、複数の過渡的な電子デバイスの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図5C】
図5Cは、本発明のダイレベルのパターニング実施形態による、複数の過渡的な電子デバイスの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図5D】
図5Dは、本発明のダイレベルのパターニング実施形態による、複数の過渡的な電子デバイスの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図5E】
図5Eは、本発明のダイレベルのパターニング実施形態による、複数の過渡的な電子デバイスの生産を示す簡略化された断面側面図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の別の実施形態にしたがって生産される過渡的な電子デバイスを示す断面側面図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の別の実施形態にしたがって生産される過渡的な電子デバイスを示す断面側面図である。
【
図6C】
図6Cは、本発明の別の実施形態にしたがって生産される過渡的な電子デバイスを示す断面側面図である。
【
図6D】
図6Dは、本発明の別の実施形態にしたがって生産される過渡的な電子デバイスを示す断面側面図である。
【
図6E】
図6Eは、本発明の別の実施形態にしたがって生産される過渡的な電子デバイスを示す断面側面図である。
【
図6F】
図6Fは、本発明の別の実施形態にしたがって生産される過渡的な電子デバイスを示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、過渡的な電子デバイスの改良に関する。以下の説明は、当業者が、特定の用途および要件の文脈において提供されるように本発明を作成および使用できるよう提示される。本明細書において使用される際、「上部」「上方」「下部」「下方」などの方向を示す用語は、説明の目的で相対的な位置を提供する意図があり、参照の絶対的なフレームを規定する意図はない。好適な実施形態に対する様々な修正が当業者に明らかになり、本明細書に規定される一般的な原理が、他の実施形態に適用されてよい。したがって、本発明は、図示および記載される特定の実施形態に限定されることを意図しないが、本明細書に開示される原理および新規の特性と一致する最も広い範囲に合致する。
【0018】
図1は、過渡前の「全体の」状態(すなわち、
図1の中央および上部部分に示されるデバイス100(t0))、および、過渡後の「粉末化の」状態(すなわち、
図1の下部部分に示されるデバイス100(t1))にある、過渡的な電子デバイス100を示す斜視図および断面図を含む簡略化された図である。
【0019】
図1の中央および上部部分を参照すると、過渡前の状態(例えば、生産の直後)において、過渡的な電子デバイス100(t0)は、一般的に、インターポーザ110上に配置される集積回路(IC)ダイ120およびトリガデバイス130を含み、インターポーザ110は例示的なパッケージ構造140上に搭載される。
【0020】
図1の右上部部分に位置づけられるバブルを参照すると、ICダイ120は、任意の既知の半導体製造技術を使用して、基板121(すなわち、例えば、半導体「チップ」)上に形成される電子回路122を含む集積回路デバイスであるが、現段階で好適な実施形態において、ICダイ120は、シリコンオンインシュレータ(SOI)集積回路デバイスである。電子回路122は、以下に記載するように、過渡的なイベントまで所定の有益な機能(例えば、センサ動作)を行うよう構成される、1つ以上の電子的要素を含む。IC接触パッド125は、第1のパターンP1で半導体基板121の表面上に配置され、例えば、従来の金属化パターン(図示せず)を利用して、電子回路122と動作可能に結合される。
【0021】
図1の左上部部分に描写されるように、パッケージ構造140は、例示的な実施形態において、システム回路基板(図示せず)上への表面搭載組立を容易にするよう構成される、複数のボールまたは突起146を含むボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ構造として描写される。具体的には、
図1の右上部部分に位置づけられるバブルで示されるように、パッケージ140は、第2のパターンP2でパッケージ基板141の上部表面142上に配置される複数の(第1の)パッケージ接触構造145を含み、ボール/突起(第2のパッケージ接触構造)146が基板141の下部表面143上に配置され、そこから延びている。パッケージ導体147は、既知の技術を使用して形成され、パッケージ構造141を介して延び、関連する接触構造間に信号経路を提供する(例えば、導体147−1は、パッケージ接触構造145−1と関連するボール/突起146−1との間に電気経路を形成する)。もちろん、パッケージ構造140は、ピングリッドアレイパッケージ構造など、他のパッケージ種類を使用して実装されてもよい。
【0022】
図1の左上部部分を再び参照すると、従来の配列と同様に、インターポーザ110は、ICダイ120とパッケージ構造140との間に配置され、パッケージ基板140に固定されて、ICダイ120の各接触パッド125をパッケージ構造140上の対応するボール/突起146と結合するアダプタとして機能する。具体的には、インターポーザ110は、現段階で好適な実施形態において、100μm〜300μmの範囲である基板の厚さT
GLASSだけ離された、上部表面112および対向する下部表面113を有する、薄いガラス基板111を含む。接触点(すなわち、金属パッドまたは他の接触構造)115の第1のセットは、パターンP1で上部表面112上に配置され、それにより、各接触点115の位置がICダイ120の対応する接触パッド125の位置と合致し、ICダイがインターポーザ110上に搭載および固定的に付着(例えば、接合)される表面である場合、動作可能な電気接続が(例えば、はんだ付け構造150を用いて)容易になる。例えば、
図1のバブルに示されるように、接触点115−1は、対応する接触パッド125−1と一致し、はんだ付け構造150−1を用いて電気的に接続される。インターポーザ110は、下部表面113上に配置される第2の接触点116を用いてパッケージ構造140に固定され、パターンP2で並べられて、各々がパッケージ構造140上の対応するパッケージ接触構造145と(例えば、はんだ付け構造155を用いて)電気的に接続され、インターポーザ110がパッケージ構造140上に動作可能に搭載される場合、動作可能な電気接続が容易になる。例えば、
図1のバブルに示されるように、接触点116−1は、対応する接触構造145−1と一致し、はんだ付け構造155−1を用いて電気的に接続される。さらに、インターポーザ110は、関連する接触点115および116の間に電気信号経路を形成する複数の導体を含み、ここで各導体は、ガラス基板111を介して延びる関連するガラス貫通ビア(TGV)開口部114に配置される金属ビア構造117、および、上部表面112および下部表面113の1つ以上に形成される1つ以上の選択的な金属トレース118を含む。例えば、接触点115−1および116−1は、金属ビア構造117−1および金属トレース118−1により形成される導体により接続され、金属トレースは下部表面113上に形成される。したがって、インターポーザ110は、ICダイ120の接触パッド125−1およびパッケージ構造140のボール/突起146−1の間に、接触点116−1を用いて電気信号経路を提供する。接触点116−1は接触構造145−1および導体147−1によりボール/突起146−1と接続され、導体は金属ビア構造117−1および金属トレース118−1、および、接触点115−1により形成される。
【0023】
以下の追加的な詳細に記載されるように、トリガデバイス130は、ICダイ120の粉末化(断片化)を過渡的なイベント中に、外部から生成されたトリガ信号TSに応答してガラス基板111上へ初期の破砕強度を生成および印加することにより始動するよう機能する。具体的には、トリガデバイス130は、外部から生成されるトリガ信号TSに応答して初期の破砕強度を生成するよう構成され、ガラス基板111の上部表面112に動作可能に付着されて、それにより、生成された初期の破砕強度がガラス基板111上へ印加される。以下に説明されるように、初期の破砕強度は、インターポーザ110およびICダイ120の粉末化を生じさせるのに十分なエネルギーで生成される。
【0024】
本発明の態様によると、ガラス基板111は、イオン交換特有ガラス材料(すなわち、イオン交換処理が施されるガラス)を備え、インターポーザ110は、十分に壊れやすいガラス基板111を提供するプロセスを使用して製造され、それにより、トリガデバイス130により生成される初期の破砕強度に応答して、第2の破砕が生成されガラス基板111を介して十分なエネルギーで伝搬し、ガラス基板111を粉末化する。具体的には、インターポーザコアが以下に記載される手法で生成された後、ガラス基板111に既知のイオン交換プロセスを使用して処理(焼き戻し)を施し、それにより、ガラス基板111のイオン含有量(すなわち、ガラス基板111に含有されるイオンの量)は、十分に壊れやすいガラスを提供する程度まで増大し、それにより、後続の過渡的なイベント中、第2の破砕がガラス基板111に、トリガデバイス130により印加される初期の破砕強度に応答して生成される。さらに、
図1の下部部分でデバイス100(t1)により示されるように、ガラス基板111はイオン交換処理により十分に壊れやすくなり、それにより、第2の破砕がガラス基板111全体に過渡的なイベント中に伝搬する。したがって、ガラス基板111は、プリンスラパートの滴におけるものと類似のメカニズムを使用して、ミクロンサイズの微粒子(すなわち、100μm以下)に完全に分解(「粉末化」)される。すなわち、
図1の左下部部分に位置づけられるバブルに示されるように、第2の破砕は、処理されたガラス基板111全体に急速に伝わる。したがって、ガラス基板111は、ミクロンサイズの微粒子101(すなわち、概して100μmより小さい寸法の長さL、幅W、および、高さHを有する)へ、突発的かつ破滅的に分解(粉末化)される。上述された壊れやすさの状態(すなわち、インターポーザコアに施されるイオン交換処理のパラメータ)を達成するために必要なガラス基板111の最適なイオン含有量は、ガラス基板111の種類および厚さを含み、当業者の能力内での最適な量を判定する、いくつかの要因に依存する。
【0025】
本発明の別の態様によると、ICダイ120はインターポーザ110に固定的に付着され、それにより、ガラス基板111において過渡的なイベント中に生成される第2の破砕は、ICダイ120をさらに粉末化するのに十分な応力で伝わる。ICダイ110をガラス基板111に、適切な従来の接合技術(例えば、陽極接合または封着ガラスを用いる)を利用して固定的に付着させることにより、さらに、ガラス基板111に生成される第2の破砕は、ICダイ120内へ、ICダイ120を粉末化するのに十分なエネルギーで(すなわち、
図1の底部に表示されるように、実質的にインターポーザ110の粉末化と同時に)伝搬する。したがって、本発明により、ICダイ120上に形成される機能回路が従来の(例えば、可溶性基板)手法で可能な時間よりも大幅に短い時間で効率的に消失(粉末化)する、過渡的な電子デバイス100の生産が容易になる。さらに、不正な改ざん(例えば、過渡的なデバイス100が搭載されるパッケージ構造140またはシステム回路基板(図示せず)での改ざん)を検出すると粉末化を始動するようトリガデバイス130を構成することにより、本発明は、ICダイ120が無欠損な間に電子回路122への不正なアクセスを防ぐことで、セキュリティおよび改ざん対策保護を提供する。さらに、インターポーザ110は低コストの既存のIC製造技術に適合するので、本発明により、コアIC製造プロセスに対する最小の修正で(または、潜在的に修正なしで)過渡的な電子デバイス100の生産が容易になる。
【0026】
図2は、例示的な実施形態による、過渡的な電子デバイス100(
図1参照)を生産するための製造プロセスを示すフロー図である。ここで、本方法は、一般的に、インターポーザ110にイオン交換処理を施すこと、その後、ICダイ120を処理されたガラス基板111に固定的に付着させること、その後、インターポーザ110をパッケージ140に固定すること、を含む。
図2の上部部分のブロック210を参照すると、本方法は、インターポーザコア(例えば、金属ビア構造を含むが、接触構造、金属トレースまたはトリガデバイスを含まない、適切なガラス基板)を生産または製造することで開始される。例示的なインターポーザコアの製造は、
図3および
図3(A)〜
図3(E)を参照して、以下に記載される。次に、イオン交換処理が行われてガラス基板のイオン含有量が増大し(ブロック220)、インターポーザの製造が完了する(すなわち、接触構造は、
図1を参照して上述されるパターンP1およびP2などの所定の配列にしたがって形成され、金属トレースは基板表面の一方または両方に形成され、トリガデバイスはガラス基板上に形成または搭載される)。
図2の矢印Aに示されるように、および、以下に記載される特定の例示的な実施形態に明記されるように、ブロック220において不完全なインターポーザコアにイオン交換処理が施されるか、または、ブロック230においてインターポーザが終了した後にブロック220でイオン交換処理が施される。ブロック240に示されるように、イオン交換処理が行われた後、1つ以上のICダイは、過渡的なイベント中にICダイ(複数可)を粉末化するのに十分なエネルギーで、インターポーザからICダイ(複数可)内への第2の破砕の伝搬を促すダイ接合技術を使用して上述される手法で、各インターポーザと接合される。ブロック250を参照すると、その後、インターポーザは、パッケージ構造(例えば、
図1に示されるBGAパッケージ構造140)上へ動作可能に固定され、したがって、過渡的な電子デバイスはホストシステム内への組み立てが可能な状態となる。
【0027】
図3は、本発明の実施形態による、インターポーザコアを生産するための製造プロセスを示すフロー図であり、
図3(A)〜
図3(E)は、
図3のプロセスフローの様々な段階中の例示的なインターポーザコアを描写する。
【0028】
図3のブロック211および
図3(A)を参照すると、プロセスは、適切な厚さT
GLASSを有するイオン交換特有ガラスシート111Aを得ることにより開始される。適切なイオン交換特有ガラスは、強化されていないCorning Gorilla Glass、SCHOTT XensationおよびAGC Dragontrail glassを含み、これらは、カリフォルニア州Santa PaulaのAbrisa Technologiesなど、様々なガラス販売業者から入手可能である。
【0029】
図3のブロック213および
図3(B)を参照すると、ガラス貫通ビア(TGV)開口部114Aは、ガラス基板111Aを介して(すなわち、上部表面112Aおよび下部表面113Aの間に)全体に延びるよう形成される。代替的な特定の実施形態において、TGV開口部114Aは、レーザエッチングプロセス、機械的なエッチングプロセス、および、化学的なエッチングプロセスのうちの1つを使用して、ガラス基板111Aの一部分をエッチングすることによるものであり、あるいは、切除することによるものである(
図3(B)の矢印310により集合的に示される)。
【0030】
図3のブロック215および
図3(C)を参照すると、その後、選択的な浅いイオン交換プロセス(矢印320により示される)が行われる(すなわち、金属ビア構造をTGV開口部114に形成する前)。
【0031】
その後、金属ビア構造117Aは、各TGV開口部114Aに適切な方法を使用して形成される。
図3のブロック217および
図3(D)を参照すると、1つの特定の実施形態において、金属材料330が上部表面112Aおよび下部表面113A全体に置かれ、それにより、金属材料の一部分が各TGV開口部114Aに入り、対応する金属ビア構造117Aを形成する。
図3のブロック219および
図3(E)を参照すると、その後、金属材料の残留部分は、上部表面112Aおよび下部表面113Aから、例えば、適切なエッチング液340を使用して除去される。
図3(E)に描写されるように、エッチングプロセスが行われ、それにより、結果的に生じるインターポーザコア110Aは、ガラス基板111Aを介して延びる、上部表面112Aおよび下部表面113A上にそれぞれ露出される対向する端部を有する、各金属ビア構造117Aを含み、続いて形成される構造(例えば、インターポーザ接触構造および金属トレース構造)への接続が容易になる。
【0032】
その後、上述のインターポーザコアが処理され、ICダイが搭載される完成したインターポーザを提供する。代替の例示的な実施形態によると、インターポーザコアは、シートレベルのパターニングまたはダイレベルのパターニングのいずれかを使用して、処理される。例示的なシートレベルのパターニングプロセスは、
図4(A)〜
図4(E)を参照して以下に記載され、例示的なダイレベルのパターニングプロセスは、
図5(A)〜
図5(E)を参照して以下に記載される。シートレベルおよびダイレベルの処理はいずれも、単一のガラスシート上に形成されて一体的に接続される複数のインターポーザコアで開始される。例えば、
図4(A)に示されるように、単一の(継続的な/壊れていない)ガラスシート111Bは、3つの一体的に接続されたインターポーザコア110B−1、110B−2、および110B−3を含み、各々が、ガラスシート111Bの対応する部分により形成される各々のガラス基板111B−1、111B−2、および111B−3を有する。同様に、
図5(A)に示されるように、一体的なインターポーザコア110C−1、110C−2、および、110C−3は、単一のガラスシート111Cの対応する部分により形成される各々のガラス基板111C−1、111C−2、および、111C−3を有する。
【0033】
図4(A)に示される一体的なインターポーザコアで開始され、シートレベルのパターニングは、
図4(B)に示されるように、パターニング接触構造、選択的な金属トレース構造、およびトリガデバイスを、各インターポーザコア上へ既知の技術を使用してパターニングすることにより開始される。例えば、接触構造115(および、選択的な金属トレース構造(図示せず))は、適切な金属350Bを上部シート表面112B上に印刷することにより、ガラスシート111Bで形成される。接触構造116および選択的な金属トレース構造(図示せず)は、下部シート表面113B上に形成され、その後、例えば、シート111Bを反転させて金属印刷プロセスを繰り返すことにより形成される。その後、トリガデバイス130B−1〜130B−3は、印刷プロセスを使用して適切な材料360Bを置くことにより、または、形成前の構造を各インターポーザ110B−1〜110B−3上へ表面搭載することにより、形成される。
図4(C)を参照すると、その後、ガラスシート111Bは、さいの目状に切られて(例えば、レーザ370Bを使用して切断されて)、インターポーザ110B−1〜110B−3が互いに分離され、その後、
図4(D)に示されるように(矢印380Bにより示される)、個々のインターポーザ110B−1〜110B−3にイオン交換処理が施される。
図4(E)に示されるように、イオン交換処理後、ICダイ120B−1、120B−2、および120B−3は、それぞれインターポーザ110B−1、110B−2、および110B−3上に接合される。
【0034】
図5(A)〜
図5(E)に描写されるダイレベルのパターニングは、各インターポーザコアを独立的に処理することに関与する。すなわち、
図5(A)に示される一体的なインターポーザコアで開始され、ダイレベルのパターニングは、さいの目状に切って(例えば、レーザ370Cを使用して切断して)インターポーザコア110C−1〜110C−3を互いに分離することにより開始され、その後、
図5(C)に示されるように、個々のインターポーザコア110C−1〜110C−3にイオン交換処理が施される(矢印380Cにより示される)。イオン交換処理後、
図5(D)に示されるように、接触構造115および116、選択的な金属トレース構造、およびトリガデバイス130C−1〜130C−3は、上述の技術を使用して各インターポーザコア110C−1〜110C−3上に形成され、その後、
図5(E)に示されるように、ICダイ120C−1、120C−2、および120C−3が、それぞれインターポーザ110C−1、110C−2、および110C−3上に接合される。
【0035】
図6(A)〜
図6(F)は、本発明の別の実施形態による、過渡的な電子デバイス100Dの製造および後続の作動を描写する。
【0036】
図6Aは、上述の技法と一致する手法で生産されたインターポーザ110Dを描写する。描写の目的で、関連する接触構造115Dおよび116Dは、それぞれ上部表面112Dおよび下部表面113D上に配置され、関連する金属ビア構造117Dを備える単一の接触構造を用いて接続される。現段階の実施形態において、トリガデバイス130Dは電気的に制御され、より具体的には、加熱素子を利用して、金属ビア構造137Dを介して送信される印加された電気パルスに応答して局所的な熱を生成する。ここで金属ビア構造137Dは、下部表面113D上に配置される関連する接触構造136Dと接続される。1つの実施形態において、トリガデバイス130Dは、広域な/厚い下部抵抗電極132Dを金属ビア構造137Dの関連する上端部部分上へ形成した後、抵抗性の薄く狭い抵抗器(アクチュエータ)構造135Dを電極132Dの間に形成することにより、構築され、ここで抵抗器構造135Dは高温を持続可能な材料(例えば、タングステンなどの金属)を使用して形成される。トリガデバイス130Dは、標準的な微細加工技術(蒸着および光パターニング)を使用して、または、単にシャドウマスク蒸発を介して、ガラス基板110D上に直接的に製造される。
【0037】
図6Bは、封着ガラス127Dまたは陽極接合のいずれかを用いる、ICダイ120Dのガラス基板111Dへの後続の固定付着を描写する。
図1を参照して上述したように、ICダイ120Dが搭載され、これにより、接触パッド125Dは、ガラス基板111Dの上部表面112D上に配置される接触構造115Dと電気接続される。
【0038】
図6(C)は、過渡的な電子デバイス110Dの組み立てを完了するために、インターポーザ110Dをパッケージ構造140Dに固定することを描写する。上記で明記されたように、インターポーザ110Dが搭載され、それにより、パッケージ接触構造145D−1は、ガラス基板110Dの下部表面113D上に配置される対応するインターポーザ接触構造116Dと電気的に接続される。この実施形態において、さらに、トリガデバイス130Dの作動は、パッケージ接触構造145D−2と対応する接触構造136Dとの間の電気接続を用いて可能となり、パッケージ構造140Dのボール/突起146Dとトリガデバイス130Dとの間に、パッケージ構造140に形成される導体(図示せず)およびインターポーザ110Dに配置される金属ビア構造137Dを用いて、信号経路を形成する。
【0039】
さらに
図6(C)に描写されるように、1つの実施形態において、ICダイ120Dは、化学的機械的研磨(CMP)390Dを介して実際の厚さT
DIEまで、さらに粉末化を促進するために薄くされる。ICダイ120Dの壊れやすさを達成するために重要なのは、ガラス基板111DからICダイ120D内へ伝搬する破砕の亀裂を結合することであり、ICダイ120Dを薄くすることにより(すなわち、描写されるように、インターポーザ110Dへの付着後、または、付着前のいずれかに)可能となる。破砕プロセスは、2つの可能な結果間の競合と見なされ得る:亀裂がダイ基板/シリコン内へ上方に伝搬し得るか、または、鋭く旋回され、代わりに接合領域を介して伝搬し剥離を生じさせ得る。ガラス/シリコン接合に必要な割合を超えるために、陽極接合または低溶解点のいずれかの封着ガラス127Dが、ICダイ120Dをガラス基板111Dに固定するために利用される。代替的に、共晶または粘着接合が、ICダイ120Dをガラス基板110Dに固定するために使用されてよい。
【0040】
図6(D)は、過渡的な電子デバイス100Dのシステムレベルの印刷回路基板160Dへの後続的な付着を描写し、パッケージ構造140Dおよびインターポーザ110Dを用いて電力を供給しIC120Dと通信する。例示的な実施形態において、回路基板160Dは、不正な改ざんを筐体で検出可能なセキュリティシステム(例えば、センサ)、および、ICダイ120Dおよびトリガデバイス130Dと通信するよう構成される制御システムを含む、固定された筐体(図示せず)の内部に搭載される。すなわち、正常な動作状態下で、システムコントローラにより、ICダイの機能的な動作が容易になる。しかしながら、
図6(E)および
図6(F)を参照して以下に記載されるように、システムコントローラが不正な改ざんをシステム筐体(ICダイ120Dの機能回路でアクセスまたは改ざんしようとすることに関連してよい)で検出する場合、システムコントローラは、トリガ信号をトリガデバイス130Dへ、過渡的なイベントを始動するために送信する。
【0041】
図6(E)および
図6(F)は、過渡的なイベント中の(すなわち、過渡的な電子デバイス100Dへパッケージ構造140Dのボール/突起146Dを用いて印加されるトリガ信号TSに応答する)、過渡的な電子デバイス100Dの制御された破壊(分解)を図示する。例示的な実施形態において、トリガデバイス130Dにより生成される破砕の仕組みは、抵抗器構造135Dにより加熱されるガラス基板110Dの一部分が膨張する際に生成される円周応力である。そのようなトリガデバイスのシミュレーションは、電流パルスが印加されてから0.5ms後、100〜150MPaの範囲の引張円周応力が抵抗器構造の下位に存在することを示す。これは、ほぼ全ての従来の強化ガラスに破砕を生じさせるのに十分であろう。これらのシミュレーションの結果は、大きな表面張力が適度な量の電流およびエネルギーで取得され得ることを示す。この例において、タングステンの特性を使用する抵抗の予測に基づいて、電流は約70mAであり、抵抗器全体の電圧は約80mVである。これらの量は、現段階で入手可能なスモールフォームファクタ電池の性能内で良好である。
図6(E)に示されるように、時間t0(すなわち、トリガ信号TSの送信直後)の結果的に生じる初期破砕F
0は、局所的な加熱を用いてガラス基板110Dに生成されるが、ICダイ120Dは全体的に無欠損のままである。
図6(F)に示されるように、第2の破砕F
Pは、ガラス基板111D(t1)全体に伝搬する初期の破砕強度に応答して、ガラス基板111D(t1)に生成される。これにより、ガラス基板111D(t1)は、微粒子101Dに粉末化される。加えて、ICダイ120D(t1)はガラス基板111D(t1)と十分に接合されるので、第2の破砕F
PはICダイ120D(t1)内へ、ダイ材料を微粒子101Dに粉末化するのに十分なエネルギーで伝搬する。
【0042】
先の実施形態に描写される局所的な加熱手法に加えて、他のトリガデバイスが、デバイスの粉末化を生成するのに必要な初期破砕を生成するために利用されてよい。例えば、適切なトリガデバイスが生産されてよく、ガラス基板の表面上で化学反応を始動することにより、または、局所的な機械的圧力を(例えば、圧電素子を使用して)ガラス基板上に印加することにより、局所的な破砕を生成する。
【0043】
本発明は特定の実施形態に対して記載されているが、本発明の発明的な特性が他の実施形態にも適用可能であり、その全てが本発明の範囲内にあることを意図することが、当業者に明らかになるであろう。