(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533802
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】移動体システム及びゲームアプリケーション
(51)【国際特許分類】
B64C 39/02 20060101AFI20190610BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20190610BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20190610BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20190610BHJP
G05D 1/00 20060101ALI20190610BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20190610BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
B64C39/02
B64D47/08
B64C27/08
B64C13/20 Z
G05D1/00 B
G03B15/00 U
H04N5/232 030
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-35090(P2017-35090)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-140686(P2018-140686A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2017年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 祐晃
(72)【発明者】
【氏名】深作 良範
(72)【発明者】
【氏名】廣田 高敏
【審査官】
諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−038622(JP,A)
【文献】
特開2002−354462(JP,A)
【文献】
特開2014−053821(JP,A)
【文献】
特開2006−082774(JP,A)
【文献】
特開平10−108984(JP,A)
【文献】
特表2012−509812(JP,A)
【文献】
特表2017−509034(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第3101889(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
B64C 13/20
B64C 27/08−27/10
B64D 47/08
G03B 15/00
G05D 1/00
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体装置と、前記移動体装置と通信可能なリモートコントローラと、を有する移動体システムであって、
前記移動体装置は、
回転可能な翼と、
前記翼に連結されたモータと、
前記モータを駆動する翼駆動部と、
被写体を撮像するカメラと、
前記被写体から放射される赤外線を取得する赤外線カメラと、
前記翼駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記リモートコントローラは、
前記移動体装置に信号を送信する通信部と、
音声を取得するマイクと、
前記マイクが取得した所定の音声に応じて、前記移動体装置に信号を送信する操作モードと、前記移動体装置への信号の送信を停止する非操作モードと、を切り替える制御部と、を備え、
前記リモートコントローラは、種々のアプリケーションソフトを実行可能であり、かつ通話機能を実行可能である、
移動体システム。
【請求項2】
前記リモートコントローラは、前記マイクが取得した音声を認識して、前記操作モードと前記非操作モードとを切り換える、
請求項1に記載の移動体システム。
【請求項3】
前記リモートコントローラは、前記非操作モードに切り換える際、通話機能を実行可能な状態に切り替える、
請求項1または請求項2に記載の移動体システム。
【請求項4】
前記移動体装置は、
位置を測位可能な測位部と、
前記測位部によって測位された位置情報を記憶する記憶部と、
前記翼駆動部に電力を供給するバッテリーと、をさらに備え、
前記制御部は、前記バッテリーの残量が所定値より少なくなったことを検出したとき、前記記憶部に記憶された過去の位置情報の位置まで移動するよう前記翼駆動部を制御する、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の移動体システム。
【請求項5】
前記移動体装置は、
位置を測位可能な測位部と、
前記測位部によって測位された位置情報を記憶する記憶部と、
リモートコントローラから信号を受信する通信部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記通信部が前記リモートコントローラと通信不能な状態になったことを検出したとき、前記記憶部に記憶された過去の位置情報の位置まで移動するよう前記翼駆動部を制御する、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の移動体システム。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の移動体システムを利用する、
ゲームアプリケーション。
【請求項7】
移動体装置と、前記移動体装置と通信可能なリモートコントローラと、を有する移動体システムであって、
前記移動体装置は、
回転可能な翼と、
前記翼に連結されたモータと、
前記モータを駆動する翼駆動部と、
被写体を撮像するカメラと、
前記翼駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記リモートコントローラは、
前記移動体装置に信号を送信する通信部と、
音声を取得するマイクと、
前記マイクが取得した所定の音声に応じて、前記移動体装置に信号を送信する操作モードと、前記移動体装置への信号の送信を停止する非操作モードと、を切り替える制御部と、を備え、
前記リモートコントローラは、種々のアプリケーションソフトを実行可能であり、かつ通話機能を実行可能である、
移動体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、飛行可能なドローンなどの移動体装置、及び同移動体装置を制御可能なリモートコントローラを含む移動体システムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンと呼ばれる小型の飛行体が普及してきており、様々な分野で活用されつつある。一の活用事例として、ドローンにカメラを搭載し、カメラで撮影された画像を確認しながらドローンを操作することがある。例えば特許文献1には、移動機器の上空を、カメラを搭載した飛行体が飛行し、カメラによって移動機器の周囲の状況を検出する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−181119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の通常のカメラを備えるドローンでは、暗い場所に入るなどして周囲が暗くなった場合に、通常のカメラでは光量が不足するために周囲の状況を把握できず、飛行困難になってしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一の手段は、
回転可能な翼(122a、122b、122c、122d)と、
前記翼に連結されたモータ(121a、121b、121c、121d)と、
前記モータを駆動する翼駆動部(13)と、
被写体を撮像するカメラ(11)と、
前記被写体から放射される赤外線を取得する赤外線カメラ(12)と、
前記翼駆動部を制御する制御部(10)と、を備える、
移動体装置(1)である。
【0007】
上記構成の移動体装置によれば、赤外線カメラを備えることで、周囲が暗い場所でも周囲の状況を把握可能な構成とすることができる。これにより、暗所でも安全に飛行可能な移動体装置とすることができる。
【0008】
上記移動体装置において、好ましくは、
前記赤外線カメラは被写体を撮像可能である。
【0009】
上記構成の移動体装置によれば、赤外線カメラを、暗所用の赤外線カメラとしてだけではなく、通常のカメラとしても使用可能な構成にすることができる。
【0010】
上記移動体装置において、好ましくは、
前記制御部は、前記カメラの撮像結果と、前記赤外線カメラの撮像結果に基づいて、被写体を立体的に捕捉可能である。
【0011】
上記構成の移動体装置によれば、カメラと赤外線カメラとによって被写体を立体的に捕捉可能であるため、障害物に衝突することなく安全に飛行することが可能となる。また、赤外線カメラが、通常カメラと同様に被写体を撮像可能に構成しているため、赤外線カメラを、被写体を立体的に捕捉するためのカメラと、暗所用のカメラとして兼用することが可能となる。これにより、2以上のカメラに加えて赤外線カメラを別に設ける構成と比較して、移動体装置を小型に構成することなどが可能となる。
【0012】
上記移動体装置において、好ましくは、
位置を測位可能な測位部(15)と、
前記測位部によって測位された位置情報を記憶する記憶部(18)と、
前記翼駆動部に電力を供給するバッテリー(16)と、をさらに備え、
前記制御部は、前記バッテリーの残量が所定値より少なくなったことを検出したとき、前記記憶部に記憶された過去の位置情報の位置まで移動するよう前記翼駆動部を制御する。
【0013】
上記構成の移動体装置によれば、バッテリーの残量が減った場合であっても、意図せず墜落してしまうことを防止することなどが可能となる。
【0014】
上記移動体装置において、好ましくは、
位置を測位可能な測位部(15)と、
前記測位部によって測位された位置情報を記憶する記憶部(18)と、
リモートコントローラから信号を受信する通信部(17)と、をさらに備え、
前記制御部は、前記通信部が前記リモートコントローラと通信不能な状態になったことを検出したとき、前記記憶部に記憶された過去の位置情報の位置まで移動するよう前記翼駆動部を制御する。
【0015】
上記構成の移動体装置によれば、リモートコントローラから離れた場所に行き、操作不能な状態になったとしても、自動でユーザの場所まで戻る機能などを実行可能な構成とすることができる。
【0016】
また、本発明の一の手段は、
上記いずれかの移動体装置(1)と、
前記移動体装置と通信可能なリモートコントローラ(2)と、を有する移動体システムであって、
前記リモートコントローラは、
前記移動体装置に信号を送信する通信部(24)と、
音声を取得するマイク(23)と、
前記マイクが取得した所定の音声に応じて、前記移動体装置に信号を送信する操作モードと、前記移動体装置への信号の送信を停止する非操作モードと、を切り替える制御部(20)と、を備える、
移動体システムである。
【0017】
上記構成の移動体システムによれば、移動体装置を操作中であっても、例えば、通話などの他の機能を実行可能な状態に簡易に切り替えることなどが可能となる。
【0018】
また、本発明の一の手段は、
上記いずれかの移動体装置(1)を利用する、
ゲームアプリケーションソフトである。
【0019】
上記構成のゲームアプリケーションソフトによれば、ユーザによるゲームの進行を支援することが出来、ユーザによる遊戯の幅を広げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本実施形態のドローンの外観図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の移動体システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態
2.補足事項
【0022】
<1.実施形態>
本実施形態の移動体装置は、所謂ドローンであって、通常のカメラに加えて赤外線カメラを搭載することで、暗所でも安全に飛行可能に構成していることを特徴の一つとする。以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0023】
図1は、本実施形態のドローン1の外観斜視図である。
図2は、ドローン1とスマートフォン2とを含む移動体システムの一構成例を示す図である。なお、ドローン1は、本発明における「移動体装置」の一例である。スマートフォン2は、ドローン1と無線通信することでドローン1を遠隔操作可能であって、所謂リモートコントローラとして機能する。つまり、スマートフォン2は、本発明における「リモートコントローラ」の一例である。なお、無線通信には、たとえば5GHz帯や2.4GHz帯の電波を利用する無線通信の技術が用いられる。
【0024】
図1に示されるように、ドローン1は、本体部1a、カメラ11、モータ121a、121b、121c、及び121d、並びに翼122a、122b、122c、及び122dなどを含んで構成される。また、
図2に示されるように、ドローン1は、制御部10、カメラ11、赤外線カメラ12、翼駆動部13、センサ14、測位部15、バッテリー16、通信部17、及び記憶部18を含んで構成される。
【0025】
なお、ここで具体的に説明する構成以外に、ドローン1は、出願時において所謂ドローンが有する基本的な機能を当然に搭載し、または搭載可能である。同様に、スマートフォン2は、出願時において所謂スマートフォンが有する基本的な機能を当然に搭載し、または搭載可能である。
【0026】
<カメラ11>
カメラ11は、レンズ、鏡筒、及び撮像素子などを含み、被写体を撮像し、撮像結果を画像データとして制御部10に出力するよう構成される。撮像素子は、被写体からの光を受光して画像データに変換可能な、C−MOSセンサまたはCCDなどの光電変換素子である。カメラ11は、入射光の一部を遮蔽する絞りを有する構成としても良い。
【0027】
<赤外線カメラ12>
赤外線カメラ12は、レンズ、鏡筒、及び赤外線センサなどを含み、被写体から発せられる、または被写体が反射する赤外線を赤外線画像データとして取得するよう構成される。
【0028】
赤外線カメラ12は、赤外線のみを検知可能な赤外線センサに代えて、赤外線以外の波長を含む光を受光して、画像データに変換可能な他のセンサを有する構成としても良い。例えば、赤外線カメラ12は、カメラ11と同様の通常のカメラとしても機能する構成としても良い。
【0029】
赤外線カメラ12は、被写体に対して赤外線を照射する赤外線照射部を有する構成としても良く、この場合には、赤外線カメラ12は被写体が反射した赤外線を赤外線画像データとして取得する。また、赤外線カメラ12は、赤外線を照射する機能を有さない構成としても良く、この場合には、赤外線カメラ12は被写体が発する赤外線を赤外線画像データとして取得する。また、スマートフォン2が赤外線照射可能な光源を有していてもよい。この場合、スマートフォン2のユーザが任意の位置に赤外線を照射することが出来る。
【0030】
<翼駆動部13>
翼駆動部13は、制御部10の制御によってドローン1の翼122a〜122dをそれぞれ駆動して、ドローン1を所定の方向に飛行させるよう構成される。より具体的には、翼駆動部13は、制御部10の制御により、モータ121a〜121dをそれぞれ所定の回転数で回転させ、互いの回転数を適切に制御することでドローン1を所定の方向に飛行させる。
【0031】
<センサ14>
センサ14は、加速度センサ、角速度センサ、または温度センサなどの種々のセンサである。センサ14は、ドローン1の置かれた状況を検知して制御部10に通知する。より具体的には、センサ14は、例えばドローン1の飛行速度を検知したり、本体部1aの傾きなどの状態を検知したり、周囲の温度を検知したりすることができる。
【0032】
<測位部15>
測位部15は、例えばGPS(Global Positioning System)を利用して位置情報を取得する構成であって、ドローン1の位置情報を測位する。測位部15は、測位した位置情報を、制御部10を介して記憶部18に記憶させる。なお、測位部15は、必ずしもGPSである必要はなく、その他の測位可能な構成であっても良い。たとえば、GPS以外の技術を利用した測位部15の例としては、ドローン1とスマートフォン2との無線通信における電波強度を利用した測位の技術により、ドローン1の位置情報を取得する方法などを適用可能である。
【0033】
<バッテリー16>
バッテリー16は、充放電可能な蓄電部であって、充電により蓄電した電力をドローン1の各部に供給するよう構成される。つまり、バッテリー16は、モータ121a〜121d、制御部10、カメラ11、赤外線カメラ12、翼駆動部13、センサ14、測位部15、通信部17、及び記憶部18の一部または全部に電力を供給する。
【0034】
<通信部17>
通信部17は、制御部10の制御により、スマートフォン2を含む外部機器に対して信号を送受信可能に構成される。ただし、通信部17は、信号を受信する機能のみを有する構成としても良い。つまり、通信部17は、少なくともスマートフォン2から送信された信号を受信する。
【0035】
<記憶部18>
記憶部18は、揮発性または不揮発性のメモリであって、種々のデータを記憶可能に構成される。特に、本実施形態では、記憶部18は、ユーザがドローン1に対して、起動後に初めて移動指示を出した場所における測位情報を記憶する。また、記憶部18は、所定の時間毎に、現在地における測位情報を記憶する。また、記憶部18は、例えば制御部10で使われるソフトウェアまたはファームウェアのデータや、カメラ11で撮像した画像データ、及び赤外線カメラ12で取得した赤外線画像データなどの種々のデータを記憶しても良い。
【0036】
<制御部10>
制御部10は、例えばCPU、またはASICなどの半導体集積回路のような制御装置であって、ドローン1に含まれる各構成を制御可能に構成される。制御部10は、ドローン1の各部を制御して種々の動作を行わせるが、本実施形態では、例えば以下のような動作が可能である。
【0037】
<制御部10の制御によるドローン1の動作>
制御部10は、翼駆動部13を制御してモータ121a〜121dに供給する電流の流れる方向及び大きさを変化させることで、モータ121a〜121dの回転方向及び時間当たりの回転数を制御する。これにより、制御部10は、翼駆動部13及びモータ121a〜121dを介して翼の回転を制御し、ドローン1の飛行方向、及び離着陸等を制御する。
【0038】
制御部10は、カメラ11及び赤外線カメラ12を制御し、被写体を撮像した画像データを取得することができる。カメラ11と赤外線カメラ12とは横方向に並べて配置されており、視差を有している。これにより、制御部10は、カメラ11により撮像した画像データと、赤外線カメラ12により撮像した画像データとに基づいて、被写体を立体的に捕捉することができる。
【0039】
制御部10は、周囲が明るい状態では、カメラ11により取得された画像データに基づいて周囲の状態を把握して飛行する。一方で、制御部10は、周囲が暗い状態では、赤外線カメラ12により取得された赤外線画像データに基づいて、周囲の状態を把握して飛行する。制御部10は、取得した画像データまたは赤外線画像データを、通信部17を介してスマートフォン2などの外部機器に送信することができる。
【0040】
制御部10は、バッテリー16の残量を検出可能である。例えば、制御部10は、バッテリー16の残量を定量的に検出しても良いし、バッテリー16の残量が所定値より少なくなったときにバッテリー16から送信されるローバッテリー信号を受信することで残量を検出しても良い。制御部10は、バッテリー16の残量が所定値より少なくなったことを検知すると、記憶部18に記憶された位置情報に基づいて、ユーザの元に飛行して戻る制御を行う。すなわち、制御部10は、測位部15が過去に測位した位置情報に基づいて飛行すべき場所を判定して、翼駆動部13を制御することで、所定の位置に向かって飛行する。
【0041】
制御部10は、通信部17の通信状態を確認することで、スマートフォン2との通信が可能な状態であるか否かを判定する。具体的には、通信部17は、所定時間毎にスマートフォン2から送信される信号を受信することで、スマートフォン2との通信が可能な状態か否かを判定する。ここで、例えば、ドローン1がスマートフォン2との通信可能範囲を超えて移動すると、ドローン1とスマートフォン2との通信が不能となる。制御部10は、通信部17が所定時間以上スマートフォン2と通信できない通信不能状態になっていると判定すると、ドローン1が行方不明になることを防止するため、制御部10は、ユーザの元に飛行して戻る制御を行う。すなわち、測位部15が過去に測位した位置情報に基づいて飛行すべき場所を判定して、翼駆動部13を制御することで、所定の位置(ユーザの位置)に向かって飛行する。
【0042】
または、制御部10は、通信不能になる前の位置に向かって飛行するような制御を行っても良い。このとき、制御部10は、スマートフォン2との通信状態と、測位部15で測位した位置情報とを関連づけて、記憶部18に記憶させておく。制御部10は、記憶部18に記憶された、通信状態と位置情報とに基づいて、ドローン1がスマートフォン2と通信不能となった場所を判定し、その場所まで移動するような制御を行っても良い。
【0043】
<スマートフォン2>
スマートフォン2は、
図2に示されるように、制御部20、表示部21、操作部22、マイク23、通信部24、及び記憶部25を含んで構成される。
【0044】
<表示部21>
表示部21は、例えばLCD(液晶表示装置)または有機ELディスプレイなどの表示装置であって、制御部20の制御により所定の画像を表示可能に構成される。表示部21は、例えば、ドローン1のカメラ11または赤外線カメラ12によりにより取得されて送信されてきた画像データを、動的に(動画として)または静的に(静止画として)表示可能である。
【0045】
<操作部22>
操作部22は、ユーザによる操作を検出して制御部20に出力する。例えば、操作部22は、表示部21の表面に貼り付けられたタッチパネルに対するユーザの操作を検出する。
【0046】
<マイク23>
マイク23は、周囲の音声を音声データとして取得して制御部20に出力する。
【0047】
<通信部24>
通信部24は、制御部20の制御により、ドローン1を含む外部機器に対して信号を送受信可能に構成される。ただし、通信部24は、信号を送信する機能のみを有する構成としても良い。つまり、通信部24は、少なくともドローン1から送信された信号を受信する。
【0048】
<記憶部25>
記憶部25は、通信部24によって受信したデータや、スマートフォン2を動作させるためのアプリケーションソフトのプログラムなどを記憶する。
【0049】
<制御部20>
制御部20は、例えばCPU、またはASICなどの半導体集積回路のような制御装置であって、スマートフォン2に含まれる各構成を制御可能に構成される。制御部20は、スマートフォン2の各部を制御して種々の動作を行わせるが、本実施形態では、例えば以下のような動作が可能である。
【0050】
制御部20は、ドローン1を操作するためのアプリケーションソフト(ソフトウェア)を実行することで、ドローン1を遠隔操作することができる。制御部20は、ドローン1を操作するためのアプリケーションソフト以外にも、種々のアプリケーションソフトを起動して所定の機能を実行したり、通話機能を実行したりすることができる。
【0051】
制御部20は、ドローン1を操作するアプリケーションソフトを実行しているときに、ユーザがマイクに向かって「アプリ終了」などの所定の発話を行うと、制御部20はユーザによる発話を認識して、所定の動作を行わせる。例えば、制御部20は、ユーザの発話に応じて、ドローン1を操作するアプリケーションソフトを実行する操作モードから、ドローン1への制御信号の送信を停止する非操作モードに切り替える処理を行う。
【0052】
スマートフォン2のアプリケーションソフトの一例として、ゲームアプリケーションソフト(ゲーム)などが考えられる。たとえば、ドローン1の位置情報を、スマートフォン2の位置情報として置き換えることで、ドローン1の移動を、仮想的にスマートフォン2(またはスマートフォン2のユーザ)の移動として、ゲーム内において処理させることができる。たとえば、ゲームがスマートフォン2(ユーザ)の位置情報を用いたものである場合、ユーザが川、海、または崖等の障害物によって移動を制限されたとしても、ユーザはドローン1を利用することで障害物による移動の制限を受けることなく、ゲームを進行させることができる。なお、ゲームのデータ(プログラム)は、ネットワークとの通信を介してユーザが任意にダウンロードおよびインストールを行うことが出来る。また、ゲームのデータは、全てまたは一部がスマートフォン2の記憶部25に記憶されてもよい。記憶部25にゲームのプログラムの一部が記憶される場合、残りのデータはネットワーク上のサーバに記憶される。
【0053】
本実施形態のドローン1によれば、カメラ11に加え、赤外線カメラ12を備えることで、周囲が暗い場所でも周囲の状況を把握可能な構成とすることができる。これにより、暗所でも安全に飛行可能な構成とすることができる。
【0054】
また、本実施形態のドローン1によれば、赤外線カメラ12が、カメラ11同様に被写体を撮像可能であるため、赤外線カメラを、暗所用の赤外線カメラとしてだけではなく、通常のカメラとしても使用可能な構成にすることができる。
【0055】
また、本実施形態のドローン1によれば、上記のように赤外線カメラ12が、カメラ同様に被写体を撮像可能であり、これにより、視差を有する2の画像データを取得可能である。そのため、ドローン1は、カメラ11と赤外線カメラ12とによって取得された画像データによって被写体を立体的に捕捉可能であるため、障害物に衝突することなく安全に飛行することが可能となる。また、赤外線カメラ12が、カメラ11と同様に被写体を撮像可能に構成しているため、赤外線カメラ12を、被写体を立体的に捕捉するためのカメラと、暗所用のカメラとして兼用することが可能となる。これにより、2以上のカメラに加えて赤外線カメラを別に設ける構成と比較して、ドローンを小型に構成することなどが可能となる。
【0056】
また、本実施形態のドローン1によれば、制御部10が、バッテリー16の残量が所定量より少なくなったことを検出したとき、測位部15により測位され、記憶部18に記憶された過去の位置情報の位置まで移動するよう翼駆動部13を制御することができる。そのため、ドローン1のバッテリー16の残量が減った場合であっても、意図せず墜落してしまうことを防止することなどが可能となる。
【0057】
また、本実施形態のドローン1によれば、制御部10が、スマートフォン2と通信不能であることを検出したとき、測位部15により測位され、記憶部18に記憶された過去の位置情報の位置まで移動するよう翼駆動部13を制御することができる。そのため、ドローン1が遠方まで飛んでしまい通信不能な状態になったとしても、自動的にユーザの元に戻るよう動作させることができる。
【0058】
また、本実施形態のドローン1とスマートフォン2とを含む移動体システムでは、スマートフォン2のマイク23が取得したユーザが発した所定の音声に応じて、ドローン1に信号を送信する操作モードと、ドローン1への信号の送信を停止する非操作モードとを切り替えることが可能である。そのため、本実施形態の移動体システムによれば、ドローン1を操作中であっても、例えば、通話などの他の機能を実行可能な状態に簡易に切り替えることなどができる。
【0059】
また、本実施形態のドローン1を利用するゲームアプリケーションによれば、ユーザによるゲームの進行を支援することが出来る。たとえば、ゲームアプリケーションが位置情報を用いたものである場合、ユーザはドローン1を利用することで障害物による移動の制限を受けることなく、ゲームを進行させることができる。
【0060】
<2.補足事項>
以上、本発明の実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、同様の技術思想に基づいて当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0061】
例えば、実施形態では、ドローン1及びスマートフォン2により移動体システムを構成していたが、ドローン1及びスマートフォン2は、それぞれ同様の機能を有する別の装置に置き換えても良い。例えば、スマートフォン2は、タブレット機器、またはノートPCなどの電子機器であっても良いし、所謂リモートコントローラであっても良い。ドローン1は、飛行可能な移動体、すなわち飛行体であれば良い。
【0062】
ドローン1は、周囲360度の全体を撮影可能な全方位カメラを搭載しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の移動体システムは、ゲーム機用のドローン操作システムなどとして好適に適用される。
【符号の説明】
【0064】
1…ドローン
1a…本体部
121a〜121d…モータ
122a〜122d…翼
10…制御部
11…カメラ
12…赤外線カメラ
13…翼駆動部
14…センサ
15…測位部
16…バッテリー
17…通信部
18…記憶部
2…スマートフォン
20…制御部
21…表示部
22…操作部
23…マイク
24…通信部
25…記憶部