特許第6533813号(P6533813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533813
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】脂質ベースのナノ粒子
(51)【国際特許分類】
   A61K 49/00 20060101AFI20190610BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20190610BHJP
   A61K 49/12 20060101ALN20190610BHJP
   A61K 49/18 20060101ALN20190610BHJP
   A61K 9/127 20060101ALN20190610BHJP
   A61K 47/69 20170101ALN20190610BHJP
【FI】
   A61K49/00
   A61K47/60
   !A61K49/12
   !A61K49/18
   !A61K9/127
   !A61K47/69
【請求項の数】9
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-176383(P2017-176383)
(22)【出願日】2017年9月14日
(62)【分割の表示】特願2014-504057(P2014-504057)の分割
【原出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2018-35167(P2018-35167A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2017年9月26日
(31)【優先権主張番号】61/472,605
(32)【優先日】2011年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506140479
【氏名又は名称】ボード・オブ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・テキサス・システム
(73)【特許権者】
【識別番号】513245738
【氏名又は名称】アルゼカ バイオサイエンシズ,エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】314008161
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ ヒューストン システム
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アナプラガダ,アナント
(72)【発明者】
【氏名】エリックセン,ジェイソン,エル.
(72)【発明者】
【氏名】タニファム,エリック,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ダスグプタ,インドラニ
(72)【発明者】
【氏名】クック,スティーブン,シー.
【審査官】 茅根 文子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−523854(JP,A)
【文献】 特表2007−533737(JP,A)
【文献】 国際公開第02/028441(WO,A2)
【文献】 Journal of Neuropathology and Experimental Neurology,2002年,Vol.61, No.9,p.797−805
【文献】 J. Photochem. Photobiol. A: Chemistry,1996年,Vol. 101,pp. 245-250
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 49/00−51/12
A61K 47/60
A61K 9/127
A61K 47/69
CAplus/REGISTRY/WPIDS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)及び1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPPE)のいずれか1つを用いて誘導体化された親水性のポリエチレングリコール(PEG)ポリマーと、
(2)式VIIで示される芳香族化合物との結合体を、含有する組成物であって、

式中、R、R、R、R1´及びR2´はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルであり、かつa、b、c、d、eはそれぞれ炭素原子である、
組成物。
【請求項2】
RがH、OH、メチル又はO−アルキルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
及びR1´がそれぞれ独立してH又はメチルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
2´がH、O−アルキル又はOHである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
及びRが各々Hである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
Rがメトキシであり、RがHであり、RがHであり、且つR2´がOHである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記芳香族化合物が式VIIAで示される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
以下式で示される結合体であって、nは10〜100である結合体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
以下式で示される結合体であって、nは30〜60である結合体を含む、請求項1に記載の組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年4月6日に出願された、米国仮特許出願第61/472,605号明細書の利益を主張し、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
連邦政府支援の研究又は開発に関する研究
本発明は、米国国防総省によって授与されたW81XWH−09−2−0139の下で、政府の支援でなされた。政府は、本発明の特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
アルツハイマー病(「AD」)は、記憶喪失及び他の認知障害によって特徴付けられる、神経変性疾患である。ADは、認知症の最も一般的な形態であり、65歳以上の8人に1人、85歳以上の2人に1人へ影響を与える。ADは、米国における第6番目の主要な死因である。550万人以上のアメリカ人がADに罹患し、年間推定コストは、200億米ドルである。2050年までに、ADは、1.1兆米ドル(2011ドル中)の年間価格で、2000万人のアメリカ人へ影響することが予測されている。世界中で、2011年の推定数字は、600億ドル(米ドル)の関連した費用で、3700万人以上の患者数であった。
【0004】
ADの識別及び治療への著しい支障は、効果的な診断試験の不足である。現時点では、ADは、一般的に、事後病変組織学的解析によって、決定的にのみ診断される。認知障害を検出するために、生存している患者における診断は、主に精神科の試験に依存している。しかしながら、ADの主要な神経病理学的特徴−細胞外アミロイド−β(「Aβ」)プラーク沈着及び細胞内の神経原繊維変化−は、臨床症状のずっと前にはっきりと識別可能である。Aβ沈着もまた、出血性脳卒中の主要な危険因子を表している。
【0005】
従って、診断目的、及び、Aβプラーク沈着を防止することを目標とした療法の有用性を監視するための、脳内Aβプラーク沈着のin vivoイメージングに適した組成物及び方法についての必要性が存在する。現在のアプローチは、侵襲性、Aβ沈着についての造影剤の特異性の欠如、不適切な解像度、イメージング剤が効果的に血液脳関門(「BBB」)を横断できないこと、Aβ沈着の近傍で不適切に高い炎症誘発性応答を誘導する一部のイメージング剤の傾向、及び、不適切な細胞毒性を含む、無数の欠点の内の一つ以上に悩まされている。従って、脳内Aβプラーク沈着のin vivoでのイメージングに適しているが、現在のアプローチの欠点の内の一つ以上に影響を受けない、組成物及び方法についての、更なる必要性が存在する。ADの治療又は、治療若しくは予防を援助するのに適した、組成物及び方法についての、更に別の必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
一実施形態において、式Iの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し:
【化1】
式中、R、、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルである。
【0008】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式Iのリガンド結合体を形成するために、式Iの芳香族複素環を、ポリエチレングリコール(「PEG」)などの親水性ポリマー、及び、1,2−ジパルミトイルル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(「DPPC」)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(「DSPE」)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(「DSPC」)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(「DPPE」)などの脂質と共役させることができる。一実施形態において、脂質−親水性ポリマー式Iリガンド結合体は、リポソーム組成物へ組み込むことができる。
【0009】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングする方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー式Iリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと;
リポソーム組成物が一つ以上のアミロイド沈着に関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着に関連付けられているリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0010】
一実施形態において、式IIの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し:
【化2】
式中、R、、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルである。
【0011】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IIリガンド結合体を形成するために、式IIの芳香族複素環を、PEGなどの親水性ポリマー及び、DPPC、DSPE、DSPC、DPPEなどの脂質と共役させることができる。一実施形態において、リン脂質−親水性ポリマー式IIリガンド結合体を、リポソーム組成物へ組み込むことができる。
【0012】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングする方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式IIリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと;
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0013】
一実施形態において、式IIの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し:
【化3】
式中、R、、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルである。
【0014】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IIIリガンド結合体を形成するために、式IIIの芳香族複素環を、PEGなどの親水性ポリマー及び、DPPC、DSPE、DSPC、DPPEなどの脂質と共役させることができる。一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IIIリガンド結合体を、リポソーム組成物へ組み込むことができる。
【0015】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式IIIリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと;
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0016】
一実施形態において、式IVの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し:
【化4】
式中、R、、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルである。
【0017】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IVリガンド結合体を形成するために、式IVの芳香族複素環を、PEGなどの親水性ポリマー及び、DPPC、DSPE、DSPC、DPPEなどの脂質と共役させることができる。一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IVリガンド結合体を、リポソーム組成物へ組み込むことができる。
【0018】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式IVリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと;
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0019】
一実施形態において、式Vの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し:
【化5】
式中、R、、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルである。
【0020】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式Vリガンド結合体を形成するために、式Vの芳香族複素環を、PEGなどの親水性ポリマー及び、DPPC、DSPE、DSPC、DPPEなどの脂質と共役させることができる。一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式Vリガンド結合体を、リポソーム組成物へ組み込むことができる。
【0021】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式Vリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと;
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0022】
一実施形態において、式VIの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し:
【化6】
式中、R、R、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルである。
【0023】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式VIリガンド結合体を形成するために、式VIの芳香族複素環を、PEGなどの親水性ポリマー及び、DPPC、DSPE、DSPC、DPPEなどの脂質と共役させることができる。一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式VIリガンド結合体を、リポソーム組成物へ組み込むことができる。
【0024】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式VIリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと;
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0025】
一実施形態において、式VIIの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し:
【化7】
式中、R、、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルであり;式中、a、b、c、d、e=C、N、O又はSである。
【0026】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式VIIリガンド結合体を形成するために、式VIIの芳香族複素環を、PEGなどの親水性ポリマー及び、DPPC、DSPE、DSPC、DPPEなどの脂質と共役させることができる。一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式VIIリガンド結合体を、リポソーム組成物へ組み込むことができる。
【0027】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式VIIリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと;
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0028】
一実施形態において、リポソーム組成物を提供し、前記リポソーム組成物は:
リン脂質;
コレステロール、又は、別のステロール若しくは脂肪酸などの別の安定化賦形剤;
非放射性ガドリニウム含有コントラスト強調剤;
ポリマーで誘導体化されたリン脂質;及び、
本明細書に記載される脂質−親水性ポリマー−芳香族結合体の形態の結合体などの、式I〜VIIの内の任意の一つを有する、芳香族化合物を含む結合体;
を含む。
【0029】
一実施形態において、リポソーム組成物は;
DPPC;
コレステロール;
(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)−ビス(ステリアルアミド)、ガドリニウム塩(「Gd−DTPA−BSA」);
1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](「DSPE−mPEG−2000」、CAS番号 147867−65−0);及び、
式中n(即ち、エチレングリコール反復単位の数)=約10〜約100又は約30〜約60である、DSPE−PEGn−メトキシ−XO4;
を含む。
【0030】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングする方法を提供し、前記方法は:
リン脂質;コレステロール;又は、別のステロール若しくは脂肪酸などの別の安定化賦形剤;非放射性ガドリニウム含有コントラスト強調剤;ポリマーで誘導体化されたリン脂質;及び、本明細書に記載される脂質−親水性ポリマー−芳香族化合物結合体の形態での結合体などの、式I〜VIIの内の任意の一つを有する芳香族化合物を含む結合体;を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと;
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0031】
一実施形態において、検出は、蛍光イメージング(FI)により検出することを含む。別の実施形態において、検出は、磁気共鳴イメージング(MRI)により検出することを含む。一実施形態において、検出は、SPECTイメージング、及び/又はPETイメージングにより検出することを含み、非放射性コントラスト強調剤は、例えば、健康の分子イメージングの国立研究所及び、コントラスト剤データベース(「MICAD」)におけるSPECTイメージング、及び/又は、PETイメージングで使用するために適切であるとみなされたそれらの剤などを含む、放射性コントラスト強調剤で置換される
【0032】
一実施形態において、検出はFIにより検出することを含む。一実施形態において、検出は、SPECTイメージング及び/又はPETイメージングを含み、非放射性コントラスト強調剤は、例えば、健康の分子イメージングの国立研究所及び、コントラスト剤データベース(「MICAD」)におけるSPECTイメージング、及び/又は、PETイメージングで使用するために適切であるとみなされたそれらの剤などを含む、放射性コントラスト強調剤で置換される。
【0033】
図面の簡単な説明
添付図面において、化学式、化学構造及び実験データは、以下の詳細な説明とともに与えられ、特許請求された本発明の例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、脂質−親水性ポリマー−芳香族リガンド結合体、DSPE−PEG−メトキシ−XO4(「Me−XO4」)の合成のための例示的な概略図を示す。
図1A図1Aは、DSPE−PEGMw=3400−メトキシ−XO4の例示的な透過型電子顕微鏡(「TEM」)画像を示す。
図1B図1Bは、リポソームDSPE−PEGMw=3400−メトキシ−XO4の、例示的なTEM画像を更に示す。
図2A図2Aは、合成Aβ(1〜40)フィブリルへのMe−XO4−ラベルしたリポソームの結合親和性を示す。
図2B図2Bは、合成Aβ(1〜40)フィブリル上の結合部位についての、Me−XO4−ラベルしたリポソーム、クリサミンG(「CG」)、及び遊離メトキシ−XO4−リガンドの間の競合の例示的な結果を示す。
図3図3は、Me−XO4−ラベルしたリポソームを用いた、マウスの脳組織のex vivoでの染色の例示的な結果を示す。
図4図4は、マウスの脳組織におけるex vivoのAβプラーク沈着上の結合部位についての、Me−XO4−ラベルしたリポソーム及びCGの間の、競合の例示的な結果を示す。
図5図5は、Me−XO4−ラベルしたリポソーム及び、遊離メトキシ−XO4リガンドを用いた、マウス脳組織のin vivoでの染色の例示的な結果を示す。
図6図6は、Me−XO4−ラベルしたリポソームを注入したマウスの脳の矢状切片からの、例示的な共焦点顕微鏡画像の光再構成を示す。
図7図7は、遊離メトキシ−XO4リガンド及び、Me−XO4結合体の間の炎症可能性の例示的な比較を示す。
図8図8は、遊離メトキシ−XO4リガンド及び、Me−XO4結合体の間の細胞毒性の例示的な比較を示す。
図9A図9Aは、DSPE−PEG−3−フルオロ−4−アミノメチルフェニルボロン酸結合体及び、遊離リガンド、3−フルオロ−4−アミノメチルフェニルボロン酸の間の、細胞毒性の比較を示す。
図9B】DSPE−PEG−4−アミノピリミジンボロン酸結合体及び遊離リガンド、4−アミノピリミジンボロン酸の間の、炎症可能性の比較を示す
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
一実施形態において、式Iの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し:
【化8】
式中、R、R、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルである。
【0036】
39
一実施形態において、R=Hであり、R=Hであり、=Hであり、’及びR’は一緒に、1,3−ベンゾジオキソールを形成するために、リンカー−O−CH−O−を形成する。従って、式Iの化合物の一例は、1,4−キノキサリンフェニル1,3−ベンゾジオキソ化合物IA:
【化9】
である。
【0037】
別の実施形態において、R=Hであり、R=Hであり、R=Hであり、R’=Hであり、R’=NMe2である。従って、式Iの化合物の別の例は、1,4−キノキサリンビフェニル化合物IB:
【化10】
である。
【0038】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式Iリガンド結合体を形成するために、式Iの芳香族複素環を、PEG(例えば、500〜10,000Daの範囲の分子量を有する)などの親水性ポリマー及び、例えば、DPPC、DSPE、DPPEなどの脂質と共役させることができる。
【0039】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式Iリガンド結合体は;
【化11】
を含み、
式中、nは約10〜約100又は、約30〜約60である。
【0040】
別の実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式Iリガンド結合体は:
【化12】
を含み、式中、nは約10〜約100又は約30〜約60である。
【0041】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式Iリガンド結合体は、リポソーム組成物中へ組み込むことができる。
【0042】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式Iリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと;
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0043】
一実施形態において、検出はFIにより検出することを含む。別の実施形態において、この検出は、MRイメージングによる検出を含む。一実施形態において、検出は、SPECTイメージング及び/又はPETイメージングを含み、非放射性コントラスト強調剤は、例えば、健康の分子イメージングの国立研究所及び、コントラスト剤データベース(「MICAD」)におけるSPECTイメージング、及び/又は、PETイメージングで使用するために適切であるとみなされたそれらの剤などを含む、放射性コントラスト強調剤で置換される。
【0044】
一実施形態において、式IIの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し:
【化13】
式中、R、R、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルである。
【0045】
一実施形態において、R=Hであり、R=Hであり、R=Hであり、R’=Hであり、R’=OMeである。従って、式IIの化合物の一例は、1,4−キノキサリンフェンピリジニル化合物IIA:
【化14】
である。
【0046】
式IIの化合物の別の例は、1,4−キノキサリンフェニルピリジニル化合物IIB:
【化15】
である。
【0047】
一実施形態において、式IIの芳香族複素環を、脂質−親水性ポリマー−式IIリガンド結合体を形成するために、PEG(例えば、500〜10,000Daの範囲の分子量を有する)などの親水性ポリマー及び、例えば、DPPC、DSPE、DPPEなどの脂質と共役させることができる。
【0048】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IIリガンド結合体は:
【化16】
を含み、
式中、nは約10〜約100又は約30〜約60である。
【0049】
別の実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IIリガンド結合体は:
【化17】
を含み、
式中、nは約10〜約100又は約30〜約60である。
【0050】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IIリガンド結合体を、リポソーム組成物中へ組み込むことができる。
【0051】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式IIリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと:
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0052】
一実施形態において、検出はFIにより検出することを含む。別の実施形態において、この検出は、MRイメージングにより検出することを含む。一実施形態において、検出は、SPECTイメージング及び/又はPETイメージングを含み、非放射性コントラスト強調剤は、例えば、健康の分子イメージングの国立研究所及び、コントラスト剤データベース(「MICAD」)におけるSPECTイメージング、及び/又は、PETイメージングで使用するために適切であるとみなされたそれらの剤などを含む、放射性コントラスト強調剤で置換される。
【0053】
一実施形態において、式IIIの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し、
【化18】
式中、R、R、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルである。
【0054】
一実施形態において、R=Hであり、R=Hであり、R=Hであり、R’=OMeであり、R’=OMeである。従って、式IIIの化合物の一例は、1,4−キノキサリンフェニルピリジニル化合物IIIA:
【化19】
である。
【0055】
一実施形態において、式IIIの芳香族複素環を、脂質−親水性ポリマー−式IIIリガンド結合体を形成するために、PEG(例えば、500〜10,000Daの範囲の分子量を有する)などの親水性ポリマー及び、例えば、DPPC、DSPE、DPPEなどの脂質と共役させることができる。
【0056】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IIIリガンド結合体は:
【化20】
を含み、
式中、nは約10〜約100又は約30〜約60である。
【0057】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IIIリガンド結合体を、リポソーム組成物中へ組み込むことができる。
【0058】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式IIIリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと:
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0059】
一実施形態において、検出はFIにより検出することを含む。別の実施形態において、この検出は、MRイメージングによる検出を含む。一実施形態において、検出は、SPECTイメージング及び/又はPETイメージングを含み、非放射性コントラスト強調剤は、例えば、健康の分子イメージングの国立研究所及び、コントラスト剤データベース(「MICAD」)におけるSPECTイメージング、及び/又は、PETイメージングで使用するために適切であるとみなされたそれらの剤などを含む、放射性コントラスト強調剤で置換される。
【0060】
一実施形態において、式IVの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し、
【化21】
式中、R、R、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルである。
【0061】
一実施形態において、R=Hであり、R=Hであり、R=Hであり、R’及びR’は一緒に、1,3−ベンゾジオキソールを形成するために、結合−O−CH−O−を形成する。従って、式IVの化合物の一例は、1,4−ベンゾオキサジンフェニル1,3−ベンゾジオキソリル化合物IVA:
【化22】
である。
【0062】
別の実施形態において、R=Hであり、R=Meであり、R=Hであり、R’=Hであり、R’=NMeである。従って、式IVの化合物の別の例は、1,4−ベンゾオキサジンビフェニル化合物IVB:
【化23】
である。
【0063】
一実施形態において、式IVの芳香族複素環を、脂質−親水性ポリマー−式IVリガンド結合体を形成するために、PEG(例えば、500〜10,000Daの範囲の分子量を有する)などの親水性ポリマー及び、例えば、DPPC、DSPE、DPPEなどの脂質と共役させることができる。
【0064】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IVリガンド結合体は:
【化24】
を含み、
式中、nは約10〜約100又は約30〜約60である。
【0065】
別の実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IVリガンド結合体は:
【化25】
を含み、
式中、nは約10〜約100又は約30〜約60である。
【0066】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式IVリガンド結合体をリポソーム組成物へ組み込むことができる。
【0067】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式IVリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと:
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0068】
一実施形態において、検出はFIにより検出することを含む。別の実施形態において、検出は、MRイメージングによる検出を含む。一実施形態において、検出は、SPECTイメージング及び/又はPETイメージングを含み、非放射性コントラスト強調剤は、例えば、健康の分子イメージングの国立研究所及び、コントラスト剤データベース(「MICAD」)におけるSPECTイメージング、及び/又は、PETイメージングで使用するために適切であるとみなされたそれらの剤などを含む、放射性コントラスト強調剤で置換される。
【0069】
一実施形態において、式IVの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し、
【化26】
式中、R、R、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルである。
【0070】
一実施形態において、R=Hであり、R=Meであり、R=Hであり、R’=Hであり、R’=OMeである。従って、式Vの化合物の一例は、1,4−ベンゾオキサジンフェニルピリジニル化合物VA:
【化27】
である。
【0071】
一実施形態において、式Vの芳香族複素環を、脂質−親水性ポリマー−式Vリガンド結合体を形成するために、PEG(例えば、500〜10,000Daの範囲の分子量を有する)などの親水性ポリマー及び、例えば、DPPC、DSPE、DSPC、DPPEなどの脂質と共役させることができる。
【0072】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式Vリガンド結合体は:
【化28】
を含み、
式中、nは約10〜約100又は約30〜約60である。
【0073】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式Vリガンド結合体をリポソーム組成物へ組み込むことができる。
【0074】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式Vリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと:
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0075】
一実施形態において、検出はFIにより検出することを含む。別の実施形態において、検出は、MRイメージングによる検出を含む。一実施形態において、検出は、SPECTイメージング及び/又はPETイメージングを含み、非放射性コントラスト強調剤は、例えば、健康の分子イメージングの国立研究所及び、コントラスト剤データベース(「MICAD」)におけるSPECTイメージング、及び/又は、PETイメージングで使用するために適切であるとみなされたそれらの剤などを含む、放射性コントラスト強調剤で置換される。
【0076】
一実施形態において、式VIの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し、
【化29】
式中、R、R、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルである。
【0077】
一実施形態において、R=Hであり、R=Meであり、R=Hであり、R’=OMeであり、R’=OMeである。従って、式VIの化合物の一例は、1,4−キノキサリンフェニルピリミジニル化合物VIA:
【化30】
である。
【0078】
一実施形態において、式VIの芳香族複素環を、脂質−親水性ポリマー−式VIリガンド結合体を形成するために、PEG(例えば、500〜10,000Daの範囲の分子量を有する)などの親水性ポリマー及び、例えば、DPPC、DSPE、DSPC、DPPEなどの脂質と共役させることができる。
【0079】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式VIリガンド結合体は:
【化31】
を含み、
式中、nは約10〜約100又は約30〜約60である。
【0080】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−式VIリガンド結合体をリポソーム組成物へ組み込むことができる。
【0081】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式VIリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと:
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0082】
一実施形態において、検出はFIにより検出することを含む。別の実施形態において、検出は、MRイメージングによる検出を含む。一実施形態において、検出は、SPECTイメージング及び/又はPETイメージングを含み、非放射性コントラスト強調剤は、例えば、健康の分子イメージングの国立研究所及び、コントラスト剤データベース(「MICAD」)におけるSPECTイメージング、及び/又は、PETイメージングで使用するために適切であるとみなされたそれらの剤などを含む、放射性コントラスト強調剤で置換される。
【0083】
一実施形態において、式VIIの化合物又は、薬学的に許容可能なその塩若しくはプロドラッグを提供し、
【化32】
式中、R、R、R、R’、R’=H、F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、OH、O−アルキル、O−アリール、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、カルボキシル、スルホニル、カルバモイル又はグリコシルであり、a、b、c、d、e=C、N、O又はSである。
【0084】
一実施形態において、R=OMeであり、R=Hであり、R=O−アルキルであり、R’=OHであり、R’=Hである。従って、式VIIの化合物の一例は、ジビニルベンゼン化合物VIIA(「メトキシ−XO4」):
【化33】
である。
【0085】
一実施形態において、式VIIの芳香族化合物を、脂質−親水性ポリマー−式VIIリガンド結合体を形成するために、PEG(例えば、500〜10,000Daの範囲の分子量を有する)などの親水性ポリマー及び、例えば、DPPC、DSPE、DSPC、DPPEなどの脂質と共役させることができる。例えば、一実施形態において、図1中で「1」として示されている(時には、以下で「Me−XO4」と記される)DSPE−PEG−メトキシ−XO4結合体を形成するために、メトキシ−XO4−リガンドをPEG及びDSPEと結合することができる。
【化34】
【0086】
一実施形態において、Me−XO4、より具体的には、DPSE−PEG3400−メトキシ−XO4(3400は、ポリエチレングリコールの分子量を示す)などの脂質−親水性ポリマー−式VIIリガンド結合体を、リポソーム組成物へ組み込むことができる。
【0087】
一実施形態において、患者におけるアミロイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−式VIIリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと:
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0088】
一実施形態において、検出はFIにより検出することを含む。別の実施形態において、検出は、MRイメージングによる検出を含む。一実施形態において、検出は、SPECTイメージング及び/又はPETイメージングを含み、非放射性コントラスト強調剤は、例えば、健康の分子イメージングの国立研究所及び、コントラスト剤データベース(「MICAD」)におけるSPECTイメージング、及び/又は、PETイメージングで使用するために適切であるとみなされたそれらの剤などを含む、放射性コントラスト強調剤で置換される。
【0089】
一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−アミロイドリガンド結合体を形成するために、コンゴーレッド及びその誘導体、チオフラビンT及びその誘導体、及び、CG及びその誘導体を含むがそれらに限定されない、ひとつ以上の代替的なアミロイドリガンド(即ち、上記に開示されたアミロイド結合リガンドを除く)を、PEG(例えば、500〜10,000Daの範囲の分子量を有する)などの親水性ポリマー、及び、DPPC、DSPE、DSPC、DPPEなどの脂質を、共役させることができる。一実施形態において、脂質−親水性ポリマー−アミロイドリガンド結合体を、リポソーム組成物へ組み込むことができる。
【0090】
一実施形態において、患者におけるアミロイド病変をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
脂質−親水性ポリマー−アミロイドリガンド結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を導入することと、
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0091】
本明細書に記載のリポソーム組成物は、更に、アミロイド病変への治療分子の送達を可能にし、それによって病変の治療を可能にすることができる。
【0092】
一実施形態において、リポソーム組成物を提供し、前記リポソーム組成物は:リン脂質;コレステロール;又は、別のステロール又は脂肪酸などの別の安定化賦形剤;非放射性ガドリニウム含有コントラスト強調剤;ポリマーで誘導体化されたリン脂質;及び、本明細書に記載の脂質−親水性ポリマー−芳香族化合物などの式I〜VIIの内の任意のひとつを有する芳香族化合物を含む結合体を含む。
【0093】
一実施形態において、リポソーム組成物は:DPPC;コレステロール;Gd−DTPA−BSA;DSPE−mPEG−2000;及び、式中n=約10〜約100又は約30〜約60である、DSPE−PEGn−メトキシ−XO4を含む。
【0094】
一実施形態において、患者におけるアミドイド沈着をイメージングするための方法を提供し、前記方法は:
リン脂質;コレステロール;又は、別のステロール又は脂肪酸などの別の安定化賦形剤;非放射性ガドリニウム含有コントラスト強調剤;ポリマーで誘導体化されたリン脂質;及び、本明細書に記載のリン脂質−親水性ポリマー−芳香族化合物などの式I〜VIIの内の任意の一つを有する芳香族化合物を含む結合体を含む、検出可能な量のリポソーム組成物を患者へ導入することと;
リポソーム組成物が、一つ以上のアミロイド沈着と関連付けられるのに十分な時間を与えることと;
一つ以上のアミロイド沈着へ関連したリポソーム組成物を検出すること;
とを含む。
【0095】
一実施形態において、検出はFIにより検出することを含む。別の実施形態において、検出は、MRIにより検出することを含む。確かに、GdDTPA、GdDOTA、GdHPD03A、GdDTPA−BMA及びGdDTPA−BSAなどの親水性の常磁性キレートは、既知のMRIコントラスト剤である。Klavenessらにより発行された米国特許第5,676,928号明細書を参照されたく、参照によりその全体は本明細書中に組み込まれる。一実施形態において、検出は、SPECTイメージング及び/又はPETイメージンにより検出することを含み、非放射性コントラスト強調剤は、例えば、健康の分子イメージングの国立研究所及び、コントラスト剤データベース(「MICAD」)におけるSPECTイメージング、及び/又は、PETイメージングで使用するために適切であるとみなされたそれらの剤などを含む、放射性コントラスト強調剤で置換される
【0096】
適切なリン脂質は、本明細書中に開示のものを含み得、更に、参照により全体が本明細書中に組み込まれる、Annapragadaらにより発行された米国特許第7,785,568号明細書に開示されたものを含み得る。適切なポリマー誘導体化リン脂質は、本明細書中に開示されたものを含み得、更に、米国特許第7,785,568号明細書に開示されたものを含み得る
【0097】
一実施形態において、検出はFIにより検出することを含む。一実施形態において、検出は、SPECTイメージング及び/又はPETイメージングにより検出することを含み、非放射性コントラスト強調剤は、例えば、健康の分子イメージングの国立研究所及び、コントラスト剤データベース(「MICAD」)におけるSPECTイメージング、及び/又は、PETイメージングで使用するために適切であるとみなされたそれらの剤などを含む、放射性コントラスト強調剤で置換される。PETイメージングを含むがそれに限定されない、当業者に公知な任意の他の適切な種類のイメージング方法が企図されている
【0098】
実施例
特定の実施形態を、実施例の形態で以下に説明する。本発明の全ての適用可能性を表現することは不可能である。従って、実施形態はかなり詳細に記載されているが、添付の特許請求項の範囲を、そのような詳細又は、任意の特定の実施形態へ、制限も任意の方法で限定することも意図しない。
【0099】
実施例1:DSPE−PEG3400−メトキシ−XO4結合体1の調製
【0100】
DSPE−PEGMw=3400−メトキシ−XO4結合体1を、標的種として合成した(図1)後、リポソーム製剤中へ組み込む。
【0101】
図1を参照すると、化合物14、リンカー−メトキシ−XO4部分の合成は、一連のタカイ、スズキ、及びJulia−Kocienskiオレフィン合成反応を介して行った。Boc保護された3単位PEGリンカー前駆体臭化物3は、良い収率で、対応する市販のアルコール2から調製した。Julia−Kocienskiオレフィン合成工程のための中間体7、スルホンもまた、4−ヒドロキシベンズアルデヒドから優れた収率で調製した。4−ヒドロキシベンズアルデヒドもまた、ヨウ化ビニル9を得るために、別々に、標準的なタカイプロトコルへ供した。スズキ条件下、9を市販のボロン酸10と反応させることにより、良い収率で化合物11を得た。リンカー部分を、アルデヒド12を与えるために、定量的に導入し、これを、カラムクロマトグラフィー精製の後、69%の収率で所望のE、E−異性体13を得るために、最適化されたJulia−Kocienski条件下で、スルホン7へ暴露した。HClを用いたMOM及びBoc基の脱保護によって、塩酸塩としてリンカー−メトキシ−XO4部分14を得た。
【0102】
DSPE−PEGMw=3400−MeXO4結合体1(Me−XO4のサブセット)を得るために、14及びDSPE−PEGMw=3400−COOHを標準的なカルボイミド条件へ供することによって、脂質−PEG部分への結合を進行した。
【0103】
実施例2:Gd−含有Me−XO4−ラベルしたリポソームの調製及び特性評価
【0104】
DPPC、コレステロール、Gd−DTPA−BSA、DSPE−mPEG−2000、Me−XO4及びローダミンDHPE(光検出用)を、それぞれ約32.4:40:25:2:0.5:0.1のモル比で含む脂質混合物(50mM)を用いた。DPPC、コレステロール、Gd−DTPA−BSA、DSPE−mPEG−2000及びMe−XO4を約32.5:40:25:2:0.5のモル比で含む脂質混合物を含む、他の比率も企図されている。更に、32.5:40:25:2.5の比率で、DPPC、コレステロール、Gd−DTPA−BSA、Me−XO4結合体について、DSPE−mPEG−2000を、Me−XO4結合体で完全に置換することができる。PEG含有分子の上限は、15〜25%であり得、コレステロールの下限は、約15〜20%であり得る。1.5時間のPROHANCE(登録商標)溶液(Bracco Diagnostics社製、ニュージャージー州モンロータウンシップ)中の水和時に、この混合物を、65℃で、LIPEX(商標)THERMOLINE押出機(Northern Lipids社製、バーナビー(B.C.)、カナダ)用いて、200nmのNUCLEPORE(商標)膜(シグマアルドリッチ社製、ミズーリ州セントルイス)を介して5回通過させ、かつ、100nmの膜を介して10回通過させることにより、連続的に押し出した。粒度分布は、TEMによって決定し(図1A及び1B)、それにより、約100.8nmの平均直径及び、約0.05のPDIを確認した。
【0105】
粒子中のMe−XO4リガンドの濃度は、ME−XO4リガンドを26μMにするために生成された蛍光標準曲線を用いて決定した。上記プロトコルの結果は、脂質二重奏の内側及び外側の間の、ほぼ等しい標的リガンドの分布をもたらす。これは、ナノ粒子におけるMe−XO4リガンドのそれぞれの報告された濃度について、総ME−XO4リガンドの約50%は、結合のために利用可能であることを意味する。Me−XO4リガンドは、高度に本質的に蛍光性であり、そして、ナノ粒子はMe−XO4リガンドを冠している。この特性は、実験の全ての過程において、ナノ粒子の位置レポーターとして使用した。
【0106】
実施例3:合成Aβ繊維についての、Gd−含有Me−XO4−ラベルされたリポソームのin vitro結合親和性
【0107】
実施例2のMe−XO4−ラベルしたリポソーム及び、Me−XO4リガンドの原液を、500nMまで、10mMのTris−HClを用いて希釈した。少量の100μMAβ原液を、20μMの最終フィブリル濃度を達成するために、試験化合物へ加えた。これは、適切な濃度の非蛍光コンペティター、CGを加えることにより従った。結合混合物を、1時間室温でインキュベートし、次に、フィブリルを分離するために、16,400rpmで20分間遠心分離した。沈殿を、トリス−HClで二回洗浄した。蛍光度は、それぞれ、368nm及び450nmの励起波長および蛍光波長を用いて、スペクトラマックス384プレート(モレキュラーデバイス社製、カルフォルニア州サニーベール)リーダで測定した。
【0108】
図2Aは、合成Aβ(1〜40)凝集体への、実施例2のGd含有Me−XO4ラベルしたリポソームの結合親和性を示す。図2Bは、遊離Me−XO4リガンドを用いた結合部位と競合するための、Gd−含有Me−XO4−ラベルしたリポソームの能力を示す。
【0109】
実施例4:マウス脳組織のex vivoの染色
【0110】
APP/PSEN1遺伝子導入マウスラインから脳断片を染色することによって、Aβプラークを結合するための、実施例2のGd−含有Me−XO4−ラベルしたリポソームの能力を評価した。マウスを、ヒトAD病理学において観察されたものと同様の、年齢に関連した方法で、進行的に、大脳皮質及び海馬のAβプラークを開発するように設計した。安楽死させた非遺伝子導入(対照)の月齢5ヶ月及び7ヶ月のAPP/PSEN1マウスからの矢状切片を、室温で2時間、3mMのリポソーム溶液(溶液中のMe−XO4濃度は、1μMであった)インキュベートした。これを、その後、結合していないリポソームを取り除くために、PBSで十分に洗浄した。染色された組織を、バックグラウンドの蛍光を低減するために、VECTASHIELD(登録商標)搭載メディア(Vector Laboratories社製、カリフォルニア州バーリンゲーム)を用いて搭載し、共焦点顕微鏡で観察した。
【0111】
図3に示すように、非組換えマウスからのスライド(パネルI)は、プラークの欠如に起因する明確な蛍光スポットを示さなかった。明瞭なプラーク沈着(パネルII及びIII)並びに、脳アミロイド血管症(パネルIV)を、月齢5ヶ月ではないが、月齢7ヶ月のマウスからの脳断片上の剤によってハイライトした。同様の断片を、遊離メトキシ−XO4リガンドを用いて同じプロトコルへ供した場合、同一のプラーク沈着パターンを観察した。
【0112】
選択的に脳組織中のAβプラーク沈着を結合するための、Gd−含有Me−XO4−ラベルしたリポソームの能力を更に確認するために、染色プロトコルを1μMのMe−XO4を用いて繰り返し、CGの濃度を増加させる。結果(図4)は、CG濃度の増加に伴う、大脳皮質(A)及び海馬(B)の両方における、蛍光強度及びラベルされたプラークの数の減少を示す。
【0113】
実施例5:月齢7ヶ月のAPP/PSEN1遺伝子導入マウスラインにおける、大脳皮質及び海馬プラークへの、Gd−含有Me−XO4−ラベルしたリポソームのin vivoの送達
【0114】
Gd−含有Me−XO4−ラベルしたリポソームを、尾静脈注射により、月齢5ヶ月及び7ヶ月のAPP/PSEN1マウスへ投与した。注射の48時間後、マウスを安楽死させ、共焦点光学顕微鏡研究のために、それらの脳断片を用いた。同じマウスは、陽性対照として機能するように、分子/遊離メトキシ−XO4リガンドを注射し、陰性対照として非標的リポソーム及び生理食塩水を注射した。
【0115】
月齢5ヶ月のマウスのいずれかから脳組織断片をイメージングした場合、特筆すべき蛍光は無かった(プラークの不存在を示す)。非標的リポソーム(パネルI)及び生理食塩水を注射した月齢7ヶ月のマウスからの断片もまた、蛍光を示さなかった。遊離メトキシ−XO4リガンド(パネルII及びIII)を注射した同じマウスは、大脳皮質及び海馬プラークの両方を、明るく染色することを明らかにした。Gd−含有Me−XO4リポソーム(パネルIV、V及びVI)を注射した動物は、類似のプラーク沈着及び血管病変を明らかにした。
【0116】
本研究におけるナノ粒子処置したマウスの内の一匹由来のスライド上の画像の光再構成図6は、大脳皮質(セクションAにおける、一番上の矢印)及び海馬(セクションBにおける、一番下の四つの矢印)中の、蛍光局在を主に示す。Gd−含有Me−XO4リポソームは、BBBバリアを貫通し、脳を介して普遍的に移行する。
【0117】
実施例6:Me−XO4の炎症の可能性
【0118】
アミロイド沈着の周りの炎症は、ADの進行の主な危険因子であると考えられる。従って、イメージング剤は、低いか又は低減された炎症のリスクを示すことが非常に望ましい。脂質−PEG−リガンド結合体は、一般的に、性質上炎症性になる傾向がある。確かに、構造中の脂質−PEG−リガンド結合体に類似しているリポ多糖類(「LPS」)は、既知の最も炎症性な組成物の一つである。
【0119】
Me−XO4の炎症可能性を、遊離(即ち、結合されていない)メトキシ−XO4リガンド、LPS、及び未処理対照(「UTC」)と比較した。細胞質から核へのNF−kbの転位は、炎症反応の初期段階における事象である。炎症可能性を受けると、NF−kbは、細胞質から核へ移動し、遺伝子転写を誘発する。従って、NF−kbの転位は、炎症について広く使用されているマーカーである。簡単に言えば、プロトコルは以下の通りである。
【0120】
15,000のHea細胞を、96ウェルプレートのそれぞれに播種し、一晩放置した。細胞を、37℃のインキュベータの中で2時間、異なる濃度の試験化合物で処置した。正の対照を1mg/mL LPSで処置した。インキュベーション期間の最後に、培地を吸引し、細胞をPBSにより洗浄した。細胞を、室温で10分間4%のパラホルムアルデヒドを用いて(細胞を固定するために)処置した。細胞を、氷冷したPBSで二回洗浄した。細胞を室温で10分間、PBS中の0.25%トリトン−X−100を用いてインキュベートし、再び、PBSを用いて三回(それぞれ5分)洗浄した。細胞を、室温で45分間、PBS−T(0.1%Tween−20を含むPBS)中の1%BSAを用いてインキュベートした。インキュベーション期間の最後に、細胞を更に、室温で1時間、PBST中で1:50に希釈したNF−kBに対する一次抗体を用いてインキュベートした。細胞を再びPBSを用いて三回(それぞれ5分)洗浄した。細胞を、室温で1時間PBST中の二次抗体を用いてインキュベートし、再び、PBSを用いて三回(それぞれ5分)洗浄した。100μLのDAPI(1μg/mL)を、それぞれのウェルへ配置し、更なる分析まで4℃に維持した。細胞を、Cell Lab IC−100画像サイトメーター(Beckman−Coulter社製、カリフォルニア州フラートン)を用いて更に分析した。データを更に、CyteSeerソフトウェア(Vala Sciences社製、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて分析し、核マスク全体のタンパク質強度存在を、ピアソンの相関関数(PCC)で表した。
【0121】
驚くべきことに、Me−XO4は、試験した最高濃度(500nM)を除く全ての濃度で、遊離メトキシ−XO4リガンドよりも、炎症性が少ないことが分かった。結果を図7に示す。
【0122】
従って、共役及び/又はリポソームアミロイド結合リガンド結合は、遊離リガンドよりも、炎症性が少ない(又は、少なくともそれ以上ではない)ことは、本明細書の少なくとも一つの実施形態の特定の教示である。
【0123】
実施例7:Me−XO4の細胞毒性
【0124】
Me−XO4の細胞毒性を、遊離(即ち、結合されていない)メトキシ−XO4リガンド及び未処理の対照と比較した。試験化合物の毒性を、標準MTTアッセイを用いて評価した。15,000のHea細胞を各96ウェルプレートへ播種し、一晩放置した。細胞を、三つの異なる濃度の試験化合物を用いて、37℃のインキュベータ中で2時間処置した。正の対照を、1mg/mLを用いて処置した。インキュベーション期間の最後に、MTS細胞毒性アッセイキット(CELLTITER 96(登録商標)水性アッセイキット、プロメガ社製、ウィスコンシン州マディソン)を、製造業者のプロトコルに従って使用した。インキュベーション期間の最後に、細胞を、37℃で3時間、15μLMTS試薬/100μL培地を用いて処置した。3時間のインキュベーション後、吸光度を、プレートリーダーを用いて490nmで記録した。
【0125】
驚くべきことに、Me−XO4は、遊離メトキシ−XO4リガンドよりも細胞毒性が少ないことが分かった。結果を、図8に示す。従って、共役及び/又はリポソームアミロイド結合リガンドは、遊離リガンドよりも毒性が少ない(又は、少なくともそれ以上ではない)ことは、本明細書の少なくとも一つの実施形態の特定の教示である。
【0126】
(比較)実施例8:脂質−PEGアンカーへの結合時における、ボロン酸リガンドの細胞毒性及び炎症可能性
【0127】
3−フルオロ−4−アミノメチルフェニルボロン酸を、実施例7において上述したのと同じプロトコルに従って、共役リガンド、即ち、DAPE−PEG−3−フルオロ−4−アミノメチルフェニルボロン酸、LPS及び未処理の対照と比較した。図9Aは、細胞の生存画分を示す。予測した通り、共役リガンドは、遊離リガンドよりも顕著に細胞毒性が高い。
【0128】
4−アミノピリミジンボロン酸の炎症可能性を、実施例6において上述したのと同じプロトコルに従って、共役リガンド、即ち、DSPE−PEG−4−アミノピリミジンボロン酸、LPS、及び未処理の対照と比較した。図9Bは、Hela細胞におけるNFKB分子の核及び細胞質画分の間のPCCを示す。予測した通り、共役リガンドは、遊離リガンドよりも顕著に細胞毒性が高い
【0129】
用語「含む(includes)」又は「含んでいる(including)」は、明細書又は特許請求の範囲で使用される程度に、その用語が請求項における転換語として使用される場合に解釈されるように、用語「備える(comprising)」と同様に包括的であることを意図している。更に、用語「又は(or)」が用いられる程度に(例えば、A又はB)、それは、「A又はB又はその両方」を意味することを意図している。「A又はBのみであるが両方ではない(only A or B but not both)」ことを意図する場合、用語「A又はBのみであるが両方ではない(only A or B but not both)」を用いる。従って、本明細書中における用語「又は」の使用は包括的であり、排他的ではない。明細書及び請求項において使用するように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数を含む。最後に、用語「約(about)」は、数字と組み合わせて使用する場合、それは、その数の±10%を含むことを意図している。例えば、「約10」は、9〜11を意味し得る。
【0130】
上述のように、本出願は実施形態の説明によって例示し、実施形態はかなり詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲を、そのような詳細へ制限又は何ら限定することを意図するものではない。更なる利点及び変更は、良いに当業者に明らかになるであろうし、これは本出願の利益を有する。従って、本出願は、そのより広い態様において、示された特的の詳細及び例示的な実施例に限定されるものではない。発展形は、一般的な本発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、そのような詳細及び実施例から成され得る。


図1
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B