特許第6533821号(P6533821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533821
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20060101AFI20190610BHJP
   G02B 7/04 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
   G03B5/00 J
   G02B7/04 E
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-213885(P2017-213885)
(22)【出願日】2017年11月6日
(62)【分割の表示】特願2013-254226(P2013-254226)の分割
【原出願日】2013年12月9日
(65)【公開番号】特開2018-25826(P2018-25826A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2017年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】色摩 和雄
(72)【発明者】
【氏名】渡部 博之
【審査官】 越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−210550(JP,A)
【文献】 特開2014−085624(JP,A)
【文献】 特開2014−126668(JP,A)
【文献】 特開2014−052620(JP,A)
【文献】 特開2013−097168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/02−7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の枠体と、
前記枠体に配置され、光軸に対して直交する平面内で前記枠体に移動可能に支持される矩形状の可動部材と、
前記可動部材内に配置され、前記可動部材に対して光軸方向に移動可能に支持されるレンズ枠とを備え、
前記枠体の隣接する2つの隅部には、前記可動部材を前記光軸に対して直交する方向に移動させる手振れ補正コイルがそれぞれ配置され、
前記枠体の他の2つの隅部には、前記可動部材の位置を検出するための位置検出素子が取り付けられており、
前記可動部材の2つの隅部の内側には、前記手振れ補正コイルの上に前記可動部材を前記光軸に対して直交する方向に移動させるマグネットがそれぞれ配置され、
前記可動部材の他の2つの隅部の内側には、前記位置検出素子の上にマグネットがそれぞれ配置されていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記レンズ枠は、連結部材の弾性アーム部を介して前記可動部材に支持され、
前記可動部材は、前記連結部材の一端に固定されたワイヤを介して前記枠体に支持されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記レンズ枠の外周は直線部を有する多角形状であり、
前記レンズ枠の外周には、前記直線部において前記マグネットと対向するように、光軸周りに焦点調整コイルが巻き回されていることを特徴とする請求項1又は2記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記位置検出素子の上には、前記マグネットが直接対向して配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記枠体は、前記可動部材を収容するボックス状のカバーを有する請求項1〜4のいずれか1項記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載のレンズ駆動装置を備えた携帯電話器。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項記載のレンズ駆動装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光軸に対して直交する平面内でレンズを移動させて手振れを補正するレンズ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として特許文献1がある。特許文献1には、カメラに用いられる手振れ補正装置が開示されている。この手振れ補正装置では、オートフォーカス用レンズ駆動装置が、光軸に対して直交する方向に揺動可能に支持されている。より詳細には、ベースプリント基板の四隅部に4本のサスペンションワイヤの一端側が固定され、サスペンションワイヤの他端側はオートフォーカス用レンズ駆動装置のプリント配線基板に接着剤やはんだ等で固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011―65140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の手振れ補正装置に衝撃が作用すると、サスペンションワイヤが固定されたプリント配線基板が過度に揺動して、オートフォーカス用レンズ駆動装置を収容したカバーにプリント配線基板が衝突する虞がある。プリント配線基板がカバーに衝突すると、サスペンションワイヤとプリント配線基板との接続部に負荷が生じる可能性があるため、手振れ補正装置の耐衝撃性を高め難い。
【0005】
そこで、本発明は、耐衝撃性を高めることができるレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るレンズ駆動装置は、枠体と、枠体に配置され、光軸に対して直交する平面内で移動する可動部材と、枠体と可動部材とに配置され、光軸に対して直交する方向に可動部材を移動させる可動部材用駆動手段と、枠体に対して可動部材を平面内で移動可能に支持する支持手段と、を備え、支持手段は、可動部材に取り付けられた可動部材用駆動手段のマグネットに対して固定された連結部材と、一端が連結部材に固定されると共に他端が枠体に固定され、連結部材を平面内で移動可能に支持するワイヤと、を有し、連結部材には、連結部材の弾性アーム部を介してレンズ枠が固定されると共に、連結部材は、可動部材によって形成された空間に配置されている。
【0007】
本発明に係るレンズ駆動装置は、連結部材が可動部材に対して固定されているため、可動部材が移動しても連結部材と可動部材との間の相対位置関係は変化しない。一方、連結部材と枠体との間の相対位置関係は、可動部材の移動に伴って変化する。ここで、連結部材は、可動部材によって形成された空間内に配置されているため、連結部材が移動して枠体に近接した場合には、連結部材が枠体に直接接触せずに、可動部材が枠体に対して直接に当接することになる。この可動部材は、ワイヤと連結部材との接続部よりも高い強度を有している。このような構成によれば、レンズ駆動装置に衝撃が作用した場合であっても、可動部材が枠体に当接することにより、ワイヤと連結部材との接続部への衝撃荷重が軽減される。従って、レンズ駆動装置の耐衝撃性を高めることができる。
【0008】
また、可動部材は、光軸に対して直交する方向において枠体と連結部材との間に配置された隔離壁部を有する。この構成によれば、光軸に対して直交する方向に衝撃が作用して可動部材が衝撃の方向に移動した場合には、隔離壁部が枠体に対して当接する。一方、隔離壁部との相対位置が変化しない連結部材は、枠体に対して直接接触することがない。従って、光軸に対して直交する方向における耐衝撃性を高めることができる。
【0009】
また、可動部材は、光軸の方向において連結部材よりも突出している突出壁部を有する。この構成によれば、光軸の方向に衝撃が作用して可動部材が衝撃の方向に移動した場合には、突出壁部が枠体に対して当接する。一方、突出壁部との相対位置が変化しない連結部材は、枠体に対して直接接触することがない。従って、光軸方向における耐衝撃性を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レンズ駆動装置の耐衝撃性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。
図2図1に示されたレンズ駆動装置の斜視図である。
図3図1に示されたレンズ駆動装置の断面を示す斜視図である。
図4図1に示されたレンズ駆動装置の側面図である。
図5図1に示されたレンズ駆動装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
レンズ駆動装置は、デジタルスチルカメラや携帯電話機或いはスマートフォン等に適用される装置であり、撮像素子に対する撮像光学系の光軸位置を変化させて手振れを補正する。レンズ駆動装置は、撮像素子(不図示)であるCCD[Charge Coupled Device]イメージセンサやCMOS[Complementary Metal Oxide Semiconductor]イメージセンサの前方に配置されて利用される。以下の説明では、固定された撮像素子に対して撮像光学系を移動させる方式を採用したレンズ駆動装置を例に説明する。
【0014】
図1に示されるように、手振れ補正機能を有するレンズ駆動装置1は、ボックス状のケース(枠体)2と、レンズ(不図示)の焦点調整を行う撮像光学系3と、を備えている。ケース2は、その内部に撮像光学系3を収容するものであり、平板状のベースプレート4と、ボックス状のカバー5とを有している。
【0015】
このベースプレート4の隅部には、後述するサスペンションワイヤ16を固定するワイヤ固定部4aが設けられている。また、ベースプレート4の裏面側の縁部には、撮像光学系3等を駆動するための駆動電流や所望の制御信号のための入出力端子4bが設けられている。入出力端子4bは、ベースプレート4と一体に成形されてベースプレート4の内部に配置された配線パターン(不図示)に接続されている。例えば、入出力端子4bは、配線パターンを介してワイヤ固定部4aと電気的に接続されている。従って、入出力端子4bからワイヤ固定部4aに対して電流を供給することができる。また、ベースプレート4には、可動部材用駆動手段11のためのコイルC1と、撮像光学系3の位置を検出するための位置検出素子Sが取り付けられている。
【0016】
ベースプレート4には、撮像光学系3が配置されている(図2参照)。より詳細には、焦点調整機構6と手振れ補正機構7とを有する撮像光学系3は、焦点調整機構6が手振れ補正機構7によって光軸Cに対して直交する方向に移動可能となるようにベースプレート4に対して配置されている。すなわち、手振れ補正機構7は、焦点調整機構6を支持し、光軸Cに対して直交する平面内で焦点調整機構6を移動させて手振れを補正する。
【0017】
手振れ補正機構7は、光軸Cに対して直交する平面内で移動する可動部材8と、ベースプレート4に対して可動部材8を移動可能に支持する支持手段9と、を有している。可動部材8には、コイルC1とマグネットM1を有する可動部材用駆動手段11によって光軸Cに対して直交する方向の駆動力が付与される。
【0018】
可動部材8は、光軸Cと直交する一対の端面が開放された枠状部材であり、その内部に焦点調整機構6を保持する。そして、可動部材8は、支持手段9により支持された状態でベースプレート4上に配置されている。
【0019】
図3に示されるように、この可動部材8の隅部のそれぞれには、マグネットM1,M2が取り付けられている。マグネットM1,M2は、金属製のヨーク12を挟んで可動部材8に固定されている。なお、可動部材8もマグネットM1,M2の磁路形成のためのヨークとして機能する。可動部材8をヨークとすることで、磁束が外部へ漏れることを防止できると共に磁気効率を向上させることができる。これらマグネットM1は、光軸Cの方向に対面するようにベースプレート4に配置されたコイルC1と協働して、可動部材8を光軸Cに対して直交する方向に駆動するための駆動力を発生させる。すなわち、マグネットM1とコイルC1とは、可動部材用駆動手段11を構成している。
【0020】
図1に示されるように、支持手段9は、ベースプレート4に対して可動部材8を移動可能に支持するものである。支持手段9は、可動部材8に対して固定された一対の板バネ13,14と、板バネ13を移動可能に支持する4本のサスペンションワイヤ16とを有している。
【0021】
一対の板バネ13,14は、可動部材8に対して光軸Cに沿った方向の付勢力を焦点調整機構6に付与するものである。一方の板バネ(連結部材)13は、光軸Cにおけるカバー5側に配置され、他方の板バネ14は光軸Cにおけるベースプレート4側に配置されている。板バネ13,14は、光軸Cの方向において可動部材8を挟み込むように配置されている。また、板バネ13は、後述する焦点調整機構6に配置されたコイルC2へ電流を供給するための電流経路の一部を構成する。
【0022】
図2及び図3に示されるように、一方の板バネ13は、可動部材8に対して固定されるフレーム部17と、後述するレンズ枠21に対して固定されるレンズ枠固定部18と、フレーム部17とレンズ枠固定部18とを連結し、光軸Cの方向に沿った付勢力を生じさせる弾性アーム部19とを有している。
【0023】
図3に示されるように、フレーム部17は、マグネット固定部17aとワイヤ固定部17bを有している。マグネット固定部17aは、可動部材8に固定されたマグネットM1,M2に対して接着固定される。そして、ワイヤ固定部17bは、可動部材8の対角線方向においてマグネット固定部17aよりも外側に形成されている。このフレーム部17の隅部に設けられたワイヤ固定部17bには、サスペンションワイヤ16が接着又ははんだにより固定されている。
【0024】
サスペンションワイヤ16は、ベースプレート4に対して板バネ13を光軸Cに対して直交する平面内で移動可能に支持するものである。サスペンションワイヤ16は、ベースプレート4と板バネ13との間に配置され、一端側がベースプレート4のワイヤ固定部4aに固定され、他端側が板バネ13のワイヤ固定部17bに固定されている。サスペンションワイヤ16は、光軸Cの方向における可動部材8の厚さよりも長いため、可動部材8のベースプレート4側の端面とベースプレート4との間には隙間が形成される。すなわち、可動部材8が宙に浮いた状態でベースプレート4に対して取り付けられている。
【0025】
このサスペンションワイヤ16は、後述する焦点調整機構6に配置されたコイルC2へ電流を供給するための電流経路の一部を構成する。サスペンションワイヤ16の一端側が固定されたベースプレート4のワイヤ固定部4aには、入出力端子4b(図1参照)と電気的に接続された配線パターンが配置されている。従って、サスペンションワイヤ16がワイヤ固定部4aに固定されることにより、サスペンションワイヤ16と入出力端子4bとが電気的に接続される。さらに、サスペンションワイヤ16の他端側は板バネ13に固定されているため、入出力端子4bから板バネ13までの電流経路が構成される。
【0026】
ここで、板バネ13と、可動部材8と、ケース2との関係について詳細に説明する。図5に示されるように、板バネ13は、可動部材8によって形成された空間内に配置されている。より詳細には、可動部材8によって形成された空間とは、可動部材8の側壁に囲まれた領域をいい、換言すると、可動部材8の内壁面8a(図1参照)に囲まれた領域である。この領域には、板バネ13のレンズ枠固定部18と、弾性アーム部19と、フレーム部17におけるマグネット固定部17aが配置されている。この領域は、光軸Cに対して直交する方向において、可動部材8のカバー5側の端部を形成する隔離壁部8bに囲まれている。換言すると、板バネ13のレンズ枠固定部18、弾性アーム部19、及びマグネット固定部17aと、カバー5との間には、可動部材8の隔離壁部8bが配置されている。
【0027】
また、可動部材8によって形成された空間には、それぞれの隔離壁部8bにおけるカバー5と対向する外周面を含む環状の仮想面Kに囲まれた領域も含まれる。この仮想面Kに囲まれた領域には、上述した可動部材8の内壁面8aに囲まれた領域に加え、可動部材8に設けられた切り欠き部8cにおける可動部材8の内壁面8aを含む面と仮想面Kとの間に形成される領域が含まれている。この可動部材8の内壁面8aと仮想面Kとの間に形成される領域には、フレーム部17におけるワイヤ固定部17bが配置されている。このワイヤ固定部17bは、可動部材8の内壁面8aにより囲まれた領域の外側に位置しているが、仮想面Kにより囲まれた領域の内側に位置している。従って、可動部材8の外周面8dが対面するカバー5の内壁面5a(図1参照)に接触した場合であっても、ワイヤ固定部17bがカバー5の内壁面に接触しない。
【0028】
さらに、図3及び図4に示されるように、可動部材8は、光軸Cの方向において、板バネ13の上面よりもカバー5側に突出している突出壁部8eを有している。本実施形態の可動部材8は、隔離壁部8bが突出壁部8eを兼ねた構造を有している。従って、板バネ13は、可動部材8のカバー5側の端面よりも内側に配置されている。換言すると、板バネ13は、可動部材8のカバー5側の端面より内側に下がった位置に配置されている。従って、可動部材8が光軸Cの方向においてカバー5側に移動して、可動部材8のカバー5側の端面がカバー5の底面に接触した場合であっても、板バネ13がカバー5の底面に接触しない。
【0029】
図1に示されるように、他方の板バネ14は、板バネ13と同様に、可動部材8に対して固定されるフレーム部17と、レンズ枠21に対して固定されるレンズ枠固定部18と、フレーム部17とレンズ枠固定部18とを連結し、光軸Cの方向に沿った付勢力を生じさせる弾性アーム部19とを有している。板バネ14のフレーム部17は、可動部材8のベースプレート4側の枠形状と同形状とされ、可動部材8のベースプレート4側の端面に接着されている。
【0030】
焦点調整機構6は、単一又は複数のレンズ群(不図示)を保持するためのレンズ枠21と、レンズ枠21を光軸Cの方向に駆動するためのコイルC2とを有している。板バネ13と電気的に接続されて電流が供給されるコイルC2は、可動部材8に取り付けられたマグネットM1,M2と協働して、レンズ枠21を光軸Cの方向に駆動するための駆動力を発生させる。このように、マグネットM1,M2とコイルC2とは、レンズ枠用駆動手段22を構成している。
【0031】
ここで、板バネ13は、光軸Cに対して直交する軸において、線対称である2個のバネ部に分割されているため、独立した2個の電流経路を構成している。
【0032】
上述した構成を有する焦点調整機構6によれば、レンズ枠用駆動手段22によりレンズ枠21を光軸Cの方向に移動させて、レンズの焦点を調整する。なお、焦点調整機構6は、画角を決定するズーム機構とすることもできる。
【0033】
レンズ駆動装置1では、板バネ13のフレーム部17がマグネットM1及びヨーク12を介して可動部材8に対して固定されている。従って、可動部材8が移動してもフレーム部17と可動部材8との間の相対位置関係は変化しない。一方、板バネ13とケース2との間の相対位置関係は、可動部材8の移動に伴って変化する。ここで、板バネ13は、可動部材8によって形成された空間内に配置されているため、板バネ13が移動してケース2に近接した場合には、板バネ13がケース2に直接接触せずに、可動部材8がケース2に対して直接に当接することになる。この可動部材8は、サスペンションワイヤ16と板バネ13との接続部を含むフレーム部17よりも高い強度を有している。このような構成によれば、レンズ駆動装置1に衝撃が作用した場合であっても、可動部材8がケース2に当接することにより、フレーム部17への衝撃荷重が軽減される。従って、耐衝撃性を高めることができる。
【0034】
また、可動部材8は、光軸Cに対して直交する方向において、ケース2と板バネ13との間に配置された隔離壁部8bを有する。この構成によれば、光軸Cに対して直交する方向に衝撃が作用して可動部材8が衝撃の方向に移動した場合には、隔離壁部8bがカバー5に対して当接する。一方、隔離壁部8bとの相対位置が変化しない板バネ13のフレーム部17は、カバー5に対して直接接触することがない。従って、光軸Cに対して直交する方向における耐衝撃性を高めることができる。
【0035】
また、可動部材8は、光軸Cの方向において、板バネ13の上面よりも突出している突出壁部8eを有する。この構成によれば、光軸Cの方向に衝撃が作用して可動部材8が衝撃の方向に移動した場合には、突出壁部8eがカバー5に対して当接する。一方、突出壁部8eとの相対位置が変化し難い板バネ13のフレーム部17は、カバー5に対して直接接触することがない。従って、光軸Cの方向における耐衝撃性を高めることができる。
【0036】
さらに、サスペンションワイヤ16が固定された板バネ13のワイヤ固定部17bを支持点とした場合に、可動部材8と焦点調整機構6とは、板バネ13によって片持ち梁状に支持されていることになる。このような支持構成よれば、光軸Cの方向(スラスト方向)に沿った衝撃が作用した場合、ワイヤ固定部17bを支持点として、板バネ13においてワイヤ固定部17bとマグネット固定部17aとの間が光軸Cに沿った方向にたわむ。このたわみにより、光軸Cに沿った方向の衝撃荷重が軽減されるため、レンズ駆動装置1の耐衝撃性が一層高めることができる。
【0037】
また、レンズ駆動装置1は、複雑な機構の採用や新たな部品の追加を必要とせずに、レンズ枠21を駆動するためのコイルC2への電流供給経路を確保すると共に、サスペンションワイヤ16と板バネ13との接続部を衝撃から保護することができる。従って、レンズ駆動装置1の大型化を抑制しつつ、耐衝撃性を高めることができる。
【0038】
また、板バネ13におけるワイヤ固定部17bが衝撃から保護されるため、サスペンションワイヤ16によるコイルC2への電流供給経路の確保と可動部材8の支持とが確実に確保されると共に、レンズ枠21へ付勢力が確実に付与可能な構造が維持される。従って、衝撃が作用した場合であっても、電流供給経路の確保、可動部材8の支持、及びレンズ枠21への付勢力の付与を確実に発揮させることができる。
【0039】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、下記のような種々の変形が可能である。
【0040】
手振れ補正機構7の可動部材8は、ベースプレート4上に支持されてベースプレート4に対して移動するようになっていたが、この構成に限定されることはない。図示しないが、レンズ駆動装置1では、ベースプレート4上に焦点調整機構6が配置されて、焦点調整機構6内に可動部材8と枠体とが配置された構成であってもよい。この枠体には、支持手段9を介して、可動部材8が光軸Cに対して直交する平面内で移動可能に配置されている。可動部材8には、レンズが取り付けられている。
【符号の説明】
【0041】
1…レンズ駆動装置、2…ケース(枠体)、3…撮像光学系、4…ベースプレート、5…カバー、6…焦点調整機構、7…補正機構、8…可動部材、8b…隔離壁部、8e…突出壁部、9…支持手段、11…可動部材用駆動手段、12…ヨーク、13…板バネ(連結部材)、14…板バネ、16…サスペンションワイヤ(ワイヤ)、17…フレーム部、17a…マグネット固定部、17b…ワイヤ固定部、18…レンズ枠固定部、19…弾性アーム部、21…レンズ枠、C…光軸、C1,C2…コイル、K…仮想面、M1,M2…マグネット、S…位置検出素子。
図1
図2
図3
図4
図5