(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
抵抗溶接ファスナを適用するための電気抵抗溶接電極のチップにおいて、当該チップは、とっくり鼻形状を有しており、溶接電極に近接した直径部分はより大きく、電極より遠位にある直径部分は縮小しており、縮小した直径部分は、溶接中にファスナと接触するアールが形成された半球状の端部と、より大きい直径部分と半球状の端部との間を延びる移行部とを有している、チップ。
【発明の概要】
【0005】
開示される主題は、第1の導電性材料を、第2の導電性材料に、電気抵抗溶接を用いて固定する方法に関しており、以下の工程を含む:第1の材料と第2の材料を、物理的且つ電気的に接触させて一緒に配置する工程であって、第1の材料の融点は、第2の材料よりも低い、工程;第2の材料に溶接可能であり、且つ融点が第1の材料よりも高い導電性ファスナを、第1の材料と物理的且つ電気的に接触させて配置して、ファスナ、第1の材料、及び第2の材料を含む導電性スタックを形成する工程;ファスナを配置してスタックを形成する工程の前に、又はこの工程の後に、ファスナと第1の材料の間にシーラントを塗布する工程;スタックにわたって電位を加えて、スタックを流れる電流を誘導して、第1の材料の軟化を引き起こす抵抗加熱を起こす工程;軟化した第1の材料を通してファスナを第2の材料に向けて付勢する工程;ファスナが第2の材料と接触した後に、ファスナを第2の材料に溶接する工程。
【0006】
本発明の別の態様によれば、ファスナは、キャップと、キャップから直角に延びるステム(stem)とを有している。シーラントは、ビーズ、環、ディスク、バンド、又はシーラントの堆積物の少なくとも1つの形態であって、第1の材料の近位にあるキャップ、又は、配置工程の間にファスナが配置されることとなる第1の材料の表面の少なくとも1つに塗布される。
【0007】
本発明の別の態様によれば、シーラントは、接着剤、ポリマー、鑞付け材料、又ははんだの少なくとも1つである。
【0008】
本発明の別の態様によれば、抵抗加熱工程の間にシーラントを流動性にする工程をさらに含み、シーラントは、溶接工程が完了した後に、キャップと第1の材料の界面の少なくとも一部に密着してこれをカバーする。
【0009】
本発明の別の態様によれば、ファスナを配置する工程は、ファスナをキャリアウェブ中に保持して、ウェブ及びファスナを、第1の材料を覆うようにして、選択された位置に移動させる工程を含み、そして、溶接工程の後にウェブをファスナから分離する工程を更に含む。
【0010】
本発明の別の態様によれば、ウェブの一部が、付勢工程の間、そして分離工程の前に、ファスナと第1の材料の間に取り込まれる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、取り込まれたウェブの一部は、シーラントである。
【0012】
本発明の別の態様によれば、第1の導電性材料を、第2の導電性材料に、電気抵抗溶接を用いて固定するためのファスナは、キャップと、キャップから延び、且つキャップより遠位に端部を有するシャフトとを含んでいる。ファスナは、位置決めされた第1の導電性材料及び第2の導電性材料を含むスタックに電気的に接触して配置され、且つスタックにわたって加えられた電位を受けると、スタックを通る電流を流すことができる。電流により抵抗加熱が生じて、キャップより遠位にある端部にて第2の材料に溶接することができ、第1の材料は、端部が第2の材料に溶接された後に、キャップと第2の材料の間に取り込まれる。ファスナは、複数の層を有し、第1の層が、第1の組成を有し、第2の層が、第1の組成と異なる第2の組成を有する。
【0013】
本発明の別の態様によれば、第1の層は鋼であり、第2の層はアルミニウムである。
【0014】
本発明の別の態様によれば、第1の材料は鋼であり、第2の材料はアルミニウムである。第2の層は、第1の材料のアパーチャを通って延びて、電気抵抗溶接を受けた後に、アルミニウムの第2の材料と接触して、これに接合する。
【0015】
本発明の別の態様によれば、第2の層は、ファスナの下面全体に沿って存在する下側層であって、ファスナのキャップの下側部、ファスナのシャフトの外面、及びシャフトの端部の外面を含む。
【0016】
本発明の別の態様によれば、第2の層は、キャップより遠位にあるシャフトの端部の下面に沿って存在する下側層である。
【0017】
本発明の別の態様によれば、第2の層は、キャップの下面及びシャフトの外側面に沿って存在するが、キャップより遠位にあるシャフトの端部上には存在しない下側層である。
【0018】
本発明の別の態様によれば、シャフトの端部は、第2の層が当接する周縁レッジを有する。
【0019】
本発明の別の態様によれば、第1の層は、第2の材料への溶接に適合しており、第2の層は、第1の材料への溶接に適合している。
【0020】
本発明の別の態様によれば、第1の層は鋼であり、第1の材料はアルミニウムであり、第2の材料は鋼であり、第2の層は、チタン、ステンレス鋼、及びコールドスプレーされたアルミニウムから選択される。
【0021】
本発明の別の態様によれば、第1の層は、第2の材料への溶接に適合しており、第2の層は電気絶縁体であり、第1の層は、第2の層を通って延びて、第2の材料と電気的に接触する。
【0022】
本発明の別の態様によれば、第2の層は、セラミック、及びポリマーから選択される。
【0023】
本発明の別の態様によれば、複数の層は、複数の層の2つの間に挿入される拡散バリアを含んでおり、2つの層は、異種金属であり、拡散バリアに対して、第1の層が上方にあり、第2の層が下方にある。
【0024】
本発明の別の態様によれば、第1の層は、鋼、チタン、及び銅の少なくとも1つであり、第2の層はアルミニウムであり、拡散バリアは、高純度アルミニウム、チタン又は亜鉛の少なくとも1つである。
【0025】
本発明の別の態様によれば、第2の層は、ファスナの端部に繋がれる。
【0026】
本発明の別の態様によれば、第1の導電性材料を第2の導電性材料に、電気抵抗溶接を用いて固定するためのファスナは、キャップと、キャップから延び、且つキャップより遠位に端部を有するシャフトとを含んでいる。ファスナは、位置決めされた第1の導電性材料及び第2の導電性材料を含んでおり、第1の材料が第2の材料よりも融点が低いスタックに電気的に接触して配置されて、スタックにわたって加えられた電位を受けると、電流をスタックに流すことができる。電流により、抵抗加熱が生じて、キャップより遠位にある端部にて第2の材料に溶接できる。第1の材料は、端部が第2の材料に溶接された後に、キャップと第2の材料との間に取り込まれる。シャフトは、キャップとキャップより遠位にある端部との間の断面が中実である。
【0027】
本発明の別の態様によれば、キャップは、溶接電極の表面から延びる突出部を受け入れることができる窪み部を有しており、電極のチップとキャップとの接触領域は、チップにおける第2の材料との接触領域を上回る。
【0028】
本発明の別の態様によれば、キャップは、アールが形成された窪み部を有しており、当該窪み部は、溶接電極のチップから突出しており、アールが形成された表面を受け入れることができる。
【0029】
本発明の別の態様によれば、キャップは、その表面から延びており、溶接電極のチップの表面の窪み部に受け入れられる突出部を有する。
【0030】
本発明の別の態様によれば、第1の導電性材料を第2の導電性材料に、電気抵抗溶接を用いて固定するためのファスナは、キャップと、キャップから延び、且つキャップより遠位に端部を有するシャフトとを含んでいる。ファスナは、位置決めされた第1の導電性材料及び第2の導電性材料を含むスタックに電気的に接触して配置されて、スタックにわたって加えられた電位を受けると、電流をスタックに流すことができる。電流によって、抵抗加熱が生じて、キャップより遠位にある端部にて第2の材料に溶接される。第1の材料は、端部が第2の材料に溶接された後に、キャップと第2の材料の間に取り込まれ、キャップは、シャフトの端部に向けて曲がり戻っているので、外側の周辺部は、端部とおおよそ同じ広がりを有している。キャップは、キャップの外側の周辺部に取り付けられる電気絶縁体を備えている。絶縁体は、端部を流れる電流と平行に、電流が外側の周辺部を流れるのを防止することができる。キャップは、第1の材料を通る端部を受け入れるように曲がることができ、且つ絶縁体が第1の材料の表面に当接しながら、第2の材料に溶接される。
【0031】
本発明の別の態様によれば、第1の導電性材料の複数の隣接する層を第2の導電性材料に、電気抵抗溶接を用いて固定する方法は、以下の工程を含んでいる:第1の材料及び第2の材料を物理的且つ電気的に接触させて一緒に配置する工程であって、第1の材料は、融点が第2の材料よりも低い、工程;第2の材料に溶接可能であり、且つ融点が第1の材料よりも高い導電性ファスナを、第1の材料と物理的且つ電気的に接触させて配置して、ファスナ、第1の材料、及び第2の材料を含む導電性スタックを形成する工程;スタックにわたって電位を加えて、スタックを流れる電流を誘導して、抵抗加熱を生じさせて、第1の材料の軟化を引き起こす工程;軟化した第1の材料の複数の層を通して第2の材料に向けてファスナを付勢する工程;ファスナが第2の材料と接触した後に、ファスナを第2の材料に溶接する工程であって、第1の材料の複数の層は、ファスナが通るところに近接して互いに溶接される、工程。
【0032】
本発明の別の態様によれば、第2の材料は、第2のファスナであり、第1の材料の複数の層は、第1のファスナ及び第2のファスナの少なくとも1つに近接して一緒に溶接される。
【0033】
本発明の別の態様によれば、第1の導電性材料を第2の導電性材料に、電気抵抗溶接を用いて固定する方法は、以下の工程を含んでいる:第1の材料を、J字状の断面を有する構成に折り曲げる工程;第2の材料をJ字形状の湾曲部に挿入する工程であって、第1の材料及び第2の材料は物理的且つ電気的に接触し、第1の材料は融点が第2の材料よりも低い、工程;第2の材料に溶接可能であり、且つ融点が第1の材料よりも高い導電性ファスナを、J字形状の短側(short side)に対して、第1の材料と物理的且つ電気的に接触させて配置して、ファスナ、第1の材料、及び第2の材料を含む導電性スタックを形成する工程;スタックにわたって電位を加えて、スタックを流れる電流を誘導して、抵抗加熱を生じさせて、J字形状の短側で第1の材料の軟化を引き起こす工程;軟化した第1の材料を通して第2の材料に向けてファスナを付勢する工程;ファスナが第2の材料と接触した後に、ファスナを第2の材料に溶接する工程。
【0034】
ファスナは、J字形状の短側を挿通し、J字の他方の側の第1の材料の外面を乱すことなく、第2の材料に溶接する。
【0035】
本発明の別の態様によれば、本方法は、ヘム(hem)を形成する複数のファスナに対して繰り返される。
【0036】
本発明の別の態様によれば、抵抗溶接ファスナに適用するための電気抵抗溶接電極のチップが提供される。チップは、とっくり鼻(bottlenose)形状を有し、溶接電極に近接する直径部分はより大きく、電極より遠位にある直径部分は縮小しており、縮小した直径部分における、溶接中にファスナと接触する端部には、アールが形成されている。
【0037】
本発明の別の態様によれば、縮小した直径部分からより大きな直径部分への移行部があり、当該移行部は、より大きな直径部分の外壁に対してある角度をなして配置された真っ直ぐの壁の形態である。
【0038】
本発明の別の態様によれば、縮小した直径部分からより大きな直径部分への移行部は、二重湾曲(double curve)の形態である。
【0039】
本発明の別の態様によれば、縮小した直径部分からより大きな直径部分への移行部があり、当該移行部は、アールが形成された端部の半径の少なくとも2倍の半径を有する表面の形態である。
【0040】
本発明の別の態様によれば、第1の材料を第2の導電性材料に、電気抵抗溶接を用いて固定する方法は、以下の工程を含む:第1の材料にアパーチャを設ける工程;第1の材料及び第2の材料を物理的に接触させて一緒に配置する工程;第1の材料のアパーチャよりも大きなキャップと、少なくとも一部がアパーチャを通過し得るシャフトとを有する導電性ファスナであって、第2の材料に溶接できるファスナを提供する工程;第1の材料のアパーチャを通してファスナのシャフトを、第2の材料と電気的に接触させて配置して、ファスナ、第1の材料、及び第2の材料を含むスタックを形成する工程;スタックにわたって電位を加えて、スタックを流れる電流を誘導して、抵抗加熱を生じさせて、ファスナ及び第2の材料の軟化を引き起こす工程;ファスナを第2の材料に溶接して、第1の材料をキャップと第2の材料の間に捕らえる工程とを含む。
【0041】
本発明の別の態様によれば、第1の材料は、電気的に非導電性である。
【0042】
本発明の別の態様によれば、第1の材料は、プラスチックである。
【0043】
本発明の別の態様によれば、第1の材料は、セラミックである。
【0044】
本発明のより完全な理解については、例示的な実施形態の以下の詳細な記載を、添付の図面を共に考慮して参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に基づくファスナの斜視図である。
【
図2】
図2は、線2−2に沿って破断して矢印の方向に見た
図1のファスナの断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示したファスナと似たファスナの断面図であるが、寸法が異なっている。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に基づくファスナを第1の層に挿通して第2の層に溶接する模様を逐次的に示す概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施形態に基づくファスナを第1の層に挿通して第2の層に溶接する模様を逐次的に示す概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の別の実施形態に基づくファスナを第1の層に挿通して第2の層に溶接する模様を逐次的に示す概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の別の実施形態に基づくファスナを第1の層に挿通して第2の層に溶接する模様を逐次的に示す概略図である。
【
図8】
図8は、
図7に示されるのと同様のファスナを第1の層に挿通して、片側アクセスにより管状部材に溶接する模様を逐次的に示す概略図である。
【
図9】
図9は、
図7に示されるのと同様のファスナを第1の層に挿通して、シリーズ溶接形成において第2の層に溶接する模様を逐次的に示す概略図である。
【
図10】
図10は、
図7に示されるのと同様な対向するファスナを第1の層及び第2の層に挿通して、互いに溶接する模様を逐次的に示す概略図である。
【
図11】
図11は、
図7に示されるファスナと同様なファスナを示す概略図であって、ファスナは、固定されることとなる材料層の様々なスタックに隣接して配置されており、挿入又は溶接前である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に基づくスポット溶接キャップの側面図である。
【
図13A】
図13aは、本発明の別の実施形態に基づくファスナの平面図である。
【
図13B】
図13bは、本発明の別の実施形態に基づくファスナの側面図である。
【
図14A】
図14aは、本発明の別の実施形態に基づくファスナの側面図である。
【
図14B】
図14bは、本発明の別の実施形態に基づくファスナの平面図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に基づくファスナ打抜き加工ツールの側面図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に基づくファスナを当てる前のスポット溶接装置における2つの金属シートの斜視図である。
【
図17A】
図17aは、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図17B】
図17bは、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図17C】
図17cは、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図17D】
図17dは、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図18】
図18は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの平面図である。
【
図19】
図19は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図20】
図20は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図22】
図22は、第1の層に挿通されて、第2の層に溶接された、
図21のファスナの概略的な断面図である。
【
図23】
図23は、第1の層に挿通されて、第2の層に溶接された、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの概略的な断面図である。
【
図24】
図24は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図25】
図25は、第1の層に挿通されて第2の層に溶接された、
図24のファスナの概略的な断面図である。
【
図26】
図26は、本発明の代替的な実施形態に基づく2部品ファスナ(two-part fastener)の概略的な断面図であり、第1の部品は、支持層に挿通されて、第2の部品に溶接されている。
【
図27】
図27は、本発明の代替的な実施形態に基づく2部品ファスナの概略的な断面図であり、第1の部品は、支持層に挿通されて、第2の部品に溶接されている。
【
図28】
図28は、本発明の代替的な実施形態に基づくシーラントを備えるファスナの断面図である。
【
図29】
図29は、第1の層に挿通されて第2の層に溶接された、
図28のファスナの概略的な断面図である。
【
図30】
図30は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図31】
図31は、第2の層に溶接するために第1の層に挿通された、
図30のファスナの概略的な断面図である。
【
図32】
図32は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図33】
図33は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図34】
図34は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図35】
図35は、溶接電極チップに隣接して配置された、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの概略的な断面図である。
【
図36】
図36は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図37】
図37は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図38】
図38は、溶接電極チップに隣接して配置された、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの概略的な断面図である。
【
図39】
図39は、溶接電極チップに隣接して配置された、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの概略的な断面図である。
【
図40】
図40は、溶接電極チップに隣接して配置された、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの概略的な断面図である。
【
図41】
図41は、本発明の代替的な実施形態に基づく一対のファスナの概略的な断面図であり、各々は、関連する外側層に挿通されて、共通の中心層に溶接されている。
【
図42】
図42は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面図である。
【
図43】
図43は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの概略的な断面図であり、J字形状層の一部に挿通されて、J字形状によって囲まれた層に溶接されている。
【
図44A】
図44Aは、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナ及びコンポジット構造の適用されている状態の概略的な断面図である。
【
図44B】
図44Bは、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナ及びコンポジット構造の適用された後における概略的な断面図である。
【
図45】
図45は、一対の層に挿通されて、第3の層に溶接された、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの概略的な断面図である。
【
図46】
図46は、厚さが同程度の一対の層に挿通されて、互いに溶接された、本発明の代替的な実施形態に基づく一対のファスナの概略的な断面図である。
【
図47】
図47は、厚さが異なる一対の層に挿通されて、互いに溶接された、本発明の代替的な実施形態に基づく一対のファスナの概略的な断面図である。
【
図48】
図48は、3層の組に挿通されて、互いに溶接された、本発明の代替的な実施形態に基づく一対のファスナの概略的な断面図である。
【
図49】
図49は、一対の層に挿通されて、第3の層に溶接された、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナの断面の写真である。
【
図50】
図50は、一対の層に挿通されて、互いに溶接された、本発明の代替的な実施形態に基づく一対のファスナの断面の写真である。
【
図51】
図51は、本発明の代替的な実施形態に基づく溶接電極及びファスナの概略的な断面図であり、一対の層上に配置されている。
【
図52】
図52は、本発明の代替的な実施形態に基づく溶接電極チップ及びファスナの概略的な断面図であり、一対の層上に配置されている。
【
図53】
図53は、本発明の代替的な実施形態に基づく溶接電極チップ及びファスナの概略的な断面図であり、一対の層上に配置されている。
【
図54】
図54は、本発明の代替的な実施形態に基づく溶接電極チップ及びファスナの概略的な断面図であり、一対の層上に配置されている。
【
図55】
図55は、本発明の代替的な実施形態に基づく溶接電極チップ及びファスナの概略的な断面図であり、一対の層上に配置されている。
【
図56】
図56は、本発明の代替的な実施形態に基づく溶接電極チップ及びファスナの概略的な断面図であり、一対の層上に配置されている。
【
図57】
図57は、本発明の代替的な実施形態に基づくファスナ及び関連する材料層の概略的な断面図である。
【
図58】
図58は、ファスナと、電気抵抗溶接チップ及び固定されることとなる材料層に対してファスナを位置決めするための関連するキャリアとの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1及び
図2は、ファスナ10を示しており、ファスナ10は、周縁キャップ12と、キャップ12の反対側に鈍く尖った端部16を有する先細りシャフト14とを有している。内部の空洞Hが、キャップ12を通ってシャフト14中に延びている。ファスナ10は、伝導性の金属、例えば鋼又はチタンで作られていてよく、それにより、抵抗スポット溶接プロセスをサポートすることができる。キャップ1における、エッジから頂部までの寸法はCEであり、直径はCDである。ステムの直径はSDであり、キャップ12から端部16までの長さはSLである。以下に記載されるように、これらの寸法は、ファスナ10の用途に応じて、例えば、ファスナ10が使用されて接合される部品の厚さ及び型に応じて変化してよい。一例において、直径CDは、約4mmから16mmの範囲に、長さSLは、約3mmから10mmの範囲に、CEは、約0.5から3.0mmの範囲に、そしてSDは、約2から12mmの範囲にあってよい。
図3は、
図1と同様なファスナ20を示すが、寸法が異なる。即ち、シャフト24がより細く、端部26がより鋭く尖っている。
【0047】
図4は、本発明の実施形態に基づくファスナ10aが、金属、例えばアルミニウム合金の第1の層11に挿通されて、金属、例えば鋼合金の第2の層13に溶接されて、積層体構造L1が形成される模様を示している。これは、A〜Eとラベル付けされた逐次的なステージに示されている。ステージAで示されるように、このプロセスは、対向する電極を有する従来のスポット溶接ステーションにて実施されてよく、それらのチップ15a及び17aは、金属シート/層11、13から離間して示されており、ファスナ10aは、チップ15aと層11の間に挿入可能とされている。チップ15aは、表面S1を有し、その形状は、溶接プロセスを通して、ファスナ10aを受け入れ、ファスナ10aを支持し、成形し、及び/又は保持することができる。ステージBにて、対向する力F1、F2が、従来の溶接機械(不図示)によって作用されて、チップ15b、17bが互いに向けて移動し、これらの間にファスナ10b及び層11、13が取り込まれて、電流Iが、結合したこれらの要素を通るように流される。力F1、F2、及び電流Iは、ステージB〜ステージEの間中加えられており、それぞれの大きさ及び継続時間は、各ステージでの要求に応じて変化してよい。例えば、ステージBにおいてアルミニウムを加熱/可塑化するのに必要とされる電流Iは、ステージD及びステージEにおいて生じる、鋼を鋼に溶接するのに必要とされる電流Iよりも少なくてよい。同様に、力F1及びF2は、変化するプロセス要求に適合するように変化してよい。
【0048】
電流Iは、ファスナ10b及び層11、13の各々を、アルミニウム層11が可塑化して、ファスナ10bによって置換/貫通され得る温度に加熱する。アルミニウム層11は、電流Iによって電気抵抗的に、そして、ファスナ10b及び層13の双方からの伝導によって加熱される。ファスナ10b及び層13の熱伝導率及び導電率は、アルミニウム層11よりも低くされており、以下に記載されるように、鋼で抵抗スポット溶接するのに適しており、抵抗スポット溶接手段において典型的に実現される低電流を用いて、アルミニウム層を可塑化するのに必要とされる熱が発生して、層13への溶接がなされる。アルミニウムの融点は、鋼層13又はこの例では鋼であるファスナ10bよりも低いので、アルミニウム層11は可塑性状態に達して、ファスナ10bによる置換が可能となり、ファスナ10bの端部16bがアルミニウム層11に貫入することができる。ステージCに示されるように、アルミニウム層11中へのファスナ10cの挿入により、置換された可塑化アルミニウムの上昇部(upwelling)11Uが生じて、層11の元の上面11Sの上に盛り上がる。ステージDに示されるように、ファスナ10dは層11に完全に貫入して、鋼層13と接触し、その結果、ファスナ10dの端部16dが溶融し始めて平らになり、溶融金属のゾーンPdが、層13の界面及びファスナの端部16dにて形成され始める。ゾーンPdは、溶接材料、即ち「ナゲット(nugget)」であり、そこでファスナ10d及び層13の金属は溶けて混ざり合う。ステージEに示されるように、互いに近寄る力F1、F2と電流Iを継続的に適用することで、端部16eとステム14eの全長の一部とが、溶融ゾーンPeの拡大と共に、さらに鈍くなって溶融する。ステージEはまた、キャップ12eが上面11Sのレベルにまで下がって、ファスナ10eがアルミニウム層11に完全な挿入することに起因する上昇部11uをカバー且つシールすることを示している。
【0049】
ステージEを完了した後、力F1、F2及び電流Iが除去されて、チップ15e及び17eが引っ込められてよい。前述のプロセスは、電流Iが流れて電気抵抗加熱をもたらすのをバリア層が防止しない限りにおいて、バリア層に実施されてもよい。バリア層は、例えば、表面前処理又は塗料/プライマーの接着層(不図示)であって、表面11Sに、及び/又は層11、13の間に施されている。このようにして、層11、13の異種金属間の接触は、好ましくないガルバニック相互作用及び腐食と共に、軽減され得る。プロセスにおける貫入フェーズ及び溶接フェーズ中にてファスナ10を部分的に溶融することで、ファスナ10aは、広範な層11の厚さに適合することができる。
【0050】
ファスナ10aのキャップ12aは、環状凹部を規定しており、当該凹部は、キャップ12aがアルミニウム層11の表面11S上で「底を打つ(bottom out)」と、アルミニウムと、貫入(ステージB及びステージC)及び溶接(ステージD及びステージE)から発生した金属間化合物とを受け入れ、捕捉し、封じ込めることができる。アルミニウム及び金属間化合物のこの閉込めは、腐食性能と、ファスナ10aによる接合強度とを大幅に向上させる。キャップ12aは、溶接プロセス前にファスナ10aに形成されてよく、溶接中にその場で(in-situ)形成されてもよい。
図8を参照して以下でより十分に記載されるように、ファスナ10aの幾何構造と、その、チップ15a及び表面S1との相互作用/チップ15a及び表面S1による保持とは、片面溶接(片側からの溶接であり、電極が、電極チップ15aと反対側で部材13に直接的に接触して反力をもたらすことがない)を可能とする。チップ15aは、ファスナ10aの弾性又はバネ荷重を介してファスナ10aによって握持されるように形成されてよい。これによって、ファスナ10aは、溶接の間、チップ15a上に保持されるが、溶接が完了すると外れる。例えば、チップ15は、周縁レッジ又は窪みを有しており、当該周縁レッジ又は窪みを、ファスナ10aの上側エッジ部が、弾性的且つ着脱自在に掴んでよい。
【0051】
ファスナ10は、例えば、約1mmから4mmの厚さである薄いシート鋼から形成されてよいが、層11、13の厚さによって決定される特定の厚さに製造されてよい。層の厚さが大きいほど、より厚いファスナが必要となる。それとは別に、ファスナ10のシャフト14は、中実であっても半中実(semi-solid)であってもよい。ファスナの厚さ/空洞(与えられた表面積に対する密度)に関係なく、シャフト14は、端部16がシート13に溶接すると潰れるように構成されて、キャップは、溶接が完了すると(ステージE)、シート11の上面11Sと接触するように、及び/又は任意の金属間化合物及び噴出領域11Uを封鎖するようにされてよい。
【0052】
溶接ゾーンPeの最終寸法は、ファスナシャフト14eの最初と最終の寸法、即ち、シャフト壁の直径、長さ、及び厚さによって決まるであろう。ファスナシャフト14eの寸法が大きいほど、溶接ゾーンPeの寸法は大きい。一例において、厚さが0.5mmから4.0mmのアルミニウムで構成されるシート11を、0.5mmから3.0mmの厚さの鋼で構成されるシート13に取り付けると、溶接直径が2mmから8mmの範囲となり、有益な剪断及び剥離強度特性を示すであろう。
【0053】
本発明のファスナ10を用いて製造される、完成した溶接製品の重量をできるだけ小さくするために、ファスナ10を製造するために利用されるシートのゲージは、引き下げられてよい。その結果、ファスナシャフト14の側壁強度が引き下げられると、それは、溶接プロセス中に早期に潰れることができる。シャフト14を支持するために、電極15aは、空洞H中に延びて、空洞H内にてシャフト14の内面と部分的に、又は完全に係合するように形成されてよい。
図5は、溶接プロセスの2つのフェーズ、即ち、層11を通って突き出る前のフェーズB5と、フェーズE5−溶接後とにおける代替的なファスナ110を示す。電極チップ115がファスナ110の端部116を支持する表面S2を有しているので、端部116は層11に押し込まれるものの、端部116又はシャフト(側壁)114は変形しない。チップ115は、凹状環状面S3を有している。フェーズE5に示されるように、ファスナが層11に完全に押し込まれて、溶接ゾーンPgが形成されると、ファスナ110が上昇部11Uに対して押圧されるのに応じて、凹状環状面S3は、ファスナ周辺部110pの対応する領域を受け、且つ形成/成形することができる。
【0054】
図6は、より広範な順序の工程A6〜工程F6を示しており、ファスナ110を用いて、上側層11、例えばアルミニウムシートを通ってスポット溶接が実行されて、上側層11が下側層13、例えば鋼シートに固定される。理解されるように、このプロセスはまた、ファスナ110が層11を通して押し込まれて、層11に孔を空けて、溶接によって層13に接合し、ファスナのキャップ112が、層13に対して層11をクランプ留めするリベットとして記載できるという点で、「抵抗スポット固定」又は「抵抗スポットリベット留め」と称される。ファスナ110は、最上層11に貫入して、最下層13と係合するので、電極チップ115の凹状環状面S3は、層11、特に上昇部11Uを封入し、シールする。一例においては、ステージB6及びステージC6では、関連する力F
Hの大きさは、例えば600から2000ポンドであってよく、電流レベルI
Hの大きさは、例えば4,000から24,000アンペアであってよい。これは、全径16mm、総高3mm、及び平均壁厚1.0mmである低炭素鋼のファスナを用いて、厚さが2mmであるアルミニウムの第1の層11を可塑化し、厚さが1.0mmであって780MPa亜鉛メッキコーティングされた鋼である第2の層13に溶接するのに適切である。これらの力及び電流の大きさは、単に例示であり、ファスナ110、層11及び層13の寸法及び組成に依存する。ステージB6からステージC6への移行の継続時間は、0.2から2.0秒程度であってよい。この例を更に進めて、同じ寸法及び特徴のファスナ110及び層11、13を用いると、ステージD6では、例えば500から800ポンドの大きさの関連する力F
Wと、例えば6,000から18,000アンペアの大きさの電流レベルI
Wとを使用してよい。これらは、ファスナ110及びより低い位置の層13の溶融を開始させて、溶融した溶接ゾーンPdを形成するのに適切である。力F
Wの大きさは、ステージE6にて、例えば600から1,000ポンドの大きさの力F
Tに、の電流レベルIは、例えば3,000から12,000アンペアの大きさに変更してよく、溶接ゾーンを拡張して、溶接部を焼き戻し(temper)、平均断面径を4mmから6mmとすることができる。ステージD6の完了には、例えば、0.1から0.5秒掛かってよい。ステージF6にて、第1及び第2の電極チップ115、117は、引っ込められてよい。理解されるように、上昇部11Uにより、キャップ112は表面S3に合致するようにされて、相互に密に適合するので、ステージF6でのファスナ110fからの第1のチップ115の引込みに対して幾らかの抵抗が存在する場合がある。一部の用途では、予め形成されたファスナを使用して、引込み力、サイクル時間を引き下げて、表面S3及び上昇部11Uに合致するようにキャップ112を成形するのに必要な溶接力F
Wの大きさを引き下げることも好ましいであろう。
【0055】
図7は、一連の工程A7〜工程F7を示しており、ファスナ210を用いて、上側層11、例えばアルミニウムシートを介するスポット溶接を実行し、上側層11を下側層13、例えば鋼シートに固定する。ファスナ210は、
図6のステージD6及びステージE6に示されるような溶接力によって成形された後のファスナ110と類似する形状を有するように、予め形成されてよい。このように形成されると、上側の部分が、上面を封入且つシールすることができ、溶接プロセス中に電極によって成形される必要はなくなる。ファスナ210が予め成形されることで、電極チップ215は、ファスナ210によって貫入される場所に近接する第1層11の上昇部11Uに適合して、これをシールするようにキャップ212を成形するための凹状環状面S3を必要としない。結果として、電極チップ215は、テーパー状にされてよい(ファスナ210の端部216を支持する表面S2に向かう表面S4、S5にアールが形成されてよい)。これにより、加熱、溶接、及び焼戻し力F
H、F
W、F
T、ならびに加熱、溶接、焼戻し電流I
H、I
W、I
Tをより狭い領域にわたって集中させることで、力及び電流を引き下げて、貫入、溶接及び焼戻しの作業を達成することができる。
【0056】
図4〜
図7は、直接アクセス溶接を示しており、抵抗溶接電極、例えば15a、17aは、ワークピース/溶接スタック10a、11、13を両側からクランプするものである。
図8に示されるように、本発明に基づくファスナ10、20、110、210を用いるスポット溶接は、インダイレクト溶接(indirect welding)を用いて片側から実施できる。構造S8、例えば鋼梁又は他の任意のタイプの構造は、溶接を実施するための電位源の一方の極に接続されてよい。他方の極は、ステージB8及びステージC8にて加熱用の、ステージD8にて溶接用の、ステージE8にて焼戻し用の電力を溶接チップ215に供給する。インダイレクト溶接は一般的に鋼にてなされるが、アルミニウムにてアルミニウム接合を実施するのは困難である。本発明は、アルミニウム以外の材料で作られたファスナによる溶接を可能とすることから、アルミニウム層11、例えばアルミニウムシートの、鋼構造S8、例えば鋼管への連結を容易にする。
【0057】
シリーズ溶接では、2つ又はより多くの電極が、片側からアプローチする。その場合、溶接電流が直列にされた複数のガンの間を流れるので、複数の溶接部が生じる。
図9は、本発明の溶接プロセス及び装置が、シリーズ溶接ファスナ210a及び210bを実施する際に利用されて、単一の溶接操作で層/部材11、13が接合できることを示す。電流I
Hは、電極215b、層11、13を、導電性の裏当てバー(backer bar)S9を流れて、その後層11、13に戻って、電極215aに向かう。前述のように、電流I
Hは、層11を加熱して、ファスナ210a、210bによる貫入が可能となり、ファスナが層13と接触して溶接される。プロセス全体は、先に説明されたものと類似しているが、ステージB9、D9及びF9しか示していない。シリーズ溶接は通常、アルミニウムでは実施されず、一般的に、鋼材料を用いてなされる。本発明は、アルミニウム以外の材料で作られたファスナによる溶接を可能とするので、シリーズ溶接を用いた、アルミニウム層11、例えばアルミニウムシートの、鋼層/シート13又は構造、例えば鋼管又は箱構造への連結を容易にする。
【0058】
前述の例は、鋼で作られたファスナ10、20、110、210に言及しているが、ファスナ10、20、110、210は、任意の材料から作られてよく、第1の層11及び続く(第2の)層13は、組成及び数について異なってよい。層11のような介在層に貫入するために、ファスナ10乃至210は、加熱/貫入フェーズ、例えばB6、C6(
図6)中に貫入される介在層11よりも融点が高い材料で作られるべきであろう。溶接フェーズ、例えばD6を実施するためには、ファスナ110の材料は、抵抗溶接されることとなる層、例えば、層13と適合性がなければならない。例えば、層13が高い強度(>590MPa)の亜鉛メッキ鋼で作られているならば、ファスナ110は、例えば、標準的な低炭素の鋼、高い強度の鋼(>590MPa)、又はステンレス鋼種で作られてよい。
【0059】
図10は、ファスナ210cが、対向するファスナ210dと共に用いられて、互いにスポット溶接することによって、例えばアルミニウム又はマグネシウムで作られた一対の層11a,11bを結合でき、キャップ212c、212dが、それらの間に層11a、11bを捕らえることを示す。ステージA10からステージF10に示される手順は、先に記載された、例えば
図4〜
図7を参照して記載された手順と、電気抵抗が加熱、層への貫入、及び溶接に用いられるという点で似ているが、ファスナ210c、210dは、溶接される層13に達する代わりに、各々が介在層11a、11bに反対方向に貫入して直面し、互いに溶接する。
【0060】
図11は、層の種々の組合せが、本発明の実施形態に従って接合できることを示す。組合せGに示されるように、材料のスタックは、
図7のステージB7にて示されており、先に記載されたスタックのようなアルミニウム11A及び鋼13Sであってよい。先に記載されたように、ファスナ210は、アルミニウム層11Aに押し込まれて、鋼層13Sに溶接されてよい。組合せHは、2層のアルミニウム11A1及び11A2と、鋼層13Sとのスタックを示す。前述のように、ファスナ210は、アルミニウム層11A1及び11A2に押し込まれてから、鋼層13Sに溶接されてよい。組合せIは、アルミニウム11Aの層及びマグネシウム11Mの層と、鋼層13Sとのスタックを示す。ファスナ210は、アルミニウム層11A及びマグネシウム層11Mに押し込まれてから、鋼層13Sに溶接されてよい。組合せJは、外側層のマグネシウム11M、中間層のアルミニウム11A、及び鋼層13Sのスタックを示す。ファスナ210は、マグネシウム層11M及びアルミニウム層11Aに押し込まれてから、鋼層13Sに溶接されてよい。G、H、I、及びJに示した各スタックにおいて、ファスナ210は、示された積層体構造を固定するのに用いられてよい。層の材料、厚さ、及び数のその他の組合せが、本発明のファスナ210、110、20、10によって固定できる。
【0061】
図12は、溶接電極チップ215を示しており、コネクタスリーブ部215S及び溶接部215Wを備え、アールが形成された先細の表面S4及びS5を有する。このようなチップは、CMW Contacts Metal Weldingのwww.cmwinc.comから入手可能であり、Gキャップと呼ばれている。
【0062】
図13a及び
図13bは、本発明に基づくファスナ310として機能するように転用されるキャップナットを示す。ファスナ310は、キャップ312、シャフト314、及び端部316を有する。嵌合いツール318と相互作用する突起318が、チップ115のような電極チップにファスナ310を保持するために用いられてよく、また、中間体層11に押し込まれるときに、及び/又は層13に溶接される場合に、ファスナを捻るために用いられてもよい。
【0063】
図14a及び
図14bはそれぞれ、本発明の別の実施形態に基づくファスナ410の側面図及び平面図である。ファスナ410は、
図15に示される打抜き加工(stamping)ツール及びバックアップダイを用いて、打抜き加工で製造されてよい。キャップ412は、曲線C1にてシャフト414に移行し、シャフト414は曲線C2にて端部416に移行する。曲線C1は、ファスナ410の対称軸S回りに回転し、エッジ部412e及びシャフト414上の突出部によって範囲を決められる場合に、例えば
図5において11Uとして示されるような、貫入された層の上昇部を閉じ込め、且つ封鎖し得る容量V1の境界を定める。
【0064】
図15は、本発明の実施形態に基づくファスナ打抜き加工ツール505を示す。打抜き加工ツールは、ストック材料520、例えば鋼のシートから、ファスナ410のようなファスナを形成するのに用いられ得る。ファスナ打抜き加工ツール505は、アップセットダイ522を有し、これは形成面522Sを備えている(点線で示されている)。成形ツール524(点線で示す)は、パンチ526(シャフトが点線で示されている)によって駆動され、アップセットダイ522と連携して作用して、ストック520からファスナ410(
図14a、
図14b)を形成する。示された実施形態において、成形ツール524は、ファスナ410をストック520からカットし、パンチ526によってストック520を通って下げられるように駆動して、ファスナ410を形成する。或いは、ファスナ410を形成するのに必要とされる寸法を有するディスク形状ブランク(不図示)が、別個のパンチによってストックからカットされて、ブランクホルダ530へとロードされて、その後、パンチ526がアップセットダイ522に対して下げられるように駆動されて、ブランクをファスナ410に成形してよい。バネ532がリテーナキャップ534とブランクホルダ530との間に挿入されてよく、ファスナ410がファスナ打抜き加工ツール505によって打ち抜かれた後に、パンチ526が中立位置に戻される。パンチ526は、パンチホルダ528に結合しており、パンチホルダ528は、パンチ及びプレスを作動させるための従来の方法で機械的に、油圧で、又は空圧で駆動されてよい。
【0065】
図16は、溶接スタック605を示しており、ファスナ610は、貫入又は溶接の前に第1及び第2の層611、613に対して配置されている。第1の層611は、アルミニウム、マグネシウム、又は銅のシートであってよく、第2の層は、鋼、チタン、又はインコネルシートであってよい。層611、613及びファスナ610は、第1及び第2のチップ615、617の間にクランプ留めされており、それらチップは、市販の電気スポット溶接機械、例えばCenterline Welding,Ltd.から入手可能な250kVA溶接ステーションの下側電極640及び上側電極642と電気的に連続している。
【0066】
本発明に従って実施される溶接操作の一例では、市販の250kVA AC抵抗スポット溶接ペデスタル機械を使用して、ファスナ/リベットを加熱し、アルミニウムシートに通して押し込み、鋼裏当てシートに溶接した。上側電極チップ615は、Gキャップと呼ばれる市販の電極(
図12のチップ215に類似)であり、下側電極チップ617は、標準的な、平坦な面のもの(直径16mm、RWMA型C−Nose)であった。
図13a及び
図13bに示される標準的なキャップナット610を、リベットに用いた。接合する部品は、1.5mmの7075−T6アルミニウム合金と0.7mmの270MPa亜鉛メッキ鋼であった。
図16に示すように、キャップナット610をGキャップ電極615上に、その後、積み重ねたアルミニウムシート611に対して置いた。9,000アンペアにて継続時間が約1.5秒の電流パルスを発生させて、キャップナット610をアルミニウムシート611に貫入させた。貫入後、キャップナット610を、0.166で約15kAの電流インパルスにより鋼に溶接した。直径がおよそ5mmである溶接ボタン(weld button)が、鋼キャップナットと0.7mmの270MPa鋼シートとの間に得られた。
【0067】
本発明の態様は、低部に歪みを含む。なぜならば、固定されることになる層、例えば11、13が、溶接中に加圧されて保持されて、熱の影響を受けるゾーンが主に、ファスナ10のキャップ、例えばキャップ12のフットプリント(footprint)に制限されるからである。ファスナ、例えばファスナ10、20、110、210、310、410、610は、第1の層11を通るファスナの貫入によって置き換えられる金属間化合物又は材料をトラップするための体積を、第1の層11に対して形成する。ファスナ、例えば10乃至610は、広範な層厚と層数において様々な種類の材料の層を固定するために用いられてよい。これは、即ち、適切な寸法及び材料組成のファスナを選択することによってなされる。また、与えられるファスナ10乃至610は、ファスナが形成される材料の弾性、及びファスナの形状に起因して、広範な厚さにわたって操作可能である。例えば、ファスナ410が、種々の厚さに適合するように、そして層13に溶接されると層、例えば層11を弾性的に押圧するように用いられる場合、キャップ412は、シャフト414に対して弾性的に曲がってよい。層、例えば層11に対するキャップ412の弾性的な押圧は、それが適所にある場合、ファスナ10乃至610の周辺の周りにおいてシールの確立及び維持に寄与し得る。
【0068】
本発明のファスナ10乃至610は、層、例えば層11、13の間に塗布された接着剤及び/又は他のコーティングを通って、及び/又は最上層11に塗布されたコーティングを通って適用されてよい。ファスナの使用によって形成される溶接部、例えば
図4における溶接部Peは、層13に貫入せず、溶接部と反対側の層13の表面も乱さないので、外観、耐食性が保たれており、水密となっている。例えば
図4のステージCのようなファスナ貫入中、そして、ステージDのような溶接フェーズ中にて、ファスナ10c、10d、10eは連続的に潰れて、溶接ゾーンPd、Peに沿って拡がって、溶接ゾーンから金属間化合物を押し出すこととなる。本発明の方法論及び装置は、鋼シート抵抗溶接のために開発された従来のRSW装置と適合性があり、ファスナ10乃至610は、種々の材料、例えば種々の鋼種(低炭素の、高い強度の、非常に高い強度のステンレス)、チタン、アルミニウム、マグネシウム、及び銅から作られてよい。本発明のファスナは、場合によっては、耐食性を向上させるためにコーティング(亜鉛メッキ、ガルバニール処理(galvaneal)、溶融メッキ、アルミナ化)されてよい。
【0069】
先に述べられたように、本発明のファスナ10乃至610は、片側アクセス溶接又は両側アクセス溶接で用いられ得る。ファスナ10乃至610は、パイロットホールを必要としないが、アルミニウム又は上側シート中のパイロットホールと共に使用されてもよい。パイロットホールはまた、絶縁層、例えば接着層又は防食コーティング/層に電流を流すために用いられてよい。ファスナ10乃至610を使用した結果の溶接品質は、溶接で残されたキャビティに適用される品質保証測定に従って、即ち、キャビティの寸法を測定することによって試験されてよい。超音波NDE技術が、例えば層13の裏面(鋼側面)に利用されて、溶接品質が監視されてよい。
【0070】
FDS(EJOTS)、SPR、及びSFJと比較して、本発明のファスナ10乃至610を適用するために用いられる装置は、フットプリントがより小さいので、より隙間が小さい空間へのアクセスが可能となる。本発明の装置及び方法は、SPRと比較して、より小さい挿入力を用いている。なぜならば、第1の層11が、ファスナ挿入フェーズ中にて加熱/軟化されるからである(例えば
図4のステージC参照)。本発明の方法及び装置は、高い強度のアルミニウム(SPR操作中、ヒビ割れに敏感である)を接合する能力、そして高い強度の鋼及び非常に高い強度の鋼を接合する能力を実現する。なぜならば、ファスナに鋼金属を貫通させる必要がなく、むしろファスナが鋼金属に溶接されるからである。
【0071】
本発明の装置及び方法は、回転部品を必要とせず、部品の取付け問題の解決に貢献する。なぜならば、プロセス全体が、構成要素の層/部品が如何に固定されるかに関して、従来の抵抗スポット溶接(RSW)に類似しているからである。また、ファスナ10乃至610の適用は、迅速に実施されて、従来のRSWに類似する速いプロセシング速度が実現される。本発明の装置及び方法は、鍛造アルミニウム製品及び鋳造したアルミニウム製品の両方での使用に適用できて、アルミニウムを鋼に溶接する場合にて接合強度が低い虞がある二金属溶接(bimetallic weld)ではなく、適合性がある金属接合をもたらすのに用いられてよい。先に述べられたように、本発明の装置及び方法は、様々な材料の複数の層、例えばアルミニウムの2層、鋼の1層;アルミニウムの1層、鋼の2層;又はアルミニウムの1層、マグネシウムの1層、及び鋼の1層を連結するために用いられてよい。
【0072】
図17aは、
図14aのファスナ410のようなファスナ710の断面図を示しており、キャップ712、シャフト714、及び端部716の厚さは、ほぼ一定の厚さである。端部716は平坦である。
【0073】
図17bは、端部816が平坦であって、端部816の厚さがキャップ812のシャフト814よりも厚いファスナ810を示す。
【0074】
図17cは、厚さが一定であって、アールが形成された端部916を有するファスナ910を示す。一例において、半径Rは、1から6インチの範囲にある。
【0075】
図17dは、アールが形成された端部1016と、端部1016とシャフト1014の接合部にスプライン1014sとを有するファスナ1010を示す。スプライン1014sは、対称軸/回転軸Sと揃えられてよく、これに対して角度Aで配置されてもよい。スプラインは、ファスナが層11に押し込まれる場合に、ファスナを特定の方向に、例えば直線方向に又は螺旋方向に案内するために利用されてよく、及び/又は、設置されたファスナ1010に対する層11の回転を防止する回転防止機構として用いられてよい。
【0076】
図18〜
図20は、ファスナ1110を示しており、長さLは幅Wよりも大きい。一例において、長さLは、8mmから25mmの範囲にあってよく、幅は4mmから8mmの範囲にあってよい。
【0077】
図21は、断面図において、1212cにて一点に集まる左側部分1210a及び右側部分1210bを有するファスナ1210を示す。ファスナ1210は、左右対称線/回転線S回りに回転する回転体であり、端部1216a、1216bは、以下でさらに示されるように、基板に溶接され得る連続的な環状面を形成する。
【0078】
図22は、ファスナ1210が、例えばアルミニウムで作られた第1の層11を挿通し、溶接ゾーンPa、Pbにて、例えば鋼で作られた層13に溶接される模様を示しており、連続的な環形状が生じるであろう。環状の溶接部は、例えば、
図14aに示される410のようなファスナを用いることによってもたらされるであろうディスク形状の溶接部よりも大きな表面領域にわたって分配されるであろう。チップ1215は、加熱されて、チップ1217に向けて押圧されるにつれ、ファスナ1210に適合してこれを支持する表面1215sを有する。
【0079】
図23は、断面図において、第1の層11を挿通して、溶接ゾーンPa、Pbにて第2の層13に溶接されるファスナ1310を示す。
図21に示したように、ファスナ1310は、左右対称線/回転線S回りに回転する回転体であり、溶接ゾーンPa及びPbは、層13に対する連続的な環状溶接部の一部である。ファスナ1310は、ネジ切り中心ソケット1342を備えており、当該ソケットは、噛合いネジ付きファスナ、例えばボルト(不図示)を受けるのに適したネジ山1342tを有する。このように、ファスナ1310は、2つの機能を実行し得るネジ切りソケット、即ち、層11から層13を保持し、且つ、噛合いネジ付きファスナ(不図示)を介した別の部材又は構造(不図示)へのアセンブリを可能とするネジ切りソケットを提供するのである。チップ1315は、溶接中にソケット1342に適合する凹部1315rを有する。
【0080】
図24及び
図25は、ファスナ1410を示している。ファスナ1410は、ファスナ1310に似ているが、ネジ山1442tを備えており、オープンエンドであるソケット部1442を有しており、噛合いネジ付きファスナ(不図示)がソケット部1442を通過することができる。
図25において示されるように、ファスナ1410の挿入に備えて、層11及び層13は、好ましくは削孔され、さもなければ、ソケット部1442が挿通できる合わせ孔11h、13hが提供される。その後、層11への貫入及び層11への溶接が、先に説明されるように、抵抗溶接によって実行されてよい。チップ1415は、層11に押し込まれて、層13に溶接されると、ファスナ1410を支持する表面1415sを有する。チップ1417は、溶接プロセス中に層11、13を通って延びるソケット部1442に適合する凹部1417rを有する。
【0081】
図26は、上側部1510u及び下側部1510lを有するファスナ1510を示しており、上側部1510u及び下側部1510lは、ファスナを、例えばアルミニウムの層11に取り付けるために一緒に溶接されてよい。下側部1510lは、ネジ切りソケット1510tを備える。ファスナ1510は、鋼又はチタンで作られてよい。溶接プロセスは、第2の層13への溶接がないだけで前述のように実施され、上側部1510uは、上側部がアルミニウム層11に押し込まれた後に、下側部1510lに溶接される。前述のように、溶接ゾーンPa、Pbは、環状の溶接部の一部である。なぜならば、ファスナ1510は回転体(solid of rotation)であるからである。層11は、フランジ部分1510fとキャップ1512との間に捕らえられる。ファスナ1510は、第1の材料、例えば鋼又はチタンで作られたネジ切りソケット1510tが、異種金属、例えばアルミニウム又はマグネシウムの層11に取り付けられるのを可能とする。
【0082】
図27は、上側部1610u及び下側部1610lを有するファスナ1610を示しており、上側部1610u及び下側部1610lは、当該ファスナを、例えばアルミニウムの層11に取り付けるために一緒に溶接されてよい。下側部1610lは、ネジ切りスタッド1610sを備える。ファスナ1610は、鋼又はチタンで作られてよい。溶接プロセスは、第2の層13への溶接がないだけで、前述のように実施され、上側部1610uは、上側部がアルミニウム層11に押し込まれた後に、下側部1610lに溶接される。溶接ゾーンPaはほぼディスク形状であり、ファスナ1610は回転体である。層11は、フランジ部分1610fとキャップ1612との間に捕らえられる。ファスナ1610は、第1の材料、例えば鋼又はチタンで作られたネジ切りスタッド1610sが、異種金属、例えばアルミニウム又はマグネシウムの層11に取り付けられるのを可能とする。
【0083】
図28及び
図29は、セルフシーリング(self-sealing)ファスナ1710を示しており、シーラント1728のビーズが、キャップ1712とシャフト1714の接合部の近傍の下側に着けられている。シーラントは、接着剤又はポリマーであってよく、液体、ゲル又はペーストとして塗布されてよく、固体又は半固体に硬化してもよいし、ファスナ1710を使用する前に、柔らかい状態又は液体状態のままであってよい。例えばファスナ210(
図10)について先に述べられたように、ファスナ1710が、ファスナ1710のベースシート13又は別のファスナ1710への溶接によって、材料の層11(アルミニウム)、層13(鋼)を一緒に繋げるのに用いられる場合、シーラントは、状態の変化を受けてよい。例えば、固体であるならば、電気抵抗に起因して溶融することによる中間層11に対するファスナ1710の挿通によって、又は溶接部1710Wを形成する溶融フェーズ中に発生する熱によって、溶融してよい。ファスナ1710及びファスナ1710が溶接した金属が冷却した後、シーラント1728は、最上層11の表面に、そしてその中で任意の上昇部11Uに合致した後、固体に戻り、これによって、シールされた接合部1710Jが提供されて、最上層11とファスナ1710の間がシールされる。シーラント1728は、環境中に存在する要素、例えば酸素又は水分による浸透を防止する。このような浸透は、ファスナ1710、シート11、13、及び/又は溶接部1710Wの腐食の原因となる虞がある。或いは、シーラント1728は、溶接部1710Wが完成した後、半固体又はゲルのままであってもよい。シーラント1728は、以下のような幾つかの異なる方法で塗布されてよい:(i)ファスナ製造の工程として、ファスナ1710へ塗布する;(ii)溶接接合を形成するのに用いる直前にファスナ1710へ塗布する;これは、例えば、ビーズ(圧力下のノズルによって放出される)、固体又は半固体の形態に予め形成された(そして、ファスナ1710上に置かれた)環、又はシーラントのバンド(切断可能なストリップの形態で提供されるか、接触アプリケータ(contact applicator)によって上にペイントされる、又は圧力下で上にスプレーされる)を、外側のシート11に接触させる前に、ファスナ1710に塗布することによる。或いは、シーラント1728は、接合プロセスの前に、例えば、上面11S(そこにファスナ1710は挿入されることとなる)の上に、又はシート11のパイロットホールの周辺部の周りに置かれる接着ドットの形態で、シート11の表面に付着されてよい。シーラント1728は、飲料缶端部ライニングプロセスに現在用いられている「コンパウンドライナ(compound liner)」装置を用いて、ファスナ1710に塗布されてよい。米国特許第6887030号明細書(この出願の全体が、引用によって本明細書に組み込まれる)に開示される技術は、シーラント1728塗布中のファスナ1710の回転を止めるために利用されてよく、ファスナ1710に付着したシーラント1728の保護コーティングへのダメージが軽減される。シーラント1728は、先に記載されたファスナ10、110、210等、及び層11、13、11M等の何れに使用されてもよい。
図29は、ファスナ1710が層13に溶接された後のシーラント1728を示す。シーラント1728は、ファスナ1710の下側部1710Uとシート11の上面11Sとの間のキャビティを部分的に、又は完全に満たすことができる。シーラント1728は、防食をもたらし、ファスナ1710と上面11Sの接合強度を高め、及び/又は水/水分が接合部Jに入るのを除外することができる。
【0084】
図30及び
図31は、2層ファスナ1810の断面図を示しており、第1の層1810Sが、例えば鋼、チタン、銅又は第1のアルミニウム合金、例えば1xxxで作られており、第2の層1810Aが、例えばアルミニウム又は異なるタイプのアルミニウム合金、例えば6xxxで作られている。ファスナ1810は、マルチ合金(6xxx上に被覆した1xxxその他)又はマルチ材料(アルミニウムクラッド鋼、アルミニウムクラッド銅等)の2層シートから、例えば打ち抜かれて形成されてよい。
図31は、接合部1810Jの断面図を示しており、接合部1810Jは、2層ファスナ1810と、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金の第1のシート11と、鋼、チタン、銅、マグネシウム又は層11の合金とは異なる別の合金の第2のシート13と形成されている。2層ファスナ1810は、層1810Aをシート11に溶接することによって、アルミニウム部材11へ溶接される。この例では、アパーチャ1810Hがシート13に形成されており、ファスナ1810がアパーチャ1810Hを、抵抗加熱によってメルトスルーするのではなく、挿入できるようにされている。このアプローチの一態様では、鋼シート又は部材13の、アルミニウムシート又は部材11、例えば管への接合が、片側から可能となる。2層ファスナ1810によって、溶接は、低い電流レベルを用いて起こる。なぜならば、電極ヘッド部1815と接触する、例えば鋼であってよい層1810Sが、溶接中に、層1810A及びシート11の加熱を高めるからである。第1のアプローチにおいては、層1810Aは、鑞付け合金で作られてよく、又は鑞付け合金を含んでもよく、対向するシート11への、抵抗溶接ではなく鑞付け接合が可能となる。これは、必要とされる溶接電流の量を引き下げるのに有益であろう。接合部1810Jは、アルミニウムシート11にアルミニウム又はプラスチックシート13を接合するのに用いられてよく、この場合、シート13の溶融を防止するために低い熱入力が必要とされる。この実施形態の別の態様においては、アルミニウムクラッド鋼から形成されたファスナ1810が、複数のアルミニウムシートを接合するのに用いられてよい。ファスナ1810の鋼層1810Sが電極1815に接触すれば、アルミニウム側面1810Aがアルミニウムシート11(この実施形態では、シート13もまたアルミニウムとなろう)に接触するであろう。溶接熱が加わるにつれ、鋼層1810Sは加熱を高めて、ファスナ1810のアルミニウム部分1810Aは、低い電流で、アルミニウムシート11、13と溶接できるであろう。この実施形態の別の態様においては、層1810Sは、銅クラッドからアルミニウム部分1810Aまで形成されてよい。銅部分1810Sが電極1815に接触すれば、アルミニウム部分1810Aはアルミニウムシート11、13に接触して溶接するであろう。この実施形態において、ファスナ1810の銅部分1810Sは、良好な伝熱及び低い電極摩耗を示すであろう。
【0085】
図32は、層1910S、1910M、及び1910Aを有する3金属ファスナ1910を示している。中間層1910Mは、ファスナ1910が高温に曝された場合に外側層1910S、1910A間で拡散を防止して、接合強度を与えるように選択されてよい。中間層1910Mは、限定されないが、高純度のアルミニウム、チタン、又は亜鉛を含む種々の材料で構成されてよい。一例において、外側層1910Sは鋼であり、根本の外側層1910Aはアルミニウムである。中間層1910Mは、チタンの薄い層であるように選択されてよく、これは、アルミニウム層1910A及び鋼層1910Sが高温(>200℃)で拡散するのを防止するであろう。
【0086】
図33は、二層ファスナ2010を示しており、アルミニウムのディスク2010Aが、打ち抜かれた/冷間形成された鋼部分2010Sに接合されている。アルミニウムディスク2010Aは、限定されないが、冷間溶接、超音波、摩擦溶接、アップセット突合せ溶接、高圧溶接、機械、又は鑞付け/はんだ付けなどの多くの手段によって鋼部分2010Sに接合されてよい。随意選択的に、アルミニウムディスク2010Aが鋼部分2010Sにワイヤの形態で接合(冷間溶接、加圧溶接)してから、鋼部分2010Sが、示される形状に成形されてよい。ファスナ2010は、
図31に示されるファスナ1810と同じ様式で用いられて、シート13をシート11に固定してよい。
【0087】
図34は、
図33のファスナ2010と似ているが、付加的な層、例えば鋼で作られた層2110Sと、例えばアルミニウムで作られた2110Aとの間に、例えばチタンで作られた2110Tが挿入されている3層ファスナ2110を示す。ファスナ2110は、
図31のファスナ1810及び
図33のファスナ2010と同様の方法で用いられてよいが、付加的な層2110Tは、層2110Aと2110Sとの間で拡散を防止するのに用いられるので、
図32に示される中間層1910Mを有するファスナ1910と似たように、高温用途に有用である。
【0088】
図35は、機械的にインターロックする部分2210A、2210Sを有するファスナ2210を示す。機械的インターロックは、スエージング、鍛造、アップセッティング、又はベンディングによって達成されてよい。例えば、部分2210Aには、周縁凹部2210ARが形成されてよく、部分2210Sは、内側方向に延びる周縁リップ部2210SLを有するように形成されてよい。部分2210Aは、その場合、周縁凹部2210ARと周縁リップ部2210SLとがインターロックするように、部分2210Sに押し込まれてよい。これはまた、部分2210Sを潰して部分2210Aの周りで圧縮して、インターロック関係を生じさせるような鍛造ダイによって達成されてもよい。第1の態様において、2210S及び2210Aの材料は、様々なアルミニウム合金(1xxx対6xxx、4xxx対6xxx、4xxx対Al−Li)又は様々な材料(鋼及びアルミニウム、アルミニウム及びマグネシウム、アルミニウム及びチタンその他)であってよい。ファスナ2210は、電極チップ2215に対して配置されて示されており、
図31に示されるファスナ1810と同様に用いられてよい。
【0089】
図36は、ファスナ2310を示しており、保護スリーブ2310Tが、ファスナ2310のキャップ2312及びステム2314に近接した部分2310Sの周りに配置されている。保護スリーブ2310Tは、ファスナ2310と貫入されるシートとの間に防食をもたらす。例えば、部分2310Sが鋼であり、
図6及び
図7に示されるように、抵抗加熱によってアルミニウムシート11を通過して鋼シート13に溶接される場合、コーティング2310Tは、チタン、ステンレス鋼、又はコールドスプレーされたアルミニウムであってよい。スリーブ2310Tは、
図37(スリーブ2410Aを示す)に示されるように、部分2310Sに機械的にインターロックされてよく、コールドスプレーコーティング、プラズマスプレーコーティング等によって塗布されてよい。保護スリーブ2310Tは、金属で、或いは、熱伝導率又は導電率が低い材料、例えばセラミックスで作られてよい。この態様においては、(熱的な/電気的な)伝導性が低い材料は、ファスナ2310の端部2316を通る熱及び電流を集中させることとなり、層13への溶接を達成するのに必要な電流を、保護スリーブ2310Tが存在しない場合よりも低くすることが可能となる。層13に溶接して、例えばアルミニウムの層11を鋼の層13に固定すると(
図6及び
図7参照)、保護スリーブ2310は、これが通過するアルミニウム層11から部分2310S(鋼で作られてよい)を孤立させるように機能するので、異種金属間の接触及びガルバニック効果による腐食を防止することができる。
【0090】
図37は、
図36に記載したファスナ2310と似ており、保護スリーブ2410Aが部分2410Sに配置されたファスナ2410を示す。保護スリーブ2410Aは、リム2416Rによって、リム2416Rとキャップ部分2412の間にスリーブ2410Aが捕らえられるようにファスナ2410に保持される。リム2416Rが予め形成されて、スリーブ2410Aがリム2416R上に置かれてから、ダイによって加圧されてよく、スリーブ2410Aがシャフト2414に被せられてから、リム2416Rが、例えばアップセッティング/鍛造によって形成されてもよい。ファスナ2310と同様に、ファスナ2410は、向上した耐食性及び伝熱を示し、同様の方法で、例えばアルミニウムの第1のシート又は部材11を、例えば鋼の第2のシート又は部材13に繋ぐのに用いられ得る(
図6及び
図7参照)。リム2416Rは、ファスナが中間体層11に押し込まれる(
図6及び
図7参照)と、先導する要素となり、鋼から形成されてよい。故に、それは、スリーブ2410Aに適合するほど十分に大きな、中間層11を通るアパーチャを形成することとなる。スリーブそれ自体は、中間層11中のアパーチャを形成する役割を果たす必要がないので、ファスナ2410が介在層11に押し込まれる場合に、シャフト2414上での歪み又は弛みから保護される。
【0091】
図38は、中実シャフト2514を有する「半中実(semi-solid)」ファスナ2510を示す。キャップ2512は、電極2515の電極拡張部2515Eが嵌められて収容される電極窪み部2512Dを有する。この配置は、電極2515の摩耗を軽減するのに用いられ得る。一例において、電極窪み部2512D及び電極拡張部2515Eの各々の直径は4〜8mmに近く、深さは1から4mmである。シャフト2514は中実なので、
図1及び
図2に示されるファスナ10のシャフト14のような薄い壁のシャフトほどは潰れ易くない。中間層11(例えば、アルミニウムで作られる)に貫入して層13(例えば、鋼で作られる)に達して溶接される場合(
図6及び
図7参照)、ファスナ2510のシャフト2514は、より短くなっており、潰れる必要がない。結果として、ファスナ2515はより迅速に層13に達する。これにより、電流が電極2515及びファスナ2510中を流れる時間が低減して、電極のエロージョンが軽減され、プロセスの生産性が向上する。電極拡張部2515Eと電極窪み部2512Dとの接触領域は、平坦な接触面であるよりも電気接触面積を増大させ、電気抵抗を引き下げ、ファスナ2510の設置中にファスナ2510と電極2515との相対位置を保存する機械的結合をもたらす。
【0092】
図39は、中実シャフト2614を備える「中実」ファスナ2610を示す。キャップ2612は、半径が例えば1から6インチと一定である上側電極受入れ面2612Sを有する。これによって、半径が同様なアールが形成された従来のスポット溶接電極2615が使用可能となる。この関係は、特別な電極設計及びドレッシング(dressing)装置の必要性を減らし、また電極の摩耗を軽減する。キャップ2612は、挿入プロセス中にシャフト2614が押し込まれるシート11(
図6及び
図7参照)に向けて潰れるのを可能とするように構成されており、キャップ2612は、完全に挿入されると、シート11に対して平らになる。小さなチップ要素2616Tが、ファスナ2610の端部2616から延びていてよい。これは、電流及び加熱を集中させて、貫通されることとなるシート11の加熱/軟化の開始、及びシート13への溶接の開始を助けるように用いられる。
【0093】
図40は、ファスナ2610と似ているが、アールが形成された表面2712Sから上方に延びる電極アラインメント突出部2712Pを有する中実ファスナ2710を示す。突出部2712Pは、電極2715の嵌合凹部2715R内に受け入れられる。嵌合突出部2712P及び凹部2715Rは、(
図6及び
図7に示されるように、シート11を通ってシート13に溶接する)挿入プロセス及び溶接プロセス中にて、電極2715と揃えられたファスナ2710の維持を助ける。突出部2712Pの半径は、例えば3/16”から1/4”であってよい。凹部2715Rは、独特の電極幾何形状を必要とするが、従来の電極ドレッシング装置と適合性がある。
【0094】
図41は、接合部2800Jを示しており、一対の対向ファスナ2810A、2810Bがそれぞれ、例えば抵抗加熱及び圧力によって、層11A、層11B(アルミニウムのシート等)を貫通して、例えば鋼から作られた中心層13に溶接している。この構成を達成するために、ファスナ2810A、2810Bは、アルミニウムシート11A、11Bに(単一の操作で)同時に挿通されて、鋼層13に溶接されてよい。これ以外に、ファスナ2810A、2810Bは、逐次的に挿入且つ溶接されてもよい。
【0095】
図42は、グリップ範囲が拡張したファスナ2910の断面図を示す。キャップ2912は、シャフト2914に匹敵する程度まで延びている。絶縁材料の環2912Iが、キャップ2912の末端部に取り付けられており、環2912Iの底端部が、端部2916とほぼ同延に(co-extensive)されている。使用時には、ファスナ2910は、例えばアルミニウムで作られたシート11の表面上に置かれてから、例えば
図6及び
図7に関連して先に記載されたように抵抗溶接手段による電気抵抗によって加熱されて、シート11に貫入して、例えば鋼で作られた下にあるシート13に溶接されてよい。環2912Iは絶縁体であるので、電流は端部2916しか通過しない。端部2912がシート11に押し込まれると、環2912Iはシート11に当接し、端部2016はシート11を通過する。結果として、キャップ2912は、端部2916がシート13に達して溶接されるのに必要な程度に曲がる一方、環2912Iはシート11に当接する。結果として、シャフト2914は、種々の厚さのシート11に貫入することができ、(その環2912Iが)シート11を依然として押圧することとなり、それをシート13に接触するように付勢するであろう。
【0096】
図43及び
図44は、例えば鋼で作られた第2のパネル13に対して配置された、例えばアルミニウム合金で作られた第1のパネル11を示す。第1のパネル11は、折り曲げられてJ字形状部11Jが形成されており、これはパネル13のエッジ部13Eを囲む。パネル11は、J字形状部11Jに近接して、ファスナ3010によってパネル13及びエッジ部13Eに杭打ちされている(staked)。ファスナ3010は、ある厚さ11Tのパネル11を通過して3010Wにて鋼パネル13に溶接されており、接合部3000Jを形成する。示されたように、溶接部3010Wは、パネル11の残部11Rを邪魔しないので接合部3000Jは、パネルの残部11Rの滑らかな表面外観を必要とする、自動車ボディのような用途に適している。
図44Aに示されるように、電極3015及び3017は、同じ方向からアプローチしてよく、電極3015はファスナ3010を押圧し、電極3017は鋼パネル13と接触する。抵抗加熱がシート11を軟化させるので、ファスナ3010はシート11を押し込んでシート13に溶接される。
図44Bに示されるように、複数のファスナ3010が用いられて、シート13のエッジ部13Eに沿って「ヘム」3010Hが形成されてよく、J字形状部11Jはエッジ部13Eの周りに巻きついている。ヘム加工された接合部3010Hは、シート11、13を一緒に保持するのを助ける接着剤を使用してよい。
【0097】
図45は、ファスナ3110によって例えば鋼の層13に繋がれた、例えばアルミニウムの一対のシート11A、11Bを示す。ファスナ3110は、例えば電気抵抗加熱によって、アルミニウムシート11A、11Bの双方に貫入してから、3110Wにて鋼シート13に接触した後に溶接され、接合部3100Jを形成している。接合部3100Jにおいて、例えば、鋼であってよいファスナ3110から発せられた、貫入及び溶接に起因した熱は、ファスナ3130に隣接するアルミニウムシート11A及び11Bを局所的に溶融させて、シート11Aと11Bとの間に溶接部3110W2が生じる。溶接部3110W2は、ファスナ3110を部分的に又は完全に取り囲む。溶接部3110W2は、アルミニウムシート11A、11Bを連結して、接合部3100Jを強化する。アルミニウムシート11A、11Bは、厚さが同一であっても異なってもよい。接着剤が、1つ又は全てのシートの界面間に存在してよい。
【0098】
図46は、接合部3200Jを示しており、接合部3200Jは、例えば鋼で作られた2つの対向するファスナ3210A、3210Bによって、例えばアルミニウムで作られた2つのシート11A、11Bを繋ぐ。ファスナ3210A、3210Bは、
図10に示される実施形態と同様な方法で、一対の対向する溶接電極を用いて、両側から同時に装着されてよい。ファスナ3210A、3210Bは一緒に押されて、抵抗加熱によってアルミニウムシート11A、11Bに貫入してから、互いに溶接されて、溶接部3210Wが形成される。
図45に示される実施形態に関して先に述べられたように、シート11A、11Bを通過する際に、鋼ファスナ3210A、3210Bは、これらに隣接するアルミニウムシート11A、11Bを局所的に加熱して、溶接部3210W2が生じる。溶接部3210W2は、ファスナ3210A、3210B間に溶接部3210Wを部分的又は完全に取り囲む。
図46は、等しい厚さのシート11A、11Bを示しており、これは対称性を有する接合部3200Jをもたらすが、以下に示されるように、プロセスは、異なるゲージのシート11A、11Bに役立つこととなる。別の代替例においては、操作可能なリーチ(シャフト長さ)が異なる2つの異なるファスナ3210A、3210Bが利用されてよく、長さがより長いものが、厚さがより厚いシートに当てられ、その逆の場合も同様である。
【0099】
図47は、接合部3300Jを示しており、接合部3300Jは、例えば鋼で作られた2つの対向するファスナ3310A、3310Bによって、例えばアルミニウムで作られた2つのシート11A、11Bを繋ぐ。ファスナ3310A、3310Bは、
図10に示される実施形態と同様な方法で、一対の対向する溶接電極を介して、両側から同時に装着される。ファスナ3310A、3310Bは一緒に押されて、抵抗加熱によってアルミニウムシート11A、11Bに貫入してから、互いに溶接されて、溶接部3310Wが形成される。
図45及び
図46に示される実施形態に関して先に述べられたように、シート11A、11Bを通過する際に、鋼ファスナ3310A、3310Bは、これらに隣接するアルミニウムシート11A、11Bを局所的に加熱して、溶接部3310W2が生じる。溶接部3310W2は、ファスナ3310A、3310B間に溶接部3310Wを部分的又は完全に取り囲む。
図47は、厚さが等しくないシート11A、11Bを示しており、非対称な接合部3300Jをもたらす。示されているように、ファスナ3310A、3310Bは、操作可能なリーチ(シャフト長さ)が等しく、溶接部3310Wは、シート11A、11B間の界面3311Iにはない。接合部3300Jの態様は、接合部3300Jを通る負荷経路(load path)が、(同じ軸上でなく)幾つかの方向に従うので、機械的性能が高まることとなる。先に述べられたように、接合部3300Jは、例えば界面3311Iに塗布される接着剤が有っても無くても用いられてよい。アルミニウムシート11A、11B間の溶接ゾーン3310W2は、溶接プロセス中に利用される溶接スケジュールを選択することによって、選択的により大きく又はより小さくされてよい。付加的な熱サイクルが追加されることで、アルミニウム溶接ゾーン3310W2を拡張して、接合部3300Jの全体的な性能を向上させてよい。
【0100】
図48は、接合部3400Jを示しており、接合部3400Jは、例えば鋼で作られた2つの対向するファスナ3410A、3410Bによって、例えばアルミニウムで作られた3つのシート11A、11B、11Cを繋ぐ。ファスナ3410A、3410Bは、
図10に示される実施形態と同様な方法で、一対の対向する溶接電極を介して、両側から同時に装着されてよい。ファスナ3410A、3410Bは一緒に押されて、抵抗加熱によってアルミニウムシート11A、11B、11Cに貫入してから、互いに溶接されて、溶接部3410Wが形成される。
図45〜
図47に示された実施形態に関して先に述べられたように、シート11A、11B、11Cを通過する際に、鋼ファスナ3410A、3410Bは、これらに隣接するアルミニウムシート11A、11B、11Cを局所的に加熱して、ファスナ3410A、3410B間に溶接部3410Wを部分的又は完全に取り囲む溶接部3410W2が生じる。
図48は、ほぼ等しい厚さのシート11A、11B、11Cを示しており、対称性を有する接合部3400Jをもたらす。示されているように、ファスナ3410A、3410Bは、操作可能なリーチ(シャフト長さ)が等しいので、これらは、接合して溶接部3410Wを形成すると、シート11Bの大体中央に位置し、溶接部3410Wはシート11A、11B、11C間の界面3411I1、3411I2にないので、機械的性能が向上する。先に述べられたように、この接合部3400Jは、例えば界面3411I1、3411I2に塗布される接着剤が有っても無くても用いられてよい。アルミニウムシート11A、11B、11C間の溶接ゾーン3410W2は、溶接プロセス中に利用される溶接スケジュールを選択することによって、選択的により大きく、又はより小さくされてよい。付加的な熱サイクルが加えられて、アルミニウム溶接ゾーン3410W2を拡張して、接合3400Jの全体的な性能を向上させてよい。シート11A、11B、11Cは、厚さ及び合金のタイプが同じであっても異なってもよい。ファスナ3410A、3410Bは、アルミニウムシート11A、11B、11Cのスタックの中心において、又は接合性能を最大にして負荷経路を拡張することとなる別の位置にて接触するように設計されてよい。
【0101】
図49は、接合部3500Jをカットしてその断面を示す写真である。接合部3500Jは、2つのアルミニウムシート11A、11B(1.0mm C710−T4アルミニウム合金)を、ファスナ3510と鋼シート13(0.9mm亜鉛メッキ鋼)との間で繋いでいる。ファスナ3510は、G1Aリベットである。溶接ゾーン3510W2は、ファスナ3510に近接したシート11A、11Bの融合を示す。溶接は、パイロットホールのないシート11A、11Bで実施された。接合部3500Jは、8kA@400ミリ秒の予熱に加えて16kA@100ミリ秒の溶接パルス(800lbs)の溶接入熱で生じた。サンプルは、断面用にカットされている間に、幾分歪められた。
【0102】
図50は、接合部3600Jをカットしてその断面を示す写真である。接合部3600Jは、2つのアルミニウムシート11A、11B(1.6mm 7075−T6アルミニウム合金)を、2つのファスナ3610A、3610Bの間で繋いでいる。ファスナ3610A、3610Bは、G1Aリベットである。溶接ゾーン3610W2は、ファスナ3610A、3610Bに近接したシート11A、11Bの融合を示す。溶接は、パイロットホールのないシート11A、11Bで実施された。接合部3500Jは、8kA@400ミリ秒の予熱に加えて12kA@300ミリ秒の溶接パルス(800lbs)の溶接入熱で生じた。
【0103】
図51は、標準的な幾何構造を有するチップ3715Tを備える電極3715を示す。電極チップ3715Tは、嵌合テーパー面3715TS1、3715TS2を介して、電極シャフト3715Sに挿入されて、その中に保持される。チップ3715Tは、半径Rが約8mmであるリベット留め面3715RSを有する。電極3715は、ファスナ3710と接触して示されており、ファスナ3710は、短い中実シャフト3714と、凹状面3712CSを有する広いキャップ3712とを備える。凹状面3712CSは、チップ3715Tのリベット留め面371RSに近い曲率半径R1を有してよい。ファスナ3710は、例えばアルミニウムで作られたシート11と例えば鋼で作られたシート13のスタック上の適所に置かれる。「半中実」ファスナ3710は、標準的な電極半径に適合している。電極3715は、産業界で一般的に使用されており、優れた電極摩耗及びドレッシング能力を実現する。電極の向きが垂直からずれることが、特に大量生産の際に頻繁に生じる。アールが形成された接触面3712CSにより、電極は、垂直に対する傾き角が少さくなり、依然としてファスナ3710を駆動且つ溶接するように機能し得る。非常に厚い貫入が要求される場合(4mm以上)、ファスナ3710のシャフト3714は、例えば、
図1〜
図11に示された他のファスナ設計と比較して、非常に厚くなるであろう。
図1〜
図11では、電極、例えば電極15、115、215は、比較的深くファスナ、例えばファスナ10、110、210中に貫入している。ファスナ3710は、キャリアウェブ、テープ又は幾つかの他の手段を介して、溶接電極3715に供給されて、適所に保持されて、電極と接触する。電極は、接合されることとなるワークピースに対してそれを押圧する。
【0104】
図52は、「とっくり鼻」幾何構造を有する電極チップ3815Tを示す。
図51に示すように、電極チップ3815Tは、3715Sのような電極シャフト中に挿入されて、その中に保持されるであろう。チップ3815Tは、半径Rが約4mmであるリベット留め面3815RSを有する。電極チップ3815Tは、ファスナ3810と接触して示されており、ファスナ3810は、短い中実シャフト3814を備えており、例えば長さが1.5mmを超える。ファスナ3810は、凹状面3812CSを有する広いキャップ3812を有する。凹状面3812CSは、チップ3815Tのリベット留め面3815RSの曲率半径に近い曲率半径を有してよい。ファスナの高さは、全体として約4〜5mmである。ファスナ3810は、例えばアルミニウムで作られたシート11上、及び例えば鋼で作られるシート13上に配置される。「半中実」ファスナ3810は、「とっくり鼻」チップ3815Tに適合する。先に述べられたように、垂直からの電極の向きがずれることは頻繁に生じ、アールが形成された接触面3812CSにより、電極は、垂直に対する傾き角が少なくなり、依然としてファスナ3810を駆動且つ溶接するように機能し得る。表面3815RSの半径が小さいほど、溶接電極からの角オフセットにて機能するフレキシビリティが大きくなり、ファスナ3810の内側に電極が深く貫入するほど、シート対シート(sheet-to-sheet)スポット溶接とより似てくる。加えて、このタイプのチップ幾何構造は、より広い範囲のファスナシャフト長とうまく協働するだろう。なぜならば、厚さが4mm以上のシート11、13を溶接する場合に、非常に厚いベースが必要とされないからである。電極チップ3815Tのより小さな半径の「鼻」は、接触面3812CSの半径に密接にマッチする表面3815RSを有するであろう。表面3815RSから、電極チップ3815Tの外壁3815OWへの移行は、以下に述べるような種々の形状を用いてなされてよい:より大きな半径、ある角度をなす真っ直ぐな壁、又は
図52〜
図55に示された二重の湾曲部(
図52が二重の湾曲部を示す)。電極チップ3815Tは、
図51に示される標準的な電極の利点、例えば優れた電極摩耗及び電極ドレッシングを保持する。
【0105】
図53は、チップ3815Tのとっくり鼻形状が、種々のファスナ、例えば3910、及びスタックの厚さに適合して、同じ電極ツーリングによって広範囲のスタック厚を処理できる電極チップ3815Tとされる模様を示す。
【0106】
図54は、電極摩耗を軽減できるとっくり鼻電極チップ4015Tの別のタイプを示す。リベット留め面4015RSの半径Rは、
図52及び
図53に示される半径よりも小さく、即ち、3mm対4mmである。一般に、リベット留め面4015RSの半径は、2mmよりも大きいが、8mmよりも小さくなるべきであり、好ましくは3〜6mmである。
図54において、ファスナ接触面4010CSの半径は4mmであり、リベット留め面4015RSよりも僅かに大きい。リベット留め面4015RSは、外壁4015OWに対して例えば45度の角度で配置される真っ直ぐな壁4015TWを介して、外壁4015OWに移行する。電極チップ4015Tは、ファスナ4010に対する電極チップ4015Tの向き及び位置の角度及びx、yオフセットにも拘らず、操作性を示す。一部の用途において、接触面4010CSの半径は、リベット留め面4015RSの半径よりも僅かに大きいことが好ましく、一実施形態において、接触面4010CSは、3から12mm又は4から8mmであってよい。
【0107】
図55は、電極摩耗を軽減し得る電極チップ4115Tを示す。リベット留め面4115RSの半径Rは、3から8mmであってよい。リベット留め面4115RSは、半径が大きい、例えば50から150mmの湾曲壁4115TWを介して、外壁4115OWに移行する。この幾何形状は、伝熱及び冷却の向上を実現する。
【0108】
図56は、
図54に関して先に記載されたとっくり鼻電極チップ4015Tを示しており、向きが、ファスナ4010と揃えられておらず、例えば、角オフセットαは、シート11、13に対して直角をなす向きから最大30度である。とっくり鼻チップ4015Tは、最大で30度又はそれを超える角度のミスアラインメントに適応して、実行可能な電気機械的接触を今まで通りもたらすであろう。ファスナ4010の半径Rが僅かにより大きいと、電極チップ4015Tを備えるスポット溶接装置が、シート11を通してファスナ4010を押し出す能力を高めることとなり、それ以外の場合には、理想的な生産取付けからの変動に適応することとなる。角度のミスアラインメントに適応する能力は、大きく平坦な向き合った電極を典型的み利用する突出型溶接プロセスにとって目新しく、現在開示している技術が従来の電気抵抗溶接から顕著に更に逸脱していることを示す。
【0109】
図57は、コンポジットファスナ4250、4260、及び4270を示しており、それぞれ、複数の構成要素4250A、4250B、4260A、4260B、及び4270A、4270Bを有する。示されているように、構成要素4250A、4260A、及び4270Aは、先に開示されたファスナ10、110、210、310その他のいずれかのようなファスナであってよい。構成要素4250B、4260B、及び4270Bは、ファスナ構成要素4250A、4260A、及び4270Aに圧入される、又はこれらに接着されるシート材料の形態であってよい。シート部材4250B、4260B、及び4270Bは、以下に挙げられる材料で構成されてよい:ポリマー、樹脂、接着剤(上記のa及びb)又は金属(a、b、及びc)。シート部材4250B、4260B、及び4270Bは、より大きなウェブと一体化され、ウェブから分離可能であってよい。当該ウェブは、先に記載された電気抵抗加熱及び溶接を介して、ファスナ4250、4260などを適用するプロセス中にて、例えば
図4から
図7のシート11、13のような固定されることとなる材料に対してファスナ4250などを位置決めする運搬又は保持機構として役立つ。構成要素4250B、4260B、4270Bは、ファスナ4250A、4260A、4270Aによって形成される接合部に捕らえられたままであるように選択されてよい。例えば、シート部材4250B、4260B、及び4270Bは、ファスナによって形成される接合部を腐食からシールし、保護するプラスチック/ポリマーシーラントであってよい。
【0110】
シート部材4250B、4260B及び4270Bが金属であり、そして、より大きな構造、例えば運搬/位置決め機構として利用されるテープ又はウェブと一体化される場合、テープ又はウェブへの取付けは、ミシン目のある(perforated)、さもなければ壊れやすい接続を用いてよい。これにより、関連するファスナ4250A、4260A、4270Aが用いられる時に、シート部材4250B、4260B、及び4270Bは、より大きな構造から外れることができる。シート部材4250B、4260B、及び4270Bは、種々の材料、例えばステンレス鋼、アルミニウム鑞付け合金、高純度アルミニウムなど作られてよく、ファスナ4250A、4260A、4270Aと、ファスナ4250A、4260A、4270Aが接触し得る全表面、例えばシート11、13との間で、ガルバニック腐食電位を引き下げ、及び/又は接合結合を拡張できる。鑞付け合金は、利用される場合、予め液状にされて(prefluxed)、接触面に沿う濡れ性及び結合性能の向上をもたらし得る。シート部材4250B、4260B、及び4270Bは、対応するファスナ4250A、4260A、4270Aを機械的に(例えば、締り嵌め、又は他の手段、例えば表面引力を介した接着又は接着剤の使用)伴ってよい。シート部材4250B、4260B、及び4270Bの組成及び機能は、
図36及び
図37のスリーブ2310T及び/又は2410Aと類似し又は同じであってよい。ファスナ4250A、4260A及び4270Aとシート部材4250B、4260B及び4270Bは、固定動作を実行する前に組み合わせられてよく、ファスナ4250A、4260A及び4270Aとシート部材4250B、4260B及び4270Bの異なる組合せが、固定作業の要求及び目的に基づいて選択されてよい。
【0111】
図58は、溶接電極のチップ4315Tと、本発明の実施形態に基づくファスナ4310との抵抗溶接によって一緒に固定されるワークピース、例えばシート11、13との間にファスナ4310を装填するためのフィーディング機構4380及び媒体4382を示す。ファスナ4310は、媒体4382によって搭載されて運ばれ、これは、フィーディング機構4380の左側L及び右側R上のコイル間を走るベルト又はテープの形態であってよい。媒体は、ガイドロール、又は別の形態のガイド、例えば、フレーム4380Fを通るシュート(chute)又はガイド面4380S1、4380S2によって案内されてよく、媒体によって運ばれるファスナ4310は、電極チップ4315Tとシート11との間に周期的に現れる。電極チップは、周期的に上下移動して、本発明において先に記載された貫入/溶接操作を、電気抵抗加熱及び溶接によって実行する。フィーディング機構4380もまた、シート11に対して上下移動してよい。媒体4382は、ファスナ4310がシート11、13に適用されると、部分的に又は完全に消費されてよい。或いは、媒体4382の残りの部分4382Rは当てられたファスナ4310を超えて通過して、巻上げロール又は他の巻取り機構によって巻き取られて、処分又は転用されてよい。
図57に関して先に記載されたように、媒体4382は、ファスナ4310によって形成される接合部に有益な属性を提供するように選択されてよく、例えば、媒体4382は、シーラント、腐食軽減フィルム、接着剤又は鑞付け媒体であってよい。ファスナ4310を受け入れる開口4382Oを備える2つの形態の媒体4382A及び4382Bがある。
【0112】
本発明のファスナ10、110、210等及び固定方法の態様として、以下が挙げられる。ファスナを適用するプロセスは、下側部の歪みを伴う。なぜならば、材料層、例えば11、13、及びファスナ10、110等は、溶接中に加圧保持され、熱影響ゾーンは、キャップ、例えばキャップ12の下方で捕らわれるからである。キャップ12は、予め形成された凹部を有してよく、又は、折り曲げて凹部が形成されてよく、溶接動作によって置き換えられた溶融金属、金属間化合物等に適合して、これをトラップする。所与のファスナ、例えばファスナ10、110等は、貫入及び溶接フェーズ中に変形、例えば溶融して潰れるので、ある範囲の厚さのシート、例えばシート11、13を取り扱って、固定することができる。ファスナの貫入及び溶接中、ファスナ10、110等が溶接ゾーンに沿って潰れて拡張するにつれ、金属間化合物は溶接ゾーンからずれる。ファスナ10、110等(即ち、そのキャップ12)は、上側シート、例えば上側シート11に当たって、電極15、115、215等の影響を受けて潰れる場合、キャップ12が上側シート11をシールして、停止することとなる。ファスナ10、110等は、シート11、13間に付着した接着剤を通って適用されてよい。ファスナ10、110、210等は第2のシート13の一側面に溶接又は鑞付けされるので、シート13の反対側は貫通されず、防水されたままである。本発明の溶接プロセスは、例えば、自動車製造において用いられており、鋼シート抵抗溶接のために開発された従来のRSW装置と適合性がある。
【0113】
ファスナ10、110、210等は、種々の材料、例えば異なる鋼種(低炭素の、高い強度の、非常に高い強度の、ステンレス)、チタン、アルミニウム、マグネシウム、及び銅で作られてよく、そして、耐食性を向上させるためにコーティング(亜鉛メッキ、ガルバニール、溶融メッキ、アルミナ化)されてよい。ファスナ10、110、210等は、片側又は両側アクセスの溶接技術を用いて適用されてよい。あるアプローチにおいては、パイロットホールは用いられず、ファスナは、抵抗加熱によって軟化される第1の層11を貫通する。別のアプローチにおいては、パイロットホールが上側シート11中に提供されてよく、上側シート11は、アルミニウム、プラスチックであってよいし、アルミニウムシャフト端部16を有するファスナの例において、第1のシートは、鋼、チタン、又は銅であり、第2のシートがアルミニウムであってよい。ファスナが第1のシート中のパイロットホールを挿通する例において、第1のシートは、導電性である必要はなく、第2のシートよりも溶融温度が低い必要もない(ファスナは、電気抵抗加熱によって第1のシートに貫入しないからである)。品質保証測定が、ファスナを第2のシートに固定している溶接部の破壊的な分解から残されたキャビティに実施されて、例えば、溶接部の寸法、例えば深さ、容量等が検査されてよい。超音波NDE技術が、ファスナが溶接されているシートの反対側に用いられて、溶接部の品質が監視されてよい。
【0114】
本発明のファスナ10、110、210等を適用するのに用いられる装置は、フットプリントがFDS(EJOTS)、SPR、及びSFJよりもかなり小さく、より隙間が小さい空間へのアクセスが可能となる。本発明のファスナを駆動するのに用いられる挿入力は、SPRで用いられる挿入力と比較して、低い。なぜならば、アルミニウムシート11は、加熱される又は孔があると、ファスナ挿入が容易となり、SPR操作中のヒビ割れに敏感である高強度アルミニウムを接合する能力が高まるからである。本発明のアプローチはまた、高い強度の鋼及び極めて高い強度の鋼への接合を容易にする。なぜならば、ファスナが鋼金属を貫通する必要がなく、その代わりとして、ファスナがシート金属に溶接されるからである。本発明の方法は、ファスナ又はワークピースの回転を必要とせず、部品の取付けが容易となる。なぜならば、プロセスは、接合される部品が固定される手法に関して、従来のRSWと類似するからである。ファスナ10、110は、従来のRSWに近い処理速度で適用可能であり、プロセスは、鍛錬したアルミニウム及び鋳造したアルミニウムの双方に用いられ得る。アルミニウムの鋼への溶接が回避されるので、二金属溶接部に付随する低接合強度もまた回避される。本発明のプロセスは、アルミニウム及び鋼ならびに他の金属の複数のシート、例えば、アルミニウムの2層及び鋼の1層;アルミニウムの1層及び鋼の2層;又はアルミニウムの1層、マグネシウムの1層及び鋼の1層を固定可能とする。
【0115】
ファスナ10、110、210等を適用する間に、ファスナによって貫入される第1のシート11又はシート11A、11Bも溶融して一緒に溶接されて、溶接ゾーン及び全体的な接合強度が増大してよい。ファスナは、適合性があるシート13への溶接のために、種々の材料から作られ、多層とされることで、ファスナは、溶接と腐食の回避に適した組合せである機械的性質及びガルバニック性質を有してよい。例えば、ファスナは、アルミニウムであって、アルミニウムの第2のシート13に溶接するのに適合性がある端部を有するように製造されてよいが、機械的性質を向上させるために、鋼、チタン又は銅の層を有してよい。多層ファスナが、高温用途において有用であり、材料の1又は複数の層を含んでおり、マルチ材料界面にわたる拡散を防止してよい。
【0116】
フィルム、接着剤、又はコーティングが、ファスナに付着されてよく、ファスナと第1のシート11の間に導入されて、シート11に対するキャップ12のシーリングを向上させることができる。本発明のプロセスは、シャフトの端部に向けて捲れ上がるレトログラード(retrograde)キャップ(キャップ/シート11の界面の通電を回避するために絶縁体でコーティングされてよい)を組み込むことによって、広範囲の厚さのシートを接合するのに用いられてよい。キャップは、加熱貫入フェーズ中に、様々な厚さのスタックに適合するように曲がる。本発明は、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、銅、及びチタンのような種々の材料で作られるファスナを意図している。ファスナは、2つ以上の異なるタイプのアルミニウムで作られてよく、抵抗溶接及びより低い熱プロセス、例えば抵抗鑞付け又ははんだ付けが可能となる。本発明のファスナ及び方法で作られた接合部は、溶接プロセス中に部品が加圧保持されるために、疲労性能の向上を示す。
【0117】
本明細書中に記載される実施形態は、単なる例示であって、当業者によって、特許請求の範囲に記載の主題の精神及び範囲から逸脱することなく多くの変形及び変更がなされてよいことが理解されよう。そのような全ての変形及び変更は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。