特許第6533863号(P6533863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6533863塗料組成物、塗装物品及び複層塗膜形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6533863
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】塗料組成物、塗装物品及び複層塗膜形成方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20190610BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20190610BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20190610BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20190610BHJP
   C09D 5/29 20060101ALI20190610BHJP
   C09C 1/64 20060101ALI20190610BHJP
   C09C 3/06 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
   C09D201/00
   C09D7/61
   C09D7/62
   C09D5/00 D
   C09D5/29
   C09C1/64
   C09C3/06
【請求項の数】8
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2018-246182(P2018-246182)
(22)【出願日】2018年12月27日
【審査請求日】2019年1月10日
(31)【優先権主張番号】特願2017-254157(P2017-254157)
(32)【優先日】2017年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大村 匡弘
(72)【発明者】
【氏名】小松 美保
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−521585(JP,A)
【文献】 特開2005−239801(JP,A)
【文献】 特開2008−237939(JP,A)
【文献】 特開2012−017364(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/042824(WO,A1)
【文献】 特開2002−121492(JP,A)
【文献】 特開平11−116861(JP,A)
【文献】 特開2002−155242(JP,A)
【文献】 特開2001−164191(JP,A)
【文献】 特開2011−231194(JP,A)
【文献】 特開2011−162732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
B05D 1/00− 7/26
B32B 1/00− 43/00
C09C 1/00− 3/12
C09D15/00− 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー成分(A)、平均粒子径(d50)が18〜25μmの範囲内である鱗片状アルミニウム顔料(B)及び平均粒子径(d50)が8〜30μmの範囲内である鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)を含有する塗料組成物であって、
前記バインダー成分(A)100質量部を基準として、前記鱗片状アルミニウム顔料(B)の含有量が10〜50質量部の範囲内であり、前記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の含有量が0.5〜10質量部の範囲内であり、
かつ前記鱗片状アルミニウム顔料(B)及び前記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の含有割合(B)/(C)が固形分質量比で2/1〜50/1の範囲内である、塗料組成物。
【請求項2】
前記鱗片状アルミニウム顔料(B)の平均厚さが0.10〜0.80μmの範囲内である、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の平均厚さが0.20〜0.60μmの範囲内である、請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)が酸化チタン被覆雲母顔料、酸化チタン及び酸化鉄被覆雲母顔料、酸化チタン被覆酸化アルミニウム顔料、並びに酸化チタン及び酸化鉄被覆酸化アルミニウム顔料から成る群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記塗料組成物を硬化させた硬化塗膜の、膜厚15μmにおける下記式により求められるフリップフロップ値が2.0〜30.0の範囲内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物。
フリップフロップ値=L15値/L75値
(式中、L15値は受光角15度のL値を、L75値は受光角75度のL値を示す。)
【請求項6】
前記塗料組成物を硬化させた硬化塗膜の、膜厚15μmにおける粒状性値(G値)が5.0〜10.0の範囲内である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項7】
被塗物上に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗料組成物を硬化させた硬化塗膜を有する塗装物品。
【請求項8】
(1)被塗物に、ベースコート塗料組成物(X)を塗装して未硬化のベースコート塗膜を形成する工程、
(2)前記未硬化のベースコート塗膜上に、クリヤーコート塗料組成物(Y)を塗装して未硬化のクリヤーコート塗膜を形成する工程、並びに
(3)前記未硬化のベースコート塗膜及び前記未硬化のクリヤーコート塗膜を加熱して、両塗膜を同時に硬化させる工程を含む複層塗膜形成方法であって、
前記ベースコート塗料組成物(X)が請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗料組成物である複層塗膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物、塗装物品及び複層塗膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被塗物上に塗料を塗装する目的は、主に美観の付与及び素材の保護であり、自動車等の分野においては美観の観点から、メタリック色を有する塗膜が使用されることがある。また、そのようなメタリック色を有する塗膜を得るために、鱗片状アルミニウム顔料を含有させることが知られている。
【0003】
上記鱗片状アルミニウム顔料は、被塗物の面に平行になるように配向し、見る方向によって色調が変化するとともに、キラキラとした輝きを持つ独特の意匠性を呈するものである。
【0004】
このうち、見る方向によって色調が変化するという特徴はフリップフロップ性と呼ばれ、この色調の変化が大きい方が、フリップフロップ性が高いとされ、鱗片状アルミニウム顔料を含有する塗膜としての光輝感に優れるとされている。
また、キラキラとした輝きを有するという特徴は粒子感と呼ばれ、鱗片状アルミニウム顔料のそれぞれの粒子が目立つ、粒子感が高いメタリック色の開発が行われている。
【0005】
例えば、特許文献1では、(A)平均粒子径d50が13μm以上、40μm以下、平均厚さが0.4μm以上、2.5μm以下のアルミニウムフレーク顔料、および(B)平均粒子径d50が4μm以上、30μm以下、平均厚さが0.1μm以上、0.4μm未満のアルミニウムフレーク顔料を含有してなり、顔料(B)に対する顔料(A)の固形分質量比((A)/(B))が90/10〜10/90であり、前記メタリック塗料樹脂固形分100質量部に対して、顔料(A)と顔料(B)との固形分質量の合計値((A)+(B))が5〜50質量部であることを特徴とする、メタリック塗料組成物が開示されている。
また、該メタリック塗料組成物は、粒子感、光輝感、フリップフロップ性及び隠蔽性に優れたメタリック塗膜を形成できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−239801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鱗片状アルミニウム顔料を配合したメタリック塗料組成物においては、該鱗片状アルミニウム顔料の塗膜中の配向の状態等によって、メタリックムラが発生することが知られている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、粒子感、光輝感、フリップフロップ性及び隠蔽性に関しては検討されているものの、メタリックムラの発生を抑制することについては検討されていない。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、高い粒子感を持ち、かつメタリックムラの発生が抑制された塗膜を形成することができる塗料組成物を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の鱗片状顔料を一定の割合で用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は下記<1>〜<8>に関するものである。
<1>バインダー成分(A)、平均粒子径(d50)が18〜25μmの範囲内である鱗片状アルミニウム顔料(B)及び平均粒子径(d50)が8〜30μmの範囲内である鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)を含有する塗料組成物であって、
前記バインダー成分(A)100質量部を基準として、前記鱗片状アルミニウム顔料(B)の含有量が10〜50質量部の範囲内であり、前記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の含有量が0.5〜10質量部の範囲内であり、かつ前記鱗片状アルミニウム顔料(B)及び前記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の含有割合(B)/(C)が固形分質量比で2/1〜50/1の範囲内である、塗料組成物。
<2>前記鱗片状アルミニウム顔料(B)の平均厚さが0.10〜0.80μmの範囲内である、<1>に記載の塗料組成物。
<3>前記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の平均厚さが0.20〜0.60μmの範囲内である、<1>又は<2>に記載の塗料組成物。
<4>前記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)が酸化チタン被覆雲母顔料、酸化チタン及び酸化鉄被覆雲母顔料、酸化チタン被覆酸化アルミニウム顔料、並びに酸化チタン及び酸化鉄被覆酸化アルミニウム顔料から成る群から選択される少なくとも1種を含有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の塗料組成物。
<5>前記塗料組成物を硬化させた硬化塗膜の、膜厚15μmにおける下記式により求められるフリップフロップ値が2.0〜30.0の範囲内である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の塗料組成物。
フリップフロップ値=L15値/L75値
(式中、L15値は受光角15度のL値を、L75値は受光角75度のL値を示す。)
<6>前記塗料組成物を硬化させた硬化塗膜の、膜厚15μmにおける粒状性値(G値)が5.0〜10.0の範囲内である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の塗料組成物。
<7>被塗物上に、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の塗料組成物を硬化させた硬化塗膜を有する塗装物品。
<8>(1)被塗物に、ベースコート塗料組成物(X)を塗装して未硬化のベースコート塗膜を形成する工程、
(2)前記未硬化のベースコート塗膜上に、クリヤーコート塗料組成物(Y)を塗装して未硬化のクリヤーコート塗膜を形成する工程、並びに
(3)前記未硬化のベースコート塗膜及び前記未硬化のクリヤーコート塗膜を加熱して、両塗膜を同時に硬化させる工程を含む複層塗膜形成方法であって、
前記ベースコート塗料組成物(X)が<1>〜<6>のいずれか1つに記載の塗料組成物である複層塗膜形成方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高い粒子感を持ち、かつメタリックムラの発生が抑制された塗膜を形成することができる塗料組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、フリップフロップ性及び鮮映性に優れた塗膜を形成することができる塗料組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳述するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、本発明はこれらの内容に特定されるものではない。
【0013】
[塗料組成物]
本発明の塗料組成物は、バインダー成分(A)、平均粒子径(d50)が18〜25μmの範囲内である鱗片状アルミニウム顔料(B)及び平均粒子径(d50)が8〜30μmの範囲内である鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)を含有する。
【0014】
〔バインダー成分(A)〕
本発明で用いるバインダー成分(A)としては、従来から塗料分野において使用されている、基体樹脂及び場合によりさらに硬化剤を含んでなる、それ自体既知のバインダー成分を使用することができる。該基体樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の架橋性官能基を有していることが好ましい。
バインダー成分(A)としては、特に、基体樹脂としての水酸基含有樹脂(A1)を硬化剤(A3)と組み合わせて含んでなるものが好適である。
【0015】
<水酸基含有樹脂(A1)>
水酸基含有樹脂(A1)は、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する樹脂である。
水酸基含有樹脂(A1)は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、一般に1〜300mgKOH/g、特に5〜250mgKOH/g、さらに特に10〜180mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好ましい。
水酸基含有樹脂(A1)は、分子内に酸基を有することもできる。該酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられ、特に、カルボキシル基が好適である。
【0016】
本発明の塗料組成物は、環境負荷を低減する等の観点から、水性塗料であることが好ましいが、その場合、酸基、好ましくはカルボキシル基を塩基性化合物で中和することにより、水酸基含有樹脂(A1)を水溶性化又は水分散化することが好ましい。上記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア;エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノプロパノール等の第1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−プロパノールアミン、ジ−iso−プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等の第2級モノアミン;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等の第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン等のポリアミンを挙げることができる。これらの塩基性化合物は、水酸基含有樹脂(A1)の酸基に対して通常0.1〜1.5当量、好ましくは0.2〜1.2当量の範囲内で使用することができる。
【0017】
なお、本明細書において「水性塗料」は、有機溶剤型塗料と対比される用語であって、一般に水又は水を主成分とする媒体(水性媒体)中に、塗膜形成性樹脂成分、顔料等を分散及び/又は溶解させてなる塗料を意味する。本発明の塗料組成物が水性塗料である場合、該組成物中における水の含有量は通常10〜90質量%、特に20〜80質量%、さらに特に30〜70質量%の範囲内にあることが好ましい。
【0018】
塗料組成物の貯蔵安定性、得られる塗膜の耐水性等の観点から、水酸基含有樹脂(A1)は、一般に1〜200mgKOH/g、特に2〜150mgKOH/g、さらに特に3〜90mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。また、水酸基含有樹脂(A1)として酸価が10mgKOH/g以下の水酸基含有樹脂を使用する場合には、上記塩基性化合物を用いて中和することに代えて、該水酸基含有樹脂と乳化剤とを混合し、機械的なせん断力を加えて撹拌して該水酸基含有樹脂を水中に強制的に分散させることにより、水性塗料として使用することもできる。
【0019】
上記水酸基含有樹脂(A1)としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、水酸基含有樹脂(A1)は、水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)及び水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)を含むことがより好ましい。
【0020】
(水酸基含有アクリル樹脂(A1−1))
水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)は、通常、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)及び該水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)と共重合可能な他の重合性不飽和モノマー(b)を、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水性媒体中でのエマルション重合法等のそれ自体既知の方法によって共重合させることにより製造することができる。
【0021】
水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)は、1分子中に水酸基及び重合性不飽和基をそれぞれ少なくとも1個有する化合物であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;これらのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール;分子末端に水酸基を有するポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0022】
但し、本発明においては、後述する(xvii)紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマーに該当するモノマーは、上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)と共重合可能な他の重合性不飽和モノマー(b)として規定されるべきものであり、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)からは除かれる。上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
なお、本明細書において、重合性不飽和基とは、ラジカル重合しうる不飽和基を意味する。かかる重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、マレイミド基等が挙げられる。
【0024】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸又はメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル又はメタクリロイルを意味する。さらに、「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
【0025】
水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)と共重合可能な他の重合性不飽和モノマー(b)としては、水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)に望まれる特性に応じて適宜選択して使用することができる。該モノマー(b)の具体例としては、以下の(i)〜(xix)に記載するものを挙げることができる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0026】
(i)アルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート:例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等。
【0027】
(ii)イソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー:例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート等。
(iii)アダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー:例えば、アダマンチル(メタ)アクリレート等。
(iv)トリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー:例えば、トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等。
(v)芳香環含有重合性不飽和モノマー:例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等。
(vi)アルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等。
【0028】
(vii)フッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー:例えば、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等。
(viii)マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー。
(ix)ビニル化合物:例えば、N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等。
(x)カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー:例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等。
【0029】
(xi)含窒素重合性不飽和モノマー:例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等。
【0030】
(xii)重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー:例えば、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等。
(xiii)エポキシ基含有重合性不飽和モノマー:例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等。
【0031】
(xiv)分子末端にアルコキシ基を有するポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート。
(xv)スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー:例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸等;これらスルホン酸のナトリウム塩、アンモニウム塩等。
(xvi)リン酸基を有する重合性不飽和モノマー:アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリ(オキシエチレン)グリコール(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリ(オキシプロピレン)グリコール(メタ)アクリレート等。
【0032】
(xvii)紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー:例えば、2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等。
【0033】
(xviii)光安定性重合性不飽和モノマー:例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
【0034】
(xix)カルボニル基を有する重合性不飽和モノマー:例えば、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等。
【0035】
水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)は、該樹脂中の水酸基の一部にポリイソシアネート化合物をウレタン化反応させることにより伸長させ高分子量化した、いわゆるウレタン変性アクリル樹脂と併用することもできる。
【0036】
水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)は、モノマー(a)及びモノマー(b)の合計量を基準にして、一般に1〜50質量%、好ましくは2〜40質量%、さらに好ましくは3〜30質量%の範囲内で使用することができる。
【0037】
水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)は、貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性等の観点から、一般に1〜200mgKOH/g、特に2〜150mgKOH/g、さらに特に5〜100mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好ましい。
【0038】
水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)は、また、得られる塗膜の耐水性等の観点から、一般に1〜200mgKOH/g、特に2〜150mgKOH/g、さらに特に5〜80mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。
【0039】
水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)は、さらに、得られる塗膜の外観、耐水性等の観点から、一般に2,000〜5,000,000、特に4,000〜1,000,000、さらに特に8,000〜500,000の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。
【0040】
なお、本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)に基づいて、ポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置として、「HLC−8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G3000HXL」、「TSKgel G2500HXL」及び「TSKgel G2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の計4本を使用し、検出器として、示差屈折率計を使用し、移動相:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、流速:1mL/minの条件下で測定することができる。
【0041】
本発明の塗料組成物が水性塗料である場合、水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)は、形成塗膜のメタリックムラの発生抑制及びフリップフロップ性向上等の観点から、重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有する重合性不飽和モノマー(c)0.1〜30質量%及び重合性不飽和基を1分子中に1個有する重合性不飽和モノマー(d)70〜99.9質量%を共重合することにより得られる共重合体(I)のコアと、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)1〜35質量%、疎水性重合性不飽和モノマー(e)5〜60質量%、ならびに水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)及び疎水性重合性不飽和モノマー(e)以外の重合性不飽和モノマー(f)5〜94質量%を共重合することにより得られる共重合体(II)のシェルを構成成分とするコア/シェル型複層構造を有する水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)を含むことが好ましい。
【0042】
コアを構成する重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有する重合性不飽和モノマー(c)としては、例えば、アリル(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、グリセロ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルテレフタレ−ト、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0043】
重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有する重合性不飽和モノマー(c)は、モノマー(c)及びモノマー(d)の合計質量を基準として、一般に0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%の範囲内で使用することができる。
【0044】
また、コアを構成する重合性不飽和基を1分子中に1個有する重合性不飽和モノマー(d)は、重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有する重合性不飽和モノマー(c)と共重合可能な重合性不飽和モノマーであり、1分子中に1個の重合性不飽和基、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等を含有する化合物が包含される。
【0045】
重合性不飽和基を1分子中に1個有する重合性不飽和モノマー(d)の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、アリルアルコ−ル、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0046】
他方、シェルを構成する水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)としては、前述したように、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;アリルアルコ−ル;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0047】
水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)は、モノマー(a)、モノマー(e)及びモノマー(f)の合計質量を基準として、一般に1〜35質量%、好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは8〜20質量%の範囲内で使用することができる。
【0048】
また、シェルを構成する疎水性重合性不飽和モノマー(e)には、炭素数が6以上の直鎖状、分岐状もしくは環状で飽和又は不飽和の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマーが包含され、具体的には、例えば、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)に用いる疎水性重合性不飽和モノマー(e)としては、形成塗膜の平滑性、鮮映性等の観点から、なかでも、ビニル芳香族化合物が好ましく、スチレンが特に好ましい。
【0049】
疎水性重合性不飽和モノマー(e)は、モノマー(a)、モノマー(e)及びモノマー(f)の合計量を基準として、一般に5〜60質量%、特に8〜40質量%、さらに特に11〜25質量%の範囲内で使用することが好ましい。
【0050】
また、シェルを構成する水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)及び疎水性重合性不飽和モノマー(e)以外の重合性不飽和モノマー(f)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0051】
水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)及び疎水性重合性不飽和モノマー(e)以外の重合性不飽和モノマー(f)は、形成塗膜の平滑性を確保できる点から、その成分の少なくとも一部として、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(g)を含むことが好適である。
【0052】
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(g)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等を挙げることができ、なかでも、(メタ)アクリル酸が好適である。
【0053】
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(g)は、水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)の水性媒体中における安定性ならびに形成塗膜の平滑性及び耐水性等の観点から、モノマー(a)、モノマー(e)及びモノマー(f)の合計質量を基準として、一般に1〜40質量%、特に6〜25質量%、さらに特に11〜19質量%の範囲内で使用することが好ましい。
【0054】
水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)は、形成塗膜の耐水性等の観点から、一般に1〜70mgKOH/g、特に2〜60mgKOH/g、さらに特に5〜45mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好適である。
【0055】
また、水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)は、貯蔵安定性や形成塗膜の耐水性等の観点から、一般に5〜90mgKOH/g、特に10〜70mgKOH/g、さらに特に15〜50mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好適である。
【0056】
さらに、形成塗膜のメタリックムラの発生抑制及びフリップフロップ性向上等の観点から、モノマー(a)、モノマー(e)及びモノマー(f)として、重合性不飽和基を1分子中に1個のみ有する重合性不飽和モノマーを使用し、水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)のシェルを未架橋型とすることが好ましい。
【0057】
水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)は、例えば、重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有する重合性不飽和モノマー(c)0.1〜30質量%及び重合性不飽和基を1分子中に1個有する重合性不飽和モノマー(d)70〜99.9質量%を含有するモノマー混合物(I)を乳化重合して得られるエマルション中に、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)1〜35質量%、疎水性重合性不飽和モノマー(e)5〜60質量%及び上記モノマー(a)及びモノマー(d)以外の重合性不飽和モノマー(f)5〜94質量%を含有するモノマー混合物(II)を添加し、さらに重合させることによって得ることができる。
【0058】
上記モノマー混合物の乳化重合は、それ自体既知の方法、例えば、乳化剤の存在下で重合開始剤を使用して行うことができる。
【0059】
上記乳化剤としては、アニオン性乳化剤又はノニオン性乳化剤が好適である。該アニオン性乳化剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸等の有機酸のナトリウム塩やアンモニウム塩が挙げられ、また、該ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
【0060】
1分子中にアニオン性基とポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性乳化剤や、1分子中に該アニオン性基とラジカル重合性不飽和基とを有する反応性アニオン性乳化剤を使用してもよく、なかでも、反応性アニオン性乳化剤を使用することが好適である。
【0061】
上記反応性アニオン性乳化剤としては、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、プロペニル基、ブテニル基等のラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のナトリウム塩やアンモニウム塩を挙げることができる。なかでも、形成塗膜の耐水性に優れるため、ラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩が好ましい。該スルホン酸化合物のアンモニウム塩としては、例えば、「ラテムルS−180A」(商品名、花王社製)等の市販品を挙げることができる。
【0062】
上記ラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩の中でも、ラジカル重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩がさらに好ましい。上記ラジカル重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩としては、例えば、「アクアロンKH−10」(商品名、第一工業製薬社製)、「SR−1025A」(商品名、旭電化工業社製)等の市販品を挙げることができる。
【0063】
上記乳化剤は、使用される全モノマーの合計量を基準にして、通常0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%の範囲内で使用することができる。
【0064】
前記重合開始剤としては、油溶性、水溶性のいずれのタイプのものであってもよく、例えば、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4’−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0065】
また、上記重合開始剤に、必要に応じて、例えば、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用し、レドックス重合系としてもよい。
【0066】
上記重合開始剤は、使用される全モノマーの合計質量を基準にして、通常0.1〜5質量%、特に0.2〜3質量%の範囲内で使用することが好ましい。該重合開始剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、その種類や量等に応じて適宜選択することができる。例えば、該重合開始剤は、予めモノマー混合物又は水性媒体に含ませてもよく、或いは重合時に一括して添加してもよく又は滴下してもよい。
【0067】
水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)は、上記のようにして得られるエマルションに、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)、疎水性重合性不飽和モノマー(e)ならびに上記モノマー(a)及びモノマー(e)以外の重合性不飽和モノマー(f)を含むモノマー混合物(II)を添加し、さらに重合させることによって得ることができる。
モノマー混合物(II)は、必要に応じて、前記で列記したような重合開始剤、連鎖移動剤、還元剤、乳化剤等の成分を適宜含有することができる。
【0068】
また、モノマー混合物(II)はそのまま滴下することもできるが、モノマー混合物(II)を水性媒体に分散し、モノマー乳化物として滴下することが望ましい。この場合におけるモノマー乳化物の粒子径は特に制限されるものではない。
【0069】
モノマー混合物(II)の重合は、例えば、乳化されていてもよいモノマー混合物(II)を一括で又は滴下で上記エマルションに添加し、撹拌しながら適当な温度に加熱することにより行うことができる。
【0070】
上記の如くして得られる水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)は、重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有する重合性不飽和モノマー(c)及び重合性不飽和基を1分子中に1個有する重合性不飽和モノマー(d)を含有するモノマー混合物(I)から形成される共重合体(I)をコアとし、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)、疎水性重合性不飽和モノマー(e)ならびに上記モノマー(a)及び(e)以外の重合性不飽和モノマー(f)を含有するモノマー混合物(II)から形成される共重合体(II)をシェルとするコア/シェル型複層構造を有することができる。
【0071】
また、水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)は、共重合体(I)を得る工程と共重合体(II)を得る工程の間に、他の樹脂層を形成する重合性不飽和モノマー(1種又は2種以上の混合物)を供給して乳化重合を行なう工程を追加することによって、3層又はそれ以上の層からなる樹脂粒子としてもよい。
【0072】
なお、本発明において、水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)の「シェル」は樹脂粒子の最外層に存在する重合体層を意味し、「コア」は上記シェル部を除く樹脂粒子内層の重合体層を意味し、「コア/シェル型構造」は上記コアとシェルを有する構造を意味するものである。上記コア/シェル型構造は、通常、コアがシェルに完全に被覆された層構造が一般的であるが、コアとシェルの質量比率等によっては、シェルのモノマー量が層構造を形成するのに不十分な場合もあり得る。そのような場合は、上記のような完全な層構造である必要はなく、コアの一部をシェルが被覆した構造であってもよく、あるいはコアの一部にシェルの構成要素である重合性不飽和モノマーがグラフト重合した構造であってもよい。また、上記コア/シェル型構造における多層構造の概念は、水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)においてコアに多層構造が形成される場合にも同様に当てはまるものとする。
【0073】
コア/シェル型復層構造を有する水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)における共重合体(I)と共重合体(II)の割合は、形成塗膜のメタリックムラの発生抑制及びフリップフロップ性向上等の観点から、共重合体(I)/共重合体(II)の固形分質量比で、一般に10/90〜90/10、特に50/50〜85/15、さらに特に65/35〜80/20の範囲内にあることが好ましい。
【0074】
上記のようにして得られる水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)は、一般に10〜1,000nm、特に20〜500nmの範囲内の平均粒子径を有することができる。なお、上記水酸基含有アクリル樹脂の平均粒子径は、測定温度20℃で、コールターカウンター法によって測定された値である。この測定は、例えば、「COULTER N4型」(商品名、ベックマン・コールター社製)を用いて行うことができる。
【0075】
得られる水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)の水分散体粒子の機械的安定性を向上させるために、水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)が有するカルボキシル基等の酸性基を中和剤により中和することが望ましい。該中和剤としては、酸性基を中和することができるものであれば特に制限はなく使用することができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア水等が挙げられ、これらの中和剤は、中和後の水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1’)の水分散液のpHが約6.5〜約9.0となるような量で用いることが望ましい。
【0076】
また、本発明の塗料組成物において、水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)は、形成塗膜のメタリックムラの発生抑制及びフリップフロップ性向上等の観点から、水酸基及びリン酸基を有するアクリル樹脂(A1−1’’)を含むことが好ましい。
【0077】
上記水酸基及びリン酸基を有するアクリル樹脂(A1−1’’)は、前記水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)及び前記リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(xvi)、ならびに必要に応じて配合されるその他の重合性不飽和モノマーからなるモノマー成分を、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等の方法により共重合せしめることによって製造することができる。なかでも、溶液重合法が好適である。
【0078】
上記水酸基及びリン酸基を有するアクリル樹脂(A1−1’’)において、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)、リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(xvi)及びその他の重合性不飽和モノマーの使用割合は、これらのモノマーの合計量を基準にして下記の範囲内とすることができる。
【0079】
水酸基含有重合性不飽和モノマー(a):1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%、
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(xvi):1〜70質量%、好ましくは10〜55質量%、さらに好ましくは20〜45質量%、
その他の重合性不飽和モノマー:0〜98質量%、好ましくは5〜85質量%、さらに好ましくは25〜70質量%。
【0080】
上記水酸基及びリン酸基を有するアクリル樹脂(A1−1’’)は、一般に15〜200mgKOH/g、特に20〜140mgKOH/g、さらに特に30〜100mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好適である。
【0081】
また、該水酸基及びリン酸基を有するアクリル樹脂(A1−1’’)は、一般に10〜200mgKOH/g、特に40〜170mgKOH/g、さらに特に60〜150mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好適である。
【0082】
さらに、該水酸基及びリン酸基を有するアクリル樹脂(A1−1’’)は、一般に2,000〜100,000、特に4,000〜50,000、さらに特に8,000〜30,000の範囲内の数平均分子量を有することが好適である。
【0083】
(水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2))
本発明の塗料組成物において、バインダー成分(A)の基体樹脂として、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)を使用することによって、得られる塗膜の平滑性を向上させることができる。
【0084】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)は、通常、酸成分とアルコール成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。
上記酸成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して、酸成分として通常使用される化合物を使用することができる。かかる酸成分としては、例えば、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸等を挙げることができる。
【0085】
上記脂肪族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該脂肪族化合物の酸無水物及び該脂肪族化合物のエステル化物である。脂肪族多塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;該脂肪族多価カルボン酸の無水物;該脂肪族多価カルボン酸の炭素数1〜6、好ましくは1〜4の低級アルキルエステル化物等が挙げられる。上記脂肪族多塩基酸はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。上記脂肪族多塩基酸としては、得られる塗膜の平滑性の観点から、アジピン酸及び/又はアジピン酸無水物を用いることが特に好ましい。
【0086】
上記脂環族多塩基酸は、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造と2個以上のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物及び該化合物のエステル化物である。脂環式構造は、主として4〜6員環構造であることができる。脂環族多塩基酸としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;該脂環族多価カルボン酸の無水物;該脂環族多価カルボン酸の炭素数1〜6、好ましくは1〜4の低級アルキルエステル化物等が挙げられる。上記脂環族多塩基酸はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。上記脂環族多塩基酸としては、得られる塗膜の平滑性の観点から、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物を用いることが好ましく、なかでも、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又は1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物を用いることがより好ましい。
【0087】
上記芳香族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物及び該芳香族化合物のエステル化物である。芳香族多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;該芳香族多価カルボン酸の無水物;該芳香族多価カルボン酸の炭素数1〜6、好ましくは1〜4の低級アルキルエステル化物等が挙げられる。上記芳香族多塩基酸はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。上記芳香族多塩基酸としては、なかでも、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸を使用することが好ましい。
【0088】
また、上記脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸及び芳香族多塩基酸以外の酸成分を使用することもできる。かかる酸成分としては、特に限定されず、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、10−フェニルオクタデカン酸等のモノカルボン酸;乳酸、3−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシ−4−エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。これらの酸成分は、それぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0089】
前記アルコール成分としては、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを好適に使用することができる。該多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ジメチロールプロピオン酸等の2価アルコール;これらの2価アルコールにε−カプロラクトン等のラクトン化合物を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のエステルジオール化合物;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール化合物;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、ソルビトール、マンニット等の3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε−カプロラクトン等のラクトン化合物を付加させたポリラクトンポリオール化合物;グリセリンの脂肪酸エステル化物等が挙げられる。
【0090】
また、上記多価アルコール以外のアルコール成分を使用することもできる。かかるアルコール成分としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等のモノアルコール;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、「カージュラE10」(商品名、Momentive Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)等のモノエポキシ化合物と酸を反応させて得られるアルコール化合物等が挙げられる。
【0091】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法に従って行なうことができる。例えば、前記酸成分とアルコール成分とを、窒素気流中、150〜250℃程度で、5〜10時間程度加熱し、該酸成分とアルコール成分のエステル化反応又はエステル交換反応を行なう方法により、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)を製造することができる。
【0092】
上記酸成分及びアルコール成分をエステル化反応又はエステル交換反応せしめる際には、反応容器中に、これらの成分を一度に添加してもよいし、一方又は両者を数回に分けて添加してもよい。また、まず、水酸基含有ポリエステル樹脂を合成した後、得られる水酸基含有ポリエステル樹脂に酸無水物を反応させてハーフエステル化させてカルボキシル基及び水酸基含有ポリエステル樹脂としてもよい。また、まず、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を合成した後、上記アルコール成分を付加させて水酸基含有ポリエステル樹脂を製造してもよい。
【0093】
前記エステル化又はエステル交換反応の際には、反応を促進させるための触媒として、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のそれ自体既知の触媒を使用することができる。
【0094】
また、前記水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)は、該樹脂の製造中又は製造後に、脂肪酸、モノエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物等で変性することができる。
【0095】
上記脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等が挙げられ、上記モノエポキシ化合物としては、例えば、「カージュラE10P」(商品名、Momentive Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)を好適に用いることができる。
【0096】
また、上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;リジントリイソシアネート等の3価以上のポリイソシアネート等の有機ポリイソシアネートそれ自体;これらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂、水等との付加物;これらの各有機ポリイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビウレット型付加物等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独でもしくは2種以上混合して使用することができる。
【0097】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)としては、得られる塗膜の平滑性及び耐水性に優れる観点から、原料の酸成分中の脂環族多塩基酸の含有量が、該酸成分の合計量を基準として20〜100mol%であるものが好ましく、25〜95mol%であるものがより好ましく、30〜90mol%であるものが更に好ましい。特に、上記脂環族多塩基酸が、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又は1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物であることが、得られる塗膜の平滑性の観点から、好ましい。
【0098】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、一般に1〜200mgKOH/g、特に2〜180mgKOH/g、さらに特に5〜170mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好適である。
【0099】
また、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)は、得られる塗膜の平滑性、耐水性等の観点から、一般に500〜50,000、特には1,000〜30,000、さらに特に1,200〜10,000の範囲内の数平均分子量を有することが好適である。
【0100】
本発明の塗料組成物が水性塗料である場合、上記水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)は、カルボキシル基を有することが好ましく、この場合、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)は、一般に5〜150mgKOH/g、特に10〜100mgKOH/g、さらに特に15〜80mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好適である。
【0101】
(水酸基含有ポリウレタン樹脂(A1−3))
本発明の塗料組成物において、バインダー成分(A)の基体樹脂として、水酸基含有ポリウレタン樹脂(A1−3)を使用することによって、得られる塗膜の耐チッピング性を向上させることができる。
【0102】
水酸基含有ポリウレタン樹脂(A1−3)としては、例えば、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート;ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール及びポリカーボネートジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種のジオール;低分子量ポリヒドロキシ化合物ならびにジメチロールアルカン酸を反応させてウレタンプレポリマーを作製し、これを第3級アミンで中和し、水中に乳化分散させた後、必要に応じてポリアミン等の鎖伸長剤、架橋剤及び/又は停止剤を含む水性媒体と混合して、イソシアネート基が実質的に無くなるまで反応させてなるものを挙げることができる。
上記方法により、通常、平均粒径が約0.001〜約3μmの水分散性水酸基含有ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
【0103】
本発明の塗料組成物は、バインダー成分(A)における基体樹脂として、水酸基含有樹脂(A1)以外に、実質的に水酸基を含有しない樹脂(以下、これを「水酸基不含樹脂」という。)(A2)を使用することもできる。
【0104】
<水酸基不含樹脂(A2)>
水酸基不含樹脂(A2)としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、得られる塗膜の耐チッピング性、耐水性等の観点から、なかでも、ポリウレタン樹脂が好適である。これらの樹脂は、例えば、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基を有していることができ、特に、カルボキシル基を有していることが好ましい。これらの樹脂はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができるが、通常、水酸基含有樹脂(A1)と組み合わせて使用することが好ましい。
【0105】
<硬化剤(A3)>
硬化剤(A3)は、水酸基含有樹脂(A1)中に存在する水酸基及び場合により存在しうるカルボキシル基、エポキシ基等の架橋性官能基と反応して、本発明の塗料組成物を硬化させ得る官能基含有化合物である。硬化剤(A3)としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、エポキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、得られる塗膜のメタリックムラの発生抑制、粒子感、フリップフロップ性向上、耐水性及び耐チッピング性等の観点から、水酸基と反応し得るアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物及びブロック化ポリイソシアネート化合物が好ましく、さらに、得られる塗料の貯蔵安定性の観点から、アミノ樹脂が特に好ましい。
【0106】
上記アミノ樹脂としては、アミノ成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分メチロール化アミノ樹脂又は完全メチロール化アミノ樹脂を使用することができる。アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等が挙げられる。アルデヒド成分としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0107】
上記メチロール化アミノ樹脂のメチロール基を適当なアルコールによって部分的に又は完全にエーテル化したものも使用することができる。エーテル化に用いうるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等が挙げられる。
【0108】
アミノ樹脂としてはメラミン樹脂が好ましい。特に、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコール及びブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂が好ましく、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂がより好ましい。
【0109】
なかでも、耐水性等に優れた塗膜が得られるという観点から、水酸基含有樹脂(A1)として、原料の酸成分中の脂肪族多塩基酸及び脂環族多塩基酸の合計含有量が、該酸成分の合計量を基準として30〜97mol%の範囲内にあり且つ芳香族多塩基酸の含有量が3〜70mol%の範囲内にある酸成分を用いて製造される水酸基含有ポリエステル樹脂を用い、且つ硬化剤(A3)として、上記メチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂及びメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂から選ばれる少なくとも1種のアルキルエーテル化メラミン樹脂を用いてなる塗料組成物が特に好適である。
【0110】
また、上記メラミン樹脂は、一般に400〜6,000、特に700〜4,000、さらに特に1,000〜3,000の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。
【0111】
メラミン樹脂としては市販品を使用でき、具体的には、例えば、「サイメル202」、「サイメル203」、「サイメル204」、「サイメル211」、「サイメル238」、「サイメル250」、「サイメル251」、「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル324」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル385」、「サイメル1156」、「サイメル1158」、「サイメル1116」、「サイメル1130」(以上、オルネクスジャパン社製、商品名)、「ユーバン120」、「ユーバン20HS」、「ユーバン20SE60」、「ユーバン2021」、「ユーバン2028」、「ユーバン28−60」(以上、三井化学社製、商品名)等が挙げられる。
【0112】
また、硬化剤(A3)としてメラミン樹脂を使用する場合、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸;モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、モノ2−エチルヘキシルリン酸、ジ2−エチルヘキシルリン酸等のアルキルリン酸エステル;これらの酸とアミンとの塩等を触媒として使用することができる。
【0113】
前記ポリイソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、該ポリイソシアネートの誘導体等が包含される。
【0114】
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル(慣用名:リジンジイソシアネート)等の脂肪族ジイソシアネート;2,6−ジイソシアナトヘキサン酸2−イソシアナトエチル、1,6−ジイソシアナト−3−イソシアナトメチルヘキサン、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン等の脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0115】
前記脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−もしくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)又はその混合物、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン等の脂環族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0116】
前記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−もしくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−もしくは1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)又はその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼン等の芳香脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0117】
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4’−もしくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート又はその混合物、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート又はその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン等の芳香族トリイソシアネート;4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の芳香族テトライソシアネート等を挙げることができる。
【0118】
前記ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDI等を挙げることができる。
【0119】
上記ポリイソシアネート及びその誘導体は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上併用してもよい。これらポリイソシアネートのうち、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及びこれらの誘導体をそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することが好適である。
【0120】
また、前記ポリイソシアネート化合物としては、上記ポリイソシアネート及びその誘導体と、多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂又は水とをイソシアネート基過剰の条件でウレタン化反応させてなるプレポリマーを使用することもできる。
【0121】
ポリイソシアネート化合物は、得られる塗膜の耐水性の観点から、該ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基と前記水酸基含有樹脂(A1)中の水酸基との当量比(NCO/OH)が通常0.5〜2.0、特に0.8〜1.5の範囲内となる割合で使用することが好ましい。
【0122】
前記ブロック化ポリイソシアネート化合物は、上記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、ブロック剤でブロックした化合物である。
【0123】
上記ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチル等のフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタム等のラクタム系;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール等の脂肪族アルコール系;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール等のエーテル系;ベンジルアルコール、グリコール酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアルコール系;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系;ブチルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミン等のアミン系;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素等の尿素系;N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイミン等のイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリ等の亜硫酸塩系;アゾール系の化合物等が挙げられる。上記アゾール系の化合物としては、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−フェニルピラゾール等のピラゾール又はピラゾール誘導体;イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール又はイミダゾール誘導体;2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ブロック剤としては、なかでも、オキシム系のブロック剤、活性メチレン系のブロック剤、ピラゾール又はピラゾール誘導体が好適である。
【0124】
また、上記ブロック剤として、1個以上のヒドロキシル基と1個以上のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸、例えば、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロールプロピオン酸等を使用することもできる。
【0125】
本発明の塗料組成物が水性塗料の場合、上記ヒドロキシカルボン酸を用いてイソシアネート基をブロックした後、該ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基を中和して水分散性を付与したブロック化ポリイソシアネート化合物を好適に用いることができる。
【0126】
また、水酸基含有樹脂(A1)及び/又は水酸基不含樹脂(A2)が、カルボキシル基、エポキシ基等の架橋性官能基を有する場合、硬化剤(A3)として、該官能基と反応し得る架橋性官能基を有する硬化剤を使用することができる。
【0127】
このような硬化剤としては、例えば、上記架橋性官能基と反応し得る、エポキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物等が挙げられ、なかでも、カルボキシル基と反応し得るポリカルボジイミド化合物が好ましい。
【0128】
ポリカルボジイミド化合物は、1分子中に少なくとも2個のカルボジイミド基を有する化合物であり、例えば、イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基同士を脱二酸化炭素反応せしめたものを使用することができる。
【0129】
本発明の塗料組成物が水性塗料の場合、得られる塗膜の平滑性等の観点から、上記ポリカルボジイミド化合物としては、水溶性又は水分散性のポリカルボジイミド化合物を使用することが好ましい。該水溶性又は水分散性のポリカルボジイミド化合物としては、水性媒体中に安定に溶解又は分散し得るポリカルボジイミド化合物であれば、特に制限なく使用することができる。
【0130】
上記水溶性ポリカルボジイミド化合物としては、具体的には、例えば、「カルボジライトSV−02」、「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」「カルボジライトV−04」(商品名、いずれも日清紡社製)等の市販品を使用することができる。また、上記水分散性ポリカルボジイミド化合物としては、例えば、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」(商品名、いずれも日清紡社製)等の市販品を使用することができる。
上記ポリカルボジイミド化合物は、それぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0131】
本発明の塗料組成物における水酸基含有樹脂(A1)と硬化剤(A3)との使用割合は、塗膜の付着性及び耐チッピング性の向上の観点から、両者の合計量に基づいて、水酸基含有樹脂(A1)は一般に30〜95質量%、特に50〜90質量%、さらに特に60〜80質量%の範囲内、そして硬化剤(A3)は一般に5〜70質量%、特に10〜50質量%、さらに特に20〜40質量%の範囲内であることが好ましい。
【0132】
水酸基含有樹脂(A1)がその少なくとも一部分として水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)を含有する場合、本発明の塗料組成物における水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)の含有量は、水酸基含有樹脂(A1)及び硬化剤(A3)の合計量に基づいて、一般に2〜80質量%、特に10〜60質量%、さらに特に20〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
【0133】
水酸基含有樹脂(A1)がその少なくとも一部分として水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)を含有する場合、本発明の塗料組成物における水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)の含有量は、水酸基含有樹脂(A1)及び硬化剤(A3)の合計量に基づいて、一般に2〜80質量%、特に5〜60質量%、さらに特に10〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
【0134】
水酸基含有樹脂(A1)がその少なくとも一部分として水酸基含有ポリウレタン樹脂(A1−3)を含有する場合、本発明の塗料組成物における水酸基含有ポリウレタン樹脂(A1−3)の含有量は、水酸基含有樹脂(A1)及び硬化剤(A3)の合計量に基づいて、一般に1〜80質量%、特に3〜60質量%、さらに特に5〜40質量%の範囲内であることが好ましい。
【0135】
〔鱗片状アルミニウム顔料(B)〕
本発明で用いる鱗片状アルミニウム顔料(B)は、平均粒子径(d50)が18〜25μmの範囲内の鱗片状アルミニウム顔料である。平均粒子径(d50)が18μm以上であると、粒子感が高い塗膜が形成され、平均粒子径(d50)が25μm以下であると、メタリックムラの発生が抑制され、鮮映性に優れた塗膜が形成されるからである。
【0136】
また、形成される塗膜の粒子感、メタリックムラの発生抑制及び鮮映性の観点から、鱗片状アルミニウム顔料(B)の平均粒子径(d50)は、好ましくは18〜23μm、より好ましくは19〜21μmの範囲内である。
【0137】
なお、平均粒子径(d50)は、マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。
【0138】
また、上記鱗片状アルミニウム顔料(B)として、2種以上の鱗片状アルミニウム顔料(B)を使用する場合、該鱗片状アルミニウム顔料(B)の平均粒子径(d50)は、下記式により算出される値である。
d50=W1×d1+W2×d2+・・・Wn×dn
式中、W1、W2、・・・Wnは各鱗片状アルミニウム顔料(B)の質量分率であり、d1、d2・・・dnは各鱗片状アルミニウム顔料(B)の平均粒子径(d50)である。
【0139】
本発明で用いる鱗片状アルミニウム顔料(B)としては、例えば、アルミニウムをボールミル又はアトライターミル中で粉砕媒液の存在下、粉砕助剤を用いて粉砕、摩砕して製造されるミリングタイプの鱗片状アルミニウム顔料(B)が挙げられる。
【0140】
ミリングタイプの鱗片状アルミニウム顔料(B)の製造工程における粉砕助剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸のほか、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコールが使用される。粉砕媒液としてはミネラルスピリットなどの脂肪族系炭化水素が使用される。
【0141】
また、ミリングタイプの鱗片状アルミニウム顔料(B)は、粉砕助剤の種類によって、リーフィングタイプとノンリーフィングタイプに大別することができる。
リーフィングタイプは、塗料組成物に配合すると塗装して得られた塗膜の表面に配列(リーフィング)し、金属感の強い仕上がりが得られ、熱反射作用を有し、防錆力を発揮するものであるため、タンク・ダクト・配管類、屋上ルーフィング等の工場設備、各種建築材料などに利用されることが多い。
【0142】
本発明に用いる鱗片状アルミニウム顔料(B)としては、リーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料(B)を使用可能であるが、その場合には、その配合量にもよるが、塗膜形成過程において、粉砕助剤の表面張力の効果によって、塗膜表面に配向するため、上層のクリヤー塗膜との付着性に注意が必要である。
この点から、ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料(B)を使用することが好ましい。
【0143】
ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料(B)としては、表面を特に処理していないものも使用できるが、表面を樹脂で被覆せしめたもの、シリカ処理を施したもの及びリン酸やモリブデン酸、タングステン酸、シランカップリング剤等で表面を処理したものを使用することができる。以上の各種表面処理の中から一種の処理をせしめたものを使用することができるが、複数種類の処理をせしめたものを使用してもよい。
【0144】
また、鱗片状アルミニウム顔料(B)としては、鱗片状着色アルミニウム顔料を使用してもよい。該鱗片状着色アルミニウム顔料としては、例えば、鱗片状アルミニウム顔料(B)表面に着色顔料を被覆してさらに樹脂被覆せしめたものや、鱗片状アルミニウム顔料(B)表面に酸化鉄等の金属酸化物を被覆したもの等が挙げられる。
【0145】
本発明において、鱗片状アルミニウム顔料(B)としては、形成される塗膜のフリップフロップ性向上及び粒子感向上の観点から、未着色の鱗片状アルミニウム顔料(B1)を含有することが好ましい。
【0146】
鱗片状アルミニウム顔料(B)として、上記未着色の鱗片状アルミニウム顔料(B1)を使用する場合、該未着色の鱗片状アルミニウム顔料(B1)の含有割合は、本塗料組成物中の鱗片状アルミニウム顔料(B)を基準として、60〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%の範囲内であることが好適である。
【0147】
鱗片状アルミニウム顔料(B)の平均厚さは0.10〜0.80μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.75μm、さらに好ましくは0.30〜0.70μmの範囲内である。
鱗片状アルミニウム顔料(B)の平均厚さが0.10μm以上であると、塗料撹拌時に該鱗片状アルミニウム顔料(B)の変形及び破損が生じにくく、当該平均厚さが0.80μm以下であると、フリップフロップ性に優れた塗膜が形成されるため好ましい。
【0148】
なお、上記鱗片状アルミニウム顔料(B)の平均厚さは、水面拡散面積法(水面拡散面積=Scm/gとすると、平均厚さ=4000/Sμm)により測定することができる。
【0149】
また、上記鱗片状アルミニウム顔料(B)として、2種以上の鱗片状アルミニウム顔料(B)を使用する場合、該鱗片状アルミニウム顔料(B)の平均厚さは、下記式により算出される値である。
平均厚さ=W1×t1+W2×t2+・・・Wn×tn
式中、W1、W2、・・・Wnは各鱗片状アルミニウム顔料(B)の質量分率であり、t1、t2・・・tnは各鱗片状アルミニウム顔料(B)の平均厚さである。
【0150】
鱗片状アルミニウム顔料(B)の含有量は、前記バインダー成分(A)100質量部を基準として、10〜50質量部の範囲内である。含有量が10質量部以上であると、メタリックムラの発生が抑制され、フリップフロップ性に優れた塗膜が形成され、含有量が50質量部以下であると、メタリックムラの発生が抑制され、鮮映性に優れた塗膜が形成されるからである。
【0151】
また、形成される塗膜の粒子感、フリップフロップ性、メタリックムラの発生抑制及び鮮映性の観点から、鱗片状アルミニウム顔料(B)の含有量は、前記バインダー成分(A)100質量部を基準として、好ましくは12〜40質量部、より好ましくは15〜30質量部の範囲内である。
【0152】
〔鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)〕
本発明で用いる鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)は、平均粒子径(d50)が8〜30μmの範囲内である、鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料である。平均粒子径(d50)が8μm以上であると、メタリックムラの発生が抑制された塗膜が形成され、平均粒子径(d50)が30μm以下であると、メタリックムラの発生が抑制され、鮮映性に優れた塗膜が形成されるからである。
【0153】
また、形成される塗膜のメタリックムラの発生抑制及び鮮映性向上の観点から、鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の平均粒子径(d50)は、好ましくは10〜27μm、より好ましくは12〜24μmの範囲内である。
なお、平均粒子径(d50)は、マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。
【0154】
また、上記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)として、2種以上の鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)を使用する場合、該鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の平均粒子径(d50)は、上述した2種以上の鱗片状アルミニウム顔料(B)を使用する場合の平均粒子径(d50)の算出方法に準じて算出することができる。
【0155】
上記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)としては、例えば、天然雲母、合成雲母、ガラス、酸化鉄、酸化アルミニウムや各種金属酸化物等の透明又は半透明な鱗片状基材の表面に、該基材とは屈折率が異なる金属酸化物が被覆された鱗片状顔料を使用することができる。上記金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄等を挙げることができる。
【0156】
該鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)としては具体的には、下記に示す金属酸化物被覆雲母顔料、金属酸化物被覆酸化アルミニウム顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料等を挙げることができる。
【0157】
金属酸化物被覆雲母顔料は、天然雲母又は合成雲母を基材とし、該基材表面を金属酸化物が被覆した顔料である。天然雲母とは、鉱石の雲母を粉砕した鱗片状基材である。合成雲母とは、SiO、MgO、Al、KSiF、NaSiF等の工業原料を加熱し、約1500℃の高温で熔融し、冷却して結晶化させて合成したものであり、天然の雲母と比較した場合において、不純物が少なく、大きさや厚さが均一であり、白色度が高いものである。合成雲母の基材としては具体的には、フッ素金雲母(KMgAlSi10)、カリウム四ケイ素雲母(KMg2.5AlSi10)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg2.5AlSi10)、Naテニオライト(NaMgLiSi10F)、LiNaテニオライト(LiMgLiSi10)等が知られている。上記金属酸化物被覆雲母顔料としては、基材として合成雲母を用いる金属酸化物被覆合成雲母顔料を使用することが好ましい。
【0158】
金属酸化物被覆雲母顔料としては、例えば、酸化チタン被覆雲母顔料、酸化鉄被覆雲母顔料、酸化チタン及び酸化鉄被覆雲母顔料、低次酸化チタン被覆雲母顔料等が挙げられる。なお、本明細書において、低次酸化チタンとは、一般式TiO(x=1〜1.99)で表されるものである。
【0159】
上記金属酸化物被覆雲母顔料としては、市販品を使用することができる。該金属酸化物被覆雲母顔料のうち、前記酸化チタン被覆雲母顔料の市販品としては、例えば、「TWINCLE PEARL SXA」、「TWINCLE PEARL SXB」、「TWINCLE PEARL SXD」、「TWINCLE PEARL SXC−SO」、「TWINCLE PEARL SXB−SO」、「TWINCLE PEARL SXD−SO」(以上、日本光研工業社製)、「Lumina Exterior Pearl Radiance 1303D」、「Lumina Pearl Radiance 1303D MND」、「Magnapearl Exterior CFS 1103」(以上、BASF社製)、「IRIODIN 111WNT」(MERCK社製)等が挙げられる。
【0160】
また、前記酸化鉄被覆雲母顔料の市販品としては、例えば、「IRIODIN 504WNT」(MERCK社製)等が挙げられる。
【0161】
また、前記酸化チタン及び酸化鉄被覆雲母顔料の市販品としては、例えば、「IRIODIN 602WNT」(MERCK社製)等が挙げられる。
【0162】
金属酸化物被覆酸化アルミニウム顔料は、酸化アルミニウムを基材とし、基材表面を金属酸化物が被覆した顔料である。なお、酸化アルミニウムは、他の金属の酸化物を含有するものであってもよい。
【0163】
金属酸化物被覆酸化アルミニウム顔料としては、例えば、酸化チタン被覆酸化アルミニウム顔料、酸化鉄被覆酸化アルミニウム顔料、酸化チタン及び酸化鉄被覆酸化アルミニウム顔料等が挙げられる。
【0164】
上記金属酸化物被覆酸化アルミニウム顔料としては、市販品を使用することができる。該金属酸化物被覆酸化アルミニウム顔料のうち、前記酸化チタン被覆酸化アルミニウム顔料の市販品としては、例えば、「Xirallic T60−10 SW Crystal Silver」(MERCK社製)等が挙げられる。
【0165】
また、前記酸化鉄被覆酸化アルミニウム顔料の市販品としては、例えば、「Xirallic F60−50 SW Fireside Copper」、「Xirallic F60−51 SW Radiant Red」(MERCK社製)等が挙げられる。
【0166】
また、前記酸化チタン及び酸化鉄被覆酸化アルミニウム顔料の市販品としては、例えば、「Xirallic NXT M260−60 WNT Panthera Silver」(MERCK社製)等が挙げられる。
【0167】
金属酸化物被覆シリカフレーク顔料は、鱗片状シリカを金属酸化物が被覆した顔料である。
金属酸化物被覆シリカフレーク顔料としては、例えば、酸化チタン被覆シリカフレーク顔料、酸化鉄被覆シリカフレーク顔料等が挙げられる。
【0168】
これらの中でも、メタリックムラの発生を抑制する観点から、酸化チタン被覆雲母顔料、酸化チタン及び酸化鉄被覆雲母顔料、酸化チタン被覆酸化アルミニウム顔料、酸化チタン及び酸化鉄被覆酸化アルミニウム顔料が好ましく、酸化チタン被覆雲母顔料、酸化チタン被覆酸化アルミニウム顔料がより好ましく、酸化チタン被覆雲母顔料が特に好ましい。
【0169】
本発明において、上記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)としては、形成される塗膜のメタリックムラの発生抑制の観点から、銀色の干渉色を有する鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C1)を含有することが好ましい。該銀色の干渉色を有する鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C1)は、例えば、前記鱗片状基材の表面に被覆される、該基材とは屈折率が異なる金属酸化物の厚さを調整することにより得ることができる。
【0170】
なかでも、形成される塗膜のフリップフロップ性及び粒子感の向上ならびにメタリックムラの発生抑制の観点から、前記鱗片状アルミニウム顔料(B)として、前記未着色の鱗片状アルミニウム顔料(B1)を使用し、かつ、上記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)として、上記銀色の干渉色を有する鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C1)を使用することが好ましい。
【0171】
上記銀色の干渉色を有する鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C1)としては市販品を使用することができる。該市販品としては、例えば、「TWINCLE PEARL SXA」、「TWINCLE PEARL SXB」、「TWINCLE PEARL SXD」、「TWINCLE PEARL SXC−SO」、「TWINCLE PEARL SXB−SO」、「TWINCLE PEARL SXD−SO」(以上、日本光研工業社製)、「Lumina Exterior Pearl Radiance 1303D」、「Lumina Pearl Radiance 1303D MND」、「Magnapearl Exterior CFS 1103」(以上、BASF社製)、「IRIODIN 111WNT」(MERCK社製)等の酸化チタン被覆雲母顔料;「Xirallic T60−10 SW Crystal Silver」(MERCK社製)等の酸化チタン被覆酸化アルミニウム顔料等が挙げられる。
【0172】
鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)として、上記銀色の干渉色を有する鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C1)を使用する場合、該銀色の干渉色を有する鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C1)の含有割合は、本塗料組成物中の鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)を基準として、60〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%の範囲内であることが好適である。
【0173】
上記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)は、分散性や耐水性、耐薬品性、耐候性等を向上させるための表面処理が施されたものであってもよい。
【0174】
鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の平均厚さは0.20〜0.60μmの範囲内のものを使用することが好ましく、より好ましくは0.25〜0.50μm、さらに好ましくは0.27〜0.45μmの範囲内である。
鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の平均厚さが0.20μm以上であると、塗料撹拌時に該鱗片状顔料(C)の変形及び破損が生じにくく、当該平均厚さが0.60μm以下であると、形成される塗膜のメタリックムラの発生が抑制されるため好ましい。
【0175】
なお、平均厚さは、該鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)を含む塗膜断面を顕微鏡にて観察して厚さを画像処理ソフトを使用して測定し、100個以上の測定値の平均値として定義するものとする。
【0176】
また、上記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)として、2種以上の鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)を使用する場合、該鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の平均厚さは、上述した2種以上の鱗片状アルミニウム顔料(B)を使用する場合の平均厚さの算出方法に準じて算出することができる。
【0177】
鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の含有量は、前記バインダー成分(A)100質量部を基準として、0.5〜10質量部の範囲内である。含有量が0.5質量部以上であると、形成される塗膜のメタリックムラの発生が抑制され、含有量が10質量部以下であると、フリップフロップ性及び鮮映性に優れた塗膜が形成されるからである。
【0178】
また、形成される塗膜のメタリックムラの発生抑制ならびにフリップフロップ性及び鮮映性向上の観点から、鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の含有量は、前記バインダー成分(A)100質量部を基準として、好ましくは1.0〜8.0質量部、より好ましくは1.5〜6.0質量部の範囲内である。
【0179】
また、鱗片状アルミニウム顔料(B)及び鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の含有割合(B)/(C)は、固形分質量比で2.0/1〜50.0/1の範囲内である。
該固形分質量比が2.0/1以上であると、形成される塗膜のフリップフロップ性が高くなり、該固形分質量比が50.0/1以下であると、形成される塗膜のメタリックムラの発生が抑制されるからである。
【0180】
該質量比は、形成される塗膜のフリップフロップ性向上及びメタリックムラの発生抑制の観点から、好ましくは3.0/1〜20.0/1、より好ましくは4.0/1〜15.0/1、さらに特に好ましくは5.1/1〜10.0/1である。
【0181】
〔その他の成分(D)〕
本発明の塗料組成物は、得られる塗膜の平滑性向上の観点から、さらに、疎水性溶媒を含有することが好ましい。
【0182】
疎水性溶媒としては、20℃における100gの水に対する溶解質量が10g以下、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下の有機溶媒を用いることが望ましい。かかる有機溶媒としては、例えば、ゴム揮発油、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の炭化水素系溶媒;1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のアルコール系溶媒;酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸メチルアミル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル等のエステル系溶媒;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルn−アミルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒を挙げることができる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0183】
疎水性溶媒としては、得られる塗膜の平滑性の観点から、アルコール系疎水性溶媒を用いることが好ましい。なかでも、炭素数7〜14のアルコール系疎水性溶媒が好ましく、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコール系疎水性溶媒がさらに好ましい。
【0184】
本発明の塗料組成物が疎水性溶媒を含有する場合、疎水性溶媒の含有量は、バインダー成分(A)100質量部を基準として、通常10〜100質量部であり、特に20〜80質量部、さらに特に30〜60質量部の範囲内であることが好適である。
【0185】
本発明の塗料組成物は、さらに必要に応じて、着色顔料、体質顔料、増粘剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の塗料用添加剤を、それぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて含有することができる。
【0186】
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、タルク、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、等が挙げられる。
【0187】
増粘剤としては、例えば、ケイ酸塩、金属ケイ酸塩、モンモリロナイト、コロイド状アルミナ等の無機系増粘剤;(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、ポリアクリル酸ソーダ等のポリアクリル酸系増粘剤;1分子中に親水性部分と疎水性部分を有し、水性媒体中において、該疎水性部分が塗料中の顔料やエマルション粒子の表面に吸着したり、該疎水性部分同士が会合したりすることにより効果的に増粘作用を示す会合型増粘剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタル等の繊維素誘導体系増粘剤;カゼイン、カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質系増粘剤;アルギン酸ソーダ等のアルギン酸系増粘剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルベンジルエーテル共重合体等のポリビニル系増粘剤;プルロニックポリエーテル、ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルエポキシ変性物等のポリエーテル系増粘剤;ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体の部分エステル等の無水マレイン酸共重合体系増粘剤;ポリアマイドアミン塩等のポリアマイド系増粘剤等が挙げられる。
これらの増粘剤はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記増粘剤としては、特にポリアクリル酸系増粘剤及び/又は会合型増粘剤が好適である。
【0188】
硬化触媒としては、例えば、有機金属化合物、酸化合物、塩基化合物等を挙げることができる。
該有機金属化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、酢酸リチウム、アセチルアセトン鉄(III)、2−エチルヘキサン酸亜鉛、酢酸銅、三塩化バナジウム、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、テトラブチル錫、ジブチル錫オキシド、テトラ−n−ブチル−1,3−ジアセチルオキシジスタノキサン、テトラ−n−プロピル−1,3−ジアセチルオキシジスタノキサン、テトラ−n−ブチル−1,3−ジラウリルオキシジスタノキサン等の金属触媒を挙げることができ、特に、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジスタノキサン類等の有機錫系化合物が好ましい。さらに、低温焼き付けが要求される場合には、ジブチル錫ジアセテートが好適に用いられる。
【0189】
該酸化合物としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ブチルリン酸、オクチルリン酸などを挙げることができ、これらの酸のアミン中和物なども好適に用いられる。
該塩基化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、N−ペンタメチルジエチレントリアミン、2−メチル−1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン等の化合物を挙げることができる。
【0190】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等を挙げることができる。
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
【0191】
なお、本発明の塗料組成物は、一般に1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは15〜35質量%、さらに特に好ましくは20〜30質量%の範囲内の固形分を有することが好適である。
【0192】
[塗料組成物の製造方法]
本発明の塗料組成物は、以上に述べた各種成分を、通常の塗料化手段により、溶媒中に混合することにより調製することができる。上記溶媒としては、例えば、有機溶剤、水等を使用することができる。
有機溶剤としては、例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン、オクタン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶剤;コスモ石油社製のスワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500等の芳香族石油系溶剤等を挙げることができる。
【0193】
[塗装物品]
本発明の塗装物品は、本発明の塗料組成物を硬化させた硬化塗膜を被塗物上に有することを特徴とする。
該硬化塗膜は、本発明の塗料組成物を被塗物に塗装することによりウェット塗膜(未硬化の塗膜)を形成した後、該ウェット塗膜を硬化させることにより得ることができる。
【0194】
被塗物としては、特に限定されるものではなく、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バスなどの自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器などの家庭電気製品の外板部などを挙げることができる。これらのうち、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
【0195】
これらの被塗物の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、合金化亜鉛(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼などの金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂類や各種のFRPなどのプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリートなどの無機材料;木材;紙、布等の繊維材料等を挙げることができる。これらのうち、金属材料及びプラスチック材料が好ましい。
【0196】
上記被塗物は、上記金属材料やそれから成形された車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理などの表面処理が施されたものであってもよい。さらに、該被塗物は、該金属表面に、各種電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。
【0197】
本発明の塗料組成物の塗装方法としては、特に限定されず、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などが挙げられ、これらの塗装方法でウェット塗膜を形成することができる。これらのうち、エアスプレー塗装、回転霧化塗装等の方法が好ましい。塗装に際して、必要に応じて、静電印加してもよい。
【0198】
本発明の塗料組成物の塗布量は、硬化膜厚として、通常、0.5〜50μm程度、好ましくは2〜40μm程度、さらに好ましくは5〜30μm程度、さらに特に好ましくは8〜18μm程度となる量であることが好ましい。
【0199】
ウェット塗膜の硬化は、被塗物に本発明の塗料組成物を塗装後、加熱することにより行うことができる。加熱は、公知の加熱手段により行うことができる。例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を使用することができる。加熱温度は、60〜180℃程度が好ましく、90〜170℃程度がより好ましく、110〜160℃程度が更に好ましい。加熱時間は、特に制限されるものではないが、通常、10〜60分間程度が好ましく、20〜40分間程度がより好ましい。
【0200】
本発明の塗料組成物の塗装後、上記加熱硬化を行なう前に、ワキ等の塗膜欠陥の発生を防止する観点から、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート、エアブロー等を行うことが好ましい。プレヒートの温度は、40〜100℃程度が好ましく、50〜90℃程度がより好ましく、60〜80℃程度が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間程度が好ましく、1〜10分間程度がより好ましく、2〜5分間程度が更に好ましい。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に、常温又は25℃〜80℃程度の温度に加熱された空気を、30秒間〜15分間程度吹き付けることにより行うことができる。
【0201】
また、本発明の塗料組成物は、上述のとおり、前記鱗片状アルミニウム顔料(B)を、前記バインダー成分(A)100質量部を基準として10〜50質量部含有する。
すなわち、本発明の塗料組成物は、前記鱗片状アルミニウム顔料(B)を比較的多量に含有し、かつ該鱗片状アルミニウム顔料(B)を主たる顔料成分とするため、フリップフロップ性が高く光輝感に優れた塗膜を形成することができる。
【0202】
本発明の塗料組成物によって形成される硬化塗膜の膜厚15μmにおけるフリップフロップ値は、2.0〜30.0の範囲内であることが好ましい。
当該フリップフロップ値は、2.5以上がより好ましく、3.5以上がさらに好ましく、4.0以上が特に好ましい。また、当該フリップフロップ値は、15.0以下がより好ましく、11.0以下がさらに好ましく、6.0以下が特に好ましい。
【0203】
なお、本明細書において、フリップフロップ値(以下、FF値と称することがある。)とは、観察角度(受光角度)が変化した時の反射光強度の変化度合をいう。FF値は、多角度分光光度計(商品名「MA−68II」、x−Rite社製)を使用して、受光角15度のL値(L15値)及び受光角75度のL値(L75値)を測定し、下記式によって算出される。なお、上記受光角15度のL値(L15値)は、具体的には、測定対象面に垂直な軸に対し45°の角度から測定光を照射し、正反射角から測定光の方向に15°の角度で受光した光についてのL値であり、上記受光角75度のL値(L75値)は、同様に測定光を照射し、正反射角から測定光の方向に75°の角度で受光した光についてのL値である。
FF値=L15値/L75値
FF値が大きいほど、観察角度(受光角)によるL値(明度)の変化が大きく、フリップフロップ性に優れていることを示す。
【0204】
また、前記硬化塗膜の膜厚15μmにおける粒状性値(G値)(BYKガードナー社製、BYK−macにて測定)は、5.0以上であることが好ましく、より好ましくは5.0〜10.0であり、さらに好ましくは6.0〜10.0であり、さらに特に好ましくは7.0〜10.0である。
粒状性値(G値)が5.0以上であると粒子感が高く、粒状性値(G値)が10.0以下であるとメタリックムラの発生が抑制され、鮮映性に優れるため好ましい。
【0205】
[複層塗膜形成方法]
本発明の塗料組成物は、ベースコート塗膜及びクリヤーコート塗膜からなる複層塗膜を、2コート1ベーク方式で前述の被塗物に形成する場合に、該ベースコート塗膜形成用として用いることができる。この場合の塗膜形成方法は、下記方法Iに従って、行うことができる。
【0206】
<方法I>
(1)被塗物に、本発明の塗料組成物を塗装して未硬化のベースコート塗膜を形成する工程、
(2)前記未硬化のベースコート塗膜上に、クリヤーコート塗料組成物(Y)を塗装して未硬化のクリヤーコート塗膜を形成する工程、並びに
(3)前記未硬化のベースコート塗膜及び前記未硬化のクリヤーコート塗膜を加熱して、両塗膜を同時に硬化させる工程
を含む複層塗膜形成方法。
【0207】
上記方法Iにおける被塗物は、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されている自動車車体等が好ましい。また、上記未硬化の塗膜には、指触乾燥状態の塗膜及び半硬化乾燥状態の塗膜が含まれる。
【0208】
本発明の塗料組成物を、方法Iの2コート1ベーク方式で塗装する場合、その塗装膜厚は、硬化膜厚として、0.5〜50μm程度、好ましくは2〜40μm程度、さらに好ましくは5〜30μm程度、さらに特に好ましくは8〜18μm程度である。
【0209】
また、上記未硬化のベースコート塗膜は、通常1種類のベースコート塗料組成物を使用して形成するが、2種以上のベースコート塗料組成物を使用して形成することもできる。その場合、少なくとも最上層のベースコート塗膜を形成するベースコート塗料組成物として本発明の塗料組成物を使用することができる。
なお、2種以上のベースコート塗料組成物を使用する場合は、2種のベースコート塗料組成物を使用することが好ましい。
【0210】
具体的には、例えば、本発明の塗料組成物を用いてもよい第1ベースコート塗料を被塗物に塗装して第1ベースコート塗膜を形成した後、該第1ベースコート塗膜上に本発明の塗料組成物を用いた第2ベースコート塗料を塗装して第2ベースコート塗膜を形成することができる。
【0211】
この場合、形成される塗膜のフリップフロップ性の観点から、上記第1ベースコート塗膜は、硬化膜厚として、5〜15μm、好ましくは7〜13μmであることが好適であり、また、上記第2ベースコート塗膜は、硬化膜厚として、0.5〜8μm、好ましくは1〜8μm、より好ましくは2〜6μmの範囲内であることが好適である。
【0212】
また、上記クリヤーコート塗料組成物(Y)の塗装膜厚は、硬化膜厚として、10〜80μm程度が好ましく、15〜60μm程度がより好ましい。
【0213】
また、方法Iにおいて、本発明の塗料組成物の塗装後は、ワキ等の塗膜欠陥の発生を防止する観点から、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート、エアブロー等を行うことが好ましい。プレヒートの温度は、40〜100℃程度が好ましく、50〜90℃程度がより好ましく、60〜80℃程度が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間程度が好ましく、1〜10分間程度がより好ましく、2〜5分間程度が更に好ましい。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に、常温又は25℃〜80℃程度の温度に加熱された空気を、30秒間〜15分間程度吹き付けることにより行うことができる。また、上記クリヤーコート塗料組成物(Y)の塗装後は、必要に応じて、室温で1〜60分間程度のインターバルをおいたり、40〜80℃程度で1〜60分間程度プレヒートしたりすることができる。
【0214】
塗膜の硬化は、前述の公知の加熱手段により行うことができる。加熱温度は、60〜180℃程度が好ましく、90〜170℃程度がより好ましく、110〜160℃程度が更に好ましい。また、加熱時間は、10〜60分間程度が好ましく、20〜40分間程度がより好ましい。この加熱により、ベースコート塗膜及びクリヤーコート塗膜の両塗膜を同時に硬化させることできる。
【0215】
また、本発明の塗料組成物は、中塗り塗膜、ベースコート塗膜及びクリヤーコート塗膜からなる複層塗膜を、3コート1ベーク方式で自動車車体等の被塗物に形成する場合に、該ベースコート形成用として、好適に用いることができる。この場合の塗膜形成方法は、下記方法IIに従って、行うことができる。
【0216】
<方法II>
(1)被塗物に、中塗り塗料組成物を塗装して未硬化の中塗り塗膜を形成する工程、
(2)前記未硬化の中塗り塗膜上に、本発明の塗料組成物を塗装して未硬化のベースコート塗膜を形成する工程、
(3)前記未硬化のベースコート塗膜上に、クリヤーコート塗料組成物(Y)を塗装して未硬化のクリヤーコート塗膜を形成する工程、並びに
(4)前記未硬化の中塗り塗膜、未硬化のベースコート塗膜及び未硬化のクリヤーコート塗膜を加熱して、同時に硬化させる工程
を含む複層塗膜形成方法。
【0217】
上記方法IIは、未硬化の中塗り塗膜上に、前記方法Iの塗膜形成方法を行うものである。方法IIにおける被塗物としては、下塗り塗膜を形成した自動車車体等が好ましい。上記下塗り塗膜は電着塗料によって形成されることが好ましく、カチオン電着塗料によって形成されることがさらに好ましい。
【0218】
方法IIにおいて、中塗り塗料組成物の塗装膜厚は、通常、硬化膜厚で10〜60μm程度が好ましく、20〜40μm程度とするのがより好ましい。また、本発明の塗料組成物の塗装膜厚は、硬化膜厚として、0.5〜50μm程度、好ましくは2〜40μm程度、さらに好ましくは5〜30μm程度、さらに特に好ましくは8〜18μm程度が更に好ましい。また、クリヤーコート塗料組成物(Y)の塗装膜厚は、通常、硬化膜厚で10〜80μm程度が好ましく、15〜60μm程度とするのがより好ましい。
【0219】
また、方法IIにおいて、中塗り塗料組成物として塗料を用いた場合には、該塗料塗装後に、プレヒートを行うことが好ましい。プレヒートの温度は、室温〜100℃程度が好ましく、40〜90℃程度がより好ましく、60〜80℃程度が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間程度が好ましく、1〜10分間程度がより好ましく、2〜5分間程度が更に好ましい。
【0220】
また、本発明の塗料組成物塗装後に、プレヒートを行うことが好ましい。プレヒートの温度は、室温〜100℃程度が好ましく、40〜90℃程度がより好ましく、60〜80℃程度が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間程度が好ましく、1〜10分間程度がより好ましく、2〜5分間程度が更に好ましい。
【0221】
また、方法IIにおいても、上記未硬化のベースコート塗膜は、通常1種類のベースコート塗料組成物を使用して形成するが、2種以上のベースコート塗料組成物を使用して形成することもできる。その場合、少なくとも最上層のベースコート塗膜を形成するベースコート塗料組成物として本発明の塗料組成物を使用することができる。
なお、2種以上のベースコート塗料組成物を使用する場合は、2種のベースコート塗料組成物を使用することが好ましい。
【0222】
上記クリヤーコート塗料組成物(Y)の塗装後は、必要に応じて、室温で1〜60分間程度のインターバルをおいたり、40〜80℃程度で1〜60分間程度プレヒートしたりすることができる。
【0223】
未硬化の中塗り塗膜、未硬化のベースコート塗膜及び未硬化のクリヤーコート塗膜の3層塗膜の硬化は、前述の公知の加熱手段により行うことができる。加熱温度は、60〜180℃程度が好ましく、90〜170℃程度がより好ましく、110〜160℃程度が更に好ましい。また、加熱時間は、10〜60分間程度が好ましく、20〜40分間程度がより好ましい。この加熱により、中塗り塗膜、ベースコート塗膜及びクリヤーコート塗膜の三層塗膜を同時に硬化させることできる。
【0224】
上記方法I及びIIで用いられるクリヤーコート塗料組成物(Y)としては、自動車車体等の塗装用として公知の熱硬化性クリヤーコート塗料組成物をいずれも使用できる。例えば、架橋性官能基を有する基体樹脂や、架橋剤を含有する有機溶剤型熱硬化性塗料組成物、水性熱硬化性塗料組成物、粉体熱硬化性塗料組成物等を挙げることができる。
【0225】
上記基体樹脂が有する架橋性官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、シラノール基等を挙げることができる。基体樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などを挙げることができる。架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、カルボキシル基含有化合物、カルボキシル基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、エポキシ基含有化合物などを挙げることができる。
【0226】
また、上記クリヤーコート塗料としては、一液型塗料であってもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等の多液型塗料であってもよい。
【0227】
また、上記クリヤーコート塗料組成物(Y)には、必要に応じて、透明性を阻害しない程度に着色顔料、光輝性顔料、染料等を含有させることができ、さらに、体質顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤等を適宜含有せしめることができる。
【0228】
クリヤーコート塗料組成物(Y)の基体樹脂/架橋剤の組み合わせとしては、カルボキシル基含有樹脂/エポキシ基含有樹脂、水酸基含有樹脂/ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/ブロック化ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/メラミン樹脂等が好ましい。なかでも、形成される塗膜の粒子感の観点から、水酸基含有樹脂/ポリイソシアネート化合物の組み合わせが好ましい。
【0229】
上記方法IIで用いられる中塗り塗料組成物としては、公知の熱硬化性中塗り塗料組成物をいずれも使用できる。例えば、架橋性官能基を有する基体樹脂、架橋剤、着色顔料及び体質顔料を含有する熱硬化性塗料組成物を、好適に使用できる。
【0230】
上記基体樹脂が有する架橋性官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基等を挙げることができる。基体樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などを挙げることができる。架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物などを挙げることができる。
中塗り塗料組成物としては、有機溶剤型塗料組成物、水性塗料組成物、粉体塗料組成物のいずれを用いてもよい。これらのうち、水性塗料組成物を用いるのが好ましい。
【0231】
上記方法I及びIIにおいて塗装は、公知の方法、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装等の方法によって塗装することができる。
【実施例】
【0232】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
なお、例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り、質量基準を意味する。
【0233】
各例で使用した成分は以下のとおりである。
【0234】
〔バインダー成分(A)〕
<水酸基含有樹脂(A1)>
(水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)の製造)
製造例1
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水128.0部、「アデカリアソープSR−1025」(商品名、ADEKA製、乳化剤、有効成分25%)2.0部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温させた。
【0235】
次いで下記コア部用モノマー乳化物の全量のうちの1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、コア部用モノマー乳化物の残部を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。次に、下記シェル部用モノマー乳化物を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40.0部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm、固形分30%の水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−1)分散液を得た。得られた水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−1)は、酸価33mgKOH/g、水酸基価25mgKOH/gであった。
【0236】
コア部用モノマー乳化物:脱イオン水40.0部、「アデカリアソープSR−1025」2.8部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28.0部及びn−ブチルアクリレート21.0部を混合撹拌することにより、コア部用モノマー乳化物を得た。
【0237】
シェル部用モノマー乳化物:脱イオン水17.0部、「アデカリアソープSR−1025」1.2部、過硫酸アンモニウム0.03部、スチレン3.0部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、メタクリル酸5.1部、メチルメタクリレート6.0部、エチルアクリレート1.8部及びn−ブチルアクリレート9.0部を混合撹拌することにより、シェル部用モノマー乳化物を得た。
【0238】
製造例2
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にプロピレングリコールモノプロピルエーテル35.0部を仕込み85℃に昇温後、メチルメタクリレート30.0部、2−エチルヘキシルアクリレート20.0部、n−ブチルアクリレート29.0部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15.0部、アクリル酸6.0部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル15.0部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.3部の混合物を4時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテル10.0部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0部の混合物を1時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらにジエタノールアミン7.4部及びプロピレングリコールモノプロピルエーテル13.0部を加え、固形分55%の水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−2)溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−2)は酸価が47mgKOH/g、水酸基価が72mgKOH/g、重量平均分子量が58,000であった。
【0239】
製造例3
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にメトキシプロパノール27.5部、イソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱し、スチレン25.0部、n−ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製、分岐高級アルキルアクリレート)20.0部、4−ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、下記リン酸基含有重合性モノマー15.0部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10.0部、t−ブチルパーオキシオクタノエート4.0部からなる混合物121.5部を4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20.0部からなる混合物を1時間滴下した。その後、1時間撹拌熟成して固形分50%の水酸基及びリン酸基を有するアクリル樹脂(A1−1−3)溶液を得た。得られた水酸基及びリン酸基を有するアクリル樹脂(A1−1−3)は酸価が83mgKOH/g、水酸基価が29mgKOH/g、重量平均分子量が10,000であった。
【0240】
リン酸基含有重合性モノマー:温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にモノブチルリン酸57.5部、イソブタノール41.0部を入れ、90℃まで昇温後、グリシジルメタクリレート42.5部を2時間かけて滴下した後、さらに1時間撹拌熟成した。その後、イソプロパノ−ル59.0部を加えて、固形分濃度50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。得られたモノマーの酸価は285mgKOH/gであった。
【0241】
(水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)の製造)
製造例4
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109.0部、1,6−ヘキサンジオール141.0部、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物126.0部及びアジピン酸120.0部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノールで希釈し、固形分70%である水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2−1)溶液を得た。得られたポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、数平均分子量が1,400であった。
【0242】
<硬化剤(A3)>
メラミン樹脂:「サイメル325」(オルネクスジャパン社製、固形分80%)
【0243】
〔平均粒子径(d50)が18〜25μmの範囲内である鱗片状アルミニウム顔料(B)〕
〔平均粒子径(d50)が8〜30μmの範囲内である鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)〕
(鱗片状アルミニウム顔料(B)及び鱗片状顔料(C)を含有する顔料分散液の製造)
製造例5
撹拌混合容器内において、「アルペースト MG600」(商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)25μm、平均厚さ0.40μm、アルミニウム含有量65%)26.2部(固形分17.0部)、「TWINCLE PEARL SXB−SO」(商品名、日本光研工業社製、酸化チタン被覆合成雲母顔料、平均粒子径(d50):13μm、干渉色:銀色)4.0部、2−エチル−1−ヘキサノール35.0部並びに製造例3で得た水酸基及びリン酸基を有するアクリル樹脂(A1−1−3)溶液10.5部(固形分5.3部)を均一に混合して、顔料分散液(P−1)を得た。
【0244】
製造例6〜32
製造例5において、配合組成を後記の表1に示すものとする以外は、製造例5と同様にして、顔料分散液(P−2)〜(P−28)を得た。
【0245】
【表1】
【0246】
【表2】
【0247】
【表3】
【0248】
なお、表1〜3中の(注1)〜(注11)の顔料は、以下のものを用いた。
(注1)「アルペースト TCR2020」:商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)22μm、平均厚さ0.67μm、アルミニウム含有量78%
(注2)「アルペースト TCR2060」:商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)18μm、平均厚さ0.40μm、アルミニウム含有量75%
【0249】
(注3)「アルペースト MG−2020」:商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)29μm、平均厚さ0.47μm、アルミニウム含有量67%
(注4)「アルペースト 7675NS」:商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)16μm、平均厚さ0.21μm、アルミニウム含有量65%
【0250】
(注5)「TWINCLE PEARL SXC−SO」:商品名、日本光研工業社製、酸化チタン被覆合成雲母顔料、平均粒子径(d50):22μm、干渉色:銀色
(注6)「TWINCLE PEARL SXA」:商品名、日本光研工業社製、酸化チタン被覆合成雲母顔料、平均粒子径(d50):9μm、干渉色:銀色
(注7)「Magnapearl Exterior CFS 1103」:商品名、BASF製、酸化チタン被覆天然雲母顔料、平均粒子径(d50):18μm、干渉色:銀色
(注8)「Xirallic T60−10 SW Crystal Silver」:商品名、メルク社製、酸化チタン被覆酸化アルミニウム顔料、平均粒子径(d50):19μm、干渉色:銀色
(注9)「IRIODIN 602WNT」:商品名、メルク社製、酸化チタン及び酸化鉄被覆雲母顔料、平均粒子径(d50):21μm、干渉色:グレー
【0251】
(注10)「TWINCLE PEARL SXE」:商品名、日本光研工業社製、酸化チタン被覆合成雲母顔料、平均粒子径(d50):37μm、干渉色:銀色
(注11)「GRAPHITAN 7525」:商品名、BASF社製、グラファイトフレーク顔料、平均粒子径(d50):4μm
【0252】
〔その他の成分(D)〕
(顔料分散液の製造)
製造例33
撹拌混合容器に、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−2)溶液18.2部(固形分10.0部)、「JR−806」(商品名、テイカ社製、ルチル型二酸化チタン)50.0部及び脱イオン水30.0部を入れ、均一に混合し、更に、2−(ジメチルアミノ)エタノールを添加して、pH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を容量225mLの広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて4時間分散して、顔料分散液(D1)を得た。
【0253】
[実施例1]
撹拌混合容器に、製造例1で得た水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−1)水分散液100.0部(固形分30.0部)、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−2)溶液17.7部(固形分9.7部)、製造例4で得た水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(A1−2−1)35.7部(固形分25.0部)、メラミン樹脂(商品名「サイメル325」、オルネクスジャパン社製、固形分80%)37.5部(固形分30.0部)、製造例5で得た顔料分散液(P−1)75.7部及び製造例33で得た顔料分散液(D1)0.3部を均一に混合し、更に、ポリアクリル酸系増粘剤(商品名「プライマルASE−60」ロームアンドハース社製)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分25%、20℃におけるフォードカップNo.4によって測定される粘度が40秒の塗料組成物(X1)を得た。
【0254】
〔試験用塗装板の作製〕
(試験用被塗物の作製)
リン酸亜鉛処理された冷延鋼板に、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料組成物(商品名「エレクロンGT−10」、関西ペイント社製)を膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で30分加熱して硬化させた。次いで、この電着塗膜上に中塗り塗料組成物(商品名「TP−65−2」、関西ペイント社製、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂系有機溶剤型塗料組成物)を膜厚35μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱して硬化させた。かくして、鋼板上に電着塗膜及び中塗り塗膜を形成してなる試験用被塗物(1)を作製した。
【0255】
(塗膜形成)
塗料組成物(X1)を、前記塗膜形成方法Iの2コート1ベーク方式におけるベースコート形成用塗料として使用して、上記で得た試験用被塗物(1)上にベースコート及びクリヤーコートからなる複層塗膜を形成した。
【0256】
すなわち、上記で得た試験用被塗物(1)に、塗料組成物(X1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、膜厚7.5μmとなるように静電塗装し、第1ベースコート塗膜を形成した。
1分間放置後、該第1ベースコート塗膜上に塗料組成物(X1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、膜厚7.5μmとなるように静電塗装し、第2ベースコート塗膜を形成した。
【0257】
3分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった後、第2ベースコート塗膜上にアクリル樹脂系有機溶剤型上塗りクリヤー塗料組成物(Y1)(商品名「マジクロンKINO−1210」、関西ペイント社製、基体樹脂/架橋剤がカルボキシル基含有樹脂/エポキシ基含有樹脂の組み合わせ)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、クリヤーコート塗膜を形成した。7分間放置後、140℃で30分間加熱して、上記ベースコート塗膜及びクリヤーコート塗膜を同時に硬化させることにより試験用塗装板を作製した。
得られた試験用塗装板を用いて、下記の評価試験を行った。結果を表4に示す。
【0258】
[実施例2〜7、実施例10〜20、比較例1〜3、比較例5〜9]
実施例1において、塗料組成物(X1)を表4〜6の配合組成によって作製した塗料組成物(X2)〜(X7)、(X10)〜(X20)、(X21)〜(X23)、(X25)〜(X29)とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表4〜6に示す。
【0259】
[実施例8]
実施例1で得た試験用被塗物(1)に、下記製造例34で得られた塗料組成物(X30)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、膜厚10μmとなるように静電塗装し、第1ベースコート塗膜を形成した。
1分間放置後、該第1ベースコート塗膜上に表4の配合組成によって作製した塗料組成物(X8)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、膜厚5μmとなるように静電塗装し、第2ベースコート塗膜を形成した。
【0260】
3分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった後、第2ベースコート塗膜上にアクリル樹脂系有機溶剤型上塗りクリヤー塗料組成物(Y1)(商品名「マジクロンKINO−1210」、関西ペイント社製)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、クリヤーコート塗膜を形成した。7分間放置後、140℃で30分間加熱して、上記ベースコート塗膜及びクリヤーコート塗膜を同時に硬化させることにより試験用塗装板を作製した。
得られた試験用塗装板を用いて、下記の評価試験を行った。結果を表4に示す。
【0261】
製造例34
撹拌混合容器内において、「アルペースト TCR2020」(商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)22μm、平均厚さ0.67μm、アルミニウム含有量78%)12.8部(固形分10.0部)、2−エチル−1−ヘキサノール35.0部並びに製造例3で得た水酸基及びリン酸基を有するアクリル樹脂(A1−1−3)溶液5.0部(固形分2.5部)を均一に混合して、アルミニウム顔料分散液(P−29)を得た。
【0262】
次に、他の撹拌混合容器において、製造例1で得た水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−1)水分散液100.0部(固形分30.0部)、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−2)溶液22.7部(固形分12.5部)、製造例4で得た水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(A1−2−1)35.7部(固形分25.0部)、メラミン樹脂(商品名「サイメル325」、オルネクスジャパン社製、固形分80%)37.5部(固形分30.0部)、上記鱗片状アルミニウム顔料分散液(P−29)52.8部及び製造例33で得た顔料分散液(D1)0.3部を均一に混合し、更に、ポリアクリル酸系増粘剤(商品名「プライマルASE−60」ロームアンドハース社製)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分30%、20℃におけるフォードカップNo.4によって測定される粘度が40秒の塗料組成物(X30)を得た。
【0263】
[実施例9]
実施例8において、塗料組成物(X8)を表4の配合組成によって作製した塗料組成物(X9)とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表4に示す。
【0264】
[比較例4]
実施例8において、塗料組成物(X8)を表6の配合組成によって作製した塗料組成物(X24)とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表6に示す。
なお、塗料組成物(X2)〜(X29)の、20℃におけるフォードカップNo.4によって測定される粘度は40秒であった。
【0265】
[実施例21]
実施例1において、塗料組成物(X1)を下記製造例35で得られた塗料組成物(X31)とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表7に示す。
【0266】
製造例35
撹拌混合容器に、製造例1で得た水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−1)水分散液100.0部(固形分30.0部)、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−2)溶液17.7部(固形分9.7部)、製造例4で得た水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(A1−2−1)35.7部(固形分25.0部)、メラミン樹脂(商品名「サイメル325」、オルネクスジャパン社製、固形分80%)37.5部(固形分30.0部)、製造例5で得た顔料分散液(P−1)75.7部、製造例33で得た顔料分散液(D1)0.3部及び下記製造例36で得られた顔料分散液(D2)10.0部(固形分1部)を均一に混合し、更に、ポリアクリル酸系増粘剤(商品名「プライマルASE−60」ロームアンドハース社製)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分25%、20℃におけるフォードカップNo.4によって測定される粘度が40秒の塗料組成物(X31)を得た。
【0267】
製造例36
「ACEMATT OK607」(商品名、Evonic社製、シリカ)1部及び脱イオン水9部を均一に混合して、顔料分散液(D2)を得た。
【0268】
[実施例22〜23]
実施例21において、塗料組成物(X31)を表7の配合組成によって作製した塗料組成物(X32)〜(X33)とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表7に示す。
【0269】
[実施例24]
実施例10において、クリヤー塗料組成物(Y1)を下記製造例37で得られたクリヤー塗料組成物(Y2)とし、クリヤーコート塗膜の7分間放置後の加熱温度を120℃とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表7に示す。
【0270】
製造例37
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、「スワゾール1000」(商品名、コスモ石油社製、芳香族系有機溶剤)27部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら150℃で撹拌し、この中にスチレン20部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート32.5部、イソブチルメタクリレート46.8部、アクリル酸0.7部及びジターシャリアミルパーオキサイド(重合開始剤)6.0部からなるモノマー混合物を4時間かけて均一速度で滴下した。その後、150℃で1時間熟成させた後冷却し、さらに酢酸イソブチルを21部加えて希釈し、固形分濃度65質量%の水酸基含有アクリル樹脂(y−1)溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂(y−1)の水酸基価は139mgKOH/g、酸価は5.5mgKOH/g、重量平均分子量は5,500、ガラス転移温度38℃であった。
【0271】
上記で得た水酸基含有アクリル樹脂(y−1)溶液100部(固形分65部)及び「BYK−300」(商品名、ビックケミー社製、表面調整剤、有効成分52%)0.4部(固形分0.2部)を均一に混合した主剤と、架橋剤「スミジュールN3300」(商品名、住化コベストロウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、固形分含有率100%)35部を塗装直前に均一に混合し、さらに、酢酸ブチルを加えて、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が30秒となるように調整してクリヤー塗料組成物(Y2)を得た。
【0272】
[実施例25〜27]
実施例24において、塗料組成物(X10)を表7の配合組成によって作製した塗料組成物(X31)〜(X33)とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表7に示す。
【0273】
製造例38
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にエチル−3−エトキシプロピオネート15部及びn−ブチルプロピオネート15部を仕込み、155℃に昇温後、スチレン10部、メチルメタクリレート20部、イソボルニルアクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20部及び2,2−ジ(t−アミルパーオキシ)ブタン(重合開始剤)4.5部からなるモノマー混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後2時間熟成し、固形分75%の水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−4)溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂は水酸基価が97mgKOH/g、重量平均分子量が5,500であった。
【0274】
製造例39
製造例38で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−4)溶液26.6部(樹脂固形分20部)、「JR−806」(商品名、テイカ社製、ルチル型二酸化チタン)40部及びキシレン15部を広口ガラスビン中に入れ、ガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェーカーで30分間分散した後、ガラスビーズを除去して、顔料分散液(D3)を得た。
【0275】
製造例40
「ACEMATT OK607」(商品名、Evonic社製、シリカ)1部及びトルエン9部を均一に混合して、顔料分散液(D4)を得た。
【0276】
[実施例28]
実施例24において、塗料組成物(X10)を下記製造例41で得られた塗料組成物(X35)とし、第2ベースコート塗膜形成後の放置時間を5分間とし、プレヒートを行わなかった以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表8に示す。
【0277】
製造例41
製造例38で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A1−1−4)93.3部(樹脂固形分70部)、「サイメル325」(メラミン樹脂、オルネクスジャパン社製、固形分80%)37.5部(固形分30部)、「アルペースト MG600」(商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)25μm、平均厚さ0.40μm、アルミニウム含有量65%)26.2部(固形分17.0部)、「TWINCLE PEARL SXB−SO」(商品名、日本光研工業社製、酸化チタン被覆合成雲母顔料、平均粒子径(d50):13μm、干渉色:銀色)4.0部、製造例39で得た顔料分散液(D3)0.3部及び製造例40で得た顔料分散液(D4)10.0部(固形分1部)を均一に混合した。次いで、キシレン/スワゾール1000(商品名、コスモ石油社製、石油系芳香族炭化水素系溶剤)=50/50(質量比)の混合溶剤を添加することにより、20℃におけるフォードカップNo.3による粘度が17秒の塗料組成物(X35)を得た。
【0278】
[実施例29]
実施例28において、塗料組成物(X35)を下記製造例42で得られた塗料組成物(X36)とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表8に示す。
【0279】
製造例42
製造例38で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A1−1−4)93.3部(樹脂固形分70部)、「サイメル325」(メラミン樹脂、オルネクスジャパン社製、固形分80%)37.5部(固形分30部)、「アルペースト TCR2060」(商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)18μm、平均厚さ0.40μm、アルミニウム含有量75%)22.7部(固形分17.0部)、「TWINCLE PEARL SXB−SO」(商品名、日本光研工業社製、酸化チタン被覆合成雲母顔料、平均粒子径(d50):13μm、干渉色:銀色)4.0部、製造例39で得た顔料分散液(D3)0.3部及び製造例40で得た顔料分散液(D4)10.0部(固形分1部)を均一に混合した。次いで、キシレン/スワゾール1000(商品名、コスモ石油社製、石油系芳香族炭化水素系溶剤)=50/50(質量比)の混合溶剤を添加することにより、20℃におけるフォードカップNo.3による粘度が17秒の塗料組成物(X36)を得た。
【0280】
[実施例30]
実施例28において、塗料組成物(X35)を下記製造例43で得られた塗料組成物(X37)とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表8に示す。
【0281】
製造例43
製造例38で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A1−1−4)93.3部(樹脂固形分70部)、「サイメル325」(メラミン樹脂、オルネクスジャパン社製、固形分80%)37.5部(固形分30部)、「アルペースト TCR2020」(商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)22μm、平均厚さ0.67μm、アルミニウム含有量78%)15.4部(固形分12.0部)、「アルペースト TCR2060」(商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)18μm、平均厚さ0.40μm、アルミニウム含有量75%)6.7部(固形分5.0部)、「TWINCLE PEARL SXC−SO」(商品名、日本光研工業社製、酸化チタン被覆合成雲母顔料、平均粒子径(d50):22μm、干渉色:銀色)4.0部、製造例39で得た顔料分散液(D3)0.3部及び製造例40で得た顔料分散液(D4)10.0部(固形分1部)を均一に混合した。次いで、キシレン/スワゾール1000(商品名、コスモ石油社製、石油系芳香族炭化水素系溶剤)=50/50(質量比)の混合溶剤を添加することにより、20℃におけるフォードカップNo.3による粘度が17秒の塗料組成物(X37)を得た。
【0282】
[実施例31〜33]
実施例28〜30において、クリヤー塗料組成物(Y2)をクリヤー塗料組成物(Y1)とし、クリヤーコート塗膜の7分間放置後の加熱温度を140℃とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表8に示す。
【0283】
[実施例34〜36]
実施例31〜33において、クリヤー塗料組成物(Y1)を下記製造例44で得られたクリヤー塗料組成物(Y3)とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表8に示す。
【0284】
製造例44
製造例37で得た水酸基含有アクリル樹脂(y−1)溶液100部(固形分65部)、「ユーバン20SE60」(商品名、三井化学社製、メラミン樹脂、固形分含有率60%)58部(固形分35部)及び「BYK−300」0.4部(固形分0.2部)を均一に混合し、さらに、酢酸ブチルを加えて、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が30秒となるように調整してクリヤー塗料組成物(Y3)を得た。
【0285】
[比較例10]
比較例5において、クリヤー塗料組成物(Y1)を製造例37で得られたクリヤー塗料組成物(Y2)とし、クリヤーコート塗膜の7分間放置後の加熱温度を120℃とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表9に示す。
【0286】
[比較例11]
実施例28において、塗料組成物(X35)を下記製造例45で得られた塗料組成物(X38)とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表9に示す。
【0287】
製造例45
製造例38で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A1−1−4)93.3部(樹脂固形分70部)、「サイメル325」(メラミン樹脂、オルネクスジャパン社製、固形分80%)37.5部(固形分30部)、「アルペースト TCR2020」(商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)22μm、平均厚さ0.67μm、アルミニウム含有量78%)15.4部(固形分12.0部)、「アルペースト TCR2060」(商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)18μm、平均厚さ0.40μm、アルミニウム含有量75%)6.7部(固形分5.0部)、製造例39で得た顔料分散液(D3)0.3部及び製造例40で得た顔料分散液(D4)10.0部(固形分1部)を均一に混合した。次いで、キシレン/スワゾール1000(商品名、コスモ石油社製、石油系芳香族炭化水素系溶剤)=50/50(質量比)の混合溶剤を添加することにより、20℃におけるフォードカップNo.3による粘度が17秒の塗料組成物(X38)を得た。
【0288】
[比較例12]
比較例11において、クリヤー塗料組成物(Y2)をクリヤー塗料組成物(Y1)とし、クリヤーコート塗膜の7分間放置後の加熱温度を140℃とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表9に示す。
【0289】
[比較例13]
比較例12において、クリヤー塗料組成物(Y1)をクリヤー塗料組成物(Y3)とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表9に示す。
【0290】
[実施例37]
実施例1と同様にして塗料組成物(X1)を得た。
【0291】
〔試験用塗装板の作製〕
(試験用被塗物の作製)
リン酸亜鉛処理された冷延鋼板に、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料組成物(商品名「エレクロンGT−10」、関西ペイント社製)を膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で30分加熱して硬化させた。次いで、この電着塗膜上に下記製造例46で得た水性中塗り塗料組成物αを膜厚20μmになるように塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。かくして、鋼板上に硬化した電着塗膜及び未硬化の中塗り塗膜を形成してなる試験用被塗物(2)を作製した。
【0292】
(塗膜形成)
塗料組成物(X1)を、前記塗膜形成方法IIの3コート1ベーク方式におけるベースコート形成用塗料として使用して、上記で得た試験用被塗物(2)上にベースコート及びクリヤーコートからなる複層塗膜を形成した。
【0293】
すなわち、上記で得た試験用被塗物(2)に、塗料組成物(X1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、膜厚7.5μmとなるように静電塗装し、第1ベースコート塗膜を形成した。
1分間放置後、該第1ベースコート塗膜上に塗料組成物(X1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、膜厚7.5μmとなるように静電塗装し、第2ベースコート塗膜を形成した。
【0294】
3分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった後、第2ベースコート塗膜上にアクリル樹脂系有機溶剤型上塗りクリヤー塗料組成物(Y1)(商品名「マジクロンKINO−1210」、関西ペイント社製)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、クリヤーコート塗膜を形成した。7分間放置後、140℃で30分間加熱して、上記ベースコート塗膜及びクリヤーコート塗膜を同時に硬化させることにより試験用塗装板を作製した。
得られた試験用塗装板を用いて、下記の評価試験を行った。結果を表10に示す。
【0295】
製造例46
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン174部、ネオペンチルグリコール327部、アジピン酸352部、イソフタル酸109部及び1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物101部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が3mgKOH/g以下となるまで反応させた。この反応生成物に、無水トリメリット酸59部を添加し、170℃で30分間付加反応を行った後、50℃以下に冷却し、2−(ジメチルアミノ)エタノールを酸基に対して当量添加し中和してから、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度45%、pH7.2の水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(A1−2−2)を得た。得られた水酸基含有ポリエステル樹脂は、酸価が35mgKOH/g、水酸基価が128mgKOH/g、重量平均分子量が13000であった。
【0296】
撹拌混合容器に、上記で得た水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(A1−2−2)56部(樹脂固形分25部)、「JR−806」(テイカ社製、商品名、ルチル型二酸化チタン)90部及び脱イオン水5部を入れ、更に、2−(ジメチルアミノ)エタノールを添加して、pH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて30分間分散して、白色顔料分散液(P−100)を得た。
【0297】
次に、上記で得た白色顔料分散液(P−100)151部、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A1−1−2)27部(樹脂固形分15部)、製造例4で得た水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(A1−2−1)11部(樹脂固形分5部)、「ユーコートUX−8100」(商品名、三洋化成工業社製、ウレタンエマルション、固形分35%)43部(樹脂固形分15部)、「サイメル325」(商品名、オルネクス社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部(樹脂固形分30部)及び「バイヒジュールVPLS2310」(商品名、住化バイエルウレタン社製、ブロック化ポリイソシアネート化合物、固形分38%)26部(樹脂固形分10部)を均一に混合した。
【0298】
次いで、得られた混合物に、「プライマル ASE−60」(商品名、ダウケミカル社製、増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加し、pH8.0、塗料固形分48%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が30秒の水性中塗り塗料αを得た
【0299】
[実施例38〜43、46〜59、比較例14]
実施例37において、塗料組成物(X1)を表10〜12、14に記載の塗料組成物とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表10〜12、14に示す。
【0300】
[実施例44]
実施例37で得た試験用被塗物(2)に、製造例34で得られた塗料組成物(X30)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、膜厚10μmとなるように静電塗装し、第1ベースコート塗膜を形成した。
1分間放置後、該第1ベースコート塗膜上に表4の配合組成によって作製した塗料組成物(X8)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、膜厚5μmとなるように静電塗装し、第2ベースコート塗膜を形成した。
【0301】
3分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった後、第2ベースコート塗膜上にアクリル樹脂系有機溶剤型上塗りクリヤー塗料組成物(Y1)(商品名「マジクロンKINO−1210」、関西ペイント社製)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、クリヤーコート塗膜を形成した。7分間放置後、140℃で30分間加熱して、上記ベースコート塗膜及びクリヤーコート塗膜を同時に硬化させることにより試験用塗装板を作製した。
得られた試験用塗装板を用いて、下記の評価試験を行った。結果を表11に示す。
【0302】
[実施例45]
実施例44において、塗料組成物(X8)を表11に記載の塗料組成物とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表11に示す。
【0303】
[実施例60〜61、65〜68、比較例15]
実施例37において、塗料組成物(X1)を表13、14に記載の塗料組成物とし、クリヤー塗料組成物(Y1)を製造例37で得られたクリヤー塗料組成物(Y2)とし、クリヤーコート塗膜の7分間放置後の加熱温度を120℃とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表13、14に示す。
【0304】
[実施例62]
実施例44において、塗料組成物(X8)を下記製造例47で得られた塗料組成物(X34)とし、クリヤー塗料組成物(Y1)を製造例37で得られたクリヤー塗料組成物(Y2)とし、クリヤーコート塗膜の7分間放置後の加熱温度を120℃とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表13に示す。
【0305】
製造例47
撹拌混合容器内において、「アルペースト TCR2020」(商品名、東洋アルミニウム社製、アルミニウム顔料ペースト、平均粒子径(d50)22μm、平均厚さ0.67μm、アルミニウム含有量78%)25.6部(固形分20.0部)、「TWINCLE PEARL SXB−SO」(商品名、日本光研工業社製、酸化チタン被覆合成雲母顔料、平均粒子径(d50):13μm、干渉色:銀色)4.0部、2−エチル−1−ヘキサノール40.0部並びに製造例3で得た水酸基及びリン酸基を有するアクリル樹脂(A1−1−3)溶液12.0部(固形分6.0部)を均一に混合して、顔料分散液(P−200)を得た。
【0306】
撹拌混合容器に、製造例1で得た水分散性水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−1)水分散液100.0部(固形分30.0部)、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−1−2)溶液17.7部(固形分9.7部)、製造例4で得た水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(A1−2−1)35.7部(固形分25.0部)、メラミン樹脂(商品名「サイメル325」、オルネクスジャパン社製、固形分80%)37.5部(固形分30.0部)、上記顔料分散液(P−29)81.6部及び製造例33で得た顔料分散液(D1)0.3部を均一に混合し、更に、ポリアクリル酸系増粘剤(商品名「プライマルASE−60」ロームアンドハース社製)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分15%、20℃におけるフォードカップNo.4によって測定される粘度が40秒の塗料組成物(X34)を得た。
【0307】
[実施例63〜64]
実施例44〜45において、クリヤー塗料組成物(Y1)を製造例37で得られたクリヤー塗料組成物(Y2)とし、クリヤーコート塗膜の7分間放置後の加熱温度を120℃とした以外は同様に試験用塗装板を作製し、下記の評価試験を行った。結果を表13に示す。
【0308】
〔評価試験〕
(粒子感(目視))
得られた各試験用塗装板を目視にて観察し、下記基準にて評価した。評価は、色彩開発に3年以上従事するデザイナー2名と技術者3名の計5名が協議することによって行なった。A及びBが合格レベルである。
A:粒子感が極めて高かった。
B:粒子感が高かった。
C:粒子感がやや低かった。
D:粒子感が低かった。
【0309】
(粒子感(G値))
得られた各試験用塗装板について、「BYK−mac」(商品名、BYKガードナー社製)を用いて粒状性値(G値)を測定した。なお、粒状性値(G値)が大きいほど、粒子感が高いことを示す。例えば、粒子感が高い塗膜を得る場合、粒状性値(G値)は5.0以上が好ましい。
【0310】
(メタリックムラ)
得られた各試験用塗装板を目視にて観察し、下記基準にて評価した。評価は、色彩開発に3年以上従事するデザイナー2名と技術者3名の計5名が協議することによって行なった。A及びBが合格レベルである。
A:メタリックムラがほとんど認められず、極めて優れた塗膜外観を有していた。
B:メタリックムラがわずかに認められるが、優れた塗膜外観を有していた。
C:メタリックムラが認められ、塗膜外観がやや劣っていた。
D:メタリックムラが多く認められ、塗膜外観が劣っていた。
【0311】
(FF値)
多角度分光光度計(商品名「MA−68II」、x−Rite社製)を使用して、得られた各試験用塗装板において受光角15度のL値(L15値)及び受光角75度のL値(L75値)を測定し、各試験用塗装板上の塗膜のFF値を下記式によって算出し、下記基準にて評価した。A、B及びCが合格レベルである。
FF値=L15値/L75値
A:FF値が4.0以上であった。
B:FF値が2.5以上4.0未満であった。
C:FF値が2.0以上2.5未満であった。
D:FF値が1.5以上2.0未満であった。
E:FF値が1.5 未満であった。
【0312】
(鮮映性)
得られた各試験用塗装板について、「Wave Scan」(商品名、BYK Gardner社製)を用いてShort Wave(SW)値を測定し、下記基準にて評価した。SW値が小さいほど塗面の鮮映性が高いことを示す。A、B及びCが合格レベルである。
A:SW値が5.0未満であった。
B:SW値が5.0以上7.0未満であった。
C:SW値が7.0以上9.0未満であった。
D:SW値が9.0以上10.0未満であった。
E:SW値が10.0以上であった。
【0313】
【表4】
【0314】
【表5】
【0315】
【表6】
【0316】
【表7】
【0317】
【表8】
【0318】
【表9】
【0319】
【表10】
【0320】
【表11】
【0321】
【表12】
【0322】
【表13】
【0323】
【表14】
【0324】
以上の結果から、本発明の塗料組成物は、高い粒子感を持ち、メタリックムラの発生が抑制される塗膜を形成できることがわかった。
【要約】
【課題】高い粒子感を持ち、かつメタリックムラの発生が抑制された塗膜を形成することができる塗料組成物を提供すること。
【解決手段】バインダー成分(A)、平均粒子径(d50)が18〜25μmの範囲内である鱗片状アルミニウム顔料(B)及び平均粒子径(d50)が8〜30μmの範囲内である鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)を含有する塗料組成物であって、前記バインダー成分(A)100質量部を基準として、前記鱗片状アルミニウム顔料(B)及び前記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の含有量が一定の範囲内であり、かつ前記鱗片状アルミニウム顔料(B)及び前記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の質量比が一定の範囲内である、塗料組成物とする。
【選択図】なし