特許第6533893号(P6533893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6533893
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】避難用防災用具
(51)【国際特許分類】
   A45F 4/12 20060101AFI20190610BHJP
【FI】
   A45F4/12
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-9885(P2019-9885)
(22)【出願日】2019年1月24日
【審査請求日】2019年1月24日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503052081
【氏名又は名称】柳川 省二
(72)【発明者】
【氏名】柳川 省二
【審査官】 小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−42118(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3207785(JP,U)
【文献】 特開2012−237088(JP,A)
【文献】 米国特許第6360370(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45F 4/12
A45C 1/00−15/08
A62B 17/04
A42B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水性を有する生地で形成されたフード部を備えた上着と、ズボンと、
両眼を保護するゴーグルと、
更に前記フード部に着脱自在に装着可能な折り畳み簡易保護帽(以下、保護帽と記載する。)と、から構成された暴風雨、洪水、津波などの自然災害から身を守る防災用具であって、
前記防災用具と、
該防災用具を出し入れ自在に収納可能なウエストポーチと、から成ることを特徴とする避難用防災用具。
【請求項2】
前記フード部は、該フード部の縁部を巾着状にする巾着紐を備え、
前記縁部の額部の左右には前記ゴーグルに係止する帯状の先端部が着脱自在の面ファスナーを備えた係止帯を備え、
前記上着の前身頃は縦方向中央部で左右に分離しその両端が重合し、
該重合部は下側の前記前身頃の縦方向縁部と上側の前記前身頃の縦方向縁部の裏面部内側とが下端部から首元までを係着自在に係合する防水性スライドファスナーを備え、
更に前記スライドファスナーに沿って該スライドファスナーを覆うように前記重合部の下部面と上部面とが着脱自在に係着する係着手段を備え、
前記上着の左右の袖口部には手首を握持する着脱自在に調整可能な面ファスナーをそれぞれ備え、
前記ウエスト部は、使用者のウエスト部を取り巻く帯状の長さ調整自在のベルトを備え、
前記ベルトは後身頃部に固着し、
その左右の両端は前記前身頃の中央部で着脱自在に前記ウエスト部を支持する接合手段を備え、
前記上着の下端部外周部は、腰回りを抱持する巾着紐を備え、
更に前記上着は防水性を有する再帰性反射材を適宜、前記前身頃の左右と前記後身頃又は両袖部のいずれかの部位にそれぞれ固着状態で備えたことを特徴とする請求項1に記載の避難用防災用具。
【請求項3】
前記ベルト部の上部に強度を有する素材で形成され、空気を注入すると浮袋を形成する袋体は、左側の前記前身頃と右側の前記前身頃又は、前記後身頃との少なくともいずれか一方の身頃に非膨張部を固着状態で設けたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の避難用防災用具。
【請求項4】
前記袋体は、膨張部をシート状において折り畳み可能とし前後いずれかの前記身頃に該膨張部が着脱自在に係着するように面ファスナーを備えたことを特徴とする請求項3に記載の避難用防災用具。
【請求項5】
前記袋体は、空気を吹き込むためのチューブが取り付けてあり、
前記チューブは該袋体内部から該袋体の左右又は上下のいずれかの部位から該袋体外部にL字型に屈曲して突出し、
その先端外円周部の左右両端には横方向断面が逆Ω型に突出した把持部を備え、
前記把持部の下部方向には伸縮自在の蛇腹状を形成したことを特徴とする請求項4に記載の避難用防災用具。
【請求項6】
前記袋体の左右又は上下のいずれかの部位から突出した前記チューブは、該袋体に隣接した部位に設けられたチューブ収納ポケットに前記チューブの先端部が出し入れ自在に収納され、
前記チューブ収納ポケットは、その開口部を開閉自在に塞ぐ面ファスナーを備え、
前記チューブを使用する際は該チューブの先端部を前記チューブ収納ポケットから引き出し前記蛇腹を伸長させ、前記袋体に空気を注入後には前記チューブの先端部に栓を挿嵌させ前記蛇腹部を収縮させて収納できるようにしたことを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載の避難用防災用具。
【請求項7】
前記チューブは、前記栓を備え、
該栓は弾性を有する素材で成形され前記チューブの内円周部に冠着自在に密嵌する円錐状を呈し、
その頭部は左右両端に前記チューブに設けた前記把持部に嵌脱自在に嵌合係止する棒状の嵌合ツメを下部方向にそれぞれ備え、
更に前記嵌合ツメの左右の先端部は前記把持部の下端部に交止する係脱可能な係止ツメをそれぞれ備え、
該係止ツメが前記把持部の下端部に係合して前記栓が前記チューブの開口部を封止することを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載の避難用防災用具。
【請求項8】
前記上着に設けられたフード部は、その内側に前記保護帽を着脱自在に内包し保持する袋状の保護帽保持手段を備え、
前記保護帽は使用者の頭部を保護する平板状の素材で形成された頭頂部を覆う略長方形の緩衝板と、
左の側頭部を覆う略台形の左側頭部板と、
右の側頭部を覆う略台形の右側頭部板と、
前頭部を覆う略台形の前頭部板と、
後頭部を覆う略台形の後頭部板と、が首振り可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の避難用防災用具。
【請求項9】
前記緩衝板は、上部面が平面上でその長手方向の左右両端にヒンジを介して回動折り畳み自在の前記左側頭部板と、前記右側頭部板と、をそれぞれ備え、
その短手方向の前後の端には該短手方向の半分の長さを有する左右いずれかの方向に露出した前記前頭部板と、前記後頭部板と、をそれぞれ軸着する第一の回転軸と、第二の回転軸とを備え、
前記前頭部板と前記後頭部板の短手方向の長さは前記緩衝板の短手方向の長さを有し、
該前頭部板と該後頭部板との半分の長さを有する左右いずれかの方向にそれぞれ前記第一の回転軸と、前記第二の回転軸とに着脱回動自在に軸着するそれぞれ第一の係合孔と、第二の係合孔とを設けたことを特徴とする請求項8に記載の避難用防災用具。
【請求項10】
前記左側頭部板と前記右側頭部板は、それぞれ前後の両端の斜辺の厚み部に少なくとも一つの芯部が円柱状を呈し頭部がT字形に突出した一体成形されたT字形ピンを備え、
前記前頭部板と前記後頭部板はそれぞれの左右の斜辺縁部に前記T字形ピンに嵌脱自在に嵌合するΩ型の嵌合孔を備え、
それぞれ前記左側頭部板の前方向斜辺厚み部に第一のT字ピンと、前記前頭部板の左縁部に設けた第一の嵌合孔と、
前記右側頭部板の前方向斜辺厚み部に第二のT字形ピンと、前記前頭部板の右縁部に設けた第二の嵌合孔と、
前記左側頭部板の後方向斜辺厚み部に第三のT字形ピンと、前記後頭部板の左縁部に設けた第三の嵌合孔と、
前記右側頭部板の後方向斜辺厚み部に第四のT字形ピンと、前記後頭部板の右縁部に設けた第四の嵌合孔と、が嵌合することにより前記保護帽が形成されることを特徴とする請求項8と9のいずれかに記載の避難用防災用具。
【請求項11】
前記ズボンは、太もも部からウエスト部にかけての前身頃と後身頃とが分離し、
その分離部は下部から上部にかけて防水性のスライドファスナーを左右に備え、
前記前身頃と前記後身頃の左右のウエスト部には調整可能且つ着脱自在に係着する係着手段を備え、
前記ズボンの両裾には足首を握持する着脱自在に調整可能な面ファスナーを備え、
更に少なくとも一つ携帯電話又はスマートフォン等を出し入れ自在に格納する防水袋を収納できるポケットを備え、
前記ポケットは開口部に開閉自在の防水性スライドファスナーを備え、
前記開口部付近には伸縮自在の両端部に係着自在のフックを備えたスパイラルコードを掛止する第一の掛止孔を備え、
前記第一の掛止孔に掛止した前記スパイラルコードの他方の前記フックは携帯電話又はスマートフォン等を格納した前記防水袋の端部に設けられた第二の掛止孔に掛止したことを特徴とする請求項1に記載の避難用防災用具。
【請求項12】
前記ゴーグルは、両眼を覆う一枚の強度を有する透明なレンズを有し、
前記レンズの外周部は樹脂材で外枠を形成し、
前記外枠の左右両端には使用者の後頭部に係止する伸縮自在の帯状の弾性バンドを備え、
更に前記外枠の上部中央部には防水性を有するライトを一体化して備え、
前記ライトの左右には前記フード部に設けられた前記係止帯を係止させる棒状の前記係止手段をそれぞれ備え、
前記係止帯を前記係止手段に係止させることにより前記フード部が前記ゴーグルに繋止できるように構成したことを特徴とする請求項1と2のいずれかに記載の避難用防災用具。
【請求項13】
前記ウエストポーチは、防水性を有する生地と、
防水性スライドファスナーと、から形成された使用者のウエスト部に着脱自在の長さ調整可能なベルトを備え、
避難時には貴重品等を収納できることを特徴とする請求項1に記載の避難用防災用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は暴風雨や豪雨または竜巻や雹などの他、豪雨による洪水や地震による津波などの自然災害による水難から身を守る防災用具と、それを収納するウエストポーチから構成された避難用防災用具に関する。
【背景技術】
【0002】
暴風雨の時には傘も飛ばされやすいのでレインコートなどを着用し更にヘルメットを着用している場合もある。
【0003】
局地的に短時間に大雨を降らせるゲリラ豪雨などによる洪水、或いは津波など自然災害に対応する携行しやすい防災用具がなかった。
【0004】
近年、スマートフォンは決済機能など多種多様な機能を備えているため使用者にとって生活に欠かせない貴重なツールとなった。水害などにより水没してしまったり、紛失してしまったり、盗難にあった場合などにより使用できなくなった場合はリスクが高くなる。
【0005】
近時、地球温暖化による異常気象により局地的集中豪雨などの自然災害の発生頻度がたかまり更に南海トラフ巨大地震の発災時期が迫っていると言われている。
【0006】
暴風雨、雹、洪水、津波などの自然災害に対応できる防災用具を一元化した携行しやすい避難用防災用具がなかった。
【0007】
避難時や避難所では貴重品を常時身につけて収納できる収納体が必要であった。
【0008】
雨合羽の頭部、胸部、背部の浮力材収納袋に発泡樹脂シートを備えた河川の氾濫時に救命胴衣として使用できる防災用雨合羽がある。(例えば、特許文献1参照。)
【0009】
日常に着用可能なデザインで火災、津波、地震などの有事に対応できる浮袋や防災頭巾を備えた多機能な防災服がある。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013−86788号公報
【特許文献2】特開2014−100445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述のように近年日本では地球温暖化による異常気象によるリスクと、南海トラフ巨大地震による地震や津波などのリスクとに曝されている。そしてさらに近時その異常気象の発生頻度と南海トラフ巨大地震の発災時期が迫ってきた。しかし暴風雨、雹、そして洪水、津波などの自然災害による水難から身を守る専用の避難用防災用具がなかった。
【0012】
その為、本発明は個々人がそのような自然災害から身を守るフード部を備えた上着とズボンと、両眼を保護するゴーグルと、前記フード部に着脱自在に装着できる折り畳み保護帽とから成る防災用具に、その防災用具を出し入れ自在に収納できるウエストポーチとから構成して、前記防災用具を着用した使用者が空になった前記ウエストポーチに貴重品等を収納して避難できるようにした防災用具を一元化した避難用防災用具を提供することを意図した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は強風圧に耐え得る強度と柔軟性と防水性を有する生地で形成されたフード部を備えた上着と、ズボンと、両眼を保護するゴーグルと、更に前記フード部に着脱自在に装着可能な折り畳み簡易保護帽(以下、保護帽と記載する。)と、から構成された暴風雨、洪水、津波などの自然災害から身を守る防災用具であって、前記防災用具と、該防災用具を出し入れ自在に収納可能なウエストポーチと、から成り、前記防災用具を着用した使用者が貴重品などを空になった前記ウエストポーチに収納して避難できる。
【0014】
前記フード部は、該フード部の縁部を巾着状にする巾着紐を備え、前記縁部の額部の左右には前記ゴーグルに係止する帯状の先端部が着脱自在の面ファスナーを備えた係止帯を備え、前記上着の前身頃は縦方向中央部で左右に分離しその両端が重合し、該重合部は下側の前記前身頃の縦方向縁部と上側の前記前身頃の縦方向縁部の裏面部内側とが下端部から首元までを係着自在に係合する防水性スライドファスナーを備え、更に前記スライドファスナーに沿って該スライドファスナーを覆うように前記重合部の下部面と上部面とが着脱自在に係着する係着手段を備え、前記上着の左右の袖口部には手首を握持する着脱自在に調整可能な面ファスナーをそれぞれ備えて風雨が前記上着内部に入らないようにした。前記ウエスト部は、使用者のウエスト部を取り巻く帯状の長さ調整自在のベルトを備え、落とさないように前記ベルトは後身頃部に固着し、その左右の両端は前記前身頃の中央部で着脱自在に前記ウエスト部を支持する接合手段を備えている。そして前記上着の下端部外周部は、腰回りを抱持する巾着紐を備え、内部に雨水などの侵入を防ぐようにした。更に前記上着は防水性を有する再帰性反射材を適宜、前記前身頃の左右と前記後身頃又は両袖部のいずれかの部位にそれぞれ固着状態で備え有事の際に発見されやすいようになっている。
【0015】
前記ベルト部の上部に強度を有する素材で形成され、空気を注入すると浮袋を形成する袋体は、左側の前記前身頃と右側の前記前身頃又は、前記後身頃との少なくともいずれか一方の身頃に非膨張部を固着状態で設けられ洪水や津波などに対応できるようになっている。更に、外部からの衝撃を緩和する役割を備えている。そして前記袋体を上体に固定できるように使用者のウエスト部にベルトを設けてある。
【0016】
前記袋体は、該袋体の膨張部が風により動かないようにするために前記膨張部をシート状において折り畳み可能とし前後いずれかの前記身頃部に前記膨張部が着脱自在に係着するように面ファスナーを備えてある。
【0017】
前記袋体は、空気を吹き込むためのチューブが取り付けてあり、前記チューブは前記袋体内部から該袋体の左右又は上下のいずれかの部位から該袋体外部にL字型に屈曲して突出し、その先端外円周部の左右両端には横方向断面が逆Ω型に突出した把持部を備え、前記把持部の下部方向には伸縮自在の蛇腹状を形成されている。
【0018】
前記袋体の左右又は上下のいずれかの部位から突出した前記チューブは、前記袋体に隣接した部位に設けられたチューブ収納ポケットに前記チューブの先端部が出し入れ自在に収納され、前記チューブ収納ポケットは、その開口部を開閉自在に塞ぐ面ファスナーを備え、前記チューブを使用する際は使用者が該チューブの先端部を引き出すことにより前記チューブ収納ポケットから前記蛇腹が伸長し、前記使用者が前記袋体に空気を注入後には前記チューブの先端部に栓を挿着して前記チューブの先端部が前記チューブ収納ポケットから露出しないように前記蛇腹部を収縮させてから前記チューブ収納ポケットの開口部を面ファスナーで圧着するようにした。
【0019】
前記チューブは、前記栓を備え、該栓は弾性を有する素材で成形され前記チューブの内円周部に冠着自在に密嵌する円錐状を呈し、その頭部は左右両端に前記チューブに設けた前記把持部に嵌脱自在に嵌合係止する棒状の嵌合ツメを下部方向にそれぞれ備え、更に前記嵌合ツメの左右の先端部は前記把持部の下端部に交止する係脱可能な係止ツメをそれぞれ備え、該係止ツメが前記把持部の下端部に係合して前記栓が前記チューブの先端部を封止することにより前記袋体に外圧が生じた場合であっても前記栓が前記チューブの開口部から容易に離脱しないように確実に封止できるように構成されている。
【0020】
前記上着に設けられたフード部は、その内側に前記保護帽を着脱自在に内包し保持する袋状の保護帽保持手段を備えて容易に装着できるようになっている。前記保護帽は使用者の頭部を保護する平板状の素材で形成された頭頂部を覆う略長方形の緩衝板と、左の側頭部を覆う略台形の左側頭部板と、右の側頭部を覆う略台形の右側頭部板と、前頭部を覆う略台形の前頭部板と、後頭部を覆う略台形の後頭部板と、が首振り可能に連結され組み立て、折り畳み収納が容易になっている。
【0021】
前記緩衝板は、上部面が平面上でその長手方向の左右両端にヒンジを介して回動折り畳み自在の前記左側頭部板と、前記右側頭部板と、をそれぞれ備え、その短手方向の前後の端には該短手方向の半分の長さを有する左右いずれかの方向に露出した前記前頭部板と前記後頭部板と、をそれぞれ軸着する第一の回転軸と、第二の回転軸とを備え、前記前頭部板と前記後頭部板の短手方向の長さは前記緩衝板の短手方向の長さを有し、該前頭部板と該後頭部板との半分の長さを有する左右いずれかの方向にそれぞれ前記第一の回転軸と、前記第二の回転軸と、に着脱回動自在に軸着するそれぞれ第一の係合孔と、第二の係合孔とを設け着脱組み立てが容易になっている。
【0022】
前記左側頭部板と前記右側頭部板は、それぞれ前後の両端の斜辺の厚み部に少なくとも一つの芯部が円柱状を呈し頭部がT字形に突出した一体成形されたT字形ピンを備え、前記前頭部板と前記後頭部板はそれぞれの左右の斜辺縁部に前記T字形ピンに嵌脱自在に嵌合するΩ型の嵌合孔を備え、それぞれ前記左側頭部板の前方向斜辺厚み部に第一のT字ピンと、前記前頭部板の左縁部に設けた第一の嵌合孔と、前記右側頭部板の前方向斜辺厚み部に第二のT字形ピンと、前記前頭部板の右縁部に設けた第二の嵌合孔と、前記左側頭部板の後方向斜辺厚み部に第三のT字形ピンと、前記後頭部板の左縁部に設けた第三の嵌合孔と、前記右側頭部板の後方向斜辺厚み部に第四のT字形ピンと、前記後頭部板の右縁部に設けた第四の嵌合孔と、が嵌合することにより前記保護帽が素早く容易に形成できるようになっている。なお、前記保護帽を形成する前記板材は暴風による飛来物だけでなく地震時にも多少の落下物に対応できるような強度を有する板材を使用することが好ましい。
【0023】
前記ズボンは、使用者が素早く該ズボンをはけるように太もも部からウエスト部にかけての前身頃と後身頃とが分離し、その分離部は下部から上部にかけて防水性のスライドファスナーを左右に備え、前記前身頃と前記後身頃の左右両端のウエスト部には調整可能且つ着脱自在に係着する係着手段を備えている。該係着手段は着脱が容易な面ファスナーを用いることが好ましい。前記ズボンの両裾には足首を握持する着脱自在に調整可能な面ファスナーを備え外部からの水の侵入を防ぐようになっている。更に少なくとも一つ携帯電話又はスマートフォン等を出し入れ自在に格納する防水袋を収納できるポケットを備え、前記ポケットは開口部に開閉自在の防水性スライドファスナーを備えできる限り水の侵入を防ぐようにした。そして前記開口部付近には伸縮自在の両端部に係着自在のフックを備えたスパイラルコードを掛止する第一の掛止孔を備え、前記第一の掛止孔に掛止した前記スパイラルコードの他方の前記フックは携帯電話又はスマートフォン等を格納した前記防水袋の端部に設けられた第二の掛止孔に掛止したことにより携帯電話やスマートフォン等の水没、紛失、盗難のリスクが軽減するように構成されている。
【0024】
前記ゴーグルは、両眼を覆う一枚の強度を有する透明なレンズを有し、前記レンズの外周部は樹脂材で外枠を形成し、前記外枠の左右両端には使用者の後頭部に係止する伸縮自在の帯状の弾性バンドを備え、更に前記外枠の上部中央部に防水性を有するライトを一体化して備え、前記ライトの左右には前記フード部に設けられた前記係止帯を係止させる棒状の前記係止手段をそれぞれ備え、前記係止帯を前記係止手段に係止させることにより前記フード部が前記ゴーグルに繋止でき強風雨に耐えるように構成してある。そして前記ライトは夜間の避難時にできるようにしたことと有事の際に発見されやすいようになっている。なお、前記ゴーグルを使用する際には前記フード部を覆うように前記ゴーグルの弾性ベルトで把持するように用いることが好ましい。
【0025】
前記ウエストポーチは、防水性を有する生地と、防水性スライドファスナーと、から形成された使用者のウエスト部に着脱自在の長さ調整可能なベルトを備え、避難時には前記防災用具を該使用者が着用した後に空になった前記ウエストポーチに該使用者の貴重品等を収納できるように構成した。
【発明の効果】
【0026】
(1)持ち運びが容易であるため台風や暴風雨でなくても雨具として利用できる。
(2)ウエストポーチは貴重品を身に着けた状態で収納できるため避難所では盗難のリスクが軽減できる。
(3)防災用具を収納するウエストポーチは両手が使えるため手提げ鞄に比べ効果的である。
(4)防水袋とスパイラルコードはスマートフォンや携帯電話を水没させないように保護することにより緊急連絡時や情報収集時に役立つ。
(5)ゴーグルが備えるライトや再帰性反射材により洪水や津波などにより流された場合でも発見されやすい。
(6)袋体は洪水や津波の際に緩衝用として外部からの衝撃を吸収する効果がある。
(7)保護帽は地震による落下物から頭部を保護する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】の(a)は上着の前身頃部を示した概略斜視図、(b)は上着の後身頃部を示す概略斜視図である。
図2】(a)はフード部の額部の左右に設けた係止帯とフード部の縁部を巾着状にする巾着紐を備えた参考図である。(b)はフード部に装着された保護帽を示す概略透視斜視図である。(c)はフード部に装着された保護帽を示す概略透視図である。
図3】(a)は上着の左右の前身頃の重合部を示す参考図である。(b)は上着の袖口部に着脱自在の面ファスナーを備えた拡大図である。(c)は上着に設けた袋体とチューブを収納する収納ポケットの位置関係を示す参考図である。
図4】(a)はチューブの先端部に設けた把持部とその下部の蛇腹状を示す側面図である。(b)はチューブ収納ポケットの開口部と開閉手段を示す概略参考図である。
図5】(a)はチューブの開口部に栓が嵌合係止する状態を示す拡大図である。(b)は栓がチューブに係止している状態を示す拡大参考図である。
図6】は上着の前身頃の袋体に空気を注入した状態を示す参考図である。
図7】(a)は保護帽の構成板と該構成板の軸着、係合、嵌合、の部位を示す参考図である。(b)は図7(a)を組み立てた状態を示す参考図である。
図8】(a)はズボンのウエスト部とポケットの端部にスパイラルコードで連結した防水袋と裾部を示す参考斜視図である。(b)はズボンのウエスト部の分離部の係着手段を示す参考図である。(c)はズボンの裾部の係着手段を示す参考図である。
図9】ゴーグルを示す参考斜視図である。
図10】ウエストポーチを示す参考斜視図である。
図11】ウエストポーチを除いた、使用者が防災用具を装着して前身頃の袋体を膨らませた状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0028】
本発明は、防水性と強風圧に耐え得る生地で形成されたフード部を備えた上着と、ズボンと、両眼を保護するゴーグルと、フード部に着脱自在に装着できる折り畳み可能な保護帽から成る、暴風雨、洪水、津波などの自然災害から身を守る防災用具と、それを収納するウエストポーチから構成された避難用防災用具で、以下にその防災用具とウエストポーチについて図1から図11を基に詳細を説明する。
【0029】
(上着の概要)
図1に示すように上着は頭部を覆うフード部を備えている。図1のフード部は上着と一体化しているが分離させて係着自在であっても構わない。上着は、図1(a)に示すように前身頃の左右に空気を注入すると浮袋となる袋体を備えその脇に袋体に空気を注入するチューブを収納するチューブ収納ポケットを備えている。ウエスト部にはベルトを備えそのベルトには前身頃の中央部に接合手段を備えている。そして左右の袖部には有事の際に発見されやすいように再帰性反射材を備えている。図1(b)に示す上着の後身頃には、空気を注入すると浮袋となる袋体を備えその脇には袋体に空気を注入するチューブを収納するチューブ収納ポケットを備えている。
【0030】
(フード部)
上着のフード部は、図2(a)に示すように額部の左右にはゴーグルが備える係止手段に係止する係止帯を備えている。更に、フード部の外縁部に巾着紐を備え顔面から雨水や風がフード部の内部に入り込まないようになっている。図2(b)、(c)に示すようにフード部は着脱自在に保護帽を内包できるようになっている。図示はされていないが保護帽を着脱自在に装着できるようにフードの内側には袋状の保護帽保持手段を備えその開口部には面ファスナーを備えている。
【0031】
(身頃部)
図3(a)に示す左右の前身頃は、縦方向中央部で左右に分離しその両端が重合し、その重合部の下側の前身頃の縦方向縁部と上側の前身頃の縦方向端部の裏面部内側とが下端部から首元までを係着自在に係合する防水性スライドファスナーを備えている。さらに雨水や風の侵入を防ぐためにそのスライドファスナーを覆うように前身頃の上側と下側とが着脱自在に係着する係着手段を備えている。図示ではその係着手段はホックであるが面ファスナーでも構わない。
【0032】
(ベルト)
図1(a)と(b)に示すベルトは、ウエスト部を取り巻くように設けられ落とさないように後身頃部に固着されている。そして前身頃の中央部に長さ調整可能な接合手段を備えている。
【0033】
(袖口)
図3(b)に示す上着の両袖口は、面ファスナーを備え雨水や風の侵入を防ぐようになっている。なお、両袖口部に弾性を有するゴム材を使用しても構わない。
【0034】
(再帰性反射材)
図6に示すように上着の両袖には、再帰性反射材を備え有事の際に発見されやすいようになっているが設置部位は前身頃と後身頃あるいは両肩など前後から確認できるように設けることが好ましい。
【0035】
(袋体)
図3(c)に示す袋体は、空気を注入するためのチューブと連結されそのチューブの先を収納するチューブ収納ポケットを袋体に隣接して設けられている。そして袋体は、膨張部をシート状に折り畳んで風圧で動かないように身頃部に固着するように面ファスナーを備えている。なお、袋体は少なくとも前身頃の左右又は後身頃のいずれか一方の身頃部の袋体を膨らませることによって使用者の上体が水面に浮上できるように構成されている。袋体は、前身頃の左右又は後身頃のいずれか一方の身頃に固着していればよいようになっているが前後の身頃に備えても構わない。また、袋体は外部からの衝撃を緩和する効果を有している。
【0036】
(袋体の形状、他)
図6に示す袋体の形状は、長方体であっても或いはかまぼこ型であっても袋体が身頃部からはみ出さないように構成してあれば構わない。また緩衝具としても効果を有するため強度を有する生地が好ましい。袋体は洪水や津波にも対応できるようにしたことで一般に市販されている水難用エアバッグを用いても同様の効果が得られるため実施例2に記載した。
【0037】
(チューブ)
図4(a)に示すチューブは、先端部の外円周部の左右両端に栓に設けられている左右の棒状の嵌合ツメが嵌合する逆Ω状に突出した把持部を備えている。そしてその把持部の下部方向には伸縮自在の蛇腹状が形成されている。なお、チューブの材質は柔軟性と強度を有するものが望ましい。
【0038】
(チューブ収納ポケット)
図4(b)に示すチューブ収納ポケットは、袋体に隣接して設けられその開口部はチューブ収納ポケットの先端部が露出しないようにカバーが設けれ、そのカバーには着脱自在の面ファスナーが備えられている。袋体に空気を注入する際には、そのカバーの面ファスナーを離脱させチューブの先端部を引くことによりチューブの蛇腹部が伸長してチューブ収納ポケットの開口部から突出させて空気を注入し、チューブの開口部に栓を挿着し封止した後にチューブをチューブ収納ポケットの内部に押すことによりその蛇腹部が収縮してチューブ収納ポケットにカバーができるように構成されている。なお、チューブ収納ポケットは袋体の上下又は左右のいずれかに隣接する部位に設けて良いが使用者が上着を着用していても使いやすい部位に設けることが好ましい。
【0039】
(栓)
図5(a)に示す栓は、弾性を有する素材で形成されチューブの内円周に冠着自在に密嵌する円錐状でその頭部の左右両端にチューブに設けた把持部に嵌脱自在に嵌合係止する棒状の嵌合ツメを下部方向にそれぞれ備え、更に該嵌合ツメの先端部には、チューブに備えた把持部の下端部に交止する係止ツメを備えて袋体に圧力を加えても栓がチューブの開口部から容易に離脱しないように確実に封止するように構成されている。更に図5(b)に示すように栓には頭部に紐が係止できる孔が設けられている。チューブの一端部を紐で縛りその端部をその栓の頭部の孔に結ぶことにより栓を紛失しないようになっている。
【0040】
(保護帽の構成)
保護帽は、頭頂部と左右の側頭部と前頭部と後頭部を保護するそれぞれ緩衝板と左右の側頭部板と前頭部板と後頭部板とから構成されている。
(1)図7(a)は、保護帽を組み立てる前の状態を示す図で、頭頂部を保護する緩衝板が、長手方向の左右両端にヒンジを介して回動折り畳み自在の左側頭部と右側頭部とをそれぞれ備えている。その短手方向の前後の端には該短手方向の半分の長さを有する左右いずれかの方向に露出した前頭部板と後頭部板とをそれぞれ軸着する第一の回転軸と第二の回転軸とを備えている。
(2)図7(a)に示す前頭部板と後頭部板の短手方向の長さは、緩衝板の短手方向の長さを有し、その半分の長さを有する左右いずれかの方向に、前記緩衝板の前後に備えるそれぞれ第一の回転軸と第二の回転軸とに着脱回動自在の軸着する第一の係合孔と第二の係合孔とがそれぞれ前記前頭部板と前記後頭部板とに設けられ容易にそれぞれ第一の回転軸と第二の回転軸に軸着できるようになっている。
(3)図7(a)に示すように左右の側頭部板の前後の斜辺部にはその厚み部に芯部が円柱状で頭部がT字形に突出したT字形ピンをそれぞれ備えている。そして前頭部板と後頭部板はそれぞれ左右の斜辺部に前記T字形ピンに嵌脱自在に嵌合する嵌合孔を備えている。
【0041】
(保護帽の組み立て方)
(1)図7(a)に示す前頭部板に設けた第一の係合孔を緩衝板の前方向に設けた第一の回転軸に挿入させて軸着する。
(2)図7(a)に示す後頭部板に設けた第一の係合孔を緩衝板の後方向に設けた第二の回転軸に挿入させて軸着する。
(3)図7(a)に示す緩衝板の長手方向左右にヒンジを介して回動自在の左側頭部板と右側頭部板の前方向と後方向の斜辺の厚み部に設けたそれぞれ第一と第三のT字形ピンと、第二と第三のT字形ピンとに前頭部板と後頭部板の左右の斜辺部に設けたそれぞれ第一と第二の嵌合孔と第三と第四の嵌合孔とがず7(b)のように第一と第二と第三と第四とのT字形ピンにそれぞれ第一と第二と第三と第四との嵌合孔に嵌合するように前記緩衝板の前後に軸着したそれぞれ前頭部板と後頭部板とに左右の側頭部板を外側から内側に加圧することにより簡単で素早く容易に組み立てできるように構成した。
【0042】
(保護帽の折り畳み方)
図7(b)に示す左右の側頭部板を保護帽の内側から外側に加圧することにより左右の側頭部板に設けたそれぞれのT字形ピンが前頭部板と後頭部板に設けたそれぞれの嵌合孔から離脱することにより左右の側頭部板は緩衝板の上下に折り畳み可能となる。次に緩衝板に軸着した前頭部板と前記後頭部板をそれぞれ分離させ適宜重ねることによりウエストポーチに簡単に収納できる。
【0043】
(ズボンのポケット部)
図8(a)に示すズボンは、少なくとも一つ開口部に開閉自在の防水性スライドファスナーを備え、携帯電話又はスマートフォン等を格納した防水袋を収納できるポケットを設けてある。そのポケットの開口部付近にスパイラルコードのフックが掛止する第一の掛止孔が設けられ防水袋の端部には、スパイラルコードのフックが掛止する第二の掛止孔が設けられ、それぞれを連結して携帯電話やスマートフォン等を水没、紛失、盗難等のリスクを防止できるように構成した。
【0044】
(ズボンのウエスト部)
図8(b)に示すようにズボンは、使用者が素早く着衣できるように太もも部からウエスト部に掛けて前身頃と後身頃とが分離されている。その分離部は下部から上部方向に防水性スライドファスナーが左右の両脇に設けられている。そしてウエスト部を保持するために着脱自在且つ調整可能な係着手段である面ファスナーを左右の両脇に防水性スライドファスナーを跨ぐように構成されている。なお係着手段は、図8の(a)、(b)では面ファスナーを用いているが実施において限定することではなくボタンやホックであっても構わない。またウエスト部に弾性を有するゴム材を入れても構わない。
【0045】
(ズボンの裾部)
図8(c)に示す図は、ズボンの両裾部に設けた面ファスナーで、使用者の足首を把持して歩行しやすいように水の侵入と抵抗を減らすようにした。
なお、両裾部に弾性を有するゴム材を使用しても構わない。
【0046】
(ゴーグル)
図9に示すゴーグルは、暴風雨や飛来物から両眼を保護する強度を有する一枚の透明な板状のレンズにその外周部が樹脂材で成形された外枠とその外枠の両端に伸縮自在の帯状の弾性バンドを備えている。そしてその外枠の中央部には夜間の避難時に使用でき、有事の際にも発見されやすいように防水性のライトが設けられている。更にそのライトの両端には図2(a)に示すフード部の額部に設けられた係止帯を係止させる係止手段を備えている。その係止手段は、前記係止帯が係止できれば形状は問わないがウエストポーチに収納しやすいように外枠上部が円弧状が好ましい。
図11に示すようにゴーグルは、使用者が上着のフード部を頭部に被せた後にゴーグルの弾性バンドを用いてそのフード部の上から重着して更にフード部に備えた係止帯を係止手段部に係止させることによりフード部が頭部に密着して風雨の侵入を防ぐことができる。
【0047】
(ウエストポーチ)
図10に示すウエストポーチは、防水性を有した生地と防水性スライドファスナーから形成され、上着と保護帽とズボンとゴーグルを出し入れ自在に収納可能となっている。平時時にはそれを携行する使用者が両手が使えるようにして、避難時にはその使用者がそれを着用したて空となったウエストポーチに貴重品等を身に着けて移動できるように構成されている。更に避難所では身に着けて移動できるため鞄などに比べ盗難のリスクが軽減できる。
【実施例2】
【0048】
本発明の実施例1に記載の、袋体において該袋体に代わる市販されている水難用エアバッグを用いた場合の避難用防災用具を以下に説明する。
なお、図示は省略したが実施例1を基に同一の構成部位に関しては実施例1に記載の図を用いる。
【0049】
強風圧に耐え得る強度と柔軟性と防水性を有する生地で形成されたフード部を備えた上着と、ズボンと、両眼を保護するゴーグルと、前記フード部に着脱自在に装着可能な折り畳み簡易保護帽(以下、保護帽と記載する。)と、水難用エアバッグとから構成された暴風雨、洪水、津波などの自然災害から身を守る防災用具を、該防災用具を出し入れ自在に収納可能なウエストポーチとから成り、前記防災用具を着用した使用者が空になった前記ウエストポーチに貴重品などを収納して避難できるように構成されている。
【0050】
(フード部)
上着のフード部は、図2(a)に示すように額部の左右にはゴーグルが備える係止手段に係止する係止帯を備えている。更に、フード部の外縁部に巾着紐を備え顔面から雨水や風が該フード部の内部に入り込まないようにした。図2(b)、(c)に示すようにフード部は着脱自在に保護帽を内包できるようになっている。図示はされていないが保護帽を着脱自在に装着できるようにフードの内側に袋状の保護帽保持手段を備えその開口部には面ファスナーを備えている。
【0051】
(身頃部)
図3(a)に示す左右の前身頃は、縦方向中央部で左右に分離しその両端が重合し、該重合部の下側の前身頃の縦方向縁部と上側の前身頃の縦方向端部の裏面部内側とが下端部から首元までを係着自在に係合する防水性スライドファスナーを備えている。さらに雨水や風の侵入を防ぐために該スライドファスナーを覆うように前身頃の上側と下側とが着脱自在に係着する係着手段を備えている。図示ではその係着手段はホックであるが面ファスナーでも構わない。
【0052】
(ベルト)
図1(a)と(b)に示すベルトは、ウエスト部を取り巻くように設けられ落とさないように後身頃部に固着されている。そして前身頃の中央部に長さ調整可能な接合手段を備えている。
【0053】
(袖口)
図3(b)に示す上着の両袖口は、面ファスナーを備え雨水や風の侵入を防ぐようになっている。なお、両袖口部に弾性を有するゴム材を使用しても構わない。
【0054】
(再帰性反射材)
図6に示すように上着の両袖には、再帰性反射材を備えて避難時に発見されやすいようになっているが設置部位は前身頃と後身頃あるいは両肩など前後から確認できるように設けることが好ましい。
【0055】
(保護帽の構成)
保護帽は頭頂部と左右の側頭部と前頭部と後頭部を保護するそれぞれ緩衝板と左右の側頭部板と前頭部板と後頭部板とから構成されている。
(1)図7(a)は、保護帽を組み立てる前の状態を示す図で、頭頂部を保護する緩衝板が、長手方向の左右両端にヒンジを介して回動折り畳み自在の左側頭部と右側頭部とをそれぞれ備えている。その短手方向の前後の端には、該短手方向の半分の長さを有する左右いずれかの方向に露出した前頭部板と後頭部板とをそれぞれ軸着する第一の回転軸と第二の回転軸とを備えている。
(2)図7(a)に示す前頭部板と後頭部板の短手方向の長さは、緩衝板の短手方向の長さを有し、その半分の長さを有する左右いずれかの方向に、前記緩衝板の前後に備えるそれぞれ第一の回転軸と第二の回転軸とに着脱回動自在の軸着する第一の係合孔と第二の係合孔とがそれぞれ前記前頭部板と前記後頭部板とに設けられ容易にそれぞれ第一の回転軸と第二の回転軸に軸着できるようになっている。
(3)図7(a)に示すように左右の側頭部板の前後の斜辺部には、その厚み部に芯部が円柱状で頭部がT字形に突出したT字形ピンをそれぞれ備えている。そして前頭部板と後頭部板はそれぞれ左右の斜辺部に前記T字形ピンに嵌脱自在に嵌合する嵌合孔を備えている。
【0056】
(保護帽の組み立て方)
(1)図7(a)に示す前頭部板に設けた第一の係合孔を緩衝板の前方向に設けた第一の回転軸に挿入させて軸着する。
(2)図7(a)に示す後頭部板に設けた第一の係合孔を緩衝板の後方向に設けた第二の回転軸に挿入させて軸着する。
(3)図7(a)に示す緩衝板の長手方向左右にヒンジを介して回動自在の左側頭部板と右側頭部板の前方向と後方向の斜辺の厚み部に設けたそれぞれ第一と第三のT字形ピンと、第二と第三のT字形ピンとに前頭部板と後頭部板の左右の斜辺部に設けたそれぞれ第一と第二の嵌合孔と第三と第四の嵌合孔とがず7(b)のように前記第一と第二と第三と第四とのT字形ピンにそれぞれ前記第一と第二と第三と第四との嵌合孔に嵌合するように前記緩衝板の前後に軸着したそれぞれ前記前頭部板と前記後頭部板とに前記左右の側頭部板を外側から内側に加圧することにより簡単で素早く容易に組み立てできるように構成した。
【0057】
(保護帽の折り畳み方)
図7(b)に示す左右の側頭部板を保護帽の内側から外側に加圧することにより前記左右の側頭部板に設けたそれぞれのT字形ピンが前頭部板と後頭部板に設けたそれぞれの嵌合孔から離脱することにより前記左右の側頭部板は緩衝板の上下に折り畳み可能となる。次に前記緩衝板に軸着した前記前頭部板と前記後頭部板をそれぞれ分離させ適宜重ねることによりウエストポーチに簡単に収納できる。
【0058】
(ズボンのポケット部)
図8(a)に示すズボンは、少なくとも一つ開口部に開閉自在の防水性スライドファスナーを備え、携帯電話又はスマートフォン等を格納した防水袋を収納できるポケットを設けてある。そのポケットの開口部付近にスパイラルコードのフックが掛止する第一の掛止孔が設けられ前記防水袋の端部には前記スパイラルコードのフックが掛止する第二の掛止孔が設けられ、それぞれを連結して携帯電話やスマートフォン等を水没、紛失、盗難等のリスクを防止できるように構成した。
【0059】
(ズボンのウエスト部)
図8(b)に示すようにズボンは、使用者が素早く着衣できるように太もも部からウエスト部に掛けて前身頃と後身頃とが分離されている。その分離部は、下部から上部方向に防水性スライドファスナーが左右の両脇に設けられている。そしてウエスト部を保持するために着脱自在且つ調整可能な係着手段である面ファスナーを左右の両脇に前記防水性スライドファスナーを跨ぐように構成されている。なお、前記係着手段は、図8の(a)、(b)では面ファスナーを用いているが実施において限定することではなくボタンやホックであっても構わない。またウエスト部に弾性を有するゴム材を入れても構わない。
【0060】
(ズボンの裾部)
図8(c)に示す図は、ズボンの両裾部に設けた面ファスナーで、使用者の足首を把持して歩行しやすいように水の侵入と抵抗を減らすようにした。なお、両裾部に弾性を有するゴム材を使用しても構わない。
【0061】
(ゴーグル)
図9に示すゴーグルは、強風による飛来物から両眼を保護する強度を有する一枚の透明な板状のレンズにその外周部が樹脂材で成形された外枠とその外枠の両端に伸縮自在の帯状の弾性バンドを備えている。そしてその外枠の中央部には夜間の避難時に使用でき、有事の際にも発見されやすいように防水性のライトが設けられている。更にそのライトの両端にフード部の額部に設けられた係止帯を係止させる係止手段を備えている。その係止手段は、前記係止帯が係止できれば形状は問わないがウエストポーチに収納しやすい外枠上部が円弧状が好ましい。図11に示すようにゴーグルは、使用者が上着のフード部を頭部に被せた後にゴーグルの弾性バンドを用いてそのフード部の上から重着して更にフード部に備えた係止帯を係止手段部に係止させることによりフード部が頭部に密着して風雨の侵入を防ぐことができる。
【0062】
(水難用エアバッグ)
図示は省略しているが水難用エアバッグはサーファー用などとして市販されている。小型な物は腕時計のように手首に装着するタイプと、ペンダントのように首から下げるタイプとがあるがいずれかをウエストポーチに収納して洪水や津波に備えることができる。該水難用エアバッグを用いれば袋体に空気を注入する必要がなくワンタッチでエアバッグが膨らみ操作が容易である。前記水難用エアバッグは、ペンダントタイプが好ましい。
【0063】
(ウエストポーチ)
図10に示すウエストポーチは、防水性を有した生地と防水性スライドファスナーから形成され、上記の防災用具である上着、保護帽、ズボン、ゴーグル、水難用エアバッグを出し入れ自在に収納可能となっている。使用者が前記防災用具を収納して携行しやすいように、ウエスト部に装着して避難時に両手が使えるようにした。そして避難時には使用者が前記防災用具を着用して空となった前記ウエストポーチに貴重品等を身に着けて移動しやすいように構成した。更に避難所では身に着けて移動できるため鞄などに比べ盗難のリスクを軽減できるようにした。
【符号の説明】
【0064】
11 上着
12 フード部
13 係止帯
14 袋体
15 チューブ収納ポケット
16 ベルト
17 前身頃
18 後身頃
19 再帰性反射材
20 保護帽
21 緩衝板
22 左側頭部板
23 右側頭部板
24 前頭部板
25 後頭部板
31 第一の回転軸
32 第二の回転軸
33 第一の係合孔
34 第二の係合孔
41 第一のT字形ピン
42 第二のT字形ピン
43 第三のT字形ピン
44 第四のT字形ピン
45 第一の嵌合孔
46 第二の嵌合孔
47 第三の嵌合孔
48 第四の嵌合孔
50 チューブ
51 把持部
60 栓
61 嵌合ツメ
62 係止ツメ
70 ズボン
71 ポケット
72 防水袋
73 第一の掛止孔
74 第二の掛止孔
75 スパイラルコード
80 ゴーグル
81 ライト
82 係止手段
90 ウエストポーチ
1a 防水性スライドファスナー
1b 面ファスナー
1c 巾着紐
【要約】
【課題】暴風雨、竜巻、雹、などの他、洪水や津波等の自然災害による水難から身を守る防災用具と、それを収納するウエストポーチから成る避難用防災用具を提供する。
【解決手段】
防水性と強度を有する生地で形成されたフード部を備えた上着とズボンと、両眼を保護するゴーグルとそのフード部に着脱自在の折り畳み保護帽とから構成された防災用具に、その防災用具を収納する防水性を有すウエストポーチから成る避難用防災用具で、上着には再帰性反射材を備え前後の身頃が重合し、前後いずれかの身頃に空気を注入すると浮袋となる袋体を備え、ズボンはポケットに収納できるスパイラルコードと係合した防水袋を備え、ゴーグルは外枠上部の中央部にライトと、その左右にフード部を保持する係止手段を備え、前記防災用具を着用した使用者はウエストポーチに貴重品等を収納して避難できる。
【選択図】 図11
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11